(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。図面において、同一部分には、同一符号を付している。
【0012】
図1は、本実施形態に係る表示装置の一例を示す回路図を示している。表示装置1は、表示部2、走査線駆動部3、データ信号線駆動部4、電源線駆動部5を備えている。
【0013】
表示部2は、例えば行方向、列方向に配置された複数の画素PXを含んでいる。
図2は、複数の画素PXのうちの1つのみを示している。画素PXは、例えば3つのサブ画素SR,SB,SGを含んでいる。具体的には、表示部2は、行方向に延伸する複数の走査線WSLと、これら複数の走査線WSLと平行して延伸する複数の電源線DSLと、これら複数の走査線WSLと交差する列方向に延伸する複数のデータ信号線SGLとを備えている。走査線WSLの一端は、走査線駆動部3に接続され、データ信号線SGLの一端は、データ信号線駆動部4に接続され、電源線DSLの一端は電源線駆動部5に接続されている。
【0014】
走査線WSLとデータ信号線SGLとの交点には、例えば赤色の光を発光するサブ画素SR、青色の光を発光するサブ画素SB、緑色の光を発光するサブ画素SGが配置されている。これらサブ画素SR、SB、SGの配置は適宜に変更することができる。画素PXは、例えば、赤色、青色、緑色に加え白色のサブ画素を備えていてもよい。又は、画素PXは、1つのサブ画素から構成されてもよい。
【0015】
以下では、サブ画素SRを例としてサブ画素の構成について説明する。他のサブ画素についても同様の構成であるため、説明を省略する。
【0016】
サブ画素SRは、選択トランジスタWSTr、駆動トランジスタDSTr、容量素子Cs、発光素子22を備えている。発光素子22は、アノード電極とカソード電極との間に配置された後述する有機EL層を備えている。選択トランジスタWSTrは、ゲート電極が走査線WSLに接続され、例えばソース電極がデータ信号線SGLに接続され、例えばドレイン電極が容量素子Csの第1の電極と、駆動トランジスタDSTrのゲート電極とに接続されている。駆動トランジスタDSTrは、例えばソース電極が容量素子Csの第2の電極と、発光素子22のアノード電極とに接続され、例えばドレイン電極が電源線DSLに接続されている。
【0017】
選択トランジスタWSTrは、走査線WSLに選択信号が供給された場合に、選択信号と同期してデータ信号線SGLから供給されるデータ信号を、駆動トランジスタDSTrのゲート電極に供給する。容量素子Csは、駆動トランジスタDSTrのゲート電位を保持する。駆動トランジスタDSTrは、ゲート電位に基づくドレイン電流を発光素子22に供給する。発光素子22は、ドレイン電流に対応した輝度で発光する。
【0018】
図2は、サブ画素領域のパターンの概略を例示する図である。
【0019】
図2において、発光素子22を構成する図示せぬアノード電極、カソード電極及び有機EL層は、後述するように、選択トランジスタWSTr、駆動トランジスタDSTr、容量素子Csの上方(表面側)に形成される。発光素子22は、点線の円で示す例えば8つの発光領域22bにより構成される。
【0020】
データ信号線SGL、選択トランジスタWSTr及び駆動トランジスタDSTrのゲート電極、及び容量素子Csの第1の電極は、第1層の金属により形成され、走査線WSL、電源線DSL、選択トランジスタWSTr及び駆動トランジスタDSTrのソース/ドレイン電極、及び容量素子Csの第2の電極は、第2層の金属により形成されている。選択トランジスタWSTrのゲート電極は、コンタクトを介して走査線WSLに接続され、選択トランジスタWSTrのソース電極は、コンタクトを介してデータ信号線SGLに接続され、選択トランジスタWSTrのドレイン電極は、コンタクトを介して駆動トランジスタDSTrのゲート電極、及び容量素子Csの第1の電極に接続されている。容量素子Csの第2電極はコンタクトCNTを介して図示せぬアノード電極に接続されている。
【0021】
以下、
図3を参照して、サブ画素領域における積層構造について説明する。
【0022】
図3は、
図2に示すIII−III線に沿ったサブ画素領域の一例を示す断面図である。
図3において、容量素子Csは省略されている。
【0023】
図3に示すように、本実施形態に係る表示装置1は、第1基板11の側から第2基板26の側へ、駆動トランジスタDSTr等を含む配線層、発光部22a、保護膜23、封止層24、カラーフィルタ25等がこの順で積層された構造を持つ。
図3は、発光部22aから出射した光が第2基板26の側から取り出されるトップエミッション型の構造を示している。しかしながら、本実施形態は、ボトムエミッション型の表示装置についても適用可能である。
【0024】
第1基板11は、例えば、ガラス、プラスチック等の絶縁体材料により構成されている。第1基板11上には、有機EL素子(発光素子)22を駆動するための駆動トランジスタDSTrが形成されている。駆動トランジスタDSTrは、例えば薄膜トランジスタである。
図1は、トップゲート型の薄膜トランジスタを示しているが、半導体層の下方にゲート電極を備えるボトムゲート型の薄膜トランジスタが形成されていてもよい。
【0025】
駆動トランジスタDSTrを構成する半導体層12は、第1基板11上にパターン形成されている。半導体層12は、例えばアモルファスシリコン、多結晶シリコン等のシリコン系材料、又は酸化物半導体等から形成されている。半導体層12上には、第1絶縁膜13を介してゲート電極14が形成されている。ゲート電極14は、第2絶縁膜15により覆われている。ゲート電極14は、第2絶縁膜15に形成されたコンタクトホールを介して、図示せぬ容量素子Csの第1電極、及び選択トランジスタWSTrのドレイン電極に接続されている。
【0026】
第2絶縁膜15上には、ソース/ドレイン電極16が形成されている。ソース/ドレイン電極16は、第1絶縁膜13、及び第2絶縁膜15を貫通するコンタクトホールを介して半導体層12のソース/ドレイン領域とそれぞれ接続されている。
【0027】
第2絶縁膜15の全面には、ソース/ドレイン電極16上を覆うように、例えばポリイミド樹脂からなる第3絶縁膜(平坦化層)17が形成されている。第3絶縁膜17には、例えばアクリル樹脂等の、他の樹脂系絶縁材料が用いられてもよい。又は、第3絶縁膜17として、例えば化学的気相成長法(CVD法)を用いて形成された例えば酸窒化シリコン(SiON)、二酸化シリコン(SiO
2)等の無機絶縁材料が用いられてもよい。
【0028】
図3に示すように、第3絶縁膜17の第2基板側表面には、例えばフォトリソグラフィ法を用いて、発光部22aからの発光を反射するリフレクタ(反射構造)を構成する凹部17aが形成されている。
【0029】
このような凹部17aを備える第3絶縁膜17上に、発光部22aのアノード電極としての第1電極(画素電極)18が形成される。第1電極18は、駆動トランジスタDSTrと図示せぬ容量素子Csの第2の電極を介して接続されている。第1電極18は、例えばスパッタ法とエッチング法とを用いて、例えばアルミニウム(Al)−ネオジウム(Nd)合金により形成されている。
【0030】
第1電極18は、光反射率が高く、正孔注入性が高い材料によって形成されることが望ましい。このため、第1電極18は、例えばアルミニウム、アルミニウムを含む合金等の光反射率の高い金属膜上に、例えばインジウム錫酸化物(ITO)、インジウムと亜鉛の酸化物(IZO)等の正孔注入特性に優れた透明電極材料を積層した構造であってもよい。
【0031】
第1電極18が形成された第3絶縁膜17上には、例えばポリイミド樹脂からなる第4絶縁膜19が形成されている。第4絶縁膜19は、例えばアクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系ポリマー、又はシリコーン系ポリマー等から形成される。第4絶縁膜19は、例えば二酸化シリコン等の無機系材料から形成されてもよい。
【0032】
第4絶縁膜19内において第3絶縁膜17の凹部17aに対応する位置には第1電極18の底面18cの一部を露出する孔19aが設けられている。この孔19a内及び第4絶縁膜19上に例えば印刷法を用いて有機EL層20が形成されている。有機EL層20上を含む表示部2の全域には、例えばスパッタ法を用いて、カソード電極としての第2電極(共通電極)21が形成されている。第2電極21は、例えばマグネシウム(Mg)−銀(Ag)合金等の半光透過材料により形成される。
【0033】
第2電極21上には、例えば窒化シリコン(Si
1−yN
y)からなる保護膜23が形成されている。保護膜23上には、封止層24が設けられている。封止層24により、外部から発光部22aへの例えば酸素や水分等の侵入が防止される。
【0034】
封止層24上には、カラーフィルタ25、及び遮光膜(ブラックマトリックス)BMを備えた第2基板26が貼り合わされている。カラーフィルタ25は、サブ画素領域に設けられた複数の発光部22aの全体を覆うように、複数の発光部22aに対応する領域に設けられている。カラーフィルタ25は、例えば発光部22aにより出射された光と同色の光を透過する。発光部22aからの発光が白色である場合には、任意の色のカラーフィルタが設けられてよい。尚、カラーフィルタ25は、省略されてもよい。
【0035】
遮光膜BMは、カラーフィルタ25が設けられていない領域に配置されている。遮光膜BMは、例えば黒色の樹脂、又は薄膜フィルタから形成されている。
【0036】
図4は、
図3に示す発光部22aを拡大して示している。第3絶縁膜17の凹部17aは、例えば切頭円錐形であり、底面(第1の底面)17cと、傾斜した側面(第1の側面)17bとを備える。凹部17aの側面17bは、底面17cから上方に開いており、側面17bの上部により形成される開口部(第1の開口部)の直径は、凹部17aの底面17cの直径より大きい。一例として、凹部17aの底面17cの直径は、3μm以上となるように形成されている。また、第3絶縁膜17に設けられた凹部17aの深さH1は、有機EL層20の膜厚よりも大きくなるように形成されている。
【0037】
第1電極18の底面18cは、第2電極21及び有機EL層20とともに発光部22aを構成する。第1電極18は、発光部22aからの発光を反射する反射層としても機能する。すなわち、第3絶縁膜17の凹部17aの側面17b上に形成された第1電極18の側面18bは、発光部22aから出射された光のうち第4絶縁膜19を透過し第1電極18の側面18bに到達した光Laを開口部へ向かう方向に反射する。
【0038】
第4絶縁膜19の膜厚H2は、第1電極18の第2基板26側の端面(上面)から第4絶縁膜19の第2基板26の端面(上面)までの距離により規定される。第4絶縁膜19は、第3絶縁膜17に設けられた凹部17aの深さH1よりも大きい膜厚H2を持つ。一例として、H2は、H1よりも大きく、6μm以下となるように形成されている。
【0039】
第4絶縁膜19は、画素規制層として隣り合うサブ画素を区画するとともに、サブ画素領域内においては隣り合う発光部22aを分離している。すなわち、第4絶縁膜19が設けられた領域では、第1電極18と有機EL層20とが第4絶縁膜19により離間され、絶縁されている。
【0040】
第4絶縁膜19に設けられた孔19aは、例えば切頭円錐形であり、孔19aの第2基板26側の直径は、第1基板11側の直径よりも大きい。すなわち、第4絶縁膜19内には、孔19aを規定する傾斜した内壁面(側面)19bが形成されている。孔19aの第1基板11側の開口により規定される発光領域の面積は、第1電極18の底面18cの面積よりも小さい。このため、第1電極18の底面18c及び側面18bと有機EL層20との間には、第4絶縁膜19が形成されている。すなわち、第4絶縁膜19の側面19bの端は、第1電極18の底面18cの上までせり出している。第4絶縁膜19の側面19bは、発光部22aから出射された光のうち第1電極18の側面18bにより反射されない光Lbを開口部へ向かう方向に反射する。
【0041】
有機EL層20は、第4絶縁膜19に設けられた孔19aにより露出された第1電極18に接触された底面(第2の底面)20cと、第4絶縁膜19の傾斜した側面19b上に形成された側面(第2の側面)20bとを含む。このため、有機EL層20の傾斜した側面20bにより構成される開口部(第2の開口部)の直径は、有機EL層20の底面20cの直径よりも大きい。
【0042】
有機EL層20は、有機材料からなる発光層の他、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層を含んでいてもよい。また、有機EL層は、例えば物理的気相成長法(PVD法)を用いて形成されてもよい。
【0043】
上記構成において、第4絶縁膜19の側面19bのテーパー角(傾斜角)について、説明する。
【0044】
図5は、有機EL層20の底面20cから出射された光の角度と、第4絶縁膜19の側面19bのテーパー角(傾斜角)との関係を示す図である。
【0045】
図5において、x軸及びx軸と直交するy軸により規定されるx−y面を、有機EL層20の底面20cと平行する面と定義する。また、z軸方向を有機EL層20の底面20cに直交する方向と定義する。有機EL層20の底面20cから出射された発光の入射面は、x−z面である。
【0046】
有機EL層20から出射される光の出射角φは、出射された光とz軸とがなす角として定義される。第4絶縁膜19の側面19bのテーパー角αは、x−y面と第4絶縁膜19の側面19bとがなす角のうち90度(°)より小さい角として定義される。有機EL層20から出射される光の出射角φと第4絶縁膜19の側面19bのテーパー角αとの間には、以下の関係が成り立つ。
【0047】
φ=2(90−α)=180−2α (1)
α=90−φ/2 (2)
また、有機EL層20より出射された光のうち、第4絶縁膜19の側面19bに入射する光を入射光Lciと定義し、第4絶縁膜19の側面19bにより反射される光を反射光Lcrと定義する。
【0048】
入射光Lciがz軸方向に反射される場合、すなわち、反射光Lcrとz軸とがなす角が0°である場合、第4絶縁膜19の側面19bの法線方向と反射光Lcrとがなす角(反射角)は、第4絶縁膜19の側面19bのテーパー角αに等しい。また、第4絶縁膜19の側面19bの法線方向と入射光Lciとがなす角(入射角)は、第4絶縁膜19の側面19bのテーパー角αに等しい。
【0049】
一般に、屈折率がn1である媒質から、屈折率がn1よりも小さいn2である媒質へ入射される光が、媒質1と媒質2との境界において全反射される入射角度(臨界角度)αzは、
αz(n1、n2)=arcsin(n2/n1) (3)
により表される。
【0050】
本実施形態において、入射光Lciがz軸方向に全反射されるためには、第4絶縁膜19の側面19bのテーパー角αは、臨界角度αzより大きいことが要求される。有機EL層20の屈折率をn1、第4絶縁膜19の屈折率をn2とすると、第4絶縁膜19の側面19bのテーパー角αが満たすべき条件は、
α>αz(n1、n2)=arcsin(n2/n1) (4)
となる。なお、第2電極21は、10nm程度と非常に薄く、上記全反射条件に対して寄与が小さいため、ここでは無視したが、厚さが20nm程度となる場合には考慮する必要がある。以下では、一例として、n1=1.8、n2=1.5であるとする。この場合、臨界角度αzは、αz≒56°となる。したがって、入射光Lciがz軸方向へ全反射されるために第4絶縁膜19の側面19bのテーパー角αが満たすべき条件は、(4)式より
α>56°
となる。
【0051】
尚、入射光Lciは、
図5において破線で示すように、z軸からγ°ずれた方向に全反射されてもよい。この場合、第4絶縁膜19の側面19bのテーパー角αが満たすべき条件は、
α>αz(n1、n2)+γ/2=arcsin(n2/n1)+γ/2(5)
となる。したがって、一例として、γ=20°の場合、
α>66°
となる。
【0052】
次に、
図4に示す第1電極18の側面18bのテーパー角αmについて説明する。第1電極18の側面18bのテーパー角αmは、x−y面と第1電極18の側面18bとがなす角のうち90°より小さい角として定義される。
【0053】
第1電極18の側面18bは、第4絶縁膜19の側面19bへ入射する入射光Lciのうち、第4絶縁膜19を透過した光を反射する。すなわち、第1電極18の側面18bは、第4絶縁膜19の側面19bにより全反射されない光を反射する。したがって、第1電極18の側面18bのテーパー角αmは、臨界角度αz以下となる。
【0054】
一方、
図5に示すように、有機EL層20から出射される光の出射角φは、90°以下である。したがって、
図4に示す第1電極18の側面18bに入射された光が、第1電極18の側面18bによりz軸方向に反射されるためには、(1)式より、第1電極18の側面18bのテーパー角αmは、45°以上となる。
【0055】
以上より、第1電極18の側面18bのテーパー角αmが満たすべき条件は、
45°≦αm≦αz (6)
となる。上述したように、例えばn1=1.8、n2=1.5においては、αz≒56°であるので、第1電極18の側面18bのテーパー角αmは、
45°≦αm≦56°
となる。
【0056】
尚、第1電極18の側面18bに入射した光は、z軸からγ°ずれた方向に全反射されてもよい。この場合、第1電極18の側面18bのテーパー角αmが満たす条件は、
45°+γ/2≦αm≦αz+γ/2 (7)
となる。したがって、一例として、γ=20°の場合、第1電極18の側面18bのテーパー角αmは、
55°≦αm≦66°
となる。
【0057】
なお、第4絶縁膜19の側面19b及び第1電極18の側面18bは、切頭円錐形を構成する断面において、直線形状として説明した。しかし、これらの側面は、上方に屈曲する上に凸の曲面形状であってもよい。その場合、側面19b及び側面18bのテーパー角は、それぞれの側面の高さの1/2の位置における角度とみなすことにより、直線形状の場合と同様の説明ができる。
【0058】
図6は、
図4に示す断面図と同様の切頭円錐形の断面を有する材料において、テーパー角に対するz軸方向に反射される光の強度の増加率(輝度の増加率)を計算した結果をプロットしたグラフである。切頭円錐形を構成する材料として、第4絶縁膜19の側面19bと同一の材料を用いた場合と、第1電極18の側面18bと同一の金属を用いた場合とについて、それぞれ計算を行った。
【0059】
縦軸のz軸方向に反射される光の強度は、テーパー角が40°のときにz軸方向に反射された光の強度により規格化されている。
【0060】
尚、
図6において、輝度の増加率は、切頭円錐形の断面の高さ(側面の高さ)と、底面の径との比が1.2となる条件において計算されている。
【0061】
第4絶縁膜19の側面19bと同一の材料を用いた場合の輝度の増加率は、テーパー角αが55°を超えると増加している。これは、テーパー角αが、臨界角度αzを超え、全反射が生じることに起因する。全反射によるz軸方向の輝度の増加率は、テーパー角αが65°において最大となり、テーパー角αが65°を超えると、減少する。これは、テーパー角αの増加とともに、有機EL層20のうち、z軸方向の輝度上昇に寄与できる面積が減少してくることに起因する。
【0062】
したがって、グラフより、テーパー角αが、
55°≦α≦80°
において、光の反射率がほぼ1であり、第4絶縁膜19の側面19bと同一の材料による光の反射が、z軸方向の輝度の増加に寄与していることがわかる。
【0063】
一方、第1電極18の側面18bと同一の金属を用いた場合の輝度の増加率は、テーパー角αmが40°から60°の範囲においては、テーパー角αmの増加に伴い、緩やかに増加している。これは、金属面による反射には、全反射の角度の条件が課されないことに起因している。金属面での反射による輝度の増加率は、テーパー角αmが60°において最大となり、テーパー角αmが60°を超えると、減少する。これは、テーパー角αmの増加とともにz軸方向からずれた方向に反射される光の割合が増加することに起因する。
【0064】
したがって、グラフより、テーパー角αmが、
50°≦αm≦80°
において、金属面による光の反射が、z軸方向の輝度の増加に寄与していることがわかる。
【0065】
このように、第4絶縁膜19よる反射と、第4絶縁膜19を透過した光に対する第1電極18による反射との両方の寄与により、z軸方向に対する輝度を増加することができる。
【0066】
尚、上記の例では、有機EL層20の屈折率のn1が1.8であり、第4絶縁膜の屈折率n2が1.5である場合について説明した。しかしながら、これらの屈折率、及び屈折率の比(n2/n1)は、適宜に変更されてよい。
【0067】
図7は、第4絶縁膜19の異なる屈折率n2に対して、第4絶縁膜19の側面19bのテーパー角αと、入射光Lciがz軸方向へ反射される反射率との関係を示している。尚、
図7において、有機EL層20の屈折率n1は、1.8としている。
【0068】
図7(a)に示すように、例えばn2=1.4においては、第4絶縁膜19の側面19bのテーパー角αが、αz(n2=1.4)≒51°以上のときに、入射光Lciのz軸方向への反射率は1となる。したがって、第4絶縁膜19の側面19bのテーパー角αが満たすべき条件は、
α>51°
となる。また、第1電極18の側面18bのテーパー角αmが満たすべき条件は、(6)式より、
45°≦αm≦51°
となる。
【0069】
一方、
図7(b)に示すように、例えばn2=1.6においては、第4絶縁膜19の側面19bのテーパー角αが、αz(n2=1.6)≒63°以上のときに、入射光Lciのz軸方向への反射率は1となる。したがって、第4絶縁膜19の側面19bのテーパー角αが満たすべき条件は、
α>63°
となる。また、第1電極18の側面18bのテーパー角αmが満たすべき条件は、(6)式より、
45°≦αm≦63°
となる。
【0070】
したがって、第4絶縁膜19の屈折率n2が例えば1.5よりも大きい場合においても全反射が生じる条件として、より好ましくは、第4絶縁膜19の側面19bのテーパー角αは、
70°≦α≦80°
となる。また、第1電極18の側面18bのテーパー角αmは、より好ましくは、
55°≦αm≦80°
となる。
【0071】
以上に説明した本実施形態によれば、有機EL層20の発光部22aから出射した光のうち、発光面と平行に近い角度で出射された光Laが第1電極18の側面18bにより反射され、発光部22aの底面と垂直な法線とほぼ平行する方向に放射される。第1電極18の側面18bにより反射されない光Lbは、第4絶縁膜19の側面19bにより反射され、法線とほぼ平行な方向に放射される。したがって、2つのリフレクタにより光の取り出し効率を向上することができる。
【0072】
さらに、本実施形態によれば、第1電極18上に設けられた第4絶縁膜19の膜厚H2は、第1電極18の側面18bを形成するために第3絶縁膜17に設けられた凹部17aの深さH1よりも大きくなるように形成されている。これにより、第4絶縁膜19の側面19b、すなわち反射面を大きくすることができる。したがって、光の取り出し効率を向上することが可能である。
【0073】
例えば、第3絶縁膜17の下層に例えば選択トランジスタWSTr、駆動トランジスタDSTr、容量素子Cs等の金属配線が形成されている場合、第3絶縁膜17に形成される凹部17aの深さH1を大きくすると、リソグラフィの際に照射される例えば電子線又は紫外線等の一部が第3絶縁膜17を透過し、金属配線により反射される。すなわち、下層に金属配線が設けられている領域では、電子線又は紫外線等の反射により第3絶縁膜17の露光量が増加する。このため、第3絶縁膜17の下層に金属配線が設けられている領域と金属配線が設けられていない領域との間で露光量のばらつきが生じる場合がある。結果として、均一な形状の凹部17aが形成されず、輝度が不安定となる場合がある。したがって、第3絶縁膜17の下層に設けられた金属配線の影響を抑えるためには、第3絶縁膜17の凹部の深さH1を、金属配線による反射の影響を抑え得る程度に浅くする必要がある。この場合、凹部17aの側面17b上に形成される第1電極18の側面18bの面積(反射面の面積)が減少される。
【0074】
しかし、本実施形態によれば、第1電極18上に凹部17aの深さH1よりも厚い膜厚H2を持つ第4絶縁膜19に傾斜した側面19bを形成しているため、仮に第1電極18による反射の割合が低下したとしても、第4絶縁膜19の側面19bにより光の取り出し効率の低下を抑制することができる。
【0075】
さらに、本実施形態によれば、有機EL層20は、第4絶縁膜19の孔19a内に形成され、有機EL層20と第1電極18の側面18bとの間に第4絶縁膜19が設けられている。これにより、製造プロセスにおけるパターニングのずれの影響を抑えることができる。例えば、第1電極18の側面18bが第4絶縁膜19により覆われていない場合、パターニングのずれにより例えば第1電極18の側面18b上に有機EL層20が形成される場合が生じる。この場合、発光面及び反射面の形状及び面積が不均一になり、安定した輝度を得ることが困難となる。しかし、本実施形態によれば、パターニングが若干ずれたとしても第1電極18の側面18bと有機EL層20との接触を回避することができ、輝度を安定化することができる。
【0076】
また、本実施形態によれば、有機EL層20は、第1電極18の底面18cのうちの第4絶縁膜19により覆われていない部分、第4絶縁膜19の側面19b、第4絶縁膜19の上面を覆うように形成される。これにより、例えば第4絶縁膜19の孔19a内のみに有機EL層20を形成する場合と比較して、有機EL層20が形成される位置のずれの許容量を大きくすることができ、有機EL層20の形成工程を容易化することができる。したがって、有機EL層20の形成位置のずれに基づいて画質が低下することを防止することができる。
【0077】
(第2の実施形態)
有機EL層20の発光部22aと、発光部22aから出射された反射する反射面との位置関係が周期性を持つ場合、特定の角度の反射光の強度が強められ、又は弱められることにより、モアレ(干渉縞)が発生することがある。
【0078】
上述した実施形態によれば、第1電極18の側面18bと有機EL層20との間に第4絶縁膜19が設けられているため、第3絶縁膜17に設けられる凹部17aの中心と、第4絶縁膜19に設けられる孔19aの中心(すなわち発光部22aの中心)とを、所定の範囲内において意図的にずらして形成することができる。
【0079】
第2の実施形態は、これを利用して、光の取り出し効率を向上するとともに、サブ画素領域内、及びサブ画素領域間におけるモアレの発生を抑制しようとするものである。
【0080】
図8(a)(b)は、第2の実施形態に係る表示装置の平面構成例を示している。
図8において、点線の円は、第3絶縁膜17に形成された凹部17aの底面17cを示しており、実線の円は、第4絶縁膜19に設けられた孔19aにより規定される有機EL層20の底面20c(発光部22a)を示している。
図8(a)(b)は、サブ画素領域において、第3絶縁膜17に8つの凹部17aが形成され、凹部17aに対応する位置に8つの発光部22aが形成されている様子をそれぞれ示している。
図8(a)(b)に示すように、サブ画素領域において、第3絶縁膜17に設けられた凹部17aの底面17cの中心と、第4絶縁膜19に設けられた孔19aの中心(すなわち、有機EL層20の底面20cの中心)とは、相対的にずらされて形成されている。すなわち、サブ画素領域において、第3絶縁膜17に設けられた複数の凹部17aのうち、一の凹部17aに対して、当該凹部17aに対応する有機EL層20の底面20cが第1の方向に相対的にずれて配置された場合に、第3絶縁膜17の他の凹部17aの少なくとも一つに対して、当該凹部17aに対応する有機EL層20の底面20cは、第1の方向と異なる方向にずれて配置されている。
【0081】
例えば、
図8(a)では、第3絶縁膜17の凹部17aが規則的(周期的)に配置されている。一方、第4絶縁膜19に設けられた孔19aは、不規則に配置されている。
【0082】
例えば、
図8(b)では、第4絶縁膜19により形成される孔19aは、規則的に配置されている。一方、第3絶縁膜17に設けられる凹部17aは、不規則に配置されている。
【0083】
本実施形態に係る表示装置が複数のサブ画素領域を含む場合には、第3絶縁膜17に設けられる複数の凹部17aが配置されるパターンと、第4絶縁膜19に設けられる複数の孔19aが配置されるパターンとは、異なるサブ画素領域において同じであっても異なっていてもよい。
【0084】
例えば、第1のサブ画素領域と第2のサブ画素領域とにおいて、第3絶縁膜17に設けられた複数の凹部17aのうち、一の凹部17aに対して、当該凹部17aに対応する有機EL層20の底面20cが第1の方向に相対的にずれて配置された場合に、他の凹部17aの少なくとも一つに対して、当該凹部17aに対応する有機EL層20の底面20cは、第1の方向と異なる方向にずれて配置されてもよい。
【0085】
例えば、第1のサブ画素領域において、第3絶縁膜17に設けられた複数の凹部17aのうち、一の凹部17aに対して、当該凹部17aに対応する有機EL層20の底面20cが第1の方向に相対的にずれて配置され、他の凹部17aの少なくとも一つに対して、当該凹部17aに対応する有機EL層20の底面20cは、第1の方向と異なる第2の方向にずれて配置された場合に、第2のサブ画素領域において、第3絶縁膜17に設けられた複数の凹部17aのうち、第1のサブ画素領域における一の凹部17aに対応する凹部17aに対して、当該凹部17aに対応する有機EL層20の底面20cが第2の方向に相対的にずれて配置され、第1のサブ画素領域における他の凹部17aの少なくとも一つに対応する凹部17aに対して、当該凹部17aに対応する有機EL層20の底面20cは、例えば第1の方向にずれて配置されてもよい。
【0086】
サブ画素領域に1つの発光部22aが形成されている場合、第1のサブ画素領域において、第3絶縁膜17の凹部17aに対して、有機EL層20の底面20cが第1の方向にずれて配置され、第2のサブ画素領域において、第3絶縁膜17の凹部17aに対して、有機EL層20の底面20cが第1の方向と異なる方向にずれて配置される。
【0087】
尚、第3絶縁膜17に設けられる凹部17a、及び第4絶縁膜19に設けられる孔19aの形状は適宜に変更することが可能である。これらは、例えば、楕円形でもよく、矩形でもよく、任意の形状でよい。
【0088】
本実施形態によれば、有機EL層20の発光部22aと、出射された光を反射する反射面との位置関係は周期性がないため、特定の反射角度の反射光の強度が強められ、又は弱められることを防ぐことができる。このため、外光反射に起因するモアレの発生を低減でき、視認性を向上することができる。
【0089】
(第3の実施形態)
第1、第2の実施形態において、発光部22aは、円形状の平面形状を持つ。しかし、発光部22aの平面形状は、円形状に限定されるものではない。
図9(a)(b)は、第3の実施形態を示すものである。
【0090】
本実施形態において、第3絶縁膜17には、溝状の凹部17Aが形成される。さらに、本実施形態において、第3絶縁膜17の凹部17Aは、サブ画素領域間の非発光領域(第1電極が形成されていない領域)においても、連続して形成されている。
【0091】
図9(a)は、溝状の複数の凹部17Aが走査線WSLに沿って形成されている様子を示している。
図9(b)は、溝状の凹部17Aが、走査線WSL及びデータ信号線SGLに沿って格子状に形成されている様子を示している。
【0092】
凹部17Aの断面形状は、第1の実施形態とほぼ同様であり、
図3、
図4に示すように、溝状の凹部17A内に発光部22aが形成される。凹部17Aの深さH1と第4絶縁膜19の膜厚H2、及び有機EL層20の膜厚の関係は、第1の実施形態と同様である。
図9(a)において、発光部は、凹部17Aに沿ってストライプ状に形成される。
図9(b)において、発光部は、凹部17Aに沿って格子状に形成される。
【0093】
本実施形態によれば、発光部の平面形状が円形である場合と比較してサブ画素領域における発光部の面積が大きいため、有機EL層とアノード電極としての第1電極との接触面積を増加することが可能である。このため、サブ画素領域において、同じ光量を得るために必要な電流密度を減少することができ、発光素子の寿命を延ばすことが可能である。
【0094】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。