特許第6561393号(P6561393)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6561393角度センサ、及び、角度センサによる角度検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561393
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】角度センサ、及び、角度センサによる角度検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
   G01D5/245 110M
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-179875(P2015-179875)
(22)【出願日】2015年9月11日
(65)【公開番号】特開2017-53814(P2017-53814A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2018年8月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】592264101
【氏名又は名称】下西技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康広
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 英治
【審査官】 菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特表2016−503174(JP,A)
【文献】 特開2012−107963(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0080162(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/245
G01B 7/30−7/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心部に回動軸を備える円形の回転体と、
前記回転体の外周部分に、磁化方向を同一にして等間隔に配設された複数個の磁石と、
前記回転体に近接する位置の第一磁場強度を検知する第一の磁気検知部と、
前記回転体に近接し、第一の磁気検知部による検知位置に対して前記回転体の回動軸から所定角度ずらした位置の第二磁場強度を検知する第二の磁気検知部と、
前記第一磁場強度と前記第二磁場強度との関係から、前記回転体の回転角度を算出する回転角度演算部と、を備えた角度センサであって、
前記第一の磁気検知部は、前記回動軸からの距離が等しく互いに等間隔に配設された複数個の第一磁気検出素子と、それぞれの前記第一磁気検出素子で検出した位相の異なる磁場強度を重ね合わせることにより前記第一磁場強度を算出する第一演算部と、を備え、
前記第二の磁気検知部は、前記回動軸からの距離が等しく互いに等間隔に配設された複数個の第二磁気検出素子と、それぞれの前記第二磁気検出素子で検出した位相の異なる磁場強度を重ね合わせることにより前記第二磁場強度を算出する第二演算部と、を備える、角度センサ。
【請求項2】
中心部に回動軸を備える円形の回転体と、
前記回転体の外周部分に、磁化方向を同一にして等間隔に配設された複数個の磁石と、
前記回転体に近接する位置の第一磁場強度を検知する第一の磁気検知部と、
前記回転体に近接し、第一の磁気検知部による検知位置に対して前記回転体の回動軸から所定角度ずらした位置の第二磁場強度を検知する第二の磁気検知部と、を備える角度センサにより、前記回転体の回転角度を算出する、角度検出方法であって、
前記第一の磁気検知部は、前記回動軸からの距離が等しく互いに等間隔に配設された複数個の第一磁気検出素子を備え、
前記第二の磁気検知部は、前記回動軸からの距離が等しく互いに等間隔に配設された複数個の第二磁気検出素子を備え、
それぞれの前記第一磁気検出素子で検出した位相の異なる磁場強度を重ね合わせることにより第一磁場強度を算出する、第一演算工程と、
それぞれの前記第二磁気検出素子で検出した位相の異なる磁場強度を重ね合わせることにより第二磁場強度を算出する、第二演算工程と、
前記第一磁場強度と前記第二磁場強度との関係から、前記回転体の回転角度を算出する、回転角度演算工程と、を備える、角度センサによる角度検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体に配設した磁石の磁場強度を検知する角度センサ、及び、角度センサによる角度検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転軸に取り付けて回転角を検知するための非接触型の角度センサが知られている。具体的には、回転軸を中心として回転する磁石と、該磁石の周囲に配設した磁気検出素子により、回転軸の回転角を検知する角度センサが公知となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−101746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のような角度センサの構成では、磁石のサイズが大きくなるため、角度センサの使用環境が高温になると磁石が熱膨張し、磁石が割れる原因となる。また、磁石が大きいことにより形状加工や着磁による製造難度が高くなり、コスト増の原因となっていた。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、コンパクトな磁石を用いることにより磁石の割れ等を防止するとともに、容易に製造可能な角度センサ、及び、角度センサによる角度検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下では、上記課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、中心部に回動軸を備える円形の回転体と、前記回転体の外周部分に、磁化方向を同一にして等間隔に配設された複数個の磁石と、前記回転体に近接する位置の第一磁場強度を検知する第一の磁気検知部と、前記回転体に近接し、第一の磁気検知部による検知位置に対して前記回転体の回動軸から所定角度ずらした位置の第二磁場強度を検知する第二の磁気検知部と、前記第一磁場強度と前記第二磁場強度との関係から、前記回転体の回転角度を算出する回転角度演算部と、を備えた角度センサであって、前記第一の磁気検知部は、前記回動軸からの距離が等しく互いに等間隔に配設された複数個の第一磁気検出素子と、それぞれの前記第一磁気検出素子で検出した位相の異なる磁場強度を重ね合わせることにより前記第一磁場強度を算出する第一演算部と、を備え、前記第二の磁気検知部は、前記回動軸からの距離が等しく互いに等間隔に配設された複数個の第二磁気検出素子と、それぞれの前記第二磁気検出素子で検出した位相の異なる磁場強度を重ね合わせることにより前記第二磁場強度を算出する第二演算部と、を備えるものである。
【0008】
請求項2においては、中心部に回動軸を備える円形の回転体と、前記回転体の外周部分に、磁化方向を同一にして等間隔に配設された複数個の磁石と、前記回転体に近接する位置の第一磁場強度を検知する第一の磁気検知部と、前記回転体に近接し、第一の磁気検知部による検知位置に対して前記回転体の回動軸から所定角度ずらした位置の第二磁場強度を検知する第二の磁気検知部と、備える角度センサにより、前記回転体の回転角度を算出する、角度検出方法であって、前記第一の磁気検知部は、前記回動軸からの距離が等しく互いに等間隔に配設された複数個の第一磁気検出素子を備え、前記第二の磁気検知部は、前記回動軸からの距離が等しく互いに等間隔に配設された複数個の第二磁気検出素子を備え、それぞれの前記第一磁気検出素子で検出した位相の異なる磁場強度を重ね合わせることにより第一磁場強度を算出する、第一演算工程と、それぞれの前記第二磁気検出素子で検出した位相の異なる磁場強度を重ね合わせることにより第二磁場強度を算出する、第二演算工程と、前記第一磁場強度と前記第二磁場強度との関係から、前記回転体の回転角度を算出する、回転角度演算工程と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、角度センサにおいてコンパクトな磁石を用いることにより磁石の割れ等を防止するとともに、製造が容易となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る角度センサの実施の一形態を示す概略平面図及びブロック構成図。
図2】角度センサにおける磁気検知部の配置状態を示した図。
図3】角度センサにおける磁石の配置状態を示した図。
図4】(a)から(c)はそれぞれ第一磁気検知素子における検知結果を示した図。
図5】sin波形の重ね合わせを説明した図。
図6】第一磁場強度を示した図。
図7】第一磁場強度と第二磁場強度とによる回転角の算出方法を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、本発明の一実施形態に係る角度センサ10について説明する。なお、本実施形態に係る角度センサ10は、例えば自動車における電子燃料噴射方式エンジンの燃料噴射タイミングのコントロールや、ステアリングシャフトの回転角の検知等、様々な箇所の角度検知に用いることが可能である。
【0012】
本実施形態に係る角度センサ10は、図1に示す如く、中心部に回動軸3aを備えて矩形のケース2に収容された円形の回転体3と、回転体3の外周部分に、磁化方向を同一にして等間隔に配設された複数個の磁石5・5・・・と、を備える。
【0013】
ケース2及び回転体3は樹脂等の非磁性素材で形成されている。回転体3は回動軸3a及び図示しない軸受を介してケース2に軸支されており、ケース2の内部で回動自在に収容されている。回動軸3aは外部の角度検知対象物と連結されており、角度検知対象物の回転によって回動する。即ち、回動軸3aの回動によって回転体3はケース2の内部で回動される。角度センサ10は、ケース2の内部におけるケース2に対する回転体3の相対角度を検出することにより、ケース2に対する角度検知対象物の回転角度を検出するのである。本実施形態においては図1中の矢印Rに示す如く、角度検知対象物の回転に伴って平面視で回転体3が反時計回りに回転する場合について説明する。但し、角度センサ10における回転体3の回転方向は反時計回りに限定されず、時計回りの場合や、両方の回転方向が混在する場合でも回転体3の角度を検知することが可能である。
【0014】
磁石5・5・・・には異方性磁石が用いられる。それぞれの磁石5はN極面5nとS極面5sとを備え、各磁石5のN極面5n及びS極面5sはそれぞれ同じ方向に向けられる(図1及び図3においては、N極面5nは右側、S極面5sは左側に向けられている)。本実施形態において、磁石5・5・・・は回転体3の外周部分に、15度ずつ間隔を空けて24個配設される(図2における角度α=15度)。
【0015】
全ての磁石5・5・・・は同じ磁極を同方向に向けているため、回転体3の周囲には図3中の矢印Mに示す如く、N極面5nが向けられる側(図1及び図3における右側)に大きな磁界(以下、「大磁界」と表記する)が発生する。また、24個の磁石5・5・・・は全て同じ磁極を同方向に向けているため、図3中の矢印m1からm25に示す如く、回転体3の放射方向に25個の小さな磁極を持つ周期磁界(以下、「小磁界」と表記する)が発生し、その磁極の間隔は360度を25分割した14.4度となる。即ち、回転体3にNm個の磁石を配設した場合、小磁界の個数Ms=Nm+1となり、その間の角度は360/(Nm+1)度となる。例えば、回転体3に15個の磁石を配設した場合、小磁界は16個発生し、その間の角度は360/16=22.5度となる。このように、回転体3に配設する磁石5の個数は限定されるものではない。但し、角度センサ10の検出精度を確保する観点からは、磁石5の個数は多いことが好ましい。
【0016】
角度センサ10は、回転体3に近接する位置の第一磁場強度を検知する第一の磁気検知部と、回転体3に近接し、第一の磁気検知部による検知位置に対して前記回転体の回動軸から所定角度ずらした位置の第二磁場強度を検知する第二の磁気検知部と、を備える。
【0017】
具体的に、第一の磁気検知部は、回動軸3a(より詳細には、回動軸3aの軸心3o(図2を参照))からの距離が等しく互いに等間隔に配設された三個の第一磁気検出素子11a・11b・11cと、それぞれの第一磁気検出素子11a・11b・11cと電気的に接続され、第一磁気検出素子11a・11b・11cで検出した磁場強度(図4(a)〜(c)中のL11〜L13を参照)を重ね合わせることにより第一磁場強度(図6及び図7中のL14を参照)を算出する第一演算部21と、を備えている。
【0018】
第一磁気検出素子11a・11b・11cは、MRセンサやホール素子等の磁気センサであり、それぞれの箇所において回動軸3aの方向に向けて配設される。第一磁気検出素子11a・11b・11cは回動軸3aから放射方向の磁場強度を検出する。第一磁気検出素子11a・11b・11cは第一磁気検出ユニット11として一体化されている。本実施形態において、第一磁気検出素子11a・11b・11cは軸心3oからの角度が9.6度ずつ間隔を空けて配設される(図2における角度β=9.6度)。回動軸3aから第一磁気検出ユニット11までの距離X(図2を参照)は、回転体3の半径等を考慮して、第一磁場強度の変化が滑らかになる数値が適宜用いられる。
【0019】
第一演算部21は制御部20に備えられた回路であり、第一磁気検出素子11a・11b・11cで検出した磁場強度を演算可能に構成されている(詳細は後述する)。制御部20は、主としてRAMやROMなどからなる記憶部や、CPUからなる演算処理部などを備えて構成されている。
【0020】
第二の磁気検知部は、第一の磁気検知部と同様に、回動軸3aからの距離が等しく互いに等間隔に配設された複数個の第二磁気検出素子12a・12b・12cと、それぞれの第二磁気検出素子12a・12b・12cと電気的に接続され、第二磁気検出素子12a・12b・12cで検出した磁場強度を重ね合わせることにより第二磁場強度(図7中のL24を参照)を算出する第二演算部22と、を備えている。
【0021】
第二磁気検出素子12a・12b・12cは、第一磁気検出素子11a・11b・11cと同様に配置されたMRセンサやホール素子等の磁気センサであり、それぞれの箇所において回動軸3aの方向に向けて配設される。第二磁気検出素子12a・12b・12cは回動軸3aから放射方向の磁場強度を検出する。第二磁気検出素子12a・12b・12cは第二磁気検出ユニット12として一体化されている。図1に示す如く、第二磁気検出ユニット12は第一磁気検出ユニット11に対して90度位相をずらして(回動軸3aから向かって反時計回りに90度ずれて)配置されている。第二演算部22は制御部20に備えられた回路であり、第一演算部21と同様に第二磁気検出素子12a・12b・12cで検出した磁場強度を演算可能に構成されている。
【0022】
図1に示す如く制御部20は回転角度演算部23を備える。回転角度演算部23は、第一演算部21及び第二演算部22と電気的に接続され、第一磁場強度と第二磁場強度との関係から、回転体3の回転角度を算出する(詳細は後述する)。回転角度演算部23で算出された回転体3の回転角度は出力部31(記憶媒体や表示モニタ等)に送信される。
【0023】
次に、上記の如く構成した角度センサ10による角度検出方法について、図3から図7を用いて説明する。
まず、第一磁気検出素子11a・11b・11cのそれぞれで磁場強度を検出する。図4(a)〜(c)はそれぞれ、第一磁気検出素子11a〜11cによる磁場強度の検出結果である。第一磁気検出素子11a・11b・11cは、回転体3の周囲に生じる大磁界(図3中の矢印Mを参照)によって、回転体3の一回転(360度)が一周期となるsin波形(図4(a)〜(c)中の曲線L10)に沿った磁場強度を検出する。
【0024】
また、第一磁気検出素子11a・11b・11cは、回転体3から半径方向外側に生じる小磁界(図3中の矢印m1〜m25を参照)によって、回転体3の小磁界の生じる角度(本実施形態においては14.4度)ごとに一周期となるsin波形の磁場強度を検出する。このため、第一磁気検出素子11a・11b・11cのそれぞれで検出する磁場強度は、図4(a)〜(c)中の曲線L11〜L13のように、大磁界による大きなsin波形の中に小さなsin波形が生じることになる。
【0025】
第一磁気検出ユニット11においては、第一磁気検出素子11aが最も上流側に位置し、他の第一磁気検出素子11b・11cとの角度はそれぞれ9.6度ずつ離れている。このため、第一磁気検出素子11aによる検出結果である曲線L11は、第一磁気検出素子11bによる検出結果である曲線L12よりも9.6度分上流に位相がずれる。同様に、第一磁気検出素子11cによる検出結果である曲線L13は、第一磁気検出素子11bによる検出結果である曲線L12よりも9.6度分下流に位相がずれる。
【0026】
ここで、図5を用いてsin波形を重ね合わせる手法について説明する。図5中の曲線L1は、磁場強度の最小値が1、最大値が3、周期が1のsin波形である。曲線L2及びL3は、曲線L1に対して一周期の1/3ずつ位相をずらしたsin波形である。これらの曲線L1〜L3を重ね合わせた場合、互いの位相のピークが打ち消されることにより、磁場強度が6で一定となる直線L4となる。このように、一周期の1/3ずつ位相がずれたsin波形を重ね合わせることにより、それぞれのピークを打ち消すことが可能となる。
【0027】
本実施形態において、第一磁気検出素子11a・11b・11cは9.6度ずつ位相をずらして配置されている。ここで、本実施形態における小磁界の周期は14.4度であるため、第一磁気検出素子11a・11b・11cは小周期一周分の2/3ずつずらして配置されることになる。これにより、曲線L11〜L13は図5中の曲線L1〜L3のように互いに一周期の1/3ずつ位相がずれたsin波形となるのである。このため、第一演算部21において、それぞれの第一磁気検出素子11a・11b・11cで検出した位相の異なる磁場強度である曲線L11〜L13を重ね合わせることにより、図6中の曲線L14に示す如く小周期によるピークが打ち消された第一磁場強度が算出される(第一演算工程)。この際、曲線L14は曲線L10の3倍程度の値となる。
【0028】
本実施形態においては、曲線L11〜L13の位相を一周期の2/3ずつずらすために9.6度の角度差をつけて第一磁気検出素子11a・11b・11cを配置しているが、14.4度の1/3ずつずらして配置することによっても曲線L11〜L13の位相を一周期の1/3ずつずらすことも可能である。即ち、第一磁気検出素子11a・11b・11cで検出する磁場強度が一周期(360/(Nm+1)度)の1/3ずつずれる角度であれば、第一磁気検出素子11a・11b・11cの間隔は限定されるものではない。例えば、第一磁気検出素子11a・11b・11cを19.2度ずつずらして配置することも可能である。なお、本実施形態において、第一磁気検出素子11a・11b・11cを14.4度ずつずらして配置した場合は、曲線L11〜L13の位相がずれずに一致するために相応しくない。
【0029】
次に、第二磁気検出素子12a・12b・12cのそれぞれで磁場強度を検出し、第一演算工程と同様に、第二演算部22において、それぞれの第二磁気検出素子12a・12b・12cで検出した位相の異なる磁場強度を重ね合わせることにより、図7中の曲線L24に示す如く小周期によるピークが打ち消された第二磁場強度が算出される(第二演算工程)。第二磁気検出ユニット12は第一磁気検出ユニット11に対して90度下流側に位相をずらして配置されているため、図7に示す如く第二磁場強度による曲線L24は第一磁場強度による曲線L14と比較して1/4周期だけピークがずれて算出される。
【0030】
次に、回転角度演算部において、第一磁場強度と第二磁場強度との関係から、回転体3の回転角度rを算出する(回転角度演算工程)。具体的には図7に示す如く、第一磁場強度M1に相当する曲線L14上の点P12と、第二磁場強度M2に相当する曲線L24上の点P21との位相計算により、回転体3の回転角度rを算出するのである。なお、曲線L14上には第一磁場強度M1に相当する点がP12の他に点P11として存在し、曲線L24上には第二磁場強度M2に相当する点がP21の他に点P22として存在するが、第一磁場強度M1と第二磁場強度M2とを同時に検出できるのは点P12と点P21しかないため、一つの回転角度rを算出することができる。
【0031】
上記の如く、本実施形態に係る角度センサ10の構成によれば、小さなサイズの磁石5を用いているため、角度センサ10の使用環境が高温になって磁石5が熱膨張した場合でも、磁石5が割れることがない。また、磁石5が熱膨張した場合であっても、角度センサ10における角度検出精度にはほとんど影響することはない。また、小さな磁石5を多数用いるため、形状加工や着磁による製造難度を低くすることができ、角度センサ10の製造コストを抑制することができる。
【0032】
なお、本実施形態において、第一磁気検出ユニット11(第二磁気検出ユニット12についても同じ)において、第一磁気検出素子11a~11cを三個配設する構成としているが、第一磁気検出素子を二個又は四個以上で配設することも可能である。第一磁気検出素子を何れの個数で配設した場合でも、検出した磁場強度を重ね合わせることにより小磁界の周期の位相のピークを打ち消すことができれば良い。例えば本実施形態において第一磁気検出素子を二個配設する場合、小磁界の周期である14.4度の1/2である7.2度、又は、3/2である21.6度等に位相をずらして配設すれば良い。
【符号の説明】
【0033】
3 回転体
10 角度センサ
11 第一磁気検出ユニット
11a〜c 第一磁気検出素子
12 第二磁気検出ユニット
12a〜c 第二磁気検出素子
21 第一演算部
22 第二演算部
23 回転角度演算部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7