(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.適用例
【0018】
<1.第1の実施の形態>
[構成例]
図1は、第1の実施の形態に係る表示装置の一構成例を表すものである。表示装置1は、有機EL(Electro Luminescence)素子を用いた、アクティブマトリックス方式の表示装置である。なお、本開示の実施の形態に係る駆動方法は、本実施の形態により具現化されるので、併せて説明する。
【0019】
表示装置1は、画像信号Spicに基づいて画像を表示するものである。この例では、画像信号Spicは、赤色(R)の輝度情報IRと、緑色(G)の輝度情報IGと、青色(B)の輝度情報IBとを含むものである。表示装置1は、駆動部30と、表示部40と、静止レベル検出部20と、制御部11と、信号処理部12とを備えている。
【0020】
駆動部30は、画像信号Spic2および制御信号CTLに基づいて、表示部40を駆動するものである。表示部40は、駆動部30による駆動に基づいて画像を表示するものである。
【0021】
図2は、駆動部30および表示部40の一構成例を表すものである。表示部40は、複数の画素Pixがマトリックス状に配置されたものである。各画素Pixは、赤色(R)のサブ画素9R、緑色(G)のサブ画素9G、青色(B)のサブ画素9Bを有している。なお、以下では、サブ画素9R,9G,9Bのうちの任意の一つを表すものとしてサブ画素9を適宜用いる。表示部40は、行方向(横方向)に延伸する複数の走査線WSLおよび複数の電源線PLと、列方向(縦方向)に延伸する複数のデータ線DTLとを有している。これらの走査線WSL、電源線PL、およびデータ線DTLの一端は、駆動部30にそれぞれ接続されている。
【0022】
図3は、サブ画素9の回路構成の一例を表すものである。サブ画素9は、書込トランジスタWSTrと、駆動トランジスタDRTrと、発光素子49と、容量素子Csとを備えている。すなわち、この例では、サブ画素9は、2つのトランジスタ(書込トランジスタWSTr、駆動トランジスタDRTr)および1つの容量素子Csを用いて構成される、いわゆる「2Tr1C」の構成を有するものである。
【0023】
書込トランジスタWSTrおよび駆動トランジスタDRTrは、例えば、NチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)により構成されるものである。書込トランジスタWSTrは、ゲートが走査線WSLに接続され、ソースがデータ線DTLに接続され、ドレインが駆動トランジスタDRTrのゲートおよび容量素子Csの一端に接続されている。駆動トランジスタDRTrは、ゲートが書込トランジスタWSTrのドレインおよび容量素子Csの一端に接続され、ドレインが電源線PLに接続され、ソースが容量素子Csの他端および発光素子49のアノードに接続されている。
【0024】
容量素子Csは、一端が駆動トランジスタDRTrのゲート等に接続され、他端は駆動トランジスタDRTrのソース等に接続されている。発光素子49は、有機EL素子を用いて構成された発光素子であり、アノードが駆動トランジスタDRTrのソースおよび容量素子Csの他端に接続され、カソードには、駆動部30によりカソード電圧Vcathが供給されている。なお、この例では、有機EL素子を用いて発光素子49を構成したが、これに限定されるものではなく、電流駆動型の発光素子であればどのようなものを用いてもよい。
【0025】
この構成により、サブ画素9では、書込トランジスタWSTrがオン状態になることにより書込動作が行われ、容量素子Csの両端間に、画素電圧Vsig(後述)に応じた電位差が設定される。そして、駆動トランジスタDRTrが、この容量素子Csの両端間の電位差に応じた駆動電流を発光素子49に流す。これにより、発光素子49が画素電圧Vsigに応じた輝度Lで発光するようになっている。
【0026】
駆動部30は、走査線駆動部31と、電源線駆動部32と、データ線駆動部33とを有している。駆動部30は、表示部40と一体形成してもよいし、例えば集積回路(チップ)として、表示部40とは別に設けてもよい。
【0027】
走査線駆動部31は、制御部11から供給された制御信号CTLに従って、複数の走査線WSLに対して走査信号WSを順次印加することにより、サブ画素9を順次選択するものである。
【0028】
電源線駆動部32は、制御部11から供給された制御信号CTLに従って、複数の電源線PLに対して電源信号DSを順次印加することにより、サブ画素9の発光動作および消光動作の制御を行うものである。電源信号DSは、この例では3つの電圧Vccp,Vext,Viniの間で遷移するものである。後述するように、電圧Vccpは、駆動トランジスタDRTrに電流を流して発光素子49を発光させるための電圧であり、電圧Vext,Viniよりも高い電圧である。電圧Vextは、発光素子49を消光させるための電圧であり、電圧Vinitよりも高い電圧である。電圧Viniは、サブ画素9を初期化するための電圧である。
【0029】
データ線駆動部33は、信号処理部12から供給された画像信号Spic2および制御部11から供給された制御信号CTLに従って信号Sigを生成し、各データ線DTLに印加するものである。データ線駆動部33は、DAC(Digital Analog Converter)34を有している。DAC34は、画像信号Spic2に含まれる輝度情報IR,IG,IB(デジタルコード)に基づいて、各サブ画素9の輝度を指示する画素電圧Vsig(アナログ電圧)を生成するものである。そして、データ線駆動部33は、この画素電圧Vsigと、後述するVth補正を行うための電圧Vofsと交互に配置することにより、信号Sigを生成するようになっている。
【0030】
この構成により、駆動部30は、後述するように、サブ画素9に対して初期化を行い、駆動トランジスタDRTrの素子ばらつきが画質に与える影響を抑えるための補正(Vth補正およびμ(移動度)補正)を行い、画素電圧Vsigの書込みを行うようになっている。
【0031】
図1に示した静止レベル検出部20は、画像信号Spicに基づいて静止レベルLSを生成するものである。静止レベル検出部20は、ノイズフィルタ21と、静止レベル算出部22とを有している。
【0032】
ノイズフィルタ21は、画像信号Spicに含まれる輝度情報IR,IG,IBのノイズを除去するものである。静止レベル算出部22は、ノイズフィルタ21によりノイズが除去された輝度情報IR,IG,IBに基づいて、その画像の動き量を求め、その動き量に基づいて静止レベルLSを算出するものである。静止レベルLSは、画像信号Spicが示す画像が静止画である場合には高くなり、動画である場合には低くなるものである。静止レベル算出部22は、この例では、メモリ23を有している。メモリ23は、この例ではフレームメモリであり、ノイズフィルタ21によりノイズが除去された輝度情報IR,IG,IBを1フレーム画像分記憶するものである。静止レベル算出部22は、ノイズフィルタ21から供給された1フレーム画像分の輝度情報IR,IG,IBと、メモリ23に記憶された1フレーム分の輝度情報IR,IG,IBとを比較することにより、その画像の動き量を求め、その動き量に基づいて静止レベルLSを算出する。静止レベルLSは、細かいスケールで表してもよいし(例えば256段階など)、粗いスケールで表してもよい(例えば4段階など)。そして、静止レベル算出部22は、生成した静止レベルLSを制御部11に供給するようになっている。
【0033】
なお、ノイズフィルタ21は、ノイズがさほど問題にならない場合には省いてもよい。また、ノイズフィルタ21を設けてもノイズの影響が残り、画像が静止画の場合でも動き量が十分に低くならない場合には、例えば、動き量に対してしきい値を設け、動き量がそのしきい値以下であるときには画像が静止画である旨の判定するようにしてもよい。また、この例では静止レベル算出部22にメモリ23を設けたが、メモリ23を設けずに、より簡易な方法で静止レベルLSを取得してもよい。具体的には、例えば、表示部40の表示領域を複数のサブ表示領域に区分し、そのサブ表示領域ごとに輝度情報IR,IG,IBの平均レベルを求め、その平均レベルの時間変化に基づいて静止レベルLSを取得することができる。これにより、消費電力やコストを削減することができる。
【0034】
制御部11は、画像信号Spic、静止レベルLS、およびモード情報Smodeに基づいて、信号処理部12および駆動部30を制御するものである。具体的には、制御部11は、静止レベルLSに基づいて、表示部40の各サブ画素9に対して書込駆動を行うか否かを制御するようになっている。
【0035】
図4は、サブ画素9の動作を模式的に表すものであり、(A)は静止レベルLSが中程度である場合を示し、(B)は静止レベルLSが高い場合を示す。この例では、タイミングt90より前、およびタイミングt91以降では、静止レベルLSが十分に低くなっており、タイミングt90〜t91の期間において、静止レベルLSが中程度になり(
図4(A))、あるいは、静止レベルLSが高くなっている(
図4(B))。
【0036】
静止レベルLSが十分に低い場合には、サブ画素9は、各フレーム期間(1F)において、通常動作Aを行う。ここで、通常動作Aは、書込動作を行った後に発光動作を行うものである。すなわち、静止レベルLSが十分に低い場合には、画像の動きが大きいため、サブ画素9は、各フレーム期間において書込動作を行う。
【0037】
また、静止レベルLSが中程度である場合(
図4(A))には、サブ画素9は、間欠書込動作Bを行う。この間欠書込動作Bでは、サブ画素9は、最初のフレーム期間において停止前動作B1を行い、その後、間欠的にリフレッシュ動作B3を行う。ここで、停止前動作B1およびリフレッシュ動作B3は、後述するように、通常動作Aに比べて、高い画素電圧Vsigを用いて書込動作を行った後に、小さい発光デューティ比DUTYで発光動作を行うものである。また、書込停止動作B2は、後述するように、書込動作を行わずに、停止前動作B1およびリフレッシュ動作B3と同等の発光デューティ比DUTYで発光動作を行うものである。この例では、サブ画素9は、停止前動作B1またはリフレッシュ動作B3と、1フレーム期間分の書込停止動作B2とを交互に繰り返す。言い換えれば、この例では、書込停止フレーム数NFは“1”である。すなわち、静止レベルLSが中程度である場合には、画像の動きが中程度であるため、サブ画素9は、間欠的に書込動作を行う。
【0038】
また、静止レベルLSが高い場合(
図4(B))には、サブ画素9は、間欠書込動作Bを行う。この間欠書込動作Bでは、サブ画素9は、停止前動作B1またはリフレッシュ動作B3と、4フレーム期間分の書込停止動作B2とを交互に繰り返す。言い換えれば、この例では、書込停止フレーム数NFは“4”である。すなわち、静止レベルLSが高い場合には、画像の動きが小さいため、サブ画素9は、書込停止フレーム数NFをさらに増やして、間欠的に書込動作を行う。
【0039】
制御部11は、このように、静止レベルLSに基づいて動的に書込停止フレーム数NFを設定する。そして、制御部11は、駆動部30に対して制御信号CTLを供給して、駆動部30がその書込停止フレーム数NFに応じた間欠書込動作Bをするように制御する。
【0040】
図5は、静止レベルLSに基づく書込停止フレーム数NFの設定動作を表すものである。制御部11は、この例では、静止レベルLSが高いほど書込停止フレーム数NFを大きくする。すなわち、静止レベルLSが高いほど、画像の動きが小さいため、書込動作の頻度を下げても、画質が低下しにくい。また、制御部11は、この例では、フレームレートFRが高いほど書込停止フレーム数NFを大きくする。すなわち、フレームレートFRが高い場合には、動きが滑らかになり、ジャーキネスが生じるおそれを低減できるため、書込動作の頻度を下げても、画質が低下しにくい。このように、制御部11は、静止レベルLSおよびフレームレートFRに応じて、書込停止フレーム数NFを設定する。これにより、表示装置1では、画質が低下するおそれを低減しつつ、消費電力を低減することができるようになっている。
【0041】
このように、制御部11は、静止レベルLSに基づいて書込停止フレーム数NFを設定する。これにより、表示装置1では、画質が低下するおそれを低減しつつ、消費電力を低減することができるようになっている。
【0042】
また、制御部11は、動作モード情報Smodeに基づいて、表示装置1の動作を設定する機能をも有している。動作モード情報Smodeは、表示装置1の動作モードを指示するものである。動作モード情報Smodeは、この表示装置1が適用される電子機器のシステムから供給されるものであり、例えば、その電子機器の消費電力設定や、アプリケーションに応じて設定されるものである。動作モードとしては、例えば、通常モードや、複数の低消費電力モード(最小、小、中など)が挙げられる。制御部11は、この動作モード情報Smodeに基づいて、書込停止フレーム数NFを設定する。具体的には、制御部11は、例えば、通常モード、低消費電力モード(中)、低消費電力モード(小)、低消費電力モード(最小)の順に、書込停止フレーム数NFが大きくなるように、書込停止フレーム数NFを設定する。また、制御部11は、動作モード情報Smodeに基づいて、通常動作Aにおける発光デューティ比DUTYや、間欠書込動作Bにおける発光デューティ比DUTYを設定する。これにより、表示装置1では、電子機器の消費電力設定やアプリケーションに応じて、より自由に消費電力の設定や画質の設定を行うことができるようになっている。
【0043】
また、制御部11は、間欠書込動作Bを行う際に、画素電圧Vsigを高くするように信号処理部12および駆動部30に対して指示するとともに、サブ画素9の発光期間を短くするように駆動部30に対して指示する機能をも有している。
【0044】
図6は、サブ画素9の発光動作を表すものである。
図6において、縦軸はそのサブ画素9の輝度Lを示し、横軸は時間tを示す。この例では、サブ画素9は、間欠書込動作Bを行う際、停止前動作B1またはリフレッシュ動作B3と、4フレーム期間分の書込停止動作B2(B2(1)〜B2(4))とを交互に繰り返している。表示装置1では、間欠書込動作Bを行う場合には、通常動作Aを行う場合に比べて、輝度Lを高くするとともに、発光デューティ比DUTYを小さくする。ここで、発光デューティ比DUTYは、1フレーム期間における発光期間の時間割合を示すものである。その際、表示装置1では、通常動作Aにおける1フレーム期間あたりの輝度Lの平均値が、書込停止動作B2などにおける1フレーム期間あたりの輝度Lの平均値と等しくなるように、輝度Lおよび発光デューティ比DUTYを設定する。
【0045】
具体的には、制御部11は、輝度情報IR,IG,IBの値を大きくするように信号処理部12に対して指示するとともに、サブ画素9の発光期間を短くするように制御信号CTLを介して駆動部30に対して指示する。その際、制御部11は、輝度情報IR,IG,IBの値がすでに十分に大きいため、さらに大きくすることができないと判断した場合には、輝度情報IR,IG,IBの値を変更する代わりに、DAC34のリファレンス電圧を変更するように制御信号CTLを介して駆動部30に対して指示するようになっている。
【0046】
また、制御部11は、後述するように、書込停止動作B2において、サブ画素9における画素電圧Vsigの変化に応じて、発光デューティ比DUTYを調整する機能をも有している。すなわち、サブ画素9において、例えば、容量素子Csのリークや、書込トランジスタWSTrのオフリークがある場合には、画素電圧Vsigが時間の経過に応じて徐々に低下するおそれがある。この場合には、そのサブ画素9の輝度Lは、時間の経過に応じて徐々に低下してしまう。表示装置1では、この輝度Lの低下分を補償するように、発光デューティ比DUTYを調節する。これにより、表示装置1では、画質の低下を抑えることができるようになっている。
【0047】
信号処理部12は、制御部11からの指示に基づいて、画像信号Spicに対して所定の画像処理を行い、その処理結果を画像信号Spic2として出力するものである。具体的には、信号処理部12は、間欠書込動作Bを行う際に、上述したように、画像信号Spicに含まれる輝度情報IR,IG,IBの値を大きくするようになっている。
【0048】
ここで、間欠書込動作Bは、本開示における「第1の駆動モード」の一具体例に対応する。通常動作Aは、本開示における「第2の駆動モード」の一具体例に対応する。
制御部11および信号処理部12は、本開示における「制御部」の一具体例に対応する。駆動部30は、本開示における「駆動部」の一具体例に対応する。
【0049】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の表示装置1の動作および作用について説明する。
【0050】
(全体動作概要)
まず、
図1などを参照して、表示装置1の全体動作概要を説明する。静止レベル検出部20は、画像信号Spicに基づいて、静止レベルLSを生成する。制御部11は、画像信号Spic、静止レベルLS、および動作モード情報Smodeに基づいて、信号処理部12および駆動部30を制御する。具体的には、制御部11は、静止レベルLSおよび動作モード情報Smodeに基づいて、書込停止フレーム数NFを設定する。また、制御部11は、間欠書込動作Bを行う際に、画素電圧Vsigを高くするように信号処理部12および駆動部30に対して指示するとともに、サブ画素9の発光期間を短くするように駆動部30に対して指示する。また、制御部11は、書込停止動作B2において、サブ画素9における画素電圧Vsigの変化に応じて、発光デューティ比DUTYを調整する。信号処理部12は、制御部11からの指示に基づいて、画像信号Spicに対して所定の画像処理を行い、その処理結果を画像信号Spic2として出力する。駆動部30は、信号処理部12から供給された画像信号Spic2、および制御部11から供給された制御信号CTLに基づいて、表示部40を駆動する。表示部40は、駆動部30による駆動に基づいて画像を表示する。
【0051】
(詳細動作)
次に、サブ画素9の詳細動作を説明する。まず最初に、通常動作Aについて説明し、その後に、書込停止動作B2について説明する。なお、通常動作A2、停止前動作B1、およびリフレッシュ動作B3は、通常動作Aと同様であるので、説明を省略する。
【0052】
図7は、サブ画素9の通常動作Aのタイミング図を表すものである。この図は、着目した1つのサブ画素9に対する表示駆動の動作例を表すものである。
図7において、(A)は走査信号WSの波形を示し、(B)は電源信号DSの波形を示し、(C)は信号Sigの波形を示し、(D)は駆動トランジスタDRTrのゲート電圧Vgの波形を示し、(E)は駆動トランジスタDRTrのソース電圧Vsの波形を示す。
図7(B)〜(E)では、同じ電圧軸を用いて各波形を示している。
【0053】
駆動部30は、1水平期間(1H)内において、サブ画素9の初期化を行い(初期化期間P1)、駆動トランジスタDRTrの素子ばらつきが画質に与える影響を抑えるためのVth補正を行い(Vth補正期間P2)、サブ画素9に対して画素電圧Vsigの書込みを行うとともに、Vth補正とは異なるμ(移動度)補正を行う(書込・μ補正期間P3)。そして、その後に、サブ画素9の発光素子49が、書き込まれた画素電圧Vsigに応じた輝度Lで発光する(発光期間P4)。以下に、その詳細を説明する。
【0054】
まず、電源線駆動部32は、初期化期間P1の前において、電源信号DSを電圧Viniに設定する(
図7(B))。これにより、駆動トランジスタDRTrがオン状態になり、駆動トランジスタDRTrのソース電圧Vsが、電圧Viniに設定される(
図7(E))。
【0055】
次に、駆動部30は、タイミングt2〜t3の期間(初期化期間P1)において、サブ画素9を初期化する。具体的には、タイミングt2において、データ線駆動部33が、信号Sigを電圧Vofsに設定し(
図7(C))、走査線駆動部31A,31Bが、走査信号WSの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図7(A))。これにより、書込トランジスタWSTrがオン状態になり、駆動トランジスタDRTrのゲート電圧Vgが電圧Vofsに設定される(
図7(D))。このようにして、駆動トランジスタDRTrのゲート・ソース間電圧Vgs(=Vofs−Vini)は、駆動トランジスタDRTrの閾値電圧Vthよりも大きい電圧に設定され、サブ画素9が初期化される。
【0056】
次に、駆動部30は、タイミングt3〜t4の期間(Vth補正期間P2)において、Vth補正を行う。具体的には、電源線駆動部32が、タイミングt3において、電源信号DSを電圧Viniから電圧Vccpに変化させる(
図7(B))。これにより、駆動トランジスタDRTrは飽和領域で動作するようになり、ドレインからソースに電流Idsが流れ、ソース電圧Vsが上昇する(
図7(E))。その際、この例では、ソース電圧Vsは発光素子49のカソードの電圧Vcathよりも低いため、発光素子49は逆バイアス状態を維持し、発光素子49には電流は流れない。このようにソース電圧Vsが上昇することにより、ゲート・ソース間電圧Vgsが低下するため、電流Idsは低下する。この負帰還動作により、電流Idsは“0”(ゼロ)に向かって収束していく。言い換えれば、駆動トランジスタDRTrのゲート・ソース間電圧Vgsは、駆動トランジスタDRTrの閾値電圧Vthと等しくなる(Vgs=Vth)ように収束していく。
【0057】
次に、走査線駆動部31A,31Bは、タイミングt4において、走査信号WSの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図7(A))。これにより、書込トランジスタWSTrはオフ状態になる。そして、データ線駆動部33は、タイミングt5において、信号Sigを画素電圧Vsigに設定する(
図7(C))。
【0058】
次に、駆動部30は、タイミングt6〜t7の期間(書込・μ補正期間P3)において、サブ画素9に対して画素電圧Vsigの書込みを行うとともにμ補正を行う。具体的には、走査線駆動部31A,31Bが、タイミングt6において、走査信号WSの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図7(A))。これにより、書込トランジスタWSTrはオン状態になり、駆動トランジスタDRTrのゲート電圧Vgが、電圧Vofsから画素電圧Vsigに上昇する(
図7(D))。このとき、駆動トランジスタDRTrのゲート・ソース間電圧Vgsが閾値電圧Vthより大きくなり(Vgs>Vth)、ドレインからソースへ電流Idsが流れるため、駆動トランジスタDRTrのソース電圧Vsが上昇する(
図7(E))。このような負帰還動作により、駆動トランジスタDRTrの素子ばらつきの影響が抑えられ(μ補正)、駆動トランジスタDRTrのゲート・ソース間電圧Vgsは、画素電圧Vsigに応じた電圧Vemiに設定される。なお、このようなμ補正の方法については、例えば、特開2006−215213に記載がある。
【0059】
次に、駆動部30は、タイミングt7以降の期間(発光期間P4)において、サブ画素9を発光させる。具体的には、タイミングt7において、走査線駆動部31A,31Bは、走査信号WSの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図7(A))。これにより、書込トランジスタWSTrがオフ状態になり、駆動トランジスタDRTrのゲートがフローティングとなるため、これ以後、容量素子Csの端子間電圧、すなわち、駆動トランジスタDRTrのゲート・ソース間電圧Vgsは維持される。そして、駆動トランジスタDRTrに電流Idsが流れるにつれ、駆動トランジスタDRTrのソース電圧Vsが上昇し(
図7(E))、これに伴って駆動トランジスタDRTrのゲート電圧Vgも上昇する(
図7(D))。そして、駆動トランジスタDRTrのソース電圧Vsが、発光素子49の閾値電圧Velと電圧Vcathの和(Vel+Vcath)よりも大きくなると、発光素子49のアノード・カソード間に電流が流れ、発光素子49が発光する。すなわち、発光素子49の素子ばらつきに応じた分だけソース電圧Vsが上昇し、発光素子49が発光する。
【0060】
その後、駆動部30は、発光デューティ比DUTYに対応する期間が経過した後に、電源信号DSを電圧Vccpから電圧Viniに変化させ、発光期間P4が終了する。なお、通常動作Aでは、このように、電源信号DSが電圧Vccpから電圧Viniに変化することにより、発光期間P4が終了するが、停止前動作B1およびリフレッシュ動作B3では、電源信号DSが電圧Vccpから電圧Vextに変化することにより、発光期間P4が終了する。
【0061】
図8は、サブ画素9の書込停止動作B2のタイミング図を表すものであり、(A)は走査信号WSの波形を示し、(B)は電源信号DSの波形を示し、(C)は信号Sigの波形を示し、(D)は駆動トランジスタDRTrのゲート電圧Vgの波形を示し、(E)は駆動トランジスタDRTrのソース電圧Vsの波形を示す。
【0062】
書込停止動作B2では、走査信号WSの電圧は常に低レベルである。これにより、書込トランジスタWSTrはオフ状態を維持するため、駆動トランジスタDRTrのゲート・ソース間電圧Vgsは、書込・μ補正期間P3で設定された電圧Vemiを維持する。なお、この説明では、便宜上、容量素子Csのリーク等を考慮していない。
【0063】
まず、電源線駆動部32は、電源信号DSを電圧extに設定する(
図8(B))。これにより、駆動トランジスタDRTrがオン状態になり、駆動トランジスタDRTrのソース電圧Vsが、電圧Vextに設定される(
図8(E))。
【0064】
そして、駆動部30は、タイミングt13以降の期間(発光期間P4)において、サブ画素9を発光させる。具体的には、電源線駆動部32が、タイミングt13において、電源信号DSを電圧Vextから電圧Vccpに変化させる(
図8(B))。これにより、駆動トランジスタDRTrは飽和領域で動作するようになり、ドレインからソースに電流Idsが流れ、駆動トランジスタDRTrのソース電圧Vsが上昇し(
図8(E))、これに伴って駆動トランジスタDRTrのゲート電圧Vgも上昇する(
図8(D))。そして、駆動トランジスタDRTrのソース電圧Vsが、発光素子49の閾値電圧Velと電圧Vcathの和(Vel+Vcath)よりも大きくなると、発光素子49のアノード・カソード間に電流が流れ、発光素子49が発光する。すなわち、発光素子49の素子ばらつきに応じた分だけソース電圧Vsが上昇し、発光素子49が発光する。
【0065】
その後、駆動部30は、発光デューティ比DUTYに対応する期間が経過した後に、電源信号DSを電圧Vccpから電圧Vextに変化させ、発光期間P4が終了する。
【0066】
間欠書込動作Bでは、サブ画素9は、停止前動作B1またはリフレッシュ動作B3と、所定のフレーム期間分の書込停止動作B2とを交互に繰り返す。この書込停止動作B2では、書込動作を行わずに発光動作を行う。よって、例えば、容量素子Csのリークや、書込トランジスタWSTrのオフリークがある場合には、画素電圧Vsigが時間の経過に応じて徐々に低下し、その結果、そのサブ画素9の輝度Lは、徐々に低下してしまう。表示装置1では、この輝度Lの低下分を補償するように、発光デューティ比DUTYを調節する。以下に、この動作について詳細に説明する。
【0067】
図9は、間欠書込動作Bにおけるサブ画素9の一動作例を表すものであり、(A)はサブ画素9の輝度Lを示し、(B)は各発光期間P4における輝度Lの積分値(表示輝度LD)を示し、(C)は各発光期間P4の時間幅(発光時間幅W)を示す。この
図9は、説明の便宜上、誇張して描いている。この例では、サブ画素9は、停止前動作B1またはリフレッシュ動作B3と、4フレーム期間分の書込停止動作B2(B2(1)〜B2(4))とを交互に繰り返している。
【0068】
図9(A)に示したように、表示装置1では、書込停止動作B2において、容量素子Csのリークなどに起因して、輝度Lが時間の経過とともに低下する。制御部11は、この輝度Lの低下分を補償するように、発光デューティ比DUTYを調節する。具体的には、制御部11は、フレーム期間の長さを一定に保ちつつ、例えば、輝度Lが高い場合には発光時間幅Wを小さくし、一方、輝度Lが低い場合には発光時間幅Wを大きくする(
図9(C))。これにより、表示装置1では、
図9(B)に示したように、表示輝度LDをほぼ一定にすることができる。
【0069】
その際、制御部11は、発光時間幅Wが急激に変化しないように、発光デューティ比DUTYを調節する。具体的には、この例では、制御部11は、停止前動作B1およびリフレッシュ動作B3の発光デューティ比DUTYを、その次の書込停止動作B2(1)の発光デューティ比DUTYに比べて期間Δ1の分だけ大きくしている。また、同様に、制御部11は、3番目の書込停止動作B2(3)の発光デューティ比DUTYを、4番目の書込停止動作B2(4)の発光デューティ比DUTYに比べて大きくしている。これにより、表示装置1では、比較例に係る表示装置1R(後述)の場合と比べて、ユーザが画像のちらつき(いわゆるフリッカ)を感じるおそれを低減することができ、画質を高めることができる。
【0070】
(比較例)
次に、比較例に係る表示装置1Rについて説明する。本比較例は、発光デューティ比DUTYを調節する方法が、本実施の形態に係る表示装置1と異なるものである。すなわち、本実施の形態(
図1,9など)では、表示輝度LDをほぼ一定にしつつ発光時間幅Wが急激に変化しないように、発光デューティ比DUTYを調節する制御部11を用いて表示装置1Rを構成したが、これに代えて、本比較例では、発光時間幅Wを考慮せず、表示輝度LDを一定にするように発光デューティ比DUTYを調節する制御部11Rを用いて表示装置1Rを構成している。その他の構成は、本実施の形態(
図1)と同様である。
【0071】
図10は、表示装置1Rにおけるサブ画素9の一動作例を表すものであり、(A)はサブ画素9の輝度Lを示し、(B)は表示輝度LDを示し、(C)は発光時間幅Wを示す。
図10(A)に示したように、表示装置1Rにおいて、輝度Lが時間の経過とともに低下する。制御部11Dは、この輝度Lの低下分を補償するように、発光デューティ比DUTYを調節する。具体的には、制御部11Dは、時間の経過に応じて、発光時間幅Wを徐々に大きくしている。すなわち、制御部11Dは、
図10(B)に示したように、表示輝度LDを一定にするように発光デューティ比DUTYを調節する。その結果、発光時間幅Wは、時間の経過に応じて徐々に増加し、リフレッシュ動作B3において、急激に減少する(
図10(C))。
【0072】
このように、比較例に係る表示装置1Rでは、発光時間幅Wがリフレッシュ動作B3の度に急激に変化する。これにより、表示装置1Rでは、画像のちらつき(いわゆるフリッカ)が生じるおそれがある。特に、この間欠書込動作Bは、静止レベルLSが高い(表示画像の動きが少ない)場合に行われるため、動きの多い画像を表示する場合に比べてフリッカが目立ってしまう。また、このようなフリッカは周波数が低いため、ユーザは、このフリッカを感じやすい。すなわち、人間は、フリッカの周波数が70[Hz]程度を下回ると、フリッカを感じるようになる。リフレッシュ動作B3の頻度は、静止レベルLSが高いほど少なくなる。よって、ユーザは、静止レベルLSが高いほど、フリッカを感じてしまう。このように、フリッカが生じる場合には、ユーザは、画質が低下したように感じてしまう。
【0073】
一方、本実施の形態に係る表示装置1では、制御部11は、
図9に示したように、発光時間幅Wが急激に変化しないように、発光デューティ比DUTYを調節するようにした。これにより、表示装置1では、発光時間幅Wの変化が緩やかになるため、ユーザが、フリッカを感じるおそれを低減することができ、画質を高めることができる。
【0074】
また、表示装置1では、
図6に示したように、間欠書込動作Bを行う場合には、通常動作Aを行う場合に比べて、発光デューティ比DUTYを小さくする。これにより、間欠書込動作Bにおいて、発光デューティ比DUTYを大きい値に変化させるためのマージンを確保することができる。その結果、例えば、書込停止フレーム数NFが大きい場合でも、輝度Lの低下分を適切に補償することができる。
【0075】
[効果]
以上のように本実施の形態では、間欠書込動作を行う場合に、画素電圧の低下を考慮して発光デューティ比を調節するようにしたので、画質を高めることができる。
【0076】
本実施の形態では、発光時間幅が急激に変化しないように、発光デューティ比を調節するようにしたので、画質を高めることができる。
【0077】
本実施の形態では、間欠書込動作を行う場合に、通常動作を行う場合に比べて、発光デューティ比を小さくしたので、発光デューティ比のマージンを確保することができ、輝度の低下分を適切に補償することができる。
【0078】
[変形例1−1]
上記実施の形態では、
図6等に示したように、停止前動作B1、書込停止動作B2、およびリフレッシュ動作B3のそれぞれにおいて、サブ画素9を1回発光させたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、
図11,
図12に示す表示装置1Aのように、複数回発光させてもよい。この例では、停止前動作B1、書込停止動作B2、およびリフレッシュ動作B3のそれぞれにおいて、サブ画素9を2回発光させている。この場合でも、通常動作Aにおける1フレーム期間あたりの輝度Lの平均値が、書込停止動作B2などにおける1フレーム期間あたりの輝度Lの平均値と等しくなるように、輝度Lおよび発光デューティ比DUTYを設定する。2つの発光期間の時間長は、互いに等しくしてもよいし、互いに異なるようにしてもよい。この例では、停止前動作B1およびリフレッシュ動作B3の各発光期間P4の発光時間幅Wを、その次の書込停止動作B2(1)の各発光期間P4の発光時間幅Wに比べて大きくするとともに、3番目の書込停止動作B2(3)の各発光期間P4の発光時間幅Wを、4番目の書込停止動作B2(4)の各発光期間P4の発光時間幅Wに比べて大きくしている。
【0079】
なお、この例では、停止前動作B1、書込停止動作B2、およびリフレッシュ動作B3のそれぞれにおいて、サブ画素9を2回発光させたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、3回以上発光させてもよい。具体的には、発光の頻度が、ユーザがちらつきを感じにくくなるような頻度(例えば1秒間に70回以上)になるようにするのが望ましい。
【0080】
[変形例1−2]
上記実施の形態では、表示部40の全表示領域に対して、動的に書込停止フレーム数NFを設定したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、表示部40の一部の表示領域に対してのみ、動的に書込停止フレーム数NFを設定してもよい。以下に、本変形例に係る表示装置1Bについて、詳細に説明する。
【0081】
図13は、表示装置1Bの一構成例を表すものである。表示装置1Bは、制御部11Bを備えている。制御部11Bは、上記実施の形態に係る制御部11と同様に、信号処理部12および駆動部30を制御するものである。その際、制御部11Bは、コンテンツ情報Scにも基づいて、信号処理部12および駆動部30を制御するようになっている。ここで、コンテンツ情報Scは、例えば、他の回路から供給されるものであり、画像信号Spicが示すコンテンツの種類(例えば、シネマ、データ放送、など)を示すものである。
【0082】
図14A,14Bは、制御部11Bのコンテンツ情報Scに基づく動作を表すものである。例えば、コンテンツがシネマである場合には、制御部11Bは、コンテンツ情報Scに基づいて、表示部40の表示領域Sのうち、シネマ画像が表示される中央の領域R22について、静止レベルLSに基づいて動的に書込停止フレーム数NFを設定し、いわゆる黒帯が表示される上下の領域R21,R23について、書込駆動を停止する。これにより、領域R22では、画質が低下するおそれを低減しつつ消費電力を低減することができ、領域R21,R23では、消費電力を低減することができる。また、例えば、コンテンツがデータ放送である場合には、制御部11Bは、コンテンツ情報Scに基づいて、画像の動きが大きい中央の領域R31について、静止レベルLSに基づいて動的に書込停止フレーム数NFを設定し、画像の動きが小さい周辺の領域R32について、やや大きめの所定の書込停止フレーム数NFを設定する。これにより、領域R31では、画質が低下するおそれを低減しつつ消費電力を低減することができ、領域R32では、消費電力を低減することができる。
【0083】
[変形例1−3]
上記実施の形態では、画像信号Spicに基づいて静止レベルLSを求めたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、
図15に示す表示装置1Cのように、外部から静止レベルLSの供給を受けるようにしてもよい。表示装置1Cは、制御部11と、信号処理部12と、駆動部30と、表示部40とを備えている。すなわち、表示装置1Cは、上記実施の形態に係る表示装置1から、静止レベル検出部20を省いたものである。この制御部11には、外部から静止レベルLSが供給されるようになっている。静止レベルLSは、例えば、前段の回路によって生成される。前段の回路としては、例えば、MPEG(Moving Picture Experts Group)デコーダや、フレームレート変換回路などが挙げられる。
【0084】
[その他の変形例]
また、これらの変形例のうちの2以上を組み合わせてもよい。
【0085】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係る表示装置2について説明する。本実施の形態は、間欠書込動作Bを行うときのフレーム期間の長さが変更可能に構成されたものである。なお、上記第1の実施の形態に係る表示装置1と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0086】
図1に示したように、表示装置2は、制御部51を備えている。制御部51は、上記第1の実施の形態に係る制御部11と同様に、書込停止動作B2において、サブ画素9における画素電圧Vsigの変化に応じて、発光時間幅Wを調整するものである。その際、制御部51は、表示輝度LDをほぼ一定にするように発光時間幅Wを調整しつつ、フレーム期間の長さを変更するようになっている。
【0087】
図16は、間欠書込動作Bにおけるサブ画素9の一動作例を表すものであり、(A)はサブ画素9の輝度Lを示し、(B)は各発光期間P4における輝度Lの積分値(表示輝度LD)を示し、(C)は各発光期間P4の時間幅(発光時間幅W)を示す。この
図16は、説明の便宜上、誇張して描いている。この例では、サブ画素9は、停止前動作B1またはリフレッシュ動作B3と、4フレーム期間分の書込停止動作B2(B2(1)〜B2(4))とを交互に繰り返している。なお、停止前動作B1、書込停止動作B2、およびリフレッシュ動作B3のそれぞれにおいて、サブ画素9を2回発光させているが、これに限定されるものではなく、サブ画素9を1回発光させてもよいし、3回以上発光させてもよい。
【0088】
制御部51は、輝度Lの低下分(
図16(A))を補償するように、発光時間幅Wを調整する。その際、制御部51は、隣り合う発光期間P4の間隔を一定に保つように動作を制御する。これにより、表示装置2では、停止前動作B1、書込停止動作B2(1)〜B2(4)、およびリフレッシュ動作B3の各動作期間が、発光時間幅Wに応じて変化する。言い換えれば、表示装置2では、間欠書込動作Bにおいて、フレーム期間の長さが変化する。これにより、表示装置2では、動作の自由度をより高めることができるため、画質を高めることができる。
【0089】
また、制御部51は、停止前動作B1およびリフレッシュ動作B3における各発光期間P4の発光時間幅Wと、書込停止動作B2(1)の各発光期間P4の発光時間幅Wとを同程度にするとともに、書込停止動作B2(3)の各発光期間P4の発光時間幅Wと書込停止動作B2(4)の各発光期間P4の発光時間幅Wとを同程度にする。これにより、表示装置2では、発光時間幅Wの急激な変化を抑えることができるため、ユーザが画像のちらつきを感じるおそれを低減することができ、画質を高めることができる。
【0090】
以上のように本実施の形態では、間欠書込動作において、フレーム期間の長さが変化するようにしたので、動作の自由度をより高めることができるため、画質を高めることができる。その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
【0091】
[変形例2−1]
上記実施の形態では、停止前動作B1およびリフレッシュ動作B3における発光時間幅Wと、書込停止動作B2(1)の発光時間幅Wとを同程度にするとともに、書込停止動作B2(3)の発光時間幅Wと書込停止動作B2(4)の発光時間幅Wとを同程度にしたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、
図17に示すように、停止前動作B1およびリフレッシュ動作B3における発光時間幅Wを、書込停止動作B2(1)の発光時間幅Wよりも長くするとともに、書込停止動作B2(3)の発光時間幅Wを、書込停止動作B2(4)の発光時間幅Wよりも長くしてもよい。
【0092】
[変形例2−2]
また、例えば、
図18に示すように、輝度Lの低下分を補償するように、発光時間幅Wを徐々に大きくし、表示輝度LDを一定にするように発光時間幅Wを調節してもよい。この場合でも、動作の自由度をより高めることができるため、画質を高めることができる。
【0093】
[変形例2−3]
上記実施の形態では、
図16等に示したように、停止前動作B1、書込停止動作B2、およびリフレッシュ動作B3のそれぞれにおいて、サブ画素9を2回発光させたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、
図19,20に示すように、サブ画素9を1回発光させてもよい。
図19は、上記第2の実施の形態の例(
図16)に対応するものであり、
図20は、上記変形例2−1の例(
図17)に対応するものである。
【0094】
[その他の変形例]
上記実施の形態に係る表示装置2に、上記第1の実施の形態の各変形例を適用してもよい。
【0095】
<3.適用例>
次に、上述した実施の形態で説明した表示装置の適用例について説明する。上記実施の形態の表示装置は、テレビジョン装置、電子ブック、スマートフォン(多機能携帯電話)、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、ビデオカメラ、ヘッドマウントディスプレイなど、外部から入力された画像信号あるいは内部で生成した画像信号に基づいて表示を行うあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。
【0096】
図21は、スマートフォン300の外観を表すものである。このスマートフォン300は、操作部310および表示部320を有しており、表示部320が、上記の表示装置により構成されている。
【0097】
上述した実施の形態で説明した表示装置は、様々な電子機器に適用することができる。本技術により、消費電力を低減することができるとともに、画質を高めることができる。本技術は、特に、バッテリを有する携帯型電子機器において、バッテリ駆動時間の長時間化および画質の向上に大きな貢献がある。
【0098】
以上、いくつかの実施の形態および変形例、ならびに電子機器への適用例を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0099】
例えば、上記の各実施の形態では、各サブ画素9に1つの容量素子Csを設けたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、
図22に示すサブ画素7のように、容量素子Csubを設けてもよい。容量素子Csubは、一端が発光素子49のアノードに接続され、他端が発光素子49のカソードに接続されている。すなわち、サブ画素7は、2つのトランジスタ(書込トランジスタWSTr、駆動トランジスタDRTr)および2つの容量素子Cs,Csubを用いて構成される、いわゆる「2Tr2C」の構成を有するものである。
【0100】
例えば、本技術は、ある書込動作と次の書込動作との間が30[msec]以上になるような様々な用途に適用することができる。
【0101】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0102】
なお、本技術は以下のような構成とすることができる。
【0103】
(1)複数の単位画素を有する表示部と、
第1の駆動モードにおいて、各単位画素に対して、書込駆動を行った後に複数の発光期間において発光駆動を行う駆動部と
を備え、
前記複数の発光期間のうちの最初の発光期間以外の所定数の発光期間のうちのいずれか一の発光期間は、前記最初の発光期間よりも長く、前記所定数の発光期間のうちの他のいずれか一の発光期間は、前記最初の発光期間よりも短い
表示装置。
【0104】
(2)隣り合う前記発光期間の開始タイミングの時間間隔は、互いに等しい
前記(1)に記載の表示装置。
【0105】
(3)隣り合う前記発光期間の開始タイミングの時間間隔のうち、いずれか一の時間間隔は、他のいずれか一の時間間隔と互いに異なる
前記(1)に記載の表示装置。
【0106】
(4)各発光期間を挟む2つの非発光期間の長さは、互いに等しい
前記(3)に記載の表示装置。
【0107】
(5)前記駆動部は、画像信号に基づいて、前記画像信号が示すフレーム期間に対応する期間おいて1つの発光期間を設定し、各単位画素を駆動する
前記(1)から(4)のいずれかに記載の表示装置。
【0108】
(6)前記駆動部は、画像信号に基づいて、前記画像信号が示すフレーム期間に対応する期間おいて2以上の発光期間を設定し、各単位画素を駆動する
前記(1)から(4)のいずれかに記載の表示装置。
【0109】
(7)前記駆動部は、前記第1の駆動モードを含む複数の駆動モードのうちの一つを選択し、選択された駆動モードにより各単位画素を駆動する
前記(1)から(6)のいずれかに記載の表示装置。
【0110】
(8)前記複数の駆動は、第2の駆動モードを含み、
前記駆動部は、前記第2の駆動モードにおいて、各単位画素に対して、前記書込駆動を行った後に単一の発光期間において前記発光駆動を行う
前記(7)に記載の表示装置。
【0111】
(9)前記第1の駆動モードにおける各発光期間は、前記第2の駆動モードにおける各発光期間よりも短い
前記(8)に記載の表示装置。
【0112】
(10)前記駆動部は、前記書込駆動において、各単位画素に対して画素電圧を書込み、
前記第1の駆動モードにおける前記画素電圧が示す輝度レベルは、前記第2の駆動モードにおける前記画素電圧が示す輝度レベルよりも高い
前記(8)または(9)に記載の表示装置。
【0113】
(11)前記駆動部は、前記表示部に表示すべき画像の動き量に基づいて、前記複数の駆動モードのうちの一つを選択する
前記(7)から(10)のいずれかに記載の表示装置。
【0114】
(12)前記駆動部は、前記表示部に表示すべき画像のコンテンツに基づいて、前記複数の駆動モードのうちの一つを選択する
前記(7)から(11)のいずれかに記載の表示装置。
【0115】
(13)複数の単位画素を有する表示部と、
第1の駆動モードにおいて、各単位画素に対して、書込駆動を行った後に複数の発光期間において発光駆動を行う駆動部と
を備え、
隣り合う前記発光期間の開始タイミングの時間間隔のうちのいずれか一の時間間隔は、他のいずれか一の時間間隔と互いに異なる
表示装置。
【0116】
(14)各発光期間を挟む2つの非発光期間の長さは、互いに等しい
前記(13)に記載の表示装置。
【0117】
(15)前記複数の発光期間のうちの最初の発光期間以外の所定数の発光期間のうちのいずれか一の発光期間は、前記最初の発光期間よりも長い
前記(13)または(14)に記載の表示装置。
【0118】
(16)隣り合う2つの前記発光期間のうち後ろの発光期間の長さは、前の発光期間の長さ以上である
前記(13)から(15)のいずれかに記載の表示装置。
【0119】
(17)前記最初の発光期間は、前記所定数の発光期間のうちのいずれか一の発光期間よりも長い
前記(13)から(15)のいずれかに記載の表示装置。
【0120】
(18)画像信号を準備し、
第1の駆動モードにおいて、各単位画素に対して、前記画像信号に基づく書込駆動を行った後に複数の発光期間において発光駆動を行い、
前記発光駆動において、前記複数の発光期間のうちの最初の発光期間以外の所定数の発光期間のうちのいずれか一の発光期間を、前記最初の発光期間よりも長く設定し、前記所定数の発光期間のうちの他のいずれか一の発光期間を、前記最初の発光期間よりも短く設定する
駆動方法。
【0121】
(19)表示装置と
前記表示装置に対して動作制御を行う制御部と
を備え、
前記表示装置は、
複数の単位画素を有する表示部と、
第1の駆動モードにおいて、各単位画素に対して、書込駆動を行った後に複数の発光期間において発光駆動を行う駆動部と
を有し、
前記複数の発光期間のうちの最初の発光期間以外の所定数の発光期間のうちのいずれか一の発光期間は、前記最初の発光期間よりも長く、前記所定数の発光期間のうちの他のいずれか一の発光期間は、前記最初の発光期間よりも短い
電子機器。
【0122】
本出願は、日本国特許庁において2014年4月28日に出願された日本特許出願番号2014−092770号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願のすべての内容を参照によって本出願に援用する。
【0123】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。