特許第6561338号(P6561338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6561338ディスプレイ装置の駆動方法及び映像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561338
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】ディスプレイ装置の駆動方法及び映像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20190808BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   G09G5/00 555D
   G09G5/00 530T
   G09G5/00 550X
   H04N5/66 B
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-221688(P2015-221688)
(22)【出願日】2015年11月11日
(65)【公開番号】特開2017-90721(P2017-90721A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】514188173
【氏名又は名称】株式会社JOLED
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】加藤 敏行
【審査官】 西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−139828(JP,A)
【文献】 特開2013−186469(JP,A)
【文献】 特開2015−004885(JP,A)
【文献】 特開2004−029799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00 − 5/42
H04N 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ装置の駆動方法であって、
前記ディスプレイ装置は、所定の画像を示す情報を保持するメモリを備え、
前記所定の画像を内部同期信号に基づいて表示している際に、外部信号源から送信されたトレーニング信号を受信するステップと、
前記トレーニング信号を受信した後、前記内部同期信号に基づくタイミングで前記外部信号源にロック信号を送信するステップと、
前記ロック信号を送信した後、前記外部信号源から送信され、かつ、外部同期信号に同期する映像信号を受信するステップと、
受信した前記映像信号を用いて、前記外部同期信号に基づいて映像を表示するステップとを含み、
前記トレーニング信号は、前記ディスプレイ装置が前記映像信号を受け付け可能であるか否かを問い合わせる信号であり、
前記ロック信号は、前記ディスプレイ装置が前記映像信号を受け付け可能であることを示す信号である
ディスプレイ装置の駆動方法。
【請求項2】
前記ロック信号を送信するステップでは、前記ディスプレイ装置が前記映像信号を受け付け可能である場合に、前記内部同期信号が所定の位相となるタイミングで前記ロック信号を送信する
請求項に記載のディスプレイ装置の駆動方法。
【請求項3】
前記映像信号を受信するステップでは、さらに前記外部同期信号を受信し、
前記タイミングは、前記映像信号を受信するステップにおいて、受信した信号を有効とする期間である前記内部同期信号の有効ウィンドウ期間内に前記外部同期信号が受信されるようなタイミングである
請求項1又は2に記載のディスプレイ装置の駆動方法。
【請求項4】
記映像を表示するステップでは、前記所定の画像から前記映像に切り替えて表示する
請求項1〜のいずれか1項に記載のディスプレイ装置の駆動方法。
【請求項5】
前記ディスプレイ装置は、PSR(Panel Self Refresh)駆動が有効化されたPSR有効モードと無効化されたPSR無効モードとを有し、
前記トレーニング信号を受信するステップでは、前記PSR有効モードで当該トレーニング信号を受信し、
前記映像を表示するステップでは、前記PSR無効モードで当該映像を表示する
請求項1〜のいずれか1項に記載のディスプレイ装置の駆動方法。
【請求項6】
外部信号源及びディスプレイ装置を備える映像表示装置であって、
前記ディスプレイ装置は、
所定の画像を示す情報を保持するメモリを備え、
前記所定の画像を内部同期信号に基づいて表示している際に外部信号源から送信されたトレーニング信号を受信し、
前記トレーニング信号を受信した後、前記ディスプレイ装置の準備が完了した場合に、前記ディスプレイ装置の内部同期信号に基づくタイミングで前記外部信号源にロック信号を送信し、
前記ロック信号を送信した後、前記外部信号源から送信され、かつ、外部同期信号に同期する映像信号を受信し、
受信した前記映像信号を用いて、前記外部同期信号に基づいて映像を表示する
映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ装置の駆動方法、及び、当該ディスプレイ装置を備える映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスプレイ装置を備える表示装置において、画面変化のない画像(静止画像)が表示される場合と他の場合とで、ディスプレイ装置の駆動状態を切り替える構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、この表示装置においては、画面変化のない画像が表示される場合にはPSR(Panel Self Refresh)駆動を有効化(活性化)してディスプレイ装置を動作させ、他の場合にはPSR駆動を無効化(非活性化)してディスプレイ装置を動作させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−186469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の表示装置では、ディスプレイ装置の表示を制御するための同期信号が安定化するまでに要する時間が長くなる場合がある。
【0005】
例えば、PSR駆動が有効化された状態では、ディスプレイ装置は自身の内部で生成された内部同期信号を用いて画像を表示する。一方、PSR駆動が無効化された状態では、ディスプレイ装置は外部機器から入力される映像信号に同期する外部同期信号を用いて映像を表示する。このため、このようなディスプレイ装置は、駆動状態が切り替えられる際に、表示を制御するための同期信号も内部同期信号から外部同期信号に切り替わることとなる。
【0006】
ここで、同期信号が切り替わる際に、内部同期信号と外部同期信号との位相差が大きいほど同期信号の安定化に要する時間が長くなる。また、同期信号が安定化するまでの期間には、表示輝度の変動(フリッカ)等の表示品位の低下が生じ得る。よって、表示品位の低下を抑制するためには、同期信号の安定化に要する時間を短縮化することが必要である。
【0007】
しかし、内部同期信号と外部同期信号とは互いに独立の信号であるため、同期信号が切り替わる際に、これらの位相差は任意となる。よって、同期信号の安定化に要する時間を短縮化することは困難であるため、表示品位の低下が生じ得る。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、外部信号源からの映像信号に基づく映像に切り替える際における、表示品位の低下を抑制することができるディスプレイ装置の駆動方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るディスプレイ装置の駆動方法は、外部信号源から送信されたトレーニング信号を受信するステップと、前記トレーニング信号を受信した後、前記ディスプレイ装置の内部同期信号に基づくタイミングで前記外部信号源にロック信号を送信するステップと、前記ロック信号を送信した後、前記外部信号源から送信され、かつ、外部同期信号に同期する映像信号を受信するステップと、受信した前記映像信号を用いて映像を表示するステップとを含む。
【0010】
また、本発明の一態様に係る映像表示装置は、外部信号源及びディスプレイ装置を備える映像表示装置であって、前記ディスプレイ装置は、外部信号源から送信されたトレーニング信号を受信し、前記トレーニング信号を受信した後、前記ディスプレイ装置の準備が完了した場合に、前記ディスプレイ装置の内部同期信号に基づくタイミングで前記外部信号源にロック信号を送信し、前記ロック信号を送信した後、前記外部信号源から送信され、かつ、外部同期信号に同期する映像信号を受信し、受信した前記映像信号を用いて映像を表示する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のディスプレイ装置の駆動方法等によれば、外部信号源からの映像信号に基づく映像に切り替える際における、表示品位の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態に係る映像表示装置の外観図である。
図2】実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態において、PSR有効モードにおけるディスプレイ装置の動作を模式的に示すブロック図である。
図4】実施の形態において、PSR無効モードにおけるディスプレイ装置の動作を模式的に示すブロック図である。
図5】実施の形態において、PSR有効モードからPSR無効モードへの移行時における外部信号源とディスプレイ装置との間の信号の送受を模式的に示すブロック図である。
図6】実施の形態において、外部信号源とディスプレイ装置との基本的な動作を示すシーケンス図である。
図7】実施の形態に係るディスプレイ装置の詳細な動作を示すタイミングチャートである。
図8】比較例に係るディスプレイ装置の詳細な動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、ディスプレイ装置の駆動方法及び映像表示装置の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ならびに、ステップの順序などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明における最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0014】
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0015】
[1.構成]
図1は、本実施の形態に係る映像表示装置1の外観図である。図2は、本実施の形態に係る映像表示装置1の構成を示すブロック図である。
【0016】
これらの図に示す映像表示装置1は、例えば、当該映像表示装置1の外部の放送局から送信された放送信号等の映像信号に応じた映像を表示するテレビである。
【0017】
図2に示すように、映像表示装置1は、外部信号源10とディスプレイ装置20とを備える。
【0018】
外部信号源10は、ディスプレイ装置20に映像信号及び外部同期信号を送信する信号源であり、例えば、放送局から送信された映像信号を受信し、受信した映像信号をディスプレイ装置20に適した映像信号に変換して送信する、Set、STB(Set Top Box)またはチューナー等である。外部信号源10は、例えば、入力された映像信号をデコードすることにより、デコード後の映像信号と当該映像信号に同期する外部同期信号をディスプレイ装置20に送信する。
【0019】
ディスプレイ装置20は、外部信号源10から受信した映像信号及び外部同期信号を用いて映像を表示する、例えば有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイである。ディスプレイ装置20は、例えば、TCON30及び表示部40を備える。
【0020】
外部信号源10とディスプレイ装置20とは、eDP(embedded Display Port)規格に準拠したeDPインタフェース等を介して相互通信可能に接続されている。本実施の形態では、当該eDP規格は、映像表示装置1全体の省電力化及びバッテリー(不図示)寿命の延長を可能にするPSR駆動に対応し、外部信号源10及びディスプレイ装置20は当該PSR駆動に対応可能に構成されている。つまり、ディスプレイ装置20は、PSR駆動が有効化されたPSR有効モードと無効化されたPSR無効モードとを有する。
【0021】
なお、外部信号源10及びディスプレイ装置20は、さらに、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)などの記憶媒体、RAM(Random Access Memory)などの作業用メモリ、および通信回路を有してもかまわないが、これらについては図示を省略する。
【0022】
TCON30は、外部信号源10から送信された映像信号及び外部同期信号を用いて、当該映像信号に応じた映像を表示部40に表示させるタイミングコントローラである。具体的には、TCON30は、表示部40のゲートドライバ(不図示)及びソースドライバ(不図示)に対して、映像信号と共に垂直同期信号(Vsync)及び水平同期信号(Hsync)等の同期信号を出力することにより、表示部40の各画素行の発光タイミングや、映像信号に応じた輝度で表示部40を発光させるための信号電圧の書き込みタイミング等を指示する。
【0023】
表示部40は、行列状に配置された複数の画素を有する画素アレイである。複数の画素は、ゲートドライバに接続される複数のゲート線(スキャン線)と、ソースドライバに接続される複数のソース線(データ線)との交差する位置に配置されている。例えば、各画素は、信号電圧に応じて発光する有機EL素子と、有機EL素子を駆動する駆動トランジスタとを有する。
【0024】
[2.動作]
このように構成された映像表示装置1は、入力される映像信号が静止画を示す場合にPSR駆動が有効化され、入力される映像信号が動画を示す場合にPSR駆動が無効化される。以下、ディスプレイ装置20の動作(駆動方法)について、ディスプレイ装置20の詳細な構成例と併せて、説明する。
【0025】
[2−1.PSR有効モード及びPSR無効モード]
まず、PSR駆動が有効化されたモード(以下、PSR有効モード)及び無効化されたモード(以下、PSR無効モード)におけるディスプレイ装置20の動作について説明する。
【0026】
図3は、本実施の形態において、PSR有効モードにおけるディスプレイ装置20の動作を模式的に示すブロック図である。図4は、本実施の形態において、PSR無効モードにおけるディスプレイ装置20の動作を模式的に示すブロック図である。
【0027】
これらの図に示すように、ディスプレイ装置20は、PSR駆動に対応するため、例えばフレームメモリ50を備える。
【0028】
フレームメモリ50は、所定の画像を示す情報(画像データ)を保持するメモリであり、本実施の形態では、PSR有効モードにおいて表示部40に表示させる画像を保持する。フレームメモリ50は、本実施の形態では、eDP規格で規定されている方法やタイミングにしたがって画像データの書き込みが行われ、例えばPSR無効モードの最終フレームの画像データを保持する。
【0029】
図3に示すように、PSR有効モードでは、ディスプレイ装置20は、外部信号源10からの映像信号及び外部同期信号を用いずに、フレームメモリ50に保持された情報に応じた画像信号と内部同期信号とを用いて、表示部40に上記の所定の画像を表示する。
【0030】
ここで、内部同期信号とは、ディスプレイ装置20の内部の信号発生器等で生成される同期信号であり、例えば、TCON30から表示部40に出力される。
【0031】
一方、図4に示すように、PSR無効モードでは、ディスプレイ装置20は、外部信号源10からの映像信号及び外部同期信号を用いて、表示部40に映像を表示する。
【0032】
[2−2.PSR有効モードからPSR無効モードへの移行]
このように動作するディスプレイ装置20では、映像表示装置1に入力される映像信号が静止画を示す信号から動画を示す信号に替わった場合、以下のようにPSR有効モードからPSR無効モードへと移行する。
【0033】
図5は、本実施の形態において、当該移行時における外部信号源10とディスプレイ装置20との間の信号の送受を模式的に示すブロック図である。
【0034】
同図に示すように、外部信号源10とディスプレイ装置20とは、eDPインタフェースを介して、トレーニング信号、ロック信号、映像信号及び外部同期信号を送受することにより、PSR有効モードからPSR無効モードへと移行する。以下、PSR有効モードからPSR無効モードへの移行時の動作について、説明する。
【0035】
[2−2−1.基本動作]
図6は、本実施の形態において、PSR有効モードからPSR無効モードへの移行時における外部信号源10とディスプレイ装置20との基本的な動作を示すシーケンス図である。
【0036】
まず、ディスプレイ装置20は、PSR有効モードで動作している(S10)。つまり、表示部40には、フレームメモリ50に保持された画像データによって、所定の画像が表示されている。
【0037】
次に、外部信号源10は、映像表示装置1に入力される映像信号が静止画を示す信号から動画を示す信号に替わると、ディスプレイ装置20に対してトレーニング信号を送信する。すなわち、ディスプレイ装置20は、外部信号源10から送信されたトレーニング信号を受信する。
【0038】
ここで、外部信号源10は、例えば、当該映像信号の隣り合うフレーム間の変化量を用いて、当該映像信号が静止画から動画を示す信号に替わったことを判断する。具体的には、外部信号源10は、当該変化量が所定の閾値以下の状態から閾値を超えるようになった場合に、当該映像信号が替わったと判断して、トレーニング信号を送信する。
【0039】
トレーニング信号は、ディスプレイ装置20が外部信号源10から送信される映像信号を受け付け可能であるか否かを問い合わせる信号である。言い換えると、本実施の形態において、トレーニング信号は、PSR有効モードを解除してPSR無効モードにすることを許可するか否かを問い合わせる信号である。
【0040】
次に、ディスプレイ装置20は、トレーニング信号を受信した後、ディスプレイ装置20の内部同期信号に基づくタイミングで、外部信号源10にロック信号を送信する。すなわち、ディスプレイ装置20は、内部同期信号に基づくタイミングまで待機して(S20)、ロック信号を送信する。なお、ディスプレイ装置20がロック信号を送信する詳細なタイミングについては、後述する。
【0041】
ここで、ロック信号は、ディスプレイ装置20が映像信号を受け付け可能であることを示す信号である。言い換えると、ロック信号は、外部信号源10がディスプレイ装置20に映像信号を送信することを許可する信号であり、本実施の形態では、PSR有効モードを解除してPSR無効モードにすることを許可する信号である。
【0042】
つまり、ディスプレイ装置20は、トレーニング信号を受信すると、外部信号源10からの映像信号の受け付けが可能か否かを判断する。例えば、ディスプレイ装置20は、トレーニング信号に含まれるトレーニングコードを正常に受信できた場合、または、トレーニング信号を受信してからディスプレイ装置20の準備が整った場合等の所定の条件を満たした場合に、当該映像信号の受け付けが可能であると判断し、所定のタイミングでロック信号を送信する。一方、ディスプレイ装置20は、上記の所定の条件を満たさない場合、当該映像信号の受け付けが不可能であると判断し、ロック信号の送信を行わない。なお、この場合、当該映像信号の受け付けが不可能であることを示すNAK信号等の信号を送信してもかまわない。
【0043】
次に、ロック信号を受信した外部信号源10は、映像信号及び外部同期信号を送信する。すなわち、ディスプレイ装置20は、ロック信号を送信した後、外部信号源10から送信され、かつ、外部同期信号に同期する映像信号を受信する。
【0044】
そして、ディスプレイ装置20は、受信した映像信号を用いて映像を表示する。具体的には、ディスプレイ装置20は、上記の所定の画像から当該映像に切り替えて表示する。つまり、ここでは、PSR有効モードで当該映像を表示する(S30)。これにより、例えば放送局等から送信された映像信号に応じた映像が表示されることとなる。
【0045】
以上のような動作により、ディスプレイ装置20は、所定の画像(静止画像)を表示するPSR有効モードから映像(動画像)を表示するPSR無効モードに移行する。
【0046】
[2−2−2.詳細動作]
次に、PSR有効モードからPSR無効モードへの移行時におけるディスプレイ装置20の詳細な動作について、説明する。
【0047】
図7は、PSR有効モードからPSR無効モードへの移行期間において、本実施の形態に係るディスプレイ装置20の詳細な動作を示すタイミングチャートである。具体的には、図7の(a)は移行期間とその前後の期間における動作を示すタイミングチャートであり、図7の(b)は同図の(a)の要部の時間軸を拡大して示すタイミングチャートである。同図の(a)及び(b)には、それぞれ、上から順に、内部同期信号、トレーニング信号、ロック信号及び外部同期信号のタイミングが示されている。なお、ロック信号が送信される以前(図中のロック信号の立ち上がり以前)の外部同期信号のパルスについては、破線で示している。これらの事項については、以降のタイミングチャートにおいても同様である。
【0048】
同図に示すように、本実施の形態のディスプレイ装置20は、時刻t11にトレーニング信号を受信した後、内部同期信号に基づくタイミングである時刻t12にロック信号を送信する。そして、このロック信号を受信した外部信号源10から送信された映像信号及び外部同期信号を、時刻t14に受信する。
【0049】
このとき、図7に示すように、本実施の形態では、内部同期信号と外部同期信号との位相ズレが比較的小さくなっている。具体的には、内部同期信号のエッジと外部同期信号のエッジとのズレ(差分)ΔT11(=|t13−t14|)は比較的小さくなっている。
【0050】
このため、ディスプレイ装置20は、表示部40の表示を制御するための同期信号を、内部同期信号から外部同期信号に切り替えることができる。
【0051】
ここで、ディスプレイ装置20では、受信した信号を有効とする期間である有効ウィンドウ期間が制限されている。この有効ウィンドウ期間は、内部同期信号によって規定され、例えば内部同期信号の位相によって規定される。
【0052】
有効ウィンドウ期間の時間幅は任意に定められ、当該時間幅を大きくするほど、表示部40の表示を制御するための同期信号の安定化に要する時間が短くなる。しかしながら、当該時間幅を大きくすることは、フリッカ等の課題が大きく発生する可能性が高くなり、表示品位の低下を引き起こす要因となる。フリッカによる表示品位の低下は、特に有機ELディスプレイにおいて顕著である。したがって、表示品位の観点から、有効ウィンドウ期間は必要以上に大きくしないことが好ましい。
【0053】
一方、有効ウィンドウ期間の時間幅を小さくするほど、フリッカ等による表示品位の低下が生じる可能性は低くなる。しかしながら、有効ウィンドウ期間内に受信されなかった信号は無効とされるため、当該時間幅を小さくすることは、PSR有効モードからPSR無効モードへの移行期間が長くなる要因となる。すなわち、外部信号源からの映像信号に基づく映像(外部映像信号)を表示するまでに長い時間を要したり、外部映像信号に基づく表示にコマ落ちが生じたりする。
【0054】
このように、フリッカ等による表示品位の低下(表示品位課題)の抑制と外部映像信号による映像を正常に表示するまでの期間の短縮化とは、トレードオフの関係にある。
【0055】
このため、表示品位の低下を抑制しつつ当該期間の短縮化を図るために、必要以上に大きくない有効ウィンドウ期間内に外部同期信号が受信されることが好ましく、具体的には、外部同期信号の最初のパルスが有効ウィンドウ期間内に受信されることが最も好ましい。
【0056】
本実施の形態では、ロック信号送信後の外部同期信号の最初のパルスは、有効ウィンドウ期間内のタイミングである時刻t14に受信される。このため、本実施の形態に係るディスプレイ装置20は、受信した外部同期信号の最初のパルスを有効とすることができる。よって、当該ディスプレイ装置20は、受信した外部同期信号の最初のパルスによって、表示部40の表示を制御するための同期信号を、内部同期信号から外部同期信号に切り替えることができる。
【0057】
これらのことを鑑みて、本実施の形態では、ディスプレイ装置20が映像信号を受け付け可能である場合に、内部同期信号が所定の位相となるタイミング(時刻t12)でロック信号を送信する。言い換えると、内部同期信号のエッジのタイミング(時刻t13)よりも所定時間(ΔTa)前のタイミング(時刻12)でロック信号を送信する。具体的には、ロック信号を送信するタイミング(時刻12)は、外部信号源10から映像信号を受信する際に、受信した信号を有効とする期間である内部同期信号の有効ウィンドウ期間内に外部同期信号が受信されるようなタイミングである。これにより、外部同期信号の最初のパルスを有効とすることができる。
【0058】
ロック信号を送信するタイミングは、例えば、次のようなタイミングである。
【0059】
具体的には、ディスプレイ装置20がロック信号を送信してから外部同期信号を受信するまでに要する時間ΔTb(=t14−t12)は、当該ディスプレイ装置20と外部信号源10との接続態様及び各々の内部遅延等によって、例えば一意に定まる。このため、ディスプレイ装置20は、時間ΔTb後のタイミングが有効ウィンドウ期間内になるようなタイミングでロック信号を送信すればよい。また、有効ウィンドウ期間の開始時点のタイミングと内部同期信号のパルスのエッジとの時間差ΔTcについては、有効ウィンドウ期間について定められた時間幅から一意に定まる。
【0060】
したがって、ロック信号を送信するタイミングを、内部同期信号のエッジよりも所定時間ΔTa(ここで、ΔTa<ΔTb+ΔTcを満たす)前のタイミングとすることにより、有効ウィンドウ期間内に外部同期信号を受信することができる。
【0061】
以上のような動作により、ディスプレイ装置20は、所定の画像(静止画像)を表示するPSR有効モードから映像(動画像)を表示するPSR無効モードへの移行期間を短縮化することができる。
【0062】
[3.まとめ]
次に、以上説明した本実施の形態に係るディスプレイ装置20によって奏される効果等について、比較例と対比して説明する。
【0063】
ここで、比較例に係るディスプレイ装置は、本実施の形態に係るディスプレイ装置20に比べて、ロック信号を送信するタイミングが異なる。具体的には、実施の形態のディスプレイ装置20では、トレーニング信号を受信した後、内部同期信号に基づくタイミングまで待機して(図6のS20)、ロック信号を送信する。これに対して、比較例のディスプレイ装置は、トレーニング信号を受信した後、当該タイミングまで待機することなく、ロック信号を送信する。
【0064】
図8は、PSR有効モードからPSR無効モードへの移行期間における、比較例に係るディスプレイ装置の詳細な動作を示すタイミングチャートである。
【0065】
同図に示すように、比較例に係るディスプレイ装置は、時刻t91にトレーニング信号を受信すると、時刻t92にロック信号を送信する。
【0066】
ここで、実施の形態と比較例とで、トレーニング信号を受信したタイミングが同時であると仮定すると、比較例でロック信号が送信されるタイミングは実施の形態での当該タイミング以前となっている(t91=t11とすると、t92≦t12)。つまり、実施の形態では、映像信号を受け付け可能であると判断しても、内部同期信号に基づくタイミング(時刻t12)まで待機してからロック信号を送信した。これに対し、比較例では、映像信号が受け付け可能と判断すると、ただちにロック信号を送信する。つまり、比較例では、内部同期信号とは何ら関連しないタイミング(時刻t92)で、ロック信号を送信する。
【0067】
そして、このロック信号を受信した外部信号源10から送信された映像信号及び外部同期信号を、時刻t93に受信する。
【0068】
このとき、図8に示すように、内部同期信号と外部同期信号との位相ズレが大きい場合があり得る。具体的には、内部同期信号のエッジと外部同期信号のエッジとのズレ(差分)ΔT81(=|t94−t93|)が大きい場合があり得る。これは、内部同期信号と何ら関連しないタイミングでロック信号を送信したために、外部同期信号も内部同期信号と何ら関連しないタイミングで送信されるためである。つまり、内部同期信号と外部同期信号とでは任意の位相ズレが生じることとなり、当該位相ズレが大きい場合があり得る。
【0069】
このような場合、比較例のディスプレイ装置は、表示部40の表示を制御するための同期信号を、内部同期信号から外部同期信号に切り替えることができない虞がある。つまり、比較例では、内部同期信号の有効ウィンドウ期間内に外部同期信号が受信されないことにより、当該外部同期信号が無効とされる虞がある。
【0070】
この結果、比較例では、PSR有効モードからPSR無効モードへの移行期間が、外部同期信号のエッジのタイミングと内部同期信号のエッジのタイミングとの差分が小さくなる(ここでは、ΔT82(=|t99−t98|))までの複数フレームにわたって継続することとなる。つまり、表示部40の表示を制御するための同期信号の安定化に複数フレームを要することとなり、表示品位が低下する。
【0071】
これに対して、本実施の形態に係るディスプレイ装置20の駆動方法によれば、トレーニング信号を受信した後、ディスプレイ装置20の内部同期信号に基づくタイミングで外部信号源10にロック信号を送信する。
【0072】
ここで、ロック信号を送信してから映像信号を受信するまでに要する時間が一意に定まっていれば、ロック信号を送信するタイミングで外部同期信号の位相を管理する(調整する)ことができる。よって、内部同期信号に基づくタイミングでロック信号を送信することにより、内部同期信号と外部同期信号との位相差を管理することができる。このため、当該位相差が小さくなるようなタイミングでロック信号を送信することにより、ディスプレイ装置20の表示を制御するための同期信号(本実施の形態では、Vsync及びHsync等)が安定化するまでに要する時間を短縮化することができる。したがって、表示する映像を外部信号源10からの映像信号に基づく映像に切り替える際における、表示品位の低下を抑制することができる。
【0073】
なお、ロック信号を送信してから映像信号を受信するまでに要する時間は一意に定まっていなくても、一定の範囲に定まっていればよく、この場合も同様の効果が奏される。具体的には、この場合であっても、ロック信号を送信するタイミングで外部同期信号の位相の範囲を管理することができるため、内部同期信号と外部同期信号との位相差を一定の範囲に管理することができる。よって、例えば、当該一定の範囲の最大時間ΔTmax後のタイミングが有効ウィンドウ期間内になるようなタイミングでロック信号を送信すればよい。
【0074】
また、本実施の形態に係るディスプレイ装置20の駆動方法によれば、トレーニング信号は、ディスプレイ装置20が映像信号を受け付け可能であるか否かを問い合わせる信号であり、ロック信号は、ディスプレイ装置20が映像信号を受け付け可能であることを示す信号である。
【0075】
これにより、例えば、外部信号源10とディスプレイ装置20との通信状況の劣化等の何らかの不具合が生じた場合に、ロック信号が送信されないこととなる。よって、例えば、当該場合において、外部信号源10とディスプレイ装置20との通信レートを低下させる等の通信態様を変化させることにより、不具合の回避を図ることが可能となる。
【0076】
また、本実施の形態に係るディスプレイ装置20の駆動方法によれば、ディスプレイ装置20が映像信号を受け付け可能である場合に、内部同期信号が所定の位相となるタイミングでロック信号を送信する。
【0077】
これにより、内部同期信号と外部同期信号との位相差を高精度に管理することができる。このため、例えば、有効ウィンドウ期間が小さい場合であっても、同期信号が安定化するまでに要する時間を短縮化することができる。したがって、表示品位の低下をさらに抑制することができる。
【0078】
また、本実施の形態に係るディスプレイ装置20の駆動方法によれば、ロック信号を送信するタイミングは、外部信号源10から映像信号を受信する処理において、有効ウィンドウ期間内に外部同期信号が受信されるようなタイミングである。
【0079】
これにより、受信した外部同期信号が極めて短時間で有効となる(実施の形態では、外部同期信号の最初のパルスが有効となる)ため、同期信号が安定化するまでに要する時間を最小化することができる。したがって、表示品位の低下をさらに抑制することができる。
【0080】
また、本実施の形態に係るディスプレイ装置20の駆動方法によれば、受信した映像信号を用いて映像を表示する処理では、所定の画像から当該映像に切り替えて表示する。これにより、映像の表示が開始されるまでの間に、例えば不定の映像が表示されることによるディスプレイ装置の劣化等の不具合を解消することができる。
【0081】
また、本実施の形態に係るディスプレイ装置20の駆動方法によれば、トレーニング信号を受信する処理では、PSR有効モードで当該トレーニング信号を受信し、受信した映像信号を用いて映像を表示する処理では、PSR無効モードで当該映像を表示する。これにより、PSR駆動に対応することによりディスプレイ装置20を内蔵する装置(本実施の形態では映像表示装置1)全体の省電力化を図りつつ、PSR有効モードからPSR無効モードに移行する際の表示品位の低下を抑制することができる。
【0082】
[4.各種変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明に係るディスプレイ装置の駆動方法及び映像表示装置は、上記実施の形態に限定されるものではない。上述した実施の形態に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本発明に係るディスプレイ装置を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
【0083】
例えば、外部信号源10及びディスプレイ装置20は、同一の機器(ここでは、映像表示装置1)に内蔵されていなくてもよく、互いに異なる機器に内蔵されていてもかまわないし、少なくとも一方が他の機器に内蔵されることなく単体で設けられていてもかまわない。例えば、外部信号源10は、ディスプレイ装置20と接続される、ハードディスクレコーダ、DVDレコーダ、BD(Blu−ray(登録商標) Disc)レコーダ等に内蔵されていてもかまわない。つまり、本発明に係るディスプレイ装置の駆動方法は、外部信号源と同一の機器に内蔵されたディスプレイ装置の駆動方法に限らず、外部信号源とは別の機器に内蔵されたディスプレイ装置にも適用される。また、本発明に係るディスプレイ装置は、テレビのディスプレイ装置に限らず、上記の外部機器と接続されるタブレット端末またはモニタ、デジタルサイネージ等にも適用される。
【0084】
また、上記説明では、外部同期信号は外部信号源10から送信されるとしたが、当該外部同期信号は映像信号に重畳されていてもかまわない。つまり、ディスプレイ装置20は、受信した映像信号から外部同期信号を抽出及び再生してもかまわない。
【0085】
また、上記説明では、ディスプレイ装置20はPSR駆動に対応しているとしたが、対応していなくてもかまわない。つまり、外部信号源10とディスプレイ装置20とは、PSR駆動に対応するeDP規格に限らず、対応しないeDP規格に準拠したeDPインタフェースを介して接続されていてもかまわない。さらには、V−by−One(登録商標)規格またはDP(Display Port)規格等の双方向通信可能な規格に準拠したインタフェースを介して接続されていてもかまわない。
【0086】
つまり、上記説明では、ディスプレイ装置20の内部同期信号に基づくタイミングでロック信号を送信することにより、PSR有効モードからPSR無効モードへの移行時の表示品位の低下を抑制することとした。しかし、同様の技術はPSR駆動に関する駆動方法以外にも適用することができ、例えば、ディスプレイ装置20の起動時の駆動方法、または、ディスプレイ装置20に接続される外部信号源10が切り替えられた場合の駆動方法等に適用してもかまわない。このような場合であっても、内部同期信号に基づくタイミングでロック信号を送信することにより、外部信号源からの映像信号に基づく映像に切り替える際における、表示品位の低下を抑制することができる。
【0087】
また、上記説明では、フレームメモリ50には、所定の画像を示す情報として、PSR無効モードの最終フレームの画像データが保持されるとしたが、この画像データは、最終フレームの画像データそのものに限らず圧縮された画像データであってもかまわない。また、所定の画像は、会社のロゴマークまたは黒画像等の固定の画像であってもかまわない。
【0088】
また、上記説明では、ディスプレイ装置20は、各画素が有機EL素子を有する有機ELディスプレイ装置であるとしたが、これに限らず、各画素が電流駆動型または電圧駆動型の無機材料からなる発光素子を有してもかまわないし、各画素が液晶表示素子を有する液晶ディスプレイ装置であってもかまわない。
【0089】
また、TCON30及びフレームメモリ50の一部または全部は、典型的には集積回路であるLSIとして実現されてもかまわない。これらは個別に1チップ化されてもかまわないし、一部または全てを含むように1チップ化されてもかまわない。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0090】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもかまわない。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、ディスプレイ装置の駆動方法及び映像表示装置に利用でき、特に高い表示品位が要求されるディスプレイ装置の駆動方法等に最適である。
【符号の説明】
【0092】
1 映像表示装置
10 外部信号源
20 ディスプレイ装置
30 TCON
40 表示部
50 フレームメモリ
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