特許第6561375号(P6561375)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561375
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】クレーン制御装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/48 20060101AFI20190808BHJP
   B66C 13/32 20060101ALI20190808BHJP
   F23G 5/50 20060101ALI20190808BHJP
   F23G 5/02 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   B66C13/48 C
   B66C13/48 B
   B66C13/32 G
   F23G5/50 Q
   F23G5/02 D
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-104849(P2015-104849)
(22)【出願日】2015年5月22日
(65)【公開番号】特開2016-216228(P2016-216228A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2018年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】501370370
【氏名又は名称】三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(72)【発明者】
【氏名】永井 洋
(72)【発明者】
【氏名】小高 成貴
(72)【発明者】
【氏名】原田 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】板井 健治
【審査官】 羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−185835(JP,A)
【文献】 特開平01−104593(JP,A)
【文献】 特開昭56−028188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00−15/06
F23G 5/00
F23G 5/027
F23G 5/20− 5/28
F23G 5/32− 5/38
F23G 5/40− 5/42
F23G 5/50
F23G 7/00− 7/02
F23G 7/10− 7/12
F23J 1/10−11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆積廃棄物が貯留されるごみピットの開口平面上の異なる位置における前記堆積廃棄物の表層の水分量に関する水分情報を取得する水分情報取得部と、
前記ごみピットの開口平面上の異なる位置における前記堆積廃棄物の高さに関する高さ情報を取得する高さ情報取得部と、
前記水分情報および前記高さ情報に基づいて、複数の爪を有し前記堆積廃棄物を構成する廃棄物を把持可能なグラップルにより把持すべき廃棄物が存在する把持位置および当該廃棄物を投下すべき投下位置と、前記廃棄物を処理する処理装置に供給すべき廃棄物が存在する供給位置をそれぞれ特定する位置特定部と
を備え
前記位置特定部は、前記ごみピットの開口平面上の位置のうち、前記複数の爪を離間させた前記グラップルを当該位置に移動させて前記堆積廃棄物に接触させる場合に、前記グラップルの傾きが所定の傾きより小さくなる位置であって所定の基準水分量に最も近い位置を、前記供給位置として特定する
クレーン制御装置。
【請求項2】
前記位置特定部が、前記ごみピットの開口平面上の位置のうち、前記複数の爪を離間させた前記グラップルを当該位置に移動させて前記堆積廃棄物に接触させる場合に、前記グラップルの傾きが所定の傾きより小さくなる位置を、前記把持位置として特定する
請求項1に記載のクレーン制御装置。
【請求項3】
前記位置特定部が、前記ごみピットの開口平面上の位置のうち、前記複数の爪を離間させた前記グラップルを当該位置に移動させたときの前記複数の爪の先端部の各位置における前記堆積廃棄物の高さの散布度が所定の閾値より小さくなる位置を、前記把持位置として特定する
請求項2に記載のクレーン制御装置。
【請求項4】
前記位置特定部が、前記水分情報に基づいて、前記堆積廃棄物の表層の水分量が所定の基準水分量より高い位置である第1位置および前記堆積廃棄物の表層の水分量が前記基準水分量より低い位置である第2位置を特定し、前記第1位置および前記第2位置の一方を前記把持位置として特定し、他方を投下位置として特定する
請求項1から請求項3の何れか1項に記載のクレーン制御装置。
【請求項5】
前記第1位置または前記第2位置が、前記複数の爪を離間させた前記グラップルを当該位置に移動させて前記堆積廃棄物に接触させると前記グラップルの傾きが所定の傾きより小さくなる位置でない場合に、前記位置特定部が、前記複数の爪を離間させた前記グラップルを当該位置に移動させて前記堆積廃棄物に接触させると前記グラップルの傾きが所定の傾きより小さくなる位置のうち前記第1位置または前記第2位置に最も近い位置を、把持位置として特定する
請求項4に記載のクレーン制御装置。
【請求項6】
堆積廃棄物が貯留されるごみピットの開口平面上の異なる位置における前記堆積廃棄物の表層の水分量に関する水分情報を取得する水分情報取得部と、
前記ごみピットの開口平面上の異なる位置における前記堆積廃棄物の高さに関する高さ情報を取得する高さ情報取得部と、
前記水分情報および前記高さ情報に基づいて、複数の爪を有し前記堆積廃棄物を構成する廃棄物を把持可能なグラップルにより把持すべき廃棄物が存在する把持位置および当該廃棄物を投下すべき投下位置をそれぞれ特定する位置特定部と
を備え、
前記位置特定部が、前記ごみピットの開口平面上の位置のうち、前記複数の爪を離間させた前記グラップルを当該位置に移動させて前記堆積廃棄物に接触させる場合に、前記グラップルの傾きが所定の傾きより小さくなる位置であって、前記ごみピットの開口平面上の位置のうち、前記複数の爪を離間させた前記グラップルを当該位置に移動させたときの前記複数の爪の先端部の各位置における前記堆積廃棄物の高さの散布度が所定の閾値より小さくなる位置を、前記把持位置として特定する
クレーン制御装置。
【請求項7】
前記位置特定部が、前記水分情報に基づいて、前記堆積廃棄物の表層の水分量が所定の基準水分量より高い位置である第1位置および前記堆積廃棄物の表層の水分量が前記基準水分量より低い位置である第2位置を特定し、前記第1位置および前記第2位置の一方を前記把持位置として特定し、他方を投下位置として特定する
請求項6に記載のクレーン制御装置。
【請求項8】
前記位置特定部が、前記水分情報および前記高さ情報に基づいて、前記廃棄物を処理する処理装置に供給すべき廃棄物が存在する供給位置をさらに特定する
請求項6または請求項7に記載のクレーン制御装置。
【請求項9】
前記第1位置または前記第2位置が、前記複数の爪を離間させた前記グラップルを当該位置に移動させて前記堆積廃棄物に接触させると前記グラップルの傾きが所定の傾きより小さくなる位置でない場合に、前記位置特定部が、前記複数の爪を離間させた前記グラップルを当該位置に移動させて前記堆積廃棄物に接触させると前記グラップルの傾きが所定の傾きより小さくなる位置のうち前記1位置または前記第2位置に最も近い位置を、把持位置として特定する
請求項7に記載のクレーン制御装置。
【請求項10】
堆積廃棄物が貯留されるごみピットの開口平面上の異なる位置における前記堆積廃棄物の表層の水分量に関する水分情報を取得する水分情報取得部と、
前記ごみピットの開口平面上の異なる位置における前記堆積廃棄物の高さに関する高さ情報を取得する高さ情報取得部と、
前記水分情報および前記高さ情報に基づいて、複数の爪を有し前記堆積廃棄物を構成する廃棄物を把持可能なグラップルにより把持すべき廃棄物が存在する把持位置および当該廃棄物を投下すべき投下位置をそれぞれ特定する位置特定部と
を備え、
前記位置特定部が、前記水分情報に基づいて、前記堆積廃棄物の表層の水分量が所定の基準水分量より高い位置である第1位置および前記堆積廃棄物の表層の水分量が前記基準水分量より低い位置である第2位置を特定し、前記第1位置および前記第2位置の一方を前記把持位置として特定し、他方を投下位置として特定し、
前記第1位置または前記第2位置が、前記複数の爪を離間させた前記グラップルを当該位置に移動させて前記堆積廃棄物に接触させると前記グラップルの傾きが所定の傾きより小さくなる位置でない場合に、前記位置特定部が、前記複数の爪を離間させた前記グラップルを当該位置に移動させて前記堆積廃棄物に接触させると前記グラップルの傾きが所定の傾きより小さくなる位置のうち前記1位置または前記第2位置に最も近い位置を、把持位置として特定する
クレーン制御装置。
【請求項11】
前記位置特定部が、前記ごみピットの開口平面上の位置のうち、前記複数の爪を離間させた前記グラップルを当該位置に移動させて前記堆積廃棄物に接触させる場合に、前記グラップルの傾きが所定の傾きより小さくなる位置を、前記把持位置として特定する
請求項10に記載のクレーン制御装置。
【請求項12】
前記位置特定部が、前記水分情報および前記高さ情報に基づいて、前記廃棄物を処理する処理装置に供給すべき廃棄物が存在する供給位置をさらに特定する
請求項10または請求項11に記載のクレーン制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーン制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
厨芥ごみなどの水分量の多い(発熱量の低い)いわゆる低質ごみは、廃棄物処理設備において不安定燃焼の原因となる。そのため一般的に、厨芥ごみを含む廃棄物は、焼却の前段にて貯留されるごみピットの中でクレーンにより繰り返し撹拌される。
特許文献1には、ごみピットの表面温度に基づいてごみピットの撹拌順序を決定する技術が開示されている。また特許文献2には、クレーンが把持した廃棄物の重量と堆積とに基づいて廃棄物の比重を特定し、把持した廃棄物の水分量を推定して廃棄物を撹拌する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−303732号公報
【特許文献2】特許第2630697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術のように、表面温度に基づいてごみピットに堆積された廃棄物を撹拌したとしても、必ずしも水分量が均一になるとは限らない。他方、特許文献2に記載の技術によれば、水分量に基づいて廃棄物を撹拌することができる。しかしながら、廃棄物を把持するまで当該廃棄物の水分量を推定することができないため、撹拌の効率は高くない。
本発明の目的は、ごみピットにおける、撹拌に適した廃棄物の把持位置および投下位置を特定するクレーン制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、クレーン制御装置は、堆積廃棄物が貯留されるごみピットの開口平面上の異なる位置における前記堆積廃棄物の表層の水分量に関する水分情報を取得する水分情報取得部と、前記ごみピットの開口平面上の異なる位置における前記堆積廃棄物の高さに関する高さ情報を取得する高さ情報取得部と、前記水分情報および前記高さ情報に基づいて、複数の爪を有し前記堆積廃棄物を構成する廃棄物を把持可能なグラップルにより把持すべき廃棄物が存在する把持位置および当該廃棄物を投下すべき投下位置をそれぞれ特定する位置特定部とを備える。
【0006】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様に係るクレーン制御装置は、前記位置特定部が、前記ごみピットの開口平面上の位置のうち、前記複数の爪を離間させた前記グラップルを当該位置に移動させて前記堆積廃棄物に接触させる場合に、前記グラップルの傾きが所定の傾きより小さくなる位置を、前記把持位置として特定する。
【0007】
本発明の第3の態様によれば、第2の態様に係るクレーン制御装置は、前記位置特定部が、前記ごみピットの開口平面上の位置のうち、前記複数の爪を離間させた前記グラップルを当該位置に移動させたときの前記複数の爪の先端部の各位置における前記堆積廃棄物の高さの散布度が所定の閾値より小さくなる位置を、前記把持位置として特定する。
【0008】
本発明の第4の態様によれば、第1から第3の何れかの態様に係るクレーン制御装置は、前記位置特定部が、前記水分情報に基づいて、前記堆積廃棄物の表層の水分量が所定の基準水分量より高い位置である第1位置および前記堆積廃棄物の表層の水分量が前記基準水分量より低い位置である第2位置を特定し、前記第1位置および前記第2位置の一方を前記把持位置として特定し、他方を投下位置として特定する。
【0009】
本発明の第5の態様によれば、第1から第4の何れかの態様に係るクレーン制御装置は、前記位置特定部が、前記水分情報および前記高さ情報に基づいて、前記廃棄物を処理する処理装置に供給すべき廃棄物が存在する供給位置をさらに特定する。
【0010】
本発明の第6の態様によれば、第5の態様に係るクレーン制御装置は、前記位置特定部が、前記ごみピットの開口平面上の位置のうち、前記複数の爪を離間させた前記グラップルを当該位置に移動させて前記堆積廃棄物に接触させる場合に、前記グラップルの傾きが所定の傾きより小さくなる位置であって所定の基準水分量に最も近い位置を、前記供給位置として特定する。
【0011】
本発明の第7の態様によれば、第4の態様に係るクレーン制御装置は、前記第1位置または前記第2位置が、前記複数の爪を離間させた前記グラップルを当該位置に移動させて前記堆積廃棄物に接触させると前記グラップルの傾きが所定の傾きより小さくなる位置でない場合に、前記位置特定部が、前記複数の爪を離間させた前記グラップルを当該位置に移動させて前記堆積廃棄物に接触させると前記グラップルの傾きが所定の傾きより小さくなる位置のうち前記第1位置または前記第2位置に最も近い位置を、把持位置として特定する。
【発明の効果】
【0015】
上記態様のうち少なくとも1つの態様によれば、クレーン制御装置は、ごみピットに堆積される堆積廃棄物の表層の水分量および高さに基づいて、把持位置および投下位置をそれぞれ特定する。これにより、クレーン制御装置は、クレーンによって廃棄物を把持する前に、撹拌に適した把持位置および投下位置を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施形態に係る廃棄物処理設備の構成図である。
図2】撮像装置により撮像される画像の一例である。
図3】深度センサにより取得される計測データから求められる堆積廃棄物の高さの一例である。
図4】第1の実施形態に係るクレーン制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
図5】第1の実施形態に係るクレーン制御装置の動作を示すフローチャートである。
図6】第2の実施形態に係るクレーン制御装置の動作を示すフローチャートである。
図7】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
《第1の実施形態》
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態に係る廃棄物処理設備の構成図である。
廃棄物処理設備1は、ごみピット101、プラットホーム102、クレーン103、ごみホッパ104、フィーダ105、焼却炉106、クレーン制御装置107、近赤外線照射装置108、撮像装置109、深度センサ110を備える。
【0018】
ごみピット101は、焼却炉106の前段において廃棄物Wを貯留する室である。ごみピット101に貯留され、堆積した廃棄物Wのまとまりを、堆積廃棄物Dという。ごみピット101は上部に廃棄物Wを投入するための開口を有する。
プラットホーム102は、廃棄物Wを搬入するための搬入口である。プラットホーム102は、ごみピット101の開口の一端に設けられる。
【0019】
クレーン103は、ごみピット101に貯留された堆積廃棄物Dの一部を把持し、ごみピット101とごみホッパ104との間で搬送する。クレーン103は、廃棄物処理設備1におけるごみピット101の上方の天井に設置される。クレーン103は、天井に設けられたレール131と、レール131に沿って走行するガーダ132と、ガーダ132を横行するトロリ133と、トロリ133から吊り下げられるワイヤ134と、ワイヤ134の巻き上げおよび巻き下げを行う巻上機135と、ワイヤ134の先端に取り付けられるグラップル136とを備える。グラップル136は、廃棄物Wを把持するための複数の爪137を有する。クレーン103の走行および横行は、レール131が配置される平面を規定する座標系であるクレーン座標系に基づいて制御される。クレーン座標系は、レール131の延在方向に伸びる走行軸と、ガーダ132の長手方向に伸びる横行軸によって規定される。クレーン座標系は、ごみピット101の開口平面に対応する座標系でもある。
【0020】
ごみホッパ104は、焼却炉106に廃棄物Wを供給するための投入口である。
フィーダ105は、ごみホッパ104に投入された廃棄物Wを所定のストロークで進退移動して焼却炉106内に押し出す。
焼却炉106は、ごみホッパ104およびフィーダ105を介して供給された廃棄物Wを焼却する。焼却炉106は、廃棄物Wを処理する処理装置の一例である。
【0021】
クレーン制御装置107は、ガーダ132の走行、トロリ133の横行、ワイヤ134の巻き上げおよびグラップル136の把持動作を制御する。
近赤外線照射装置108は、ごみピット101の上方に設けられ、ごみピット101に貯留される堆積廃棄物Dへ向けて近赤外線を照射する。本実施形態では、水によって吸収される波長である1400nm〜1500nm付近の波長を有する電磁波を、近赤外線という。
【0022】
図2は、撮像装置により撮像される画像の一例である。
撮像装置109は、ごみピット101の上方に設けられ、ごみピット101に貯留される堆積廃棄物Dを撮像する。撮像装置109は、近赤外線を含む波長に感度を有する。これにより、撮像装置109は、図2に示すように、近赤外線照射装置108が照射した近赤外線の反射光を撮像する。なお、撮像装置109が撮像する画像において、明度が高い部分ほど水分量が少ないことを示す。つまり、撮像装置109が撮像する画像は、水分情報の一例である。
【0023】
深度センサ110は、ごみピット101の上方に設けられる。深度センサ110は、ごみピット101の開口平面の複数の位置について、自装置から当該座標における堆積廃棄物Dの表層までの距離を計測する。なお、当該堆積廃棄物Dの表層までの距離を示す計測データと、堆積廃棄物Dがないときのごみピット101の深度を示す計測データとの差分をとることで、図3に示すように、堆積廃棄物Dの高さを特定することができる。図3は、深度センサにより取得される計測データから求められる堆積廃棄物の高さの一例である。つまり、深度センサ110は、ごみピット101の開口平面の複数の位置について、当該座標における堆積廃棄物Dの高さを計測する。
深度センサ110の例としては、ステレオ画像の視差に基づいて距離を計測する装置、照射した電磁波の反射波を受信するまでの時間(TOF、Time of fright)に基づいて距離を計測する装置、所定のパターンの画像を投影した画像を撮像し、撮像されたパターンのずれに基づいて距離を計測する装置などが挙げられる。このとき、深度センサ110は、近赤外線照射装置108が照射する近赤外線の反射光に基づいて距離を計測しても良い。
【0024】
図4は、第1の実施形態に係るクレーン制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
クレーン制御装置107は、画像取得部171、高さ情報取得部172、位置特定部173、走行制御部174、巻き上げ制御部175、および把持制御部176を備える。
画像取得部171は、撮像装置109が撮像した画像を取得する。
高さ情報取得部172は、深度センサ110が計測した深度情報を取得する。
位置特定部173は、クレーン座標系に基づいて、堆積廃棄物Dのうち把持すべき廃棄物Wが存在する把持座標(把持位置)、当該廃棄物Wを投下すべき投下座標(投下位置)、および焼却炉106に供給すべき供給座標(供給位置)を特定する。
走行制御部174は、ガーダ132の走行を制御する。
巻き上げ制御部175は、巻上機135によるワイヤ134の巻き上げを制御する。
把持制御部176は、グラップル136による廃棄物Wの把持および投下を制御する。
【0025】
第1の実施形態に係るクレーン制御装置107の動作について説明する。
図5は、第1の実施形態に係るクレーン制御装置の動作を示すフローチャートである。
クレーン制御装置107が起動すると、画像取得部171は、撮像装置109からごみピット101に貯留された堆積廃棄物Dを撮像した画像を取得する(ステップS1)。当該画像は、近赤外線照射装置108が堆積廃棄物Dに照射した近赤外線の反射光を撮像したものである。
また、高さ情報取得部172は、深度センサ110からごみピット101に貯留された堆積廃棄物Dの高さを示す計測データを取得する(ステップS2)。
【0026】
次に、位置特定部173は、画像取得部171が取得した画像から、ごみピット101の内部が写る領域を特定し、当該領域内において最も明度が低い点を特定する(ステップS3)これにより、位置特定部173は、画像取得部171が取得した画像の中から、最も水分量の多い廃棄物Wの位置を特定する。なお、最も水分量の多い廃棄物Wの位置は、水分量が堆積廃棄物Dの表層の水分量の平均値(基準水分量の一例)より多い位置である。
次に、位置特定部173は、特定した点から、クレーン座標系の座標を特定する(ステップS4)。例えば、予め撮像画像の座標系からクレーン座標系への変換関数を求めておき、位置特定部173が、当該変換関数に特定した点の座標を入力することで、クレーン座標系の座標を特定することができる。
【0027】
次に、位置特定部173は、高さ情報取得部172が取得した計測データに基づいて、クレーン座標系の各座標における堆積廃棄物Dの高さを特定する(ステップS5)。例えば、予め計測データの座標系からクレーン座標系への変換関数を求めておき、位置特定部173が、当該変換関数に深度の計測点の座標を入力することで、クレーン座標系の各座標における堆積廃棄物Dの高さを特定することができる。
【0028】
次に、位置特定部173は、ステップS4で特定した座標における堆積廃棄物Dの高さに基づいて、当該座標に存在する廃棄物Wに爪137を開いたグラップル136を接触させたときに、水平面に対するグラップル136の傾きが所定の傾きより小さくなるか否かを判定する(ステップS6)。当該判定は、グラップル136によりステップS4で特定した座標における堆積廃棄物Dを把持することができるか否かの判定である。堆積廃棄物Dのうち傾斜が急な部分の把持を試みる場合、グラップル136の爪137が傾斜に沿って滑るために廃棄物Wを適切に把持することができない。そのため、位置特定部173は、グラップル136を堆積廃棄物Dに当接させたときの傾斜を判定することで、把持の可否を判定する。なお、堆積廃棄物Dのうちグラップル136の傾きが所定の傾きより小さくなる位置としては、堆積廃棄物Dの山の頂点の近傍、または堆積廃棄物Dの平面部分が挙げられる。
【0029】
具体的には、位置特定部173は、以下に示す手順でグラップル136の傾きが所定の傾きより小さくなるか否かを判定する。予め、廃棄物処理設備1の管理者は、グラップル136の爪137を離間させたときにおけるグラップル136の重心位置に対する各爪の相対位置を特定しておく。位置特定部173は、ステップS4で特定した座標を基準としたときの各相対位置における堆積廃棄物Dの高さを特定する。次に、位置特定部173は、当該堆積廃棄物Dの高さの散布度(範囲、標準偏差、分散など)を算出する。そして、位置特定部173は、算出した散布度が所定の閾値より小さい場合に、グラップル136の傾きが所定の傾きより小さくなると推定する。
また例えば、位置特定部173は、ステップS4で特定した座標の接平面を求め、水平面に対する当該接平面の傾きが所定の傾きより小さい場合に、グラップル136の傾きが所定の傾きより小さくなると推定しても良い。
【0030】
位置特定部173は、グラップル136の傾きが所定の傾きより小さくなると判定した場合(ステップS6:YES)、当該座標を把持座標として特定する(ステップS7)。
他方、位置特定部173は、グラップル136の傾きが所定の傾き以上になると判定した場合(ステップS6:NO)、堆積廃棄物Dに爪137を開いたグラップル136を接触させたときにグラップル136の傾きが所定の傾き以内となる座標のうち、ステップS4で特定した座標に最も近いものを、把持座標として特定する(ステップS8)。これにより、水分量が多い廃棄物Wが堆積される位置の傾斜が大きい場合に、当該位置の近傍の廃棄物Wを移動させることで、次回以降の処理において当該位置の廃棄物Wを把持しやすくすることができる。
【0031】
ステップS7またはステップS8で位置特定部173が把持座標を特定すると、クレーン制御装置107は、グラップル136に当該把持座標に存在する廃棄物Wを把持させる(ステップS9)。具体的には、クレーン制御装置107は、以下の手順によりクレーン103を制御する。
まず、走行制御部174は、特定した把持座標にグラップル136が位置するように、ガーダ132を走行させ、トロリ133を横行させる。次に、巻き上げ制御部175は、グラップル136が堆積廃棄物Dに接触するように、巻上機135にワイヤ134を巻き下げさせる。次に、把持制御部176は、グラップル136の爪137を近接させることで、グラップル136に廃棄物Wを把持させる。次に、巻き上げ制御部175は、巻上機135にワイヤ134を巻き上げさせる。以上の手順により、グラップル136は、把持座標に存在する廃棄物Wを把持することができる。
【0032】
次に、位置特定部173は、画像取得部171が取得した画像のうち、ごみピット101の内部が写る領域内において最も明度が高い点を特定する(ステップS10)。これにより、位置特定部173は、画像取得部171が取得した画像の中から、最も水分量の少ない廃棄物Wの位置を特定する。なお、最も水分量の少ない廃棄物Wの位置は、水分量が堆積廃棄物Dの表層の水分量の平均値(基準水分量の一例)より少ない位置である。次に、位置特定部173は、特定した点に対応するクレーン座標系の座標を、投下座標として特定とする(ステップS11)。次に、クレーン制御装置107は、グラップル136に当該投下座標へ廃棄物Wを投下させる(ステップS12)。具体的には、クレーン制御装置107は、以下の手順によりクレーン103を制御する。
まず、走行制御部174は、特定した投下座標にグラップル136が位置するように、ガーダ132を走行させ、トロリ133を横行させる。次に、把持制御部176は、グラップル136の爪137を離間させることで、グラップル136に廃棄物Wを投下させる。以上の手順により、グラップル136は、投下座標に廃棄物Wを投下することができる。
これによりクレーン103は、水分量の多い廃棄物Wを水分量の少ない廃棄物Wの上に投下することで、水分量が均一になるように堆積廃棄物Dを効率よく撹拌することができる。
【0033】
次に、クレーン制御装置107は、上述したステップS1からステップS12の撹拌作業の実施時間が所定時間(例えば、5分)に達したか否かを判定する(ステップS13)。撹拌作業の実施時間が所定時間に達していない場合(ステップS13:NO)、クレーン制御装置107は、ステップS1に戻り、撹拌作業を継続する。他方、撹拌作業の実施時間が所定時間に達した場合(ステップS13:YES)、位置特定部173は、堆積廃棄物Dに爪137を開いたグラップル136を接触させたときにグラップル136の傾きが所定の傾き以内となる座標を特定する(ステップS14)。次に、位置特定部173は、特定した座標のうち、所定の水分量に最も近い水分量を有する廃棄物Wが存在する座標を、供給座標として特定する(ステップS15)。所定の水分量の例としては、予め管理者によって指定された水分量や、堆積廃棄物Dの表層の水分量の平均値などが挙げられる。
【0034】
具体的には、位置特定部173は、以下の手順で供給座標を特定する。
まず位置特定部173は、高さ情報取得部172が取得した計測データに基づいて、堆積廃棄物Dに爪137を開いたグラップル136を接触させたときにグラップル136の傾きが所定の傾き以内となる座標を特定する。次に、位置特定部173は、当該特定した座標に相当する画像取得部171が取得した画像上の点を特定する。次に、位置特定部173は、特定した点のうち、所定の水分量に相当する明度に最も近い明度を有するものを特定する。次に、位置特定部173は、特定した点を、クレーン座標系の座標に変換することで、供給座標を特定する。
【0035】
位置特定部173が供給座標を特定すると、クレーン制御装置107は、グラップル136に当該供給座標に存在する廃棄物Wを把持させる(ステップS16)。次に、クレーン制御装置107は、グラップル136にごみホッパ104へ廃棄物Wを投下させる(ステップS17)。これにより、クレーン103は、一定の水分量を有する廃棄物Wを焼却炉106に供給することができる。
【0036】
上記処理を繰り返し実行することにより、廃棄物処理設備1は、ごみピット101内部の堆積廃棄物Dの水分量を均一化することができる。また上記処理により廃棄物処理設備1は、一定の水分量を有する廃棄物Wを焼却炉106に供給し続けることができる。
【0037】
このように、本実施形態によれば、クレーン制御装置107は、堆積廃棄物Dの水分量に関する情報および堆積廃棄物Dの高さに関する計測データに基づいて、グラップル136により把持すべき廃棄物Wが存在する把持位置および当該廃棄物Wを投下すべき投下位置をそれぞれ特定する位置特定部173とを備える。これにより、クレーン制御装置107は、クレーン103によって廃棄物Wを把持する前に、撹拌に適した把持位置および投下位置を特定することができる。
【0038】
また本実施形態に係る位置特定部173は、ごみピット101の開口平面上の位置のうち、複数の爪137を離間させたグラップル136を当該位置に移動させて堆積廃棄物Dに接触させる場合に、グラップル136の傾きが所定の傾きより小さくなる位置を、把持位置として特定する。より具体的には、本実施形態に係る位置特定部173は、ごみピット101の開口平面上の位置のうち、複数の爪137を離間させたグラップル136を当該位置に移動させたときの複数の爪137の先端部の各位置における堆積廃棄物Dの高さの散布度が所定の閾値より小さくなる位置を、把持位置として特定する。これにより、クレーン制御装置107は、グラップル136の爪137が傾斜に沿って滑らずに廃棄物Wを適切に把持することができるよう、クレーン103を制御することができる。なお、他の実施形態では、把持位置は、必ずしもグラップル136の傾きが所定の傾きより小さくなる位置でなくても良い。
【0039】
また本実施形態に係る位置特定部173は、画像および計測データに基づいて、焼却炉106に供給すべき廃棄物Wが存在する供給位置を特定する。具体的には、位置特定部173は、ごみピット101の開口平面上の位置のうち、複数の爪137を離間させたグラップル136を当該位置に移動させて堆積廃棄物Dに接触させる場合に、グラップル136の傾きが所定の傾きより小さくなる位置であって所定の基準水分量に最も近い位置を、供給位置として特定する。これにより、クレーン制御装置107は、焼却炉106に供給される廃棄物Wの水分量を均一にすることができる。
【0040】
《第2の実施形態》
第2の実施形態について説明する。第2の実施形態に係る廃棄物処理設備1は、第1の実施形態とクレーン制御装置107の動作が異なる。具体的には、第2の実施形態に係るクレーン制御装置107は、第1の実施形態と位置特定部173の動作が異なる。
第1の実施形態に係る位置特定部173は、グラップル136の傾きが所定傾きより小さくなる座標のうち水分量が最も高い堆積廃棄物Dの位置に最も近いものを、把持座標とする。これに対し、第2の実施形態に係る位置特定部173は、グラップル136の傾きが所定傾きより小さくなる座標のうち水分量が最も高い座標を、把持座標とする。
【0041】
第2の実施形態に係るクレーン制御装置107の動作について説明する。
図6は、第2の実施形態に係るクレーン制御装置の動作を示すフローチャートである。
クレーン制御装置107が起動すると、画像取得部171は、撮像装置109からごみピット101に貯留された堆積廃棄物Dを撮像した画像を取得する(ステップS101)。また、高さ情報取得部172は、深度センサ110からごみピット101に貯留された堆積廃棄物Dの高さを示す計測データを取得する(ステップS102)。
【0042】
次に、位置特定部173は、計測データに基づいて、クレーン座標系の各座標に存在する廃棄物Wに爪137を開いたグラップル136を接触させたときに、水平面に対するグラップル136の傾きが所定の傾きより小さくなる座標を特定する(ステップS103)。次に、位置特定部173は、画像取得部171が取得した画像上の点のうち、ステップS103で特定した座標に対応する点であって、最も明度が低い点を特定する(ステップS104)。次に、位置特定部173は、特定した点に対応するクレーン座標系の座標を、把持座標として特定する(ステップS105)。
【0043】
次に、クレーン制御装置107は、グラップル136に当該把持座標に存在する廃棄物Wを把持させる(ステップS106)。具体的には、クレーン制御装置107は、以下の手順によりクレーン103を制御する。
次に、位置特定部173は、画像取得部171が取得した画像のうち、ごみピット101の内部が写る領域内において最も明度が高い点を特定する(ステップS107)。次に、位置特定部173は、特定した点に対応するクレーン座標系の座標を、投下座標として特定とする(ステップS108)。次に、クレーン制御装置107は、グラップル136に当該投下座標へ廃棄物Wを投下させる(ステップS109)。
【0044】
次に、クレーン制御装置107は、上述したステップS101からステップS109の撹拌作業の実施時間が所定時間に達したか否かを判定する(ステップS110)。撹拌作業の実施時間が所定時間に達していない場合(ステップS110:NO)、クレーン制御装置107は、ステップS101に戻り、撹拌作業を継続する。他方、撹拌作業の実施時間が所定時間に達した場合(ステップS110:YES)、位置特定部173は、堆積廃棄物Dに爪137を開いたグラップル136を接触させたときにグラップル136の傾きが所定の傾き以内となる座標を特定する(ステップS111)。次に、位置特定部173は、特定した座標のうち、所定の水分量に最も近い水分量を有する廃棄物Wが存在する座標を、供給座標として特定する(ステップS112)。
【0045】
位置特定部173が供給座標を特定すると、クレーン制御装置107は、グラップル136に当該供給座標に存在する廃棄物Wを把持させる(ステップS113)。次に、クレーン制御装置107は、グラップル136にごみホッパ104へ廃棄物Wを投下させる(ステップS114)。これにより、クレーン103は、一定の水分量を有する廃棄物Wを焼却炉106に供給することができる。
【0046】
上記処理を繰り返し実行することにより、廃棄物処理設備1は、第1の実施形態と同様に、ごみピット101内部の堆積廃棄物Dの水分量を均一化することができる。また上記処理により廃棄物処理設備1は、一定の水分量を有する廃棄物Wを焼却炉106に供給し続けることができる。
【0047】
以上、図面を参照していくつかの実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、上述した実施形態に係る廃棄物処理設備1は、水分量が多い廃棄物Wを把持して、水分量が少ない廃棄物Wの上から投下するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る廃棄物処理設備1は、水分量が少ない廃棄物Wを把持して、水分量が多い廃棄物Wの上から投下しても良い。
つまり、位置特定部173は、撮像装置109が撮像した画像に基づいて、堆積廃棄物Dの表層の水分量が所定の基準水分量より高い位置と、堆積廃棄物Dの表層の水分量が基準水分量より低い位置とを特定し、一方を把持位置とし、他方を投下位置とする。これにより、クレーン制御装置107は、堆積廃棄物Dの水分量が均一になるよう、適切に堆積廃棄物Dを撹拌することができる。
【0048】
また、上述した実施形態に係る廃棄物処理設備1は、近赤外線の反射光に基づく撮像画像を用いて堆積廃棄物Dの表層の水分量を特定するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る廃棄物処理設備1は、撮像装置109が堆積廃棄物Dを撮像し、画像の色調に基づいて堆積廃棄物Dの表層の水分量を推定しても良い。また例えば、他の実施形態に係る廃棄物処理設備1は、堆積廃棄物Dの表層の温度を計測し、当該温度に基づいて堆積廃棄物Dの表層の水分量を推定しても良い。
【0049】
また、上述した実施形態に係る位置特定部173は、堆積廃棄物Dに爪137を開いたグラップル136を接触させたときにグラップル136の傾きが所定の傾き以内となる座標であって、所定の水分量に最も近い水分量を有する廃棄物Wが存在する座標を供給座標として特定するが、これに限られない。例えば、他の実施形態では、位置特定部173は、堆積廃棄物Dに爪137を開いたグラップル136を接触させたときにグラップル136の傾きが所定の傾き以内となる座標であって、水分量が所定の水分量の範囲内にある廃棄物Wが存在する座標を、供給座標として特定しても良い。この結果、供給座標が複数存在する場合、クレーン制御装置107は、すべての供給座標に存在する廃棄物Wをごみホッパ104に投下しても良いし、複数の供給座標に存在する廃棄物Wの中からごみホッパ104に投下すべき廃棄物Wを絞っても良い。またこの結果、供給座標が存在しない場合、クレーン制御装置107は、廃棄物Wをごみホッパ104に供給せずに撹拌を継続しても良い。
【0050】
また、上述した実施形態に係る廃棄物処理設備1は、廃棄物Wを処理する処理装置として焼却炉106を備えるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る廃棄物処理設備1は、焼却炉106に代えてガス化溶融炉を備えても良い。
【0051】
また、上述した実施形態に係る廃棄物処理設備1は、廃棄物Wの撹拌処理を所定時間継続した後に、ごみホッパ104へ廃棄物Wを供給するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る廃棄物処理設備1は、廃棄物Wの撹拌処理を所定回数実行した後に、ごみホッパ104へ廃棄物Wを供給しても良い。また他の実施形態に係る廃棄物処理設備1は、廃棄物Wの撹拌処理を1回行うごとに、ごみホッパ104へ廃棄物Wを供給しても良い。
【0052】
また、上述した実施形態に係る位置特定部173は、クレーン座標系に基づいて把持座標、投下座標および供給座標を特定するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る位置特定部173は、走行軸または横行軸以外の軸に基づく直交座標系、斜交座標系または極座標系などの他の座標系に基づいてクレーン座標系に基づいて把持座標、投下座標および供給座標を特定しても良い。また位置特定部173は、座標系によらずに把持位置、投下位置および供給位置を特定しても良い。
【0053】
また、上述した実施形態に係る位置特定部173は、画像取得部171が取得した画像の明度に基づいて画像上の点を特定した後に、当該点をクレーン座標系の座標である把持座標、投下座標および供給座標に変換するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る位置特定部173は、画像取得部171が取得した画像を、クレーン座標系で表される画像に変換し、変換後の画像の明度に基づいて把持座標、投下座標および供給座標を特定しても良い。
【0054】
また、上述した実施形態に係るクレーン103は天井クレーンであるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係るクレーン103は、ジブクレーン、橋形クレーン、テルハ、デリック、またはその他のクレーンであっても良い。
【0055】
図7は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、インタフェース904を備える。
上述のクレーン制御装置107は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0056】
なお、少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース904を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。
【0057】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0058】
1 廃棄物処理設備
101 ごみピット
103 クレーン
136 グラップル
104 ごみホッパ
107 クレーン制御装置
110 深度センサ
108 近赤外線照射装置
109 撮像装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7