(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561398
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】LED画素点、発光ユニット、発光パネル及びディスプレイスクリーン
(51)【国際特許分類】
H01L 33/48 20100101AFI20190808BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20190808BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
H01L33/48
H01L33/62
G09F9/33
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-506272(P2018-506272)
(86)(22)【出願日】2015年8月6日
(65)【公表番号】特表2018-523314(P2018-523314A)
(43)【公表日】2018年8月16日
(86)【国際出願番号】CN2015086269
(87)【国際公開番号】WO2017020300
(87)【国際公開日】20170209
【審査請求日】2018年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】518007511
【氏名又は名称】林 誼
【氏名又は名称原語表記】LIN, YI
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】林 誼
【審査官】
皆藤 彰吾
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0182225(US,A1)
【文献】
登録実用新案第3150992(JP,U)
【文献】
実開平3−32447(JP,U)
【文献】
実開平6−54370(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3169479(JP,U)
【文献】
特開2012−227514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
G09F 9/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED画素点であって、駆動IC及びLEDチップを含み、
前記LEDチップが前記駆動ICの表面に積層して実装され、前記LEDチップの負極引出リード線が前記駆動ICに接続され、
前記駆動ICがパッケージされていないベアチップであり、且つ透明である複合層に実装され、前記ベアチップの表面に絶縁層が設置され、前記絶縁層の上方には正電極に接続されたボンディングパッドが設置され、前記LEDチップが前記ボンディングパッドに実装され、前記LEDチップの正極が前記ボンディングパッドに電気的に接続されている、ことを特徴とするLED画素点。
【請求項2】
前記LEDチップが3つあり、前記リード線がボンディング方式で設置されるゴールドワイヤーである、ことを特徴とする請求項1に記載のLED画素点。
【請求項3】
LED発光ユニットであって、複合層、駆動IC及び前記複合層の前側に縦横均等に設置されたLEDチップを含み、前記複合層が透明複合層であり、前記駆動ICがパッケージされていないベアチップであり、
前記LEDチップは第1のLEDチップを含み、各前記駆動ICが1組の第1のLEDチップに対応し、前記駆動ICが前記複合層の前側に実装され、前記駆動ICの表面に絶縁層が設置され、前記絶縁層の上方には正電極に接続されたボンディングパッドが設置され、前記第1のLEDチップが前記駆動ICの表面における前記ボンディングパッドに積層して実装され、前記LEDチップの負極引出リード線が前記駆動ICに接続され、前記駆動IC同士が信号線を介して接続され、前記第1のLEDチップの正極が前記ボンディングパッドに電気的に接続されている、ことを特徴とするLED発光ユニット。
【請求項4】
前記LEDチップは第2のLEDチップを更に含み、前記第2のLEDチップが前記複合層の前側に実装され、前記複合層の前側に複数のブラインドホールが開設され、前記第2のLEDチップの正極が複合層内部の正電極に接続され、前記駆動ICのVDDピン引出リード線が1つの前記ブラインドホールを介して複合層の内部から正電極に接続され、前記駆動ICのGNDピン引出リード線が1つの前記ブラインドホールを介して複合層の内部から負電極に接続されている、ことを特徴とする請求項3に記載のLED発光ユニット。
【請求項5】
前記リード線及び信号線がいずれもボンディング方式で設置されるゴールドワイヤーであることを特徴とする、請求項3又は4に記載のLED発光ユニット。
【請求項6】
前記第1のLEDチップとLEDチップの割合が1:x(x∈{2、3、4、5、6、9})である、ことを特徴とする請求項4に記載のLED発光ユニット。
【請求項7】
前記複合層は前から後へ順に設置された基板、電極層及び第2の絶縁層を含み、
前記電極層に正電極及び負電極が設置され、前記複合層には、前記基板を貫通して前記正電極又は負電極に到達する複数のブラインドホールが開設されている、ことを特徴とする請求項6に記載のLED発光ユニット。
【請求項8】
前記複合層は前から後へ順に設置された基板、第1の電極層、第1の絶縁層、第2の電極層及び第2の絶縁層を含み、前記第1の電極層と第2の電極層のうちの1つが正電極として設置され、もう1つが負電極として設置され、前記ブラインドホールは、前記基板を貫通して正電極に到達する第1のブラインドホールと、前記基板を貫通して負電極に到達する第2のブラインドホールとを含み、前記LEDチップの正極引出リード線が前記第1のブラインドホールを介して前記正電極に接続され、前記駆動ICのVDDピン引出リード線が前記第1のブラインドホールを介して前記正電極に接続され、前記駆動ICのGNDピン引出リード線が前記第2のブラインドホールを介して前記負電極に接続されることを特徴とする、請求項6に記載のLED発光ユニット。
【請求項9】
前記複合層は、第3の絶縁層と、前記第1の電極層又は第2の電極層と絶縁する信号配線層とを更に含み、前記ブラインドホールは前記基板を貫通して前記信号配線層に到達する第3のブラインドホールを更に含み、前記信号線が前記信号配線層に設置された信号パターン層であり、前記駆動ICの信号ピン引出リード線が前記第3のブラインドホールを介して前記信号パターン層に接続されている、ことを特徴とする請求項8に記載のLED発光ユニット。
【請求項10】
前記複合層は少なくとも2層の前記信号配線層及び少なくとも2層の前記第3の絶縁層を含む、ことを特徴とする請求項9に記載のLED発光ユニット。
【請求項11】
前記ブラインドホールの底部にボンディングパッドが設置され、前記リード線が前記ボンディングパッドを介して前記複合層に電気的に接続されている、ことを特徴とする請求項4に記載のLED発光ユニット。
【請求項12】
前記LEDチップ及び駆動ICはCOB又はCOGプロセスで前記基板に実装され、前記基板の前側に透明シーラントが被覆されている、ことを特徴とする請求項8に記載のLED発光ユニット。
【請求項13】
少なくとも2つの請求項3〜12のいずれか一項に記載のLED発光ユニットを含む、ことを特徴とするLED発光パネル。
【請求項14】
請求項13に記載のLED発光パネルを含む、ことを特徴とするLEDディスプレイスクリーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLED表示分野に関し、特にLED画素点、発光ユニット、発光パネル及びディスプレイスクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
透過型LEDディスプレイスクリーンは、透明で、視線を遮断せず、特別な表示効果を有するため、ますます人気となり、商業施設、空港、銀行、高級ブランド店等の高級な場所で広く応用されるようになってきた。LEDディスプレイスクリーンの内部制御回路は非常に複雑であり、良好な透明効果を図るには、最も基本的な論理回路を確保し全てのLEDランプの正常な作動を駆動するだけでなく、構造体、回路基板、プラスチックキット及び駆動IC(駆動集積回路)、LEDランプ等の電子部品を含むハードウェアによる視線への遮断を最大限減少させる必要があるため、LEDディスプレイスクリーンの画素密度が高ければ高いほど、その透明効果が実現しにくくなり、たとえば、LEDランプの正常なパッケージ寸法はSMD3535(外型寸法3.5mm×3.5mm)、SMD3528(外型寸法3.5mm×2.8mm)、SMD2121(外型寸法2.1mm×2.1mm)であるが、LEDディスプレイスクリーンの駆動ICの最小パッケージ寸法も、4mm×4mmあり、これらの不透明な素子に加えて、複雑な論理回路の相互接続により、基本的には画素ピッチが5mm以下の透過型LEDディスプレイスクリーンを実現できない。
【0003】
現在、市場には、透明導電膜を導電及び信号パターン層としてLED発光チップを駆動する透過型LEDディスプレイスクリーン技術が存在しているが、透明導電膜のインピーダンスが従来の回路基板(PCB)に用いられる銅箔よりもはるかに大きいため、透明導電膜に回路パターン層を形成し駆動ICとLEDチップを接続するには、透明導電回路の幅を大きくする必要があり、したがって、高画素密度の透過型LEDディスプレイスクリーンを製造しにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はLED画素点、LED発光ユニット、LED発光パネル及びLEDディスプレイスクリーンを提供し、LEDチップを駆動ICの表面に積層して実装し、不透明な駆動ICと1組のLEDチップを同一画素点に設置することにより、遮光面積を低減させ、LED表示製品の光透過率を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記設計を実現するために、本発明は以下の技術案を用いる。
【0006】
第1の態様では、LED画素点を提供し、駆動IC及びLEDチップを含み、
前記LEDチップが前記駆動ICの表面に積層して実装され、前記LEDチップの負極引出リード線が前記駆動ICに接続される。
【0007】
そのうち、前記駆動ICがパッケージされていないベアチップであり、前記ベアチップの表面に絶縁層が設置され、前記絶縁層の上方には正電極に接続されたボンディングパッドが設置され、前記LEDチップが前記ボンディングパッドに実装され、前記LEDチップの正極が前記ボンディングパッドに電気的に接続される。
【0008】
そのうち、前記LEDチップが3つあり、前記リード線がボンディング方式で設置されるゴールドワイヤーである。
【0009】
第2の態様では、LED発光ユニットを提供し、複合層、駆動IC及び前記複合層の前側に縦横均等に設置されたLEDチップを含み、
前記LEDチップが第1のLEDチップを含み、各前記駆動ICが1組の第1のLEDチップに対応し、前記駆動ICが前記複合層の前側に実装され、前記第1のLEDチップが前記駆動ICの表面に積層して実装され、前記LEDチップの負極引出リード線が前記駆動ICに接続され、前記駆動IC同士が信号線を介して接続される。
【0010】
そのうち、前記LEDチップは第2のLEDチップを更に含み、前記第2のLEDチップが前記複合層の前側に実装され、前記複合層の前側に複数のブラインドホールが開設され、前記第2のLEDチップの正極が複合層内部の正電極に接続され、前記駆動ICのVDDピン引出リード線が1つの前記ブラインドホールを介して複合層の内部から正電極に接続され、前記駆動ICのGNDピン引出リード線が1つの前記ブラインドホールを介して複合層の内部から負電極に接続される。
【0011】
そのうち、前記複合層が透明複合層であり、前記駆動ICがパッケージされていないベアチップであり、前記リード線及び信号線がいずれもボンディング方式で設置されるゴールドワイヤーである。
【0012】
そのうち、前記第1のLEDチップとLEDチップの割合が1:x(x∈{2、3、4、5、6、9})である。
【0013】
そのうち、前記複合層は前から後へ順に設置された基板、電極層及び第2の絶縁層を含み、
前記電極層に正電極及び負電極が設置され、前記複合層には、前記基板を貫通して前記正電極又は負電極に到達する複数のブラインドホールが開設される。
【0014】
そのうち、前記複合層は前から後へ順に設置された基板、第1の電極層、第1の絶縁層、第2の電極層及び第2の絶縁層を含み、前記第1の電極層と第2の電極層のうちの一つが正電極として設置され、もう1つが負電極として設置され、前記ブラインドホールは、前記基板を貫通して正電極に到達する第1のブラインドホールと、前記基板を貫通して負電極に到達する第2のブラインドホールとを含み、前記LEDチップの正極引出リード線が前記第1のブラインドホールを介して前記正電極に接続され、前記駆動ICのVDDピン引出リード線が前記第1のブラインドホールを介して前記正電極に接続され、前記駆動ICのGNDピン引出リード線が前記第2のブラインドホールを介して前記負電極に接続される。
【0015】
そのうち、前記複合層は、第3の絶縁層と、前記第3の絶縁層を介して前記第1の電極層又は第2の電極層と絶縁する信号配線層とを更に含み、前記ブラインドホールは前記基板を貫通して前記信号配線層に到達する第3のブラインドホールを更に含み、前記信号線が前記信号配線層に設置された信号パターン層であり、前記駆動ICの信号ピン引出リード線が前記第3のブラインドホールを介して前記信号パターン層に接続される。
【0016】
そのうち、前記複合層は少なくとも2層の前記信号配線層及び少なくとも2層の前記第3の絶縁層を含む。
【0017】
そのうち、前記ブラインドホールの底部にボンディングパッドが設置され、前記リード線が前記ボンディングパッドを介して前記複合層に電気的に接続される。
【0018】
そのうち、前記LEDチップ及び駆動ICはCOB又はCOGプロセスで前記基板に実装され、前記基板の前側に透明シーラントが被覆される。
【0019】
第3の態様では、少なくとも2つの上記LED発光ユニットを含むLED発光パネルを提供する。
【0020】
第4の態様では、上記LED発光パネルを含むLEDディスプレイスクリーンを提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の有益な効果について、LEDチップを駆動ICの表面に積層して実装し、不透明な駆動ICと1組のLEDチップを同一画素点に設置することにより、LEDチップへの直接駆動を実現し、複雑な回路接続を減少させるだけでなく、遮光面積を低減させ、LED表示製品の光透過率を向上させる。同時に、寸法が非常に小さな駆動ICベアチップと駆動ICの周囲に均等に分布する第2のLEDチップは最短距離の直接ボンディング(bonding)接続を実現し、従来のLEDディスプレイスクリーン技術の駆動ICとLEDチップとの間の複雑な回路接続を回避することで、インピーダンスが大きな透明導電材料を主な信号伝送材料として用いることを回避し、透明導電パターン層の配線設計を大幅に簡略化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下、本発明の実施例の記述に必要な図面を簡単に紹介するが、明らかなように、以下で説明する図面は単に本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労働を払わずに、本発明の実施例の内容とこれらの図面に基づいて他の図面を想到し得る。
【
図1】本発明の実施形態に係るLED画素点の構造図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るLED画素点の平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るLED発光ユニットの第1の実施例の正面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るLED発光ユニットの第2の実施例のLEDチップレイアウトの正面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るLED発光ユニットの第2の実施例のもう1つのLEDチップレイアウトの正面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るLED発光ユニットの第2の実施例の電極層の接続模式図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るLED発光ユニットの第3の実施例のLEDチップレイアウトの正面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るLED発光ユニットの第3の実施例の配線接続斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るLED発光ユニットの第3の実施例の駆動ICとLEDチップのロジック接続模式図である。
【
図10】本発明の実施形態に係るLED発光ユニットの第3の実施例の内部構造模式図である。
【
図12】本発明の実施形態に係るLED発光ユニットの第3の実施例の信号配線層の接続模式図である。
【
図13】本発明の実施形態に係るLED発光ユニットの第3の実施例のもう1つのLEDチップレイアウトの正面図である。
【
図14】本発明の実施形態に係るLED発光ユニットの第3の実施例のさらにもう1つのLEDチップレイアウトの正面図である。
【
図15】本発明の実施形態に係るLED発光ユニットの第3の実施例のさらにもう1つのLEDチップレイアウトの正面図である。
【
図16】本発明の実施形態に係るLED発光パネルの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明が解決する技術的問題、用いる技術案及び実現する技術的効果を明確にするために、以下、図面を参照しながら、本発明の実施例の技術案をさらに詳しく説明し、勿論、ここで説明する実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づき、当業者が創造的な労働を払わずに想到し得るすべての他の実施例は、本発明の保護範囲に属する。
【0024】
第1の実施例
図1及び
図2は、それぞれ本発明の実施形態に係るLED画素点の構造図及び平面図である。図に示すように、該LED画素点は、駆動IC20及びLEDチップ40を含み、前記LEDチップ40が前記駆動IC20の表面に積層して実装され、前記LEDチップ40の負極引出リード線31が前記駆動IC20に接続される。
【0025】
さらに、前記駆動IC20がパッケージされていないベアチップであり、前記ベアチップの表面に絶縁層が設置され、前記絶縁層の上方には正電極121に接続されたボンディングパッド30が設置され、前記LEDチップ40が前記ボンディングパッド30に実装され、前記LEDチップ40の正極が前記ボンディングパッド30に電気的に接続される。
【0026】
さらに、前記LEDチップ40が3つあり、前記リード線31がボンディング方式で設置されるゴールドワイヤーである。
【0027】
通常のLED表示技術では、各画素点に1つ又は複数のLEDランプを設置して所定画像の表示を行い、LEDランプ自体の大きさにより、従来技術で製造されたLEDディスプレイスクリーンの画素点が大きくなり、表示効果が繊細ではなく、且つLEDランプ自体の遮断によって高光透過率を実現できない。本技術案では、各画素点は、実装済みのLEDランプではなく、非常に小さなLEDチップ40によって実現され、現在の技術レベルでは、LEDチップ40を0.15mm×0.15mmの寸法以下にすることができ、LEDチップ40を密集して配置し、4mm以下の画素ピッチを実現し、高密度の透過型LEDディスプレイスクリーンを製造することができる。それと同時に、パッケージされていないベアチップを駆動IC20とし、その外型寸法は一般的に2mm×2mm以下であり、遠くから見ると視認しにくく、画素の間に十分に大きな隙間を有するため、光透過率をさらに向上させる。
図1に示される技術案では、各画素点に3つのLEDチップ40が設置され、3つのLEDチップ40がそれぞれR、G、Bの3色LEDチップ40であり、各画素点に3色のLEDチップ40が設置されると、フルカラー表示を実現することができる。もう1つの簡単な実現形態では、各駆動IC20に1つのLEDチップ40が設置され、最も簡単なLED表示を実現し、そのうち、LEDチップ40の発光色が赤、緑、青又は白色であり、単色発光型LEDディスプレイスクリーンは表示内容が比較的簡単な掲示板等に多く用いられる。
【0028】
第2の実施例
図3は、本発明の実施形態に係るLED発光ユニットの第1の実施例の正面図である。図に示すように、該LED発光ユニットは、複合層10、駆動IC20及び前記複合層10の前側に縦横均等に設置されたLEDチップ40を含み、
前記LEDチップ40は第1のLEDチップ41を含み、各前記駆動IC20が1組の第1のLEDチップ41に対応し、前記駆動IC20が前記複合層10の前側に実装され、前記第1のLEDチップ41が前記駆動IC20の表面に積層して実装され、前記LEDチップ40の負極引出リード線が前記駆動IC20に接続され、前記駆動IC20同士が信号線を介して接続される。本技術案に説明する前側は発光時の光伝搬方向の一側を指し、発光の方向を本技術案の説明時の前後として参照する。
【0029】
本実施例では、各画素点は第1のLEDチップ41及び駆動IC20を含み、駆動IC20の表面に1組の第1のLEDチップ41が積層して実装され、つまり、すべてのLEDチップ40は第1のLEDチップ41であり、それぞれの駆動IC20により駆動される。
【0030】
本実施例では、一般的に、LEDチップ40セットがアレイ状に分布し、且つ隣接する2行間の距離と隣接する2列間の距離が同じである。
【0031】
前記複合層10は透明複合層である。複合層10は、絶縁及び導電性透明材料からなる複数のサブ層を含み、絶縁透明材料は、たとえばガラス、PET、PVC、PC、PE、アクリル等の硬質又はフレキシブル材料であり、導電性透明材料は、たとえばアクリル導電性透明接着剤、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide、ITO)及び酸化インジウム亜鉛(Indium Zinc Oxide、IZO)である。透明導電材料は、一般的に堆積、スパッタリング等の方法で絶縁材料に付着され、この技術は当業者にとって公知のものである。
【0032】
透明複合層を設置し、透明複合層内に透明導電膜及び透明絶縁体を配置し、LEDチップ40及び駆動IC20を透明複合層の前側に積層して実装し、LEDチップ40及び駆動IC20の給電及び信号は主に透明複合層内部の透明導電体により伝送され、透明絶縁体により各層の透明導電体の間の絶縁を実現し、透明複合層に駆動IC20以外の領域の全透明効果を実現し、この結果、画素ピッチが2mm〜4mmであり、透明度が90%以上のLEDディスプレイスクリーンが提供される。
【0033】
LED発光ユニットの実施例を説明する場合、主に透明複合層の実現方式に基づいて説明する。
【0034】
前記駆動IC20はパッケージされていないベアチップであり、前記リード線31及び信号線はいずれもボンディング方式で設置されるゴールドワイヤーである。
【0035】
パッケージされていないベアチップはパッケージ済みの完成品に比べ、より小さな構造を有するため、より高い光透過率を実現する。ボンディング(bonding)プロセスは従来技術で多用され、ここで詳しく説明しない。
【0036】
本実施例では、LEDチップ40及び駆動IC20の給電は複合層10の内部に設置された導電膜により実現し、
図3に示される技術案では、駆動IC20を1つずつ配列する状況が存在し、駆動IC20と駆動IC20間の信号伝送は複合層10の前側の信号線により実現し、
図15に示すように、2つの駆動ICの間にゴールドワイヤーを信号線としてボンディング(bonding)して接続通信する。
【0037】
前記LEDチップ40及び駆動IC20はCOB又はCOGプロセスで前記基板11に実装される。
【0038】
前記基板11の前側に透明シーラントが被覆され、透明シーラントは、一般的に、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエチレン酢酸ビニル等のうちの一種を用いる。
【0039】
COBプロセス、COGプロセス及びシーラントプロセスは従来技術で多用され、ここで詳しく説明しない。
【0040】
第3の実施例
図4は、本発明の実施形態に係るLED発光ユニットの第2の実施例のLEDチップレイアウトの正面図である。図に示すように、前記LEDチップ40は第2のLEDチップ42を更に含み、前記第2のLEDチップ42が前記複合層10の前側に実装され、前記複合層10の前側に複数のブラインドホールが開設され、ブラインドホールの底部にボンディングパッド30が設置され、前記第2のLEDチップ42の正極引出リード線31がボンディングパッド30に接続されることで、複合層10内部の正電極121に接続され、前記駆動IC20のVDDピン引出リード線31が1つの前記ブラインドホールを介して複合層10の内部から正電極121に接続され、前記駆動IC20のGNDピン引出リード線31が1つの前記ブラインドホールを介して複合層10の内部から負電極122に接続される。
【0041】
図4に示すように、各駆動IC20は1組の第1のLEDチップ41及び1組の隣接する第2のLEDチップ42を駆動し、2つの画素点と1つの駆動IC20を作動ユニットとし、駆動IC20がそのうちの1つの画素点に積層して設置されることに相当する。このレイアウト案は駆動IC20のピン数及び信号処理能力を十分に利用することで、駆動IC20の性能浪費を減少させる。さらに、
図5に示すように、本発明の実施形態に係るLED発光ユニットの第2の実施例のもう1つのLEDチップ40レイアウトの正面図である。
図5では、各駆動IC20は1組の第1のLEDチップ41及び2組の第2のLEDチップ42を駆動し、第1のLEDチップ41が2組の第2のLEDチップ42の間に設置され、第2のLEDチップ42と駆動IC20がゴールドワイヤーボンディング(bonding)によって接続され、この2つのレイアウト方式及び前の実施例のレイアウトは相対的に簡単であり、理由は駆動IC20を1つずつ設置でき、駆動IC20間の信号線としてゴールドワイヤーを直接ボンディング(bonding)すればよい。
【0042】
透明複合層の内部の電極分布について、
図6に示すように、前記複合層10は前から後へ順に設置された基板11、電極層及び第2の絶縁層15を含み、
前記電極層に正電極121及び負電極122が設置され、前記複合層10に前記基板11を貫通して前記正電極121又は負電極122に到達する複数のブラインドホールが開設される。
【0043】
図6の陰影部分は電極層の分布領域である。駆動IC20及びLEDチップ40の作動を実現するために、正電極121及び負電極122の給電を必要とし、絶縁層に2つの独立した電極(正電極121及び負電極122)が設置され、正電極121及び負電極122が同一層に並列してもよいが、両者が互いに独立して作動する。透明導電体により製造された電極層の厚さが非常に小さく、給電過程での配線抵抗を低減させるために、一般的に、電極層の幅が大きく設定される。
【0044】
基板11に開設されたブラインドホールが正電極121及び負電極122に到達し、駆動IC20の2つの電源ピンがそれぞれブラインドホールを介して正電極121及び負電極122に接続され、勿論、第2のLEDチップ42の正極もブラインドホールを介して正電極121に接続され、第1のLEDチップ41の正極が駆動IC20の電源ピンを介して正極に接続されると、より容易になる。
【0045】
駆動IC20及び第2のLEDチップ42と内部の接続関係について、接続効果を確保するために、いずれのブラインドホールも底部にボンディングパッド30が設置され、駆動IC20及び第2のLEDチップ42のいずれもボンディングパッド30を介して対応する導電層に接続される。リード線31及び信号線はいずれもボンディング方式で設置されるゴールドワイヤーである。ゴールドワイヤーは直径が非常に小さく、裸眼で見えないワイヤーであり、第2のLEDチップ42と駆動IC20との間、第2のLEDチップ42と複合層10の内部、駆動IC20と複合層10の内部がいずれもゴールドワイヤーを介して接続される。
【0046】
さらに、正電極121及び負電極122が平行する2つの層に設置されてもよく、この両者の間は絶縁層により絶縁される。複合層10は前から後へ順に設置された基板11、第1の電極層、第1の絶縁層13、第2の電極層及び第2の絶縁層15を含み、前記第1の電極層と第2の電極層のうちの一つが正電極121として設置され、もう1つが負電極122として設置され、前記ブラインドホールは、前記基板11を貫通して正電極121に到達する第1のブラインドホールと、前記基板11を貫通して負電極122に到達する第2のブラインドホールとを含む。第1のLEDチップ41が駆動IC20に設置され、駆動ICによって給電を実現し、第2のLEDチップ42が複合層10の前側に設置され、まず複合層10にボンディングパッド30が設置され、ボンディングパッド30がリード線31を介して電極層に接続され、ボンディングパッド30には、LEDチップ40が自体の構造特徴に基づいて接続方式を選択し、たとえばR−LEDチップの場合にボンディングパッドに溶接されれば正極の回路接続を実現でき、G−LEDチップの場合に回路接続を実現するにはリード線31によって正極と下方のボンディングパッド30を接続する必要がある。前記駆動IC20のVDDピン引出リード線31が前記第1のブラインドホールを介して前記正電極121に接続され、前記駆動IC20のGNDピン引出リード線31が前記第2のブラインドホールを介して前記負電極122に接続される。なお、正電極121及び負電極122のどちらが前にあるか、どちらが後にあるかは絶対的な位置制限がなく、電子部品への給電を実現できればよい。
【0047】
なお、LEDチップ40はフリップ実装方式でボンディングパッド30に実装されてもよく、一部のゴールドワイヤーのボンディングプロセスを省くことができ、この技術は当業者にとって公知のものであり、ここで詳しく説明しない。
【0048】
第4の実施例
図7、
図8、
図9、
図10、
図11及び
図12は、それぞれ本発明の実施形態に係るLED発光ユニットの第3の実施例のLEDチップレイアウトの正面図、配線接続斜視図、LEDチップ駆動模式図、内部構造模式図、
図10のAの部分拡大図及び信号配線層の接続模式図である。
図7及び
図8に示すように、前記第1のLEDチップ41とLEDチップ40の割合が1:9であり、すなわち、各駆動IC20は1組の第1のLEDチップ41及び8組の第2のLEDチップ42を駆動する。この時、駆動IC20とLEDチップ40の駆動は
図9に示される。しかし、このレイアウト方式には、駆動IC20と駆動IC20が隣接設置できず、信号線がゴールドワイヤーによって実現するとスパンが大きく、同時に交差短絡現象が発生するという問題が存在し、この時、
図10の内部構造を用いて信号伝送を実現し、
図10及び
図11に示される。
【0049】
前記複合層10は前から後へ順に設置された基板11、第1の電極層、第1の絶縁層13、第2の電極層及び第2の絶縁層15を含み、前記第1の電極層と第2の電極層のうちの1つが正電極121として設置され、もう1つが負電極122として設置され、前記ブラインドホールは、前記基板11を貫通して正電極121に到達する第1のブラインドホールと、前記基板11を貫通して負電極122に到達する第2のブラインドホールとを含み、前記LEDチップ40の正極引出リード線31が前記第1のブラインドホールを介して前記正電極121に接続され、前記駆動IC20のVDDピン引出リード線31が前記第1のブラインドホールを介して前記正電極121に接続され、前記駆動IC20のGNDピン引出リード線31が前記第2のブラインドホールを介して前記負電極122に接続される。
【0050】
前記複合層10は第3の絶縁層14及び前記第1の電極層又は第2の電極層と絶縁する信号配線層16を更に含み、前記ブラインドホールは前記基板11を貫通して前記信号配線層16に到達する第3のブラインドホールを更に含み、前記信号線が前記信号配線層16に設置された信号パターン層であり、前記駆動IC20の信号ピン引出リード線31が前記第3のブラインドホールを介して前記信号パターン層に接続される。
【0051】
図12に示すように、駆動IC20間に通信には少数の信号のみを必要とするため、透明導電膜に互いに分離する幅広い信号導通パターンを設置することができ、このようにして、透明導電膜の抵抗インピーダンスが大きいことによる電位低下を回避し、信号の歪みを回避するという利点を有する。本実施例では、駆動IC20の信号入力ピンがSDIで、信号出力ピンがSDOであり、各駆動IC20間に順に接続され、最後に入力に対応する位置に出力し、次の発光モジュールに伝送する。駆動IC20の機能に基づき、駆動IC20間の通信信号が多い場合、例えば本実施例のようにCLK及びOE入力を更に有する場合、単層信号配線層16では信号導通への要求を満たすことができず、これに応じて、少なくとも2層の前記信号配線層16及び少なくとも2層の前記第3の絶縁層14を設置することができる。各本の信号線が信号配線層16を形成し、第3の絶縁層14を介して他の導電層と絶縁する。実際の配置案では、正電極121、負電極122及び2つの信号配線層16は絶対的な優先順位がなく、各絶縁層を介してそれぞれの絶縁を実現し、ブラインドホールを介して対応する部材と接続すればよい。信号配線層16が必ずしも最後層に設置されず、つまり、正電極121、負電極122及び2つの信号配線層16はランダムに設置でき、それぞれが絶縁すればよい。
【0052】
勿論、上記実施例のLEDチップ40のレイアウト方式又は他の詳細に説明していないLEDチップ40のレイアウト方式は、いずれも内蔵した信号配線層16によって信号の伝送を実現することができる。
【0053】
さらに、
図13、
図14及び
図15に示すように、1つの駆動IC20はそれぞれ4組、5組及び6組のLEDチップ40に対応する。実際、1つの駆動IC20は7組又は8組のLEDチップ40に対応しても実現できるが、好ましい形態に対して実現方式がやや複雑であり、駆動IC20と遠端のLEDチップ40とのゴールドワイヤー接続は近端のLEDチップ40を跨ぐ必要があるが、問題なく実現できる。
【0054】
なお、
図14に示すように、1つの駆動IC20が3つのLEDチップからなる5組のLEDチップ40セットを駆動し、隣接する2つの駆動IC20により駆動されるLEDは、交互に設置され、この駆動方式の実際の意味として、通常の駆動IC20は16個の出力チャンネルによってLEDチップ40を駆動し、5組のLEDチップ40セットの場合はちょうど15個であり、2×3のLEDチップ40セットを駆動する場合、18個のチャンネルが必要となり、16個のチャンネルでは足りない。勿論、2×3のLEDチップ40セットを駆動する必要がある場合、18個のチャンネルを有する駆動IC20を製造することができる。
【0055】
上記実施例では、LEDチップ40はいずれもボンディングパッド30に設置され、たとえば、
図10において、第2のLEDチップ42のR−LEDチップ40が銀ペーストを用いたダイボンディングによって前記第1のブラインドホールに対応する第1のボンディングパッドに実装され、前記G−LEDチップ40及びB−LEDチップ40が絶縁グルーを用いたダイボンディングによって前記第1のブラインドホールに対応する第1のボンディングパッドに実装され、前記G−LEDチップ40及びB−LEDチップ40の正極がゴールドワイヤーボンディングで第1のボンディングパッドに接続され、第1のボンディングパッドがさらに電極層と電気的に導通する。
【0056】
ボンディングパッド30及びLEDチップ40がいずれも不透明なものであるため、LEDチップ40をボンディングパッド30に実装することによって光透過率をさらに向上させることができ、不透明なボンディングパッド30はさらにLEDチップ40から複合層10を透過してスクリーンの後側への発光を遮断することができ、本技術案を建物に適用する場合、スクリーン発光による室内への影響を効果的に除去することができる。同時に、ボンディングパッド30は、金属材料で製造される構造ユニットとして、LEDチップ40に対し良好な放熱効果を果たす。
【0057】
なお、LEDチップ40をボンディングパッド30に設置する方式は、あるLEDチップ40のレイアウト方式の特定実現方式ではなく、任意のレイアウト方式のブラインドホールに対しても、LEDチップ40を対応するボンディングパッド30に設置して本実施例の設計効果を実現することができる。
【0058】
本実施例は、少なくとも2つの上記LED発光ユニットを含むLED発光パネルをさらに提供し、前記LED発光ユニットの配列は
図16に示される。
【0059】
各LED発光ユニットをジグザグに接続することによって前後接続する単方向信号リンクを形成する。各LED発光ユニットを信号バスに接続して信号アクセスを実現することもできる。
【0060】
最後、
図16に示されるLED発光パネルが設置されたLEDディスプレイスクリーンをさらに提供する。
【0061】
以上、具体的な実施例を参照して本発明の技術的原理を説明した。これらの説明は本発明の原理を解釈するためのものに過ぎず、本発明の保護範囲を制限するものではない。この解釈に基づき、当業者が創造的な労働を払わずに本発明の他の実施形態を想到でき、これらの形態は本発明の保護範囲内に属する。
【符号の説明】
【0062】
10 複合層
11 基板
121 正電極
122 負電極
13 第1の絶縁層
14 第3の絶縁層
15 第2の絶縁層
16 信号配線層
20 駆動IC
30 ボンディングパッド
31 リード線
40 LEDチップ
41 第1のLEDチップ
42 第2のLEDチップ