特許第6561365号(P6561365)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561365
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】自動車用ドアロック装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 81/16 20140101AFI20190808BHJP
   E05B 81/56 20140101ALI20190808BHJP
   E05B 81/64 20140101ALI20190808BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   E05B81/16
   E05B81/56
   E05B81/64
   B60J5/00 N
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-210525(P2015-210525)
(22)【出願日】2015年10月27日
(65)【公開番号】特開2017-82459(P2017-82459A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(72)【発明者】
【氏名】多賀 隆雄
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−509222(JP,A)
【文献】 特開2012−112242(JP,A)
【文献】 特開平10−061288(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0096890(US,A1)
【文献】 独国特許発明第19627076(DE,C1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 77/00−85/28
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアに設けられるキーシリンダ錠のキー操作に基づいて、中立位置からアンロック方向及びロック方向へ回動可能なキー回動部材と、
前記キー回動部材に連結され、前記ドアに設けられるドアハンドルのドア開操作を有効化するアンロック状態及び無効化するロック状態に切り替え可能なロック機構と、
前記キー回動部材がロック方向へ予め定めたロック検出角度回動したこと、及びアンロック方向へ予め定めたアンロック検出角度回動したことを検知可能なキースイッチと、
前記ロック機構をアンロック状態からロック状態及びその逆へ切替可能な電動式のアクチュエータと、を備え、
前記キー回動部材は、ロック方向へ回動することにより、ロック方向の回動を前記ロック機構に伝達する以前に前記ロック検出角度回動可能であり、
前記アクチュエータは、前記キースイッチが前記ロック検出角度回動を検知したことに基づいて、前記ロック機構をロック状態に切り替える駆動を行い、
前記キー回動部材は、アンロック方向へ回動することにより、アンロック方向の回動を前記ロック機構に伝達する直後に前記アンロック検出角度回動可能であり、
前記アクチュエータは、前記キースイッチが前記アンロック検出角度回動を検知したことに基づいて、前記ロック機構をアンロック状態に切り替える駆動を行うことを特徴とする自動車用ドアロック装置。
【請求項2】
前記ロック検出角度を、前記アンロック検出角度よりも小としたことを特徴とする請求項記載の自動車用ドアロック装置。
【請求項3】
前記キー回動部材は、前記キーシリンダ錠に連結されるアクセスキーレバーと、当該アクセスキーレバーにカム連係手段を介して連結されるサブキーレバーを含み、
前記カム連係手段は、前記アクセスキーレバー又は前記サブキーレバーのいずれか一方に設けられる摺動ピンと、前記アクセスキーレバー又は前記サブキーレバーのいずれか他方に設けられ前記摺動ピンが摺動可能に係合するカム孔とを含み、前記摺動ピンが前記アクセスキーレバーのロック方向への回動に伴って前記カム孔のロック縁部を摺動することにより前記アクセスキーレバーのロック方向の回動を前記サブキーレバーに伝達し、前記摺動ピンが前記アクセスキーレバーのアンロック方向への回動に伴って前記カム孔のアンロック縁部を摺動することにより前記アクセスキーレバーのアンロック方向の回動を前記サブキーレバーに伝達することを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車用ドアロック装置。
【請求項4】
前記カム孔の前記ロック縁部及び前記アンロック縁部に、前記アクセスキーレバーの回動操作力を前記サブキーレバーに低減して伝達可能なレバー比調整部を設けたことを特徴とする請求項記載の自動車用ドアロック装置。
【請求項5】
前記カム孔は、前記アクセスキーレバーが中立位置にあるとき、前記摺動ピンが係合することにより、前記サブキーレバーを中立位置に保持可能な中立凹部を有することを特徴とする請求項又はに記載の自動車用ドアロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンロック状態及びロック状態に切替可能なロック機構を備えた自動車用ドアロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用ドアロック装置は、特許文献1に記載されているように、ドアパネルの外側部に配設されるキーシリンダ錠に連結され、キーによるキーシリンダ錠の操作により中立位置からアンロック方向及びロック方向へ回動可能なアクセスキーレバー(特許文献1においては「第1キーレバー」)と、アクセスキーレバーの回動に基づいて中立位置からアンロック方向及びロック方向へ回動可能なサブキーレバー(同じく「第2キーレバー」)と、サブキーレバーの回動に基づいて、ドアに設けられるドアハンドルのドア開操作を有効にするアンロック状態及び無効にするロック状態に択一的に切替可能なロック機構と、キーによるキーシリンダ錠の操作を検知するキースイッチと、キースイッチの検知に基づいてロック機構をアンロック状態及びロック状態に択一的に切替作動可能な電動式のアクチュエータを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−112242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の自動車用ドアロック装置においては、アンロック状態にある場合、ロック機構にはオーバーセンタスプリングによるアンロック方向への付勢力が付与されている。そのため、キーによるキーシリンダ錠のロック操作に基づくアクセスキーレバーのロック方向への回動をもって、ロック機構をロック状態に切り替えるには、オーバーセンタスプリングの付勢力に抗した操作力を必要とする。このため、キーによるキーシリンダ錠のロック操作がロック機構に伝達されるとき、キーのロック操作が急に重くなることから、ユーザは、キー操作が重くなった時点でロック状態に切り替わったと勘違いしてしまい、ロック状態に切り替わる前の段階でキーシリンダ錠のロック操作を終えてしまうことがある。これが原因で、ロック機構がロック状態に切り替えられない事態が発生する虞がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、キーによるキーシリンダ錠の操作に基づいて、ロック機構を確実にロック状態に切り替えることができるようにした自動車用ドアロック装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
本発明は、ドアに設けられるキーシリンダ錠のキー操作に基づいて、中立位置からアンロック方向及びロック方向へ回動可能なキー回動部材と、前記キー回動部材に連結され、前記ドアに設けられるドアハンドルのドア開操作を有効化するアンロック状態及び無効化するロック状態に切り替え可能なロック機構と、前記キー回動部材がロック方向へ予め定めたロック検出角度回動したこと、及びアンロック方向へ予め定めたアンロック検出角度回動したことを検知可能なキースイッチと、前記ロック機構をアンロック状態からロック状態及びその逆へ切替可能な電動式のアクチュエータと、を備え、前記キー回動部材は、ロック方向へ回動することにより、ロック方向の回動を前記ロック機構に伝達する以前に前記ロック検出角度回動可能であり、前記アクチュエータは、前記キースイッチが前記ロック検出角度回動を検知したことに基づいて、前記ロック機構をロック状態に切り替える駆動を行い、前記キー回動部材は、アンロック方向へ回動することにより、アンロック方向の回動を前記ロック機構に伝達する直後に前記アンロック検出角度回動可能であり、前記アクチュエータは、前記キースイッチが前記アンロック検出角度回動を検知したことに基づいて、前記ロック機構をアンロック状態に切り替える駆動を行うことを特徴とする。
【0007】
上記構成により、キーによるキーシリンダ錠のロック操作がロック機構に伝達される以前の段階でロック機構をロック状態に切り替えることができるため、ユーザがロック操作が重くなったことに起因して、ロック機構が未だロック状態に切り替わっていないにも係わらずロック機構がロック状態に切り替わったとする勘違いを防止して、ロック機構を確実にロック状態に切り替えることができる。また、ロック機構がロック状態のとき、例えば、不正具を用いてキーシリンダ錠を介してアクセスキーレバーが強引にアンロック方向へ回動させられたとしても、アクセスキーレバーがアンロック初期角度以内の回動であれば、ロック機構がアンロック状態に切り替わることがないので、不正行為によるロック解除を大幅に減少させることが可能となる。
【0009】
さらに、前記ロック検出角度を、前記アンロック検出角度よりも小とする。この構成により、キーによるキーシリンダ錠のロック操作を速やかに行うことができる。
【0010】
さらに、前記キー回動部材は、前記キーシリンダ錠に連結されるアクセスキーレバーと、当該アクセスキーレバーにカム連係手段を介して連結されるサブキーレバーを含み、前記カム連係手段は、前記アクセスキーレバー又は前記サブキーレバーのいずれか一方に設けられる摺動ピンと、前記アクセスキーレバー又は前記サブキーレバーのいずれか他方に設けられ前記摺動ピンが摺動可能に係合するカム孔とを含み、前記摺動ピンが前記アクセスキーレバーのロック方向への回動に伴って前記カム孔のロック縁部を摺動することにより前記アクセスキーレバーのロック方向の回動を前記サブキーレバーに伝達し、前記摺動ピンが前記アクセスキーレバーのアンロック方向への回動に伴って前記カム孔のアンロック縁部を摺動することにより前記アクセスキーレバーのアンロック方向の回動を前記サブキーレバーに伝達する。この構成により、アクセスキーレバーのアンロック方向及びロック方向の回動を、摺動ピン及びカム孔を介してサブキーレバーに軽力で伝達することができる。
【0011】
さらに、前記カム孔の前記ロック縁部及び前記アンロック縁部に、前記アクセスキーレバーの回動操作力を前記サブキーレバーに低減して伝達可能なレバー比調整部を設ける。この構成により、キーによるキーシリンダ錠のロック操作及びアンロック操作を軽力で行うことができる。
【0012】
さらに、前記カム孔は、前記アクセスキーレバーが中立位置にあるとき、前記摺動ピンが係合することにより、前記サブキーレバーを中立位置に保持可能な中立凹部を有するものとする。この構成により、アクセスキーレバーが中立位置にあるとき、サブキーレバーを中立位置にがた付き無く確実に保持することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、キーによるキーシリンダ錠のロック操作に基づいて、ロック機構を確実にロック状態に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る一実施形態のドアロック装置の斜視図である。
図2】同じく、ドアロック装置の分解斜視図である。
図3】同じく、操作ユニットの内部構造を示す正面図である。
図4】同じく、アンロック状態にあるときの操作ユニットの要部の正面図である。
図5】同じく、ロック状態にあるときの操作ユニットの要部の正面図である。
図6】(a)はサブキーレバーの正面図、(b)はキーによるキーシリンダ錠のアンロック操作に基づく摺動ピンの移動経路を示す拡大説明図、(c)は同じくロック操作に基づく摺動ピンの移動経路を示す拡大説明図である。
図7】ロック状態にあるときの要部の正面図である。
図8】アンロック操作においてアクセスキーレバーがアンロック方向へアンロック初期角度θ1回動したときの要部の正面図である。
図9】アンロック操作においてアクセスキーレバーがアンロック方向へ角度θ2回動したときの要部の正面図である。
図10】アンロック操作においてアクセスキーレバーがアンロック方向へ角度θ3回動したときの要部の正面図である。
図11】アンロック操作においてアクセスキーレバーがアンロック方向へ角度θ4回動したときの要部の正面図である。
図12】アンロック操作においてアクセスキーレバーがアンロック方向へ角度θ5回動したときの要部の正面図である。
図13】アンロック状態にあるときの要部の正面図である。
図14】ロック操作においてアクセスキーレバーがロック方向へロック初期角度θ6回動したときの要部の正面図である。
図15】ロック操作においてアクセスキーレバーがロック方向へ角度θ7回動したときの要部の正面図である。
図16】ロック操作においてアクセスキーレバーがロック方向へ角度θ8回動したときの要部の正面図である。
図17】アクセスキーレバーの回動に関係する作用を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態により発明が限定されるものではなく、本実施形態で説明する構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものも含まれる。
【0016】
図1は、ドアロック装置1の斜視図、図2は、ドアロック装置1の分解斜視図、図3は、ドアロック装置1の内部構造を示す正面図である。なお、以下の説明で使用する方位は、ドアロック装置1を自動車のドアに取り付けた状態での方位を指す。
【0017】
ドアロック装置1は、自動車の運転席側のフロントドア(以下、「ドア」と記す)の内部後端に取り付けられ、ドアを閉鎖状態に保持するための噛合ユニット2と、各種構成要素を有する操作ユニット3とを備える。また、自動車が4ドアタイプである場合には、助手席側のフロントドア及びリヤドアにもそれぞれのドアに適合するドアロック装置(図示略)が取り付けられる。
【0018】
噛合ユニット2は、合成樹脂製のボディ41及び当該ボディ41の開口を閉塞する金属製のカバープレート42とを含んで形成され、ドア内にボルト(図示略)により固定される噛合ハウジング4を有する。噛合ハウジング4内には、車体側のストライカ(図示略)と噛合可能なラッチ5A及び当該ラッチ5Aに係合可能なラチェット(図示略)が設けられる。噛合ハウジング4の前面には、ラチェットと一体的に回動するオープンレバー5B(図4、5参照)が枢支される。ドアが閉じられると、ラッチ5Aがストライカに噛合すると共に、ラチェットがラッチ5Aに係合することによってドアを閉鎖状態に保持し、また、オープンレバー5Bが後述のようにオープン方向へ回動することで、ラチェットとラッチ5Aとの係合を解除してドアの開きを可能にする。なお、噛合ユニット2は公知の構造であるので、詳細説明は省略する。
【0019】
操作ユニット3は、噛合ハウジング4の前側に固定される合成樹脂製の操作ハウジング6と、操作ハウジング6の車内側を向く開口を閉塞する合成樹脂製のカバー7とを有する。操作ハウジング6とカバー7間に形成される収容空間には、複数の構成要素が配置される。構成要素としては、例えば図2、3に示すように、キー回動部材(アクセスキーレバー8及びサブキーレバー9)、コネクトレバー10、ロックレバー11、リフトリンク12、インサイドレバー13、モータ14、ウォームホイール15、キースイッチ16及びポジションスイッチ17等がある。なお、図3は、操作ユニット3の内部構造を明示するため、カバー7を取り外した状態を示している。
【0020】
本発明に係るロック機構をアンロック状態及びロック状態に択一的に切替可能な電動式のアクチュエータは、本実施形態においてはモータ14及びウォームホイール15により構成されるが、この構成に限定されるものでなく、公知技術に基づいて適宜変更可能である。
【0021】
図2に示すように、噛合ハウジング4の前面に対向する操作ハウジング6の下部内面には、ドアの車外側に設けられるドア開操作用のアウトサイドハンドル(図示略)に連係されるアウトサイドレバー18が枢支される。
【0022】
図4は、アンロック状態にあるときの操作ユニット3の要部の正面図、図5は、ロック状態にあるときの操作ユニット3の要部の正面図である。
【0023】
なお、本実施形態におけるロック機構は、互いに連動するコネクトレバー10、ロックレバー11及びリフトリンク12を含む構成とするが、これに限定されるものではなく、種々変更可能である。また、アンロック状態とは、図4に示すように、コネクトレバー10、ロックレバー11及びリフトリンク12がそれぞれ後述のアンロック位置にあって、ドア開操作を有効化する状態を指し、ロック状態とは、図5に示すように、コネクトレバー10、ロックレバー11及びリフトリンク12がそれぞれ後述のロック位置にあって、ドア開操作を無効化する状態を指す。
【0024】
また、キー回動部材は、キーシリンダ錠KCに連結されるアクセスキーレバー8と、アクセスキーレバー8に後述のカム連係手段を介して連結されるサブキーレバー9を含んで構成される。
【0025】
アクセスキーレバー8は、操作ハウジング6の最上部に車内外方向を向く軸回りに回動可能に支持され、ドアの車外側面に設けられるキーシリンダ錠KC(図1参照)のキー操作により回転するキーロッドKR(図1参照)に連結されることによって、キーによるキーシリンダ錠KCのアンロック操作に基づいて、図4、5に示す中立位置からアンロック方向(図4、5において時計方向)へ所定角度回動し、同じくロック操作に基づいて、中立位置からロック方向(同じく反時計方向)へ所定角度回動することができ、中立位置にある場合にはその位置にロックされる。
【0026】
サブキーレバー9は、アクセスキーレバー8の下方で、かつアクセスキーレバー8よりも車外側にあって、車内外方向を向く軸19により操作ハウジング6に枢支されると共に、上端部に設けられたカム孔91にアクセスキーレバー8の下端部に設けられた摺動ピン81が摺動可能に係合されることによって、アクセスキーレバー8の回動に基づいて、図4、5に示す中立位置からアンロック方向(図4、5において反時計方向)及びロック方向(同じく時計方向)へ回動する。サブキーレバー9の下部には、回転方向へ互いに離間するロック係合部92及びアンロック係合部93が設けられる。
なお、サブキーレバー9のカム孔91及びアクセスキーレバー8の摺動ピン81は、本発明に係るカム連係手段を構成する。
【0027】
キースイッチ16は、サブキーレバー9の近傍に配置されると共に、アクセスキーレバー8がアンロック方向へ後述のアンロック検出角度θ2回動したことに伴うサブキーレバー9のアンロック方向への回動を検知(サブキーレバー9の第1アーム部94が検知アーム161に接触することでアンロック側にオン)し、また、アクセスキーレバー8がロック方向へ後述のロック初期角度(ロック検出角度)θ6回動したことに伴うサブキーレバー9のロック方向への回動を検知(サブキーレバー9の第2アーム部95が検知アーム161に接触することでロック側にオン)する。キースイッチ16の検知信号は、自動車に搭載される制御部ECU(図4参照)に送信される。制御部ECUは、受信した検知信号に基づいて、全てのドアのアクチュエータをアンロック駆動制御及びロック駆動制御を行う。
【0028】
コネクトレバー10は、サブキーレバー9と共に軸19に枢支されると共に、図4に示すアンロック位置及び図5に示すロック位置に回動可能であって、車外側を向く側の裏面には、サブキーレバー9のロック係合部92とアンロック係合部93との間にあって、ロック係合部92及びアンロック係合部93に対して回転方向へ当接可能な突部101が突設される。
【0029】
図4に示すように、アクセスキーレバー8及びサブキーレバー9が中立位置にあって、コネクトレバー10がアンロック位置にある場合には、アンロック係合部93と突部101との間には回転方向の第1遊びL1、また、ロック係合部92と突部101との間には第2遊びL2がそれぞれ設定される。図5に示すように、アクセスキーレバー8及びサブキーレバー9が中立位置にあって、コネクトレバー10がロック位置にある場合には、アンロック係合部93と突部101との間には回転方向の第3遊びL3、また、ロック係合部92と突部101との間には回転方向の第4遊びL4がそれぞれ設定される。
【0030】
ポジションスイッチ17は、コネクトレバー10の近傍に配置されると共に、コネクトレバー10がアンロック位置からロック方向へ所定角度回動した時点で、コネクトレバー10の先端部103が検知アーム171に接触してオンすることで、ロック機構のロック状態への切り替わりを検知し、また、コネクトレバー10がロック位置からアンロック方向へ所定角度した時点で、先端部103が検知アーム171から離れてオフすることで、ロック機構のアンロック状態への切り替わりを検知する。ポジションスイッチ17の検知信号は、制御部ECUに送信される。
【0031】
ロックレバー11は、車内外方向を向く軸20により操作ハウジング6に枢支されると共に、オーバーセンタスプリング21の付勢力により図4に示すアンロック位置及び図5に示すロック位置に回動可能であって、上端部に設けた連結突部111がコネクトレバー10の下部に設けられた長孔102に係合することでコネクトレバー10に連結されると共に、下部に設けた連結部112が操作力を伝達可能なボーデンケーブル22を介してドアの車内側に設けられるロック・アンロック操作用のロックノブ(図示略)に連結されることによって、キーシリンダ錠KCのキー操作及びロックノブの手動操作によってアンロック位置及びロック位置に択一的に回動する。
【0032】
さらに、ロックレバー11の扇状のアーム部119の外周には、ウォームホイール15の後述の第1〜3係合突部151、152、153が回転方向へ係合可能な係合溝113が設けられる。これにより、ウォームホイール15の回動に伴って、第1〜3係合突部151、152、153のうちいずれか一つの係合突部が係合溝113に係合することで、モータ14の駆動がウォームホイール15を介してロックレバー11に伝達されて、ロックレバー11は、ウォームホイール15の回動によりアンロック位置及びロック位置に択一的に回動する。
【0033】
オーバーセンタスプリング21は、コイル部が操作ハウジング6に設けられた円柱状の支持部61に支持されると共に、2本のアーム部がロックレバー11の一部118を挟み込むことで、ロックレバー11のアンロック位置とロック位置との略中間位置のデッドポイントを境にして、ロックレバー11がデッドポイントよりもアンロック位置寄り側にある場合にはアンロック方向への付勢力を付与し、また、デッドポイントよりもロック位置寄り側にある場合にはロック方向への付勢力を付与するように付勢方向が反転する。
【0034】
ウォームホイール15は、車内外方向を向く軸23により操作ハウジング6に枢支され、モータ14の回転軸に止着されたウォーム141に噛合することでモータ14のロック駆動によりロック方向(図4において時計方向)へ回動し、また同じくモータ14のアンロック駆動によりアンロック方向(図5において反時計方向)へ回動する。ウォームホイール15の裏面には、回転方向へ60度間隔で3個の第1、2、3係合突部151、152、153が一体形成される。各係合突部151、152、153は、ウォームホイール15の回動に伴って、ロックレバー11の係合溝113に係合することで、ロックレバー11をアンロック位置及びロック位置に択一的に回動させるものである。
【0035】
ウォームホイール15が正規位置(係合突部151、152、153のいずれもが係合溝113に進入していない位置)にある場合には、係合突部151、152、153が係合溝153に係合していないため、ロックレバー11が、キーシリンダ錠KCまたはロックノブの手動操作で回動しても、ロックレバー11の回動は、ウォームホイール15に伝達されない。
【0036】
リフトリンク12は、下端部がアウトサイドレバー18の車内側端部181に前後方向へ所定角度揺動可能に連結されると共に、ロックレバー11の上端部に設けられた連結突部117に上下方向へ摺動可能に支持され、ロックレバー11のアンロック位置及びロック位置への回動に連動して下端部を中心に図4に示すアンロック位置及び図5に示すロック位置に揺動する。リフトリンク12には、アンロック位置からオープン方向(上方)へ移動したとき、オープンレバー5Bの被解除部51Bに対してその回動方向へ当接可能な解除部121が設けられている。
【0037】
アウトサイドレバー18は、操作ハウジング6の下部に前後方向を向く軸26(図2参照)により枢支されると共に、車内側端部181には、前述のようにリフトリンク12の下端部が前後方向へ所定角度回動可能に連結され、また、同じく車外側端部には、上下方向を向く操作力伝達部材(図示略)を介してドアの車外側に設けられるドア開扉用のアウトサイドハンドルに連結されることで、アウトサイドハンドルの開操作に基づいて、軸26を中心に待機位置からオープン方向へ所定角度回動してリフトレバー12をオープン方向へ移動させる。
【0038】
インサイドレバー13は、車内外方向を向く軸24により操作ハウジング6の下部に枢支されると共に、下部の連結部131には操作力を伝達可能なボーデンケーブル25を介してドアの車内側側面に設けられるドア開操作用のインサイドハンドル(図示略)に連結されることによって、インサイドハンドルのドア開操作に基づいて、図4、5に示す待機位置からオープン方向(時計方向)へ所定角度回動する。インサイドレバー13がオープン方向へ回動した場合には、インサイドレバー13がアウトサイドレバー18の当接部182に下側から当接することによって、アウトサイドレバー18を介してリフトリンク12をオープン方向へ移動させる。
【0039】
制御部ECUには、キースイッチ16、ポジションスイッチ17及びドアの開閉を検知するカーテシスイッチDSW(図4参照)の信号がそれぞれ送信される。これにより、制御部ECUは、次のような制御を実行する。
(a)ロック状態において、キースイッチ16のアンロック信号及びユーザ携帯の操作スイッチ(図示略)のアンロック操作に基づいて、モータ14のアンロック駆動制御を行う。
(b)アンロック状態において、キースイッチ16のロック信号及び操作スイッチのロック操作に基づいて、モータ14のロック駆動制御を行う。
(c)カーテシスイッチDSWがドア開状態を検知しているとき、ロックノブのロック操作に基づいてロック状態となってポジションスイッチ17のロック信号を受信すると、ロック機構を強制的にアンロック状態に戻すために、モータ14のアンロック駆動制御を行う。このようにすると、キーの車内閉じ込みを防止できる。
(d)キーシリンダ錠KC又は操作スイッチのロック操作に基づいて、ロック機構がロック状態に切り替わった状態で、カーテシスイッチDSWがドア閉状態を検知している状態、すなわち、ユーザが車両外部からロック操作した状態にある場合に限って、ポジションスイッチ17のアンロック信号を受信すると、車両搭載のホーン等から所定の警報音を発生させる制御を行う。このようにすると、ドアが閉状態で、ロック状態にある場合、外部から不正行為によりロックノブがアンロック操作されてアンロック状態に切り替えられる事態が発生した際、警報音を発生させて窃盗行為を抑止することができる。
したがって、ドアが閉鎖状態で、かつロック状態であっても、当該ロック状態が車内のユーザによるロックノブのロック操作で行われた場合にあっては、ロックノブをアンロック操作しても警報音が発生しない。
【0040】
次に、本実施形態に係る作用について説明する。
キーによりキーシリンダ錠KCを操作した場合には、ロック機構をアンロック状態及びロック状態に択一的に切り替えることができる。この操作による動作については、段落0051以降で詳細に説明する。
【0041】
アンロック状態(またはロック状態)において、ロックノブがロック(またはアンロック)操作された場合には、当該操作は、ボーデンケーブル22を介してロックレバー11に伝達されることによって、ロックレバー11がアンロック位置(またはロック位置)からロック位置へ回動することによりロック機構がロック状態(またはアンロック状態)に切り替わる。
【0042】
なお、キーシリンダ錠KC及びロックノブが操作されたときの動作においては、ウォームホイール15の係合突部151、152、153がロックレバー11の係合溝113に係合していない位置にあるため、ロックレバー11の回動はウォームホイール15へ伝達されない。よって、キーシリンダ錠KC及びロックノブの手動操作は、ウォームホイール15及びモータ14に伝達されないで軽力で行うことができる。また、ロック機構がアンロック状態(ロック状態)にある場合には、サブキーレバー9のアンロック係合部93(またはロック係合部92)とコネクトレバー10の突部101との間には、遊びL1(または遊ぶL4)があるため、コネクトレバー10の回動は、サブキーレバー9には伝達されない。
【0043】
アンロック状態(またはロック状態)において、操作スイッチが電気的にロック(またはアンロック)操作された場合には、モータ14の駆動によりウォームホイール15がロック方向(またはアンロック方向)へ回動することにより、ロックレバー11がアンロック位置(またはロック位置)からロック位置(またはアンロック位置)に回動して、ロック機構がロック状態に切り替わる。
【0044】
アンロック状態において、アウトサイドハンドル又はインサイドハンドルが開操作された場合には、アウトサイドレバー18のオープン方向への回動に伴って、リフトリンク12がアンロック位置からオープン方向へ移動することにより、リフトリンク12の解除部121がオープンレバー5Bの被解除部51Bに下方から当接し、オープンレバー5Bを介してラチェットをオープン方向へ回動させて、ドアを開くことができる。
【0045】
ロック状態において、アウトサイドハンドル又はインサイドハンドルが開操作された場合には、アウトサイドレバー18のオープン方向への回動に伴って、リフトリンク12がロック位置からオープン方向へ移動するが、解除部121がオープンレバー5Bの被解除部51Bに対して空振りするためドアを開けることはできない。
【0046】
次に、図6図17に基づいて、本実施例に係るカム連係手段(アクセスキーレバー8の摺動ピン81及びサブキーレバー9のカム孔91)及びアクセスキーレバー8の回動に関連する要素について説明する。
【0047】
図6(a)は、サブキーレバー9の正面図、図6(b)は、キーシリンダ錠KCをアンロック操作した際の摺動ピン81(2点鎖線で示す円)の移動経路を示す図6(a)の丸囲み部の拡大説明図、図6(c)は、キーシリンダ錠KCをロック操作した際の摺動ピン81(2点鎖線で示す円)の移動経路を示す図6(a)の丸囲み部の拡大説明図、図7〜16は、各種動作状態を説明するための要部の正面図、図17は、アクセスキーレバー8の回動角度に関係する作用を説明するための説明図である。
【0048】
先ず、カム孔91の形状及び当該カム91と摺動ピン81との関係について説明する。
図6に示すように、サブキーレバー9のカム孔91は、摺動ピン81の外径よりも十分大きい長孔形状であって、下端には、アクセスキーレバー8が中立位置にあるとき、摺動ピン81が上方から係合し得る程度の大きさの中立凹部a、上端には、アクセスキーレバー8がアンロック方向へフルストローク位置まで回動した際、摺動ピン81が下方から当接し、アクセスキーレバー8のそれ以上の回動を阻止するフル当接部b、中立凹部aとフル当接部bの左側(前側)を繋ぐ縁には、アクセスキーレバー8が中立位置からアンロック方向へ回動した際、サブキーレバー9が中立位置からアンロック方向へ回動するように、摺動ピン81が摺動するアンロック縁部c、中立凹部aとフル当接部bの右側(後側)を繋ぐ縁には、アクセスキーレバー8が中立位置からロック方向へ回動した際、サブキーレバー9が中立位置からロック方向へ回動するように、摺動ピン81が摺動するロック縁部dがそれぞれ設けられる。
【0049】
図6(b)に示すように、アンロック縁部cは、中立凹部aの左部に連続する部位にあって、アクセスキーレバー8のアンロック方向への回動操作力を低減してサブキーレバー9に伝達し得るように、凸湾曲状に形成されたアンロック用レバー比調整部c1と、アンロック用レバー比調整部c1の上端に連続しアクセスキーレバー8のアンロック方向への回動をサブキーレバー9に十分に伝達するための凹湾曲形状のアンロック用作用部c2とを形成する。図6(c)に示すように、ロック縁部dは、中立凹部aの右部に連続しアクセスキーレバー8のロック方向への回動操作力を低減してサブキーレバー9に伝達し得るように、略直線状に形成されたロック用レバー比調整部d1と、ロック用レバー比調整部d1の右端から上方へ延伸しアクセスキーレバー8のロック方向への回動をサブキーレバー9に十分に伝達するためのロック用作用部d2とを形成する。
【0050】
図6(a)に示すように、アクセスキーレバー8の回転中心をO1とし、O1から力Fの作用点(アンロック操作においては、摺動ピン81とアンロック用レバー比調整部c1との接点、また、ロック操作においては、摺動ピン81とロック用レバー比調整部d1との接点)までの距離をr1とし、キーによるキーシリンダKCの操作力、すなわちアクセスキーレバー8の回動操作力をTとし、サブキーレバー9の回転中心O2から力Fの作用点までの距離をr2とし、サブキーレバー9に作用する回転モーメントをMとし、O2から力Fの作用点までの向きに対する力Fの向きをθとした場合、T=(r1×M)/(r2×sinθ)の関係にあることから、アンロック用レバー比調整部c1及びロック用レバー比調整部d1の形状に基づいて、アンロック初期角度θ1及びロック初期角度θ6が大きくなるようにレバー比(距離r1:r2)を調整し、また、キーの操作力が低減されるように、サブキーレバー9の作用点に作用する力Fの回転方向への分力が大きくなるように調整する。
これにより、アンロック操作においては、アンロック初期角度(遊び)を大きくすることで不正行為を抑止することができ、また、ロック操作においては、サブキーレバー9に作用する回転方向への分力が大きくすることで、操作力を低減することができる。
【0051】
図7(ロック状態)及び図13(アンロック状態)に示すように、アクセスキーレバー8が中立位置にある場合、摺動ピン81は、カム孔91の中立凹部aに係合することで、サブキーレバー9の中立位置から左右方向(前後方向)へのがた付きを抑止している。これにより、アクセスキーレバー8が中立位置にある場合には、サブキーレバー9の中立位置から左右方向へのがた付きを抑止して、車両走行中の異音発生を防止することができる。
【0052】
次に、キーシリンダ錠KCをキー操作した場合の動作について説明する。
なお、以下の説明で使用する「アンロック初期角度」は、アクセスキーレバー8のアンロック方向の回動がロック機構に伝達される迄の遊び期間であり、「ロック初期角度」は、アクセスキーレバー8のロック方向の回動がロック機構に伝達される迄の遊び期間である。
【0053】
図7に示すロック状態において、キーによりキーシリンダ錠KCをアンロック操作した場合には、アクセスキーレバー8のアンロック方向(図7において時計方向)への回動に基づいて、図8に示すように、先ずアクセスキーレバー8がアンロック初期角度θ1(21°)回動することにより、摺動ピン81が中立凹部aから抜け出てアンロック縁部cのアンロック用レバー比調整部c1に移行する。これにより、アクセスキーレバー8の回動操作力が低減されてサブキーレバー9に伝達され、サブキーレバー9は、アンロック方向へアンロック初期角度θ1よりも小さい角度回動しアンロック係合部93がコネクトレバー10の突部101に当接する。
【0054】
さらに、図9に示すように、アクセスキーレバー8がアンロック初期角度θ1を通過してアンロック検出角度θ2(22°)回動すると、摺動ピン81がカム孔91のアンロック用レバー比調整部c1からアンロック用作用部c2に移行して摺動することで、サブキーレバー9がアンロック方向へ回動し、サブキーレバー9の第1アーム部94がキースイッチ16の検知アーム161に接触する。これに基づいて、キースイッチ16がアンロック側にオンすることにより、モータ14が起動しロック機構がアンロック状態に切り替わる。また、これと同時に、運転席ドアと他のドアのアクチュエータも起動し、全てのドアがアンロック状態に切り替わる。
なお、本実施例では、アンロック初期角度θ1<アンロック検出角度θ2とするが、アンロック初期角度θ1=アンロック検出角度θ2としても良い。
【0055】
なお、キーシリンダ錠KCのキーによるアンロック操作が行われ、キースイッチ16がアンロック側にオンした場合には、その時点でモータ14が起動してロック機構がアンロック状態に切り替わるため、キースイッチ16がオンした以降のキーシリンダ錠KCのアンロック操作は必ずしも必要とするものではないが、キースイッチ16又はその他の何らかの原因によりモータ14が起動しない等の異常事態を考慮して、キーによるキーシリンダ錠KCのアンロック操作を最後まで行うことが好ましい。もし、キースイッチ16がオンしてもモータ16が起動しない場合には、キーシリンダ錠KCのキーによるアンロック操作に基づいて、アクセスキーレバー8がアンロック検出角度θ2回動した以降もアンロック方向へさらに回動することで、次のような動作を行う。
【0056】
図10に示すように、アクセスキーレバー8がアンロック方向へ角度θ3(29°)回動すると、摺動ピン81がカム孔91のアンロック作用部c2を摺動することに伴って、サブキーレバー9がアンロック方向へさらに回動する。これにより、サブキーレバー9のアンロック係合部93がコネクトレバー10の突部101に当接することで、コネクトレバー10がアンロック方向へ回動し、ロックレバー11がデッドポイントを僅かに超過した位置に回動する。これにより、オーバーセンタスプリング21の付勢方向がロック方向からアンロック方向へ反転する。
【0057】
さらに、図11に示すように、アクセスキーレバー8がアンロック方向へ角度θ4(32°)回動して、摺動ピン81がアンロック作用部c2を摺動すると、サブキーレバー9がアンロック方向へさらに回動し、これに伴って、コネクトレバー10もアンロック方向へ回動し、アーム部103がポジションスイッチ17の検出アーム171に接触し、ポジションスイッチ17がオンする。
【0058】
さらに、図12に示すように、アクセスキーレバー8がアンロック方向へ角度θ5(40°)回動すると、アクセスキーレバー8の摺動ピン81がカム孔91のフル当接部bに当接することで、アクセスキーレバー8のそれ以上の回動が阻止されると共に、サブキーレバー9もその位置に停止して、ロック機構がアンロック状態に切り替わる。
【0059】
そして、ロック機構がアンロック状態に切り替わった後、キーシリンダ錠KCに差し込んだキーを中立位置に戻してキーシリンダ錠KCから抜くことで、アンロック操作は完了する。これにより、アクセスキーレバー8及びサブキーレバー9は中立位置に復帰して保持される。
【0060】
上述により、例えば、ロック機構がロック状態のとき、不正具を使用してキーシリンダ錠KCを介してアクセスキーレバーが強引にアンロック方向へ回動させられたとしても、不正行為によるアクセスキーレバーの回動量がアンロック初期角度θ1未満であれば、キースイッチ16がアンロック側にオンすることもなければ、ロック機構がアンロック状態に切り替わることもないので、不正行為によるロック解除を大幅に減少させることが可能となる。また、ユーザによるキーによるキーシリンダ錠KCのアンロック操作を極めて軽力で行うことが可能となる。
【0061】
次に、キーによるキーシリンダ錠KCのロック操作について説明する。
図13に示すアンロック状態において、キーによりキーシリンダ錠KCをロック操作した場合には、アクセスキーレバー8の中立位置からロック方向(図13において反時計方向)への回動に基づいて、図14に示すように、先ずアクセスキーレバー8がロック初期角度θ6(19°)回動すると、摺動ピン81が中立凹部aから抜け出てロック縁部dのロック用レバー比調整部d1に移行する。これにより、アクセスキーレバー8の回動操作力が低減されてサブキーレバー9に伝達され、サブキーレバー9は、ロック方向へロック初期角度θ6よりも小さい角度回動し、サブキーレバー9の第2アーム部95がキースイッチ16の検知アーム161に接触して、キースイッチ16がロック側にオンする。すなわち、キーシリンダ錠KCのロック方向への操作においては、キースイッチ16がロック側にオンするロック検出角度とロック初期角度θ6とが略同角度に設定される。
【0062】
上述により、アクセスキーレバー8がロック初期角度θ6と略角度のロック検出角度回動した時点で、モータ14が起動しロック機構がロック状態に切り替わる。また、これと同時に、運転席ドア以外の他のドアのアクチュエータも起動し、全てのドアがロック状態に切り替わる。また、この直後、又は同時にロック係合部92がコネクトレバー10の突部101に当接する。
【0063】
なお、キーシリンダ錠KCのキーによるロック操作が行われ、キースイッチ16がロック側にオンした場合には、その時点でモータ14が起動してロック機構がロック状態に切り替わるため、キースイッチ16がオンした以降のキーシリンダ錠KCのロック操作は必ずしも必要とするものではないが、前述のような異常事態を考慮して、キーによるキーシリンダ錠KCのロック操作を最後まで行うことが好ましい。もし、キースイッチ16がオンしてもモータ16が起動しない場合には、キーシリンダ錠KCのキーによるロック操作に基づいて、アクセスキーレバー8がロック初期角度(ロック検出角度)θ6回動した以降もロック方向へさらに回動することで、次のような動作を行う。
【0064】
アクセスキーレバー8がロック方向へ角度θ7(27°)回動すると(図17参照)、摺動ピン81がカム孔91のロック作用部d2を摺動することに伴って、サブキーレバー9がロック方向へさらに回動し、サブキーレバー9のロック係合部92が突部101に当接することで、コネクトレバー10がロック方向へ回動し先端部103がポジションスイッチ17の検出アーム171から離れ、ポジションスイッチ17がオフする。
【0065】
さらに、図15に示すように、アクセスキーレバー8がロック方向へ角度θ8(30°)回動すると、サブキーレバー9及びコネクトレバー10を介してロックレバー11がロック方向へデッドポイントを僅かに超過した位置に回動する。これにより、オーバーセンタスプリング21の付勢方向がアンロック方向からロック方向へ反転する。
【0066】
さらに、図16に示すように、アクセスキーレバー8がロック方向へ角度θ9(40°)回動するとアクセスキーレバー8の回動がその位置に規制される。そして、摺動ピン81がカム孔91のロック作動部d2を摺動することに伴って、サブキーレバー9がロック方向へ回動することで、コネクトレバー10がロック位置に回動して、ロック機構がロック状態に切り替わる。
【0067】
そして、ロック機構がロック状態に切り替わった後、キーシリンダ錠KCに差し込んだキーを中立位置に戻してキーシリンダ錠KCから抜くことで、ロック操作は完了する。これにより、アクセスキーレバー8及びサブキーレバー9は中立位置に復帰する。
【0068】
上述により、キーによりキーシリンダ錠KCをロック操作した場合には、当該ロック操作がロック機構に伝達される以前にキースイッチ16をロック側へオンさせ、アクチュエータの駆動によりロック機構をロック状態に切り替えることができるため、キーによるキーシリンダ錠KCのロック操作が重くなる以前に、ロック機構をロック状態に切り替えることができる。これにより、キーによるキーシリンダ錠KCのロック操作を軽力で行うことが可能となり、ロック機構を確実にロック状態に切り替えることができる。
【0069】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、本実施形態に対して、次のような種々の変形や変更を施すことが可能である。
(i)キー回動部材を、アクセスキーレバー8とサブキーレバー9とを一体構成とする。
(ii)カム連係手段において、摺動ピン81をサブキーレバー9に設け、カム孔91をアクセスキーレバー8に設ける。
(iii)ロック機構を、本実施形態以外の構成とする。
(iv)カム孔91の形状を適宜変更する。
(v)キー操作によるアクセスキーレバー8の回動角度を適宜変更する。
(vi)上記(i)〜(v)を適宜組み合わせる。
【符号の説明】
【0070】
1 ドアロック装置 2 噛合ユニット
3 操作ユニット 4 噛合ハウジング
6 操作ハウジング 8 アクセスキーレバー(キー回動部材)
81 摺動ピン(カム連係手段) 9 サブキーレバー(キー回動部材)
91 カム孔(カム連係手段) 92 ロック係合部
93 アンロック係合部 94 第1アーム部
95 第2アーム部 10 コネクトレバー(ロック機構)
101 突部 11 ロックレバー(ロック機構)
12 リフトリンク(ロック機構) 14 モータ(アクチュエータ)
15 ウォームホイール(アクチュエータ) 16 キースイッチ
17 ポジションスイッチ 21 オーバーセンタスプリング
a 中立凹部 b フル当接部
c アンロック縁部 c1 アンロック用レバー比調整部
c2 アンロック作用部 d ロック縁部
d1 ロック用レバー比調整部 d2 ロック作用部
KC キーシリンダ錠 θ1 アンロック初期角度
θ2 アンロック検出角度 θ6 ロック初期角度(ロック検出角度)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17