(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561409
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】電動ファンのためのインペラ
(51)【国際特許分類】
F04D 29/32 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
F04D29/32 C
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-3061(P2015-3061)
(22)【出願日】2015年1月9日
(65)【公開番号】特開2015-132263(P2015-132263A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2017年11月8日
(31)【優先権主張番号】TO2014U000004
(32)【優先日】2014年1月10日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518263944
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック インターナショナル アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアーノ ガッビン
(72)【発明者】
【氏名】エルマンノ プロコピオ
【審査官】
所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−131836(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0286093(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0163991(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0122322(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータのロータに連結されるように構成され、少なくともほぼ円筒形の環状側壁に連結される端壁を有する実質的にボウル状の形状を有する中心ハブと、
前記ハブから延びている複数のブレードと、
前記ハブの端壁に形成され、円周方向に互いに離間しており、半径方向に対して同じ方向に傾いている複数のスロットと、
前記スロット間の前記ハブの前記端壁の内面から突出しており、半径方向に対して前記同じ方向に傾いており、内側ファンブレードとして働くようになされた複数のリブと、
を備える、電動ファンのためのインペラであって、
前記リブのすべては前記ハブの前記円周方向に連続的に隣接しており、前記ハブの各々は所定の位置に、少なくとも1つの実質的に横方向の切抜き部又は遮断部を有することを特徴とするインペラ。
【請求項2】
前記ハブの前記リブの各々は、その両端のそれぞれに、実質的に横方向の切抜き部又は遮断部を有することを特徴とする、請求項1に記載のインペラ。
【請求項3】
前記ハブの前記リブの各々は、その中間部の1つに、実質的に横方向の切抜き部又は遮断部を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のインペラ。
【請求項4】
前記ハブの前記リブの前記1つ以上の切抜き部又は遮断部は、前記ハブと実質的に同軸である1つ以上の円周上に形成されることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載のインペラ。
【請求項5】
前記切り切抜き部又は遮断部を有する2つのリブの間に空隙部が形成されている、請求項1に記載のインペラ。
【請求項6】
前記リブの各々は、前記切抜き部又は遮断部の2つの対向する側部にそれぞれ位置する2つの部分を有し、前記2つの部分は前記ハブの軸方向において実質的に同じ高さを有する、請求項1に記載のインペラ。
【請求項7】
前記リブの各々は、対応するリブを少なくとも2つの不連続なセグメントに離間させる少なくもと1つの実質的に横方向の遮断部を有する、請求項1に記載のインペラ。
【請求項8】
電気モータのロータに連結されるように構成され、少なくともほぼ円筒形の環状側壁に連結される端壁を有する中心ハブと、
前記ハブから延びている複数のブレードと、
前記ハブの前記端壁の内面から突出した複数のリブと、
を備える、電動ファンのためのインペラであって、
前記リブのすべては、前記ハブの前記円周方向に連続的に隣接しており、前記ハブの各々は所定の位置に、少なくとも1つの実質的に横方向の切抜き部又は遮断部を有することを特徴とするインペラ。
【請求項9】
前記切り切抜き部又は遮断部を有する2つのリブの間に空隙部が形成されている、請求項8に記載のインペラ。
【請求項10】
前記リブの各々は、前記切抜き部又は遮断部の2つの対向する側部にそれぞれ位置する2つの部分を有し、前記2つの部分は前記ハブの軸方向において実質的に同じ高さを有する、請求項8に記載のインペラ。
【請求項11】
前記リブの各々は、対応するリブを少なくとも2つの不連続なセグメントに離間させる少なくもと1つの実質的に横方向の遮断部を有する、請求項8に記載のインペラ。
【請求項12】
前記横方向の遮断部は、実質的に前記リブの中間部に配置されている、請求項11に記載のインペラ。
【請求項13】
前記リブの前記遮断部は、前記ハブと実質的に同軸である1つ以上の円周の上に形成されている、請求項11に記載のインペラ。
【請求項14】
前記リブは、前記ハブの半径方向に対して傾いた方向に延び、かつ、内側ファンブレーとして働くようになっており、前記ハブの端壁に複数のスロットが形成され、前記スロットは、円周方向に互いに離間し前記ハブの半径方向に対して傾いた方向に延びている、請求項8に記載のインペラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の熱交換器を冷却するためのファンに関し、詳細には、このファンのインペラに関する。
【背景技術】
【0002】
より詳細には、本発明は、電気モータのロータに連結されるように意図され、複数のブレードが延びており、少なくともほぼ円筒形の環状側壁に連結される端壁を有する実質的にボウル状の形状を有する中心ハブを備え、前記端壁は、円周方向に互いに離間して半径方向に対して同じ方向に傾いている複数のスロットを有し、前記端壁の内面は、前記スロット間の該内面から突出している複数のリブを有し、該リブも半径方向に対して前記同じ方向に傾いており、内側ファンブレードとして働くようになされている型のインペラを提供するものである。
【0003】
作動時に、インペラを駆動している電気モータが発生する振動は、インペラに伝わり、特に低速の場合、耳障りな周波数の音響雑音を発生させるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、上述の欠点を克服することができるとともに、簡単かつ経済的に提供することができるように改良した上記の型のインペラが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これは、本発明において、ハブの端壁の前記リブが、所定の位置に、少なくとも1つの実質的に横方向の切欠き部又は遮断部を有するインペラを提供することによって、達成される。
【0006】
従って、本発明は、その一態様において、電気モータのロータに連結されるように構成され、少なくともほぼ円筒形の環状側壁に連結される端壁を有する実質的にボウル状の形状を有する中心ハブと、前記ハブから延びている複数のブレードと、前記ハブの端壁に形成され、円周方向に互いに離間しており、半径方向に対して同じ方向に傾いている複数のスロットと、前記スロット間の前記ハブの前記端壁の内面から突出しており、半径方向に対して前記同じ方向に傾いており、内側ファンブレードとして働くようになされた複数のリブとを備える、電動ファンのためのインペラを提供し、ここで、前記リブの各々は、所定の位置に、少なくとも1つの実質的に横方向の切抜き部又は遮断部を有する。
【0007】
前記リブの各々は、その両端のそれぞれに、実質的に横方向の切抜き部又は遮断部を有することが好ましい。
【0008】
好都合には、前記ハブの前記リブの各々は、その中間部の1つに、さらに、少なくとも1つの切抜き部又は遮断部を有することができる。
【0009】
前記リブの前記1つ以上の切抜き部又は遮断部は、前記ハブと実質的に同軸である1つ以上の円周上に形成されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の好ましい実施形態によるインペラの正面斜視図である。
【
図2】
図1のインペラの拡大部分背面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、添付図面の図を参照して、単なる例示として本発明の好ましい実施形態を説明する。図において、複数の図に現れる同一の構造体、要素又は部品は、一般に、それらが現れる全ての図において同じ参照番号で表記される。図内に示される構成部品及び構造部の寸法は、一般に、便宜のため及び提示の明確さのために選択されたものであり、必ずしも縮尺通りではない。図を以下に列挙する。
【0012】
各図において、符号1は、特に自動車の熱交換器(ラジエータ)用の電動ファンのための本発明のインペラ全体を示す。
【0013】
インペラ1は、公知のように、電気モータ(図示せず)のロータに連結されるための中心ハブ2を備える。複数の湾曲ブレード3がハブ2から延びており、ブレードの半径方向外端は外周リング4に連結されている。ハブ2は、少なくともほぼ円筒形の環状側壁2bに連結される端壁2aを有する実質的にボウル状の形状を有する。ハブ2の端壁2aは、円周方向に互いに離間している複数のスロット5を有する。スロット5は、半径方向に対して同じ方向に傾いている。スロット5は、ハブの端壁2aの半径方向最外環状バンド又は円形上端面2cに形成される。
【0014】
ハブ2の端壁の半径方向最内部2dにはスロットが無く、例示の実施形態において、最内部2dは、電気駆動モータのロータにハブを固締するための部材を通すための中心開口部2eを有する。半径方向最外環状バンド2cのハブ2の端壁2aの内面は、複数のリブ6を有する。リブ6は、スロット5間のハブ2の端壁2aの内面から突出しており、リブ6も半径方向に対して前記同じ方向に傾いている。
【0015】
公知のように、リブ6は、作動時に内側ファンブレードとして働き、また、ハブ2の環状側壁2bの内面上に延びていることが好ましい。本発明によれば、ハブの端壁2aから延びているリブ6の各部は、所定の位置に、少なくとも1つの実質的に横方向の切抜き部又は遮断部を有する。
【0016】
図2に示す実施形態では、ハブ2の内面の環状バンド2cにおいて、各リブ6は、その両端に1対の切抜き部又は遮断部6a及び6bを有する。リブ6の各々は、その中間部の1つに、さらに、切抜き部又は遮断部6cを有する。必ずではないが、好都合には、リブ6の1つ以上の切抜き部又は遮断部6a、6b又は6cは、インペラ1のハブ2と同軸である1つ以上の円周上に形成される。
【0017】
上記の切抜き部を適宜配置することによって、インペラに連結された電気モータの振動によるインペラの振動を著しく低減することができるので、少なくとも一定の周波数で発生した音響雑音を低減することができる。
【0018】
本出願の説明及び請求項において、動詞「備える」、「含む」、及び「有する」、並びにその変形形態は、説明する要素又は特徴の存在を規定するために包括的な意味で使用され、追加の要素又は特徴の存在を排除するものではない。
【0019】
明確にするために別個の実施形態に関連して説明されている本発明の特定の特徴は、1つの実施形態において組み合わせて提供してもよいことは分かることである。逆に、簡潔にするために1つの実施形態に関連して説明されている本発明の種々の特徴は、個別に又はそれらを適当に組み合わせて提供してもよい。
【0020】
上記の実施形態は単なる例示であり、請求項に定義する本発明の範囲から逸脱することなく、他の様々な修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0021】
1 インペラ
2 ハブ
2a 端壁
2b 環状側壁
2c 環状バンド又は上端面
2d 最内部
2e 中心開口部
3 ブレード
4 外周リング
5 スロット
6 リブ
6a、6b、6c 切抜き部又は遮断部