特許第6561280号(P6561280)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6561280
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】スロットマシン
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
   A63F5/04 620
【請求項の数】2
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2018-122794(P2018-122794)
(22)【出願日】2018年6月28日
【審査請求日】2018年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000169477
【氏名又は名称】株式会社コナミアミューズメント
(72)【発明者】
【氏名】森部 友一
【審査官】 鶴岡 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−000796(JP,A)
【文献】 特開2017−205281(JP,A)
【文献】 特開2018−000661(JP,A)
【文献】 特開2017−051343(JP,A)
【文献】 特開2017−070639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム開始操作に応じて、リプレイ役を含む複数種類の役の当否を決定する内部抽選処理を実行する内部抽選手段と、
前記内部抽選処理の後、複数の表示列を変動させて各表示列の図柄を可変表示させる可変表示手段と、
前記複数の表示列の各々に対応して設けられ、対応する表示列の変動の停止を指示する複数の停止操作手段と、
各停止操作手段に対する停止指示操作と、前記内部抽選処理の結果とに応じて、対応する表示列の変動を停止させる停止制御手段と、
前記内部抽選処理の結果が、前記複数の停止操作手段に対する停止指示操作の順番によって有利不利が生じる結果となったゲームにおいて、遊技者にとって有利な停止指示操作の順番を指示する指示手段と、
前記内部抽選処理おける前記リプレイ役の抽選態様が互いに異なる複数種類のRT状態間で、RT状態を遷移させるRT状態遷移手段と、
前記指示手段が作動しない非有利状態中に、開始条件を満たしたことを条件に、前記指示手段の作動が可能な有利状態を開始する有利状態開始手段と、
一連の前記有利状態中を通じて計数される計数結果が上限値に至った場合に、当該有利状態を強制的に終了して前記非有利状態に転落させるリミット手段と、を備え、
前記複数種類のRT状態の中に、開始後の実行ゲーム数が規定ゲーム数に至ったゲームで終了する有限RT状態を含む、スロットマシンにおいて、
前記有利状態には、持ち球が増加するように前記指示手段の作動頻度が設定された特定期間を含み、
前記特定期間に係る実行権を未だ獲得していない状態において、該実行権を付与して前記特定期間を開始するか否かを決定する特定期間開始決定手段と、
前記特定期間中に前記有限RT状態へ移行したことに応じて、前記実行権を消費するとともに、当該有限RT状態の終了後に、前記実行権が残っていることを条件に、前記特定期間を継続する一方、前記実行権が残っていない場合には、前記特定期間を終了する特定期間継続/終了手段と、
前記特定期間中に、前記実行権の上乗せ処理を行う実行権上乗せ手段と、
前記特定期間中且つ前記有限RT状態中に、現時の前記計数結果、前記上限値、及び獲得済の前記実行権の数に基づき、当該実行権の数を全て消費して前記特定期間を継続させたと仮定した場合に前記リミット手段が作動すると判断したことを条件に、前記有利状態を強制的に終了して前記非有利状態に転落させる特定期間強制終了手段と、を備え、
前記特定期間開始決定手段は、前記有限RT状態に滞在中の場合には、他のRT状態に滞在中に比べて、高確率で前記特定期間を開始すると決定し、
前記実行権上乗せ手段は、
前記有限RT状態滞在中に前記特定期間開始決定手段によって開始された前記特定期間であって、前記有限RT状態が終了するまでの上乗せ特化ゾーンにおいては、当該上乗せ特化ゾーンでないときよりも高い期待値で前記実行権の上乗せを実行する、ことを特徴とするスロットマシン。
【請求項2】
前記特定期間強制終了手段は、
前記有限RT状態中の実行ゲーム数または前記有限RT状態が終了するまでの残りゲーム数と、前記実行権上乗せ手段による前記上乗せ特化ゾーン中の前記実行権に係る上乗せ期待値とに基づき、当該ゲームで前記特定期間を強制的に終了して前記非有利状態に転落させたと仮定した場合に、前記非有利状態への転落、及び前記特定期間への復帰を経て開始されることとなる前記上乗せ特化ゾーンにて、前記実行権上乗せ手段により上乗せされる実行権の期待値を推定し、当該期待値が前記獲得済の前記実行権の数に相当すると判断したタイミングにて、前記有利状態を強制的に終了して前記非有利状態に転落させる、請求項1に記載のスロットマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンにおけるメダル増加期間として、従来、ボーナスゲームと、アシストリプレイタイム(以下、ARTという)とが知られている。具体的に、ART中には、内部当選した役のうち、相対的に有利な役の入賞に必要な情報が遊技者に指示される。以下、この機能を指示機能ともいう。
【0003】
メダル増加期間のうち、ボーナスゲームは、ボーナス役に内部当選した後のボーナス役の入賞に基づき開始される。遊技機関連規則上、ボーナスゲームは、ボーナスゲーム中に獲得したメダルの枚数が上限値を超えた場合に終了するものと規定されている。
また、遊技機関連規則には、単位時間あたりに獲得したメダル枚数中、ボーナスゲームを通じて獲得したメダル枚数の比率(以下、役物比率という)に上限も設けられているため、ボーナス役の内部当選確率や前記上限値は、前記役物比率を考慮して設定する必要がある。このため、ボーナスゲームが長期間継続することはない。
【0004】
一方、遊技機関連規則に、ART中に獲得したメダル枚数に係る終了条件の規定はなく、ART中に獲得したメダル枚数は、ボーナスゲームを通じて獲得したものではないため、役物比率の上昇に影響を与えないという、射倖性を高める上でのメリットがあった。このため、近年は、メダル増加期間として、ボーナスゲームよりもARTを重視したゲーム性を有するスロットマシン(以下、ART機という)が一般的であった(特許文献1参照)。
【0005】
他方、「のめりこみ」問題の対策として、従来から適度な射倖性を有する遊技機が求められており、現在、遊技機業界では、ART等で用いられている、上述の指示機能が有効となる期間(以下、有利期間という)が一定以上継続した場合に、当該有利期間を強制的に終了させるリミッタ機能の導入が検討されている。当該リミッタ機能は、具体的には、一連の有利期間の継続ゲーム数、または一連の有利期間中に獲得したメダル枚数が予め定めたリミット値を超えた場合に、当該有利期間を強制的に終了させるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−23648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述のリミッタ機能を搭載したスロットマシンにおいて、リミッタ機能の作動時に、ARTを継続可能な権利数(残りゲーム数/セット数等)が残っていた場合には、遊技者に喪失感を与えてしまうことになるため、前記権利数を残してリミッタが作動することが事前に判明した時点で、前記権利数を表記しない特殊な演出モード(以下、エンディングモードという)に移行させるのが一般的である。この手法は、リミッタ作動時の遊技者の喪失感を低減させるための、言わば誤魔化しの手法に過ぎない問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、リミッタ作動によって遊技者が喪失することとなる権利数を、非有利期間を介して新たに開始される有利期間に引き継ぐことが出来るスロットマシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、本発明について説明する。なお、発明の理解を容易にするため、添付図面の参照符号等を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が表示の形態に限定されるものではない。
本発明のスロットマシン(1)は、
ゲーム開始操作に応じて、リプレイ役(RP1〜RP12)を含む複数種類の役の当否を決定する内部抽選処理を実行する内部抽選手段と、
前記内部抽選処理の後、複数の表示列(4L、4C、4R)を変動させて各表示列の図柄を可変表示させる可変表示手段と、
前記複数の表示列(4L、4C、4R)の各々に対応して設けられ、対応する表示列の変動の停止を指示する複数の停止操作手段(20L、20C、20R)と、
各停止操作手段(20L、20C、20R)に対する停止指示操作と、前記内部抽選処理の結果とに応じて、対応する表示列(4L、4C、4R)の変動を停止させる停止制御手段と、
前記内部抽選処理の結果が、前記複数の停止操作手段(20L、20C、20R)に対する停止指示操作の順番によって有利不利が生じる結果となったゲームにおいて、遊技者にとって有利な停止指示操作の順番を指示する指示手段と、
前記内部抽選処理おける前記リプレイ役の抽選態様が互いに異なる複数種類のRT状態(RT1〜RT3)間で、RT状態を遷移させるRT状態遷移手段と、
前記指示手段が作動しない非有利状態中に、開始条件を満たしたことを条件に、前記指示手段の作動が可能な有利状態を開始する有利状態開始手段と、
一連の前記有利状態中を通じて計数される計数結果が上限値に至った場合に、当該有利状態を強制的に終了して前記非有利状態に転落させるリミット手段と、を備え、
前記複数種類のRT状態の中に、開始後の実行ゲーム数が規定ゲーム数に至ったゲームで終了する有限RT状態(RT2)を含む。
【0010】
前記有利状態には、持ち球が増加するように前記指示手段の作動頻度が設定された特定期間(ART準備状態及びARTセット中)を含み、
前記特定期間に係る実行権(ARTセット数)を未だ獲得していない状態において、該実行権を付与して初回の前記特定期間を開始するか否かを決定する特定期間開始決定手段と、
前記特定期間中に前記有限RT状態(RT2)へ移行したことに応じて、前記実行権を消費するとともに、当該有限RT状態(RT2)の終了後に、前記実行権が残っていることを条件に、前記特定期間を継続する一方、前記実行権が残っていない場合には、前記特定期間を終了する特定期間継続/終了手段と、
前記特定期間中に、前記実行権の上乗せ処理を行う実行権上乗せ手段と、
前記特定期間中且つ前記有限RT状態(RT2)中に、現時の前記計数結果、前記上限値、及び獲得済の前記実行権の数に基づき、当該実行権の数を全て消費して前記特定期間を継続させたと仮定した場合に前記リミット手段が作動すると判断したことを条件に、前記有利状態を強制的に終了して前記非有利状態に転落させる特定期間強制終了手段と、を備え、
前記特定期間開始決定手段は、前記有限RT状態(RT2)に滞在中の場合には、他のRT状態に滞在中に比べて、高確率で前記特定期間を開始すると決定し、
前記実行権上乗せ手段は、
前記有限RT状態(RT2)滞在中に前記特定期間開始決定手段によって開始された前記特定期間であって、前記有限RT状態(RT2)が終了するまでの上乗せ特化ゾーンにおいては、当該上乗せ特化ゾーンでないときよりも高い期待値で前記実行権の上乗せを実行する、ことを特徴としている。
【0011】
具体的構成において、前記特定期間強制終了手段は、
前記有限RT状態(RT2)中の実行ゲーム数または前記有限RT状態(RT)が終了するまでの残りゲーム数と、前記実行権上乗せ手段による前記上乗せ特化ゾーン中の前記実行権に係る上乗せ期待値とに基づき、当該ゲームで前記特定期間を強制的に終了して前記非有利状態に転落させたと仮定した場合に、前記非有利状態への転落、及び前記特定期間への復帰を経て開始されることとなる前記上乗せ特化ゾーンにて、前記実行権上乗せ手段により上乗せされる実行権の期待値を推定し、当該期待値が前記獲得済の前記実行権の数に相当すると判断したタイミングにて、前記有利状態を強制的に終了して前記非有利状態に転落させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のスロットマシンによれば、リミッタ作動によって遊技者が喪失することとなる権利数を、非有利期間を介して新たに開始される有利期間に引き継ぐことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明を適用したスロットマシン1の外観を示す斜視図である。
図2】スロットマシン1の兼用表示器の拡大図である。
図3】スロットマシン1の電気的構成を示すブロック図である。
図4】左リール、中リールおよび右リールの各周面(リール帯)に描かれている図柄の配列を示す図である。
図5】図柄停止位置および有効ラインについて説明するための図である。
図6】スロットマシン1において、内部抽選処理の対象となる抽選区分に含まれる抽選グループを説明する表である。
図7】スロットマシン1において、異なる内部抽選処理が行われる各RT状態間の遷移を示す図である。
図8】スロットマシン1において、内部抽選処理での抽選値が、複数のRT間で共通する抽選区分について、その抽選値を設定値ごとに示した表である。
図9】スロットマシン1において、内部抽選処理での抽選値が、複数のRT間で異なる抽選区分について、その抽選値を設定値ごとに示した表である。
図10】スロットマシン1において、非有利状態及び有利状態間の遷移を示す図である。
図11】スロットマシン1の非有利状態中処理の流れを示すフローチャートである。
図12】スロットマシン1の有利状態移行抽選処理の内容を示す図である。
図13】スロットマシン1のCZ状態中処理の流れを示すフローチャートである。
図14】スロットマシン1のART開始抽選処理の内容を示す図である。
図15】スロットマシン1のART準備状態中処理の流れを示すフローチャートである。
図16】スロットマシン1のARTセット中処理の流れを示すフローチャートである。
図17】スロットマシン1のセット上乗せ抽選処理の内容を示す図である。
図18】スロットマシン1の有利状態強制終了処理の流れを示すフローチャートである。
図19】スロットマシン1において、ARTセット中に有利状態強制終了処理が実行される一例をRT2中のゲーム進行に応じて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るスロットマシン1の斜視図である。
スロットマシン1は、前面が開放された箱型の本体2と、本体2の前面を開閉可能に設けられた前扉3とを備えている。
本体2内には、上下方向の中央部より少し上方の位置に、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rが左右に並べて配置されている。左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rは、ドラム状のリール枠の周面にリール帯を巻着した構成を有しており、リール枠の中心で左右方向に延びる軸を中心に回転可能に設けられている。リール帯には、20個の図柄が周方向に並べて配列されている。
【0015】
前扉3には、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rと対向する位置に、表示パネルユニット5が配置されている。
表示パネルユニット5には、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの周面の一部を視認可能にするためのリール窓6が形成されている。左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの回転中は、リール窓6内に、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの図柄が次々に現れる(図柄の変動表示)。左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rが停止すると、リール窓6内に、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rのそれぞれ3個の図柄、合計9個の図柄が表示される(図柄の停止表示)。
【0016】
また、表示パネルユニット5には、遊技に関する基本的な情報を表示するための各種の表示器が備えられている。この表示器には、たとえば、兼用表示器7、配当数表示器8、3個のベット数表示LED9、リプレイ表示LED10、スタート可否表示LED11およびメダル受付可否表示LED12が含まれる。兼用表示器7および配当数表示器8は、リール窓6の下方において、左右に並べて配置されている。兼用表示器7および配当数表示器8は、それぞれドット付きの2桁の7セグメント表示器を横方向に並べて構成されている。3個のベット数表示LED9は、兼用表示器7の左側において、上下に並べて配置されている。リプレイ表示LED10、スタート可否表示LED11およびメダル受付可否表示LED12は、配当数表示器8の右側において、上下に並べて配置されている。
【0017】
図2は、ドット付きの2桁の7セグメント表示器で構成される兼用表示器7を示している。兼用表示器7の2桁の7セグメント部分は、クレジット数表示器CRと指示モニタNMとで兼用している。また、兼用表示器7のドット部分は、有利区間ランプYLとして利用している。
【0018】
指示モニタNMは、後述する主制御装置31から副制御装置32に対し、左ストップボタン20L、中ストップボタン20C及び右ストップボタン20Rの操作順を指示するコマンドを送信する際に当該コマンドの種別に応じた識別情報を表示する。
有利区間ランプYLは、後述する非有利状態中には消灯状態とされ、有利状態中には点灯状態とされる。
【0019】
図1に戻り、前扉3には、表示パネルユニット5の下方に、操作部13が設けられている。操作部13は、表示パネルユニット5の前面に対して前側に張り出しており、平坦な上面14および前側に緩やかに凸湾曲した前面15を有している。
【0020】
上面14の右端部には、メダル投入口16が設けられている。上面14の左端部には、MAXベットボタン17および1枚ベットボタン18が設けられている。1枚ベットボタン18は、MAXベットボタン17の左側に配置されている。
また、上面14の中央部には、液晶表示装置24にて遊技者介入型の演出が実行された場合に、操作が促される演出ボタンPBが配置されている。
【0021】
前面15には、スタートレバー19、左ストップボタン20L、中ストップボタン20C、右ストップボタン20Rおよび精算ボタン21が設けられている。左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rは、前面15の左右方向の中央部において、左からこの順に並べて配置されている。スタートレバー19は、左ストップボタン20Lの左側に配置されている。精算ボタン21は、スタートレバー19のさらに左側に配置されている。
【0022】
メダル受付可否表示LED12の点灯中は、メダル投入口16からメダルが投入されると、その投入が受け付けられる。メダル受付可否表示LED12の消灯中は、メダル投入口16からメダルが投入されても、その投入が受け付けられず、前扉3の最下部に設けられたメダル排出口22からメダルトレイ23にメダルが排出される。
【0023】
ゲームに供するメダルがベットされていない状態において、メダルの投入が受け付けられると、そのメダルがゲームにベットされ、1個のベット数表示LED9が点灯される。つづいて、メダルがメダル投入口16から投入されると、2枚目のメダルがゲームに追加ベットされ、2個のベット数表示LED9が点灯される。さらに、メダルがメダル投入口16から投入されると、3枚目のメダルがゲームに追加ベットされ、3個のベット数表示LED9が点灯される。スロットマシン1では、1ゲーム(1回のゲーム)に対して規定数(スロットマシン1においては常時3枚)のメダルがベットされると、1ゲームが開始可能となり、スタート可否表示LED11が点灯されるとともに、リール窓6内に設定される所定の入賞ラインが有効化される。規定数のメダルがゲームにベットされている状態で、メダル投入口16からメダルが投入された場合、その投入されたメダルは、50枚を上限として、スロットマシン1にクレジットされる。クレジットされているメダルの枚数は、クレジット数表示器CRに表示される。50枚のメダルがクレジットされている状態で、メダル投入口16からメダルが投入された場合、その投入されたメダルは、メダル排出口22からメダルトレイ23に排出される。
【0024】
規定数以上のメダルがスロットマシン1にクレジットされ、ゲームに対してメダルがベットされていない状態において、MAXベットボタン17が操作されると、そのクレジットされているメダルから規定数のメダルがゲームにベットされ、3個のベット数表示LED9およびスタート可否表示LED11が点灯されるとともに、リール窓6内に設定される所定の入賞ラインが有効化される。また、クレジット数が規定数分だけ減り、クレジット数表示器CRの表示が更新される。1枚ベットボタン18が操作された場合には、クレジットされているメダルから1枚のメダルがゲームにベットされ、1個のベット数表示LED9が点灯されるとともに、クレジット数が1だけ減り、クレジット数表示器CRの表示が更新される。
【0025】
ベットされたメダルは、ゲームの開始とともに消費される。スタートレバー19が操作されると、1ゲームが開始となり、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの順方向の回転が開始される。また、スタート可否表示LED11およびメダル受付可否表示LED12が消灯される。左ストップボタン20L、中ストップボタン20C、右ストップボタン20Rは、それぞれ左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rに対応して設けられている。左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの回転開始後、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rが操作されると、それぞれ左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの回転が停止される。
【0026】
左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rのすべてが停止した時点で、有効化されている入賞ライン(以下、「有効ライン」という。)上に所定の図柄の組合せが並ぶと、その図柄の組合せに応じた処理が行われる。以上で1ゲームが終了となり、すべてのベット数表示LED9が消灯され、メダル受付可否表示LED12が点灯される。
【0027】
たとえば、有効ライン上に小役に係る図柄の組合せが並ぶと、所定の配当数のメダルが配当として付与され、その配当数が配当数表示器8に表示される。配当は、スロットマシン1に50枚を上限としてクレジットされ、50枚を超える分については、メダル排出口22からメダルトレイ23に排出される。配当がクレジットされると、クレジット数が配当数だけ増え、クレジット数表示器CRの表示が更新される。
【0028】
また、有効ライン上にリプレイ役に係る図柄の組合せが並ぶと、メダルのベットなしで次の1ゲームの実行が許可され、リプレイ表示LED10が点灯される。この場合、メダル受付可否表示LED12が消灯されたまま、点灯中のベット数表示LED9が一旦消灯された後に再び点灯されるとともに、スタート可否表示LED11が点灯される。
【0029】
メダル受付可否表示LED12が点灯され、1枚以上のメダルがクレジットされている状態で、精算ボタン21が操作されると、クレジットされている全メダルがメダル排出口22からメダルトレイ23に排出されて、クレジット数表示器CRの表示が「0」に更新される。
【0030】
また、スロットマシン1には、液晶表示装置24、1対のスピーカ25L,25Rおよび1対のスピーカ26L,26Rが搭載されている。液晶表示装置24は、表示パネルユニット5の上方に配置されている。スピーカ25L,25Rは、液晶表示装置24の左側および右側に分かれて配置されている。スピーカ26L,26Rは、メダル排出口22の左側および右側に分かれて配置されている。遊技(ゲーム)の進行に合わせて、液晶表示装置24に演出画像や各種の情報などが表示され、また、スピーカ25L,25R,26L,26Rから効果音などが出力される。
【0031】
図3は、スロットマシン1の電気的構成を示すブロック図である。
【0032】
スロットマシン1は、ゲームの中枢的な制御を実行する主制御装置31と、ゲームに付随する演出のための制御を実行する副制御装置32と、液晶表示装置24を制御する液晶制御装置33とを備えている。
【0033】
主制御装置31には、CPU41、ROM42、RAM43、入出力ポート44およびデータ送出回路45が備えられている。CPU41、ROM42、RAM43、入出力ポート44およびデータ送出回路45は、バスにより、データを通信可能に接続されている。また、主制御装置31には、CPU41にクロックパルスを与えるクロック発生回路46と、乱数を生成する乱数生成回路47とが備えられている。
【0034】
CPU41は、ROM42に格納されているプログラムを実行し、入出力ポート44から入力される信号に基づいて、入出力ポート44に接続されている各制御対象を制御する。
【0035】
RAM43は、CPU41によるプログラムの実行時のワークエリアとして使用される。
【0036】
入出力ポート(入力ポート)44には、MAXベットボタン17、1枚ベットボタン18、スタートレバー19、左ストップボタン20L、中ストップボタン20C、右ストップボタン20R、精算ボタン21、左リール位置検出センサ51L、中リール位置検出センサ51C、右リール位置検出センサ51R、メダル投入センサ52およびメダル払出センサ53が接続されている。
【0037】
入出力ポート(出力ポート)44には、クレジット数表示器CR/指示モニタNM、有利区間ランプYL、配当数表示器8、ベット数表示LED9、リプレイ表示LED10、スタート可否表示LED11およびメダル受付可否表示LED12が制御対象として接続されている。また、入出力ポート(出力ポート)44には、左リール4Lを回転駆動する左リール駆動モータ61L、中リール4Cを回転駆動する中リール駆動モータ61C、右リール4Rを回転駆動する右リール駆動モータ61R、メダル投入口16から投入されるメダルの受付/拒否を切り替えるためのメダルブロックソレノイド62および本体2内に設けられたメダル貯留部(図示せず)からメダルを払い出すためのメダル払出駆動モータ63が制御対象として接続されている。
【0038】
MAXベットボタン17、1枚ベットボタン18、スタートレバー19、左ストップボタン20L、中ストップボタン20C、右ストップボタン20Rおよび精算ボタン21が操作されると、それらの個々に設けられたスイッチまたはセンサから信号が出力され、その信号が入出力ポート44を介してCPU41に入力される。また、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rが1回転する度に、それぞれ左リール位置検出センサ51L、中リール位置検出センサ51Cおよび右リール位置検出センサ51Rから信号が出力され、その信号が入出力ポート44を介してCPU41に入力される。メダル投入口16からメダルが1枚投入される度に、メダル投入センサ52から検出信号が出力され、その検出信号が入出力ポート44を介してCPU41に入力される。メダル払出駆動モータ63が駆動されて、メダル貯留部からメダルが払い出される度に、メダル払出センサ53から信号が出力され、その信号が入出力ポート44を介してCPU41に入力される。
【0039】
左リール駆動モータ61L、中リール駆動モータ61Cおよび右リール駆動モータ61Rには、ステッピングモータが採用されている。規定数のメダルがゲームにベットされた後、スタートレバー19が操作されると、CPU41は、左リール駆動モータ61L、中リール駆動モータ61Cおよび右リール駆動モータ61Rに駆動パルス信号を入力し、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの回転を開始させる。CPU41は、左リール位置検出センサ51L、中リール位置検出センサ51Cおよび右リール位置検出センサ51Rの出力信号ならびに左リール駆動モータ61L、中リール駆動モータ61Cおよび右リール駆動モータ61Rへの駆動パルス信号の出力数に基づいて、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの回転位置を常に把握している。
【0040】
また、スタートレバー19が操作されると、CPU41は、内部抽選を実行する。具体的には、CPU41は、スタートレバー19が操作されたタイミングで、乱数生成回路47から乱数を取得する。そして、CPU41は、ROM42に格納されている抽選テーブルを参照する。抽選テーブルでは、乱数生成回路47が生成する乱数の範囲(たとえば、0〜65535)が複数の抽選区分に分けられ、抽選区分の個々に1以上の役が対応づけられている。CPU41は、乱数生成回路47から取得した乱数が属する抽選区分に対応づけられた役を当選役として決定する。また、CPU41は、乱数生成回路47から取得した乱数がどの抽選区分にも属さない場合には、内部抽選の結果を不当選(純ハズレ)と決定する。
【0041】
その後、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの回転速度が一定になると、CPU41は、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rを有効化する。そして、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rが操作されると、CPU41は、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rが操作されたタイミングと内部抽選の結果とに基づいて、左リール駆動モータ61L、中リール駆動モータ61Cおよび右リール駆動モータ61Rへの駆動パルス信号の出力を停止し、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの停止を制御する。このとき、左ストップボタン20Lが押操作されたタイミングでの左リール4Lの回転位置を基準として、所定コマ数分の図柄が移動する引込範囲内で左リール4Lの回転が停止される(引込制御)。中リール4Cおよび右リール4Rについても同様である。
【0042】
そして、CPU41は、有効ライン上に内部抽選での当選役に対応した図柄の組合せが並んでいるか否かを判定する。有効ライン上に当選役に対応した図柄の組合せが並んでいれば、CPU41は、その当選役に入賞と判定し、当選役に応じた処理を実行する。
【0043】
また、CPU41は、データ送出回路45を介して、副制御装置32に各種データを送出する。各種データには、ゲーム開始の条件が成立したことを表すベット信号、スタートレバー19が操作されたことを表すレバーオン信号、左ストップボタン20Lが操作されたことを表す左停止信号、中ストップボタン20Cが操作されたことを表す中停止信号、右ストップボタン20Rが操作されたことを表す右停止信号、内部抽選やAT抽選の結果に係るデータ、及び左ストップボタン20L、中ストップボタン20C及び右ストップボタン20Rの操作順を指示する指示データなどが含まれる。
【0044】
なお、スロットマシン1では、1〜6までの6段階の設定値から1の設定値を選択することで、スロットマシン1の払出率の高低を設定することが出来るようになっている。なお、設定値が大きいほど、払出率が高くなる。
図示は省略するが、入出力ポート(出力ポート)44には、本体2内に設けられ、設定値の選択(変更)時に操作する設定変更スイッチ及び設定変更ボタンが接続されている。設定変更スイッチは、設定キーを差し込んで時計回りに回転させることでオンとなるキースイッチ、設定変更ボタンはプッシュボタンにより構成している。
【0045】
設定値の選択(変更)時には、まず、前扉3を開放した状態で、設定変更スイッチに設定キーを差し込んで時計回りに回転させ、スロットマシン1の動作モードを設定変更モードに変更する。設定変更モードへ移行すると、兼用表示器7に、現在の設定値が表示される。また、設定変更モードにて、設定変更ボタンを1回押すごとに、兼用表示器7に表示されている設定値が1〜5の場合には1インクリメントされるとともに、6の場合には1に戻るようになっている。このように、兼用表示器7に表示される設定値を確認しつつ、設定変更ボタンを操作することで、所望の設定値の選択が可能となっている。所望の設定値が兼用表示器7に表示された状態で、スタートレバー19を操作することで、設定値の選択(変更)が完了する。そして、設定変更スイッチに差し込んだ設定キーを反時計回りに回転させて、動作モードを通常(ゲーム)モードに復帰させ、設定変更スイッチから、設定キーを抜き取ることで設定選択(変更)作業が完了する。
【0046】
副制御装置32には、データ入力回路71が備えられている。データ入力回路71は、主制御装置31のデータ送出回路45とデータを通信可能に接続されている。データ送出回路45とデータ入力回路71との間では、データ送出回路45からデータ入力回路71への一方向に通信が行われ、データ入力回路71からデータ送出回路45への通信は行われない。
【0047】
また、副制御装置32には、CPU72、ROM73、RAM74、サウンドプロセッサ75、入出力ポート76およびデータ入出力回路77が備えられている。データ入力回路71、CPU72、ROM73、RAM74、サウンドプロセッサ75、入出力ポート76およびデータ入出力回路77は、バスにより、データを通信可能に接続されている。さらに、副制御装置32は、CPU72にクロックパルスを与えるクロック発生回路78が備えるとともに、CPU72に操作信号を出力する演出ボタンPBが接続されている。
【0048】
CPU72は、ROM73に格納されているプログラムを実行し、データ入力回路71データ入出力回路77、及び演出ボタンPBから入力される信号に基づいて、サウンドプロセッサ75にデータ(コマンド)を送信し、入出力ポート76に接続されている各制御対象を制御する。制御対象には、スロットマシン1の各部の照明のためのLED79およびバックライト80などが含まれる。また、CPU72は、データ入出力回路77を介して、液晶制御装置33に液晶表示装置24の制御に必要なデータを送出する。
【0049】
RAM74は、CPU41によるプログラムの実行時のワークエリアとして使用される。
【0050】
サウンドプロセッサ75は、CPU72から与えられるデータに基づいて、スピーカ25L,25R,26L,26Rからの効果音や音声の出力を制御する。
【0051】
液晶制御装置33には、データ入出力回路81が備えられている。データ入出力回路81は、副制御装置32のデータ入出力回路77とデータを通信可能に接続されている。データ入出力回路77とデータ入出力回路81との間では、双方向に通信が行われる。
【0052】
また、液晶制御装置33には、CPU82、ROM83、RAM84および駆動回路85が備えられている。データ入出力回路81、CPU82、ROM83、RAM84および駆動回路85は、バスにより、データを通信可能に接続されている。さらに、液晶制御装置33には、CPU82にクロックパルスを与えるクロック発生回路86が備えられている。
【0053】
CPU82は、ROM83に格納されているプログラムを実行し、データ入出力回路81から入力される信号に基づいて、駆動回路85を介して、液晶表示装置24を制御する。また、CPU82は、データ入出力回路81を介して、副制御装置32にスピーカ25L,25R,26L,26Rからの効果音や音声の出力制御などに必要なデータを送出する。
【0054】
また、スロットマシン1には、貸出機中継基板91が備えられている。主制御装置31とスロットマシン1に隣接して設けられるメダル貸出機(図示せず)の制御基板とは、貸出機中継基板91を介して通信可能に接続されている。
【0055】
図4は、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの各周面(リール帯)に描かれている図柄の配列を示す図である。
【0056】
左リール4Lの周面には、「スイカA」、「リプレイ」、「白7」、「コイン」、「リプレイ」、「スイカA」、「チェリーA」、「バー」、「コイン」、「リプレイ」、「スイカB」、「白7」、「コイン」、「リプレイ」、「コイン」、「スイカA」、「リプレイ」、「赤7」、「カボチャ」、および「コイン」の20個の図柄が左リール4Lの回転時にリール窓6内にこの順に現れるように配列されている。
【0057】
中リール4Cの周面には、「コイン」、「バー」、「スイカA」、「チェリーA」、「リプレイ」、「コイン」、「チェリーB」、「スイカA」、「チェリーA」、「リプレイ」、「コイン」、「白7」、「チェリーA」、「チェリーA」、「リプレイ」、「コイン」、「カボチャ」、「赤7」、「チェリーA」、および「リプレイ」の20個の図柄が中リール4Cの回転時にリール窓6内にこの順に現れるように配列されている。
【0058】
右リール4Rの周面には、「コイン」、「チェリーB」、「スイカA」、「リプレイ」、「チェリーA」、「コイン」、「白7」、「スイカB」、「リプレイ」、「チェリーA」、「コイン」、「バー」、「スイカA」、「リプレイ」、「チェリーA」、「コイン」、「カボチャ」、「赤7」、「リプレイ」および「チェリーA」の20個の図柄が右リール4Rの回転時にリール窓6内にこの順に現れるように配列されている。
【0059】
図5は、図柄停止位置PL1,PL2,PL3,PC1,PC2,PC3,PR1,PR2,PR3および有効ラインについて説明するための図である。
【0060】
左リール4Lが停止すると、リール窓6内で上下に並ぶ図柄停止位置PL1,PL2,PL3にそれぞれ1個の図柄が停止する。
【0061】
中リール4Cが停止すると、リール窓6内で上下に並ぶ図柄停止位置PC1,PC2,PC3にそれぞれ1個の図柄が停止する。
【0062】
右リール4Rが停止すると、リール窓6内で上下に並ぶ図柄停止位置PR1,PR2,PR3にそれぞれ1個の図柄が停止する。
【0063】
以下、リール窓6内の上段に横一列に整列する3つの図柄停止位置PL1,PC1,PR1を結ぶラインを上段ラインL2、中段に横一列に整列する3つの図柄停止位置PL2,PC2,PR2を結ぶラインを中段ラインL1、下段に横一列に整列する3つの図柄停止位置PL3,PC3,PR3を結ぶラインを下段ラインL3、右下がりの斜めライン上に整列する3つの図柄停止位置PL1,PC2,PR3を結ぶラインを右下がりラインL4、右上がりの斜めライン上に整列する3つの図柄停止位置PL3,PC2,PR1を結ぶラインを右上がりラインL5という。
スロットマシン1は、中段ラインL1を有効ラインNLとするいわゆる1ライン機である。
【0064】
内部抽選での当選役に対応した図柄の組合せが有効ラインNLに並ぶと、その当選役に入賞となる。内部抽選の抽選対象の役には、ボーナス役、小役、及びリプレイ役を含む。ボーナス役は、当選した場合は入賞するまで当選状態が維持される、所謂持越し役である。これに対し、小役及びリプレイ役は、3つのリール4L,4C,4Rが全て停止して1回のゲームが終了すると、当選状態が消滅する役である。小役は、入賞に伴いメダルが払い出される役、リプレイ役は、入賞に伴い、メダルのベット不要で次ゲームを実行することが出来る役である。
【0065】
図6に、内部抽選処理にて抽選対象とする複数種類の抽選グループを示す。各抽選グループは、少なくとも1つの役(条件装置)を含み、含まれる役の組合せが互いに異なる。
全抽選グループに含まれる役の総数は非常に多く、各抽選グループに含まれる役の組合せも難解であるため、これについての詳細説明は省略し、以下の各抽選グループの説明の中で、含まれる主たる役について説明することにする。
【0066】
抽選グループBB1〜BB4は、ボーナス役に係る抽選グループである。
抽選グループBB1はボーナス役BB1、抽選グループBB2はボーナス役BB2、抽選グループBB3はボーナス役BB3、抽選グループBB4はボーナス役BB4をそれぞれ単独で含む。
ボーナス役BB1〜BB4はそれぞれ、遊技機関連法規上の第1種特別役物に係る役物連続作動装置であり、ボーナス役BB1の入賞図柄組合せは、有効ラインNL上に「白7」図柄が並ぶ組合せ、ボーナス役BB2の入賞図柄組合せは、有効ラインNL上に「赤7」図柄が並ぶ組合せ、ボーナス役BB3の入賞図柄組合せは、有効ラインNL上に左から順に「赤7」「赤7」「バー」図柄が並ぶ組合せ、ボーナス役BB4の入賞図柄組合せは、有効ラインNL上に左から順に「赤7」「赤7」「白7」図柄が並ぶ組合せにそれぞれ設定している。
ボーナス役BB1の入賞後に移行するBB1ゲーム、ボーナス役BB2の入賞後に移行するBB2ゲーム、ボーナス役BB3の入賞後に移行するBB3ゲーム及びボーナス役BB4の入賞後に移行するBB4ゲーム中には、第1種特別役物が連続して作動することになるが、BB1〜BB4ゲームは何れも、第1種特別役物の作動に入賞を必要としない、所謂連続作動タイプの1種BBに設定している。
BB1ゲームはBB1ゲーム中に払出されたメダルの枚数が197枚を超えたゲーム、BB2ゲームはBB2ゲーム中に払出されたメダルの枚数が341枚を超えたゲーム、BB3ゲームはBB3ゲーム中に払出されたメダルの枚数が77枚を超えたゲーム、BB4ゲームはBB4ゲーム中に払出されたメダルの枚数が231枚を超えたゲームでそれぞれ終了する。
【0067】
抽選グループRP1〜RP12は、再遊技役(リプレイ役)に係る抽選グループである。再遊技役は当選したゲームで必ず入賞するため、抽選グループRP1〜RP12の何れかに当選したゲームでは、入賞図柄組合せが異なる複数種類の再遊技役のうち、何れか1つの再遊技役が入賞することになる。
抽選グループRP1は、上段ラインL1及び中段ラインL2の何れかに「リプレイ」図柄が揃う入賞図柄組合せに設定された、複数種類の再遊技役からなる抽選グループである。以下、抽選グループRP1を昇格リプレイともいう。
抽選グループRP2は、右上がりラインL5上に「リプレイ」図柄が揃う入賞図柄組合せに設定された、複数種類の再遊技役からなる抽選グループである。以下、抽選グループRP2を通常リプレイともいう。
【0068】
抽選グループRP3〜RP8の6つの抽選グループは、ストップボタン20L、20C、20Rの操作順によって、入賞する再遊技役に係る抽選グループが異なる、所謂押し順リプレイである。
抽選グループRP3〜RP8の6つの抽選グループはそれぞれ、昇格リプレイRP1に含まれる複数種類の再遊技役と、通常リプレイRP2に含まれる複数種類の再遊技役の双方を含むとともに、その組み合わせが異なり、また、ストップボタン20L、20C、20Rの6通りの操作順のうち、昇格リプレイRP1が入賞することとなる1の操作順である正解押し順が互いに異なる。具体的に、正解押し順は、抽選グループRP3については左→中→右、抽選グループRP4については左→右→中、抽選グループRP5については中→左→右、抽選グループRP6については中→右→左、抽選グループRP7については右→左→中、抽選グループRP8については右→中→左にそれぞれ設定している。一方、正解押し順以外の5通りの操作順(以下、不正解操作順という)でストップボタン20L、20C、20Rを操作した場合には、通常リプレイRP2が入賞する。
以下、抽選グループRP3〜8をそれぞれ、6択リプレイ1〜6ともいう。
【0069】
抽選グループRP9は、有効ラインNL上に左から順に「リプレイ」「コイン」「コイン」図柄が並ぶ入賞図柄組合せに設定された再遊技役(以下、チャンスリプレイという)を含む抽選グループである。以下、抽選グループRP9をチャンスリプレイともいう。
【0070】
抽選グループRP10は、「チェリーA」または「チェリーB」を目押しした場合は、有効ラインNL上に「チェリーA」または「チェリーB」が揃う入賞図柄組合せに設定された、複数種類の再遊技役(以下、中段チェリーリプレイという)と、昇格リプレイRP1とを含む抽選グループである。中段チェリーリプレイを引き込めない場合は、昇格リプレイRP1が入賞することになる。以下、抽選グループRP10を中段チェリーリプレイともいう。
【0071】
抽選グループRP11は、「カボチャ」図柄を目押しした場合に、図4に示す5本のラインL1〜L5の何れかに「カボチャ」図柄が揃う入賞図柄組合せに設定された、複数種類の再遊技役(以下、カボチャ揃いリプレイという)と、通常リプレイRP2とを含む抽選グループである。カボチャ揃いリプレイに含まれる複数種類の再遊技役の何れも引き込めない場合は、通常リプレイRP2が入賞する。以下、抽選グループRP11をカボチャリプレイともいう。
【0072】
抽選グループRP12は、「バー」図柄を目押しした場合に、図4に示す5本のラインL1〜L5の何れかに「バー」図柄が揃う入賞図柄組合せに設定された、複数種類の再遊技役(以下、バー揃いリプレイという)と、通常リプレイRP2とを含む抽選グループである。バー揃いリプレイが引き込めない場合は、通常リプレイRP2が入賞することになる。以下、抽選グループRP12をバーリプレイともいう。
【0073】
抽選グループCN1〜CN8、WM、CH1及びCH2は、小役に係る抽選グループである。
抽選グループCN1及びCN2はそれぞれ、有効ラインNL上に「コイン」図柄が揃う入賞図柄組合せに設定された、配当が7枚の小役(以下、7枚コインという)を含むとともに、当選する小役の組み合わせが互いに異なる。抽選グループCN1及びCN2の当選ゲームでは、ストップボタン20L、20C、20Rの操作順や操作タイミングにかかわらず、7枚コインが入賞する。
以下、抽選グループCN1を共通コイン1、抽選グループCN2を共通コイン2ともいう。
【0074】
抽選グループCN3〜CN8の6つの抽選グループは、ストップボタン20L、20C、20Rの操作順や操作タイミングによって、配当として得られるメダルの枚数が異なる、所謂押し順小役である。
抽選グループCN3〜CN8の6つの抽選グループはそれぞれ、7枚コインと、右上がりラインL4または右下がりラインL5の何れかに「コイン」図柄が揃う入賞図柄組合せに設定された、配当が1枚の複数種類の小役(以下、1枚コインという)とを含み、その組み合わせが互いに異なる。また、ストップボタン20L、20C、20Rの6通りの操作順のうち、7枚コインが入賞することとなる正解押し順が互いに異なる。具体的に、正解押し順は、抽選グループCN3については左→中→右、抽選グループCN4については左→右→中、抽選グループCN5については中→左→右、抽選グループCN6については中→右→左、抽選グループCN7については右→左→中、抽選グループCN8については右→中→左にそれぞれ設定している。一方、不正解操作順でストップボタン20L、20C、20Rを操作した場合には、1枚コインが入賞するか、取り零す。
以下、抽選グループCN3〜8をそれぞれ、6択コイン1〜6ともいう。
【0075】
抽選グループWMは、有効ラインNL上に「スイカA」及び「スイカB」図柄の何れかが並ぶ入賞図柄組合せに設定された、配当が7枚の小役を含む。以下、抽選グループWMをスイカともいう。
【0076】
抽選グループCH1は、右上がりラインL4上に「チェリーA」または「チェリーB」図柄がテンパイするものの揃わない入賞図柄組合せに設定された、配当が2枚の複数種類の小役を含む抽選グループである。
抽選グループCH2は、右上がりラインL4上に「チェリーA」または「チェリーB」図柄が揃う入賞図柄組合せに設定された、配当が2枚の複数種類の小役を含む抽選グループである。
以下、抽選グループCH1を弱チェリー、抽選グループCH2を強チェリーともいう。
【0077】
図7は、スロットマシン1における、遊技状態遷移を示す図である。
RT0は、設定変更後や初期化処理後の初期状態で、BB1〜BB4ゲーム終了後にもRT0へ移行する。RT0では、抽選グループCN3〜CN8(6択コイン1〜6)の何れかに当選したゲームで、7枚コイン及び1枚コインの何れも取り零してコインこぼし目が表示された場合に、次ゲームからRT1へ移行する。
RT1では、抽選グループRP3〜8(6択リプレイ1〜6)の何れかに当選したゲームで、昇格リプレイRP1が入賞した場合は次ゲームからRT2へ移行する。また、RT1では、抽選グループRP3〜8(6択リプレイ1〜6)の何れかに当選したゲームで、通常リプレイRP2が入賞した場合に、次ゲームからRT0へ移行する。
RT2は、RT0及びRT1に比べて、再遊技役の合算当選確率が高い遊技者にとって有利なRT状態で、50ゲームの実行により終了し、次ゲームからRT1へ移行する。
【0078】
また、RT0〜RT2中に、ボーナス役BB1〜BB4を含む抽選区分に当選後、当選したボーナス役BB1〜BB4が入賞するまでのボーナス内部中にはRT3へ移行する。そして、BB1役の入賞に応じてBB1ゲーム、BB2役の入賞に応じてBB2ゲーム、BB3役の入賞に応じてBB3ゲーム、BB4役の入賞に応じてBB4ゲームがそれぞれ開始される。そして、BB1〜BB4ゲーム終了後は、RT0へ移行する。
なお、RT3及びRT2においては、昇格リプレイRP1、通常リプレイRP2及びコインこぼし目の何れが表示された場合であっても、RT状態の遷移は行われない。
詳細については後述するが、指示機能が作動しない非有利状態においては、基本的にRT0及びRT1間を遷移する。一方、指示機能が作動するART準備状態及びARTセット中においては、基本的にRT1及びRT2間を遷移し、RT0またはRT1滞在中には、早期にRT2へ移行させるための指示が行われる。
【0079】
次に、図8及び図9を参照して、スロットマシン1の設定値1〜6における、各RTでの抽選仕様を説明する。
なお、図8及び図9は、各抽選区分の当選範囲に相当する抽選値を示している。なお、内部抽選処理での乱数値の範囲は0〜65535のため、各抽選区分の当選確率は、抽選値/65536により算出できる。
また、再遊技役のみからなる抽選区分を除く抽選区分、即ち小役またはボーナス役を含む抽選区分については、RT0〜RT3で共通のため、先ずこれについて、図8を参照して説明する。
抽選区分BB1は、抽選グループBB1が単独当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず12に設定している。
抽選区分BB2は、抽選グループBB2が単独当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず8に設定している。
抽選区分BB4は、抽選グループBB4が単独当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず8に設定している。
抽選区分CN1は、抽選グループCN1が単独当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず1664に設定している。
抽選区分CN2は、抽選グループCN2が単独当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値が1の場合は4、設定値が2の場合は104、設定値が3の場合は204、設定値が4の場合は404、設定値が5の場合は704、設定値が6の場合は1004に設定している。
抽選区分CN3〜CN8はそれぞれ、抽選グループCN3〜CN8が単独当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず2280に設定している。
【0080】
抽選区分WMは、抽選グループWMが単独当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず550に設定している。
抽選区分WM+BB1は、抽選グループWMと抽選グループBB1とが重複当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず16に設定している。
抽選区分WM+BB2は、抽選グループWMと抽選グループBB2とが重複当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず10に設定している。
抽選区分WM+BB3は、抽選グループWMと抽選グループBB3とが重複当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず60に設定している。
抽選区分WM+BB4は、抽選グループWMと抽選グループBB4とが重複当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず24に設定している。
【0081】
抽選区分CH1は、抽選グループCH1が単独当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず772に設定している。
抽選区分CH1+BB1は、抽選グループCH1と抽選グループBB1とが重複当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず4に設定している。
抽選区分CH1+BB2は、抽選グループCH1と抽選グループBB2とが重複当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値が1の場合は4、設定値が2の場合は8、設定値が3の場合は12、設定値が4の場合は20、設定値が5の場合は24、設定値が6の場合は29に設定している。
抽選区分CH1+BB3は、抽選グループCH1と抽選グループBB3とが重複当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず16に設定している。
抽選区分CH1+BB4は、抽選グループCH1と抽選グループBB4とが重複当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず4に設定している。
【0082】
抽選区分CH2は、抽選グループCH2が単独当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず304に設定している。
抽選区分CH2+BB1は、抽選グループCH2と抽選グループBB1とが重複当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず12に設定している。
抽選区分CH2+BB2は、抽選グループCH2と抽選グループBB2とが重複当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず10に設定している。
抽選区分CH2+BB3は、抽選グループCH2と抽選グループBB3とが重複当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず58に設定している。
抽選区分CH2+BB4は、抽選グループCH2と抽選グループBB4とが重複当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず20に設定している。
【0083】
抽選区分RP1+BB2は、抽選グループRP1と抽選グループBB2とが重複当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値が1の場合は0、設定値が2の場合は4、設定値が3の場合は8、設定値が4の場合は16、設定値が5の場合は20、設定値が6の場合は25に設定している。
抽選区分RP9+BB1は、抽選グループRP9と抽選グループBB1とが重複当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず16に設定している。
抽選区分RP9+BB2は、抽選グループRP9と抽選グループBB2とが重複当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず16に設定している。
抽選区分RP9+BB3は、抽選グループRP9と抽選グループBB3とが重複当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず44に設定している。
抽選区分RP9+BB4は、抽選グループRP9と抽選グループBB4とが重複当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず8に設定している。
抽選区分RP10+BB2は、抽選グループRP10と抽選グループBB2とが重複当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず4に設定している。
【0084】
なお、ボーナス内部中のRT5については、ボーナス役に係る抽選は行えないので、抽選区分BB1、BB2及びBB4については外れ、その他のボーナス役に係る抽選グループと小役または再遊技役に係る抽選グループとが重複当選する抽選区分については、小役または再遊技役に係る抽選グループに単独当選として取り扱う。
【0085】
次に、再遊技役のみからなる抽選区分について、RT0〜RT3ごとに、抽選仕様を説明する。
図9は、再遊技役のみからなる抽選区分について、RT0〜RT3ごとに、各抽選区分の当選範囲に相当する抽選値を示している。
なお、再遊技役のみからなる抽選区分については、設定値に応じた当選確率の差異は設けておらず、設定値にかかわらず抽選値は一定に設定している。
RT0では、抽選区分RP3〜RP9の7つの抽選区分を抽選対象に含む。
抽選区分RP3〜RP8はそれぞれ、抽選グループRP3〜RP8(6択リプレイ1〜6)が単独当選する抽選区分で、その抽選値はそれぞれ、設定値にかかわらず5250に設定している。
抽選区分RP9は、抽選グループRP9(チャンスリプレイ)が単独当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず982に設定している。
【0086】
RT1も、RT0と同様に、抽選区分RP3〜RP9の7つの抽選区分を抽選対象に含む。
抽選区分RP3〜RP8はそれぞれ、抽選グループRP3〜RP8(6択リプレイ1〜6)が単独当選する抽選区分で、その抽選値はそれぞれ、設定値にかかわらず5778に設定している。
抽選区分RP9は、抽選グループRP9(チャンスリプレイ)が単独当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず982に設定している。
【0087】
RT2では、抽選区分RP1、RP2、RP9、RP11、及びRP12の5つの抽選区分を抽選対象に含む。
抽選区分RP1は、抽選グループRP1(昇格リプレイ)が単独当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず27431に設定している。
抽選区分RP2は、抽選グループRP2(通常リプレイ)が単独当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず7860に設定している。
抽選区分RP9は、抽選グループRP9(チャンスリプレイ)が単独当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず982に設定している。
抽選区分RP11は、抽選グループRP11(カボチャリプレイ)が単独当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず324に設定している。
抽選区分RP12は、抽選グループRP12(バーリプレイ)が単独当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず1000に設定している。
【0088】
RT3では、抽選区分RP1、及びRP3〜RP9の8個の抽選区分を抽選対象に含む。
抽選区分RP1は、抽選グループRP1(昇格リプレイ)が単独当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず3072に設定している。
抽選区分RP3〜RP8はそれぞれ、抽選グループRP3〜RP8(6択リプレイ1〜6)が単独当選する抽選区分で、その抽選値はそれぞれ、設定値にかかわらず1279に設定している。
抽選区分RP9は、抽選グループRP9(チャンスリプレイ)が単独当選する抽選区分で、その抽選値は、設定値にかかわらず982に設定している。
【0089】
また、RT状態毎の抽選区分RP1〜RP9、RP11及びRP2の抽選値の合算値は、RT0が8980、RT1が8986、RT2が37597、RT3が11728に設定している。
従って、RT状態毎のリプレイ役の合算当選確率(但し、ボーナス役と重複当選するリプレイ役の当選確率は除く)を、RT0及びRT1では約1/7.3、RT2では約1/1.7、RT3では約1/5.6に設定しているため、ボーナスゲームであるBB1〜BB4ゲーム以外では、RT2が遊技者にとって最も有利なRT状態となる。
なお、本スロットマシン1において、リプレイ役とボーナス役とが同時に当選した場合には、リプレイ役を入賞させるとともに、小役とボーナス役とが同時に当選した場合には、小役の入賞図柄を優先して有効ラインNL上に引込み、小役の入賞図柄が引き込めない場合に、ボーナス役の入賞図柄を有効ライン上に引込む、所謂小役優先引込方式を採用している。
【0090】
ボーナスゲームであるBB1〜BB4ゲームは、基本的に配当が11枚の小役が毎ゲーム入賞し、各ボーナスゲームの終了条件を満たした場合に終了する一般的なボーナスゲームを採用しているため、説明は省略する。
【0091】
次に、図10を参照して、本スロットマシン1の非有利状態及び有利状態について説明する。
本スロットマシン1において、非有利状態は、入賞の獲得を容易にする情報を遊技者に報知する指示機能が作動しない遊技状態である一方、有利状態は、指示機能が作動可能な遊技状態である。換言すれば、非有利状態は、主制御装置31から副制御装置32に対し、入賞の獲得を容易にする指示情報が送信できない(されない)遊技状態である一方、有利状態は、主制御装置31から副制御装置32に対し、指示情報の送信が可能である遊技状態である。
具体的に、非有利状態において、内部抽選の結果、抽選区分RP3〜RP8(6択リプレイ1〜6)に当選したゲーム、及び抽選区分CN3〜8(6択コイン1〜6)に当選したゲームで、正解押し順を識別可能な情報(以下、正解押し順識別情報という)を主制御装置31から副制御装置32に送信しない。正解押し順識別情報には、直接的にストップボタン20L、20C、20Rの操作順を指示する所謂指示情報のほか、当選した抽選区分に係る情報も含む。従って、非有利状態において、副制御装置32は、内部抽選の結果、抽選区分RP3〜RP8(6択リプレイ1〜6)に当選したゲーム、及び抽選区分CN3〜8(6択コイン1〜6)に当選したゲームで、正解押し順を知り得ないので、この報知も行えない。
【0092】
一方、有利状態は、主制御装置31から副制御装置32に対し、正解押し順識別情報の送信が可能となる遊技状態である。主制御装置31は、有利状態下で副制御装置32に対して、正解操作順を指示するコマンドを送信する際には、当該コマンドの種別に応じた識別情報を指示モニタNMに表示する。
本スロットマシン1では、内部抽選の結果、抽選区分RP3〜RP8(6択リプレイ1〜6)に当選したゲーム、及び抽選区分CN3〜8(6択コイン1〜6)に当選したゲームで、正解押し順の報知を行うARTセット状態及びART準備状態と、同ゲームで正解押し順の報知を行わないCZ状態とで、有利状態を構成している。ARTセット状態中及びART準備状態中は持ち球増加区間である一方、CZ状態中は持ち球減少区間となる。
本スロットマシン1において、非有利状態且つRT状態がRT0、RT1、RT3中に有利状態移行抽選に当選すると、CZ状態へ移行する。CZ状態は、基本的に50ゲーム継続し、CZ状態中のARTセット開始抽選に当選すると、ART準備状態を経て、ARTセット状態へ移行する。一方、ARTセット抽選に当選することなくCZ状態が終了した場合には、非有利状態へ移行する。
一方、非有利状態且つ且つRT状態がRT2中に有利状態移行抽選に当選すると、ARTセット状態へ移行する。なお、上述の如く、非有利状態において、RT2に滞在することは略ない。
【0093】
指示機能が有効となるARTセット状態及びART準備状態は、滞在中のRT状態によって区別され、RT2に滞在中がARTセット状態、RT0、RT1またはRT3に滞在中がART準備状態である。
上述の如く、RT2は50ゲームの実行で終了するため、ARTセット状態も1セットあたり50ゲームとなる。1セット消化後、セット数が残っていれば、ART準備状態を経て、次のARTセット状態が開始される一方、セット数が残っていない場合には、非有利状態へ移行する。これが、指示機能が有効化された状態から、非有利状態へ転落する通常の転落ルートである。
また、本スロットマシン1においては、ARTセット状態中、即ちRT2に滞在中に、指示機能が有効化された状態から、非有利状態へ強制的に転落させる第2の転落ルートを有する。
第2の転落ルートを経て非有利状態へ転落した場合、RT状態はRT2であるため、この状態で有利状態移行抽選に当選すると、ARTセット状態に即復帰することになる。
第2の転落ルートの詳細については後述する。
【0094】
次に、非有利状態、RT状態、ART準備状態及びARTセット状態の各状態中における処理の流れについて説明する。
なお、本スロットマシン1において、ボーナス役BB1〜BB4を含む抽選区分に当選時及びボーナス内部中RT3中には、後述する有利状態に関連する各種抽選処理を実行するが、ボーナスゲームBB1〜BB4ゲーム中は、有利状態に関連する各種抽選処理を実行しないこととしている。
このため、以下の説明では、ボーナスゲームBB1〜BB4ゲームについては説明を省略する。
また、指示機能が有効となるARTセット状態及びART準備状態に、ボーナス役BB1〜BB4を含む抽選区分に当選した場合、ボーナス内部中のRT3、ボーナスゲームBB1〜BB4ゲーム、RT0及びRT1を経てRT2へ復帰することとなる。この場合は、セット数の減算を行わないこととしている。
【0095】
1)非有利状態
非有利状態中には、図11に示す如く、先ず、ステップS1101にて内部抽選処理を実行し、次のステップS1102では、内部抽選処理の結果、有利状態移行抽選契機区分に当選したか否かを判断し、ノーと判断した場合にはステップS1101へ戻る。一方、ステップS1102にてイエスと判断した場合には、ステップS1103にて有利状態移行抽選処理を実行する。
【0096】
図12に有利状態移行抽選処理の内容を示す。
図12に示す如く、本スロットマシン1においては、全ての抽選区分を有利状態移行抽選契機区分に設定しており、抽選区分CN1〜CN8及び抽選区分RP1〜RP8当選時の有利状態移行抽選当選確率は50%、これ以外の抽選区分当選時の有利状態移行抽選当選確率は100%にそれぞれ設定している。
また、有利状態移行抽選当選時には、滞在中のRT状態ごとに移行先を設定しており、RT0、RT1、またはRT3に滞在中の場合はCZ状態へ移行させる一方、RT2に滞在中の場合はART状態へ移行させることとしている。CZ状態へ移行させる場合には、ARTセット数はゼロが維持される一方、ART状態へ移行させる場合には、ARTセット数に1をセットする。
非有利状態中の1ゲームあたりの有利状態移行抽選当選期待値は、図8及び9に示した抽選区分毎の抽選値、及び図12に示した抽選区分毎の有利状態移行抽選当選確率から算出でき、約22%に設定している。即ち、非有利状態から有利状態へは平均4〜5ゲーム程度で極めて容易に移行するように設定しているため、遊技中は、略有利状態に滞在するように設定している。
【0097】
図11に戻り、ステップS1104にて、ステップS1103の有利状態移行抽選処理の結果、当選したか否かを判断し、ノーと判断した場合にはステップS1101へ戻る。一方、イエスと判断した場合には、ステップS1105にて、有利状態を開始すべく、有利ゲーム数、IN枚数、及びOUT枚数にそれぞれゼロをセットする。ここで、有利ゲーム数は、有利状態下での実行ゲーム数カウンタ、IN枚数は、有利状態下でのゲーム実行のために投入したメダル枚数カウンタ、OUT枚数は、有利状態下で払出されたメダル枚数カウンタである。
次のステップS1106では、ARTセット数がゼロより大きいか否かを判断し、ノーと判断した場合には、ステップS1107にてCZ状態中処理を開始してリターンする。
一方、ステップS1106にてイエスと判断した場合には、ステップS1108にてRT2に滞在中か否かを判断し、ノーと判断した場合にはステップS1109にてART準備状態中処理を開始してリターンする。
ステップS1108にてイエスと判断した場合には、ステップS1110にて特化ゾーンフラグに1をセットした後、次のステップS1111にて有利状態ランプYLを点灯させ、次のステップS1112にてARTセット中処理を開始してリターンする。ここで、特化ゾーンフラグは、ARTセット中のセット上乗せ抽選処理の種別を判別するためのフラグで、これについては後述する。
【0098】
2)有利状態
本スロットマシン1には、のめり込み防止を目的として、有利状態下での実行ゲーム数が1500ゲームを超えたゲーム、及び有利状態下で払出されたメダル枚数から、有利状態下でゲーム実行のために投入したメダル枚数を差し引いた差枚数が2400枚を超えたゲームで、有利状態を強制的に終了するリミッタ機能を搭載している。上述した有利ゲーム数、IN枚数、OUT枚数は、このリミッタ機能を作動させるか否かの判定に用いる変数で、差枚数は、OUT枚数からIN枚数を差し引くことで算出できる。
【0099】
2−1)CZ状態中処理
CZ状態は、基本的に50ゲームで構成され、CZ状態中には、各ゲームの内部抽選結果に応じて、ART開始抽選処理を実行し、当該抽選処理に当選した場合には、ART準備状態へ移行する。従って、CZ状態は、基本的に、非有利状態から指示機能が有効となるARTセット状態及びART準備状態へ移行する際に経由する中間的な遊技状態である。
基本的に50ゲームであるが、CZ状態中に、ボーナス役BB1〜BB4を含む抽選区分に当選した場合、ボーナスゲームBB1〜BB4ゲーム中は、ART開始抽選処理を実行しないため、CZゲーム数の減算も行わない。このため、ボーナスゲームBB1〜BB4ゲームを介すると、50ゲームよりも長い期間、CZ状態に滞在することになる。
【0100】
図13に示す如く、CZ状態中処理では、先ずステップS1301にて、CZゲーム数に初期値の50をセットする。次のステップS1302では内部抽選処理を実行し、次のステップS1303では、有利ゲーム数に1、IN枚数にベット枚数をそれぞれ加算するとともに、CZゲーム数を1減算する。
次のステップS1304では、内部抽選処理の結果、ART開始抽選契機区分に当選したか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1305にてART開始抽選処理を実行してステップS1306へ移行する一方、ノーと判断した場合には、ステップS1305をスキップしてステップS1306へ移行する。
【0101】
図14にART開始抽選処理の内容を示す。
図14に示す如く、本スロットマシン1においては、ボーナス役BB1〜BB4を含む各抽選区分、抽選区分WM、CH1、CH2及びRP9をART開始抽選契機区分に設定している。
ボーナス役BB1またはBB2を含む各抽選区分当選時のART開始抽選当選確率は50%、ボーナス役BB3またはBB4を含む各抽選区分当選時のART開始抽選当選確率は25%、抽選区分WM当選時のART開始抽選当選確率は6%、抽選区分CH1当選時のART開始抽選当選確率は4%、抽選区分CH2当選時のART開始抽選当選確率は8%、抽選区分RP9当選時のART開始抽選当選確率は3%にそれぞれ設定している。
1ゲームあたりのART開始抽選当選期待値は、図8及び9に示した抽選区分毎の抽選値、及び図14に示した抽選区分毎のART開始抽選当選確率から算出でき、約1/280に設定している。
【0102】
図13に戻り、ステップS1306では、小役またはリプレイが入賞したか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1307にて、OUT枚数に払出枚数を加算してステップS1308へ移行する一方、ノーと判断した場合には、ステップS1307をスキップしてステップS1308へ移行する。ステップS1307の処理に関し、厳密に言えば、リプレイ入賞時にメダル払出はないが、リプレイ入賞時にはベット枚数が払出されたものとしてベット枚数を加算する。
次のステップS1308では、リミッタ作動条件を満たしたか否かを判断する。具体的には、有利ゲーム数が1500ゲームに至ったか否か、及びOUT枚数からIN枚数を差し引いた差枚数が2400枚を超えたか否かを判断し、何れかをイエスと判断した場合に、リミッタ作動条件を満たしたと判断する。ステップS1308にてイエスと判断した場合には、有利状態を終了すべく、ステップS1311に移行する。
【0103】
一方、ステップS1308にてノーと判断した場合には、ステップS1309にて、ステップS1304のART開始抽選処理にて当選したか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1313にて有利状態ランプYLを点灯させ、次のステップS1314にてART準備状態中処理を開始してリターンする。
ステップS1309にてノーと判断した場合には、ステップS1310にてCZゲーム数がゼロか否かを判断し、ノーと判断した場合には、ステップS1302に戻り、CZ状態を継続する。
一方、ステップS1310にてイエスと判断した場合には、有利状態を終了すべく、ステップS1311へ移行する。
【0104】
ステップS1311では、有利状態終了処理を実行し、次のステップS1312にて非有利状態中処理を開始してリターンする。
具体的に、有利状態終了処理では、有利状態ランプYLを消灯状態に設定するとともに、主制御装置31のRAM43に記憶された有利状態関連の情報(例えば、有利ゲーム数、CZゲーム数、ARTセット数、特化ゾーンフラグ、IN枚数及びOUT枚数等)をクリアする。
【0105】
2−2)ART準備状態中処理
ART準備状態では、指示機能が有効となり、且つRT0、RT1またはRT3に滞在中であって、RT2へ早期に移行させるための制御を実行する。換言すれば、ART準備状態は、指示機能によって、早期にRT2に移行させるためのゲーム期間である。
図15に示す如く、ART準備状態中処理では、先ずステップS1501にて、特化ゾーンフラグにゼロをセットする。次のステップS1502では、RT2に滞在中か否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1516にてARTセット中処理を開始してリターンする。
【0106】
ステップS1502にてノーと判断した場合には、ステップS1503にて内部抽選処理を実行し、次のステップS1504では、有利ゲーム数に1を加算するとともに、IN枚数にベット枚数を加算する。次のステップS1506では、RT1に滞在中で且つ、押し順小役/リプレイ、具体的には、抽選区分CN3〜CN8(6択コイン1〜6)/抽選区分RP3〜RP8(6択リプレイ1〜6)に当選したか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1506にて、正解押し順を報知してステップS1507へ移行する一方、ノーと判断した場合はステップS1506をスキップして、ステップS1507へ移行する。
ステップS1507では、内部抽選処理の結果、セット上乗せ抽選契機区分に当選したか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1508にてセット上乗せ抽選処理を実行する。セット上乗せ抽選処理の詳細については、後述する。
次のステップS1509では、ステップS1508のセット上乗せ抽選処理に当選したか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1510にてARTセット数に上乗せセット数を加算して、ステップS1511へ移行する。ステップS1507にてノーと判断した場合、及びステップS1509にてノーと判断した場合にも、ステップS1511へ移行する。
【0107】
ステップS1511では、小役またはリプレイが入賞したか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1512にて、OUT枚数に払出枚数を加算してステップS1513へ移行する一方、ノーと判断した場合には、ステップS1512をスキップしてステップS1513へ移行する。
ステップS1513では、リミッタ作動条件を満たしたか否かを判断し、イエスと判断した場合には、有利状態を終了すべくステップS1514に移行する一方、ノーと判断した場合には、ステップS1502に戻り、ART準備状態を継続する。
ステップS1514では、有利状態終了処理を実行し、次のステップS1515にて非有利状態中処理を開始してリターンする。
【0108】
2−3)ARTセット中処理
ARTセット中処理は、指示機能が有効となり、且つRT2に滞在中のゲーム期間に実行される。図7を用いて説明した通り、RT2は、ボーナス役BB1〜BB4を含む抽選区分に当選しない限り、50ゲーム消化で終了する有限RTである。本スロットマシン1では、ART1セットの消化をRT2の完走に設定しているので、ART1セットは基本的に50ゲームとなる。
図16に示す如く、ARTセット中処理では、先ずステップS1601にて、特化ゾーンフラグがゼロか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1602にてRTゲーム数に初期値の50をセットしてステップS1603へ移行する一方、ノーと判断した場合には、ステップS1602をスキップしてステップS1603へ移行する。
特化ゾーンフラグにゼロ以外、具体的には1がセットされるのは、図11に示す非有利状態中処理にて、RT2滞在中に有利状態移行抽選に当選した場合に限られる。従い、特化ゾーンフラグが1の場合には、RT2に滞在中であるため、ステップS1602をスキップする。
【0109】
ステップS1603では内部抽選処理を実行し、次のステップS1604では、RTゲーム数を1減算するとともに、有利ゲーム数に1、IN枚数にベット枚数をそれぞれ加算する。次のステップS1605では、押し順小役、具体的には、抽選区分CN3〜CN8(6択コイン1〜6)に当選したか否かを判断し、イエスと判断した場合にはステップS1606にて正解押し順を報知してステップS1607へ移行する一方、ノーと判断した場合はステップS1606をスキップして、ステップS1607へ移行する。
【0110】
ステップS1607では、内部抽選処理の結果、セット上乗せ抽選契機区分に当選したか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1608にてセット上乗せ抽選処理を実行する。次のステップS1609では、ステップS1608のセット上乗せ抽選処理に当選したか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1610にてARTセット数に上乗せセット数を加算して、ステップS1611へ移行する。ステップS1607にてノーと判断した場合、及びステップS1609にてノーと判断した場合にも、ステップS1611へ移行する。
【0111】
図17にセット上乗せ抽選処理の内容を示す。
図17に示す如く、本スロットマシン1においては、特化ゾーンフラグの値が0か1に応じて、セット上乗せ抽選処理の内容を異なるものとしている。
先ず、特化ゾーンフラグの値が0の場合の、通常のセット上乗せ抽選処理について説明する。
通常のセット上乗せ抽選処理では、ボーナス役BB1〜BB4を含む各抽選区分、抽選区分WM、CH1、CH2、RP9、RP11及RP12をセット上乗せ抽選契機区分に設定している。
ボーナス役BB1またはBB2を含む各抽選区分当選時のセット上乗せ抽選当選確率は50%、セット上乗せ抽選当選時の上乗せセット数期待値は2セットに設定している。
ボーナス役BB3またはBB4を含む各抽選区分当選時のセット上乗せ抽選当選確率は25%、セット上乗せ抽選当選時の上乗せセット数期待値は1セットに設定している。
抽選区分WM当選時のセット上乗せ抽選当選確率は6%、セット上乗せ抽選当選時の上乗せセット数期待値は1セットに設定している。
抽選区分CH1当選時のセット上乗せ抽選当選確率は4%、セット上乗せ抽選当選時の上乗せセット数期待値は1セットに設定している。
抽選区分CH2当選時のセット上乗せ抽選当選確率は8%、セット上乗せ抽選当選時の上乗せセット数期待値は1セットに設定している。
抽選区分RP9当選時のセット上乗せ抽選当選確率は3%、セット上乗せ抽選当選時の上乗せセット数期待値は1セットに設定している。
抽選区分RP11当選時のセット上乗せ抽選当選確率は100%、セット上乗せ抽選当選時の上乗せセット数期待値は1セットに設定している。
抽選区分RP12当選時のセット上乗せ抽選当選確率は10%、セット上乗せ抽選当選時の上乗せセット数期待値は1セットに設定している。
【0112】
次に、特化ゾーンフラグの値が1の場合の、上乗せ特化ゾーン中のセット上乗せ抽選処理について説明する。上述の如く、特化ゾーンフラグに1がセットされるのは、図11に示す非有利状態中処理にて、RT2滞在中に有利状態移行抽選に当選した場合に限られるので、上乗せ特化ゾーンはこの場合に限られ、RT2の終了とともに終了する。
上乗せ特化ゾーン中のセット上乗せ抽選処理では、RT2中に当選することがある全ての抽選区分をセット上乗せ抽選契機区分に設定している。
ボーナス役BB1またはBB2を含む各抽選区分当選時のセット上乗せ抽選当選確率は100%、セット上乗せ抽選当選時の上乗せセット数期待値は4セットに設定している。
ボーナス役BB3またはBB4を含む各抽選区分当選時のセット上乗せ抽選当選確率は100%、セット上乗せ抽選当選時の上乗せセット数期待値は1.5セットに設定している。
抽選区分WM当選時のセット上乗せ抽選当選確率は100%、セット上乗せ抽選当選時の上乗せセット数期待値は1.5セットに設定している。
抽選区分CH1当選時のセット上乗せ抽選当選確率は100%、セット上乗せ抽選当選時の上乗せセット数期待値は1.5セットに設定している。
抽選区分CH2当選時のセット上乗せ抽選当選確率は100%、セット上乗せ抽選当選時の上乗せセット数期待値は1.5セットに設定している。
抽選区分RP9当選時のセット上乗せ抽選当選確率は100%、セット上乗せ抽選当選時の上乗せセット数期待値は1.5セットに設定している。
抽選区分RP11当選時のセット上乗せ抽選当選確率は100%、セット上乗せ抽選当選時の上乗せセット数期待値は2セットに設定している。
抽選区分RP12当選時のセット上乗せ抽選当選確率は100%、セット上乗せ抽選当選時の上乗せセット数期待値は1.5セットに設定している。
抽選区分CN1〜CN8当選時のセット上乗せ抽選当選確率は50%、セット上乗せ抽選当選時の上乗せセット数期待値は1セットに設定している。
抽選区分RP1〜RP2当選時のセット上乗せ抽選当選確率は50%、セット上乗せ抽選当選時の上乗せセット数期待値は1セットに設定している。
上乗せ特化ゾーン中の1ゲームあたりの上乗せセット数期待値は、図8及び9に示した抽選区分毎の抽選値、及び図17に示した抽選区分毎のセット上乗せ抽選当選確率及びセット上乗せ抽選当選時の上乗せセット数期待値から算出でき、約0.5セット/ゲームに設定している。
従って、上乗せ特化ゾーン中には、通常のセット上乗せ抽選処理が行われるゲーム期間に比べて、極めて高確率でARTセット数の上乗せが行われ、具体的には2ゲームに1セットのARTセット数の上乗せが行われる。
【0113】
図16に戻り、ステップS1611では、小役またはリプレイが入賞したか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1612にて、OUT枚数に払出枚数を加算してステップS1613へ移行する一方、ノーと判断した場合には、ステップS1612をスキップしてステップS1613へ移行する。
ステップS1613では、リミッタ作動条件を満たしたか否かを判断し、イエスと判断した場合には、有利状態を終了すべくステップS1620に移行する一方、ノーと判断した場合には、ステップS1614にて、有利状態強制終了判断処理を実行する。
【0114】
図18に、有利状態強制終了判断処理の流れを示す。
現ARTセット中にリミッタが作動することが確定しており、且つ、ARTセット数を2以上保有している場合には、リミッタ作動により、1以上のARTセット数を喪失してしまうことになる。そこで、有利状態強制終了判断処理では、リミッタ作動により、1以上のARTセット数を喪失してしまうような状況下にある場合に、リミッタ作動前のARTセット中、即ちRT2中に、有利状態を強制的に終了させるか否かを判断する処理を行う。
【0115】
また、ARTセット中、即ちRT2中に、強制的に有利状態を終了させた場合には、非有利状態且つRT2中に移行し、上述した通り、この場合には、平均4〜5ゲームで、再度、有利状態、より具体的にはARTセット中に復帰するとともに、上乗せ特化ゾーンとなる。
そこで、有利状態強制終了判断処理では、非有利状態から復帰した特化ゾーン中に、リミッタ作動により喪失することとなるARTセット数に相当する上乗せセット数が得られるようなタイミングが到来したと判断したときに、有利状態を強制的に終了させると判断する。
【0116】
図18に示す如く、有利状態強制終了判断処理では、先ずステップS1801にて、現時の有利ゲーム数に基づき、リミッタ作動までに消化可能なARTセット数の概算値Aを算出する。1500から有利ゲーム数を減算することにより、リミッタ作動までの残りゲーム数が算出でき、これをARTセット1セットあたりのゲーム数50で除することにより、概算値Aを算出する。
そして、現時のARTセット数から概算値Aを差し引くことで、リミッタ作動により喪失することとなるARTセット数たる喪失セット数を算出する。
【0117】
次のステップS1802では、喪失セット数がゼロより大きいか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1803にて、現時のRTゲーム数に基づき、当該ゲームで有利状態を強制終了した場合に、非有利状態から復帰した特化ゾーンでのセット上乗せ期待値を算出する。
ここで、特化ゾーンのゲーム数は、現時のRTゲーム数から、非有利状態を経て特化ゾーンに復帰するまでに要する平均ゲーム数(上述の通り、本スロットマシン1では、平均4〜5ゲームで復帰するため、5ゲームとしている)を差し引くことで算出でき、これに特化ゾーン中の1ゲームあたりのセット上乗せ数期待値(上述の通り、本スロットマシン1では0.5セット)を乗ずることで、特化ゾーンでのセット上乗せ期待値が算出できる。
【0118】
次のステップS1804では、現時のARTセット数が特化ゾーンでのセット上乗せ期待値以上か否かを判断し、イエスと判断した場合にはステップS1805にて強制終了させると判断して、リターンする。
一方、ステップS1802にてノーと判断した場合、及びステップS1804にてノーと判断した場合には、ステップS1806にて強制終了させないと判断してリターンする。
【0119】
図19は、現時のARTセット数が10セットである場合に、RT2中のゲーム進行に応じた、遊技状態の遷移の様子を説明するための図である。RTゲーム数が27の時点において、特化ゾーンでのセット上乗せ期待値は11(=(27−5)×0.5)となり、これは現時のARTセット数の10よりも大きいため、ARTセットが継続される。RTゲーム数が26の時点でも同様である。
RTゲーム数が25となると、特化ゾーンでのセット上乗せ期待値は10(=(25−5)×0.5)となり、これは現時のARTセット数の10と等しいため、このゲームで有利状態が強制終了される。
【0120】
この結果、次ゲームからは非有利状態へ転落するが、平均4〜5ゲームで、再度ARTセット中に復帰するとともに、上乗せ特化ゾーンとなる。図19では、非有利状態転落後、RTゲーム数が21のゲームで、有利状態移行抽選処理に当選し、ARTセットに中に復帰したと仮定している。RT2が終了するまでの20ゲームは、上乗せ特化ゾーンとなり、1ゲームあたり0.5セットの上乗せが行われるため、RT2を完走できれば、強制終了前のARTセット数の10に相当するARTセットの上乗せが得られることになる。
【0121】
図16に戻り、ステップS1615は、ステップS1614の有利状態強制終了判断処理にて強制終了させると判断されたか否かに応じて、イエス/ノーとなり、ノーと判断した場合には、ステップS1616にてRTゲーム数がゼロか否かを判断する。
ステップS1616にてノーと判断した場合には、ARTセットを継続すべく、ステップS1603に戻る一方、イエスと判断した場合には、RT2が終了して次ゲームからRT1へ移行するとともに、現ARTセットが終了する。次のステップS1617では、ARTセット数を1減算して、ステップS1618へ移行する。ステップS1618では、ARTセット数がゼロより大きいか、即ち残っているかを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1619にてART準備状態中処理を開始してリターンする。
一方、ステップS1613にてイエスと判断した場合、ステップS1615にてイエスと判断した場合、及びステップS1618にてノーと判断した場合には、有利状態を終了すべく、ステップS1620にて有利状態終了処理を実行後、ステップS1621にて非有利状態中処理を開始して、リターンする。
【0122】
以上、説明した通り、本発明のスロットマシン1によれば、既に獲得済のARTセットを全て消化したと仮定すると、リミッタが作動して、ARTセットを少なくとも1セット以上喪失してしまう状況下に限り、ARTセット中、即ちRT2中に、有利状態を強制的に終了させる。この結果、次ゲームからは非有利状態へ転落するが、平均4〜5ゲームで、再度ARTセット中に復帰するとともに、RT2が終了するまでは上乗せ特化ゾーンとなるように構成している。この構成によって、強制終了により喪失するARTセット数を、復帰後の特化ゾーンにて回復することが出来る。
また、現時のARTセット数、RTゲーム数、非有利状態を経由して再度有利状態に復帰するのに要するゲーム数、及び特化ゾーン中の1ゲームあたりのセット上乗せ数期待値を加味して、強制終了により喪失するARTセット数に相当するセット数の上乗せを得るのに必要な、平均的な特化ゾーンゲーム数を算出し、このゲーム数分の特化ゾーンが実行されるであろうタイミングで、有利状態を強制的に終了させる。このため、この強制終了によって、遊技者が大きく損をすることも得をすることもなく、納得感のあるバランスのよい遊技性を実現することが出来る。
【0123】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
例えば、図18のステップS1801では、リミッタ作動に係る計数値のうち、有利ゲーム数のみを加味して喪失セット数を算出したが、これに加えて、差枚数を加味してもよい。
この場合、例えば、リミッタ到達までの差枚数は、上限値の2400から現在の差枚数を引くことで算出できる。そして、リミッタ到達までの差枚数を、指示機能が作動する持ち球増加期間での1ゲームあたりの純増枚数で除することで、リミッタ作動までのゲーム数(ステップS1801の(1500−有利ゲーム数)に相当)を算出すればよい。
【0124】
また、本スロットマシン1では、図18のステップS1802にて、喪失セット数が1つでもある場合は有利状態強制終了処理を実行するように構成したが、喪失セット数と大小比較する数値(上記の実施形態ではゼロ)を変更することにより、有利状態強制終了処理が実行される喪失セット数の閾値を任意に設定することも可能である。
【符号の説明】
【0125】
1 スロットマシン
4L 左リール
4C 中リール
4R 右リール
19 スタートレバー
20L 左ストップボタン
20C 中ストップボタン
20R 右ストップボタン
41 CPU
42 ROM
43 RAM
【要約】
【課題】リミッタ作動によって遊技者が喪失することとなる権利数を、非有利期間を介して新たに開始される有利期間に引き継ぐことが出来るスロットマシンの提供。
【解決手段】ART1セットを50ゲームの有限RT2で構成する。ARTセット中に、リミッタ作動によりこととなる喪失する喪失セット数があると判断した場合に、ARTセット中に強制的に非有利状態へ転落させる。非有利状態から有利状態へは、平均5ゲーム程度で移行し、この移行時にRT2中である場合に限り、指示機能が作動する上乗せ特化ゾーンが開始される。上乗せ特化ゾーンはRT2終了まで継続し、RT2の完走により、喪失セット数に相当するセット上乗せが行われる。
【選択図】 図18
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19