特許第6561363号(P6561363)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561363
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】臓器装着型電子機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20190808BHJP
   A61B 5/0408 20060101ALI20190808BHJP
   A61B 5/0478 20060101ALI20190808BHJP
   A61B 5/0492 20060101ALI20190808BHJP
   A61B 5/0402 20060101ALI20190808BHJP
   A61B 5/044 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   A61B5/00 L
   A61B5/04 300J
   A61B5/04 310M
   A61B5/04 314K
【請求項の数】44
【全頁数】78
(21)【出願番号】特願2016-546878(P2016-546878)
(86)(22)【出願日】2014年10月2日
(65)【公表番号】特表2016-535649(P2016-535649A)
(43)【公表日】2016年11月17日
(86)【国際出願番号】US2014058768
(87)【国際公開番号】WO2015051085
(87)【国際公開日】20150409
【審査請求日】2017年10月2日
(31)【優先権主張番号】61/885,994
(32)【優先日】2013年10月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/937,187
(32)【優先日】2014年2月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/003,786
(32)【優先日】2014年5月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506175840
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ ユニヴァーシティー オブ イリノイ
(73)【特許権者】
【識別番号】505001269
【氏名又は名称】ワシントン ユニバーシティー イン セント ルイス
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(72)【発明者】
【氏名】ロジャース, ジョン エー.
(72)【発明者】
【氏名】エフィモフ, イゴル
(72)【発明者】
【氏名】グートブロート, サラ
(72)【発明者】
【氏名】シュ, リジ
(72)【発明者】
【氏名】ボニファス, アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ウェッブ, リチャード チャド
(72)【発明者】
【氏名】コー, アヒョン
【審査官】 湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0034912(US,A1)
【文献】 特表2016−539698(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0043416(US,A1)
【文献】 特表2013−514146(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0041235(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
A61B 5/0402
A61B 5/0408
A61B 5/044
A61B 5/0478
A61B 5/0492
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部生物組織と相互作用するデバイスであって、
内表面と外表面とを有する、柔軟性且つ伸縮性を有する基板であり、前記内表面が、前記内部生物組織を囲む容器を規定した、基板と、
前記柔軟性又は伸縮性を有する基板の前記内表面により支持された1つ又は複数のセンサ、アクチュエータ、又は両者を備えた柔軟性且つ伸縮性を有する電子デバイス又はデバイスコンポーネントであり、前記センサ、アクチュエータ、又は両者が、1つ若しくは複数の無機半導体コンポーネント、1つ若しくは複数の金属コンポーネント、又は1つ若しくは複数の無機半導体コンポーネント及び1つ若しくは複数の金属コンポーネントを備え、前記無機半導体コンポーネント、前記金属コンポーネント、又は両者の少なくとも一部が、500ミクロン以下の厚さを有する、電子デバイス又はデバイスコンポーネントと
を備え、
前記柔軟性且つ伸縮性を有する基板及び前記電子デバイス又はデバイスコンポーネントが、前記基板の前記内表面が前記内部生物組織の外面の少なくとも70%とのコンフォーマル接触を確立可能となるほど十分に低い系の正味曲げ剛性を与え、
前記柔軟性且つ伸縮性を有する基板及び電子デバイス又はデバイスコンポーネントが、膨張状態の前記容器の弾性力から接触力を生成し、
前記接触力が、前記内部生物組織からの有害な生理学的反応を回避するのに十分小さく、かつ、前記コンフォーマル接触を維持するのに十分大きい接触圧力に相当し、
前記接触圧力は、10Pa以上、1kPa以下であると共に、前記柔軟性且つ伸縮性を有する基板とコンフォーマル接触した前記内部生物組織の外面において実質的に均一に分布している、デバイス。
【請求項2】
前記膨張状態が、前記内部生物組織を前記容器内に収容する1%〜100%の前記容器の容積の増加である、請求項に記載のデバイス。
【請求項3】
前記コンフォーマル接触が、前記容器内の前記内部生物組織の変形中に維持される、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記容器が、心臓の外面形状を補完する形状を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記容器が、0.1cm以上、2000cm以下の範囲から選択された容器容積を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
100μm以上、800cm以下の範囲から選択された容器表面積を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
ーク圧力が、前記柔軟性且つ伸縮性を有する基板とコンフォーマル接触した前記内部生物組織の前記外面において平均化された前記接触圧力の3倍以下である、請求項1〜のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記内部生物組織が、臓器、血管、骨、これらの任意の組み合わせ、及びこれらの任意の部分から成る群から選択される、請求項1〜のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記内部生物組織が、心外膜に相当する外面を有する心臓を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記容器が、前記内部生物組織を完全に包む、請求項1〜のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記内部生物組織とコンフォーマル接触した状態で流体中に浸漬された、請求項1〜10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記柔軟性且つ伸縮性を有する電子デバイス又はデバイスコンポーネントが、センサのアレイ、アクチュエータのアレイ、又はセンサ及びアクチュエータのアレイを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記アクチュエータが、電極、熱源、圧電素子、音響素子、RFエネルギー源、磁気アクチュエータ、電磁放射源、レーザ、発光ダイオード、並びにこれらの任意のアレイ及び組み合わせから成る群から選択される、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記センサが、電極、歪みセンサ、静電容量センサ、温度センサ、圧力センサ、運動センサ、位置センサ、変位センサ、加速度センサ、力センサ、化学センサ、pHセンサ、容量センサ、光学センサ、光検出器、撮像システム、並びにこれらの任意のアレイ及び組み合わせから成る群から選択される、請求項12に記載のデバイス。
【請求項15】
前記センサ、アクチュエータ、又は前記センサ及び前記アクチュエータの両者が、前記センサ、前記アクチュエータ、又は前記センサ及び前記アクチュエータの両者の下層を成す内部生物組織と同期して移動する、請求項12に記載のデバイス。
【請求項16】
前記柔軟性且つ伸縮性を有する電子デバイス又はデバイスコンポーネントが、多機能である、請求項1〜15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記センサが、内部生物組織の電気活動をマッピングする電極アレイを含み、前記電極が、アレイ状に位置決めされ、互いに1μm〜5mmの間隔を空けており、前記電極が、0.1mm以上、1000mm以下の表面積全体に分布した、請求項12に記載のデバイス。
【請求項18】
前記電極が、心臓の前後両面の電気活動をモニタリングする前記柔軟性且つ伸縮性を有する基板上に分布したアレイを含む、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記センサが、その下層を成す内部生物組織の代謝状態の指標を提供するpHセンサ及び/又はカリウムイオンセンサのアレイを含む、請求項12に記載のデバイス。
【請求項20】
前記pHセンサが、pH、膜電位、カルシウム過渡信号、又はこれらの任意の組み合わせを測定可能である、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記カリウムイオンセンサが、細胞外カリウムイオン濃度、開細胞電圧、又はこれらの任意の組み合わせを測定可能である、請求項19に記載のデバイス。
【請求項22】
前記センサが、温度の空間分布をモニタリングする温度センサアレイを含む、請求項12に記載のデバイス。
【請求項23】
前記温度センサアレイの各温度センサが、温度の変化とともに変動する電気抵抗を有する蛇行導電性ナノワイヤを単独で備えた、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記温度センサアレイにより独立してモニタリングされる前記内部生物組織の空間的に制御された加熱を行う1つ又は複数の熱アクチュエータをさらに備えた、請求項22に記載のデバイス。
【請求項25】
前記1つ又は複数のセンサが、歪みセンサを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項26】
前記電子デバイス又はデバイスコンポーネントが、複数の光源を備えた、請求項1〜25のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項27】
前記光源が、1つ又は複数の発光ダイオード(LED)を含み、前記LEDがそれぞれ、10μm未満の厚さ及び0.25mm未満の表面積を単独で有する、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
電磁スペクトルの可視領域の波長の少なくとも一部に対して透明な光学透明デバイスを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項29】
前記基板の前記内表面が、100μm〜800cmの範囲から選択される前記内部生物組織の前記外面の領域との連続した物理的接触を確立する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項30】
前記柔軟性且つ伸縮性を有する基板及び前記電子デバイス又はデバイスコンポーネントが、1×10−4Nm以下のデバイスの正味屈曲剛性を与えこと、且つ、1nNm以下の正味曲げ剛性を与えること、又はそのいずれか一方である、請求項1〜29のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項31】
前記電子デバイス又はデバイスコンポーネントが、2〜10,000個の前記センサ、前記アクチュエータ、又は両者を備えた、請求項1〜30のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項32】
前記電子デバイス又はデバイスコンポーネントが、少なくとも3つの異なる種類のセンサ、アクチュエータ、又は両者を備えた、請求項1〜31のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項33】
前記センサ、アクチュエータ、又は両者が、蛇行電気的相互接続のネットワークを介して電気的に接続された、請求項1〜32のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項34】
前記センサ、アクチュエータ、又は両者が、オープンメッシュ形状で設けられた、請求項1〜33のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項35】
前記センサ、アクチュエータ、又は両者が、およそ1cm−2〜1mm−2の空間密度を有する、請求項1〜34のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項36】
前記柔軟性且つ伸縮性を有する基板が、1mm以下の厚さを有する、請求項1〜35のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項37】
前記柔軟性且つ伸縮性を有する基板が、500kPa以下の平均弾性率を有する、請求項1〜36のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項38】
前記柔軟性且つ伸縮性を有する基板が、その前記内表面との界面における前記内部生物組織の平均弾性率の50倍以下の平均弾性率を有する、請求項1〜37のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項39】
前記柔軟性且つ伸縮性を有する基板が、前記内部生物組織上に閉じた表面を構成する、請求項1〜38のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項40】
前記柔軟性且つ伸縮性を有する基板が、低弾性率エラストマを含む、請求項1〜39のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項41】
内部生物組織と相互作用するデバイスを作製する方法であって、
柔軟性且つ伸縮性を有する電子デバイス又はデバイスコンポーネントを柔軟性且つ伸縮性を有する基板に移すステップであり、前記柔軟性且つ伸縮性を有する電子デバイス又はデバイスコンポーネントが、1つ又は複数のセンサ、アクチュエータ、又は両者を備え、前記センサ、アクチュエータ、又は両者が、1つ若しくは複数の無機半導体コンポーネント、1つ若しくは複数の金属コンポーネント、又は1つ若しくは複数の無機半導体コンポーネント及び1つ若しくは複数の金属コンポーネントの両者を備え、前記無機半導体コンポーネント、金属コンポーネント、又は両者の少なくとも一部が、500ミクロン以下の厚さを有する、ステップと、
前記内部生物組織の3次元表面形状を補完するように前記柔軟性且つ伸縮性を有する基板を成形することにより、前記内部生物組織の外面の少なくとも70%を受容して囲む容器を作製するステップと、
を含
前記柔軟性且つ伸縮性を有する基板及び電子デバイス又はデバイスコンポーネントが、膨張状態の前記容器の弾性力から接触力を生成し、
前記接触力が、前記内部生物組織からの有害な生理学的反応を回避するのに十分小さく、かつ、前記基板の内表面の、前記内部生物組織の外面へのコンフォーマル接触を維持するのに十分大きい接触圧力に相当し、
前記接触圧力は、10Pa以上、1kPa以下であると共に、前記柔軟性且つ伸縮性を有する基板とコンフォーマル接触した前記内部生物組織の外面において実質的に均一に分布している、方法。
【請求項42】
前記センサ若しくはアクチュエータ、又はその両者が、前記柔軟性且つ伸縮性を有する基板の容器構成表面上に位置決めされている、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記柔軟性且つ伸縮性を有する電子デバイス又はデバイスコンポーネントを、ヒトを除く動物の前記内部生物組織の外面に適用するステップと、
前記生物組織の前記外面に適用された前記柔軟性且つ伸縮性を有する電子デバイス又はデバイスコンポーネントに対して、柔軟性且つ伸縮性を有する層を成型するステップと、
をさらに含む、請求項41又は42に記載の方法。
【請求項44】
前記容器が、それにより囲まれる前記内部生物組織の寸法よりも小さな寸法を有することにより、前記柔軟性且つ伸縮性を有する基板が膨張状態にある場合の弾力性によって使用中のコンフォーマル接触を維持する接触力を前記デバイスと前記内部生物組織との間に生成する、請求項4143のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本願は、2013年10月2日に出願された米国特許仮出願第61/885,994号、2014年2月7日に出願された米国特許仮出願第61/937,187号、及び2014年5月28日に出願された米国特許仮出願第62/003,786号の利益を主張するものであり、それぞれのすべての内容を参照によって本明細書に援用する。
【0002】
[連邦政府による資金提供を受けた研究又は開発に関する記載]
[0002]本発明は、National Institutes of Health授与第R01 HL115415号、第R01 HL114395号、及び第R21 HL112278号並びにNational Science Foundation授与第DGE−1144245号の授与を受けた米国政府の支援により創案したものである。米国政府は、本発明の一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
先進国においては、急性心不全が死因の第1位である。不整脈死の危険がある多くの患者は、器質的心疾患及び以前からの非致死性心室性不整脈を進行させている。これら及び他の場合、診断の補助及び治療的介入の案内には、心臓電気生理学的(EP)特性評価が有用である。従来、この目的の臨床用具では、心臓組織表面の電位を調べる疎らな電極アレイ又は点接触カテーテルを利用していた。マッピング時には、通常、センサが操作され、心臓上の離散位置からの記録を行う。また、これらの局所的な記録を順次組み合わせて、関心領域における心臓電気活動の合成表現を描画する。この手法の反復性によって、EP臨床診断法が長引くため、過渡的な異常拍動の実時間マッピングに遅れが生じる。これらの欠点に対処するため、心室の形状に適合した織布ネットワークに装着されたデバイス、及び心臓EPマッピング用途の蛍光、核磁気共鳴、又は超音波を用いた撮像技術を含む代替手法が開発されているが、それぞれに重大な欠点がある。
【0004】
広範なエレクトロニクス産業における爆発的な成長及び革新にも関わらず、多くの最先端EPデバイスは、その主要な制約として、何十年も前に開発された単純な電子機器/組織界面を採用し続けている。例えば、検知及び刺激用電極は通常、従来の半導体ウェハベースの電子機器を用いた別個の遠隔処理ユニットに対して個別に配線接続された純粋に受動的な金属接点である。高速且つ高解像度のEPマッピングは、最新のシリコンベースの集積回路(IC)技術を組織/電極界面に直接埋め込むことによって、最も効果的に実現される可能性がある。ただし、残念ながら、従来のICは、その付随する平面形状及び硬くて脆い機械的特性のため、心収縮によって周期的に変形する心臓組織の曲線的な柔軟表面との非破壊的且つ十分な一体化が大幅に制限される。
【0005】
近年、多くの特許及び刊行物が柔軟且つ弾力的で埋め込み可能な生理学的マッピング用の電極アレイを開示している。例えば、米国特許出願公開第2007/0043416号は、対象組織と接触して複数の電極が保持された埋め込み可能な柔軟且つ弾性支持部を開示している。同様に、国際公開第98/49936号は、マッピングと関連付けられた信号を検知するとともに心臓組織を切除する弾力的な電極アレイを開示している。米国特許第5,678,737号は、潜在的な分布データの動的表示によって心外膜表面及び心内膜表面の3Dモデルを表示する電気生理学的マッピングシステムを開示している。
【0006】
[0006]米国特許出願公開第2003/0149456号は、従来の単一リード心臓ペーシングパルス発生器による制御を可能とする多重化回路を内蔵した多電極心臓リードアダプタを開示している。同様に、米国特許出願公開第2006/0173364号は、従来の集積回路上に構築されたデジタル多重化回路を利用した多チャンネル電気生理学的収集システムを開示している。米国特許第6,666,821号は、センサが無効となるまで周囲環境との相互作用を防止する関連保護部材を備えた埋め込み可能なセンサアレイシステムを開示している。
【0007】
[0007]心臓EPマッピング及び表皮電子機器用途の組織装着型デバイスに関する他の手法では、ドライ転写によって、薄い柔軟性及び/又は伸縮性の形状因子で高品質の半導体材料を2Dエラストマ基板と一体化している。この手法の例は、2013年2月14日に公開された米国特許出願公開第2013/0041235号及び2012年6月21日に公開された米国特許出願公開第2012/0157804号に記載されており、これらのすべての内容を参照によって本明細書に援用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[0008]これらの進歩にも関わらず、生物組織の広い領域と3D一体化可能なデバイスが大いに求められている。また、直接的なコンフォーマル(conformal)で非侵襲性の一体化によって、臓器機能の効果的な特性評価及び/又は作動を可能とするデバイスが求められている。例えば、従来の材料、デバイス技術、又は撮像診断技術では実現不可能なコンフォーマル且つ高解像度の様態での電気的検知を含むがこれをはるかに超える心臓用途のマルチパラメータマッピング機能を補助するデバイスが依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[0009]本明細書においては、組織装着型の埋め込み可能なデバイスと、医療診断、検知、及び治療用途のデバイスを作製及び使用する方法とが提供される。本発明は、例えば心臓等の臓器の3D表面等、生物組織の3D表面との連続したコンフォーマル界面を確立可能な医療デバイス及び方法を提供する。特定の実施形態のデバイス及び方法は、例えば大きな面積及び複雑な非平面形態を有する組織表面等、組織の物理的、化学的、生化学的、及び熱的特性の実時間モニタリング及び/又は制御を行う能力を提供する。例えば、特定の実施形態のデバイス及び方法は、マイクロ及び/又はナノスケールのセンサ及びアクチュエータのアレイを用いて、温度、pH、イオン濃度、内因性蛍光、空間位置、力、圧力、及び電気生理学等の多様な物理的、化学的、及び生物学的組織パラメータの空間的及び時間的モニタリング及び/若しくは制御並びに/又は熱、光、電圧、及び電流等の多様な刺激の空間的及び時間的に制御された付与を行うことにより、3D組織表面における高密度で大面積のマルチパラメータマッピング及び/又は作動を提供する。マルチパラメータマッピング及び/又は作動は、例えばNADH等の酵素又は化合物からの内因性蛍光等、内因性又は外因性蛍光の分光用の発光ダイオード及び光検出器を備えたデバイスに実装されていてもよい。別の実施形態において、マルチパラメータマッピング及び/又は作動は、センサ及びアクチュエータの両者を備え、アクチュエータの少なくとも一部がペーシング信号を与える一方、センサの少なくとも一部がペーシング信号に対する組織の反応を検出するデバイスに実装されていてもよい。
【0010】
[0010]いくつかの実施形態において、本発明のデバイス及び方法は、伸縮性且つ柔軟性の材料を利用して、縫合糸又は接着剤を用いることなく、組織表面の広い領域とコンフォーマルに相互作用する一方、流体中に完全に浸漬されるようにする。例えば、特定の実施形態において、本デバイスは、伸縮性で高品質(例えば、単結晶、高純度、低欠陥等)の無機半導体構造及び/又は臓器の形状を補完する3D形状を有する弾性膜により支持されたデバイスを組み合わせて、心外膜等の臓器の外面のかなりの部分を統合する。伸縮性の材料の本デバイス構成への組み込みによって、例えば心周期中の反復運動等の物理的変位が起こる組織の3D表面とのコンフォーマル界面を形成して維持する能力がもたらされるため都合が良い。任意選択として、生体適合性及び生体不活性材料の本デバイスでの使用により、生物組織の長期的な非侵襲モニタリング及び相互作用が可能となる。
【0011】
[0011]本発明のデバイス及び方法によれば、例えば組織と内表面との間の界面にセンサ及びアクチュエータを設けたデバイス容器内に組織を囲むことによって、広い組織表面領域との相互作用が可能である。特定の組織構成の場合、本発明のデバイス容器は、臓器、筋肉、血管系、骨等の生物組織体の外表面等、組織の表面領域の70%以上、任意選択として全体とコンフォーマル接触することにより、システムレベルスケールでの高密度生理学的特性評価及び/又は刺激のための本デバイスの適用に対応する能力を提供する。本発明の特定の方法には、組織上に展開して相互作用を図る前にデバイス容器の形状を作るため、臓器の3次元モデルを用いてデバイス容器を作成することを含む。本明細書においては、デバイス製造テンプレートとして3次元モデルを用いることにより、組織がデバイス容器を介して囲まれる際に加わる応力及び力を精密に制御又は最小化することによって、過剰な圧力又は力に起因する相互作用中の組織に対する応力又は損傷のリスクを最小化又は低減する能力がもたらされる。また、本デバイスの製造に3次元モデルを用いることによって、例えば臓器の移動、膨張、又は収縮による組織の物理的変位中のコンフォーマル接触の維持に必要な組織表面に向かう力を与える全体デバイス形状が可能となる。
【0012】
[0012]第1の態様において、本発明は、臓器、血管系、又は骨等の内部生物組織と少なくとも部分的に相互作用するデバイスを提供する。具体的な一実施形態において、この態様のデバイスは、内表面及び外表面を有する柔軟性且つ伸縮性の基板であり、内表面が、内部生物組織を囲む容器を規定した、基板と、柔軟性又は伸縮性の基板の内表面により支持された1つ又は複数のセンサ、アクチュエータ、又は両者を備えた柔軟性且つ伸縮性の電子デバイス又はデバイスコンポーネントであり、センサ、アクチュエータ、又は両者が、1つ若しくは複数の無機半導体コンポーネント、1つ若しくは複数の金属コンポーネント、又は1つ若しくは複数の無機半導体コンポーネント及び1つ若しくは複数の金属コンポーネントを備えた、電子デバイス又はデバイスコンポーネントと、を備える。実施形態において、無機半導体コンポーネント、金属コンポーネント、又は両者の少なくとも一部が、500ミクロン以下、任意選択としていくつかの実施形態では100ミクロン以下、また、任意選択としていくつかの実施形態では10ミクロン以下の厚さを有する。実施形態において、柔軟性且つ伸縮性の基板及び電子デバイス又はデバイスコンポーネントは、基板の内表面が内部生物組織の外面の少なくとも70%、任意選択として少なくとも90%とのコンフォーマル接触、任意選択として、内部生物組織の外面の少なくとも70%、任意選択として少なくとも90%との連続したコンフォーマル接触を確立可能となる十分低い系の正味曲げ剛性を与える。
【0013】
[0013]一実施形態において、このデバイスは、内部生物組織の少なくとも一部、任意選択として全体を囲む。例えば、一実施形態においては、このデバイスのセンサ、アクチュエータ、又は両者の少なくとも一部が内部生物組織と物理的な接触、光学的な接触、熱的な接触、及び/又は流体的な接触の状態にある。例えば、具体的な一実施形態において、柔軟性且つ伸縮性の基板及び電子デバイス又はデバイスコンポーネントは、1×10−4Nm以下、任意選択としていくつかの用途では0.5×10−4Nm以下、また、任意選択としていくつかの用途では0.1×10−4Nm以下のデバイスの正味屈曲剛性を与える。これら及び他の実施形態によれば、複雑な表面形状を有する生物組織と適合及び相互作用する能力と、時間の関数として複雑な運動及び/又は形状変化を起こす生物組織と相互作用する能力とがもたらされるため都合が良い。
【0014】
[0014]本発明のデバイス及び方法は、多くの種類の臓器、筋肉、血管系、及び/又は骨に特有の複雑な表面形状と適合するとともにコンフォーマル性を維持するデバイス固有の能力による様々な生物組織の検知、特性評価、及び作動に特に有用である。開示のデバイスの種々の態様によれば、電子的、光学的、又は熱的な相互作用等、生物組織と直接相互作用するとともに、生体内又は生体外での生物組織の実時間調査を可能とする能力がもたらされる。また、デバイスの柔軟性及び伸縮性によって、時間の関数として形状及び/又はサイズが変化する生物組織と相互作用することにより、生物組織の移動、形状変化、成長、並びに/又はサイズ若しくは体積の減少時の空間的及び時間的な特性評価及び作動を可能にする能力が提供される。例えば、本発明のデバイスは、心周期中の心臓に生じるような随意筋及び/又は不随意筋収縮によって筋肉が移動する際に筋肉組織と相互作用する能力を提供する。本システム及び方法のこの態様によれば、臓器機能の特性評価及び治療のための高度なシステムレベル診断及び治療機能が可能となる。
【0015】
[0015]例えば、種々実施形態において、内部生物組織は、臓器、血管、筋肉、骨、これらの任意の組み合わせ、及びこれらの任意の部分から成る群から選択される。一実施形態において、デバイスとコンフォーマル接触した生物組織は、心外膜組織である。例えば、いくつかの実施形態において、内部生物組織は、時間的に変動する外面形状を有する。例えば、具体的な一実施形態において、内部生物組織は、心外膜に相当する外面を有する心臓を含む。実施形態において、内部生物組織とコンフォーマル接触したデバイスは、流体中に浸漬されている。例えば、組織は、任意選択として、体液、食塩溶液、又は水中に浸漬されている。いくつかの実施形態において、このデバイスは、環境からの血液又は水性の生理的イオン溶液等の流体がデバイスの内部層に浸透するのを防止する1つ又は複数のバリア層を具備する。また、このような構成は、任意選択として、センサ、アクチュエータ、及び/又は電気的相互接続から組織への漏れ電流/センサ、アクチュエータ、及び/又は電気的相互接続への漏れ電流をデバイス界面で防止又は抑制することにより、電流、電子バイアス等によるこれらの損傷のリスクを抑制又は最小化する。任意選択として、漏れ電流の最小化又は抑制は、検知、作動、及び/又は相互接続コンポーネントを動作電子状態に維持する。具体的な一実施形態において、内部生物組織は、生体外移植片を含む。例示的な一実施形態において、内部生物組織は、生きている動物の組織を含む。
【0016】
[0016]上述の通り、本発明のデバイス及び方法は、非平面形状若しくは不均一湾曲形状を有する生物組織又は時間の関数として形状及び/又はサイズが変化する生物組織等とコンフォーマル接触する能力を提供するため都合が良い。例えば、いくつかの実施形態において、コンフォーマル接触は、デバイスと組織表面との間の物理的接触、電気的接触、熱的接触、又はこれらの任意の組み合わせを与える。本明細書に開示のデバイス及びデバイスコンポーネントの種々特性によれば、伸縮性及び柔軟性という全体特性のほか、曲げ剛性、弾力性、形状、組成、厚さ等の材料特性も含めて、生物組織とコンフォーマル接触するこの能力がもたらされる。本明細書に記載のデバイスのコンフォーマル構成は、少なくともいくつかの実施形態の場合、デバイスをそれぞれの中立的な歪みのない構成に戻すように作用する弾性力又は復元力等、デバイス内に発生する内部力が補助している。伸縮性及び/若しくは柔軟性のデバイス並びにその材料が伸張して膨張構成となった場合は、別の物体を囲むのに用いられる形状等、特にデバイスが閉鎖型の形状で設けられている場合、デバイス及び材料内の弾性力の使用により、デバイス又は材料の下層を成す表面とのコンフォーマル接触を維持することができる。
【0017】
[0017]いくつかの実施形態において、柔軟性且つ伸縮性の基板及び電子デバイス又はデバイスコンポーネントは、使用中に内部生物組織の外面とのコンフォーマル接触を維持する接触力を生成する。例えば、一実施形態において、接触力は、膨張状態の容器の弾性力によって生成される。例えば、任意選択として、柔軟性且つ伸縮性の基板の少なくとも一部の伸張により容器が膨張して膨張状態となる一方、復元力がこの膨張に抵抗して、柔軟性且つ伸縮性の基板が歪みのない構成である中立的な構成に容器を戻そうとする際に弾性力を付与する。例えば、例示的な一実施形態において、膨張状態は、内部生物組織を容器内に収容する1%〜100%、任意選択としていくつかの用途では10%〜100%の範囲から選択される容器の容積の増加である。実施形態において、コンフォーマル接触は、容器内の内部生物組織の変形中に維持される。例えば、容器内の生物組織が移動又は膨張若しくは収縮した場合、コンフォーマル接触は、任意選択として維持される。
【0018】
[0018]実施形態において、接触力は、内部生物組織からの有害な生理学的反応を回避するのに十分小さな接触圧力に相当する。例えば、具体的な実施形態において、接触圧力は、10Pa以上、1kPa以下である。いくつかの実施形態の場合、接触圧力は、柔軟性且つ伸縮性の基板とコンフォーマル接触した内部生物組織の外面において実質的に均一に分布している。任意選択として、ピーク圧力は、柔軟性且つ伸縮性の基板とコンフォーマル接触した内部生物組織の外面において平均化された接触圧力の3倍以下である。特定の実施形態において、接触力は、内部生物組織の形状変化とともに変動する。例えば、いくつかの実施形態において、接触力は、内部生物組織の形状が膨張している場合により大きく、内部生物組織の形状が収縮している場合により小さい。
【0019】
[0019]実施形態において、容器は、内部生物組織の外面形状を補完する形状、任意選択として、デバイス製造テンプレートとしてモデルを使用した特殊な形状を有する。例えば、具体的な一実施形態において、容器は、心臓又は別の臓器の外面形状を補完する形状又は外面形状を模倣した形状を有する。例示的な実施形態において、容器は、内部生物組織の少なくとも一部、任意選択として全体を包む。特定の実施形態においては、容器に開口が設けられることにより、血管又は他の流体若しくは神経系路等を介して、包まれた内部生物組織が身体との生理学的つながりを維持可能である。
【0020】
[0020]任意選択として、実施形態においては、0.1cm以上、2,000cm以下の範囲から選択される容器容積を容器が有する。任意選択として、実施形態においては、100μm以上、800cm以下の範囲から選択される容器表面積を容器が有する。例えば、一実施形態において、このデバイスは、被験者の心臓又は他の臓器等、選択された対象組織に対応する容器容積及び表面積を特徴とする容器を有する。例えば、一実施形態において、容器容積は、内部生物組織の経時的な体積又は表面形状の変化に適応するように変動する一方、接触力は、コンフォーマル接触を維持するのに十分大きく、有害な生理学的反応を回避するのに十分小さい状態を保つ。例えば、一実施形態において、容器面積は、内部生物組織の経時的な面積又は表面形状の変化に適応するように変動する一方、接触力は、コンフォーマル接触を維持するのに十分大きく、有害な生理学的反応を回避するのに十分小さい状態を保つ。
【0021】
[0021]本発明のデバイス及び方法は、1つ又は複数のセンサ、アクチュエータ、又は両者を用いて生物組織を調査し、相互作用する能力を提供する。本明細書において、センサという用語は、物理量若しくは物性、電気的若しくは磁気的特性、光学的特性、熱的特性、又は化学的特性の調査に用いられる電子デバイス又はデバイスコンポーネントに関する。本明細書において、アクチュエータという用語は、物理量若しくは物性、電気的若しくは磁気的特性、光学的特性、熱的特性、又は化学的特性の制御に用いられる電子デバイス又はデバイスコンポーネントに関する。種々実施形態においては、本明細書に記載のデバイス及び方法と併せて用いられるセンサ及びアクチュエータにより、生物組織の種々特性の実時間測定及び制御が可能となる。
【0022】
[0022]種々実施形態において、柔軟性且つ伸縮性の電子デバイス又はデバイスコンポーネントは、センサのアレイ、アクチュエータのアレイ、又はセンサ及びアクチュエータのアレイを含む。任意選択として、いくつかの実施形態の場合、センサ、アクチュエータ、又はセンサ及びアクチュエータの両者が、センサ、アクチュエータ、又はセンサ及びアクチュエータの両者の下層を成す内部生物組織と同期して移動する。
【0023】
[0023]本発明のデバイス及び方法とは、多様なアクチュエータが有用である。例えば、実施形態において、デバイスの各アクチュエータ又は方法に用いられる各アクチュエータは、電極、熱源、圧電素子、音響素子、RFエネルギー源、磁気アクチュエータ、電磁放射源、レーザ、発光ダイオード、並びにこれらの任意のアレイ及び組み合わせから成る群から単独で選択される。
【0024】
[0024]本発明のデバイス及び方法とは、多様なセンサが有用である。例えば、実施形態において、デバイスの各センサ又は方法に用いられる各センサは、電極、歪みセンサ、静電容量センサ、温度センサ、圧力センサ、運動センサ、位置センサ、変位センサ、加速度センサ、力センサ、化学センサ、pHセンサ、容量センサ、光学センサ、光検出器、撮像システム、並びにこれらの任意のアレイ及び組み合わせから成る群から単独で選択される。
【0025】
[0025]例示的な実施形態において、電子デバイス又はデバイスコンポーネントは、センサ及びアクチュエータの両者を備える。例えば、いくつかの実施形態において、電子デバイス又はデバイスコンポーネントは、2〜10,000個のセンサ、アクチュエータ、又は両者を備える。例示的な実施形態において、柔軟性且つ伸縮性の電子デバイス又はデバイスコンポーネントは、多機能である。例えば、いくつかの実施形態において、電子デバイス又はデバイスコンポーネントは、少なくとも3つの異なる種類のセンサ、アクチュエータ、又は両者を備える。
【0026】
[0026]本発明のデバイスに伸縮性及び柔軟性を付与するため、任意選択として特定の特徴を組み込むことにより、デバイスのセンサ及びアクチュエータは、有用且つ確実な導電性を維持しつつ、相対運動を行うことができる。例えば、いくつかの実施形態において、センサ、アクチュエータ、又は両者は、メッシュ又は蛇行電気的相互接続等の伸縮性の相互接続のネットワークを介して電気的に接続されている。いくつかの実施形態において、伸縮性の相互接続は、少なくとも部分的に自立しているか、又はテザー形状を有する。例えば、いくつかの実施形態において、センサ、アクチュエータ、又は両者は、オープンメッシュ形状で設けられている。例えば、いくつかの実施形態において、センサ、アクチュエータ、又は両者は、例えば弾性基板により支持され、伸縮性の相互接続等のブリッジ構造を介して相互接続された畝状の半導体デバイス又はデバイスコンポーネントを備えたアイランド/ブリッジ形状で設けられている。任意選択として、特定の実施形態の場合、センサ、アクチュエータ、又は両者は、およそ1cm−2〜1mm−2の空間密度を有する。
【0027】
[0027]具体的な一実施形態において、柔軟性且つ伸縮性の電子デバイス又はデバイスコンポーネントは、内部生物組織の電気活動をマッピングする電極を備える。例えば、いくつかの実施形態において、電極は、アレイ状に位置決めされ、互いに1μm〜5mmの間隔を空けており、任意選択としていくつかの用途では互いに1mm〜5mmの間隔を空けている。任意選択として、実施形態においては、0.1mm以上、1000mm以下の表面積に電極が分布している。例示的な一実施形態において、電極は、心臓の前後両面の電気活動をモニタリングする柔軟性且つ伸縮性の基板上に分布したアレイを含む。
【0028】
[0028]特定の実施形態において、センサは、pHセンサを含む。実施形態においては、pHセンサの使用により、センサの下層を成す内部生物組織の代謝状態の指標をモニタリング又は検知する能力がもたらされて都合が良い。例えば、一実施形態において、pHセンサは、電極表面上に酸化イリジウム(IrO)層を備える。例えば、一実施形態において、pHセンサは、任意選択として1つ又は複数の他のセンサとの組み合わせにより、pH、膜電位、カルシウム過渡信号、又はこれらの任意の組み合わせを測定可能である。
【0029】
[0029]特定の実施形態において、センサは、温度センサアレイ、例えば温度の空間分布をモニタリングする温度センサアレイを含む。例えば、一実施形態において、温度センサアレイの各温度センサは、温度の変化とともに変動する電気抵抗を有する蛇行導電性ナノワイヤを単独で備える。例えば、実施形態において、各温度蛇行導電性ナノワイヤの長さ、抵抗、及び/又はコンダクタンスは、多様な空間位置における温度を独立して測定する能力をもたらすように選択される。
【0030】
[0030]特定の実施形態において、アクチュエータは、例えば内部生物組織の空間的に制御された加熱を行う1つ又は複数の熱アクチュエータを含む。任意選択として、空間的に制御された加熱は、上記のような温度センサアレイにより独立してモニタリングされる。
【0031】
[0031]特定の実施形態において、1つ又は複数のセンサは、歪みセンサを含む。例えば、一実施形態において、歪みセンサは、互いに異なる方向に配向した複数のpドープSi圧電抵抗であり、それぞれが蛇行電気的相互接続に対して電気的に接続された、圧電抵抗を備える。具体的な一実施形態において、この態様のデバイスは、ロゼット構成に配置された3つの圧電抵抗であり、2つの圧電抵抗がSiの<110>結晶方向に整列し、3つ目の圧電抵抗がSiの<100>結晶方向に整列した、圧電抵抗を備える。このような構成によれば、任意選択として、圧電抵抗歪み測定の温度変動を補償及び/又は補正する能力がもたらされる。
【0032】
[0032]特定の実施形態において、電子デバイス又はデバイスコンポーネントは、複数の光源を備える。例えば、一実施形態において、光源は、1つ又は複数の発光ダイオード(LED)を含む。任意選択として、実施形態においては、LEDがそれぞれ10μm未満の厚さ及び0.25mm未満の表面積を単独で有する。任意選択として、実施形態においては、LEDがリン化アルミニウムガリウムインジウム(AlInGaP)を含む。具体的な一実施形態において、光源は、内部生物組織の表面の光学的マッピングを与える。例えば、一実施形態において、光源は、その下層を成す内部生物組織の活動電位をモニタリングしてマッピングする。
【0033】
[0033]一実施形態において、本発明のデバイスは、埋め込み可能な組織装着型デバイス等の埋め込み可能なデバイスである。例えば、一実施形態において、本発明のデバイスは、臓器の少なくとも70%、任意選択としていくつかの用途では臓器の少なくとも90%を囲む。一実施形態において、本発明は、例えば電磁スペクトルの可視領域の波長の少なくとも一部に対して透明なため、下層の生物組織の少なくとも一部を可視化可能な光学透明デバイスを提供する。例えば、一実施形態において、基板の内表面は、内部生物組織の外面の少なくとも70%、任意選択としていくつかの用途では内部生物組織の外面の少なくとも90%との連続した物理的接触を確立する。例えば、一実施形態において、基板の内表面は、100μm〜800cmの範囲から選択される内部生物組織の外面の領域との連続した物理的接触を確立する。例えば、一実施形態において、柔軟性且つ伸縮性の基板及び電子デバイスは、1nNm以下、任意選択として0.5nNm以下のデバイスの正味曲げ剛性を与える。例えば、一実施形態において、柔軟性且つ伸縮性の基板及び電子デバイスは、0.1〜1nNm、任意選択として0.1〜0.5nNm、また、任意選択として0.2nNm〜1nNmの範囲で選択されるデバイスの正味曲げ剛性を与える。
【0034】
[0034]本明細書に記載のデバイス及び方法とは、多様な柔軟性且つ伸縮性の基板が有用である。柔軟性且つ伸縮性の基板の特性、形状、及び化学的同一性は、任意選択として、コンフォーマル構成の採用、生物組織との生体適合、或いは生物組織との相互作用をデバイスが行えるように選択される。一実施形態において、柔軟性且つ伸縮性の基板は、低弾性率エラストマを含む。例えば、実施形態において、柔軟性且つ伸縮性の基板は、ポリマー、無機ポリマー、有機ポリマー、プラスチック、エラストマ、バイオポリマー、熱硬化性樹脂、ゴム、織物、紙、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される材料を含む。一実施形態において、柔軟性且つ伸縮性の基板は、低弾性率エラストマを含む。
【0035】
[0035]例えば、いくつかの実施形態において、柔軟性且つ伸縮性の基板は、10mm以下の厚さ、任意選択として1mm以下の厚さ、また、任意選択として500μm以下の厚さを有する。例えば、いくつかの実施形態において、柔軟性且つ伸縮性の基板は、500kPa以下の平均弾性率を有する。例えば、いくつかの実施形態において、柔軟性且つ伸縮性の基板は、0.5kPa〜500kPaの範囲で選択される平均弾性率を有する。例えば、いくつかの実施形態において、柔軟性且つ伸縮性の基板は、その内表面との界面における内部生物組織の平均弾性率の50倍以下の平均弾性率を有する。
【0036】
[0036]例示的な実施形態において、柔軟性且つ伸縮性の基板は、内部生物組織上に閉じた表面を構成する。例示的な実施形態において、柔軟性且つ伸縮性の基板は、生体適合性材料又は生体不活性材料を含む。
【0037】
[0037]本明細書に提供のデバイスは、任意選択として、電子デバイス又はデバイスコンポーネントの形状及び特性の観点でさらに記述される。例えば、一実施形態において、センサ、アクチュエータ、又は両者は、薄膜半導体構造等の単結晶無機半導体構造等、1つ又は複数の無機半導体構造を含む。例えば、一実施形態において、センサ、アクチュエータ、又は両者は、薄膜金属構造等の1つ又は複数の金属構造を含む。例えば、1つ若しくは複数の無機半導体コンポーネント又は1つ若しくは複数の金属導体コンポーネントは、極薄構造を単独で含んでいてもよい。例えば、1つ若しくは複数の無機半導体コンポーネント又は1つ若しくは複数の金属導体コンポーネントは、1つ又は複数の薄膜構造を単独で含んでいてもよいし、10nm〜100μmの範囲から選択される厚さを単独で有していてもよいし、100nm以下の厚さを単独で有していてもよい。一態様においては、デバイスのうちのいずれもが、ナノ膜構造、多結晶半導体材料、単結晶半導体材料、又はドープ多結晶若しくは単結晶半導体材料を単独で含む無機半導体コンポーネント等、1つ又は複数の無機半導体コンポーネントを備えていてもよい。良好な柔軟性又は伸縮性を与えるため、無機半導体コンポーネント又は1つ若しくは複数の金属導体コンポーネントのうちの少なくとも1つは、任意選択として、柔軟性又は伸縮性の構造である。柔軟性又は伸縮性の構造は、相対的に低い伸縮性又は柔軟性となる傾向のアイランド構造等を接続する相互接続であってもよい。このように、相互接続は、伸張又は屈曲に伴う応力及び歪みに適応するようになっていてもよい。一態様において、無機半導体コンポーネント又は1つ若しくは複数の金属導体コンポーネントのうちの少なくとも1つは、ナノリボン、ナノ膜、ナノワイヤ、トランジスタチャネル、ダイオード、p−n接合、フォトダイオード、発光ダイオード、レーザ、又はこれらの任意の組み合わせである。一態様において、無機半導体コンポーネント又は1つ若しくは複数の金属導体コンポーネントのうちの少なくとも1つは、0.5MPa〜10GPaの範囲から選択されるヤング率を有する。一態様において、無機半導体コンポーネント又は1つ若しくは複数の金属導体コンポーネントのうちの少なくとも1つは、1×10GPa・μm以下の正味曲げ剛性を有する。
【0038】
[0038]別の態様においては、デバイスの作製方法が提供される。例えば、一実施形態において、本発明は、内部生物組織と相互作用するデバイスを作製する方法を提供する。この態様の方法の例示的な一実施形態は、柔軟性且つ伸縮性の電子デバイス又はデバイスコンポーネントを柔軟性且つ伸縮性の基板に移すステップであり、柔軟性且つ伸縮性の電子デバイス又はデバイスコンポーネントが、1つ又は複数のセンサ、アクチュエータ、又は両者を備え、当該センサ、アクチュエータ、又は両者が、1つ若しくは複数の無機半導体コンポーネント、1つ若しくは複数の金属コンポーネント、又は1つ若しくは複数の無機半導体コンポーネント及び1つ若しくは複数の金属コンポーネントの両者を備え、無機半導体コンポーネント、金属コンポーネント、又は両者の少なくとも一部が、500ミクロン以下の厚さを有する、ステップと、内部生物組織の3次元表面形状に対して実質的に適合するように柔軟性且つ伸縮性の基板を成形することにより、内部生物組織の外面の少なくとも70%を受容して囲む容器を作製するステップと、を含む。種々の実施形態において、この態様の方法には、上述のデバイスの実施形態のうちのいずれか等、内部生物組織と相互作用するデバイスを作製する方法を含む。
【0039】
[0039]具体的な一実施形態において、センサ、アクチュエータ、又は両者は、柔軟性且つ伸縮性の基板の容器構成表面上に位置決めされている。例示的な一実施形態において、この態様の方法は、柔軟性且つ伸縮性の電子デバイス又はデバイスコンポーネントを生物組織の外面に適用するステップと、生物組織の外面に適用された柔軟性且つ伸縮性の電子デバイス又はデバイスコンポーネントに対して、柔軟性且つ伸縮性の層を成型するステップと、をさらに含む。
【0040】
[0040]具体的な一実施形態において、容器は、それにより囲まれる内部生物組織の寸法よりも小さな寸法を有することにより、柔軟性且つ伸縮性の基板が膨張状態にある場合の弾力性によって使用中のコンフォーマル接触を維持する接触力をデバイスと内部生物組織との間に生成する。例えば、例示的な実施形態において、接触力は、10Pa以上、1kPa以下の範囲から選択される接触圧力に相当する。一実施形態において、接触力は、デバイスの使用中に内部生物組織からの有害な生理学的反応を引き起こさない接触圧力に相当する。
【0041】
[0041]別の態様において、本発明は、内部生物組織等の組織と相互作用する方法を提供する。一実施形態において、この態様の例示的な一方法は、柔軟性又は伸縮性の基板の内表面により支持された1つ又は複数のセンサ、アクチュエータ、又は両者を備えた柔軟性且つ伸縮性の電子デバイス又はデバイスコンポーネントを備えたデバイスを用意するステップであり、センサ、アクチュエータ、又は両者が、1つ若しくは複数の無機半導体コンポーネント、1つ若しくは複数の金属コンポーネント、又は1つ若しくは複数の無機半導体コンポーネント及び1つ若しくは複数の金属コンポーネントの両者を備え、無機半導体コンポーネント、金属コンポーネント、又は両者の少なくとも一部が、500ミクロン以下の厚さを有しており、柔軟性又は伸縮性の基板の内表面が、容器を規定した、ステップと、容器を膨張状態まで膨張させるステップと、膨張状態の容器内で内部生物組織を囲むことにより、デバイスに対して内部生物組織をコンフォーマルに装着して囲むとともに、内部生物組織と相互作用する弾性接触力を生成するステップであり、デバイスが、内部生物組織の外面の少なくとも70%を囲む、ステップと、を含む。種々の実施形態において、この態様の方法は、上述のデバイスの実施形態のうちのいずれか等、内部生物組織と相互作用するデバイスを用意するステップを含む。
【0042】
[0042]具体的な一実施形態において、コンフォーマルに装着して囲むステップは、デバイスの使用中に、内部生物組織からの有害な生理学的反応を引き起こすことなく、コンフォーマル接触を維持するのに十分大きな平均接触圧力をデバイスと上記装着して囲んだ内部生物組織との間に生成することをさらに含む。
【0043】
[0043]特定の実施形態において、本発明は、患者等の被験者への埋め込み可能なデバイス又は表面装着型デバイスの導入を包含する。本明細書においては、「患者」又は「被験者」を同等に使用しており、動物を表す。特に、動物は、哺乳類を表し、人間が好ましい。被験者は、(1)本発明の埋め込み可能なデバイス又は組織装着型デバイスの導入によってモニタリング、診断、防止、及び/又は治療可能な状態を有する可能性があってもよいし、(2)本発明の埋め込み可能なデバイス又は組織装着型デバイスの導入によってモニタリング、診断、防止、及び/又は治療可能な状態の影響を受ける可能性があってもよい。一実施形態において、この態様の方法は、例えば疾患、疾患の傾向、又は他の病的状態にある被験者等、治療を要する被験者に本発明のデバイスを導入するステップをさらに含む。本デバイス及び方法は、不整脈、虚血、低酸素症、及び心不全等、心臓病及び心疾患を含む様々な疾患又は他の病的状態の治療及び管理に特に有用である。
【0044】
[0044]本明細書においては、任意特定の理論による制約を望むことなく、本明細書に開示のデバイス及び方法に関する基本原理の考え方又は了解事項を論じる場合がある。また、如何なる機構的な説明又は仮説の究極的な正確さにも関わらず、本発明の一実施形態が有効且つ有用となり得ることが認められる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1A】組織と相互作用する本発明の方法の一実施形態の概要を示した模式図である。
図1B】組織と相互作用する本発明の方法の一実施形態の概要を示した模式図である。
図1C】組織と相互作用する本発明の方法の一実施形態の概要を示した模式図である。
図1D】組織と相互作用する本発明の方法の一実施形態の概要を示した模式図である。
図1E】組織と相互作用する本発明の方法の一実施形態の概要を示した模式図である。
図1F】組織と相互作用する本発明の方法の一実施形態の概要を示した模式図である。
図1G】組織と相互作用する本発明の方法の一実施形態の概要を示した模式図である。
図1H】柔軟性且つ伸縮性の電子デバイスを作製する方法の実施形態を示した模式図である。
図1I】柔軟性且つ伸縮性の電子デバイスを作製する方法の実施形態を示した模式図である。
図1J】柔軟性且つ伸縮性の電子デバイスを作製する方法の別の実施形態を示した模式図である。
図1K】内部生物組織と相互作用するデバイスを作製する方法の例示的な一実施形態の概要を示した図である。
図1L】内部生物組織と相互作用する方法の例示的な一実施形態の概要を示した図である。
図2A】心外膜表面全体にわたって時空間測定/刺激を行う3D多機能外皮膜(3D−MIM)の概要を示した図であって、デバイス設計及び製造の重要なステップの図式描写である。
図2B】心外膜表面全体にわたって時空間測定/刺激を行う3D多機能外皮膜(3D−MIM)の概要を示した図であって、ランゲンドルフ灌流ラビット心臓に統合された代表的な3D−MIMの画像を示している。
図2C】心外膜表面全体にわたって時空間測定/刺激を行う3D多機能外皮膜(3D−MIM)の概要を示した図であって、心外膜とコンフォーマル接触した機能要素の拡大図である。
図3A】3D−MIMの統合に伴う心外膜の圧力を解析した図であって、心臓形状の様々な体積膨張状態における総厚150μm、有効ヤング率60kPaのデバイスによる計算圧力分布を示している。
図3B】3D−MIMの統合に伴う心外膜の圧力を解析した図であって、膜の体積膨張(左)、厚さ(中央)、及びヤング率(右)の関数としての平均圧力のFEM及び解析結果を示している。
図4A】高密度電気的マッピングの概要を示した図であって、ランゲンドルフ灌流ラビット心臓上の対応する色付き電極位置から同時に取得した代表的な光信号及び電気信号を示している。
図4B】高密度電気的マッピングの概要を示した図であって、代表的な光学活動電位(OAP)、単極電位図(EG)、及び興奮伝達時間の位置の模式図(上)並びに種々の状態で試験した心臓の電気的及び光学的興奮伝達時間の相関(下)を示した図である。
図4C】高密度電気的マッピングの概要を示した図であって、電気的及び光学的測定結果から決定した補間空間的興奮マップを示している。
図4D】高密度電気的マッピングの概要を示した図であって、心臓の前後両面からの電気信号の3Dマッピングを示している。
図5A】膜電位及びカルシウム過渡信号の同時光学的マッピングとともに高密度pHマッピングを示した図であって、ランゲンドルフ灌流ラビット心臓に統合されたpHセンサアレイについて、2個のpHセンサを強調した3D−MIMを示しており、値を図5Bに表示する。
図5B】膜電位及びカルシウム過渡信号の同時光学的マッピングとともに高密度pHマッピングを示した図であって、30分間の再灌流が後続する30分間の無血流虚血中のpHの時間的変化を示している。
図5C】膜電位及びカルシウム過渡信号の同時光学的マッピングとともに高密度pHマッピングを示した図であって、基礎値及び再灌流誘起VTにおける代表的なファーフィールドECGを示している。
図5D】膜電位及びカルシウム過渡信号の同時光学的マッピングとともに高密度pHマッピングを示した図であって、基礎値における32個のセンサのpHマップ(左)、代表的な膜電位及びカルシウム過渡信号(中央)、及びAPD70−CaT70マップ(右)を示している。
図5E】膜電位及びカルシウム過渡信号の同時光学的マッピングとともに高密度pHマッピングを示した図であって、10分間の無血流虚血における32個のセンサのpHマップ(左)、代表的な膜電位及びカルシウム過渡信号(中央)、及びAPD70−CaT70マップ(右)を示している。
図5F】膜電位及びカルシウム過渡信号の同時光学的マッピングとともに高密度pHマッピングを示した図であって、20分間の再灌流における32個のセンサのpHマップ(左)、代表的な膜電位及びカルシウム過渡信号(中央)、及びAPD70−CaT70マップ(右)を示している。
図6A】集積μ−ILEDを用いた高密度の温度及び歪み検知、並びに撮像を示した図であって、3D−MIMの適用による低温灌流中の温度モニタリングを示している。
図6B】集積μ−ILEDを用いた高密度の温度及び歪み検知、並びに撮像を示した図であって、切除実験中の温度測定結果を示している。
図6C】集積μ−ILEDを用いた高密度の温度及び歪み検知、並びに撮像を示した図であって、代表的な生理学的条件下でのSi歪みセンサの応答を同時ECG記録と比較して示している。
図6D】集積μ−ILEDを用いた高密度の温度及び歪み検知、並びに撮像を示した図であって、光学的マッピング実験におけるμ−ILEDアレイを備えた3D−MIMの画像であり、差し込み図が代表的なμ−ILEDの周りの領域の拡大図である画像(左)並びに3D−MIM上のμ−ILEDを用いた励起中及び外部の光学的励起中それぞれに記録した代表的な画素(左の差し込み図の青色ドット)からの光信号の比較(右)を示している。
図7A】デバイスの一実施形態の機械的解析を示した図であって、解析モデル用の長短軸の長さがa及びbの部分非対称楕円の模式図である。
図7B】デバイスの一実施形態の機械的解析を示した図であって、2方向に沿って電子デバイスを有する場合及び有しない場合の3D−MIMの剛性の比較を示している。
図8A】3D−MIMを適用した鼓動している心臓の安定性を示した図であって、心臓上に3D−MIMを有する場合及び有しない場合の大動脈における圧力波形及び鼓動している心臓の準備中の虚血の電気生理学的インジケータの経時比較を示している。
図8B】3D−MIMを適用した鼓動している心臓の安定性を示した図であって、3D−MIM群及び対照群の安定時間の最初と最後の例示的なトレースを示している。
図9】高精度ECG及びpHマッピング用電極アレイの設計の概要を示した図であって、差し込み図がそれぞれ、金電極、電着IrOを有する電極、並びにPI基部及び封入層を備えた相互接続の拡大画像である。
図10】リン酸緩衝生理食塩水中で測定した代表的な3D−MIM金電極の電気化学的インピーダンス分光法(EIS)データを示した図である。
図11A】心拍動及び心停止条件下での3D−MIM電気生理学的測定結果の信号品質の比較を示した図であって、QRS及びT波の様々な形態を捕捉した心拍動条件下での表面電位図記録を示している。
図11B】心拍動及び心停止条件下での3D−MIM電気生理学的測定結果の信号品質の比較を示した図であって、QRS及びT波の様々な形態を捕捉した心停止条件下での表面電位図記録を示している。
図11C】心拍動及び心停止条件下での3D−MIM電気生理学的測定結果の信号品質の比較を示した図であって、測定結果の信号対雑音比(SNR)の比較を示している。
図12A】3D−MIMによる再分極pパラメータの空間的マッピングを示した図であって、QRS群後の最大−dV/dtから最大dV/dtまでの興奮回復間隔(ARI)を規定するとともに最大dV/dtから80%回復までの80%再分極(APD80)の活動電位持続時間を規定する検証用の対応する光学的トレースを重ね合わせたデバイスからの代表的な電気的トレースを示している。
図12B】3D−MIMによる再分極pパラメータの空間的マッピングを示した図であって、電位図による興奮回復間隔と多様な条件による対応する光学的な活動電位持続時間との間の相関を示している。
図12C】3D−MIMによる再分極pパラメータの空間的マッピングを示した図であって、電気デバイス及び光学的マッピングによる再分極パラメータの代表的な空間的再構成を示している。
図13】pHセンサの較正を表すデータを示した図である。
図14】温度センサアレイの設計の概要を示した図であって、差し込み図が温度検知用金蛇行トレースの拡大図である。
図15】温度センサの較正を表すデータを示した図である。
図16】(A)は、Si歪みセンサアレイを内蔵したデバイスの画像を示した図であって、Si歪みセンサアレイの設計の概要及び光学顕微鏡像を示しており、差し込み図がロゼット構成に配置された3つのpドープSi圧電抵抗の光学顕微鏡像である。(B)は、Si歪みセンサアレイを内蔵したデバイスの画像を示した図であって、ランゲンドルフ灌流ラビット心臓にSi歪みセンサアレイが統合された3D−MIMの画像を示している。
図17】Si歪みセンサの引張試験を表すデータを示した図である。
図18】光学的マッピング実験用のμ−ILEDアレイの設計の概要を示した図である。
図19A】光学的マッピング実験用のμ−ILEDの特性を表すデータを示した図であって、光学的マッピング実験用の3D−MIMに統合された代表的なμ−ILEDのI−V特性を示している。
図19B】光学的マッピング実験用のμ−ILEDの特性を表すデータを示した図であって、光学的マッピング実験用の3D−MIMに統合された代表的なμ−ILEDの発光スペクトルを示している。
図19C】光学的マッピング実験用のμ−ILEDの特性を表すデータを示した図であって、光学的マッピング実験用の3D−MIMに統合された代表的なμ−ILEDの光出力パワーを示している。
図20】ランゲンドルフ灌流ラビット心臓実験用の3D−MIMを操作する治具を示した写真である。
図21】ランゲンドルフ灌流ラビット心臓実験及び光学的マッピング用の実験設定を示した写真である。
図22】3D形状を形成する積層プロセスに用いられる機器を示した写真である。
図23】心外膜電気療法を与えるデバイスの光学像を示した図である。
図24】心外膜電気療法を与えるデバイスの光学像を示した図である。
図25】心臓組織の低エネルギー除細動方法の概要を示した図である。
図26】デバイスの2つの実施形態の電極構成を比較する光学像を示した図である。
図27】金正方形電極、金フラクタル状電極、及び白金フラクタル状電極の電気的インピーダンスの比較を表すデータを示した図である。
図28】低インピーダンス材料(Pt−Ir;ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS))を被覆したフラクタル状金電極の顕微鏡写真及び対応する電気化学的インピーダンス分光法データを示した図である。
図29】フラクタル状電極の場合の機械的応力対歪みのデータを示した図である。
図30】ランゲンドルフ灌流ラビット心臓に印加されている電気ショックを検出するデバイスにより得られた動物実験データを示した図である。
図31】別のデバイス電極により熱が印加された場合の1つ又は複数の電極の温度変化を検出するデバイスにより得られた動物実験データを示した図である。
図32】DI水中のカリウムイオン選択電極(ISE)の開回路電圧対時間を示した図である。
図33】生体(タイロード)液中のカリウムイオン選択電極(ISE)の開回路電圧を示した図である。
図34】ランゲンドルフ灌流ラビット心臓へのデバイスの適用による一連の局所的及び全体的な虚血事象にわたる左右心室内の実時間電圧モニタリングの結果を示した図であって、実験の経時的な電圧プロファイルを示しており、一連の心筋虚血時の細胞外カリウムイオン濃度をモニタリングしたものであって、開回路電位の上昇がカリウムイオン濃度の5から20mMへの変化を表している。
図35】ランゲンドルフ灌流ラビット心臓に適用されたデバイスのカリウムイオン濃度変化(左)及び画像(右)を示した図である。
図36】一実施形態に係る、イオン選択電極の作製方法の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
[0085]一般的に、本明細書において使用する用語及び表現は、それぞれの技術分野において認められた意味を有し、当業者に既知の標準的なテキスト、雑誌文献及びコンテキストを参照することにより見つけられる。以下の定義は、本発明の背景におけるそれぞれの具体的使用を明確化するためのものである。
【0047】
[0086]用語「柔軟性」及び「屈曲性」は、本明細書において同義的に使用しており、材料、構造、デバイス、又はデバイスコンポーネントの破壊点を特性化する歪み等、非常に高いレベルの歪みを導く変形を受けることなく、材料、構造、デバイス、又はデバイスコンポーネントを湾曲又は屈曲形状に変形する能力を表す。例示的な一実施形態において、柔軟性の材料、構造、デバイス、又はデバイスコンポーネントは、歪みの影響を受ける領域に5%以上、いくつかの用途では1%以上、さらに別の用途では0.5%以上の歪みを導くことなく、湾曲形状に変形されるようになっていてもよい。本明細書においては、必ずしもすべてではなく、いくつかの柔軟性構造が伸縮性でもある。本発明の柔軟性構造(例えば、デバイスコンポーネント)は、低弾性率、曲げ剛性、及び屈曲剛性等の材料特性、小さな平均厚さ(例えば、100ミクロン未満、任意選択として10ミクロン未満、任意選択として1ミクロン未満)等の物理的寸法、並びに薄膜及びメッシュ形状等のデバイス形状といった多様な特性により与えられる。
【0048】
[0087]「伸縮性」は、材料、構造、デバイス、又はデバイスコンポーネントを破壊なく歪ませる能力を表す。例示的な一実施形態において、伸縮性の材料、構造、デバイス、又はデバイスコンポーネントは、破壊を伴わない0.5%超の歪み、いくつかの用途では破壊を伴わない1%超の歪み、さらに別の用途では破壊を伴わない3%超の歪みを受けるようになっていてもよい。本明細書においては、多くの伸縮性構造が柔軟性でもある。いくつかの伸縮性構造(例えば、デバイスコンポーネント)は、圧縮、伸長、及び/又は捩じりによって破壊を伴わずに変形できるように設計されている。伸縮性構造としては、エラストマ等の伸縮性の材料を含む薄膜構造、伸長、圧縮、及び/若しくは捩じり運動が可能な屈曲構造、並びにアイランド/ブリッジ形状を有する構造が挙げられる。伸縮性のデバイスコンポーネントとしては、伸縮性の電気的相互接続等、伸縮性の相互接続を有する構造が挙げられる。
【0049】
[0088]「埋め込み可能」は、表面にアクセスできない組織の外部又は内部と相互作用すること等を目的として組織上に位置決めされたデバイス又は組織に挿入されたデバイスを表す。組織との「相互作用」は、当該組織と関連付けられた1つ又は複数のパラメータの検知、測定、作動、及び/又は制御を表す。例えば、温度又は電位等の物理学的パラメータの測定及び/又は制御が行われるようになっていてもよい。同様に、生物学的材料の濃度、細胞表面受容体のブロック/活性化、膜多孔性等の生物学的パラメータの測定及び/又は制御が行われるようになっていてもよい。したがって、相互作用は、組織若しくは細胞特性の受動的な測定、組織若しくは細胞特性の能動的な制御、又は両者を表すように広く使用している。
【0050】
[0089]「対象組織」は、デバイスがコンフォーマル接触する組織、より具体的には、相互作用が望ましい組織の特定の部分を表す。対象組織は、内部生物組織を表していてもよい。対象組織は、広く使用しており、いくつかの実施形態においては、被験者の身体を切開しなければ視覚的又は物理的にアクセスできない組織又は臓器の外面又は内面を表す。
【0051】
[0090]「内部生物組織」は、患者又は被験者の外面に通常は存在せず、一般的には患者又は被験者の身体又は皮膚の切開によってのみアクセス可能な被験者又は患者の細胞、組織、又は臓器を表す。実施形態において、内部生物組織としては、臓器、筋肉、血管、血管系、骨、上皮組織、結合組織、神経(nervous又はneural)組織が挙げられるが、これらに限定されない。任意選択として、内部生物組織は、対象組織である。いくつかの実施形態において、内部生物組織は、生体又は患者から摘出され、本明細書においては「生体外」組織と称する。生体外という用語は、生体又は患者内に存在する生物組織を表す「生体内」と対照を成す。
【0052】
[0091]「基板」は、受容面等、1つ又は複数のコンポーネント又はデバイスを支持可能な表面を有する材料、層、又は他の構造を表す。基板に「接合」されたコンポーネントは、基板と物理的に接触しており、接合されている基板表面に対して実質的に移動不可能なコンポーネントを表す。これに対して、非制約若しくは非接合コンポーネント又はコンポーネントの非制約若しくは非接合部分は、基板に対して実質的に移動可能である。一実施形態において、本発明は、1つ若しくは複数の無機半導体コンポーネント、1つ若しくは複数の金属導体コンポーネント、並びに/又は1つ若しくは複数の誘電体コンポーネントが、例えば無機半導体コンポーネント及び/又は金属導体コンポーネントと基板との間に位置決めされた接合層、接着層、又は他の中間層を介して、基板に直接又は間接的に接合されたデバイスを提供する。いくつかの実施形態において、基板への直接接合には、一部又は全部が基板に埋め込まれたコンポーネントを含む。
【0053】
[0092]「機能層」は、何らかの機能をデバイスに付与する層を表す。例えば、機能層には、電子デバイスを構成する半導体コンポーネント、金属コンポーネント、誘電体コンポーネント、光学コンポーネント、圧電コンポーネント等を含んでいてもよい。「機能的電子デバイス」は、デバイスが接触している組織と相互作用するセンサ又はアクチュエータ等の電子デバイスを表す。機能層は、支持層により分離された複数の半導体層、金属層、又は誘電体層等、複数の層を含んでいてもよい。また、機能層は、電極とアイランドとの間に延びた相互接続等、複数のパターン化要素を含んでいてもよい。機能層は、不均質であってもよいし、不均一な1つ又は複数の特性を有していてもよい。「不均一な特性」は、空間的に変動して多層デバイス内の中性機械的平面の位置に影響することにより、デバイスの屈曲性又は変形性を向上させ得る物理的パラメータを表す。
【0054】
[0093]「半導体」は、極低温では絶縁体であるものの、およそ300ケルビンの温度では相当の導電性を有する任意の材料を表す。本明細書において、半導体という用語の使用は、マイクロエレクトロニクス及び電子デバイスの分野におけるこの用語の使用と整合することを意図している。有用な半導体としては、シリコン、ゲルマニウム、及びダイヤモンド等の元素半導体並びにSiC及びSiGe等のIV族化合物半導体、AlSb、AlAs、AlN、AlP、BN、BP、BAs、GaSb、GaAs、GaN、GaP、InSb、InAs、InN、及びInP等のIII−V族半導体、AlGa1−xAs等のIII−V族三元半導体、CsSe、CdS、CdTe、ZnO、ZnSe、ZnS、及びZnTe等のII−VI族半導体、CuCl等のI−VII族半導体、PbS、PbTe、及びSnS等のIV−VI族半導体、PbI、MoS、及びGaSe等の層半導体、並びにCuO及びCuO等の酸化物半導体といった化合物半導体を含むものが挙げられる。半導体という用語には、真性半導体並びにp型ドーピング材料及びn型ドーピング材料を有する半導体等、1つ又は複数の選択材料をドープした外因性半導体を含むことにより、所与の用途又はデバイスに役立つ有益な電子的特性を提供する。また、半導体という用語には、半導体及び/又はドーパントの混合物を含む複合材料を含む。いくつかの実施形態に役立つ具体的な半導体材料としては、Si、Ge、Se、ダイヤモンド、フラーレン、SiC、SiGe、SiO、SiO、SiN、AlSb、AlAs、AlIn、AlN、AlP、AlS、BN、BP、BAs、As、GaSb、GaAs、GaN、GaP、GaSe、InSb、InAs、InN、InP、CsSe、CdS、CdSe、CdTe、Cd、CdAs、CdSb、ZnO、ZnSe、ZnS、ZnTe、Zn、ZnAs、ZnSb、ZnSiP、CuCl、PbS、PbSe、PbTe、FeO、FeS、NiO、EuO、EuS、PtSi、TlBr、CrBr、SnS、SnTe、PbI、MoS、GaSe、CuO、CuO、HgS、HgSe、HgTe、HgI、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、SrS、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、SnO、TiO、TiO、Bi、Bi、BiTe、BiI、UO、UO、AgGaS、PbMnTe、BaTiO、SrTiO、LiNbO、LaCuO、La0.7Ca0.3MnO3、CdZnTe、CdMnTe、CuInSe、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、HgCdTe、HgZnTe、HgZnSe、PbSnTe、TlSnTe、TlGeTe、AlGaAs、AlGaN、AlGaP、AlInAs、AlInSb、AlInP、AlInAsP、AlGaAsN、GaAsP、GaAsN、GaMnAs、GaAsSbN、GaInAs、GaInP、AlGaAsSb、AlGaAsP、AlGaInP、GaInAsP、InGaAs、InGaP、InGaN、InAsSb、InGaSb、InMnAs、InGaAsP、InGaAsN、InAlAsN、GaInNAsSb、GaInAsSbP、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載の態様には、多孔性のシリコン半導体材料が有用である。半導体材料の不純物は、(1つ若しくは複数の)半導体材料自体以外の原子、元素、イオン、及び/若しくは分子、又は半導体材料に与えられる任意のドーパントである。不純物は、半導体材料の電子的特性に悪影響を及ぼし得る半導体材料中の望ましくない材料であり、酸素、炭素、及び重金属を含む金属が挙げられるが、これらに限定されない。重金属不純物としては、周期律表の銅と鉛との間の元素群、カルシウム、ナトリウム、並びにこれらのすべてのイオン、化合物、及び/若しくは錯体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
[0094]「半導体コンポーネント」は、任意の半導体材料、組成、又は構造を広く表しており、特に高品質の単結晶及び多結晶半導体、高温処理を経て製造された半導体材料、ドープ半導体材料、無機半導体、及び化合物半導体材料を含む。
【0056】
[0095]「コンポーネント」は、デバイスの個々の部分を表すように広く使用している。「相互接続」は、コンポーネントの一例であって、別のコンポーネントとの電気的接続又はコンポーネント間の電気的接続を確立可能な導電構造を表す。特に、相互接続は、別個のコンポーネント間の電気的接続を確立するようにしてもよい。相互接続は、所望のデバイス仕様、動作、及び用途に応じて、適当な材料で構成する。適当な導電性の材料としては、半導体及び金属導体が挙げられる。
【0057】
[0096]他のコンポーネントとしては、薄膜トランジスタ(TFT)、トランジスタ、ダイオード、電極、集積回路、回路素子、制御素子、光起電素子(例えば、太陽電池)、センサ、発光素子、アクチュエータ、圧電素子、圧電抵抗素子、受信機、送信機、マイクロプロセッサ、トランスデューサ、アイランド、ブリッジ、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。コンポーネントは、当技術分野において既知の通り、例えば金属蒸発、ワイヤボンディング、及び固体又は導電性ペーストの塗布等によって、1つ又は複数のコンタクトパッドに接続されていてもよい。本発明の電子デバイスは、任意選択として相互接続構成に設けられた1つ又は複数のコンポーネントを備えていてもよい。
【0058】
[0097]「積層構成」は、一致する表面領域を有し、隣接する層又は基板が互いの上に位置決めされた様々な層及び基板の構成を表す。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の柔軟性且つ伸縮性の電子デバイス又はデバイスコンポーネントは、例えば1つ又は複数の半導体層、金属層、又は誘電体層等、積層構成を有する複合構造である。このように、複数の機能層を互いの上に積層することによって、デバイスの形状因子又はパッケージング形状に悪影響を及ぼすことなく、複数の機能を実現することができる。例えば、極薄の機能層を使用することにより、積層デバイスは、極めて薄い状態を維持する。これは、例えば複雑な3D表面に一致可能なデバイスを提供するのに都合が良い。
【0059】
[0098]「中性機械的平面」(NMP)及び「中性機械的表面」(NMS)は、デバイスの横方向b及び縦方向lに存在する仮想平面又は表面を表す。NMP又はNMSは、デバイスの垂直軸hに沿ったより極端な位置及び/又はデバイスのより曲がり易い層内に存在する当該デバイスの他の平面又は表面よりも曲げ応力の影響を受け難い。このため、NMP又はNMSの位置は、デバイスの厚さ及びデバイスの(1つ又は複数の)層を形成している材料の両者によって決まる。一実施形態において、本発明のデバイスは、その中性機械的平面と一致又は近接して設けられた1つ若しくは複数の無機半導体コンポーネント、1つ若しくは複数の金属導体コンポーネント、又は1つ若しくは複数の無機半導体コンポーネント及び1つ若しくは複数の金属導体コンポーネントを具備する。「近接」は、例えばNMP又はNMS等、歪みの影響を受ける材料の物性に悪影響を及ぼすことなく、所望の柔軟性又は伸縮性を依然として提供しつつ、機能層、基板層等の層の位置に厳密に従う2つ以上の物体、平面、又は表面の相対位置を表す。一般的に、歪みの影響を受け易いために破壊に至る最初の層となる傾向の層は、相対的に脆い半導体等の歪みの影響を受けるデバイス要素を含む機能層等に配置されている。ある層に近接するNMP又はNMSは、当該層内に制約される必要はないものの、近接又は十分近傍に位置決めされて、歪みの影響を受けるデバイスが折り畳まれた場合のデバイス要素の歪みを低減するという機能上の便益を提供するようにしてもよい。
【0060】
[0099]「一致」は、2つ以上の物体、平面、又は表面、例えば機能層、基板層等の層に位置決め又は隣接した中性機械的平面等の表面の相対位置を表す。一実施形態において、中性機械的平面は、層内の最も歪みの影響を受ける層又は材料に対応するように位置決めされている。
【0061】
[0100]「近接」は、例えば中性機械的平面等、歪みの影響を受ける材料の物性に悪影響を及ぼすことなく、所望の適合性を依然として提供しつつ、機能層、基板層等の層の位置に厳密に従う2つ以上の物体、平面、又は表面の相対位置を表す。「歪みの影響を受ける」は、比較的低レベルの歪みに応答して破壊或いは損傷する材料を表す。一般的に、歪みの影響を受け易いために破壊に至る最初の層となる傾向の層は、相対的に脆い半導体等の歪みの影響を受けるデバイス要素を含む機能層等に配置されている。ある層に近接する中性機械的平面は、当該層内に制約される必要はないものの、近接又は十分近傍に位置決めされて、歪みの影響を受けるデバイスが組織表面に適合する場合のデバイス要素の歪みを低減するという機能上の便益を提供するようにしてもよい。いくつかの実施形態において、近接は、第2の要素の100ミクロン以内、任意選択としていくつかの実施形態では10ミクロン以内、又は任意選択としていくつかの実施形態では1ミクロン以内の第1の要素の位置を表す。
【0062】
[0101]「電子デバイス」は一般的に、複数のコンポーネントを内蔵したデバイスを表し、集積回路、大面積エレクトロニクス、プリント配線板、コンポーネントアレイ、生物及び/又は化学センサ、物理センサ(例えば、温度、歪み等)、ナノ電機機械システム、マイクロ電気機械システム、光起電デバイス、通信システム、医療用デバイス、圧電デバイス、光デバイス、並びに電気光学デバイスが挙げられる。電子デバイスは、対象組織の特性の検知及び/又は対象組織の特性の制御が可能である。
【0063】
[0102]「検知」及び「センサ」は、物理的、生物学的状態、及び/又は化学的特性の有無、量、大きさ、又は強度の検出に役立つ機能的な電子デバイス又はデバイスコンポーネントを表す。有用な検知用電子デバイスコンポーネントとしては、電極素子、化学又は生物センサ素子、pHセンサ、温度センサ、歪みセンサ、機械センサ、位置センサ、光学センサ、及び容量センサが挙げられるが、これらに限定されない。有用な機能的電子デバイスとしては、隣接する電位を検出する電極を設けるように動作可能に構成された様々なデバイスコンポーネント、生物学的状態(例えば、疾患状態、細胞の種類、細胞の状態)若しくは化学的状態、pH、温度、圧力、位置、電磁放射(組織に注入された蛍光色素と関連付けられているような所望の波長における放射等)、又は電位を検出するセンサが挙げられる。
【0064】
[0103]「作動」及び「アクチュエータ」は、例えば生物組織である対象組織等、外部構造、材料、又は流体に対する相互作用、刺激、制御、或いは影響付与に役立つ機能的な電子デバイス又はデバイスコンポーネントを表す。有用な作動要素としては、電極素子、電磁放射素子、発光ダイオード、レーザ、力発生素子、圧電素子、音響素子、化学素子、及び加熱素子が挙げられるが、これらに限定されない。機能的電子デバイスとしては、組織に電圧又は電流を与える電極であるアクチュエータ、組織に電磁放射を与えるLED等の電磁放射源が挙げられる。また、アクチュエータとしては、組織を切除する切除源、組織を加熱する熱源、組織を変位或いは移動させる変位源、生物製剤又は化学製品を放出して、生物製剤又は化学製品の適用による細胞死、細胞増殖、又は細胞治療といった生物学的反応等の生物学的機能に影響を及ぼす生物製剤又は化学製品のタンク等の流体タンクが挙げられる。
【0065】
[0104]「オープンメッシュ形状」は、個々のセンサ及びアクチュエータが互いに間隔を空け、柔軟性且つ伸縮性の基板のある領域全体に分布したセンサ及び/又はアクチュエータの空間的構成を表す。オープンメッシュ形状は、基板のある領域のすべてではないが一部を占める要素を特徴とする。実施形態において、オープンメッシュ形状のセンサ及び/又はアクチュエータは、およそ1/cm〜1/mmの空間密度を有する。
【0066】
[0105]「マッピング」は、物体又は表面の物理的、電気的、電磁的、化学的、生物学的、及び/又は熱的特性を空間的に決定するプロセスを表す。実施形態において、空間的マップは、物体又は表面の外形又は形体の空間的分布を表す。実施形態において、光学的マップは、吸収率、反射率、放射率、又は透過率等、物体又は表面の光学的又は電磁的特性の空間的分布を表す。実施形態において、電気的マップは、電圧、電位、抵抗、静電容量、インピーダンス、インダクタンス、電流、又は電界若しくは磁界強度等、物体又は表面の電気的特性の空間的分布を表す。実施形態において、温度マップは、物体又は表面の温度の空間的分布を表す。
【0067】
[0106]「生体適合性」は、生体内生物学的環境に置かれた場合に、免疫学的拒絶又は有害作用(本明細書においては、逆免疫反応と称する)を生じない材料を表す。例えば、実施形態において、免疫反応を示す生物学的マーカは、生体適合性の材料が人間又は動物に埋め込まれた場合、基礎値から10%未満、20%未満、25%未満、40%未満、又は50%未満だけ変化する。或いは、免疫反応は、組織学的に決定されるようになっていてもよく、局所的な免疫反応は、埋め込まれたデバイス中及び隣接の免疫反応路中に含まれる免疫細胞又はマーカ等の視覚的に評価するマーカによって評価される。一態様において、生体適合性のデバイスは、組織学的に決定されたようには免疫反応を観測可能に変化させない。いくつかの実施形態において、本発明は、逆免疫反応を引き起こすことなく、数週間から数カ月のオーダ等の長期埋め込み用に構成された生体適合性のデバイスを提供する。免疫反応が局所的に閉じ込められるとともに過渡的であり、大規模な炎症の付随する悪影響に至らない限り、埋め込みには、組織への針挿入等の任意の低侵襲手技の場合に生じ得るような何らかの免疫反応を考慮していない。
【0068】
[0107]「生体不活性」は、生体内生物学的環境に置かれた場合に、人間又は動物からの免疫反応を生じない材料を表す。例えば、免疫反応を示す生物学的マーカは、生体不活性の材料が人間又は動物に埋め込まれた場合、実質的に一定(基礎値の±5%)を維持する。いくつかの実施形態において、本発明は、生体不活性のデバイスを提供する。
【0069】
[0108]用語「直接的又は間接的」は、あるコンポーネントの別のコンポーネントに対する動作又は物理的位置を表す。例えば、あるコンポーネントが別のコンポーネントに対して「直接的に」動作又は接触することには、中間物の介在を伴わない。これに対して、あるコンポーネントが別のコンポーネントに対して「間接的に」動作又は接触することには、中間物(例えば、第3のコンポーネント)が介在する。このように、配送基板は、接着層及び基板に対応する中間コンポーネントを介してデバイスコンポーネントを間接的に支持するものとして記述する場合がある。
【0070】
[0089]「アイランド」は、複数の半導体及び/又は金属コンポーネントを備えた電子デバイスの比較的固いコンポーネントを表す。「ブリッジ」は、2つ以上のアイランドの相互接続又はあるアイランドの別のコンポーネントとの相互接続を行う構造を表す。具体的なブリッジ構造としては、伸縮性の半導体及び金属相互接続が挙げられる。一実施形態において、本発明のデバイスは、トランジスタ、電気回路、又は集積回路等、電気的相互接続を含む1つ又は複数のブリッジ構造を介して電気的に接続された1つ又は複数の半導体含有アイランド構造を備える。ブリッジ構造は、屈曲、波状(波状基板に接続)、蛇行(面内湾曲)、及び/又はポップアップ(面外湾曲)構成であってもよく、以下の表R1に掲載の様々な特許文献(例えば、代理人整理番号第134−06 US号、第213−07 US号、第38−04D US号)に記載の通りであって、これらを本明細書にて具体的に援用する。本発明は、例えば伸縮性の相互接続を含むブリッジ構造により相互接続された半導体デバイス又はデバイスコンポーネントに対応する複数の畝状のデバイスアイランドを備えたアイランド/ブリッジ形状に設けられている柔軟性且つ伸縮性のデバイス又はデバイスコンポーネントを備えた組織装着型デバイス及び埋め込み可能なデバイスを含む。本明細書においては、「伸縮性」又は「柔軟性」の相互接続を用いることによって、デバイスコンポーネントとの電気的接続又はデバイスコンポーネントからの電気伝導に悪影響を及ぼすことなく、1つ又は複数の方向の伸張、屈曲、及び/又は圧縮等の多様な力及び歪みを受け得る相互接続を広く表している。したがって、伸縮性の相互接続は、GaAs等の比較的脆い材料で構成されるものの、相互接続の幾何学的構成に起因する大きな変形力(例えば、伸張、屈曲、圧縮)に曝された場合でも機能を継続し得る状態を維持するようになっていてもよい。例示的な一実施形態において、伸縮性の相互接続は、破壊を伴わずに1%超、任意選択として10%、任意選択として30%、また、任意選択として最大100%の歪みを受けるようになっていてもよい。一例において、歪みは、相互接続の少なくとも一部が接合された下層のエラストマ基板の伸張によって生じる。特定の実施形態の場合、柔軟性又は伸縮性の相互接続としては、波状、曲折、又は蛇行形状を有する相互接続が挙げられる。
【0071】
[0109]「封入」は、基板、接着層、又は封入層等、1つ又は複数の他の構造によって少なくとも部分的に、場合によっては完全に囲まれたある構造の配向を表す。「部分的に封入」は、1つ又は複数の他の構造によって部分的に囲まれたある構造の配向を表し、例えば当該構造の外面の30%、任意選択として50%、又は任意選択として90%が1つ又は複数の構造によって囲まれている。「完全に封入」は、1つ又は複数の他の構造によって完全に囲まれたある構造の配向を表す。本発明は、例えばバイオポリマー、シルク、シルク複合材、又はエラストマ封入材等のポリマー封入材を組み込むことによって、部分的又は完全に封入された無機半導体コンポーネント、金属導体コンポーネント、及び/又は誘電体コンポーネントを有するデバイスを含む。
【0072】
[0110]「容器」は、別の表面、物体、デバイス、又は容積の少なくとも一部を少なくとも部分的に包囲又は包含する表面、物体、又はデバイスを表す。実施形態において、伸縮性且つ柔軟性の電子デバイスは、容器容積を囲む容器として設けられている。実施形態において、生物組織は、容器を規定する伸縮性且つ柔軟性の電子デバイスの内側に設けられており、伸縮性且つ柔軟性の電子デバイスのセンサ及びアクチュエータは、生物組織とコンフォーマル接触して設けられている。
【0073】
[0111]「バリア層」は、2つ以上の他のコンポーネントの空間的な分離又はデバイス外部の構造、材料、流体、若しくは環境からのコンポーネントの空間的な分離を行うコンポーネントを表す。一実施形態において、バリア層は、1つ又は複数のコンポーネントを封入している。いくつかの実施形態において、バリア層は、水溶液、生物組織、又は両者から1つ又は複数のコンポーネントを分離している。本発明は、例えばデバイスの外部環境との界面に位置決めされた1つ又は複数のバリア層等を有するデバイスを含む。
【0074】
[0112]「ナノ構造材料」及び「マイクロ構造材料」は、1つ又は複数のナノメートルサイズ及びマイクロメートルサイズのチャネル、空隙、細孔、柱等、それぞれ1つ又は複数のナノメートルサイズ及びマイクロメートルサイズの物理的寸法(例えば、厚さ)又は凹状若しくは凸状形体等の形体を有する材料を表す。ナノ構造材料の凸状形体又は凹状形体は、1〜1000nmの範囲から選択される少なくとも1つの物理的寸法を有する一方、マイクロ構造材料の凸状形体又は凹状形体は、1〜1000μmの範囲から選択される少なくとも1つの物理的寸法を有する。ナノ構造及びマイクロ構造材料としては、例えば薄膜(例えば、マイクロフィルム及びナノフィルム)、多孔性材料、凹状形体のパターン、凸状形体のパターン、摩耗又は粗い表面を有する材料等が挙げられる。また、ナノフィルム構造はナノ構造材料の一例であり、マイクロフィルム構造はマイクロ構造材料の一例である。一実施形態において、本発明は、1つ若しくは複数のナノ構造若しくはマイクロ構造無機半導体コンポーネント、1つ若しくは複数のナノ構造若しくはマイクロ構造金属導体コンポーネント、1つ若しくは複数のナノ構造若しくはマイクロ構造誘電体コンポーネント、1つ若しくは複数のナノ構造若しくはマイクロ構造封入層、並びに/又は1つ若しくは複数のナノ構造若しくはマイクロ構造基板層を備えたデバイスを提供する。
【0075】
[0113]「ナノ膜」は、例えばリボン、円筒、又は血小板の形態で設けられ、1〜1000nmの範囲から選択される厚さ、或いはいくつかの用途では1〜100nmの範囲から選択される厚さを有する構造である。いくつかの実施形態において、ナノリボンは、電子デバイスの半導体、誘電体、又は金属導体構造である。また、いくつかの実施形態において、ナノリボンは、1000nm未満、任意選択として100nm未満の厚さを有する。いくつかの実施形態において、ナノリボンは、0.1〜0.0001の範囲から選択される横方向寸法(例えば、長さ又は幅)対厚さ比を有する。いくつかの実施形態において、ナノワイヤは、電子デバイスの半導体、誘電体、又は金属導体構造である。また、いくつかの実施形態において、ナノワイヤは、1000nm未満、任意選択として100nm未満の直径を有する。いくつかの実施形態において、ナノワイヤは、0.1〜10の範囲から選択される幅対厚さ比を有する。
【0076】
[0114]「誘電体」は、非導電性又は絶縁性の材料を表す。一実施形態において、無機誘電体は、実質的に炭素を含まない誘電体材料を含む。無機誘電体材料の具体例としては、窒化ケイ素及び二酸化ケイ素が挙げられるが、これらに限定されない。誘電体材料としては、さらにシルク、シルク複合材、エラストマ、及びポリマーが挙げられる。
【0077】
[0115]「ポリマー」は、化学的共有結合により接続された繰り返し構造単位で構成された巨大分子又は高分子量を特徴とする場合が多い1つ又は複数のモノマーの重合生成物を表す。ポリマーという用語には、ホモポリマーすなわち本質的に単一の繰り返しモノマー副単位から成るポリマーを含む。また、ポリマーという用語には、ランダム、ブロック、交互、セグメント化、グラフト、テーパード共重合体等、共重合体すなわち本質的に2つ以上のモノマー副単位から成るポリマーを含む。有用なポリマーとしては、非晶質、半非晶質、結晶、又は部分結晶状態の場合がある有機ポリマー又は無機ポリマーが挙げられる。連結モノマー鎖を有する架橋ポリマーは、いくつかの用途において特に有用である。これらの方法、デバイス、及びコンポーネントに使用可能なポリマーとしては、プラスチック、エラストマ、熱可塑性エラストマ、エラストプラスチック、熱可塑性プラスチック、及びアクリレート類が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なポリマーとしては、アセタール重合体、生分解性重合体、セルロース重合体、フッ素重合体、ナイロン、ポリアクリロニトリル重合体、ポリアミドイミド重合体、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリベンゾイミダゾール、ポリブチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリエチレン共重合体及び変性ポリエチレン、ポリケトン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンオキシド及びポリフェニレンスルフィド、ポリフタルアミド、ポリプロピレン、ポリウレタン、スチレン樹脂、スルホン系樹脂、ビニル系樹脂、ゴム(天然ゴム、スチレンブタジエン、ポリブタジエン、ネオプレン、エチレンプロピレン、ブチル、ニトリル、シリコンを含む)、アクリル、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
[0116]「エラストマスタンプ」及び「エラストマ転写デバイス」は、区別なく用いており、材料の受容及び転写が可能な表面を有するエラストマ材料を表す。本発明のいくつかの方法に役立つ例示的なコンフォーマル転写デバイスとしては、エラストマスタンプ、モールド、及びマスク等のエラストマ転写デバイスが挙げられる。転写デバイスは、提供材料から受容材料への材料転写に影響を及ぼすこと及び/又は材料転写を容易化することになる。一実施形態において、本発明の方法では、例えばマイクロ転写プロセスにおいてエラストマ転写デバイス(例えば、エラストマスタンプ)等のコンフォーマル転写デバイスを用いることにより、1つ若しくは複数の単結晶無機半導体構造、1つ若しくは複数の誘電体構造、並びに/又は1つ若しくは複数の金属導体構造を製造基板からデバイス基板に転写する。
【0079】
[0117]「エラストマ」は、実質的な永久変形を伴わずに伸張又は変形が可能であるとともにその元の形状に戻ることができるポリマー材料を表す。エラストマは通常、実質的に弾性的に変形する。有用なエラストマとしては、ポリマー、共重合体、ポリマーと共重合体との複合材料又は混合物を含むものが挙げられる。エラストマ層は、少なくとも1つのエラストマを含む層を表す。また、エラストマ層は、ドーパント及び他の非エラストマ材料を含んでいてもよい。有用なエラストマとしては、熱可塑性エラストマ、スチレン材料、オレフィン材料、ポリオレフィン、ポリウレタン熱可塑性エラストマ、ポリアミド、スチレンゴム、PDMS、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリ(スチレンブタジエンスチレン)、ポリウレタン、ポリクロロプレン、及びシリコンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、エラストマスタンプは、エラストマを含む。例示的なエラストマとしては、ポリ(ジメチルシロキサン)(すなわち、PDMS及びh−PDMS)、ポリ(メチルシロキサン)、部分アルキル化ポリ(メチルシロキサン)、ポリ(アルキルメチルシロキサン)、及びポリ(フェニルメチルシロキサン)を含むポリシロキサン等のシリコン含有ポリマー、シリコン変性エラストマ、熱可塑性エラストマ、スチレン材料、オレフィン材料、ポリオレフィン、ポリウレタン熱可塑性エラストマ、ポリアミド、スチレンゴム、ポリイソブチレン、ポリ(スチレンブタジエンスチレン)、ポリウレタン、ポリクロロプレン、及びシリコンが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、ポリマーは、エラストマである。
【0080】
[0118]「一致」は、例えば凸状形体のパターンを有する表面とのコンフォーマル接触を可能にする外形プロファイル等の任意所望の外形プロファイルを採用できるように十分低い曲げ剛性を有するデバイス、材料、又は基板を表す。特定の実施形態において、所望の外形プロファイルは、生物学的環境における組織の外形プロファイルである。
【0081】
[0119]「コンフォーマル接触」は、デバイスと受容面との間に確立された接触を表す。一態様において、コンフォーマル接触には、ある表面の全体形状に対するデバイスの1つ又は複数の表面(例えば、接触面)の巨視的な適応を伴う。別の態様において、コンフォーマル接触には、実質的に空隙のない十分な接触に至る、ある表面に対するデバイスの1つ又は複数の表面(例えば、接触面)の微視的な適応を伴う。一実施形態において、コンフォーマル接触には、(1つ又は複数の)受容面に対するデバイスの(1つ又は複数の)接触面の適応を伴うことにより、例えば受容面と物理的に接触しないデバイスの接触面の表面積が20%未満であるか、又は任意選択として受容面と物理的に接触しないデバイスの接触面が10%未満であるか、又は任意選択として受容面と物理的に接触しないデバイスの接触面が5%未満である十分な接触が実現される。一実施形態において、本発明の方法は、例えば乾式の接触転写等のマイクロ転写プロセスにおけるコンフォーマル転写デバイスと1つ若しくは複数の単結晶無機半導体構造、1つ若しくは複数の誘電体構造、並びに/又は1つ若しくは複数の金属導体構造との間のコンフォーマル接触の確立を含む。いくつかの実施形態においては、デバイスと受容面との間の接触を維持する力又は圧力(本明細書においては、「接触力」又は「接触圧力」と称する)がデバイスと受容面との間に付与される。いくつかの実施形態においては、重力による接触力が付与される。また、いくつかの実施形態においては、膨張又は伸張構成である伸張性且つ柔軟性の基板又は層内に生じた弾性力であって、伸張性且つ柔軟性の基板又は層を非膨張又は非伸張構成とする傾向にある復元力である、弾性力により接触力が付与される。
【0082】
[0120]「ヤング率」は、所与の物質の歪み対応力比を表す材料、デバイス、又は層の機械的特性である。ヤング率は、以下の式により与えることができる。
【数1】

[0091]ここで、Eはヤング率、Lは平衡長、ΔLは印加応力下での長さ変化、Fは印加力、Aは力印加面積である。また、ヤング率は、以下の方程式により、ラメ定数に関して表すこともできる。
【数2】

[0093]ここで、λ及びμは、ラメ定数である。高ヤング率(又は「高弾性率」)及び低ヤング率(又は「低弾性率」)は、所与の材料、層、又はデバイスにおけるヤング率の大きさの相対的な記述子である。いくつかの実施形態において、低ヤング率に対する高ヤング率の大きさは、いくつかの用途ではおよそ10倍であることが好ましく、他の用途ではおよそ100倍であることがより好ましく、さらに他の用途ではおよそ1000倍であることがさらに好ましい。一実施形態において、低弾性率層は、100MPa未満、任意選択として10MPa未満、任意選択として0.1MPa〜50MPaの範囲から選択されるヤング率を有する。一実施形態において、高弾性率層は、100MPa超、任意選択として10GPa超、任意選択として1GPa〜100GPaの範囲から選択されるヤング率を有する。一実施形態において、本発明のデバイスは、低ヤング率の基板、封入層、無機半導体構造、誘電体構造、及び/又は金属導体構造等の1つ又は複数のコンポーネントを有する。一実施形態において、本発明のデバイスは、全体として低いヤング率を有する。いくつかの実施形態において、柔軟性且つ伸縮性の基板は、低弾性率層である。
【0083】
[0121]「不均一なヤング率」は、空間的に異なる(例えば、表面位置に応じて変化する)ヤング率を有する材料を表す。不均一なヤング率を有する材料は、任意選択として、材料全体の「バルク」又は「平均」ヤング率に関して記述するようにしてもよい。
【0084】
[0122]「低弾性率」は、10MPa以下、5MPa以下、又は1MPa以下のヤング率を有する材料を表す。一態様において、機能層は低弾性率を有し、配送基板は、機能層のヤング率の10倍、100倍、又は1000倍等、より高いヤング率を有する。
【0085】
[0123]「曲げ剛性」は、印加曲げモーメントに対する抵抗を記述した材料、デバイス、又は層の機械的特性である。一般的に、曲げ剛性は、材料、デバイス、又は層の弾性率と面積慣性モーメントとの積として定義される。不均一な曲げ剛性を有する材料は、任意選択として、材料の層全体の「バルク」又は「平均」曲げ剛性に関して記述するようにしてもよい。
【0086】
[0124]本明細書の文脈において、「屈曲構成」は、力の印加によって湾曲形態を有する構造を表す。一実施形態において、本発明の柔軟性且つ伸縮性のデバイス又はデバイスコンポーネントは、1つ又は複数の屈曲構造を含む。屈曲構造は、1つ又は複数の折り畳み領域、凸領域、凹領域、及びこれらの任意の組み合わせを有していてもよい。有用な屈曲構造は、例えばコイル状の形態、襞状の形態、座屈状の形態、及び/又は波状(すなわち、波形状)の形態で設けられていてもよい。屈曲構造としては、全体としてバネ形状を有する構造が挙げられる。伸縮性の屈曲相互接続等の屈曲構造は、当該屈曲構造が歪みを受ける形態において、ポリマー及び/又は弾性基板等の柔軟性の基板に接合されていてもよい。いくつかの実施形態において、屈曲リボン構造等の屈曲構造は、いくつかの用途に好ましい実施形態において、30%以下の歪み、任意選択として10%以下の歪み、任意選択として5%以下の歪み、また、任意選択として1%以下の歪みを受ける。いくつかの実施形態において、屈曲リボン構造等の屈曲構造は、0.5%〜30%の範囲から選択される歪み、任意選択として0.5%〜10%の範囲から選択される歪み、任意選択として0.5%〜5%の範囲から選択される歪みを受ける。或いは、伸縮性の屈曲相互接続は、それ自体は柔軟性ではない基板等、デバイスコンポーネントの基板である基板に接合されていてもよい。基板自体は、平面的であってもよいし、実質的に平面的であってもよいし、湾曲していてもよいし、鋭い縁部を有していてもよいし、これらの任意の組み合わせであってもよい。伸縮性の屈曲相互接続は、これらの複雑な基板表面形状のうちのいずれか1つ又は複数への転写に利用できる。
【0087】
[0125]「熱的接触」は、伝導等によって高温の材料から低温の材料への実質的な伝熱が可能な2つ以上の材料及び/又は構造の接触を表す。熱的連通は、あるコンポーネントから別のコンポーネントへの直接的又は間接的な伝熱を可能とする2つ以上のコンポーネントの構成を表す。いくつかの実施形態において、熱的に連通しているコンポーネントは、あるコンポーネントから別のコンポーネントに熱が直接伝達される直接熱的連通の状態にある。いくつかの実施形態において、熱的に連通しているコンポーネントは、あるコンポーネントから別のコンポーネントへ、両コンポーネントを分離する1つ又は複数の中間構造を介して熱が間接的に伝達される間接熱的連通の状態にある。
【0088】
[0126]「流体連通」は、あるコンポーネントから別のコンポーネントへの流体(例えば、気体又は液体)の移動、流通、及び/又は拡散を可能とする2つ以上のコンポーネントの構成を表す。要素は、チューブ、格納構造、チャネル、バルブ、ポンプ、又はこれらの任意の組み合わせ等、1つ又は複数の別の要素を介して流体連通していていもよい。いくつかの実施形態において、流体的に連通しているコンポーネントは、あるコンポーネントから別のコンポーネントに流体が直接移動可能な直接流体連通の状態にある。いくつかの実施形態において、流体的に連通しているコンポーネントは、あるコンポーネントから別のコンポーネントへ、両コンポーネントを分離する1つ又は複数の中間構造を介して流体が間接的に移動可能な間接流体連通の状態にある。
【0089】
[0127]「電気的接触」又は電気的連通は、電子又はイオンの移動の形態等、2つ以上の材料及び/又は構造が両者間で電荷を移動させる能力を表す。電気的連通は、あるコンポーネントから別のコンポーネントへの直接的又は間接的な電子信号又は電荷担体の移動を可能とする2つ以上のコンポーネントの構成を表す。本明細書において、電気的連通には、1方向及び2方向の電気的連通を含む。いくつかの実施形態において、電気的に連通しているコンポーネントは、あるコンポーネントから別のコンポーネントに電子信号又は電荷担体が直接移動する直接電気的連通の状態にある。いくつかの実施形態において、電気的に連通しているコンポーネントは、あるコンポーネントから別のコンポーネントへ、両コンポーネントを分離する回路素子等の1つ又は複数の中間構造を介して電子信号又は電荷担体が間接的に移動する間接電気的連通の状態にある。
【0090】
[0128]「光学的連通」又は光学的接触は、あるコンポーネントから別のコンポーネントへの直接的又は間接的な電磁放射の移動を可能とする2つ以上のコンポーネントの構成を表す。本明細書において、光学的連通には、1方向及び2方向の光学的連通を含む。いくつかの実施形態において、光学的に連通しているコンポーネントは、あるコンポーネントから別のコンポーネントに電磁放射が直接移動する直接光学的連通の状態にある。いくつかの実施形態において、光学的に連通しているコンポーネントは、あるコンポーネントから別のコンポーネントへ、両コンポーネントを分離する反射器、レンズ、又はプリズム等の1つ又は複数の中間構造を介して電磁放射が間接的に移動する間接光学的連通の状態にある。
【0091】
[0129]「極薄」は、究極レベルの屈曲性を示す薄い形状のデバイスを表す。一実施形態において、極薄は、厚さが1μm未満、600nm未満、又は500nm未満の回路を表す。一実施形態において、極薄の多層デバイスは、200μm未満、50μm未満、又は10μm未満の厚さを有する。
【0092】
[0130]「薄層」は、下層の基板を少なくとも部分的に覆う材料を表し、その厚さが300μm以下、200μm以下、又は50μm以下である。或いは、この層は、電子デバイスの歪みの分離又は実質的な低減に十分な厚さ等の機能パラメータ、より詳細には、歪みの影響を受ける電子デバイスの機能層に関して記述する。
【0093】
[0131]図1A図1B図1C図1D図1E図1F、及び図1Gは、内部生物組織等の組織と相互作用する本発明のデバイス及び方法の実施形態の概要を示した模式図である。図1Aに示すように、柔軟性且つ伸縮性の電子デバイス又はデバイスコンポーネント101が提供されている。ここで、デバイス101は、柔軟性且つ伸縮性の基板104の内表面に支持された複数のセンサ102及びアクチュエータ103を備える。デバイス101は、柔軟性且つ伸縮性の基板104により規定された容器として提供されている。図1Aの矢印で模式的に示すように、容器は、膨張して、図1Bに示す膨張状態105となる。そして、図1Bの矢印で再び模式的に示すように、膨張した容器105内に組織106が配置される。膨張状態105においては、デバイス101内で生じた図1Cの矢印で模式的に示す弾性力によって、デバイス101がその元の構成に戻るとともに、組織106の表面に対してセンサ102及びアクチュエータ103をコンフォーマルに装着する接触力が付与される。図1Dは、センサ102及びアクチュエータ103が組織106とコンフォーマル接触して設けられた状態で、組織106の外面の約80%をデバイス101が囲む様子を示している。
【0094】
[0132]実施形態において、組織106は、膨張及び収縮する。図1Eは、デバイス101の非膨張状態との比較として、組織106の最大サイズ107及び組織106の最小サイズ108を図示しており、組織106は、その最小サイズ108であっても、デバイス101が非膨張状態の場合の柔軟性且つ伸縮性の基板104の内表面により規定された容器よりも大きいことを示している。図1Fは、膨張状態のデバイス101内に組織が配置され、柔軟性且つ伸縮性の基板104の内表面が最小サイズ108の組織106とコンフォーマル接触している様子を示している。デバイス101が膨張状態で設けられることにより、図1Fの矢印109で模式的に表される第1の接触力が付与され、組織106とのコンフォーマル接触の維持を可能とする。図1Gに示すように、組織106が膨張して最大サイズ107になると、デバイス101が膨張してさらに大きな膨張状態となる一方、柔軟性且つ伸縮性の基板104の内表面は、組織106とのコンフォーマル接触を維持する。デバイス101が膨張状態で設けられることにより、図1Fの矢印110で模式的に表される第2の接触力が付与され、組織106とのコンフォーマル接触の維持を可能とする。実施形態においては、組織106がその最大サイズ107と最小サイズ108との間で膨張及び収縮を繰り返す一方、組織106と柔軟性且つ伸縮性の基板104の内表面との間のコンフォーマル接触は維持される。
【0095】
[0133]図1Hは、内部生物組織と相互作用するデバイス、任意選択として、内部生物組織を囲むデバイス等、柔軟性且つ伸縮性の電子デバイス又はデバイスコンポーネントを作製する方法の一実施形態を示した模式図である。本実施形態においては、伸縮性且つ柔軟性の電子デバイス又はデバイスコンポーネント111を伸縮性且つ柔軟性の基板112に転写する。そして、湾曲矢印で模式的に示すように、伸縮性且つ柔軟性の基板112を成形して、対象組織の3次元表面形状に一致させる。
【0096】
[0134]図1Iは、内部生物組織を囲んでこれと相互作用するデバイス等、柔軟性且つ伸縮性の電子デバイス又はデバイスコンポーネントを作製する方法の別の実施形態を示した模式図である。本実施形態においては、対象組織の3次元モデル113が設けられている。いくつかの実施形態において、3次元モデル113は、対象組織の平均的なサイズを表す。いくつかの実施形態において、3次元モデル113は、対象組織の最小サイズを表す。いくつかの実施形態において、3次元モデル113は、対象組織の実際のサイズを表す。任意選択としては、3次元モデル113の代わりに対象組織自体を設ける。また、3次元モデル113は、任意選択として、対象組織を小型化したものを表す。伸縮性且つ柔軟性の電子デバイス又はデバイスコンポーネント111を伸縮性且つ柔軟性の基板112に転写した後、湾曲矢印で模式的に示すように、伸縮性且つ柔軟性の基板を3次元モデル113に合わせて成形する。その後の対象組織自体への適用においては、成形した伸縮性且つ柔軟性の基板112及び伸縮性且つ柔軟性の電子デバイス又はデバイスコンポーネント111から3次元モデル113を取り除く。
【0097】
[0135]図1Jは、内部生物組織を囲んでこれと相互作用するデバイス等、柔軟性且つ伸縮性の電子デバイス又はデバイスコンポーネントを作製する方法の別の実施形態を示した模式図である。本実施形態においては、対象組織の3次元モデル113が設けられている。任意選択としては、3次元モデル113の代わりに対象組織自体が設けられる。そして、柔軟性且つ伸縮性の電子デバイス又はデバイスコンポーネント111を3次元モデル113の外表面に適用する。次に、3次元モデル113の外表面に適用した柔軟性且つ伸縮性の電子デバイス又はデバイスコンポーネントに対して、柔軟性且つ伸縮性の層114を成型する。その後の対象組織自体への適用においては、成型した伸縮性且つ柔軟性の層114及び伸縮性且つ柔軟性の電子デバイス又はデバイスコンポーネント111から3次元モデル113を取り除く。
【0098】
[0136]図1Kは、内部生物組織を囲んでこれと相互作用するデバイスを作製する方法の例示的な一実施形態の概要を示した図である。最初に、1つ又は複数のセンサ、アクチュエータ、又は両者を備えた柔軟性且つ伸縮性の電子デバイス又はデバイスコンポーネント等の柔軟性且つ伸縮性の電子デバイス又はデバイスコンポーネントを柔軟性且つ伸縮性の基板に転写する(120)。次に、柔軟性且つ伸縮性の電子デバイス又はデバイスコンポーネントを成形して、内部生物組織の3次元表面形状と実質的に一致させる(121)。任意選択として、柔軟性且つ伸縮性の電子デバイス又はデバイスコンポーネントを内部生物組織の外面に適用する(122)。また、任意選択として、生物組織の外表面に適用した柔軟性且つ伸縮性の電子デバイス又はデバイスコンポーネントに対して柔軟性且つ伸縮性の層を成型する(123)。
【0099】
[0137]図1Lは、内部生物組織と相互作用する方法の例示的な一実施形態の概要を示した図である。最初に、容器を規定する柔軟性又は伸縮性の基板の内表面により支持された1つ又は複数のセンサ、アクチュエータ、又は両者を備えた柔軟性且つ伸縮性の電子デバイス又はデバイスコンポーネント等の柔軟性且つ伸縮性の電子デバイス又はデバイスコンポーネント及び柔軟性又は伸縮性の基板を備えたデバイスを用意する(130)。次に、容器を膨張して、膨張状態とする(131)。次に、デバイスに対して内部生物組織をコンフォーマルに装着して囲むとともに内部生物組織と相互作用する弾性接触力が生じるように、膨張状態の容器内で内部生物組織を囲む(132)。任意選択としては、コンフォーマル接触を維持するのに十分高いデバイスと内部生物組織との間の平均的な接触圧力を生じる(133)。
【実施例】
【0100】
[0138]本発明は、以下の非限定的な実施例によって、より深く理解可能である。
【0101】
実施例1:心外膜全体にわたる時空間測定/刺激のための3D多機能外皮膜
[0139]基礎心臓病学及び臨床心臓病学の両者において、高密度で大面積のコンフォーマルマルチパラメータ生理学的マッピング及び刺激のための手段が非常に重要である。最近開発されたコンフォーマル電子システムは、重要な機能を可能としているが、2Dシートとしての実施形態により、3D心外膜表面全体への統合及び縫合糸又は接着剤を使用しない常用の確実な接触が阻害されている。本実施例は、多機能センサ、電子コンポーネント、及び光電子コンポーネントの変形可能なアレイのプラットフォームとして、3D印刷技術により心臓の心外膜に合わせて正確に成形した3D弾性膜を利用する質的に異なる手法を提示する。このような外皮デバイスは、人工心膜のようなものとして、形状が適合した様態で心臓を完全に包む。柔軟な膜の固有の弾力性によって、流体中に完全に浸漬された場合であっても、有害な生理学的反応を引き起こすことなく、通常の心周期における機械的に安定した生物/非生物界面が提供される。コンポーネントの例は、電気的、熱的、及び光学的刺激用アクチュエータからpH、温度、及び機械的歪み用のセンサにまで及ぶ。半導体材料としては、これら及び他の動作能力を提供するものとして、金属、金属酸化物、及びポリマーと一体化したシリコン、ヒ化ガリウム、及び窒化ガリウムが挙げられる。生体外の生理学的実験によって、心臓研究及び治療の様々な機能及び方法の可能性が実証されている。
【0102】
[0140]心臓の生理学的マッピング用の器具は、興奮収縮連関、代謝機能不全、不整脈等のメカニズムの臨床的識別及び理解に不可欠である。1980年代に開発されたデバイスは、心室の形状に大まかに類似するように縫合され、このプラットフォームにバルク電極が手動で組み付けられて織り込まれた合成繊維を用いてこのニーズに対処しようとしていた。このような方式は何らかの効用をもたらすものの、心臓全体にわたる均一な接触品質、臨床設定での実用的な展開、高密度のマッピング機能、多機能で高精度な測定/刺激の提供、又は長期埋め込みとしての展開が不可能である。結果として、点接触カテーテルを用いた連続マッピング又は蛍光、核磁気共鳴、若しくは超音波を用いた撮像技術に基づく別の方策が出現しているが、それぞれに重大な欠点がある。
【0103】
[0141]理想的なシナリオは依然として、デバイスの機能が心臓と直接的且つ非侵襲に一体化して、長期の使用に適したものとなることである。本質的な課題は、心臓が複雑な電気機械的合胞体であり、多くの要素が同調作用して血液を確実に送り出すとともに変化する代謝要求に応答することである。単独の細胞研究によって多くのことが得られているものの、臓器レベルでの全体的な機能的挙動並びに疾患状態における特に生体内の電気的、代謝的、及び機械的再構成間の相互作用は、適切な器具が不足しているため、十分に探究されていない。したがって、従来の材料、デバイス技術、又は撮像診断技術では実現不可能なコンフォーマル且つ高解像度の様態での電気的検知を含むがこれをはるかに超えるマルチパラメータマッピング機能が依然として求められている。
【0104】
[0142]伸縮性の電子機器に関する材料及び機構概念の最近の開発によって、デバイスの心外膜表面との直接的且つ完全な3D一体化に関するこの課題を満足する機会が生じている。本実施例は、過去に報告されている2D柔軟シートとしての小規模な電子デバイスを拡張して、心臓の形状に一致するように特別に形成された薄い3D弾性膜上に、リソグラフィによって規定された構成の多機能半導体システムを構築する。物理的な構成は、心臓を囲む自然発生の膜すなわち心膜の構成に類似している。本明細書において3D多機能外皮膜(3D−MIM)と称するこれらのシステムは、心臓上のすべての点とのコンフォーマル界面を提供しており、液状媒体中に完全に浸漬された場合であっても、動的な心周期全体で、膜自体の柔軟な弾力性によって堅牢でありながら非侵襲の接触が実現されている。単独の灌流ラビット心臓に関する測定によって、多機能高密度の心外膜マッピング/刺激の一般的なプラットフォームとしてのこれらアイデアの有用性が実証されている。その結果は、基礎心臓病学及び臨床心臓病学の高度な方法の可能性を提供している。
【0105】
[0143]製造は、心臓に合わせて成形した薄い3D弾性膜の作成から始める。図2Aに示すように、まず、光学セグメント化技術によって、関心心臓の全体3D形状を捕捉する。その後、市販の3Dプリンタ(ZPrinter 450、Z−Corporation)によって、後述の通り、平面基板上に別途既製の極薄電子/光電子及びセンサシステムを装着する基板として機能する心臓のソリッドモデルを比例縮尺で描写する。これらの多機能デバイスを心臓モデルの表面に用いてモデル上にシリコンエラストマの薄層を成型して硬化させることにより、全体構成を規定する。デバイスコンポーネントの前面がモデルに接触する一方、後面はエラストマに接合される。モデルからシステム(すなわち、デバイスコンポーネントが一体化した3D膜)を取り除くことにより、一種の「搭載」人工心膜として、拍動する心臓の周りへの設置の準備をする。
【0106】
[0144]図2Bは、光学的マッピング用の窒化インジウムガリウム(InGaN)を用いたマイクロスケールの無機発光ダイオード(μ−ILED)と、歪みゲージ用のシリコン(Si)ナノ膜と、電気的検知/刺激用の金(Au)電極と、pHセンサ用の酸化イリジウム(IrO)パッドと、温度センサ/ヒータ用のAu蛇行抵抗とを具備した代表的な3D−MIMを示している。これらのコンポーネントを作成する方法では、最新の集積回路技術を利用して、手動組み立てアレイで可能な空間解像度をはるかに超える空間解像度を実現する。また、薄くて柔軟性のヒートシール導電性ケーブル(Elform、HST−9805−210)によって、データ収集、電源、及び制御用の外部ハードウェアとの接続を提供する。3D−MIMは、実際の心臓よりもわずかに小さな全体寸法で設計することにより、心臓拡張期及び心臓収縮期における心外膜との堅牢な接触のための適切な弾力性及び機械的支持を提供する一方、十分に小さな圧力によって、心臓組織の自然な挙動を阻害しないようにしている。デバイスコンポーネントを相互接続する蛇行メッシュは、心室を覆って、心外膜の外形に適合している。本実施例は、ラビット心臓に関する研究用途で設計されているが、同じ方策が人間の心臓にも適用可能であり、他の臓器系にも適用可能である。ここで、3D形状は、同様の3D印刷基板を用いることにより、患者固有のMRI又はCT臓器セグメント化によって得られる。
【0107】
[0145]この種のデバイスの有用且つ重要な特徴は、収縮及び弛緩している心筋に及ぶ力を最小限に抑えつつ、組織との安定した機械的界面を維持するように設計可能な点である。人間及び他の脊椎動物の心臓解剖学において、心筋は、心膜によって封止された空間中に囲まれており、特定の範囲内での可逆的な容積変化が可能である。病態生理学的条件によって炎症が起こっている場合、心膜は、心腔の運動を制限する圧力を与える。定量的な解析によって、心外膜上の3Dデバイス膜に関連する圧力並びに材料特性及び設計パラメータに対するこの圧力の依存性を比較評価することができる。図3Aは、3D有限要素法(FEM)を用いて計算した心臓形状の様々な容積膨張状態(1+ε)における膜厚150μm及び有効ヤング率が約60kPaの3D−MIM(Ecoflex、Smooth−on)の結果を示しており、εは線形膨張率である。膜の厚さは解析において均一であるが、電子デバイスに起因する不均一性によって、後述するとともに図7A及び図7Bに示す通り、有効ヤング率が約80kPaまで局所的に高くなるとともに、概算圧力が50%未満だけ高くなる。変形していない膜の形状は、実際の心臓への適用に際して基礎圧力レベルを保証するように比例的にサイズが縮小された(実際の心臓の拡張状態と比較して約30%の容積低減)3Dモデルの形状に従う。演算は、収縮容積(3Dモデル)並びに収縮状態(収縮容積の120%)及び拡張状態(収縮容積の145%)の心臓に対応する。計算した平均圧力は、通常の生理学的条件下における心膜と同様であり、心膜制約条件下では、この圧力の約20%に過ぎない。その結果は、後述の生体外研究で確認されたような限定的影響をデバイスが生じる可能性が低いことを示唆している。また、FEM及び解析的モデリングによって、圧力と設計パラメータとの間の一般的な関係が構築されている。図3Bは、容積膨張、膜厚、及びヤング率の関数としての平均圧力を示している。解析モデルには、部分楕円を用いて、心臓の形状を近似している。詳細は、以下並びに図7A及び図7Bの通りである。以下の式は、平均圧力、膜形状、機械的特性、及び膨張率を関連付けている。
【数3】

ここで、tは膜厚であり、E及びvはそれぞれ、有効ヤング率及びポアソン比である。定数Cは、心臓のサイズが大きくなるに従って小さくなり、また、心臓の形状に依存する(ラビット心臓の場合は約0.2mm−1)。膜厚及びヤング率の両者が小さくなると、圧力も線形的に低下する。このスケーリングによって、センサ/アクチュエータネットワークと心外膜表面との間の良好な接触を維持するのには十分高いが、固有の生理機能への影響を回避するのには十分低い圧力を与える設計が可能となる。これらの効果は、3D−MIMを有する場合及び有しない場合において、単独圧力を印加した拍動しているラビット心臓のモデルにおける虚血を示す複数の電気生理学的パラメータの経時変化をモニタリングすることによって明らかである。その結果は、対照心臓(N=3)及び実験心臓(N=3)に基づいて(図8A及び図8B)、ST上昇及びLV圧力波形の振幅によって測定される通り、デバイスによる虚血が何ら生じていないことを示唆している。
【0108】
[0146]様々な機能的動作モードを実証するため、心外膜電気活動の高精度マッピングから始める。これらの実験及び以下すべての実験においては、移植したランゲンドルフ灌流ラビット心臓を使用した。また、デバイスには、心外膜の前後両面全体に分布した68個のAu電極(表面積1mmで間隔3.5mm)を内蔵している(図4A図4D、及び図9)。個々の電極の電気化学的インピーダンスは、リン酸緩衝生理食塩水中で測定して、周波数1kHzで約2kΩである(図10)。また、膜の透明性により、電気的測定結果を検証する手段として、電圧依存性蛍光による同時光学的マッピングが可能である。実験には、正常洞調律及び様々な電極対からの様々な周波数でのペーシングによる空間的興奮マップにおける伝搬パターンの変動の増加といった多様な条件で4つの心臓から得られた信号を伴う。表面電位図によって、QRS及びT波と関連付けられた種々重要な形態が捕捉された(図4A)。電気的興奮伝達時間と光学的興奮伝達時間との間の代表的なマップ及び相関はそれぞれ、図4C及び図4Bに示す通りである。光学的興奮伝達時間と電気的興奮伝達時間との間の全体的な線形相関は、洞データの場合は0.957、ペーシングデータの場合は0.943であった。これらの研究は、この測定電極の構成によって、光学的に観測される空間的変動を捕捉する解像度まで興奮パターンを複製可能であることを示している。付加的な電気生理学的パラメータの解析については、図12A図12B、及び図12Cにまとめる。図4Dは、心臓の前後両面から記録された信号に由来する3Dマップを提示している。モーションアーチファクトが測定品質に著しく影響するため静的な心臓形状が必要な光学的マッピングと異なり、3D−MIMによる電気生理学的マッピングは、通常の心拍動条件下において適用可能である。集積センサが下層の心臓組織と同期して移動することが観測された。心拍動周期におけるセンサと心外膜との間の相対的な横方向運動を回避するのは、3D−MIMの設計形状のため実用上困難であるが、センサの特性サイズよりも小さくなるように変位を最小化して、信号品質への影響を無視できるようにすることは可能である(図11A図11B、及び図11C)。この特徴は、実験室での研究を超えてマッピング機能を拡張し、臨床電気生理学に実装するのに重要である。
【0109】
[0147]pHの変化のマッピングは、心臓の代謝状態に関する有用な情報を提供する。ここでは、pH検知用の確立した材料である酸化イリジウム(IrO)によって測定を実現する。Au電極上の電着IrOによって、タイロード液中の37℃における開回路電位(OCP)応答が68.9±8.6mV/pHのpHセンサが得られる(図13)。このようなpHセンサは、光学的マッピング技術と併せて、全体的な無血流虚血再灌流時のpHマップ、膜電位(Vm)、及びカルシウム過渡信号(CaT)を収集可能である。pHセンサは、ラビット心臓の左側前後面を覆っている(図5A)。基礎値においては、すべてのpHセンサが7.34〜7.40の値を記録している。また、手順全体にわたって、2つのpHセンサの応答(灰色及び濃灰色で強調)をプロットしている(図5B)。時点t(基礎値)、t(虚血に入って10分)、及びt(再灌流に入って20分)における完全な空間的pHマップについては、図5D及び図5E(左)に示す通りである。灌流ポンプをオフにすると、冠状動脈圧が0mmHgまで急減し、pHが略線形に最小値6.40(灰色)及び6.22(濃灰色)まで低下した。再灌流に際しては、心室頻拍(VT)が始まるまでpHが急速に上昇して、基礎値をいくぶん下回るレベルで安定した。再灌流誘起VTのファーフィールドECGのサンプルは、図5Cに示す通りである。洞調律へと自然に戻った後、pH値は再び、虚血前の値まで上昇した。図5D図5Fは、pHマップ(左)、代表的な光信号(Vmが黒色、CaTが灰色;中央)、並びに70%再分極での活動電位持続時間(APD70)及び70%基礎値復帰でのカルシウム過渡持続時間(CaT70)のマップを並べて示している。基礎値においては、pH、APD70、及びCaT70マップによって、pH及び電気生理学的パラメータが心臓表面において当初は均一であることが強調されている。虚血の10分後、pH、APD70、CaT70は変化したが、これは、空間的に均一ではない。再灌流の20分後、パラメータは、基礎値に近い値に戻った。この実験は、虚血/再灌流時のマルチパラメータマッピングの可能性を実証している。また、この情報は、代謝と興奮収縮連関との間の解剖学的関係を確立している。
【0110】
[0148]温度センサアレイを備えた3D−MIMは、心臓温度の空間的分布をモニタリングする能力を示す。温度センサ素子は、過去に確立された設計を使用しており、抵抗変化が温度変化と相関する金の蛇行トレース(幅20μm、厚さ50nm)から成る(図14)。温度センサは、生理学的範囲における線形応答を示し、通常の病院設定における2Hzでのサンプリング時の測定精度は約23mKである。図6Aは、拍動している心臓での使用時の16個の統合温度センサを備えた3D−MIMを示している。センサは、動物実験の前に温度制御水槽中で較正しており、アレイ全体の16個のセンサにおいて1.23±0.05Ω/℃の応答を示す(図15)。1つの実験においては、灌流の温度を変えることによって、心臓の温度を変化させた。図6Aに示すように、測定した心外膜温度は、心臓全体に均一分布した状態で、灌流液の冷却時に約7℃だけ徐々に低下した。ファーフィールド電位図によって測定される心拍数は、温度の低下に伴って少なくなり、温度が生理学的レベルに戻ると元の値に復帰したが、これは、心筋代謝の温度制御速度を示す。第2の実験においては、焼灼ペンを用いて、心外膜の微小領域を激しく焼いた。関連する温度マップ(図6B)は、切除点近くの局所的な温度上昇を示している。このような情報は、患部の切除時間及びサイズの臨床制御のためのフィードバックとして利用可能である。このようなデバイスは、電気センサと組み合わせると、温度と励起との間の実時間の関係を提供することも可能である。
【0111】
[0149]電気的及び化学的な評価に加えて、機械的特性も決定することができる。ここでは、Siナノ膜中の圧電抵抗効果に基づく歪みセンサによって、多様な伝搬状態における心臓の収縮の機構をモニタリング可能である。蛇行相互接続構造の入念な機械的設計によって、過去に報告されている小規模な2Dデバイスに記載の通り、通常の心外膜歪みがSi破壊閾値を大きく上回るという事実にも関わらず、正確な測定が可能となる。本設計において、3D−MIM歪みセンサは、ロゼット構成の3つのpドープSi圧電抵抗を具備する(図16の(A)及び(B))。圧電抵抗のうち、縦軸が互いに垂直な2つは、Siの<110>結晶方向に整列して、圧電抵抗ごとに約0.33の有効縦方向ゲージ率及び約−0.06の有効横方向ゲージ率を与える(図17)。もう1つの圧電抵抗は、<100>結晶方向に整列して、結晶方向及びデバイス全体形状に関連する固有感度のため、歪み下では相対的に小さな抵抗変化を示す。<110>方向に整列した圧電抵抗は、心臓の機械的拍動を特性化する最大感度を与える。一方、<100>方向に整列した圧電抵抗は、温度の影響の較正に利用可能である。実験によって、洞調律時の機械的挙動、心室ペーシング、及び薬理学的に誘起されたピナシジルによる心室細動(VF)が明らかとなった。槽電極によって、ファーフィールドECGの同時記録による電気的及び機械的挙動間の時間的相関の確立が可能となった。図6Cは、<110>方向に整列した代表的な圧電抵抗の応答を示している。測定結果から、ECG記録に一致したタイミングでの心臓周期の機械的拍動が明らかである。VF条件下において、歪みゲージ及びECGの両者から、波形が通常の拍動を失っており、VFに一般的なランダムパターンを表示していることが分かる。
【0112】
[0150]最後の実証では、μ−ILEDアレイを利用して、高度な半導体一体化及び光学的マッピング/刺激を行う能力を示す。ここでは、ピーク発光波長が670nmのリン化アルミニウムガリウムインジウム(AlInGaP)に基づく9つの極薄(3μm)マイクロスケール(300×300μm)発光ダイオード(LED)が、膜電位感受性色素の励起用局所光源として機能するようにした(図18図19A図19B、及び図19C)。これらの色素に関連する蛍光の変化によって、心臓の活動電位の測定が可能となった。図6Dは、外部光源(Prizmatrix、630nm)及び集積μ−ILEDにより得られた信号を比較している。LEDは、サイズが小さいにも関わらず、外部光に一致した波形で活動電位を明確に記録可能である。その結果は、3D集積構成の生体内光学的マッピング及び/又は刺激システムの可能性を実証している。
【0113】
[0151]本実施例に記載の結果は、生物医学研究及び臨床用途の両者における潜在的な有用性を伴って、能動的な電子材料及びセンサを3Dの臓器固有設計に統合する道筋を示唆している。材料、設計機構、及び機能デバイスに注意すると、これらのシステムによって、心外膜とのコンフォーマル界面を確立するとともに、多様な高密度且つ大面積のマルチパラメータ生理学的マッピング及び刺激を行うことができる。これらのデバイスは、代謝状態、興奮状態、イオン状態、収縮状態、及び熱的状態に関する局所的な情報を提供することによって、多様な損傷、疾患、及び治療に対する空間的応答及び時間的応答の両者を調べることができる。また、これらデバイスの使用により、不整脈、虚血、低酸素症、切除による外傷、又は心不全等の病態生理学的条件の起点を示す臨界領域を識別することも可能である。そして、これらの領域を用いることにより、治療的介入を案内することも可能である。これらの手法は、致死的な心臓疾患を診断及び治療する高精細度の埋め込み可能なデバイスを設計して実装する有望な機会を提供する。
【0114】
方法
[0152]3D−MIMの製造:以下に詳述するプロセスは、無機半導体材料(Si、InGaN、又はAlInGaP)の標準的な平面処理から始めた後、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)上のポリイミド(PI)又はポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)上のポリ(エチレンテレフタレート)(PET)の二重層で被膜した基板への転写を行う。デバイスは、PMMAの溶解又はPDMSからの剥離によって解放可能である。また、金属層(Cr/Au)を真空蒸着するとともにパターン化して、相互接続、抵抗、及び電極を形成する。デバイス上にポリマー封入層(PI又は感光性エポキシSU8)を適用してパターン化することにより、製造は完了となる。得られた構造は、転写によって、低弾性率のシリコンエラストマ(Ecoflex、Smooth−on)の薄膜に移動させる。また、周辺のコンタクトパッドに接合された柔軟な導電性ケーブル(Elform)によって、外部ハードウェアとのインターフェースを提供する。デバイスは、積層プロセスによって、心臓の所望の3D印刷モデルに取り付け、センサを表面に直接接触させる。そして、同じ種類のエラストマの別の層の成型及び硬化によって、システムの全体3D形状を規定する。場合により、エラストマストラップによって、ランゲンドルフ灌流心臓実験に用いる操作性を向上させた(図20)。膜には、別の開口を具備することにより、支持槽中の流れに伴う流体蓄積を防止することができる。モデルから取り外すことにより、IrOの電着によって、高精度なpH検知のための初期表面を得ることができる。
【0115】
[0153]動物実験:National Institutes of Healthの倫理指針及びInstitutional Animal Care and Use Committee、Washington University、St Louisの許可に従って実験を行った。ランゲンドルフ灌流ラビット心臓に対する光学的マッピング手順は、文献にて過去に報告されているように実行した。図21は、代表的な実験設定を示している。簡潔には、開胸術によって心臓を取り除き、大動脈にカニューレを配置して、酸化タイロード液の逆行性灌流を可能にする。灌流は、動物の電解質平衡を模倣して、心臓にエネルギー基質を与えることにより、電気的観点から正常に機能し続けるようにする。心臓は、pH7.4±0.05で37℃に保たれた灌流チャンバに沈める。膜電位(Vm)及びカルシウム過渡信号(CaT)の光信号は、灌流液に添加した電位差感受性色素(di−4 ANEPPS又はRH−237)又はカルシウム指示薬(Rhod−2a)からの蛍光信号のCMOSカメラによる収集に依拠する。モーションアーチファクトを回避する必要がある場合は、興奮収縮脱共役剤(ブレビスタチン)も灌流液に添加する。
【0116】
データ収集及び処理
[0154]1.電気生理学:240チャネル単極電位図収集システム(Astrocard、Boston)及び特注のインターフェースを用いて、3D−MIM上のAu電極から電気信号を記録する。トリガTTLパルスと同調した1kHzのサンプリング周波数で光信号及び電気信号の両者を収集し、別途、特注のMATLABソフトウェアで後処理する。後処理:3D−MIMから収集した電気信号はまず、収集ソフトウェア内部の60Hzノッチフィルタでフィルタリングした後、関心興奮時間の電気生理学的パラメータを計算し(図4C)、光学背景ファイルに基づいて、電極の空間座標に合わせる。光信号は、ビニング、フィルタリング、及び正規化を行う。また、視野全体について、電気生理学的パラメータを計算する。空間的マップを作成するため、散乱データを3次補間するMATLABの内部関数を用いて興奮時間を補間する。また、電極の座標で光学的マップをサンプリングし、同じ補間方法を適用して、最大解像度の光学パターンをサンプリングした光学的マップ及び電気的マップと比較する。
【0117】
[0155]2.Ag/AgCl電極を基準とする各センサの開回路電位の測定によって、pHデータを収集する。
【0118】
[0156]3.National Instruments PXI−6289ボードに基づく特注のシステムを用いて、各センサの抵抗の測定により、温度及び歪みセンサのデータを収集する。
【0119】
図面の説明
[0157]図2A図2B、及び図2C:心外膜表面全体にわたって時空間測定/刺激を行う3D多機能外皮膜(3D−MIM)。図2A:デバイス設計及び製造の重要なステップの図式描写。スケールバー:2cm。図2B:ランゲンドルフ灌流ラビット心臓に統合された代表的な3D−MIMの画像。白色矢印は、このシステムの様々な機能要素を強調している。電子機器は、心臓の前後両面を覆うことができる(差し込み図)。スケールバー:6mm。図2C:心外膜とコンフォーマル接触した機能要素の拡大図。画像は、デバイスの背面から記録している。スケールバー:500μm。
【0120】
[0158]図3A及び図3B:3D−MIMの統合に伴う心外膜の圧力の解析。図3A:心臓形状の様々な体積膨張状態における総厚150μm、有効ヤング率60kPaのデバイスによる計算圧力分布。図3Bは:膜の体積膨張(左)、厚さ(中央)、及びヤング率(右)の関数としての平均圧力のFEM及び解析結果。
【0121】
[0159]図4A図4B図4C、及び図4D:高密度電気的マッピングの説明。図4A:ランゲンドルフ灌流ラビット心臓上の対応する色付き電極位置から同時に取得した代表的な光信号及び電気信号。スケールバー:7mm。図4B:上:代表的な光学活動電位(OAP)、単極電位図(EG)、及び興奮時間の位置の模式図(OAPは
【数4】

、EGは
【数5】

と定義)。下:種々状態で試験した心臓の電気的及び光学的興奮時間の相関。図4C:電気的及び光学的測定結果から決定した補間空間的興奮マップ。上:膜上の赤色電極対による心臓ペーシング。下:洞調律。図4D:心臓の前後両面からの電気信号の3Dマッピング。電気的興奮時間の補間空間的マップは、視覚化のため、代表的なラビット心臓形状に投射されている。スケールバー:7mm。
【0122】
[0160]図5A図5B図5C図5D図5E、及び図5F:膜電位及びカルシウム過渡信号の同時光学的マッピングと併せた高密度pHマッピングの説明。図5A:ランゲンドルフ灌流ラビット心臓に統合されたpHセンサアレイについて、2個のpHセンサを強調した3D−MIMを示しており、値を図5Bに表示。スケールバー:7mm。図5B:30分間の再灌流が後続する30分間の無血流虚血中のpHの時間的変化。t、t、及びtとして星印を付けた3つの時間は、図5D図5Fの空間的pHマップに対応。図5C:基礎値及び再灌流誘起VTにおける代表的なファーフィールドECG。図5D図5F:基礎値(図5D)、10分間の無血流虚血(図5E)、及び20分間の再灌流(図5F)における32個のセンサのpHマップ(左)、代表的な膜電位及びカルシウム過渡信号(中央)、及びAPD70−CaT70マップ(右)。VTは心室頻拍、Vmは膜電位、CaTはカルシウム過渡信号、APD70は70%再分極での活動電位持続時間、Cat70は70%弛緩でのカルシウム過渡持続時間。
【0123】
[0161]図6A図6B図6C、及び図6D:集積μ−ILEDを用いた高密度の温度及び歪み検知、並びに撮像の説明。図6A:3D−MIMの適用による低温灌流中の温度モニタリング。左:ランゲンドルフ灌流ラビット心臓に統合された4×4温度センサアレイを備えた3D−MIMの画像。中央:左の差し込み図に示す代表的なセンサからの温度記録。右:中央の差し込み図の代表的な時点における温度マップ(対応する心拍数をECGから計算)。カラーマップの各画素は、1つの温度センサからの記録に対応。スケールバー:1cm。図6B:切除実験中の温度測定結果。左の差し込み図には、センサアレイ及び焼灼ペンの位置を図示。切除中の温度マップ(右上)及び代表的なセンサからの記録(右下)をそれぞれ図示。スケールバー:7mm。図6C:代表的な生理学的条件下でのSi歪みセンサの応答(同時ECG記録との比較)。図6D:左:光学的マッピング実験におけるμ−ILEDアレイを備えた3D−MIMの画像。差し込み図は、代表的なμ−ILEDの周りの領域の拡大図。右:3D−MIM上のμ−ILEDを用いた励起中及び外部の光学的励起中それぞれに記録した代表的な画素(左の差し込み図の青色ドット)からの光信号の比較。スケールバー:3mm。
【0124】
3D−MIMの機構解析
[0162]I.3D FEMによる数値解析。3D FEMを用いて、広範なデバイスパラメータ及び心臓の膨張の場合の3D多機能外皮膜(3D−MIM)と心臓との間の圧力を調べる。医療スキャンにより得られた光学セグメントによって、心臓の3D形状モデルを再構成する。ABAQUS有限要素プログラムのプリプロセッサに形状モデルをインポートする。ABAQUSにおいては、4ノード線形4面体固体要素C3D4及び4ノード四辺形膜要素M3D4によって、心臓及び3D−MIMをそれぞれモデル化する。要素の総数は60,000個を超えており、メッシュの微調整によって、計算結果の精度を保証する。心臓の規定の膨張の場合、FEMは、3D−MIMと心臓との間の界面における圧力分布を与える。そして、図3Aに示すように、3D−MIMと心臓すなわち実験における心室との間の接触領域における平均圧力を求める。
【0125】
[0163]II.圧力。3D−MIMにより覆われた心臓の部分(図3A)は概ね、図7A及び図7Bに示すように、長短軸の長さがa及びbの部分非対称楕円である。心臓表面上の3D−MIMは、膜としてモデル化され、モデル上に製造した場合のZ/a+R/b=1から心臓の線形膨張εに起因するz/[(1+ε)]+r/[(1+ε)]=1まで変形する。ここで、(Z,R)及び(z,r)=[(1+ε)Z,(1+ε)R]はそれぞれ、非対称座標での膨張が無い場合及び有る場合の3D−MIMの軸方向及び半径方向座標である。2軸線形歪みεを有する3D−MIMの平面応力状態は、Eε/(1−v)として2軸応力を与える。ここで、E及びvはそれぞれ、3D−MIMのヤング率及びポアソン比である。線形膨張に起因する長さ変化を考慮した膜力は、以下の通りである。
【数6】

ここで、tは、3D−MIMの厚さである。平面曲線r=r(z)の場合、子午線方向に沿った主曲率は、表面上の任意の点(z,r)において、−(dr/dz)/[1+(dr/dz)3/2である。円周方向に沿った他方の主曲率は、以下により与えられる。
【数7】

z=(1+ε)Z及びr=(1+ε)Rの場合、これら2つの主曲率は、以下により与えられる。
【数8】

心臓の圧力は、膜の張力及び曲率に関して、以下により求められる。
P=T(κ+κ
心臓に接触している楕円表面のZ≦Z≦a(図7A)の部分の平均は、以下の通りである。
【数9】

これにより、上記の式(1)及び以下が得られる。
【数10】

心臓の形状モデルに最も適合するa=15mm、b=10mm、及び0X=−5.5mmの場合、式(1)の平均圧力は、図3Bに示すように、3D FEMの結果とよく一致する。
【0126】
[0164]上記の解析には、3D−MIMと心臓との間の圧力に電子デバイスが及ぼす影響を考慮していない。このような影響は、式(1)から、3D−MIMの引張剛性Etを電子デバイス付き3D−MIMの有効引張剛性で置き換えることにより推定可能である。図7Bの差し込み図は、膜材料のシート(62.8×24.3×0.15mm)上の相互接続及び電極から成る電子デバイスを示している。相互接続はすべて、各面を1.2μm厚のポリイミド(PI)層で挟まれたAu(120nm)/Cr(2nm)複合層から成る。電極の断面は、相互接続の断面と同様であるが、上部の1.2μm厚のPI層がなく、Auが露出している。ABAQUSにおいては、シートを8ノード固体要素C3D8Rで、相互接続及び電極を4ノードシェル要素S4Rでそれぞれモデル化する。図7Bに示すように、FEMは、その引張剛性について、電子デバイスがない場合の約1.5倍になることを示す。
【0127】
3D−MIMの製造手順
[0165]I.図2に示す様々な電子コンポーネントアレイを備えた3D−MIM
【0128】
[0166]Siナノ膜のpドーピング
[0167]1.シリコンオンインシュレータ(SOI)ウェハ(150nmの埋め込み酸化物上に320nmのシリコン)をアセトン、イソプロピルアルコール(IPA)、及び脱イオン(DI)水で洗浄し、110℃で5分間脱水する。
[0168]2.緩衝酸化物エッチング(BOE)6:1で1分間洗浄する。
[0169]3.1,000℃で10分間、拡散ホウ素源に曝露する。
[0170]4.処理水をHFで1分間、RCA1で10分間、RCA2で10分間、及びBOEで1分間洗浄する。
【0129】
[0171]InGaN μ−ILEDの作成
[0172]5.GaN/Si(111)エピウェハ(Azzurro Semiconductor、GaN:Mg(110nm)//InGaN(3nm)、GaN:Si(10nm)の5回繰り返し//GaN:Si(1,700nm)//AlN:Si/GaN:Si(1,900nm)//GaN(750nm)//AlN/AlGaN(300nm)//Si(111))上において、nコンタクト用のフォトレジスト(PR)(AZ 5214 E)をスピンコートしてパターン化する。
[0173]6.誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング(ICP−RIE):(a).3mTorr、15sccmのBCl(RFパワー300W及び平行板DC電圧100Vで90秒間)の後、(b).3mTorr、15sccmのCl(RFパワー300W及び平行板DC電圧100Vで120秒間)。
[0174]7.BOE10:1で120秒間、自然酸化物を除去する。
[0175]8.電子線蒸着器によって、Tiを15nm、Alを60nm、Moを20nm、Auを100nm蒸着する。
[0176]9.リフトオフする(アセトンを用いて超音波で120秒間)。
[0177]10.N雰囲気において、860℃で30秒間アニーリングする。
[0178]11.PRパターン化により、p拡散層を形成する。
[0179]12.HCl:Di=3:1中に5分間浸漬する。
[0180]13.電線蒸着器によって、Niを10nm、Auを10nm蒸着する。
[0181]14.リフトオフする。
[0182]15.空気雰囲気において、500℃で10分間アニーリングする。
[0183]16.PRパターン化により、pコンタクトパッドを形成する。
[0184]17.電線蒸着器によって、Tiを10nm、Auを120nm蒸着する。
【0130】
[0185]18.リフトオフする。
[0186]19.プラズマ強化化学気相成長(PECVD)によって、Siを300nm堆積させる。
[0187]20.PRパターン化により、アンカーを形成する。
[0188]21.電線蒸着器によって、Tiを50nm、Niを450nm蒸着する。
[0189]22.リフトオフする。
[0190]23.反応性イオンエッチング(RIE)によって、エッチングによりSiマスクを形成する(SF 40sccm、圧力35mTorr、及びRFパワー100W、エッチング時間3分超)。
[0191]24.ICP−RIEによるSi及びGaN/InGaN/AlN/AlGaNエピ層のエッチング:(a).5mTorr、25℃、10sccmのBCl、16sccmのCl、4sccmのAr(500W、300V、1分間)、(b).5mTorr、25℃、20sccmのCl、sccmのAr(500W、260V、8分間)。
[0192]25.100℃のKOH(PSE−200、Transene)に45分間浸漬して(100100μm)、Siの異方性アンダーカットを形成する。
[0193]26.Niを約200秒間エッチングする(Transene TFB)(エッチング速度は室温で3nm/s)。
[0194]27.RIEによって、Siをエッチングする。
【0131】
[0195]PET基層の作成
[0196]28.ガラススライド上にポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)(Sylgard 184、Dow Corning)を回転成型する(3,000rpm、30秒間)。
[0197]29.70℃で2時間、PDMSを硬化させる。
[0198]30.PDMS表面上に、厚さ2.5μmのポリ(エチレンテレフタレート)(PET)膜を積層する。
【0132】
[0199]PET基層へのSiナノ膜の転写
[0200]31.3μmピッチのドットパターンでPR(S1805、Microposit)をパターン化する。
[0201]32.RIEによって、シリコンをエッチングする(50mTorr、40sccmのSF、100W、1分間)。
[0202]33.HF中で30分間、ドットパターンによりSOIウェハの埋め込み酸化物層をアンダーカットする。
[0203]34.PET膜上にSU−8 2エポキシ(Microchem)をスピンコートする(3,000rpm、30秒間)。
[0204]35.65℃で30秒間焼成する。
[0205]36.SOIウェハから、PDMSスタンプによりSiナノ膜を取り上げる。
[0206]37.Si層をSU−8層に印刷する。
[0207]38.ガラススライドの背面からの紫外(UV)光曝露により、SU−8層を硬化させる。
[0208]39.95℃で30秒間焼成し、スタンプを除去する。
[0209]40.150℃で15分間焼成する。
[0210]41.アセトン、IPA、及びDI水によりPRを剥離させる。
【0133】
[0211]Siパターン化
[0212]42.PR(S1805)をパターン化する。
[0213]43.RIEによって、シリコンをエッチングする(50mTorr、40sccmのSF、100W、1分間)。
[0214]44.アセトン、IPA、及びDI水によりPRを剥離させる。
【0134】
[0215]第1の金属化
[0216]45.電線蒸着器によって、Crを10nm、Auを300nm蒸着する。
[0217]46.PRをパターン化する。
[0218]47.Cr/Auをウェットエッチングする。
[0219]48.アセトン、IPA、及びDI水によりPRを剥離させる。
【0135】
[0220]PET平面基板へのInGaN μ−ILEDの転写
[0221]49.SU−8 2をスピンコートする(4,000rpm、30秒間)。
[0222]50.65℃で1分間、95℃で2分間、予備焼成する。
[0223]51.PDMSスタンプによりLEDを印刷する。
[0224]52.365nmのUVを150mJ/cmで照射する。
[0225]53.65℃で1分間、95℃で2分間、事後焼成する。
【0136】
[0226]印刷したInGaN μ−ILEDの保護
[0227]54.RIEによって、LED上のSiを表面改質除去する(40mTorr、19.6sccmのO、40sccmのSF、100Wで3分間)。
[0228]55.ベンゾシクロブテン(BCB)(Cyclotene 4024−40、Dow)を回転成型する(2,000rpm、30秒間)。
[0229]56.70℃で90秒間、予備焼成する。
[0230]57.サンプルの背面からUVに曝露する(123mJ/cm、405nm)。
[0231]58.70℃で30秒間、事後焼成する。
[0232]59.現像剤DS2100中で70秒間現像する。
[0233]60.無酸素環境において、210℃で120分間、BCBを硬化させる。
[0234]61.RIEによって、デスキューム(descuum)処理する(200mTorr、18sccmのO、2sccmのCF、150WのRFパワー、30秒間)。
【0137】
[0235]第2の金属化
[0236]62.電線蒸着器によって、Crを10nm、Auを300nm蒸着する。
[0237]63.PRをパターン化する。
[0238]64.Cr/Auをウェットエッチングする。
[0239]65.アセトン、IPA、及びDI水によりPRを剥離させる。
[0240]66.150℃で5分間、脱水する。
【0138】
[0241]封入及びポリマーパターン化
[0242]67.ポリイミド(PI)前駆体(ポリ(ピロメリット酸二無水物−co−4,4’−オキシジアニリン)アミック酸溶液(Sigma−Aldrich)をスピンコートする(4,000rpm、30秒間)。
[0243]68.無酸素環境において、210℃で120分間、PIを硬化させる。
[0244]69.電線蒸着器によって、Cuを600nm蒸着する。
[0245]70.PRをパターン化してCuマスクを形成する。
[0246]71.Cuをウェットエッチングする。
[0247]72.RIEによって、ポリマーをエッチングする(200mTorr、3sccmのCF及び19.6sccmのO、175Wで30分間)。
[0248]73.Cuをウェットエッチングする。
【0139】
[0249]エラストマ基板の作成
[0250]74.トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル トリクロロシラン(UCT Specialties,LLC)によって、ガラススライドをシラン処理する。
[0251]75.ガラススライド上にシリコンエラストマ(Ecoflex 00−30、Smooth−on)をスピンコートする(500rpm、60秒間)。
[0252]76.室温で3時間、硬化させる。
【0140】
[0253]エラストマ基板上への転写及びケーブル接合
[0254]77.水溶性のテープ(3M)を用いて、ポリマー基部及び封入層を備えた電子コンポーネントアレイをPDMS被覆ガラススライドから解放する。
[0255]78.電子線蒸着器によって、PETの背面にTiを3nm、SiOを30nm蒸着する。
[0256]79.エラストマ基板を4分間、UV/オゾン処理する。
[0257]80.電子コンポーネントアレイを備えたPETをエラストマ基板に印刷する。
[0258]81.水溶性のテープをDI水で溶解させる。
[0259]82.高温の鉄を用いて強い圧力で、薄くて柔軟なヒートシール導電性ケーブル(Elform、HST−9805−210)を電子コンポーネントアレイに接合する。
【0141】
[0260]3D形状の形成
[0261]83.3D撮像及び3D印刷によって、心臓モデルを作成する。
[0262]84.電子コンポーネントの前部を心臓モデルに接触させた状態で、エラストマ基板を備えた電子コンポーネントアレイを心臓モデルに取り付ける(図22)。
[0263]85.別のシリコンエラストマ構造も統合可能である(図20)。
[0264]86.上部にシリコンエラストマ(Ecoflex 00−30、Smooth−on)を成型する。
[0265]87.室温で24時間、硬化させる。
[0266]88.膜の受動領域に別の穴をパンチングして、流体の排出も可能である。
[0267]89.モデルから3D−MIMを取り外す。
【0142】
[0268]IrO pHセンサの電気化学的処理
[0269]90.300mgの四塩化イリジウムを200mlのDI水に溶解させて、15分間撹拌する。
[0270]91.2mlの過酸化水素水溶液(30%)を添加して、10分間撹拌する。
[0271]92.1,000mgのシュウ酸無水物を添加して、10分間撹拌する。
[0272]93.微量の無水炭酸カリウムの添加によって、pHを10.5に調整する。
[0273]94.室温で2日間保管する。問題なく作成した溶液は、その間に、黄色から薄紫色に変色する。その後、暗色ボトルに入れた溶液を4℃の冷蔵室で保管する。
[0274]95.作成した容液を用いて、定電流モードの定電位電解装置(VMP−3、BioLogic Inc.)により、3D−MIM上の選択電極上にIrOをメッキする。メッキ中、作動電極及び対向電極の電圧は、0.7V前後に維持した(持続時間:20分間)。
【0143】
[0275]II.高精度ECG/pHマッピング用電極アレイ
【0144】
[0276]PI基層の作成
[0277]1.アセトン、IPA、及びDI水でSiウェハを洗浄し、110℃で5分間脱水する。
[0278]2.ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA 495 A2、Microchem)をスピンコートする(3,000rpm、30秒間)。
[0279]3.180℃で1分間焼成する。
[0280]4.PI前駆体をスピンコートする(4,000rpm、30秒間)。
[0281]5.110℃で30秒間焼成する。
[0282]6.150℃で5分間焼成する。
[0283]7.無酸素環境において、250℃で60分間、PIを硬化させる。
【0145】
[0284]金属化
[0285]8.電線蒸着器によって、Crを10nm、Auを300nm蒸着する。
[0286]9.PRをパターン化する。
[0287]10.Cr/Auをウェットエッチングする。
[0288]11.アセトン、IPA、及びDI水によりPRを剥離させる。
[0289]12.150℃で5分間、脱水する。
【0146】
[0290]封入及びポリマーパターン化
[0291]13.PI前駆体をスピンコートする(4,000rpm、30秒間)。
[0292]14.無酸素環境において、250℃で60分間、PIを硬化させる。
[0293]15.PR(AZ 4620)をスピンコートする(1000rpm、60秒間)。
[0294]16.PRをパターン化してポリマーをエッチングする。
[0295]17.RIEによって、ポリマーをエッチングする(200mTorr、20sccmのO、150Wで20分間)。
[0296]18.アセトン、IPA、及びDI水によりPRを剥離させる。
【0147】
[0297]エラストマ基板上への転写及びケーブル接合
[0298]19.沸騰したアセトンでPMMAを部分的に溶解させる。
[0299]20.水溶性のテープを用いて、PI基部及び封入層を備えた電極アレイをSiウェハから解放する。
[0300]21.PI基層の背面にTiを3nm、SiOを30nm蒸着する。
[0301]21.エラストマ基板を4分間、UV/オゾン処理する。
[0302]22.PI基部及び封入層を備えた電極アレイをエラストマ基板に印刷する。
[0303]23.水溶性のテープをDI水で溶解させる。
[0304]24.高温の鉄を用いて強い圧力で、薄くて柔軟なヒートシール導電性ケーブル(Elform、HST−9805−210)をアレイに接合する。
[0305]3D−MIMへの統合及び選択電極へのIrOのメッキにより、製造を完了する。
【0148】
[0306]III.温度センサアレイ
【0149】
[0307]PI基層の作成
[0308]1.アセトン、IPA、及びDI水でSiウェハを洗浄し、110℃で5分間脱水する。
[0309]2.PMMA 495 A2をスピンコートする(3,000rpm、30秒間)。
[0310]3.180℃で1分間焼成する。
[0311]4.PI前駆体をスピンコートする(4,000rpm、30秒間)。
[0312]5.110℃で30秒間焼成する。
[0313]6.150℃で5分間焼成する。
[0314]7.無酸素環境において、250℃で60分間、PIを硬化させる。
【0150】
[0315]第1の金属化
[0316]8.電線蒸着器によって、Crを5nm、Auを40nm蒸着する。
[0317]9.PRをパターン化する。
[0318]10.Cr/Auをウェットエッチングする。
[0319]11.アセトン、IPA、及びDI水によりPRを剥離させる。
[0320]12.150℃で5分間、脱水する。
【0151】
[0321]第1の金属の隔離及びビアホールのパターン化
[0322]13.PI前駆体をスピンコートする。
[0323]14.110℃で30秒間焼成する。
[0324]15.150℃で5分間焼成する。
[0325]16.無酸素環境において、250℃で60分間、PIを硬化させる。
[0326]17.スピンコートして(3,000rpm、30秒間)、PR(AZ4620)をパターン化する。
[0327]18.RIEを行う(50mTorr、20sccmのO、150Wで35分間)。
【0152】
[0328]第2の金属化
[0329]19.電線蒸着器によって、Crを5nm、Auを200nm蒸着する。
[0330]20.PRをパターン化する。
[0331]21.Cr/Auをウェットエッチングする。
[0332]22.アセトン、IPA、及びDI水によりPRを剥離させる。
[0333]23.150℃で5分間、脱水する。
【0153】
[0334]封入及びポリマーパターン化
[0335]24.PI前駆体をスピンコートする。
[0336]25.110℃で30秒間焼成する。
[0337]26.150℃で5分間焼成する。
[0338]27.無酸素環境において、250℃で60分間、PIを硬化させる。
[0339]28.PR AZ4620をパターン化する。
[0340]29.RIEを行う(50mTorr、20sccmのO、150Wで35分間)。
【0154】
[0341]エラストマ基板上への転写及びケーブル接合
[0342]30.沸騰したアセトンでPMMAを部分的に溶解させる。
[0343]31.水溶性のテープを用いて、PI基部及び封入層を備えた温度センサアレイをSiウェハから解放する。
[0344]32.PI基層の背面にTiを3nm、SiOを30nm蒸着する。
[0345]33.エラストマ基板を4分間、UV/オゾン処理する。
[0346]34.PI基部及び封入層を備えた温度センサアレイをエラストマ基板に印刷する。
[0347]35.水溶性のテープをDI水で溶解させる。
[0348]36.高温の鉄を用いて強い圧力で、薄くて柔軟なヒートシール導電性ケーブル(Elform、HST−9805−210)をアレイに接合する。
[0349]3D−MIMへの統合により、製造を完了する。
【0155】
[0350]IV.Si歪みセンサアレイ
【0156】
[0351]Siナノ膜のpドーピング
[0352]1.SOIウェハをアセトン、イソプロピルアルコール(IPA)、及び脱イオン(DI)水で洗浄し、110℃で5分間脱水する。
[0353]2.BOE6:1で1分間洗浄する。
[0354]3.1,000℃で10分間、拡散ホウ素源に曝露する。
[0355]4.処理水をHFで1分間、RCA1で10分間、RCA2で10分間、及びBOEで1分間洗浄する。
【0157】
[0356]PI基層の作成及びSiナノ膜の転写
[0357]5.3μmピッチのドットパターンでPR(S1805、Microposit)をパターン化する。
[0358]6.RIEによって、シリコンをエッチングする(50mTorr、40sccmのSF、100W、1分間)。
[0359]7.HF中で30分間、ドットパターンによりSOIウェハの埋め込み酸化物層をアンダーカットする。
[0360]8.アセトン、IPA、及びDI水でベアSiウェハを洗浄し、110℃で5分間脱水する。
[0361]9.PMMAをスピンコートする(3,000rpm、30秒間)。
[0362]10.180℃で1分間焼成する。
[0363]11.PI前駆体をスピンコートし(4,000rpm、30秒間)、110℃で40秒間アニーリングする。
[0364]12.SOIウェハから、PDMSスタンプによりSiナノ膜を取り上げる。
[0365]13.Si層をPI層に印刷する。
[0366]14.110℃で30秒間焼成し、スタンプを解放する。
[0367]15.150℃で15分間焼成する。
[0368]16.アセトン、IPA、及びDI水によりPRを剥離させる。
[0369]17.無酸素環境において、250℃で60分間、PIを硬化させる。
【0158】
[0370]Siパターン化
[0371]18.PR(S1805)をパターン化する。
[0372]19.RIEによって、Siをエッチングする(50mTorr、40sccmのSF、100W、1分間)。
[0373]20.アセトン、IPA、及びDI水によりPRを剥離させる。
【0159】
[0374]金属化
[0375]21.電線蒸着器によって、Crを10nm、Auを300nm蒸着する。
[0376]22.PRをパターン化する。
[0377]23.Cr/Auをウェットエッチングする。
[0378]24.アセトン、IPA、及びDI水によりPRを剥離させる。
[0379]25.150℃で5分間、脱水する。
【0160】
[0380]封入及びポリマーパターン化
[0381]26.PI前駆体をスピンコートする(4,000rpm、30秒間)。
[0382]27.無酸素環境において、250℃で60分間、PIを硬化させる。
[0383]28.PR(AZ 4620)をスピンコートする(1000rpm、60秒間)。
[0384]29.PRをパターン化してポリマーをエッチングする。
[0385]30.RIEによって、ポリマーをエッチングする(200mTorr、20sccmのO、150Wで20分間)。
[0386]31.アセトン、IPA、及びDI水によりPRを剥離させる。
【0161】
[0387]エラストマ基板上への転写及びケーブル接合
[0388]32.沸騰したアセトンでPMMAを部分的に溶解させる。
[0389]33.水溶性のテープを用いて、PI基部及び封入層を備えた歪みセンサアレイをSiウェハから解放する。
[0390]34.PI基層の背面にTiを3nm、SiOを30nm蒸着する。
[0391]35.エラストマ基板を4分間、UV/オゾン処理する。
[0392]36.PI基部及び封入層を備えた歪みセンサアレイをエラストマ基板に印刷する。
[0393]37.水溶性のテープをDI水で溶解させる。
[0394]38.高温の鉄を用いて強い圧力で、薄くて柔軟なヒートシール導電性ケーブル(Elform、HST−9805−210)をアレイに接合する。
[0395]3D−MIMへの統合により、製造を完了する。
【0162】
[0396]V.光学的実験用μ−ILEDアレイ
【0163】
[0397]AlInGaP μ−ILEDの作成
[0398]1.p−GaAs:C(50nm)//Al0.45Ga0.55As:C(800nm)//In0.5Al0.5P:Zn(200nm)//Al0.25Ga0.25In0.5P(6nm)//In0.56Ga0.44P(6nm)、Al0.25Ga0.25In0.5P(6nm)の4回繰り返し//In0.5Al0.5P:Si(200nm)//Al0.45Ga0.55As:Si(800nm)//n−GaAs:Si(500nm)//Al0.96Ga0.04As(500nm)のエピタキシャルスタックをGaAsウェハ上に作成する。
[0400]2.PECVDによって、SiOを堆積させる。
[0401]3.PRをパターン化してメサをエッチングする。
[0402]4.BOEによって、SiOをエッチングする。
[0403]5.ICP−RIEによるエッチング(2mTorr、4sccmのCl、2sccmのH、4sccmのAr、RF1:100W、RF2:500W、約5分間)によって、n−GaAsを露出させる。
[0404]6.アセトン、IPA、及びDI水によりPRを剥離させる。
[0405]7.PRをパターン化してn−GaAsをエッチングする。
[0406]8.HPO:H:HO(1:13:12)によってウェットエッチングする(約10秒間)。
[0407]9.アセトン、IPA、及びDI水によりPRを剥離させる。
[0408]10.PRをパターン化してn−コンタクトを形成する。
[0409]11.n−GaAsの表面をHCl:DI水(1:1)で30秒間洗浄する。
[0410]12.電線蒸着器によって、Pdを5nm、Geを35nm、Auを70nm蒸着する。
[0411]13.リフトオフする。
[0412]14.N雰囲気において、175℃で60分間アニーリングする。
[0413]15.PRをパターン化してp−コンタクトを形成する。
[0414]16.BOEによって、30秒間エッチングする。
[0415]17.p−GaAsの表面をHCl:DI水(1:1)で30秒間洗浄する。
[0416]18.電子線蒸着器によって、Ptを10nm、Tiを40nm、Ptを10nm、Auを70nm蒸着する。
[0417]19.リフトオフする。
[0418]20.PRをパターン化して保護アンカーを形成する。
[0419]21.希HF(49%、100:1に希釈)中に約2時間浸して、μ−ILED直下のAl0.96Ga0.04As(犠牲層)を除去する。
【0164】
[0420]ポリマー基層の作成及びAlInGaP μ−ILEDの転写
[0421]22.ガラススライド上にCrを10nm堆積させる。
[0422]23.PRをパターン化してCrマーカを形成する。
[0423]24.Crをウェットエッチングする。
[0424]25.アセトン、IPA、及びDI水によりPRを剥離させる。
[0425]26.PMMA 495 A2をスピンコートする(3000rpm、30秒間)。
[0426]27.180℃で1分間焼成する。
[0427]28.SU−8 2をスピンコートする(4,000rpm、30秒間)。
[0428]29.65℃で1分間、95℃で2分間、予備焼成する。
[0429]30.PDMSスタンプによりμ−ILEDを印刷する。
[0430]31.365nmのUVを150mJ/cmで照射する。
[0431]32.65℃で1分間、95℃で2分間、事後焼成して、PDMSスタンプを除去する。
[0432]33.アセトン、IPA、及びDI水によりPRを剥離させる。
【0165】
[0433]AlInGaP μ−ILEDの保護
[0434]34.SU−8 2をスピンコートする(2,000rpm、30秒間)。
[0435]35.65℃で2分間、95℃で3分間、予備焼成する。
[0436]36.365nmのUVを150mJ/cmで照射して、ビアホールを作製する。
[0437]37.70℃で40秒間、事後焼成する。
[0438]38.SU 8現像剤中で30秒間現像する。
[0439]39.150℃で30分間焼成する。
【0166】
[0440]金属化
[0441]40.電線蒸着器によって、Crを10nm、Auを300nm蒸着する。
[0442]41.PRをパターン化する。
[0443]42.Cr/Auをウェットエッチングする。
[0444]43.AZ 400TでPRを除去する。
【0167】
[0445]封入及びポリマーパターン化
[0446]44.150℃で5分間、脱水する。
[0447]45.SU8−2をスピンコートする(2000rpm、30秒間)。
[0448]46.65℃で1分間、95℃で2分間焼成する。
[0449]47.Nガスを吹き付ける。
[0450]48.PI前駆体をスピンコートする(3,000rpm、30秒間)。
[0451]49.無酸素環境において、250℃で60分間、PIを硬化させる。
[0452]50.PR(AZ 4620)をスピンコートする(1000rpm、60秒間)。
[0453]51.PRをパターン化してポリマーをエッチングする。
[0454]52.RIEによって、ポリマーをエッチングする(200mTorr、20sccmのO、150Wで20分間)。
[0455]53.アセトン、IPA、及びDI水によりPRを剥離させる。
【0168】
[0456]エラストマ基板上への転写及びケーブル接合
[0457]54.沸騰したアセトンでPMMAを部分的に溶解させる。
[0458]55.水溶性のテープを用いて、ポリマー基部及び封入層を備えたμ−ILEDアレイをSiウェハから解放する。
[0459]56.PI基層の背面にTiを3nm、SiOを30nm蒸着する。
[0460]57.エラストマ基板を4分間、UV/オゾン処理する。
[0461]58.ポリマー基部及び封入層を備えたμ−ILEDアレイをエラストマ基板に印刷する。
[0462]59.水溶性のテープをDI水で溶解させる。
[0463]60.高温の鉄を用いて強い圧力で、薄くて柔軟なヒートシール導電性ケーブル(Elform、HST−9805−210)を電子コンポーネントアレイに接合する。
[0464]3D−MIMへの統合により、製造を完了する。
【0169】
[0465]図面の説明
[0466]図7A及び図7B:デバイスの機械的解析。図7A:解析モデル用の長短軸の長さがa及びbの部分非対称楕円の模式図。図7B:2方向に沿って電子デバイスを有する場合及び有しない場合の3D−MIMの剛性の比較。
【0170】
[0467]図8A及び図8B:3D−MIMを適用した鼓動している心臓の安定性。図8A:心臓上に3D−MIMを有する場合及び有しない場合の大動脈における圧力波形及び鼓動している心臓の準備中の虚血の電気生理学的インジケータの経時比較。虚血の兆候としては、収縮性の指標である圧力波形の低下、ファーフィールド電位図の補正QT間隔の短縮、及びファーフィールド電位図のSTセグメントの上昇が挙げられる。対照心臓の時間的パターンは、3D−MIMが無い時間であっても、鼓動している心臓の準備が不安定であることを示しているが、圧力波形及びST上昇は、3D−MIMが有害な機能であることを示していないようである。3D−MIM群においては、QTcが短くなっているが、これは、さらなる調査も可能な再分極に対する何らかの影響が存在し得ることを示唆するものではない。図8B:3D−MIM群及び対照群の安定時間の最初と最後の例示的なトレース。
【0171】
[0468]図9:高精度ECG及びpHマッピング用電極アレイの設計。差し込み図はそれぞれ、金電極、電着IrOを有する電極、並びにPI基部及び封入層を備えた相互接続の拡大画像である。
【0172】
[0469]図10:リン酸緩衝生理食塩水中で測定した代表的な3D−MIM Au電極の電気化学的インピーダンス分光法(EIS)データ。
【0173】
[0470]図11A図11B、及び図11C:心拍動及び心停止条件下での3D−MIM電気生理学的測定結果の信号品質の比較。心拍動条件(図11A)及び心停止条件(図11B)下での表面電位図記録は、QRS及びT波の様々な形態を捕捉している。図11C:測定結果の信号対雑音比(SNR)の比較。
【0174】
[0471]図12A図12B、及び図12C:3D−MIMによる再分極pパラメータの空間的マッピングの説明。図12A:QRS群後の最大−dV/dtから最大dV/dtまでの興奮回復間隔(ARI)を規定するとともに最大dV/dtから80%回復までの80%再分極(APD80)の活動電位持続時間を規定する検証用の対応する光学的トレースを重ね合わせたデバイスからの代表的な電気的トレース。図12B:電位図による興奮回復間隔と多様な条件による対応する光学的な活動電位持続時間との間の相関。図12C:電気デバイス及び光学的マッピングによる再分極パラメータの代表的な空間的再構成。
【0175】
[0472]図13:pHセンサの較正。開回路電位(OCP)(IrO電極対Ag/AgCl基準電極)とpH(ガラス電極から取得)値との間の較正は、37℃のタイロード液中において、32チャネル上の68.9±8.6mV/pHの応答を示した。
【0176】
[0473]図14:温度センサアレイの設計。差し込み図は、温度検知用Au蛇行トレースの拡大図である。
【0177】
[0474]図15:温度センサの較正。較正は、16個の温度センサを備えた3D−MIMをデジタル循環水槽(Fisher Scientific 15−474−100)中に沈めることにより行う。抵抗は、National Instruments PXI−6289ボードに基づく特注システムによって測定し、温度は、水槽を通して制御及びモニタリングする。各センサに線形フィッティングを適用して、抵抗と温度との間の関係を求める。
【0178】
[0475]図16の(A)及び(B)は、Si歪みセンサアレイを内蔵したデバイスの画像を示している。図16の(A):Si歪みセンサアレイの設計及び光学顕微鏡像。差し込み図:ロゼット構成に配置された3つのpドープSi圧電抵抗の光学顕微鏡像。圧電抵抗1及び3の縦軸は<110>結晶方向に対応し、圧電抵抗2の縦軸は<100>方向に対応する。図16の(B):ランゲンドルフ灌流ラビット心臓に統合されたSi歪みセンサアレイを備えた3D−MIMの画像。
【0179】
[0476]図17:Si歪みセンサの引張試験。図16の(A)に示す3つのSi圧電抵抗のわずかな抵抗変化は、圧電抵抗1の縦軸に平行な方向に印加された1軸引張歪みの関数である。<110>方向に整列した圧電抵抗(1及び3)に関して、計算した有効縦方向ゲージ率は0.33であり、有効横方向ゲージ率は約−0.06である。
【0180】
[0477]図18:光学的マッピング実験用のμ−ILEDアレイの設計。
【0181】
[0478]図19A図19B、及び図19C:光学的マッピング実験用のμ−ILEDの特性。I−V特性(図19A)、発光スペクトル(図19B)、及び光学的マッピング実験用の3D−MIMに統合された代表的なμ−ILEDの光出力パワー(図19C)。
【0182】
[0479]図20:ランゲンドルフ灌流ラビット心臓実験用の3D−MIMを操作する治具。6つのシリコンストラップを3D−MIMに組み込むことによって、デバイスの開口の支持及び制御を可能とした。各ストラップは、独立制御用の特注治具に取り付けている。
【0183】
[0480]図21:ランゲンドルフ灌流ラビット心臓実験及び光学的マッピング用の実験設定。
【0184】
[0481]図22:3D形状を形成する積層プロセス。電子デバイスは、心臓の所望の3D印刷モデルに取り付け、センサを表面に直接接触させた後、上部に別のエラストマ層を成型している。
【0185】
実施例2:低エネルギー除細動用のデバイス及び方法
[0482]本発明の生物医学的デバイス及び方法は、マルチパラメータ心臓マッピング及び刺激等の広範な治療及び診断用途に対応している。本実施例では、心臓組織の広い領域とのコンフォーマル界面の確立による本デバイスの低エネルギー除細動及び熱的検知における有効性を実証した実験結果を提供する。
【0186】
[0483]図23及び図24は、本発明の3D多機能外皮デバイスの光学像を提供している。図23は、ラビット心臓と一体化した3D多機能外皮デバイスを示しており、心臓表面の広い領域とのコンフォーマル接触を確立する能力を実証している。この図において、黒色矢印は、フラクタルに基づく設計の除細動電極及び温度センサアレイを示している。除細動電極は、心外膜の電気的治療を与えるものであり、温度センサは、組織反応のフィードバックが可能である。図24の左側のパネルは、ラビット心臓を完全に包むように3D多機能外皮デバイスが位置決めされ、除細動電極及び温度センサが心臓の前後両面を覆っていることを示した別の図である。図24の右側のパネルは、電子デバイスの拡大図であって、黒色矢印は、心室の高さを近似したフラクタルに基づく設計の除細動電極及び温度センサアレイを示している。フラクタル電極は、局所的な組織領域に対して心外膜の電気的治療を与える空間充填構造を提供しており、温度センサは、組織反応のフィードバックをモニタリングする抵抗性の構造として構成されている。
【0187】
[0484]図25は、本デバイス及び方法を用いた心臓組織の多様な低エネルギー除細動手法を示している。図25は、心臓組織の低エネルギー除細動のための多重ベクトル回転場電気刺激の模式図である。
【0188】
[0485]図26は、本発明の3D多機能外皮デバイスの除細動電極形状を比較した光学像を提供している。図26の左側のパネルは、正方形の形状の除細動電極を内蔵したデバイスを示している。図26の右側のパネルは、充填率が50%〜60%の空間充填構成を与えるフラクタルに基づく形状の除細動電極を内蔵したデバイスを示している。これらの図に示すように、フラクタルに基づく形状の除細動電極は、正方形の形状の電極と比較して、表面積が約15倍大きくなる。
【0189】
[0486]図27は、金の正方形電極(正方形Au)、金のフラクタルに基づく電極(フラクタルAu)、及び表面に白金をメッキしたフラクタルに基づく電極(フラクタルPt)という3種類の除細動電極の電気化学的インピーダンススペクトルの比較を示した実験結果を提供している。図27において、インピーダンス(Ω)は、評価対象の3つの除細動電極形状の周波数(Hz)の関数としてプロットしている。白金は、5mM HPtCl+1.2mM HCl、−0.1V vs Ag/AgClを用いて30分間、金の表面にメッキした(例えば、J.Phys.Chem.C 117,18957(2013)参照)。
【数11】
【0190】
[0487]図27に示すように、フラクタルに基づく形状の除細動電極のインピーダンスは、正方形電極よりも大幅に小さい。低い周波数においては、白金メッキフラクタル状電極のインピーダンスが金フラクタル状電極よりもさらに小さい。一方、高い周波数においては、フラクタル状電極のインピーダンスが互いに接近している。図28は、低インピーダンス材料(Pt−Ir、PEDOT:PSS)を被覆したフラクタル状金電極の顕微鏡写真及び対応する電気化学的インピーダンス分光法データを提供している。図29は、フラクタル状電極の場合の機械的応力対歪みのデータを提供している。
【0191】
[0488]図30は、ランゲンドルフ灌流ラビット心臓に印加されている電気ショックを検出するデバイスにより得られた動物実験データを提供している。
【0192】
[0489]図31は、別のデバイス電極(例えば、隣接又は近傍電極)により熱が印加された場合の1つ又は複数の電極の温度変化を検出するデバイスにより得られた動物実験データを提供している。
【0193】
[0490]本実施例は、切除治療を提供するとともに対象組織の温度を実質的に同時にモニタリングして切除治療に伴う熱的な副作用を検出及び回避する開示の組織装着型デバイスの適用可能性を示している。
【0194】
実施例3:細胞外カリウム及び水素イオン濃度を検出するデバイス及び方法
[0491]本発明の生物医学的デバイス及び方法は、マルチパラメータ心臓マッピング及び刺激等の広範な治療及び診断用途に対応している。本実施例は、イオン選択電極が十分に一体化した3D−MIMデバイスを用いて、心筋虚血における細胞外カリウム及び水素イオン濃度の実時間検出を実証した実験結果を提供している。
【0195】
[0492]細胞外カリウム(すなわち、K)及び水素イオン(すなわち、pH)は、心臓の電気活動の変化及び心筋虚血における不整脈の発生の重要な決定因として認識されている。したがって、これらのイオンをその場で定量的にモニタリングするとともに、心臓血管の3D−MIMデバイスへの十分な生物学的統合を与える柔軟性且つ伸縮性のイオン選択電位差感受性センサが開発されている。これらのセンサは、フォトリソグラフィ及び転写技術によって製造されており、心臓組織の表面にセンサを直接装着して虚血事象を実時間でモニタリングするのに用いられていた。
【0196】
[0493]実験方法及び設計
[0494]図36は、一実施形態に係る、イオン選択電極の作製方法の模式図である。この模式図は、以下の手順の各ステップを示している。
【0197】
[0495]基板の作成
[0496]シリコンウェハを(1)アセトン/イソプロピルアルコール(IPA)/DI水/IPAの化学薬品ごとにブラシの先端で軽く擦りながら洗浄し、(2)Nを吹き付けて乾かし、(3)UV下に3分間放置した。
【0198】
[0497]不純物(例えば、塵埃及び気泡)を回避しつつ、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA;495K分子量2%希釈アニソール(A2))を3,000rpm(比率1,000rmp/s)で45秒間スピンコートした。PMMA層は、厚さを100nmとして、転写技術の犠牲層に用いる。
【0199】
[0498]ホットプレート上において、PMMA被覆ウェハを180℃で1分間硬化させた。
【0200】
[0499]PMMA層の上に、ポリイミド(PI)を3,000rpm(1,000rmp/s)で45秒間スピンコートした。PI溶液は、粘度が非常に高いため、Nガンを用いてウェハ上に一様に広げることが必要となる場合がある。
【0201】
[0500]作成したウェハを110℃で30秒間、150℃で5分間、緩やかに焼成した後、真空下(約1Toll)の250℃で1時間、急激に焼成した(PIオーブンは、クリーンルームのナノ側に配置)。PI層は、1.2μmとした。
【0202】
[0501]電子線蒸着によって、PMMA/PI被覆ウェハにクロム及び金を蒸着した。クロムは0.5Å/sの速度で厚さ50Å、金は1.0Å/sの速度で厚さ2,000Åとした。
【0203】
[0502]金属線パターン化
[0503]ウェハをアセトン/イソプロピルアルコール(IPA)/DI水/IPAで洗浄し、Nを吹き付けて乾かした。
【0204】
[0504]フォトレジスト(PR)AZ 5214を3,000rpm(1,000rpm/s)で30秒間、基板にスピンコートし、110℃で1分間、緩やかに焼成した。
【0205】
[0505]金属線マスクを位置合わせし、UVに12秒間(10.0mJ/cm)曝露した。PRを917 MIF現像剤中で現像した後、光学顕微鏡で確認した。
【0206】
[0506]金を金エッチャントでエッチングし(約45秒間)、光学顕微鏡で状態を確認した。
【0207】
[0507]クロムをクロムエッチャントで12秒間エッチングした(この手順では揺らさない)。
【0208】
[0508]PRをアセトンで洗浄して除去した。スワイプで軽くブラッシングすると、より良い結果が得られる可能性がある。ウェハをIPAで洗浄し、Nを吹き付けて乾かした。
【0209】
[0509]PI封入
[0510]パターン化した金の上に、ポリイミド(PI)を4,000rpm(1,000rpm/s)で60秒間スピンコートした。ここでも、PI溶液は、粘度が非常に高いため、Nガンを用いてウェハ上に一様に広げることが必要となる場合がある。
【0210】
[0511]作成したウェハを150℃で5分間、緩やかに焼成した後、真空下(約1Toll)の250℃で1時間、急激に焼成した。
【0211】
[0512]蛇行パターン化及び電極部ビアホール
[0513]フォトレジスト(PR)AZ 4620を3,000rpm(1,000rpm/s)で30秒間、基板にスピンコートした。サンプルを110℃で3分間アニーリングした。PRは、スピンコート前に室温まで暖めることとした。
【0212】
[0514]「蛇行」マスクを位置合わせし、UVに30秒間曝露した。PRを1:2=AZ 400K:水溶液で現像し、光学顕微鏡で現像度を確認した。
【0213】
[0515]マーチ反応性イオンエッチング(RIE)により、PIを蛇行構造としてパターン化した。マーチRIEのパラメータは、(1)圧力200Torr、(2)パワー150W)、(3)時間600秒(必要に応じて300秒追加)、(4)ガスO 20sccmに設定した。
【0214】
[0516]ステップごとに光学顕微鏡で確認することを強く推奨する。
【0215】
[0517]転写
[0518]PMMA(495 A2)を2,000rpm(1,000rpm/s)で30秒間、ガラススライドにスピンコートし、180℃で1分間、アニーリングした。
【0216】
[0519]Ecoflex Aを1:1の比でEcoflex Bに注ぎ込み、撹拌した。Ecoflex混合物を200rpmで60秒間、PMMA/ガラススライドにスピンコートした。作成したEcoflex基板を室温で5分間硬化させ、さらに75℃で30分間固化させた。
【0217】
[0520]ガラススライドとテックワイプとの間に保持した沸騰アセトン(90℃)に15分間浸すことにより、製造したデバイスを解放した。
【0218】
[0521]デバイスを15分間で完全に乾燥させ、細心の注意を払ってテックワイプを除去した。水溶性のテープでデバイスを覆い、完全にアイロンがけした。
【0219】
[0522]水溶性のテープの粘着面でデバイスを素早く取り上げた後、電子線蒸着器によって、テープの粘着面及びデバイスにCr(又は、Ti)/SiOを蒸着した。クロム(又は、チタン)は0.5Å/sの速度で厚さ50Å、SiOは1.0Å/sの速度で厚さ500Åとした。
【0220】
[0523]Ecoflex基板を3分間UV処理した。そして、転写したデバイスをEcoflex基板上に載置した。これらのデバイスをID水に一晩浸して、水溶性のテープを除去した。
【0221】
[0524]湿ったテックワイプで水溶性の残留物を非常に軽く除去した。
【0222】
[0525]電気的接続を確保したマルチメータによって、PIと絶縁していないコンタクト金属の試験を行った。
【0223】
[0526]ACFケーブルの接合
[0527]ACFケーブルを切断して、パッド領域上に載置した。
【0224】
[0528]PDMSブロック及びガラススライドを間に置いて、ACFケーブルをストレートナーで接合した。接合領域の全4つの方向を強い圧力で40秒間、ストレートナーにより保持するものとした。
【0225】
[0529]ACFケーブルの縁部をPDMS又はエポキシで固定した。
【0226】
[0530]銀作動電極のメッキ
[0531]1重量%のジシアノ銀酸カリウム(aq)を撹拌しつつ、製造した電極を浸漬した。
【0227】
[0532]電極電位を−1V vs Ag/AgClで15分間印加した。
【0228】
[0533]メッキ電荷は、約0.1C/電極(1×1mm)とした。
【0229】
[0534]銀電極を0.1MのFeCl(aq)に5分間浸して、塩化銀に変換した。
【0230】
[0535]カリウムイオン選択膜
[0536]4%(w/v)の光開始剤(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)を含む2−メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)モノマーの層をAg/AgCl電極部上に成型し、365nmのUV光に3分間露光して電極領域に重合した。
【0231】
[0537]HEMAモノマーをメタノールで洗浄して除去し、電極部上にヒドロゲルを残した。ポリHEMAで被覆した電極は、まず0.1MのKClに30分超浸して、大気条件で乾燥させる。
【0232】
[0538]蒸留水による簡単な洗浄及び表面の軽いブロッティングの後、ドロップキャストによりイオン選択膜混合物を適用した。イオン選択膜には、(1)1.00重量%のカリウムイオノフォアI(すなわち、バリノマイシン)、(2)65.50重量%のビス(2−エチルヘキシル)セバシン酸塩(DOS)、(3)0.50重量%のカリウムテトラキス(4−クロロフェニル)ホウ酸塩、及び(4)33.00重量%の高分子量ポリ(塩化ビニル)(PVC)を含む。膜溶液混合物は、240mgの膜化合物を1mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解して作成する。この膜溶液をポリHEMA上に成型し、大気にて乾燥させた。製造したイオン選択電極を0.1MのNaCl溶液にて使用するまで保管した。
【0233】
[0539]電気化学的評価
[0540]過去に公開されているpHセンサ実験のように、センサの性能を評価した。ISE電極と個別に接続した8チャネル定電位電解装置を用いて、開回路電位を実時間でモニタリングした。
【0234】
[0541]既知の量の検体イオンをDI水又は生理学的溶液(すなわち、タイロード液)に添加することにより、センサを較正した。
【0235】
[0542]概要として、イオン選択電極(ISE)のアレイを細胞外カリウム及び水素イオン濃度の検出に利用した。ポリ(イミド)(PI)で封入した8つの極薄金電極(それぞれ1×1mm)をフォトリソグラフィ技術によってシリコンウェハ上に製造し、伸張、屈曲、及び捩じりによって生物力学的適合性を提供可能なエラストマ基板(例えば、Ecoflex(登録商標))に転写した。
【0236】
[0543]各イオン選択電極は、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル)(pHEMA)(すなわち、ヒドロゲル)を被覆した後、中性担体であるイオノフォアを埋め込んだイオン選択ポリマー膜を被覆した銀/塩化銀(Ag/AgCl)基準電極を備えていた。Ag/AgCl電極は、1%の塩化鉄(aq)水溶液に銀電極を浸すことにより、電気的に生成した。pHEMA膜は、365nmのUV下で3分間、4重量%の光開始剤(すなわち、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)を含む2−メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)モノマーと光合成した。イオン選択ポリ(塩化ビニル)(PVC)膜による改質の前に、この膜を0.1MのKCl溶液に浸した。イオン選択膜は、イオノフォア(カリウム及び水素イオン選択電極それぞれのバリノマイシン及びトリデシラミン)、可逆剤としてのビス(2−エチルヘキシル)セバシン酸塩(DOS)、脂溶性添加剤としてのカリウムテトラキス(4−クロロフェニル)ホウ酸塩、及び膜マトリクスとしての高分子量ポリ(塩化ビニル)(PVC)を含む。このイオン選択膜をセンサにドロップキャストして、大気条件下で乾燥させた。イオン強度調整液中でイオン選択膜を調整した後、標準的な添加方法に基づいて、DI水及び生理学的緩衝液の両者においてISEを較正した。
【0237】
[0544]また、感度、線形応答範囲、応答時間、及び選択性について、センサの性能を解析的に決定した。膜の境界平衡のため、センサの応答は主に、ネルンストの式に対応するイオン活性の関数として、膜電位の変化(2相境界電位及び膜内の拡散電位の合計)によって決まる。製造したISEは、通常の干渉イオン種に対する高い選択信頼性を有するネルンスト応答(理論的感度が59.2mV/log[検体イオン])に準じていた。
【0238】
[0545]実験結果
[0546]ECG及び酸素レベルモニタリングとともに、3D−MIMデバイス内のISEを用いてカリウム及び水素イオン濃度の時空間変化を決定することにより、生体外ラビット心臓の局所的及び全体的な虚血事象を評価した。虚血事象を引き起こす心筋灌流の中断後、5〜20mMの範囲で細胞外Kの累積増分を観測し、pOの減少によって確認した。局所的及び全体的な虚血を誘発しつつ、カリウムイオン濃度の実時間変化を観測した。
【0239】
[0547]図32は、DI水中のカリウムイオン選択電極(ISE)の開回路電圧(OCV)対時間を示している。OCVは、58mV/log[K]という理想的な応答及びNaに対する高い選択性を示していた。
【0240】
[0548]図33は、生体(タイロード)液中のカリウムイオン選択電極(ISE)の開回路電圧(OCV)を示している。OCVは、42mV/log[K]という線形応答及びタイロードに対する安定した電圧を示していた。
【0241】
[0549]図34は、ランゲンドルフ灌流ラビット心臓にデバイスを適用して、局所的及び全体的な虚血を誘発しつつ左心室及び右心室内の電圧をモニタリングした結果を示している。細胞外カリウムイオン濃度は、一連の心筋虚血中にモニタリングする。開回路電位の上昇は、カリウムイオン濃度の5から20mMへの変化を表している。これらの結果は、4つの電極のうちの1つによる各心室のモニタリングを表している。局所的な左側虚血が誘発された後の再灌流、全体的虚血の後の再灌流、そして、局所的な左側虚血が誘発された後の再灌流となっていた。両心室とも、第2の局所的虚血の影響を受けていた。
【0242】
[0550]図35は、カリウムイオン濃度を測定するランゲンドルフ灌流ラビット心臓に適用されたデバイスの電気化学的結果(左)及び画像(右)を示している。ランゲンドルフ灌流ラビット心臓に装着した個々のイオン選択電極(ISE)について、心筋虚血時のカリウムレベルの変化をモニタリングした。グラフ上の色は、写真上の代表的な電極の色と同じである。酸素レベルをモニタリングすることによって、虚血事象を確認した。カリウムイオン濃度は、妥当な範囲(5〜20mM)内で徐々に上昇した。図34に関して記載した虚血/再灌流の手順全体にわたって、色付きのボックスをマークした4つのISEで細胞外カリウムイオン濃度を測定した。第2の左側虚血が全体的虚血を誘発していた。また、右側の電極(青色、赤色)は、左側の電極(緑色、桃色)よりも変化が大きかった。
【0243】
[参考文献]
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【0244】
[援用及び変形形態に関する記載]
[0583]例えば発行若しくは付与された特許若しくは同等物を含む特許文献、特許出願公開、及び非特許文献又は他の原資料等、本願全体に引用するすべての参考文献は、各参考文献が本願の開示内容と少なくとも部分的に矛盾しない範囲で、個別援用の如く、そのすべてを本明細書に援用する(例えば、部分的に矛盾する参考文献は、その部分的に矛盾する部分を除いて援用する)。
【0245】
[0584]本明細書に採用した用語及び表現は、説明の用語として使用しており、何ら制限を与えるものではない。また、このような用語及び表現の使用によって、図示及び記載した特徴又はその一部の如何なる均等物も除外することを意図しておらず、特許請求の範囲に係る本発明の範囲内で種々改良が可能であることが認識される。したがって、好適な実施形態、例示的な実施形態、及び任意選択としての特徴により本発明を具体的に開示したものの、当業者であれば、本明細書に開示の概念を改良及び変形可能であり、このような改良及び変形についても、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の範囲内にあるものと考え得ることが了解されるものとする。本明細書に提供の具体的な実施形態は、本発明の有用な実施形態の例であり、当業者には、本明細書に記載のデバイス、デバイスコンポーネント、及び方法ステップの多くの変形例を用いて本発明を実行可能であることが明らかとなるであろう。当業者には明らかとなろうが、方法及び当該方法に有用なデバイスは、任意選択としての多くの構成及び処理要素並びにステップを含むことができる。
【0246】
[0585]本明細書において、置換基群を開示している場合は、当該群要素の任意の異性体、鏡像体、及びジアステレオマーを含めて、当該群及びすべての下位群のすべての個別要素を別個に開示していることが了解される。本明細書において、マーカッシュ群等の分類を用いている場合は、当該群のすべての個別要素及び当該群に可能なすべての組み合わせ及び副組み合わせが本開示に個別に含まれることを意図している。本明細書において、例えば化学式又は化学名にて、特定の異性体、鏡像体、又はジアステレオマーが指定されずに化合物が記載されている場合、その記載は、個別又は任意の組み合わせで記載の当該化合物の各異性体及び鏡像体を含むことを意図している。また、特別の定めのない限り、本明細書に開示の化合物のすべての同位体異形は、本開示に包含されるものである。例えば、開示の分子中の1つ又は複数の任意の水素は、重水素又は三重水素で置換可能であることが了解されよう。分子の同位体異形は一般的に、当該分子の分析及び当該分子又はその使用に関する化学的及び生物学的研究における基準として有用である。このような同位体異形を作製する方法は、当技術分野において既知である。化合物の具体名は、例示的なものである。当業者であれば、同じ化合物に別の名称を付与可能であることが知られているためである。
【0247】
[0586]本明細書に開示の分子の多くは、1つ又は複数のイオン化基[プロトンを除去可能な基(例えば、−COOH)若しくは追加可能な基(例えば、アミン)、又は四級化可能な基(例えば、アミン)]を含む。このような分子及びその塩の考え得るすべてのイオン型は、本開示に個別に含まれるものである。本明細書における化合物の塩に関して、当業者は、所与の用途において本発明の塩の作製に適した多種多様の利用可能なイオン対の中から選択可能である。具体的な用途において、塩を作成するための所与のアニオン又はカチオンの選択によって、当該塩の溶解度が上昇又は低下する場合がある。
【0248】
[0587]特に指定のない限り、本明細書に記載又は例示のコンポーネントのあらゆる構成又は組み合わせを用いて、本発明を実施することができる。
【0249】
[0588]本明細書及び添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上の別段の明確な指示がない限り、複数形も含むことに留意する必要がある。したがって、例えば、「a cell」と言及している場合は、複数のこのような細胞(cell)及び当業者が把握しているその均等物等を含む。同様に、本明細書においては、用語「a」(又は、「an」)、「1つ又は複数の(one or more)」、及び「少なくとも1つの(at least one)」を区別なく使用可能である。また、用語「備える(comprising)」、「具備する(including)」、及び「有する(having)」についても区別なく使用可能である。表現「請求項XX〜YYのいずれか一項に記載の(of any of claims XX−YY)」(XX及びYYは、請求項番号を表す)は、選択方式の多項従属請求項を提供することを意図しており、いくつかの実施形態においては、表現「as in any one of claims XX−YY」に置き換え可能である。
【0250】
[0589]例えば温度の範囲、時間の範囲、組成の範囲、又は濃度の範囲等、本明細書において範囲を与えている場合はいつでも、すべての中間範囲及び部分的範囲のほか、与えられた範囲に含まれるすべての個別値が本開示に含まれることを意図している。本明細書の記述に含まれるある範囲又は部分的範囲の任意の部分的範囲又は個別値は、特許請求の範囲から除外可能であることが了解されよう。
【0251】
[0590]本明細書に記載のすべての特許及び刊行物は、本発明が関係する当業者の熟練度を示す。本明細書に引用の参考文献は、そのすべてを本明細書に援用することによって、それぞれの公開日又は出願日の時点での最新技術を示しており、また、この情報は、必要に応じて本明細書に採用することにより、従来技術における具体的な実施形態を除外することができるものである。例えば、組成物を請求している場合、本明細書に引用の参考文献に実施可能な開示が提供された化合物を含めて、本出願人の発明に先立つ技術において既知且つ利用可能な化合物は、特許請求の範囲に係る組成物に含まれるものではないことが了解されるものとする。
【0252】
[0591]本明細書において、「備える(comprising)」は、「具備する(including)」、「含む(containing)」、又は「特徴とする(characterized by)」と同義であり、包含的すなわちオープンエンドであるため、付加的な列挙されていない要素又は方法ステップを除外しない。本明細書において、「から成る(consisting of)」は、特許請求の範囲の要素に指定されていない如何なる要素、ステップ、又は成分も除外する。本明細書において、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲の基本的且つ新規な特性に対して実質的な影響を及ぼさない材料又はステップを除外しない。本明細書の如何なる場合も、用語「備える(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「から成る(consisting of)」はそれぞれ、その他2つの用語のいずれかと置き換え可能である。本明細書において説明的に記載した本発明は、本明細書に具体的に開示されていない如何なる(1つ又は複数の)要素、限定がなくても、適切に実施可能である。
【0253】
[0592]当業者には当然のことながら、具体的に例示されていない出発物質、生物材料、試薬、合成方法、精製方法、分析方法、検査方法、及び生物学的方法は、必要以上の実験を行うことなく本発明の実施に採用可能である。このような任意の材料及び方法に関して当技術分野で既知のすべての機能的均等物は、本発明に含まれるものである。以上に採用した用語及び表現は、説明の用語として使用しており、何ら制限を与えるものではない。また、このような用語及び表現の使用によって、図示及び記載した特徴又はその一部の如何なる均等物も除外することを意図しておらず、特許請求の範囲に係る本発明の範囲内で種々改良が可能であることが認識される。したがって、任意選択としての特徴及び好適な実施形態により本発明を具体的に開示したものの、当業者であれば、本明細書に開示の概念を改良及び変形可能であり、このような改良及び変形についても、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の範囲内にあるものと考え得ることが了解されるものとする。
【0254】
[0593]参考文献は概して、電子デバイスを作製する製造方法、構造、及びシステムに関連しており、本願の開示内容と矛盾しない範囲で本明細書に援用する。
【0255】
【表1】
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図1K
図1L
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図19C
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36