(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561273
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】着脱式ユニットおよびこれを用いたセンサ較正方法
(51)【国際特許分類】
G01C 17/28 20060101AFI20190808BHJP
G01C 17/38 20060101ALI20190808BHJP
B64D 45/00 20060101ALI20190808BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20190808BHJP
B64D 43/00 20060101ALI20190808BHJP
B64D 47/00 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
G01C17/28 A
G01C17/38 B
B64D45/00 Z
B64C39/02
B64D43/00
B64D47/00
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-544690(P2018-544690)
(86)(22)【出願日】2017年8月21日
(86)【国際出願番号】JP2017029717
(87)【国際公開番号】WO2018070103
(87)【国際公開日】20180419
【審査請求日】2018年9月26日
(31)【優先権主張番号】特願2016-201855(P2016-201855)
(32)【優先日】2016年10月13日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】715001390
【氏名又は名称】株式会社プロドローン
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅木 紀代一
【審査官】
白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2016/023224(WO,A1)
【文献】
特開2007−178138(JP,A)
【文献】
特開2002−090173(JP,A)
【文献】
特開2010−151729(JP,A)
【文献】
特開2012−140038(JP,A)
【文献】
特表平9−512765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 17/28
B64C 39/02
B64D 43/00
B64D 45/00
B64D 47/00
G01C 17/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人航空機の機体に着脱自在なケース体またはボード体であるベース部を備え、
前記ベース部には、電子コンパスを構成する磁気センサが取り付けられており、
前記無人航空機を飛行させるときに前記無人航空機から取り外して、その場で前記電子コンパスの較正が可能であることを特徴とする着脱式ユニット。
【請求項2】
前記ベース部にはさらに、加速度センサおよび/または角速度センサが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の着脱式ユニット。
【請求項3】
前記ベース部には、前記加速度センサおよび前記角速度センサを含む慣性計測装置が取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の着脱式ユニット。
【請求項4】
前記ベース部には、前記電子コンパスの較正に要するすべての周辺装置が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の着脱式ユニット。
【請求項5】
前記ベース部には、前記無人航空機のフライトコントローラを構成する制御装置、前記慣性計測装置、および前記電子コンパスが取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の着脱式ユニット。
【請求項6】
前記ベース部に取り付けられた各電子装置に電力を供給する独自のバッテリーを備えていることを特徴とする請求項1に記載の着脱式ユニット。
【請求項7】
前記ベース部に取り付けられた各電子装置と、前記無人航空機の機体に搭載された機器と、を電気的に接続する端子部を備え、
前記端子部は、前記無人航空機側の機器の信号線が接続される信号線コネクタと、前記ベース部に取り付けられた各電子装置に電力を供給する電力線が接続される電力線コネクタと、を有することを特徴とする請求項1に記載の着脱式ユニット。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の着脱式ユニットを用いたセンサ較正方法であって、
前記無人航空機から取り外された状態の前記着脱式ユニットを、手動で回転させ、または手動で所定の姿勢に保つことにより、前記電子コンパスおよび/または前記慣性計測装置を較正する手順を含むことを特徴とするセンサ較正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人航空機技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業用無人ヘリコプターに代表される小型の無人航空機は、機体が高価で入手困難なうえ、安定して飛行させるためには操作に熟練が必要とされるものであった。しかし近年、無人航空機の姿勢制御や自律飛行に用いられるセンサ類およびソフトウェアの改良、低価格化が進み、これにより無人航空機の操作性が飛躍的に向上した。特に小型のマルチコプターについては、ヘリコプターに比べてロータ構造が簡単であり、設計およびメンテナンスが容易であることから、趣味目的だけでなく、広範な産業分野における種々のミッションへの応用が試行されている。
【0003】
下記特許文献1には、携帯電話機に搭載された地磁気センサで方位を検出する際の課題、および、地磁気センサのキャリブレーション方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−47299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ホビー用のマルチコプターでは、電子コンパスなどのセンサ類を較正するため、飛行前に機体を手で持ち上げて較正作業を行うことが一般的である。このような較正作業では、通常、マルチコプターの機体を水平面上に載置して、これをマルチコプターの基本姿勢と認識させたり、マルチコプターを所定の姿勢で一定時間保持したり、マルチコプターをその基本姿勢の状態で水平回転させたり、マルチコプターの機首方向を鉛直に立てた状態で機体を水平方向に回転させたり、マルチコプターの機首方向を水平に向けた状態で機体を鉛直方向に回転させたりして、センサ類を較正する。無人航空機のサイズや重量が一人で持ち上げられる程度のものであればこの方法でも問題はないが、例えば産業用の大型の無人航空機に対してこの方法で較正を行う場合、数人がかりで機体を持ち上げる必要があり、較正作業が大掛かりとなる。
【0006】
また、従来の無人航空機は、制御部を構成する制御装置やセンサ類がフレームに対して個々に取り付けられている。そのため、一の機体の制御部を他の機体に付け替えたり、制御部のみを持ち運んでチューニングしたりすることが困難であった。
【0007】
上記問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、無人航空機が備えるセンサ類の較正作業を効率化することができ、また、無人航空機の制御機能をユニット化することができる着脱式ユニット、および、これを用いたセンサ較正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の着脱式ユニットは、無人航空機の機体に着脱自在なケース体またはボード体であるベース部を備え、前記ベース部には、電子コンパスを構成する磁気センサが取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
無人飛行機を飛行させる前に、磁気センサなどのセンサ類の較正を行う理由は、これらセンサ類の出力値が示す機体の向きや姿勢を特定するためである。すなわち、実際には、較正のために無人飛行機の機体全体を動かす必要はなく、例えば電子コンパスの方位を較正するときには、電子コンパスの構成要素のみを動かせば足りる。本発明では、電子コンパスを構成する磁気センサを無人航空機の機体に着脱可能な構成とすることにより、例えば大型の無人航空機の電子コンパスを較正する場合でも、必要最小限の部品のみでこれを行うことができる。これにより、電子コンパスの較正作業を効率化することができる。
【0010】
また、前記ベース部にはさらに、加速度センサおよび/または角速度センサが取り付けられていることが好ましい。
【0011】
電子コンパスとともに加速度センサや角速度センサがベース部に取り付けられていることにより、電子コンパスと同様に、これら加速度センサや角速度センサの較正作業を効率化することができる。また、電子コンパスの較正作業時にこれら加速度センサ・角速度センサの出力値を利用することが可能となり、電子コンパスの較正精度が高められる。なお、これら加速度センサおよび/または角速度センサは、慣性計測装置の一部を構成するものであってもよい。
【0012】
また、前記ベース部には、前記電子コンパスの較正に要するすべての周辺装置が取り付けられていることが好ましい。
【0013】
電子コンパスに加え、電子コンパスの信号処理部や周辺ハードウェア・ソフトウェアなど、電子コンパスの較正に必要となる構成の全体がベース部に配置されていることにより、着脱式ユニット単体で電子コンパスの較正作業を完結させることが可能となる。
【0014】
また、前記ベース部には、前記無人航空機のフライトコントローラを構成する制御装置、前記慣性計測装置、および前記電子コンパスが取り付けられている構成としてもよい。
【0015】
無人航空機の飛行制御システムの必須構成がベース部に配置されていることにより、無人航空機の制御機能をユニット化することができる。これにより、一の機体の制御機能を他の機体に付け替えたり、着脱式ユニットのみを持ち運んでチューニングすることが可能となる。
【0016】
また、本発明の着脱式ユニットは、前記ベース部に取り付けられた各電子装置に電力を供給するバッテリーを備えていることが好ましい。
【0017】
着脱式ユニットが独自にバッテリーを備えていることにより、機体に搭載されたバッテリーから着脱式ユニットに電力を供給することなく、着脱式ユニットのみでセンサ類の較正作業を行うことが可能となる。
【0018】
また、本発明の着脱式ユニットは、前記ベース部に取り付けられた各電子装置と、前記無人航空機の機体に搭載された機器と、を電気的に接続する端子部を備え、前記端子部は、前記無人航空機側の機器の信号線が接続される一の信号線コネクタと、前記ベース部に取り付けられた各電子装置に電力を供給する電力線が接続される一の電力線コネクタと、を有することが好ましい。
【0019】
ベース部に固定された各電子装置の信号線と電力線とをそれぞれ一つのコネクタで機体に接続可能とすることにより、着脱式ユニットの着脱作業を効率化することができる。
【0020】
また、上記課題を解決するため、本発明のセンサ較正方法は、前記無人航空機から取り外された状態の前記着脱式ユニットを、手動で回転させ、または手動で所定の姿勢に保つことにより、前記電子コンパスおよび/または前記慣性計測装置を較正する手順を含むことを特徴とする。
【0021】
無人航空機への装着前にセンサ類の較正を行うことにより、例えば大型の無人航空機のセンサ類を較正する場合でも、必要最小限の部品のみでこれを行うことができる。これにより、センサ類の較正作業を効率化することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明にかかる着脱式ユニット、およびこれを用いたセンサ較正方法によれば、無人航空機が備えるセンサ類の較正作業を効率化することが可能となり、また、無人航空機の制御機能のユニット化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】着脱式ユニットが装着されたマルチコプターの外観を示す斜視図である。
【
図3】マルチコプターの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔構成概要〕
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の着脱式ユニット100が装着されたマルチコプターMの外観を示す斜視図である。
図2は着脱式ユニット100の外観を示す斜視図である。
【0025】
マルチコプターMは、回転翼である6基のロータRを有する無人航空機である。着脱式ユニット100は、マルチコプターMの機体である本体部200に着脱自在なケース体101(ベース部)を備えており、本実施形態では本体部200の上部に装着されている。着脱式ユニット100を本体部200に装着する方法は特に限定されず、着脱式ユニット100を本体部200にガタつきなく固定することができ、かつ取り外しが可能であることを条件として、任意の装着手段を用いることができる。また、本体部200に対する着脱式ユニット100の装着位置も本体部200の上部には限定されず、本体部200の下部や側部など、着脱式ユニット100を固定可能な部位であれば本体部200のどこに装着してもよい。
【0026】
着脱式ユニット100のケース体101には、後述する種々の電子装置が収容されており、これらはケース体101の内部に固定されている。また、
図2に示すように、ケース体101の外部にはこれら電子装置の一部であるGNSS受信器160が固定されている。なお、本発明でいう「電子装置」とは、電子技術を利用した装置全般を意味している。
【0027】
ケース体101の外部にはさらに、着脱式ユニット100に収容された各電子装置と、本体部200に搭載された機器とを電気的に接続する端子部170が露出している。端子部170は、着脱式ユニット100の各電子装置の信号線がまとめられたコネクタである一の信号線コネクタ171と、これら各電子装置の電力線がまとめられたコネクタである一の電力線コネクタ172と、により構成されている。本体部200側には、これら端子部170に対応するコネクタである信号線コネクタ271および電力線コネクタ272が設けられている。本実施形態の着脱式ユニット100は、その複数の信号線および電力線をそれぞれ一つのコネクタ171,172で本体部200に接続可能であることにより、本体部200に対する着脱作業が効率化されている。
【0028】
なお、着脱式ユニット100に収容された各電子装置を本体部200側の機器に接続する方法は、本実施形態のコネクタ171,172を用いた方法には限られない。例えば、着脱式ユニット100および本体部200間の信号の送受信に近距離無線通信手段を用いることにより、信号線の接続作業自体を省略することができる。なお、ここでいう「近距離無線通信手段」とは、電波による通信手段のみならず、光による通信手段も含んでいる。なお、信号の送受信に近距離無線通信手段を採用する場合には、通信の遅延により着脱式ユニット100の各電子装置の機能が損なわれないよう、通信速度とデータの信頼性とのバランスを調節する必要がある。
【0029】
また、例えば電磁誘導方式や磁気共鳴方式などの非接触電力伝送手段を用いて、本体部200に搭載された電源から着脱式ユニット100の各電子装置に電力を供給する構成とすることにより、電力線を接続する作業自体を省略することができる。交流磁界は地磁気への影響が少ないため、後述する電子コンパスCの動作に対する影響を除去することは容易である。特に、磁気共鳴方式では高い周波数帯が用いられるため、電磁気の遮断はさらに容易である。
【0030】
〔機能構成〕
図3はマルチコプターMの機能構成を示すブロック図である。マルチコプターMの機能は、主に、フライトコントローラFC、6基のロータR、これらロータRの回転を制御するESC210(Electric Speed Controller)、および、これらに電力を供給するバッテリー290により構成されている。
【0031】
各ロータRは、モータ220と、その出力軸に連結された固定ピッチのプロペラ230とにより構成されている。ESC210は、ロータRのモータ220に接続されており、フライトコントローラFCから指示された速度でモータ220を回転させる。マルチコプターMのロータ数は特に限定されず、求められる飛行安定性や許容されるコスト等に応じて、ロータRが2基のヘリコプター(テールロータをロータRとして含む)から、ロータRが8基のオクタコプター、さらには8基よりも多くのロータRを備えるものまで適宜変更可能である。
【0032】
フライトコントローラFCは、マイクロコントローラである制御装置120を備えている。制御装置120は、中央処理装置であるCPU121、RAMやROM・フラッシュメモリなどの記憶装置であるメモリ122、および、ESC210を介して各モータ220の回転数を制御するPWM(Pulse Width Modulation)コントローラ123を有している。
【0033】
フライトコントローラFCはさらに、慣性計測装置であるIMU130、電子コンパスCを構成する3軸の地磁気センサである磁気センサ140、気圧センサ150、およびGNSS受信器160(以下、これらを総称して「センサ等」ともいう。)を備えており、これらは制御装置120に接続されている。IMU130は主に3軸の加速度センサ131および角速度センサ132により構成されている。GNSS受信器160は、航法衛星システム(NSS:Navigation Satellite System)の受信器である。GNSS受信器160は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)または地域航法衛星システム(RNSS:Regional Navigational Satellite System)から現在の経緯度値および時刻情報を取得する。気圧センサ150は飛行高度を測定する高度センサの一態様である。気圧センサ150は、検出した気圧値を海抜高度またはマルチコプターMの離陸地点からの相対高度に変換することでマルチコプターMの飛行高度を特定する。制御装置120は、これらセンサ等により、機体の傾きや回転のほか、飛行中の経緯度、高度、および機首の方位角を含む自機の位置情報を取得可能とされている。
【0034】
制御装置120のメモリ122には、マルチコプターMの飛行時における姿勢や基本的な飛行動作を制御するプログラムである飛行制御プログラムFCPが記憶されている。飛行制御プログラムFCPは、オペレータ(送信器300)からの指示に従い、センサ等から取得した情報を基に、個々のロータRの回転数を調節し、機体の姿勢や位置の乱れを補正しながらマルチコプターMを飛行させる。
【0035】
マルチコプターMの操縦は、オペレータが送信器300を用いて手動で行うほか、マルチコプターMの飛行経路や速度、高度などのパラメータである飛行計画FPを自律飛行プログラムAPPに予め登録しておき、マルチコプターMを目的地へ自律的に飛行させることも可能である(以下、このような自律飛行のことを「オートパイロット」という。)。
【0036】
本実施形態では、マルチコプターMの本体部200には、ロータR、ESC210、およびバッテリー290のみが搭載されており、着脱式ユニット100側に、フライトコントローラFCを中心とした飛行制御装置の全体が配置されている。これによりマルチコプターMの制御機能のユニット化が図られており、一の機体の制御機能(着脱式ユニット100)を他の機体に付け替えたり、着脱式ユニット100のみを持ち運んでチューニングや機能改修などを行うことが可能とされている。
【0037】
なお、上述のように、本実施形態のマルチコプターMは高度な飛行制御機能を備えているが、本発明の無人航空機は、複数のロータRと本発明の着脱式ユニットを備える機体であればよく、例えば一部のセンサが省略された機体や、オートパイロット機能を備えず手動操縦のみにより飛行可能な機体であってもよい。
【0038】
〔着脱式ユニット〕
本例のマルチコプターMは、電子コンパスCが示す方位を較正するため、飛行前に電子コンパスCの較正作業を行う必要がある。マルチコプターMは比較的大型の機体である。これを本体部200ごと回転させるためには、数人がかりで機体を持ち上げる必要があり、較正作業が大掛かりとなる。本実施形態では、着脱式ユニット100に電子コンパスCを構成する磁気センサ140が収容されている。そのため、脱式ユニット100を本体部200から取り外して脱式ユニット100のみで較正作業を行うことができ、較正作業が効率化されている。このことは、IMU130の較正作業を行う場合も同様である。
【0039】
また、着脱式ユニット100には、電子コンパスCとともにIMU130も収容されている。IMU130に含まれる加速度センサ131および角速度センサ132は、電子コンパスCの較正処理にも利用される。フライトコントローラFCを構成するIMU130を電子コンパスCの較正処理にも利用することにより、較正のための専用の加速度センサや角速度センサを別途設ける必要がなくなり、部品点数を増やすことなく較正処理の精度および効率を向上させることが可能とされている。
【0040】
そして、制御装置120のメモリ122には、較正時における電子コンパスCとIMU130の信号を処理し、電子コンパスCが示す方位を較正するプログラムであるキャリブレーションプログラムCPが記憶されている。さらに、着脱式ユニット100にはバッテリー190も搭載されている。バッテリー190は、着脱式ユニット100に収容された各電子装置に電力を供給可能な電池である。
【0041】
このように、本実施形態の着脱式ユニット100には、電子コンパスCのみならず、電子コンパスCの較正作業に要する周辺装置であるIMU130、制御装置120、およびキャリブレーションプログラムCPなどがまとめられており、さらに、これら各電子装置に電力を供給するバッテリー190が備えられている。これにより、着脱式ユニット100を本体部200から切り離して、着脱式ユニット100単体で電子コンパスCの較正作業を完結させることが可能とされている。なお、本発明でいう「電子コンパスCの較正に要するすべての周辺装置」とは、電子コンパスCの較正作業に使用されるすべてのハードウェアおよびソフトウェアを意味している。
【0042】
〔センサ較正方法〕
本例の電子コンパスCを較正するときには、まず、磁気センサ140を水平に保った状態で着脱式ユニット100を水平回転させ、そして、磁気センサ100の機首側を鉛直下方に向けた状態で着脱式ユニット100を水平回転させる。また、IMU130を較正するときには、IMU130を水平にした状態で一定時間保持し、そして、IMU130の機首側を水平に向けた姿勢、および鉛直に向けた姿勢で着脱式ユニット100を一定時間保持する。なお、電子コンパスCやIMU130の較正作業の手順は本例のものには限られず、各センサの製品仕様やファームウェアの仕様に応じて異なる手順で行ってもよい。
【0043】
上でも述べたように、上記各較正作業は着脱式ユニット100がマルチコプターMから取り外された状態で行われる。これにより大型のマルチコプターMを飛行させるときの電子コンパスCの較正作業や、IMU130の較正作業を必要最小限の部品のみで行うことができ、これらセンサ類の較正作業が効率化される。
【0044】
〔変形例〕
上述のように、本実施形態の着脱式ユニット100には、電子コンパスCと、その較正作業に要する周辺装置、さらに、マルチコプターMの飛行制御機能の全体構成がまとめられており、電子コンパスCの較正作業の効率化と、マルチコプターMの制御機能のユニット化の両方が実現されている。
【0045】
一方、電子コンパスCを構成する磁気センサ140のみが着脱式ユニット100に固定されている場合でも、較正作業の効率化は可能である。また、磁気センサ140が固定されるベース部の形態もケース体101には限定されず、ベース部は、磁気センサが固定可能であることを条件として、例えば本体部200に設けられたスロットに抜き差しされる小型のボード体などであってもよい。また、電子コンパスCを構成する磁気センサ140も3軸地磁気センサには限定されず、2軸のものを用いることも考えられる。さらに、本発明の着脱式ユニットは、マルチコプターMのような無人回転翼航空機のみならず、固定翼を備えた無人航空機や、あるいは、推進用の動力源を備えた無人飛行船などに用いることも可能である。