(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(a1)を含む樹脂成分と、アマイド系ブロッキング防止剤(a2)と、無機系ブロッキング防止剤(a3)とを含む層(A)を最表層とし、
前記層(A)中の前記樹脂成分と前記無機系ブロッキング防止剤(a3)の合計質量に対する前記スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(a1)の割合が78質量%以上であり、
前記樹脂成分と前記無機系ブロッキング防止剤(a3)の合計質量に対する前記無機系ブロッキング防止剤(a3)の割合が2〜18質量%であり、
かつ前記樹脂成分と前記無機系ブロッキング防止剤(a3)の合計100質量部に対する前記アマイド系ブロッキング防止剤(a2)の割合が0.2〜4質量部であり、
前記スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(a1)のスチレン単位含有率は、30〜50質量%である、弾性フィルム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の弾性フィルムは、SISブロック共重合体(a1)を含む樹脂成分と、アマイド系ブロッキング防止剤(a2)と、無機系ブロッキング防止剤(a3)とを含む層(A)を最表層とする。
【0010】
[SISブロック共重合体(a1)]
SISブロック共重合体(a1)としては、弾性フィルムに通常使用されるSISブロック共重合体を使用できる。
SISブロック共重合体(a1)のガラス転移温度は、−65〜−45℃が好ましく、−55〜−50℃がより好ましい。SISブロック共重合体(a1)のガラス転移温度が下限値以上であれば、成形性が向上する。SISブロック共重合体(a1)のガラス転移温度が上限値以下であれば、十分に高い弾性を有する弾性フィルムが得られやすい。
【0011】
SISブロック共重合体(a1)のスチレン単位含有率は、30〜50%が好ましく、40〜48%がより好ましい。SISブロック共重合体(a1)のスチレン単位含有率が下限値以上であれば、十分に高い弾性を有する弾性フィルムが得られやすい。SISブロック共重合体(a1)のスチレン単位含有率が上限値以下であれば、フィルム使用時に必要な伸びを付与しやすい。
【0012】
SISブロック共重合体(a1)としては、市販品を使用することができる。
SISブロック共重合体(a1)の市販品としては、たとえば、クインタック3390(SISブロック共重合体、ガラス転移温度:−53℃、スチレン単位含有率:48質量%、日本ゼオン社製)、クインタック3620(SISブロック共重合体、ガラス転移温度:−50℃、スチレン単位含有率:14質量%、日本ゼオン社製)等が挙げられる。
SISブロック共重合体(a1)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0013】
[アマイド系ブロッキング防止剤(a2)]
アマイド系ブロッキング防止剤(a2)としては、ブロッキング防止剤として使用されるアマイド化合物が使用でき、たとえば、飽和脂肪酸モノアマイド、不飽和脂肪酸モノアマイド、置換飽和脂肪酸アマイド、置換不飽和脂肪酸アマイド、芳香族脂肪酸アマイド、メチロールアマイド、飽和脂肪酸ビスアマイド等が挙げられる。
【0014】
飽和脂肪酸モノアマイドとしては、たとえば、ラウリン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、パルミチン酸アマイド、ヒドロキシステアリン酸アマイド等が挙げられる。
不飽和脂肪酸モノアマイドとしては、例えば、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド等が挙げられる。
置換飽和脂肪酸アマイドとしては、たとえば、N−ステアリルステアリン酸アマイド、N−ステアリルパルミチン酸アマイド等が挙げられる。
置換不飽和脂肪酸アマイドとしては、たとえば、N−オレイルステアリン酸アマイド、N−ステアリルオレイン酸アマイド、N−ステアリルエルカ酸アマイド等が挙げられる。
芳香族脂肪酸アマイドとしては、たとえば、m−キシレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、m−キシレンビスステアリン酸アマイド等が挙げられる。
メチロールアマイドとしては、たとえば、メチロールステアリン酸アマイド等が挙げられる。
飽和脂肪酸ビスアマイドとしては、たとえば、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド等が挙げられる。
【0015】
アマイド系ブロッキング防止剤(a2)としては、外部滑性の点から、飽和脂肪酸モノアマイド、置換不飽和脂肪酸アマイドが好ましく、飽和脂肪酸モノアマイドではステアリン酸アマイド、置換不飽和脂肪酸アマイドではN−ステアリルオレイン酸アマイドがより好ましい。
アマイド系ブロッキング防止剤(a2)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
[無機系ブロッキング防止剤(a3)]
無機系ブロッキング防止剤(a3)としては、ブロッキング防止剤として使用されている無機化合物を使用でき、たとえば、炭酸カルシウム、ゼオライト、シリカ、ガラス等が挙げられる。
【0017】
無機系ブロッキング防止剤(a3)は、粒子状であることが好ましい。
無機系ブロッキング防止剤(a3)の粒径は、2〜10μmが好ましい。無機系ブロッキング防止剤(a3)の粒径が下限値以上であれば、肌触りがよくなる。無機系ブロッキング防止剤(a3)の粒径が上限値以下であれば、滑り性が向上する。
なお、無機系ブロッキング防止剤(a3)の粒径とは、走査型顕微鏡(日本電子製JSM6460LA)を用いて測定した10点の平均粒径を意味する。
無機系ブロッキング防止剤(a3)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
本発明の弾性フィルムでは、無機系ブロッキング防止剤(a3)をマスター・バッチ化したものを用いてもよい。マスター・バッチのベース樹脂としては、汎用性の点から、ポリエチレン、ポリスチレンが好ましい。
該マスター・バッチの市販品としては、たとえば、TEP 1HC783(炭酸カルシウム(粒径:5μm、含有率:50質量%)、ベース樹脂:ポリエチレン、東洋インキ社製)、PE 180NLD2(炭酸カルシウム(粒径:5μm、含有率:50質量%)、ベース樹脂:ポリエチレン、SUNPLAC社製)、キノプラスEMB−7A2806AC(ゼオライト(粒径:10μm、含有率:20質量%)、ベース樹脂:ポリエチレン、住化カラー社製)、スムースマスターS(シリカ(粒径10μm、含有率:20質量%)、ベース樹脂:ポリエチレン、大日精化工業社製)、スムースマスターG(ガラス(粒径5μm、含有率:10質量%)、ベース樹脂:ポリスチレン、大日精化工業社製)等が挙げられる。
無機系ブロッキング防止剤(a3)のマスター・バッチは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
[他の樹脂]
本発明の弾性フィルムの層(A)は、弾性フィルムの物性(特に伸縮性)を損なわない範囲であれば、無機系ブロッキング防止剤(a3)をマスター・バッチ化する等の目的で、SISブロック共重合体(a1)以外の他の樹脂を含んでもよい。
他の樹脂としては、SISブロック共重合体以外のエラストマー(オレフィン系エラストマー等)、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリスチレン、エチレン−αオレフィン共重合体等)等が挙げられる。
他の樹脂としては、SISブロック共重合体(a1)との相溶性の点から、ポリエチレン、ポリスチレンが好ましい。
【0020】
[他の成分]
本発明の弾性フィルムの層(A)は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、必要に応じて、SISブロック共重合体(a1)、アマイド系ブロッキング防止剤(a2)、無機系ブロッキング防止剤(a3)および他の樹脂以外の他の成分を含んでいてもよい。
他の成分としては、たとえば、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、金属石鹸、ワックス、防かび剤、抗菌剤、造核剤、難燃剤等の添加剤が挙げられる。
【0021】
[各成分の割合]
本発明の弾性フィルムの層(A)におけるSISブロック共重合体(a1)の割合は、層(A)の樹脂成分と無機系ブロッキング防止剤(a3)の合計質量に対し、78質量%以上である。前記SISブロック共重合体(a1)の割合が78質量%以上であれば、充分な弾性を有する弾性フィルムが得られる。
前記SISブロック共重合体(a1)の割合は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
【0022】
層(A)におけるSISブロック共重合体(a1)の割合は、層(A)の樹脂成分の総量に対し、79.5〜100質量%が好ましく、80〜99.5質量%がより好ましい。前記SISブロック共重合体(a1)の割合が前記下限値以上であれば、充分に高い弾性を有する弾性フィルムが得られやすい。前記SISブロック共重合体(a1)の割合が小さいほど、SISブロック共重合体(a1)に対するアマイド系ブロッキング防止剤(a2)および無機系ブロッキング防止剤(a3)の比率が高くなるため、長尺な弾性フィルムを巻き取ったとしても巻き芯の近傍でブロッキングが起きにくく、かつフィルムに十分な滑り性を付与しやすい。
【0023】
層(A)におけるアマイド系ブロッキング防止剤(a2)の割合は、樹脂成分と無機系ブロッキング防止剤(a3)の合計100質量部に対し、0.2〜4質量部である。前記アマイド系ブロッキング防止剤(a2)の割合が0.2質量部以上であれば、弾性フィルムの粘着性が低下し、弾性フィルムが金属ロールに貼り付いたり、数m巻いただけでフィルム同士が固着したりすることを抑制できる。前記アマイド系ブロッキング防止剤(a2)の割合が4質量部以下であれば、弾性フィルムの表面にアマイド系ブロッキング防止剤(a2)が析出して品質が低下することを抑制できる。
前記アマイド系ブロッキング防止剤(a2)の割合は、0.25〜2質量部が好ましく、0.5〜1質量部がより好ましい。
【0024】
層(A)におけるアマイド系ブロッキング防止剤(a2)の割合は、樹脂成分100質量部に対し、0.5〜4.8質量部が好ましく、0.5〜2質量部がより好ましい。前記アマイド系ブロッキング防止剤(a2)の割合が前記下限値以上であれば、弾性フィルムの粘着性が低下し、弾性フィルムが金属ロールに貼り付いたり、数m巻いただけでフィルム同士が固着したりすることを抑制しやすい。前記アマイド系ブロッキング防止剤(a2)の割合が前記上限値以下であれば、弾性フィルムの表面にアマイド系ブロッキング防止剤(a2)が析出して品質が低下することを抑制しやすい。
【0025】
層(A)における無機系ブロッキング防止剤(a3)の割合は、樹脂成分と無機系ブロッキング防止剤(a3)の合計質量に対し、2〜18質量%である。前記無機系ブロッキング防止剤(a3)の割合が2質量%以上であれば、弾性フィルムを長尺巻きした場合でも巻き芯近傍にブロッキングが発生することを抑制できる。前記無機系ブロッキング防止剤(a3)の割合が18質量%以下であれば、フィルム成形時またはフィルム延伸時にフィルムに穴が開くことを抑制できる。
前記無機系ブロッキング防止剤(a3)の割合は、2〜10質量%が好ましく、2〜5質量%がより好ましい。
【0026】
層(A)における樹脂成分100質量部に対する無機系ブロッキング防止剤(a3)の割合は、2〜8質量部が好ましく、2〜5質量部がより好ましい。前記無機系ブロッキング防止剤(a3)の割合が前記下限値以上であれば、フィルム表面に十分な滑り性が付与されやすく、工程でのシワの発生を抑制しやすい。前記無機系ブロッキング防止剤(a3)の割合が前記上限値以下であれば、フィルムの弾性を確保しやすい。
【0027】
他の樹脂の配合量は、層(A)の樹脂成分の総量に対し、0〜20質量%が好ましい。他の樹脂の配合量が20質量%以下であれば、充分に高い弾性を有する弾性フィルムが得られる。
【0028】
層(A)の総質量(100質量%)に対する、SISブロック共重合体(a1)を含む樹脂成分、アマイド系ブロッキング防止剤(a2)および無機系ブロッキング防止剤(a3)の合計質量の割合は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。前記合計質量の割合が下限値以上であれば、充分な弾性を有し、ブロッキングが起きにくい弾性フィルムが得られやすい。
前記合計質量の割合の上限値は100質量%である。
【0029】
層(A)の総質量(100質量%)に対するSISブロック共重合体(a1)、アマイド系ブロッキング防止剤(a2)および無機系ブロッキング防止剤(a3)の合計質量の割合は、65質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。前記合計質量の割合が下限値以上であれば、ブロッキングが起きにくく、充分な弾性を有し、工程でのシワの発生が抑制された弾性フィルムが得られやすい。
【0030】
本発明の弾性フィルムは、層(A)からなる単層フィルムとしてもよく、層(A)を最表層として有する、2種3層、3種5層等の積層フィルムとしてもよい。本発明の弾性フィルムを積層フィルムとする場合、両側の最表層を層(A)とする。具体的には、たとえば、層(A)/層(A)以外の層/層(A)がこの順に積層された2種3層の積層フィルム等が挙げられる。
層(A)以外の層としては、弾性を有し、SISブロック共重合体と相溶性(接着性)を有する樹脂層等が挙げられる。例えば、弾性フィルムを所定の幅にするために裁断されて取り除かれた端切れ部分や、品質検査において規格から外れた規格外品等を再利用した樹脂層等を添加して用いることができる。
【0031】
本発明の弾性フィルムのフィルム全体の厚みは、45〜150μmが好ましく、50〜100μmがより好ましい。フィルム全体の厚みが前記範囲内であれば、充分な保持力を有する弾性フィルムが得られやすい。
【0032】
本発明の弾性フィルムを積層フィルムとする場合、最表層を構成する層(A)の合計の厚みは、40μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。
【0033】
本発明の弾性フィルムの残留ひずみは、14%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。弾性フィルムの残留ひずみが前記上限値以下であれば、充分な弾性を有する弾性フィルムである。
【0034】
本発明の弾性フィルムの100%延伸時の荷重は、2.1〜5.0N/25mmが好ましく、2.0〜3.0N/25mmがより好ましい。前記100%延伸時の荷重が前記下限値以上であれば、フィルムとしての形状を維持しやすい。前記100%延伸時の荷重が前記上限値以下であれば、弾性が充分に高くなり、弾性フィルムの延伸が容易になる。
【0035】
本発明の弾性フィルムの50%伸張時試験力は、0.5〜3.5Nが好ましく、0.6〜2.5Nがより好ましい。前記50%伸張時試験力が下限値以上であれば、充分な保持力が得られやすい。前記50%伸張時試験力が上限値以下であれば、弾性フィルムを容易に延伸でき、かつ使用部分を不必要に締め付けることがない。
【0036】
本発明の弾性フィルムの剥離強度は、3.0N/50mm以下が好ましく、2.0N/50mm以下がより好ましく、1.0N/50mm以下がさらに好ましい。剥離強度が前記上限値以下であれば、長尺の弾性フィルムを巻き取った際でも良好な開反性が得られやすい。
【0037】
弾性フィルムの表面にはエンボス加工が施されてもよい。弾性フィルムの表面にエンボス加工が施されると、積層した際の接触面積が小さくなるため、耐ブロッキング性がより良好になる。
【0038】
本発明の弾性フィルムの用途としては、失禁用品、生理用ナプキン、包帯、外科用ドレープ、締め付けバンド、帽子、スポーツ用サポーター、医療品サポーター、使い捨て紙おむつ等に用いられる帯状の結束部材が好ましい。
【0039】
[製造方法]
本発明の弾性フィルムの製造方法としては、たとえば、下記混合工程および下記成形工程を有する方法が挙げられる。
混合工程:SISブロック共重合体(a1)を含む樹脂成分、アマイド系ブロッキング防止剤および無機系ブロッキング防止剤(a3)と、必要に応じて用いる他の成分とを混合して混合物を得る工程。
成形工程:前記混合物をフィルム状に成形して弾性フィルムを得る工程。
【0040】
(混合工程)
SISブロック共重合体(a1)を含む樹脂成分、アマイド系ブロッキング防止剤(a2)および無機系ブロッキング防止剤(a3)と、必要に応じて用いる他の成分とを混合する方法は、特に限定されない。たとえば、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー等の各種ミキサーを用いる方法が挙げられる。
【0041】
また、SISブロック共重合体(a1)を含む樹脂成分、アマイド系ブロッキング防止剤(a2)および無機系ブロッキング防止剤(a3)と、必要に応じて用いる他の成分とを混合する順序は特に限定されない。
たとえば、全成分を一度に混合して混合物(コンパウンド)としてもよい。また、前記した無機系ブロッキング防止剤(a3)とベース樹脂からなるマスター・バッチを得た後に、該マスター・バッチとSISブロック共重合体(a1)、アマイド系ブロッキング防止剤(a2)、他の成分を混合して混合物としてもよい。また、SISブロック共重合体(a1)の一部と、アマイド系ブロッキング防止剤(a2)、無機系ブロッキング防止剤(a3)、必要に応じて他の樹脂および他の成分を混合してマスター・バッチを得た後に、該マスター・バッチにSISブロック共重合体(a1)の残りを混合して混合物としてもよい。
【0042】
(成形工程)
成形方法は特に限定されず、たとえば、Tダイを備えた押出機を用いる方法が挙げられる。押出機は、一軸押出機、二軸押出機のいずれであってもよい。成形温度(押出機バレル温度)は、SISブロック共重合体(a1)の種類に応じて適宜設定すればよい。
本発明の弾性フィルムを積層フィルムとする場合、成形方法としては、特に限定されず、公知の方法を採用できる。たとえば、インフレーション法、キャスト法等が挙げられ、生産性の点から、キャスト法が好ましい。
なお、本発明の弾性フィルムの製造方法は、前記した方法には限定されない。
【0043】
以上説明した本発明の弾性フィルムは、SISブロック共重合体(a1)、アマイド系ブロッキング防止剤(a2)および無機系ブロッキング防止剤(a3)を特定の比率で含む層(A)を最表層として有する。そのため、充分な弾性を有しているうえ、アマイド系ブロッキング防止剤(a2)によってSISブロック共重合体(a1)の粘着性が抑えられることで、ブロッキングが起きることが抑制される。また無機系ブロッキング防止剤(a3)によって層(A)の表面平滑性が低下(粗度が向上)し、金属ロールとの接着性が低減されるため、工程でのシワの発生を抑制できる。これら効果が得られる要因は、以下のように考えられる。
アマイド系ブロッキング防止剤(a2)は、アミド基に基づく親水性と、脂肪酸に基づく疎水性とを有するため、表面近傍での濃度が高くなる。さらに、SISブロック共重合体(a1)は疎水性が高いため、アマイド系ブロッキング防止剤(a2)のアミド基はSISブロック共重合体(a1)に混ざりにくく、表面側に配置されやすい。これにより、弾性フィルムの表面におけるSISブロック共重合体(a1)の露出が抑えられるため、粘着性が低くなってブロッキングが起きにくくなる。また、アマイド系ブロッキング防止剤(a2)にさらに無機系ブロッキング防止剤(a3)を組み合わせることで、無機系ブロッキング防止剤(a3)が弾性フィルムの表面に析出してフィルム表面の粗度が上がる。これにより、フィルム同士、またはフィルムと金属ロールとの接触面積が低減され、優れた耐ブロッキング性を有する弾性フィルムを得ることができる。
【0044】
また、本発明の弾性フィルムは、キャリアシートを使用する必要がないため低コストに製造でき、またフィルム上に被覆層を形成しないため充分な弾性が得られるため、成形性および加工性が低下することも抑制できる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[化合物]
本実施例で使用した化合物の略号を以下に示す。
(SISブロック共重合体(a1))
a1−1:クインタック3390(SISブロック共重合体、ガラス転移温度:−53℃、スチレン単位含有率:48質量%、日本ゼオン社製)。
【0046】
(アマイド系ブロッキング防止剤(a2))
a2−1:アマイドAP−1(ステアリン酸アマイド、日本化成社製)。
【0047】
(無機系ブロッキング防止剤(a3)のマスター・バッチ)
a3−1:TEP 1HC783(炭酸カルシウム(粒径:5μm、含有率:50質量%)、ベース樹脂:ポリエチレン、東洋インキ社製)。
a3−2:PE 180NLD2(炭酸カルシウム(粒径:5μm、含有率:50質量%)、ベース樹脂:ポリエチレン、SUNPLAC社製)。
a3−3:キノプラスEMB−7A2806AC(ゼオライト(粒径:10μm、含有率:20質量%)、ベース樹脂:ポリエチレン、住化カラー社製)。
a3−4:スムースマスターS(シリカ(粒径10μm、含有率:20質量%)、ベース樹脂:ポリエチレン、大日精化工業社製)。
a3−5:スムースマスターG(ガラス(粒径5μm、含有率:10質量%)、ベース樹脂:ポリスチレン、大日精化工業社製)。
【0048】
(無機系ブロッキング防止剤(a3))
a3−6:TEP 1HC783(炭酸カルシウム、粒径:5μm、東洋インキ社製)。
a3−7:PE 180NLD2(炭酸カルシウム、粒径:5μm、SUNPLAC社製)。
a3−8:キノプラスEMB−7A2806AC(ゼオライト、粒径:10μm、住化カラー社製)。
a3−9:スムースマスターS(シリカ、粒径10μm、大日精化工業社製)。
a3−10:スムースマスターG(ガラス、粒径5μm、大日精化工業社製)。
a3−11:キノプラスEMB−7A2806AL(住化カラー社製)。
【0049】
(他の樹脂)
b−1:ポリエチレン。
b−2:ポリスチレン。
PE:エチレン−αオレフィン共重合体。
【0050】
[実施例1]
成分(a1−1)95質量部、成分(a2−1)1質量部、および成分(a3−1)5質量部をタンブラーミキサーにより混合して混合物を得た。次いで、Tダイを備えた押出機(住友重機械モダン社製)を用いて、前記混合物を200℃で押出成形して幅30cm、厚さ50μmの弾性フィルムを得た。
【0051】
[実施例2〜10]
各成分の組成を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして弾性フィルムを得た。
【0052】
[比較例1〜45]
各成分の組成を表1〜4に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして弾性フィルムを得た。
【0053】
[評価方法]
各例で得られた弾性フィルムの評価方法を以下に示す。
(弾性)
得られた弾性フィルムから、長手方向(MD)25mm幅、幅方向(TD)100mm幅のサンプルを短冊状に切り取り、得られたサンプルをTRAPEZIUM3000のつかみ具で標線間距離が25mmになるように固定した。次に、TDに速度254m/分でひずみ200%まで延伸後、30秒間保持した。30秒後同速度にて0%まで戻した。サンプルを延伸状態から元の状態に戻す際におけるサンプルの荷重(N/25mm)が0Nになるときの残留ひずみを測定した。弾性の評価は、以下の基準に従って行った。
○:残留ひずみが14%以下である。
×:残留ひずみが14%超である。
【0054】
(金属ロールへのアマイド付着)
各例の製造工程において弾性フィルムの搬送に用いた金属ロールの表面を目視により確認し、金属ロールへのステアリン酸アマイドの付着状態を以下の基準で評価した。
○:金属ロール表面にステアリン酸アマイドが付着していない。
×:金属ロール表面にステアリン酸アマイドが付着している。
【0055】
(耐ブロッキング性)
各例の弾性フィルムの長さ100m分を、直径3cmの巻き芯を用いて巻き取った後、手により繰り出し、そのときの巻き芯近傍の繰り出し性(開反性)から耐ブロッキング性を評価した。評価は以下の基準に従って行った。
○:フィルムを簡単に繰り出せる。
×:フィルムを繰り出すのに力を要する。
【0056】
(耐穴開き性)
各例で得られた弾性フィルムを目視にて確認し、以下の基準で耐穴開き性を評価した。
○:フィルムに穴が開いていない。
×:フィルムに穴が開いている。
【0057】
各例の弾性フィルムの組成および評価結果を表1〜4に示す。
なお、表1〜4における組成(原料の使用量)は質量部で示す。また、「(a1)/[樹脂成分+(a3)]」は、SISブロック共重合体(a1)を含む樹脂成分と無機系ブロッキング防止剤(a3)の合計質量に対するSISブロック共重合体(a1)の割合(質量%)を意味する。また、「(a3)/[樹脂成分+(a3)]」は、SISブロック共重合体(a1)を含む樹脂成分と無機系ブロッキング防止剤(a3)の合計質量に対する無機系ブロッキング防止剤(a3)の割合(質量%)を意味する。また、「(a2)/[樹脂成分+(a3)]」は、SISブロック共重合体(a1)を含む樹脂成分と無機系ブロッキング防止剤(a3)の合計100質量部に対するアマイド系ブロッキング防止剤(a2)の割合(質量部)を意味する。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
表1〜4に示すように、SISブロック共重合体(a1)、アマイド系ブロッキング防止剤(a2)および無機系ブロッキング防止剤(a3)を特定の比率で含む実施例1〜10の弾性フィルムは、充分な弾性と優れた耐ブロッキング性を有していた。また、実施例1〜10では、金属ロールへのアマイド系ブロッキング防止剤(a2)の付着が見られず、またフィルムに穴も開かなかった。
無機系ブロッキング防止剤(a3)を用いなかった比較例1〜16の弾性フィルムは、充分な耐ブロッキング性が得られなかった。
無機系ブロッキング防止剤(a3)およびアマイド系ブロッキング防止剤(a2)の少なくとも一方の割合が少ない比較例17、18、22、23、27〜29、33〜36、40〜42の弾性フィルムは、充分な耐ブロッキング性が得られなかった。
アマイド系ブロッキング防止剤(a2)の割合が過剰な比較例5、19、24、30、37、43では、金属ロールへのアマイド系ブロッキング防止剤(a2)の付着が見られた。
SISブロック共重合体(a1)の量が少ない比較例11、16、20、25、31、38、44の弾性フィルムは、充分な弾性が得られなかった。
無機系ブロッキング防止剤(a3)の量が過剰な比較例21、26、32、39、45では、得られた弾性フィルムに穴が開いていた。
【0063】
[参考例1]
成分(a1−1)95質量%およびPE5質量%を含む樹脂成分100質量部と、成分(a2−1)1質量部と、成分(a3−11)1質量部とを、タンブラーミキサーを用いて混合してコンパウンドを得た。
次いで、Tダイを備えた押出機(住友重機械モダン社製)を用いて、得られたコンパウンドを200℃で押出成形して、幅30cm、厚み75μmの弾性フィルムを得た。
【0064】
[参考例2〜16]
各成分の組成およびフィルムの厚みを表5および表6に示すとおりに変更した以外は、参考例1と同様にして弾性フィルムを得た。
【0065】
[評価方法]
各例で得られた弾性フィルムの評価方法を以下に示す。
(アマイド析出)
各例の組成を持つコンパウンドを200℃の押出機でストランド状に成形し、ダイから出た直後にそのストランドを水を満たした水槽にて急冷した。10分の連続運転の後に、ストランドを浸す水槽の水面を観察し、以下の基準でアマイドの析出を評価した。
○:水面にアマイドが析出しない。
×:水面にアマイドが析出する。
【0066】
(シワの発生)
各例で得られた弾性フィルムを幅30cm、長さ100mにて3インチ紙管に巻き取り、巻き取ったフィルムロールの外観を観察して以下の基準で評価した。
○:フィルムロールにシワがない。
×:フィルムロール表面にシワが発生。
【0067】
参考例における各成分の組成、厚み、および評価結果を表5および表6に示す。
【0068】
【表5】
【0069】
【表6】
【0070】
表5および表6に示すように、無機系ブロッキング防止剤(a3)を用いた参考例1〜7、11〜15の弾性フィルムでは、シワの発生が抑制されていた。無機系ブロッキング防止剤(a3)を含まない参考例8〜10、16は、参考例1〜7、11〜15の弾性フィルムに比べて滑り性が劣っていたため、フィルムを巻いたときにシワが発生した。
アマイド系ブロッキング防止剤(a2)の割合が多すぎる参考例12の弾性フィルムは、フィルムの表面にアマイド系ブロッキング防止剤(a2)が析出した。