(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561215
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】セミアクティブレーザー(SAL)受信器及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
H04N 5/335 20110101AFI20190805BHJP
H04N 5/3745 20110101ALI20190805BHJP
F41G 7/22 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
H04N5/335 500
H04N5/3745 500
F41G7/22
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-552631(P2018-552631)
(86)(22)【出願日】2016年8月22日
(65)【公表番号】特表2019-504586(P2019-504586A)
(43)【公表日】2019年2月14日
(86)【国際出願番号】US2016048050
(87)【国際公開番号】WO2017123282
(87)【国際公開日】20170720
【審査請求日】2018年6月27日
(31)【優先権主張番号】14/996,936
(32)【優先日】2016年1月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ウィレス,リチャード,エイチ
(72)【発明者】
【氏名】バティニカ,マイケル,ジェイ.
【審査官】
橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/152297(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0157643(US,A1)
【文献】
特表2008−537116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/335
F41G 7/22
H04N 5/3745
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点面アレイ用の読み出し回路であって、前記焦点面アレイは複数のピクセルを有し、当該読み出し回路は、
前記焦点面アレイ内の各1ピクセルに対し、
該1ピクセル用の検出器に結合された適応光検出器負荷回路であり、当該適応光検出器負荷回路は、三点スイッチングコンポーネントと並列に周波数依存回路を有し、前記三点スイッチングコンポーネントの第3の点が、前記周波数依存回路の中間点に接続され、前記中間点からグランドへの電圧が、前記三点スイッチングコンポーネントのスイッチング電圧を提供する、適応光検出器負荷回路と、
トランスインピーダンス増幅器であり、当該トランスインピーダンス増幅器に前記検出器がAC結合される、トランスインピーダンス増幅器と、
前記トランスインピーダンス増幅器のAC結合出力を受信し、該AC結合出力を所定の閾値と比較する比較器コンポーネントと、
並列接続された複数の電荷蓄積コンポーネントを含むサンプルホールドリングであり、各1つの電荷蓄積コンポーネントが、イネーブリング三点スイッチングコンポーネントと直列にキャパシタを含み、前記イネーブリング三点スイッチングコンポーネントの第3の点が、リングイネーブル信号を受信し、所定の電荷蓄積コンポーネントが、バッファ増幅器を介して前記トランスインピーダンス増幅器の前記AC結合出力に接続され、前記イネーブリング三点スイッチングコンポーネントは、前記バッファ増幅器の出力と前記キャパシタとの間に接続され、前記キャパシタは、読み出しバッファ増幅器及び読み出し三点スイッチングコンポーネントによって出力データラインに接続され、前記読み出し三点スイッチングコンポーネントの第3の点が、読み出しイネーブリング信号を受け取る、サンプルホールドリングと、
前記比較器コンポーネントの出力を受け取るパルス検出ロジック回路であり、当該パルス検出ロジック回路は、前記AC結合出力が前記所定の閾値以下であるときに、前記リングイネーブル信号を前記所定の電荷蓄積コンポーネントに提供するように構成され、且つ、前記AC結合出力が前記所定の閾値よりも大きいときに、所定時間だけ遅延させ、該所定時間の遅延後に、前記所定の電荷蓄積コンポーネントに提供される前記リングイネーブル信号をディセーブルするように構成される、パルス検出ロジック回路と、
を有し、
前記リングイネーブル信号がディセーブルされた後に、読み出しイネーブリング信号が提供され、各所定の電荷蓄積コンポーネントの前記キャパシタ内の電荷が、前記出力データラインに多重化出力され、別の所定時間の後、前記各所定の電荷蓄積コンポーネントの前記キャパシタに蓄積された前記電荷を多重化出力した後に、前記リングイネーブル信号がリングイネーブルにリセットされる、
読み出し回路。
【請求項2】
当該読み出し回路は更に、前記各1ピクセルに対し、前記各1ピクセルにおけるパルスの到着時間を提供するグローバルカウンタタイムベースコードを記録するように構成された到着時間記録コンポーネントを有し、該到着時間記録コンポーネントに記録された前記グローバルカウンタタイムベースコードは、前記所定の電荷蓄積コンポーネントの前記キャパシタ内の前記電荷が多重化出力されるときに読み出され、前記所定の電荷蓄積コンポーネントの前記キャパシタに蓄積された前記電荷を多重化出力した後に、グローバルタイムベースカウンタがリセットされる、請求項1に記載の読み出し回路。
【請求項3】
前記各1ピクセル用の前記検出器は、1.06μm又は約1.5μmのうちの少なくとも一方の放射線に応答する、請求項1に記載の読み出し回路。
【請求項4】
前記周波数依存回路は、負荷キャパシタと直列に抵抗を有し、該抵抗は、前記検出器の出力に接続され、前記キャパシタは、前記抵抗とグランドとに接続され、前記三点スイッチングコンポーネントの前記第3の点は、前記抵抗と前記負荷キャパシタとの間の接続点に接続され、前記抵抗及び前記負荷キャパシタは、前記検出器に入射する電磁放射線の低周波変動の影響を抑圧するために選択されている、請求項1に記載の読み出し回路。
【請求項5】
前記トランスインピーダンス増幅器の帰還素子が、電流−電圧変換抵抗である、請求項1に記載の読み出し回路。
【請求項6】
前記トランスインピーダンス増幅器の帰還素子が、ダイオード又はトランジスタのうちの一方である、請求項1に記載の読み出し回路。
【請求項7】
前記比較器コンポーネントはまた、前記1ピクセルに関する閾値オフセット調整を受け取る、請求項1に記載の読み出し回路。
【請求項8】
前記三点スイッチングコンポーネントは電界効果トランジスタを有する、請求項1に記載の読み出し回路。
【請求項9】
前記イネーブリング三点スイッチングコンポーネント及び前記読み出し三点スイッチングコンポーネントの各々が、電界効果トランジスタを有する、請求項1に記載の読み出し回路。
【請求項10】
焦点面アレイを読み出す方法であって、前記焦点面アレイは複数のピクセルを有し、当該方法は、前記焦点面アレイ内の各1ピクセルに対し、
該1ピクセル用の検出器に適応光検出器負荷回路を結合し、該適応光検出器負荷回路は、前記検出器に入射する低周波変動の影響を抑圧するように構成され、
前記検出器にトランスインピーダンス増幅器をAC結合し、
前記トランスインピーダンス増幅器のAC結合出力を、バッファ増幅器を介して、サンプルホールドリング内の所定のキャパシタに提供し、該所定のキャパシタへの接続がイネーブルされ、
前記トランスインピーダンス増幅器の前記AC結合出力を所定の閾値と比較し、
前記トランスインピーダンス増幅器の前記AC結合出力が前記所定の閾値よりも大きいときに、所定時間の遅延後に、前記所定のキャパシタへの接続をディセーブルし、
読み出しイネーブリング信号の受信を受けて、前記所定のキャパシタ内の電荷を出力データに多重化出力する、
ことを有する、方法。
【請求項11】
前記各1ピクセルに対し、前記各1ピクセルにおけるパルスの到着時間を記録し、該到着時間は、グローバルタイムベースカウンタからのコードから取得され、
前記所定のキャパシタ内の前記電荷が多重化出力された後に、前記グローバルタイムベースカウンタをリセットする、
ことを更に有する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記1ピクセルに関する閾値オフセット調整によって前記所定の閾値を調整する、ことを更に有する請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記各1ピクセル用の前記検出器は、1.06μm又は約1.5μmのうちの少なくとも一方の放射線に応答する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記適応光検出器負荷回路は、三点スイッチングコンポーネントと並列に周波数依存回路を有し、前記三点スイッチングコンポーネントの第3の点が、前記周波数依存回路の中間点に接続され、前記中間点からグランドへの電圧が、前記三点スイッチングコンポーネントのスイッチング電圧を提供する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記周波数依存回路は、負荷キャパシタと直列に抵抗を有し、該抵抗は、前記検出器の出力に接続され、前記キャパシタは、前記抵抗とグランドとに接続され、前記三点スイッチングコンポーネントの前記第3の点は、前記抵抗と前記負荷キャパシタとの間の接続点に接続され、前記抵抗及び前記負荷キャパシタは、前記検出器に入射する電磁放射線の低周波変動の影響を抑圧するために選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記三点スイッチングコンポーネントは電界効果トランジスタを有する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
これらの教示は、概して、例えばレーザー誘導爆弾などの使い捨て軍需物資に使用されるレーザースポット追跡器であるセミアクティブレーザー(SAL)受信器に関する。
【0002】
典型的なSAL受信器は、短レーザーパルスリターンに追従するために、アナログ−デジタル変換器(ADC)を用いて、高速に各ピクセルからの信号を連続的にデジタル化し、そして、デジタル処理を用いて、関心あるレーザーパルスに関して各ピクセルによって見られる波形を調べる。このアーキテクチャは、アレイサイズを約2×2に制限する。典型的なSAL受信器は、2×2ピクセルの“象限(クワドラント)”光検出器を用いて、レーザースポットに対するSAL受信器及び爆弾のアライメントについての情報を提供する。これらのシステムに伴う1つの問題は、2×2ピクセルアレイがセンサの分解能及び視野(FOV)を制限することである。一部のシステムは、ジンバル(機械的パンニング機構)を付加することによってこの制限を部分的に解消するが、これは、使い捨て軍需物資に使用されるので安価でなければならないものであるSAL受信器に、大きいコストを追加してしまう。既存のSAL受信器は、短レーザーパルスリターンに追従するために、アナログ−デジタル変換器(ADC)を用いて、高速(典型的に100MHz付近)に各ピクセルからの信号を連続的にデジタル化し、そして、デジタル処理を用いて、関心あるレーザーパルスに関して各ピクセルによって見られる波形を調べているので、アレイサイズを2×2よりも大幅に大きくすることができない。例えば32×32=1024ピクセルといった、より大きいアレイサイズを使用することは、1024個のADC回路と1024個のデジタル信号処理チャネルとを必要とすることになり、それは、電力、サイズ、及びコストに関して法外なものとなる。
【0003】
既存のSALシステムの更なる1つの問題は、それらが、目の損傷を引き起こすものであるとともに隠されたものではない(何故なら、イメージ増強管を含む大抵の現行EOセンサが、この波長を見ることができ、それ故に、レーザー照射器の位置を導出することができるからである)1.06ミクロンのレーザー波長を使用することである。さらに、既存のSALシステムは、センサのFOV内に太陽があるときに、有意な性能低下を経験し得る。
【0004】
コスト及びサイズの制約を超えることなく大きい焦点面(フォーカルプレーン)アレイを使用することができるSAL受信器設計が望まれる。
【0005】
さらには、目に安全なレーザーの使用を可能にすることができるSAL受信器設計が望まれる。
【発明の概要】
【0006】
コスト及びサイズの制約を超えることなく大きいフォーカルプレーンアレイを使用することができるとともに、目に安全なレーザーの使用を可能にすることができる受信器設計が、以下ここに開示される。
【0007】
1つ以上の実施形態において、複数のピクセルを有する焦点面アレイからの読み出しのための、これらの教示に係る読み出し回路は、上記焦点面アレイ内の各1ピクセルに対して、該1ピクセル用の検出器に結合された適応光検出器負荷回路であり、当該適応光検出器負荷回路は、三点スイッチングコンポーネントと並列に周波数依存回路を有し、上記三点スイッチングコンポーネントの第3の点が、上記周波数依存回路の中間点に接続され、上記中間点からグランドへの電圧が、上記三点スイッチングコンポーネントのスイッチング電圧を提供する、適応光検出器負荷回路と、トランスインピーダンス増幅器であり、当該トランスインピーダンス増幅器に上記検出器がAC結合される、トランスインピーダンス増幅器と、上記トランスインピーダンス増幅器のAC結合出力を受信し、該AC結合出力を所定の閾値と比較する比較器コンポーネントと、並列接続された複数の電荷蓄積コンポーネントを含むサンプルホールドリングであり、各1つの電荷蓄積コンポーネントが、イネーブリング三点スイッチングコンポーネントと直列にキャパシタを含み、上記イネーブリング三点スイッチングコンポーネントの第3の点が、リングイネーブル信号を受信し、所定の電荷蓄積コンポーネントが、バッファ増幅器を介して上記トランスインピーダンス増幅器の上記AC結合出力に接続され、上記イネーブリング三点スイッチングコンポーネントは、上記バッファ増幅器の出力と上記キャパシタとの間に接続され、上記キャパシタは、読み出しバッファ増幅器及び読み出し三点スイッチングコンポーネントによって出力データラインに接続され、上記読み出し三点スイッチングコンポーネントの第3の点が、読み出しイネーブリング信号を受け取る、サンプルホールドリングと、上記比較器コンポーネントの出力を受け取るパルス検出ロジック回路であり、当該パルス検出ロジック回路は、上記AC結合出力が上記所定の閾値以下であるときに、上記リングイネーブル信号を上記所定の電荷蓄積コンポーネントに提供するように構成され、且つ、上記AC結合出力が上記所定の閾値よりも大きいときに、所定時間だけ遅延させ、該所定時間の遅延後に、上記所定の電荷蓄積コンポーネントに提供される上記リングイネーブル信号をディセーブルするように構成される、パルス検出ロジック回路とを含む。上記リングイネーブル信号がディセーブルされた後に、読み出しイネーブリング信号が提供され、各所定の電荷蓄積コンポーネントの上記キャパシタ内の電荷が、上記出力データラインに多重化出力され、別の所定時間の後、上記各所定の電荷蓄積コンポーネントの上記キャパシタに蓄積された上記電荷を多重化出力した後に、上記リングイネーブル信号がリングイネーブルにリセットされる。
【0008】
1つ以上の実施形態において、複数のピクセルを有する焦点面アレイからの読み出しのための、これらの教示に係る方法は、上記焦点面アレイ内の各1ピクセルに対して、該1ピクセル用の検出器に適応光検出器負荷回路を結合し、該適応光検出器負荷回路は、上記検出器に入射する低周波変動の影響を抑圧するように構成され、上記検出器にトランスインピーダンス増幅器をAC結合し、上記トランスインピーダンス増幅器のAC結合出力を、バッファ増幅器を介して、サンプルホールドリング内の所定のキャパシタに提供し、該所定のキャパシタへの接続がイネーブルされ、上記トランスインピーダンス増幅器の全ての上記AC結合出力を所定の閾値と比較し、上記トランスインピーダンス増幅器の上記AC結合出力が上記所定の閾値よりも大きいときに、所定時間の遅延後に、上記所定のキャパシタへの接続をディセーブルし、読み出しイネーブリング信号の受信を受けて、上記所定のキャパシタ内の電荷を出力データに多重化出力することを含む。
【0010】
本教示の、その更なる他の目的とともにの、より十分な理解のために、添付の図面及び詳細な説明を参照し、その範囲を、添付の請求項にて指摘する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】これらの教示に従った、焦点面アレイの1つのピクセルに関する回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明は、本発明を実行することの現時において企図されるモードを提示するものである。この説明は、単に発明の一般原理を例示する目的で作成されたものであり、本発明の範囲は添付の請求項によって最良に規定されるものであるので、この説明は限定的な意味でとられるべきでない。
【0013】
ここで使用されるとき、単数形“a”、“an”、及び“the”は、文脈が別のことを明確に述べていない限り、複数参照を含むものである。
【0014】
特段の断りがある場合を除いて、明細書及び特許請求の範囲で使用される成分量及び反応条件などを表す全ての数字は、全ての場合に用語“約”によって修飾されているとして理解されるべきである。
【0015】
コスト及びサイズの制約を超えることなく大きいフォーカルプレーンアレイを使用することができるとともに、目に安全なレーザーの使用を可能にすることができるSAL受信器設計が、以下ここに開示される。
【0016】
1つ以上の実施形態において、複数のピクセルを有する焦点面アレイからの読み出しのための、これらの教示に係る読み出し回路は、上記焦点面アレイ内の各1ピクセルに対して、該1ピクセル用の検出器に結合された適応光検出器負荷回路であり、当該適応光検出器負荷回路は、三点スイッチングコンポーネントと並列に周波数依存回路を有し、上記三点スイッチングコンポーネントの第3の点が、上記周波数依存回路の中間点に接続され、上記中間点からグランドへの電圧が、上記三点スイッチングコンポーネントのスイッチング電圧を提供する、適応光検出器負荷回路と、トランスインピーダンス増幅器であり、当該トランスインピーダンス増幅器に上記検出器がAC結合される、トランスインピーダンス増幅器と、上記トランスインピーダンス増幅器のAC結合出力を受信し、該AC結合出力を所定の閾値と比較する比較器コンポーネントと、並列接続された複数の電荷蓄積コンポーネントを含むサンプルホールドリングであり、各1つの電荷蓄積コンポーネントが、イネーブリング三点スイッチングコンポーネントと直列にキャパシタを含み、上記イネーブリング三点スイッチングコンポーネントの第3の点が、リングイネーブル信号を受信し、所定の電荷蓄積コンポーネントが、バッファ増幅器を介して上記トランスインピーダンス増幅器の上記AC結合出力に接続され、上記イネーブリング三点スイッチングコンポーネントは、上記バッファ増幅器の出力と上記キャパシタとの間に接続され、上記キャパシタは、読み出しバッファ増幅器及び読み出し三点スイッチングコンポーネントによって出力データラインに接続され、上記読み出し三点スイッチングコンポーネントの第3の点が、読み出しイネーブリング信号を受け取る、サンプルホールドリングと、上記比較器コンポーネントの出力を受け取るパルス検出ロジック回路であり、当該パルス検出ロジック回路は、上記AC結合出力が上記所定の閾値以下であるときに、上記リングイネーブル信号を上記所定の電荷蓄積コンポーネントに提供するように構成され、且つ、上記AC結合出力が上記所定の閾値よりも大きいときに、所定時間だけ遅延させ、該所定時間の遅延後に、上記所定の電荷蓄積コンポーネントに提供される上記リングイネーブル信号をディセーブルするように構成される、パルス検出ロジック回路とを含む。上記リングイネーブル信号がディセーブルされた後に、読み出しイネーブリング信号が提供され、各所定の電荷蓄積コンポーネントの上記キャパシタ内の電荷が、上記出力データラインに多重化出力され、別の所定時間の後、上記各所定の電荷蓄積コンポーネントの上記キャパシタに蓄積された上記電荷を多重化出力した後に、上記リングイネーブル信号がリングイネーブルにリセットされる。
【0017】
図1は、これらの教示の一実施形態に従った、焦点面アレイの1つのピクセルに関する回路の概略図を示している。これらの教示の限定のためではなく単なる例示のためにここで使用されるものである1つの例示的な実施形態において、焦点面アレイは、32×32のピクセルアレイである。これらの教示の限定ではなく、単に例示の目的で、100MHzのレーザー波形サンプリングが使用される。アレイ内のピクセルの各々が、この実施形態において、
図1に示すような回路を有する。
図1に示す実施形態において、このピクセル用の検出器に適応光検出器負荷回路15が結合されている。適応光検出器負荷回路15は、三点スイッチングコンポーネントM1と並列に周波数依存回路25を有している。三点スイッチングコンポーネントM1の第3の点が、周波数依存回路25の中間点に接続され、中間点からグランドへの電圧が、この三点スイッチングコンポーネントのスイッチング電圧を提供する。一例において、周波数依存回路25は、負荷キャパシタC1と直列に抵抗R1を有し、抵抗R1は検出器出力に接続され、負荷キャパシタC1は、抵抗R1とグランドとに接続される。三点スイッチングコンポーネントM1の第3の点は、抵抗R1と負荷キャパシタC1との間の接続点に接続される。抵抗R1及び負荷キャパシタC1は、検出器に入射する電磁放射線の低周波変動の影響を抑圧するために選択される。一例において、三点スイッチングコンポーネントM1は電界効果トランジスタである。
【0018】
図1に示されるように、検出器はトランスインピーダンス増幅器35にAC結合される。一例において、トランスインピーダンス増幅器35の帰還素子30は電流−電圧変換抵抗R2である。他の一例において、トランスインピーダンス増幅器35の帰還素子30は、ダイオード又はトランジスタの何れかである。比較器コンポーネント40が、AC結合されたトランスインピーダンス増幅器の出力を受け取り、このAC結合出力を所定の閾値と比較する。一例において、比較器コンポーネント40はまた、この1ピクセルに関して固有のオフセット調整を受け取る。
図1には、並列接続された多数の電荷蓄積コンポーネントを有するサンプルホールドリング55も示されており、各1つの電荷蓄積コンポーネントが、イネーブリング三点スイッチングコンポーネント62と直列にキャパシタ60を含んでいる。イネーブリング三点スイッチングコンポーネント62は、バッファ増幅器37の出力とキャパシタ60との間に接続されており、イネーブリング三点スイッチングコンポーネント62の第3の点がリングイネーブル信号を受け取ると、所定の電荷蓄積コンポーネントが、バッファ増幅器37を介して、トランスインピーダンス増幅器35のAC結合された出力に接続される。読み出し三点スイッチングコンポーネント67の第3の点が読み出しイネーブリング信号を受け取ると、読み出しバッファ増幅器及び読み出し三点スイッチングコンポーネント67によってキャパシタ60が出力データラインに接続される。一例において、イネーブリング三点スイッチングコンポーネント62及び読み出し三点スイッチングコンポーネント67の各々が、電界効果トランジスタである。
【0019】
図1に示す実施形態はまた、比較器コンポーネント40の出力を受け取るパルス検出ロジック回路45を含んでいる。パルス検出ロジック回路45は、上記AC結合出力が所定の閾値以下であるときには、所定の電荷蓄積コンポーネントにリングイネーブル信号を提供するように構成され、また、上記AC結合出力が所定の閾値よりも大きいときには、所定時間だけ遅延させ、該所定時間の遅延後に、所定の電荷蓄積コンポーネントに提供されたリングイネーブル信号をディセーブルにするように構成される。(一例において、パルス検出ロジック回路45は、その機能を規定するは高水準ソフトウェアコードから合成される(自動生成される)。)リングイネーブル信号がディセーブルされた後、読み出しイネーブリング信号が提供され、各所定の電荷蓄積コンポーネントのキャパシタ60内の電荷が、出力データラインに多重化出力される。別の所定時間後、各所定の電荷蓄積コンポーネントのキャパシタに蓄積された電荷を多重化出力した後、リングイネーブル信号がリングイネーブルにリセットされる。サンプル/ホールド信号を読み出すために順次にイネーブルされるものである読み出しイネーブリング信号“ReadoutSH”は、通常、ピクセルの外側にある“カラムアドレス”回路内に置かれる。(一実施形態において、ピクセル内部のデジタルロジック内に置くことも考えられるが、それは好ましくない。何故なら、それがピクセル内に存在する必要はなく、そうすることはピクセル内で追加の領域を占有することになり、画素領域が制限されてしまうからである。)読み出しイネーブリング信号“ReadoutSH”は、ピクセルのロウ及びカラムを順次にアドレス指定するロウアドレス回路及びカラムアドレス回路とともに使用され、この回路も通常、ピクセル(焦点面アレイ)の外側にある“ロウアドレス”回路及び“カラムアドレス”回路内に置かれることになる。
【0020】
図1に示す実施形態には、また、この1ピクセルに対し、この1ピクセルにおけるパルスの到着時間を提供するグローバルカウンタタイムベースコードを記録するように構成された到着時間記録コンポーネント65も含まれている。到着時間記録コンポーネント65に記録されたグローバルカウンタタイムベースコードは、所定の電荷蓄積コンポーネント各々のキャパシタ内の電荷が多重化出力されるときに読み出される。所定の電荷蓄積コンポーネント各々のキャパシタ60に蓄積された電荷を多重化出力した後に、グローバルタイムベースカウンタがリセットされる。
【0021】
パルスが到着するのをこのセンサが待っている時間の大部分で、“パルス検出ロジック”が“RingEnable(リングイネーブル)”をイネーブル状態に保ち、サンプル/ホールドリングが循環的に(図示した例示実施形態では100MHzで)連続的に装荷(ロード)されて、それが信号振幅の近時記憶を提供し、データが読み出されたりADC変換されたりはしない。十分に大きいパルスが到着して比較器の閾値を超えると、“パルス検出ロジック”が、(完全なパルス形状を捕捉するために)追加の数サンプル/ホールドインターバル(図示した例示実施形態では10ns(=1/100MHz))だけ待ち、次いで、“RingEnable”をディセーブルし、サンプル/ホールドリングに保持されたデータをフリーズさせる。
【0022】
一例において、各1ピクセル用の検出器は、1.06μm又は約1.5μmのうちの少なくとも一方にある放射線に応答する。
【0023】
1つ以上の実施形態において、複数のピクセルを有する焦点面アレイからの読み出しのための、これらの教示に係る方法は、上記焦点面アレイ内の各1ピクセルに対して、該1ピクセル用の検出器に適応光検出器負荷回路を結合し、該適応光検出器負荷回路は、上記検出器に入射する低周波変動の影響を抑圧するように構成され、上記検出器にトランスインピーダンス増幅器をAC結合し、上記トランスインピーダンス増幅器のAC結合出力を、バッファ増幅器を介して、サンプルホールドリング内の所定のキャパシタに提供し、該所定のキャパシタへの接続がイネーブルされ、上記トランスインピーダンス増幅器の全ての上記AC結合出力を所定の閾値と比較し、上記トランスインピーダンス増幅器の上記AC結合出力が上記所定の閾値よりも大きいときに、所定時間の遅延後に、上記所定のキャパシタへの接続をディセーブルし、読み出しイネーブリング信号の受信を受けて、上記所定のキャパシタ内の電荷を出力データに多重化出力することを含む。
【0024】
一例において、これらの教示に係る方法はまた、各1ピクセルに対し、該1ピクセルにおけるパルスの到着時間を記録し、該到着時間は、グローバルタイムベースカウンタからのコードから取得され、上記所定のキャパシタ内の電荷が多重化出力された後に、グローバルタイムベースカウンタをリセットすることを含む。
【0025】
他の一例において、これらの教示に係る方法はまた、その1ピクセルに関する閾値オフセット調整によって上記所定の閾値を調整することを含む。
【0026】
本教示を説明して定める目的のために言及しておくことには、用語“実質的に”は、ここでは、何らかの量的な比較、値、測定、又はその他の表現に起因し得る不確かさの生来的程度を表すために使用されている。用語“実質的に”はまた、ここでは、量的な表現が、問題としている事項の基本的な機能の変化をもたらすことなく、述べられた基準から異なり得る程度を表すために使用されている。
【0027】
なお、これらの教示に係る読み出し回路の実施形態を、レーザー受信器に関して記述してきたが、広範囲の電磁源に関するこれらの教示に係る読み出し回路の使用が、これらの教示の範囲内にある。
【0028】
これらの教示を様々な実施形態に関して記述してきたが、認識されるべきことには、これらの教示はまた、添付の請求項の精神及び範囲の中で、多様な更なるその他の実施形態も可能なものである。