(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
石英結晶相およびクリストバライト結晶相を含むシリカと、該シリカに担持された酸化チタンとを含む酸化チタン担持シリカに、白金原子および有機配位子を含む金属錯体を担持させ、次いで焼成することを含む光触媒の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、酸化チタンのための担体として、石英結晶相およびクリストバライト結晶相を含むシリカ(以下「石英−クリストバライト」と略称することがある)を使用することを特徴の一つとする。
【0039】
特許文献2の請求項9等には、酸化チタンの担体として、(1)非天然鉱物の非晶質シリカガラス粉末、石英粉末、溶融シリカガラス粉末、ガラス、(2)天然鉱物のクリストバル石(即ち、天然のクリストバライト)、鱗ケイ石、石英、玉髄、瑪瑙、タンパク石、シリカゲル、(3)産業廃棄物の廃シリカガラス粉末、廃石英粉末、廃溶融シリカガラス粉末、廃ガラス、廃シリカゲルのような様々なシリカが記載されている。しかし、特許文献2には、石英−クリストバライトを使用することは記載されていない。また、特許文献2の実施例1では「本実施例では、非晶質シリカガラス粉末含有未処理産業廃棄物を用いた例を示す。尚、他のシリカ粉末を用いた場合にも、同様の結果が得られる」と記載されているが、石英−クリストバライトを用いた結果は記載されていない。
【0040】
本発明で使用する石英−クリストバライトは、例えば、硅石を1700℃程度で溶かしてガラス玉(カレット)状にし、これを窯(例えば、シャトル窯)にて1500〜1600℃程度の温度で数時間焼成することによって製造することができる。また、石英−クリストバライトは、瀬戸窯業原料(株)から「クリストバライト」の商品名で入手することができる。
【0041】
石英−クリストバライト中の石英結晶相の含有量は、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは11〜35重量%であり、クリストバライト結晶相の含有量は、好ましくは50〜95重量%、より好ましくは60〜90重量%、さらに好ましくは65〜89重量%である。これらの含有量は、実施例に記載の方法で測定することができる。
【0042】
石英−クリストバライトの平均粒径(d
50)は、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは0.1〜25μm、さらに好ましくは0.1〜15μmである。この平均粒径は、実施例に記載の方法で測定することができる。
【0043】
酸化チタンが担持された石英−クリストバライト(以下、「酸化チタン担持石英−クリストバライト」と略称することがある)のBET比表面積は、好ましくは1〜100m
2/g、より好ましくは3〜75m
2/g、さらに好ましくは5〜50m
2/gである。このBET比表面積は、実施例に記載の方法で測定することができる。
【0044】
酸化チタン担持石英−クリストバライト中の酸化チタンの含有量は、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは20〜65重量%、さらに好ましくは30〜60重量%である。この含有量は、実施例に記載の方法で測定することができる。
【0045】
酸化チタン担持石英−クリストバライトは、石英−クリストバライトを担体として使用すること以外は特許文献2に記載の方法と同様にして製造することができる。以下、本発明の酸化チタン担持石英−クリストバライトの製造方法について説明する。
【0046】
まず、溶媒中で石英−クリストバライトおよびチタン源を混合した後、加水分解後、遠心分離等によって固液分離することによって、酸化チタンの前駆体が担持された石英−クリストバライト(以下、「前駆体担持の石英−クリストバライト」と略称することがある)が得られる。加水分解のために、水の使用量は、チタン源1gあたり、好ましくは3.0〜15mL、より好ましくは3.25〜10mL、さらに好ましくは3.5〜9.5mLである。
【0047】
溶媒としては、例えば、メタノール、無水エタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−3−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノン等が挙げられる。これらの中で、メタノールが好ましい。溶媒中での石英−クリストバライトおよびチタン源の混合温度(即ち、溶媒の温度)は、好ましくは0〜40℃、より好ましくは10〜30℃であり、混合時間は、好ましくは5〜60分、より好ましくは10〜30分である。
【0048】
チタン源としては、例えば、塩化チタン、硫酸チタン、オルトチタン酸テトライソプロピル、オルトチタン酸テトラエチル、オルトチタン酸テトラブチル、およびこれらの混合物等が挙げられる。これらの中で、オルトチタン酸テトラブチルが好ましい。溶媒中のチタン源の含有量(チタン源の質量(g)/溶媒の体積(mL))は、好ましくは0.05〜0.99g/mLである。
【0049】
酸化チタン担持石英−クリストバライトの製造は、大型撹拌羽を用いてラージスケールで行うことが好ましい。撹拌羽の縦の長さは、好ましくは10〜20cm、より好ましくは12.5〜18cm、さらに好ましくは15〜16.5cmであり、横の長さは、好ましくは5〜10cm、より好ましくは4〜3.5cm、さらに好ましくは2〜3cmであり、撹拌羽の枚数は、好ましくは2〜6枚、より好ましくは2〜4枚、さらに好ましくは3枚である。大型撹拌羽の撹拌数は、好ましくは150〜250rpm、より好ましくは160〜200rpm、さらに好ましくは170〜180rpmである。
【0050】
ラージスケールの製造における石英−クリストバライトの投入量は、好ましくは0.6〜1kg、より好ましくは0.7〜0.95kg、さらに好ましくは0.8〜0.9kgである。チタン源の投入量は、好ましくは2.4〜4kg、より好ましくは2.8〜3.9kg、さらに好ましくは3.2〜3.8kgである。
【0051】
ラージスケールの製造における溶媒の使用量は、好ましくは16.7〜17.6L、より好ましくは17〜17.6L、さらに好ましくは17.3〜17.6Lである。水の使用量は、好ましくは13.3〜14L、より好ましくは13.5〜14L、さらに好ましくは13.6〜14Lである。
【0052】
溶媒中の石英−クリストバライトの含有量(石英−クリストバライトの質量(g)/溶媒の体積(mL))は、好ましくは0.01〜0.5g/mLである。溶媒中の石英−クリストバライト/チタン源の質量比(石英−クリストバライトの質量(g)/チタン源の質量(g))は、好ましくは0.05〜0.4、より好ましくは0.1〜0.3である。
【0053】
固液分離して得られた前駆体担持の石英−クリストバライトは、乾燥することが好ましい。乾燥温度は、好ましくは40〜120℃、より好ましくは60〜85℃であり、乾燥時間は、好ましくは10分〜96時間、より好ましくは48〜72時間である。
【0054】
必要に応じて乾燥された前駆体担持の石英−クリストバライトを焼成することによって、酸化チタン担持石英−クリストバライトが得られる。焼成のための昇温速度は、好ましくは0.5〜20℃/分、より好ましくは1〜10℃/分、さらに好ましくは1〜5℃/分であり、焼成温度は、好ましくは350〜900℃、より好ましくは400〜800℃、さらに好ましくは500〜780℃であり、焼成時間は、好ましくは5〜180分、より好ましくは10〜60分、さらに好ましくは10〜30分である。焼成は、酸化雰囲気(例えば、大気)、還元雰囲気、不活性ガス、または真空中で行うことができる。大気中で焼成することが好ましい。焼成は、例えば、電気炉を用いて行うことができる。
【0055】
上述のようにして得られた酸化チタン担持石英−クリストバライトに、白金原子および有機配位子を含む金属錯体を担持させ、次いで焼成することによって、光触媒の活性をさらに向上させることができる。従って本発明は、このようにして得られる光触媒およびその製造方法も提供する。なお、焼成のために極微量の金属錯体の構造が変化すること、および焼成後の固体の構造解析は極めて困難であることから、このようにして得られる光触媒の構造を直接特定することは、現時点(即ち、出願時)において実質上不可能または極めて困難である。
【0056】
金属錯体としては、例えば、WO2006/101276、WO2008/108407、WO2012/039347、特開2015−96492号に記載されている金属錯体、またはこれらに記載の方法に準じて製造することができる金属錯体等を使用することができる。
【0057】
金属錯体としては、例えば、式(C1):
[(Pt
II)
2(M
I)
4(L)
8] (C1)
[式(C1)中、
M
Iは、H
+、Ag
I、Au
I、またはCu
Iを示し、
Lは、式(1):
【0059】
{式(1)中、R
1、R
2およびR
3は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基を示す。但し、R
1、R
2およびR
3のうち少なくとも一つ以上は、水素原子ではない。}で表される1価のアニオン性配位子を示す。]
で表されるものが挙げられる。
なお、Lは、詳しくは、式(2)または式(3):
【0061】
[式(2)および式(3)中、R
1、R
2およびR
3は、前記と同義である。]
で表される化合物からプロトンが解離して得られる1価のアニオン性配位子を示す。
【0062】
金属錯体としては、例えば、式(C2):
[(Pt
II)
2(Au
I)
2(M
I)
2(L)
8] (C2)
[式(C2)中、
M
Iは、H
+、Ag
I、またはCu
Iを示し、
Lは、式(1):
【0064】
{式(1)中、R
1、R
2およびR
3は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基を示す。但し、R
1、R
2およびR
3のうち少なくとも一つ以上は、水素原子ではない。}で表される1価のアニオン性配位子を示す。]
で表されるものが挙げられる。
【0065】
金属錯体としては、例えば、式(C3):
[Pt
II2(M
I)
2(L
1)
2(L
2)
4] (C3)
または、式(C4):
[Pt
II(M
I)
2(L
1)(L
2)
3] (C4)
[式(C3)および(C4)中、
M
Iは、Ag
I、Au
IまたはCu
Iを示し;
L
1は、式(L−1):
【0069】
{式(L−1)および(L−1’)中、R
1〜R
8、R
4’およびR
5’は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよいヘテロアリール基を示すか、或いはR
5およびR
6またはR
6およびR
7が結合して、ベンゼン環と共に、置換基を有していてもよい縮合芳香族炭化水素環を形成する。}で表される1価のアニオン性配位子を示し;
L
2は、式(L−2):
【0071】
{式(L−2)中、R
9〜R
11は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよいヘテロアリール基を示す。}で表される1価のアニオン性配位子を示す。]
で表されるものが挙げられる。
【0072】
金属錯体としては、例えば、式(C5):
[(Pt
II)
2(M
I)
2(L
C)
2(L
B)
4]
2+ (C5)
[式(C5)中、
M
Iは、H
+、Au
I、Ag
I、またはCu
Iを示し、
L
Cは、式(L
C−1)〜式(L
C−5):
【0078】
{式(L
C−1)〜式(L
C−5)中、R
1〜R
34は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基を示すか、或いはR
1〜R
34のうち、隣り合う基の1組または複数の組が、置換基を有していてもよい炭化水素環、または置換基を有していてもよい複素環を形成している。}のいずれかで表される配位子を示し、
L
Bは、式(L
B−1):
【0080】
{式(L
B−1)中、X
1は、置換基を有していてもよいアルキル基を示し、X
2およびX
3は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基を示す。}で表される1価のアニオン性配位子を示す。]
で表されるものが挙げられる。
【0081】
金属錯体としては、例えば、式(C6):
[(Pt
II)(L
C)(L
A)]
n (C6)
[式(C6)中、
L
Cは、式(L
C−1)〜式(L
C−5):
【0087】
{式(L
C−1)〜式(L
C−5)中、R
1〜R
34は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基を示すか、或いはR
1〜R
34のうち、隣り合う基の1組または複数の組が、置換基を有していてもよい炭化水素環、または置換基を有していてもよい複素環を形成している。}のいずれかで表される配位子を示し、
L
Aは、o−フェニレンジアミンであるか、またはo−フェニレンジアミンのアミノ基からプロトンが解離することにより生成する1価または2価のアニオン性配位子を示し、
nは、金属錯体の電荷を示し、0、+または2+である。]
で表されるものが挙げられる。
【0088】
金属錯体としては、例えば、式(C7):
[(Pt
II)(L
1)(L
A)]
m (C7)
[式(C7)中、
L
1は、式(L−1):
【0092】
{式(L−1)および(L−1’)中、R
1〜R
8、R
4’およびR
5’は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよいヘテロアリール基を示すか、或いはR
5およびR
6またはR
6およびR
7が結合して、ベンゼン環と共に、置換基を有していてもよい縮合芳香族炭化水素環を形成する。}で表される1価のアニオン性配位子を示し、
L
Aは、o−フェニレンジアミンであるか、またはo−フェニレンジアミンのアミノ基からプロトンが解離することにより生成する1価または2価のアニオン性配位子を示し、
mは、金属錯体の電荷を示し、−、0または+である。]
で表されるものが挙げられる。
【0093】
以下、「式(C1)で表される金属錯体」等を「金属錯体(C1)」等と略称することがある。
【0094】
「置換基を有していてもよいアルキル基」の「アルキル基」としては、直鎖状、分枝鎖状または環状のいずれでもよく、その炭素数は、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である。「置換基を有していてもよいアルキル基」の置換基としては、例えば、アミノ基、カルボキシ基などが挙げられる。「置換基を有していてもよいアルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、エチルヘキシル基などが挙げられる。
【0095】
「置換基を有していてもよいアリール基」の「アリール基」としては、好ましくは6〜14員、より好ましくは6〜10員のアリール基、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基などが挙げられる。「置換基を有していてもよいヘテロアリール基」の「ヘテロアリール基」としては、好ましくは6〜14員、より好ましくは6〜10員のヘテロアリール基、例えば、ピリジル基などが挙げられる。「置換基を有していてもよいアリール基」および「置換基を有していてもよいヘテロアリール基」の置換基としては、例えば、上述の置換基を有していてもよいアルキル基などが挙げられる。
【0096】
式(L
C−1)〜式(L
C−5)中の隣り合うR
1〜R
34が形成する「炭化水素環」としては、例えばベンゼン環、脂環式炭化水素環などが挙げられる。式(L
C−1)〜式(L
C−5)中の隣り合うR
1〜R
34が形成する「複素環」としては、例えばイミダゾール環、ピラジン環、キノキサリン環などが挙げられる。前記炭化水素環または前記複素環は、環が複数縮合してなる環、または環が単結合等で複数結合してなる環などであってもよい。前記炭化水素環または前記複素環が有し得る置換基としては、上述の置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基などが挙げられる。
【0097】
式(L−1)および(L−1’)中のR
5およびR
6またはR
6およびR
7が結合して、好ましくはR
6およびR
7が結合して、ベンゼン環と共に形成してもよい「置換基を有していてもよい縮合芳香族炭化水素環」の「縮合芳香族炭化水素環」としては、例えば、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環などが挙げられる。「置換基を有していてもよい縮合芳香族炭化水素環」の置換基としては、例えば、上述の置換基を有していてもよいアルキル基などが挙げられる。
【0098】
次に、上述の金属錯体の好ましい態様を順に説明する。まず、金属錯体(C1)の好ましい態様について説明する。式(C1)中のM
Iは、好ましくはH
+、Ag
I、またはCu
Iであり、より好ましくはAg
Iである。
【0099】
式(1)中のR
1、R
2およびR
3は、それぞれ独立に、好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基である。式(1)中のR
1およびR
3がアルキル基またはアリール基であり、且つR
2が水素原子である組合せ、並びにR
1およびR
3が水素原子であり、且つR
2がアルキル基である組合せがより好ましく、R
1およびR
3が、メチル基またはフェニル基であり、且つR
2が水素原子である組合せ、R
1およびR
3が水素原子であり、且つR
2がメチル基またはt−ブチル基である組合せがさらに好ましく、並びにR
1およびR
3がメチル基であり、且つR
2が水素原子である組合せが特に好ましい。
【0100】
次に、金属錯体(C2)の好ましい態様について説明する。式(C2)中のM
Iは、好ましくはAg
IまたはCu
Iである。
【0101】
式(1)中のR
1、R
2およびR
3は、それぞれ独立に、好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基である。式(1)中のR
1およびR
3がアルキル基またはアリール基であり、且つR
2が水素原子である組合せ、並びにR
1およびR
3が水素原子であり、且つR
2がアルキル基である組合せがより好ましく、R
1およびR
3が、メチル基またはフェニル基であり、且つR
2が水素原子である組合せ、R
1およびR
3が水素原子であり、且つR
2がメチル基またはt−ブチル基である組合せがさらに好ましく、並びにR
1およびR
3がメチル基であり、且つR
2が水素原子である組合せが特に好ましい。
【0102】
次に、金属錯体(C3)および金属錯体(C4)の好ましい態様について説明する。式(C3)および式(C4)中のM
Iは、好ましくはAg
IまたはAu
Iであり、より好ましくは、式(C3)においてM
IがAg
Iであるか、または式(C4)においてM
IがAu
Iである。
【0103】
式(L−1)において、R
1〜R
8としては、水素原子が好ましい。また、式(L−1’)において、R
1〜R
3、R
4’、R
5’およびR
6〜R
8としては、水素原子が好ましい。
【0104】
式(L−2)中のR
9およびR
11としては、両方が置換基を有していてもよいアルキル基の組合せ、または、R
9が置換基を有していてもよいアルキル基でR
11が水素原子の組合せが好ましく、アルキル基としては、特にメチル基およびt−ブチル基が好ましい。式(L−2)中のR
10としては、水素原子が好ましい。
【0105】
次に、金属錯体(C5)の好ましい態様について説明する。式(C5)中のM
Iは、好ましくはH
+、Au
I、Ag
IまたはCu
Iであり、より好ましくはAg
Iである。
【0106】
式(L
C−1)〜式(L
C−5)中のR
1〜R
34は、それぞれ独立に、好ましくは水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基であり、より好ましくは水素原子またはアルキル基である。
【0107】
金属錯体(C5)中の配位子L
Cは、好ましくは配位子(L
C−1)または配位子(L
C−4)である。配位子(L
C−1)の中では、2,2’−ビピリミジン(R
1〜R
6:水素原子)および5,5’−ジメチル−2,2’−ビピリミジン(R
2およびR
5:メチル基;R
1、R
3、R
4およびR
6:水素原子)が好ましく、2,2’−ビピリミジンがより好ましい。配位子式(L
C−4)の中では、2,2’−ビピリジン(R
19〜R
26:水素原子)、4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジン(R
21およびR
24:メチル基;R
19、R
20、R
22、R
23、R
25およびR
26:水素原子)および5,5’−ジメチル−2,2’−ビピリジン(R
20およびR
25:メチル基;R
19、R
21〜R
24およびR
26:水素原子)が好ましく、2,2’−ビピリジンおよび4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジンがより好ましく、2,2’−ビピリジンが特に好ましい。
【0108】
式(L
B−1)中のX
1は、好ましくは置換基を有していてもよいブチル基、より好ましくはt−ブチル基である。
【0109】
式(L
B−1)中のX
2およびX
3のアルキル基の炭素数は、それぞれ独立に、好ましくは1〜4であり、X
2およびX
3のアリール基は、好ましくは6〜14員であり、より好ましくは6〜10員である。X
2およびX
3は、それぞれ独立に、好ましくは水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基であり、より好ましくは水素原子またはメチル基であり、さらに好ましくは水素原子である。特に好ましい配位子L
Bは、3−t−ブチルピラゾールからプロトンが解離して得られる1価のアニオン性配位子である。
【0110】
カチオン錯体である金属錯体(C5)のためのカウンターアニオンとしては、例えば、ハロゲン化物イオン、擬ハロゲン化物イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、過塩素酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、リン酸イオン、亜硝酸イオンなどが挙げられる。これらの中でも、安定な錯体が得られるテトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)およびヘキサフルオロリン酸イオン(PF
6−)が好ましく、PF
6−がより好ましい。
【0111】
次に、金属錯体(C6)の好ましい態様について説明する。式(L
C−1)〜式(L
C−5)中のR
1〜R
34は、それぞれ独立に、好ましくは水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基であり、より好ましくは水素原子またはアルキル基である。
【0112】
金属錯体(C6)中の配位子L
Cは、好ましくは配位子(L
C−1)または配位子(L
C−4)である。配位子(L
C−1)の中では、2,2’−ビピリミジン(R
1〜R
6:水素原子)および5,5’−ジメチル−2,2’−ビピリミジン(R
2およびR
5:メチル基;R
1、R
3、R
4およびR
6:水素原子)が好ましく、2,2’−ビピリミジンがより好ましい。配位子式(L
C−4)の中では、2,2’−ビピリジン(R
19〜R
26:水素原子)、4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジン(R
21およびR
24:メチル基;R
19、R
20、R
22、R
23、R
25およびR
26:水素原子)および5,5’−ジメチル−2,2’−ビピリジン(R
20およびR
25:メチル基;R
19、R
21〜R
24およびR
26:水素原子)が好ましく、2,2’−ビピリジンおよび4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジンがより好ましく、2,2’−ビピリジンが特に好ましい。
【0113】
金属錯体(C6)が正電荷を有する(即ち、nが+または2+である)場合、金属錯体(C6)のためのカウンターアニオンとしては、例えば、ハロゲン化物イオン、擬ハロゲン化物イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、過塩素酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、リン酸イオン、亜硝酸イオンなどが挙げられる。これらの中でも、ハロゲン化物イオンが好ましく、塩化物イオンがより好ましい。金属錯体(C6)中の配位子L
Aは、好ましくはo−フェニレンジアミンである。
【0114】
次に、金属錯体(C7)の好ましい態様について説明する。式(L−1)において、R
1〜R
8としては、水素原子が好ましい。また、式(L−1’)において、R
1〜R
3、R
4’、R
5’およびR
6〜R
8としては、水素原子が好ましい。
【0115】
金属錯体(C7)が正電荷を有する(即ち、mが+である)場合、金属錯体(C7)のためのカウンターアニオンとしては、例えば、ハロゲン化物イオン、擬ハロゲン化物イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、過塩素酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、リン酸イオン、亜硝酸イオンなどが挙げられる。これらの中でも、ハロゲン化物イオンが好ましく、塩化物イオンがより好ましい。金属錯体(C7)が負電荷を有する(即ち、mが−である)場合、金属錯体(C7)のためのカウンターカチオンとしては、例えば、プロトン、アンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン(R
4N、R=C
nH
2n+1、n=1〜12)、アルカリイオン、アルカリ土類イオンなどが挙げられる。これらの中でも、アンモニウムイオンおよびテトラアルキルアンモニウムイオンが好ましく、テトラn−ブチルアンモニウムイオンがより好ましい。金属錯体(C7)中の配位子L
Aは、好ましくはo−フェニレンジアミンである。
【0116】
上述の金属錯体およびそのための配位子は、公知の方法に従い製造することができる。金属錯体(C1)およびその配位子は、例えば、WO2006/101276に記載の方法またはそれに準じた方法に従い製造することができる。金属錯体(C2)およびその配位子は、例えば、WO2008/108407に記載の方法またはそれに準じた方法に従い製造することができる。金属錯体(C3)、金属錯体(C4)およびそれらの配位子は、例えば、特開2015−96492号に記載の方法またはそれに準じた方法に従い製造することができる。金属錯体(C5)およびその配位子は、例えば、WO2012/039347に記載の方法またはそれに準じた方法に従い製造することができる。金属錯体(C6)の配位子L
Cは、例えば、WO2012/039347に記載の方法またはそれに準じた方法に従い製造することができる。金属錯体(C7)の配位子L
1は、例えば、特開2015−96492号に記載の方法またはそれに準じた方法に従い製造することができる。
【0117】
配位子L
Aがo−フェニレンジアミンである金属錯体(C6)または金属錯体(C7)は、白金および配位子L
Cとの金属錯体(金属錯体中の白金原子:配位子L
Cのモル比=1:1)または白金および配位子L
1との金属錯体(金属錯体中の白金原子:配位子L
1のモル比=1:1)、並びにo−フェニレンジアミンを有機溶媒に加え、これを還流することによって製造することができる。このための有機溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル、メタノール、エタノール、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。これらの中でアセトニトリルが好ましい。還流時間は、好ましくは1〜12時間、より好ましくは4〜6時間である。
【0118】
配位子L
Aがo−フェニレンジアミンのアミノ基からプロトンが解離することにより生成する1価または2価のアニオン性配位子である金属錯体(C6)または金属錯体(C7)は、配位子L
Aがo−フェニレンジアミンである金属錯体(C6)または金属錯体(C7)を、溶媒中で塩基と反応させることにより製造することができる。このための塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエチルアミン、トリプロピリアミン、トリブチルアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。これらの中で、水酸化カリウムが好ましい。塩基の使用量は、配位子L
Aがo−フェニレンジアミンである金属錯体(C6)または金属錯体(C7)1モルに対して、好ましくは0.5〜3モル、より好ましくは1〜2モルである。金属錯体と塩基との反応温度は、好ましくは20〜30℃であり、その反応時間は、好ましくは5〜10分間である。塩基との反応に使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトニトリル、プロピオニトリル、水等が挙げられる。これらの中で、メタノールが好ましい。
【0119】
酸化チタン担持石英−クリストバライトへの金属錯体の担持は、例えば、有機溶媒に金属錯体を溶解させ、その中に酸化チタン担持石英−クリストバライトを添加および撹拌した後、有機溶媒の全量を除去することによって行うことができる。
【0120】
金属錯体の担持のために使用する有機溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、アセトニトリル、アセトン、トルエン等が挙げられる。これらの中で塩化メチレンが好ましい。有機溶媒中の金属錯体の含有量(金属錯体の質量(g)/有機溶媒の体積(mL))は、好ましくは0.01〜0.6mg/mL、より好ましくは0.02〜0.1mg/mLである。金属錯体を添加した後の撹拌温度(即ち、有機溶媒の温度)は、好ましくは10〜50℃、より好ましくは20〜30℃であり、撹拌時間は、好ましくは5〜30分、より好ましくは5〜10分である。有機溶媒の除去は、乾燥機を使用することによって行うことができる。有機溶媒を除去する際の温度は、好ましくは50〜80℃、より好ましくは60〜75℃である。
【0121】
金属錯体の担持量は、金属錯体を担持させた酸化チタン担持石英−クリストバライト中、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.05〜1.0重量%、さらに好ましくは0.1〜0.5重量%である。
【0122】
金属錯体を担持させた酸化チタン担持石英−クリストバライトを焼成することによって、触媒活性がさらに向上した光触媒が得られる。焼成のための昇温速度は、好ましくは0.5〜20℃/分、より好ましくは1〜10℃/分、さらに好ましくは1〜5℃/分であり、焼成温度は、好ましくは350〜900℃、より好ましくは400〜800℃、さらに好ましくは500〜780℃であり、焼成時間は、好ましくは5〜180分、より好ましくは10〜60分、さらに好ましくは10〜30分である。焼成は、酸化雰囲気(例えば、大気)、還元雰囲気、不活性ガス、または真空中で行うことができる。大気中で焼成することが好ましい。焼成は、例えば、電気炉を用いて行うことができる。
【0123】
本発明の光触媒は、高い触媒活性を示し、消臭、有害物質の分解および浄化、細菌およびウイルスの殺菌および抗菌、カビの防止等のために様々な用途に用いることができる。
【0124】
取扱性を向上させるため、本発明の光触媒を含有する転写紙を製造し、この転写紙を用いて光触媒を含有する基材を製造してもよい。基材としては、板ガラス、セラミックスタイル、金属等の無機材料、または樹脂、紙、繊維等の有機材料のいずれでもよい。これらの中で無機材料が好ましく、板ガラス、セラミックスタイルがより好ましい。
【0125】
転写紙は、例えば、ガラス粉末を紙の上に積層し、次いでその上に光触媒粉末を積層し、次いでオーバープリントラッカーを塗布し、これらが積層された紙を乾燥することによって製造することができる。ガラス粉末の平均粒径は、好ましくは10〜100μm、より好ましくは10〜50μmである。
【0126】
上述のようにして得られた光触媒を含有する転写紙を水に浸すと、ガラス粉末層、光触媒粉末層およびオーバープリントラッカー層からなる積層部分が剥離する。この剥離した積層部分を、例えば、無機材料の基材(例えば、板ガラス)に貼り付け、乾燥し、次いで焼成することによって、光触媒を含有する基材を製造することができる。乾燥温度は、好ましくは40〜100℃、より好ましくは50〜75℃であり、乾燥時間は、好ましくは2〜24時間である。焼成のための昇温速度は、好ましくは0.5〜20℃/分、より好ましくは1〜10℃/分、さらに好ましくは1〜5℃/分であり、焼成温度は、好ましくは350〜900℃、より好ましくは400〜800℃、さらに好ましくは500〜780℃であり、焼成時間は、好ましくは5〜180分、より好ましくは10〜60分、さらに好ましくは10〜30分である。焼成は、酸化雰囲気(例えば、大気)、還元雰囲気、不活性ガス、または真空中で行うことができる。大気中で焼成することが好ましい。焼成は、例えば、電気炉を用いて行うことができる。
【実施例】
【0127】
以下、実施例等を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例等によって何ら限定されるものではない。
【0128】
実施例等で使用する配位子の略号の意味は、以下の通りである。
Me
2pz:3,5−ジメチルピラゾラト(3,5−ジメチルピラゾールからプロトンが解離した1価のアニオン)
【0129】
製造例1:金属錯体[Pt
2Ag
4(μ−Me
2pz)
8]の製造
【0130】
【化38】
【0131】
WO2006/101276の実施例1に記載されている方法によって、[Pt
2Ag
4(μ−Me
2pz)
8]を製造した。なお、[Pt
2Ag
4(μ−Me
2pz)
8]における「μ−」とは、配位子Me
2pzが架橋構造を有することを示す記号である。また、WO2006/101276の実施例1では、該金属錯体は[Pt
2Ag
4(μ−dmpz)
8]と記載されている。
【0132】
比較例1および2、並びに実施例1:光触媒の製造および評価
(1)使用したシリカ粉末
酸化チタン担持シリカの製造に、以下のシリカ粉末を使用した。
トリジマイト:長崎県窯業技術センター製、平均粒径(d
50)15.8μm
α−石英:(株)ニッチツ ハイシリカ事業本部製「FK−3F」、平均粒径(d
50)4.5μm
石英結晶相およびクリストバライト結晶相を含むシリカ(以下「石英−クリストバライト」と記載する):瀬戸窯業原料(株)製「クリストバライト(CR−6)」、平均粒径(d
50)10.5μm、石英結晶相の含有量31重量%、クリストバライト結晶相の含有量69重量%
【0133】
シリカ粉末の平均粒径(d
50)は、X線透過式粒度分布測定装置(Micromeritics製、Sedigraph5100)を用いて測定した。ここで、ブランク(粉末試料なし)測定でのX線吸収率を0%とし、粉末試料を入れた直後のX線吸収率を100%として、X線吸収率が100%から50%になった時点の粒径を、累積積算値50%の平均粒径(d
50)として算出した。
【0134】
石英−クリストバライト中の石英結晶相およびクリストバライト結晶相の含有量は、PANalytical社製 High Score Ver.4を用いて、ICDD(International Center for Diffraction Data)カードに記載のある準定量値(RIR:Reference Intensity Ratio)により定量した。石英とクリストバライトの各生データのそれぞれの各ピーク強度とRIR(石英とクリストバライトの各ピークの最大強度/Al
2O
3(コランダム)の最大強度)の数値から計算して、含有量を求めた。
【0135】
(2)酸化チタン担持シリカの製造
酸化チタン担持シリカを以下のようにして製造した。まず、500mLビーカー中に100mLのメタノールと上述のシリカ粉末を3gずつ添加した。その中に、チタン源のオルトチタン酸テトラブチルを12mL(10.6g)添加し、マグネチックスターラーを用いて、室温で5分間撹拌した。ビーカー内に100mLの蒸留水を添加して、さらに室温で30分間撹拌した。その後、遠心分離機を用いて固液分離を行い、得られた固体を乾燥機中75℃で10分間乾燥することによって、酸化チタンの前駆体が担持されたシリカ粉末を得た。この粉末を、電気炉を使用することによって、大気中、昇温速度1℃/分で775℃まで昇温し、この温度で10分間焼成することによって、アナタース相とルチル相の混相からなる酸化チタンが担持された光触媒(酸化チタン担持シリカ)を得た。得られた光触媒の酸化チタン含有量およびBET比表面積を下記表1に示す。
【0136】
得られた酸化チタン担持シリカ中の酸化チタン含有量は、蛍光X線分析装置(XRF、パナリティカル製 MagiX PRO)を用いて酸化チタン担持シリカを分析することによって算出した。
【0137】
得られた酸化チタン担持シリカのBET比表面積は、酸化チタン担持シリカに200℃での真空脱ガス処理を行った後、窒素吸着によるBET法により、全自動ガス吸着測定装置(カンタクローム製、AUTOSORB-1)を用いて測定した。
【0138】
(3)メチレンブルー分解率の評価
メチレンブルー水溶液を用いて、比較例1(シリカ粉末:トリジマイト)、比較例2(シリカ粉末:α−石英)、および実施例1(シリカ粉末:石英−クリストバライト)の光触媒のメチレンブルー分解率を評価した。詳しくは、濃度0.05mMのメチレンブルー水溶液100mLに、得られた光触媒を20mg添加し、スターラーで撹拌しながら、紫外線9W×2(368nm、0.38mW/cm
2)を4時間照射した後、遠心分離後、664nm付近の最大ピーク位置でメチレンブルー水溶液の吸光度を測定した。吸着によるメチレンブルー水溶液の吸光度の低下を確認するため、濃度0.05mMのメチレンブルー水溶液100mLに光触媒を20mg添加して、スターラーで撹拌しながら、4時間暗所の状態に保持した後、遠心分離後、このメチレンブルー水溶液の吸光度も同様に求めた。測定した吸光度の値および下記式:
メチレンブルー分解率(%)=100×({紫外線照射下0時間の吸光度−紫外線照射下4時間後の吸光度}/紫外線照射下0時間の吸光度)−({暗所下0時間の吸光度−暗所下4時間後の吸光度}/暗所下0時間の吸光度)×100
からメチレンブルー分解率を算出した。結果を下記表1に示す。
【0139】
【表1】
【0140】
表1で示されるように、担体(シリカ粉末)として石英−クリストバライトを使用することによって、活性(メチレンブルー分解率)の高い光触媒(酸化チタン担持石英−クリストバライト)を製造することができる。
【0141】
比較例3、並びに実施例2および3:光触媒の製造および評価
(1)酸化チタン担持石英−クリストバライトの製造(実施例2の光触媒の製造)
粉末シリカとして石英−クリストバライト(瀬戸窯業原料(株)製「クリストバライト(CR−1)」、平均粒径(d
50)4.7μm、石英結晶相の含有量23重量%、クリストバライト結晶相の含有量77重量%)を使用し、以下のようにして酸化チタン担持石英−クリストバライトを多量に製造した(最終製造量として約1.2kg)。
100L大型ステンレススチール製ビーカーに、メタノール(17.6L)と石英−クリストバライト(600g)を添加した。大型撹拌羽(大型撹拌羽の縦の長さ16.5cm、横の長さ3cm、枚数3枚)を用いて、室温で5分間撹拌した(撹拌数179rpm)。その中に、チタン源のオルトチタン酸テトラブチル(2,400g)を添加し、100L大型ステンレススチール製ビーカー内に蒸留水(14L)を添加して、さらに室温で10分間撹拌した(撹拌数179rpm)。その後、得られたスラリーを乾燥機中75℃で72時間乾燥することによって、酸化チタンの前駆体が担持された石英−クリストバライトを得た。この粉末を、電気炉を使用することによって、大気中、昇温速度1℃/分で775℃まで昇温し、この温度で10分間焼成することによって、実施例2の光触媒(酸化チタン担持石英−クリストバライト)を得た。
【0142】
(2)金属錯体の担持
フラスコ内で、[Pt
2Ag
4(μ−Me
2pz)
8](0.0002g)を塩化メチレン(10mL)に溶解させた。その中に、得られた酸化チタン担持石英−クリストバライト(0.1g)を添加し、スターラーを用いて、室温で10分間撹拌した。次いで、乾燥機内にて、懸濁液を75℃で1時間保持することによって塩化メチレン全量を除去して、[Pt
2Ag
4(μ−Me
2pz)
8]を担持した酸化チタン担持石英−クリストバライト(以下「焼成前の光触媒」と略称する)を製造した(焼成前の光触媒中の金属錯体担持量0.2重量%)。
【0143】
(3)焼成(実施例3の光触媒の製造)
焼成前の光触媒を、電気炉を使用することによって、大気中、昇温速度1℃/分で775℃まで昇温し、この温度で10分間焼成することによって、実施例3の光触媒を得た。
【0144】
(4)光触媒の評価
実施例2および3の光触媒中の酸化チタン含有量、BET比表面積、およびメチレンブルー分解率を、上述の比較例1および2並びに実施例1と同様にして測定した。また、市販の酸化チタン粉末(石原産業(株)製「ST−01」)を用いて、同様にメチレンブルー水溶液の分解率を評価した(比較例3)。結果を下記表2に示す。
【0145】
【表2】
【0146】
表2に示すように、実施例2および3の光触媒は、比較例3の光触媒(市販の酸化チタン粉末)と比較して、酸化チタン含有量が少なく、且つ比表面積も小さいにもかかわらず、メチレンブルー分解率が高かった。
【0147】
なお、表1および2に示すように、実施例2の光触媒のメチレンブルー分解率は、実施例1の値よりも大幅に向上している。これは、実施例1および2の製造スケールが異なることによるものであると推定される。特に、実施例2において、大型撹拌羽による効率的な撹拌が、石英−クリストバライト上にチタン原料の担持が有効に作用していることが、得られる光触媒の活性向上に寄与していると考えられる。
【0148】
また、表2に示す実施例2および3の結果から、酸化チタン担持石英−クリストバライトに白金原子および有機配位子を含む金属錯体を担持させ、次いで焼成することによって、触媒活性(メチレンブルー分解率)を向上させ得ることが分かる。
【0149】
比較例4および実施例4:光触媒を含有する転写紙および光触媒を含有する板ガラスの製造および評価
(1)光触媒を含有する転写紙の製造
金属錯体を担持させることによって製造した実施例3の光触媒、および市販の酸化チタン(日本エアロジル製「P−25」、酸化チタン含有量99.5重量%、比表面積50.3m
2/g)を使用して、以下のようにして光触媒を含有する転写紙を製造した。
【0150】
まず、ガラス粉末(平均粒径40μm)を紙の上に積層した(ガラス粉末層の厚さ約10μm)。次いで、ガラス粉末層の上に光触媒粉末を積層させた(光触媒粉末層の厚さ約20〜30μm)。次いで、ガラス粉末層および光触媒粉末層の脱落を防ぐために、オーバープリントラッカー(互応化学工業(株)製、LO−170SY、溶媒:第4類第2石油類、固形分(樹脂と可塑剤を含めて)40重量%)を塗布し、室温で12時間放置することによってオーバープリントラッカー層(乾燥後のオーバープリントラッカー層の厚さ約20μm)を形成して、光触媒を含有する転写紙(単位面積あたりの光触媒の量200g/m
2)を製造した。
【0151】
(2)光触媒を含有する板ガラスの製造
上述のようにして得られた光触媒を含有する転写紙を水に浸すと、ガラス粉末層、光触媒粉末層およびオーバープリントラッカー層からなる積層部分が剥離した。剥離した積層部分を、板ガラスの表面に貼り合わせた。この板ガラスを乾燥機中50℃で24時間乾燥した。乾燥後の板ガラスを、電気炉を使用することによって、大気中、昇温速度1℃/分で750℃まで昇温し、この温度で10分間焼成することによって、光触媒を含有する板ガラス(単位面積あたりの光触媒の量100g/m
2)を製造した。
【0152】
(3)光触媒を含有する板ガラスの評価
上述のようにして得られた光触媒を含有する板ガラスの活性酸素生成能力を、JIS R 1704に準拠し、以下のようにして評価した。まず、10mg/Lのジメチルスルホキシド水溶液500mLを一定の流量で循環させた。そこへ、光触媒を含有する板ガラス(100mm角)を浸し、紫外線20W×2(352nm、1.43mW/cm
2)を照射した。紫外線照射を5時間続けた後に、循環している水溶液を採取し、活性酸素生成能力の指標として、水溶液中のメタンスルホン酸の生成量(重量ppm)をイオンクロマトグラフィー装置で測定した。結果を下記表3に示す。
【0153】
【表3】
【0154】
表3で示されるように、市販の酸化チタン(P−25)を含有する比較例4の板ガラスよりも、本発明の光触媒を含有する実施例4の板ガラスは、水溶液中のメタンスルホン酸生成量が多かった。