特許第6561415号(P6561415)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561415
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】非接触型データ受送信体
(51)【国際特許分類】
   H01Q 9/16 20060101AFI20190808BHJP
   H01Q 7/00 20060101ALI20190808BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20190808BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20190808BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   H01Q9/16
   H01Q7/00
   H01Q1/38
   G06K19/07 230
   G06K19/077 252
   G06K19/077 296
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-556599(P2016-556599)
(86)(22)【出願日】2015年10月28日
(86)【国際出願番号】JP2015080403
(87)【国際公開番号】WO2016068195
(87)【国際公開日】20160506
【審査請求日】2018年7月10日
(31)【優先権主張番号】特願2014-221419(P2014-221419)
(32)【優先日】2014年10月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100206999
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 綾夏
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】大石 教博
(72)【発明者】
【氏名】加賀谷 仁
(72)【発明者】
【氏名】水沼 義博
【審査官】 西村 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−167190(JP,A)
【文献】 特開2010−074809(JP,A)
【文献】 特開2011−154612(JP,A)
【文献】 特開2006−203852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−25/04
G06K 19/00−19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップと、該ICチップが接続される第1アンテナと、該第1アンテナと非接触で共振するブースター用の第2アンテナとを備える非接触型データ受送信体であって、
前記第1アンテナは、少なくとも3つの直線部を有する環形状のアンテナであり、
前記第2アンテナは、前記第1アンテナの前記3つの直線部の各々に沿うように、且つ互いに90度以上の角度をなすように中央部が折り曲げられており、前記中央部の中央を通って前記第2アンテナの長手方向に対して垂直な直線を基準として非対称となっているアンテナであり、
前記ICチップは、前記第1アンテナの前記3つの直線部上であって、前記第2アンテナを一直線に伸した場合に、該一直線の中央部に近接するように配置され、該直線部において前記第1アンテナに接続されていることを特徴とする非接触型データ受送信体。
【請求項2】
前記第2アンテナは、前記第1アンテナの前記3つの直線部の各々との間隔が2mm以下となるように配置されていることを特徴とする請求項1記載の非接触型データ受送信体。
【請求項3】
前記第1アンテナは、四角環形状であり、
前記第2アンテナは、前記第1アンテナの長さの4分の3以上の長さに亘って前記第1アンテナに沿うようにされていることを特徴とする請求項1記載の非接触型データ受送信体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型データ受送信体に関する。
本願は、2014年10月30日に、日本に出願された特願2014−221419号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency IDentification)用途の情報記録メディアのように、電磁波または電波を媒体として外部から情報を受信し、また、外部に情報を送信できるようにした非接触型データ受送信体としては、例えば、ICタグが挙げられる。
ICタグの一例としては、ICチップと、ICチップに接続される第1アンテナと、第1アンテナに近接して配置され、第1アンテナと非接触で共振するブースター用の第2アンテナとを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−171428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の非接触型データ受送信体では、第1アンテナが円環形状をなしているのに対して、第2アンテナが3つの直線部を有する形状のアンテナである。そのため、第1アンテナに沿って、第2アンテナが配置されていなかった。これにより、第1アンテナと第2アンテナの間における電磁界結合が弱く、長距離通信が困難であるという課題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、第1アンテナと、第1アンテナと非接触で共振するブースター用の第2アンテナとを備え、これら2つのアンテナの間における電磁界結合が強く、長距離通信を行うことが可能な非接触型データ受送信体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の非接触型データ受送信体は、ICチップと、該ICチップが接続される第1アンテナと、該第1アンテナと非接触で共振するブースター用の第2アンテナとを備える非接触型データ受送信体であって、前記第1アンテナは、少なくとも3つの直線部を有する環形状のアンテナであり、前記第2アンテナは、前記第1アンテナの前記3つの直線部の各々に沿うように、且つ互いに90度以上の角度をなすように中央部が折り曲げられたアンテナであり、前記ICチップは、前記第1アンテナの前記3つの直線部上に配置され、該直線部において前記第1アンテナに接続されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の非接触型データ受送信体において、前記第2アンテナは、前記第1アンテナの前記3つの直線部の各々との間隔が2mm以下となるように配置されていることが好ましい。
【0008】
本発明の非接触型データ受送信体において、前記第1アンテナは、四角環形状であり、前記第2アンテナは、前記第1アンテナの長さの4分の3以上の長さに亘って前記第1アンテナに沿うようにされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1アンテナと、第1アンテナと非接触で共振するブースター用の第2アンテナとを備え、これら2つのアンテナの間における電磁界結合が強く、長距離通信を行うことが可能な非接触型データ受送信体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態の非接触型データ受送信体を示す概略平面図である。
図2】第2の実施形態の非接触型データ受送信体を示す概略平面図である。
図3】第3の実施形態の非接触型データ受送信体を示す概略平面図である。
図4】第4の実施形態の非接触型データ受送信体を示す概略平面図である。
図5】第5の実施形態の非接触型データ受送信体を示す概略平面図である。
図6】第6の実施形態の非接触型データ受送信体を示す概略平面図である。
図7】第7の実施形態の非接触型データ受送信体を示す概略平面図である。
図8】第8の実施形態の非接触型データ受送信体を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の非接触型データ受送信体の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0012】
(1)第1の実施形態
図1は、本実施形態の非接触型データ受送信体を示す概略平面図である。
本実施形態の非接触型データ受送信体10は、ICチップ11と、ICチップ11が接続される第1アンテナ12と、第1アンテナ12と非接触で共振するブースター用の第2アンテナ13と、を備える。
【0013】
第1アンテナ12は、4つの直線部12A,12B,12C,12Dを有する四角環形状のアンテナである。本実施形態では、第1アンテナ12は正方形の環形状をなしている。
【0014】
第2アンテナ13は、中央部13Aと、中央部13Aに連接し、中央部13Aから紙面の左右方向にそれぞれ沿在する直線状のブースターアンテナ部13B,13Bとから構成されている。第2アンテナ13は、第1アンテナ12の3つの直線部12A,12B,12Dの各々に沿うように、且つ互いに90度の角度をなすように中央部13Aが折り曲げられている。言い換えれば、四角環形状をなす第1アンテナ12に沿って配置される第2アンテナ13の中央部13Aは、コ字状をなしている。また、中央部13Aと、ブースターアンテナ部13B,13Bとのなす角度θ,θが90度である。
【0015】
また、第2アンテナ13の中央部13Aは、第2アンテナ13の長手方向(紙面左右方向)の中央に配置され、第2アンテナ13の長手方向と平行な第1直線部14と、第1直線部14に連接し、第1直線部14と垂直(第2アンテナ13の長手方向と垂直)な第2直線部15,15とから構成されている。
さらに、第2アンテナ13は、中央部13Aの中央を通り、第2アンテナ13の長手方向に対して垂直な直線(中心線)を基準として線対称(紙面左右方向に線対称)となっている。
【0016】
本実施形態では、第2アンテナ13において、中央部13Aとブースターアンテナ部13B,13Bとのなす角度θ,θが90度である場合を例示したが、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態では、第2アンテナ13において、中央部13Aとブースターアンテナ部13B,13Bとのなす角度θ,θが90度以上であればよい。第2アンテナ13において、中央部13Aとブースターアンテナ部13B,13Bとのなす角度θ,θが90度未満では、曲げ部での損失の影響が大きくなり通信距離が短くなる。
【0017】
ICチップ11は、第1アンテナ12の直線部12A上に配置され、その直線部12Aにおいて第1アンテナ12に接続されている。また、ICチップ11は、第1アンテナ12の直線部12Aの中央部に配置されている。また、ICチップ11は、第2アンテナ13の第1直線部14の中央部に近接して配置されている。このような配置にすることで、第1アンテナ12に対する給電点としてのICチップ11を第2アンテナ13に近づけることができる。これにより、通信距離を長くすることができる。
【0018】
第2アンテナ13は、第1アンテナ12の3つの直線部12A,12B,12Dの各々との間隔d,d,dが2mm以下となるように配置されていることが好ましい。なお、間隔dは、第1アンテナ12の直線部12Aと第2アンテナ13(中央部13A)との間隔である。間隔dは、第1アンテナ12の直線部12Bと第2アンテナ13(中央部13A)との間隔である。間隔dは、第1アンテナ12の直線部12Dと第2アンテナ13(中央部13A)との間隔である。
このような配置にするのは、第1アンテナ12と第2アンテナ13との電磁界結合を強くするためである。つまり、第2アンテナ13と、第1アンテナ12の3つの直線部12A,12B,12Dの各々との間隔d,d,dが2mmを超えると、第1アンテナ12と第2アンテナ13との間における電磁界結合が弱くなることがある。
【0019】
図1に示すように、第2アンテナ13は、第1アンテナ12の長さの4分の3以上の長さに亘って第1アンテナ12に沿うように配置されていることが好ましい。
このようにすれば、第1アンテナ12と第2アンテナ13との間における電磁界結合をより強くすることができる。
【0020】
また、第1アンテナ12と第2アンテナ13との配置は、以下に示す配置の何れであっても良い。
(a)第1アンテナ12と第2アンテナ13とが同一面に含まれる配置
(b)第1アンテナ12が含まれる面(以下、開口面という)と異なる面に第2アンテナ13が含まれている配置。且つ、開口面を平面視で見た場合に、第2アンテナ13の中央部13Aが第1アンテナの3つの直線部12A,12B,12Dと重なる配置
(c)開口面と異なる面に第2アンテナ13が含まれている配置。且つ、開口面を平面視で見た場合に、第2アンテナ13の中央部13Aをなす第1直線部14及び第2直線部15,15の少なくとも1つが、第1アンテナ12の3つの直線部12A,12B,12Dから位置ずれしている配置(但し、上記間隔d,d,d(開口面と第2アンテナ13が含まれる面との間隔も考慮した間隔)は、2mm以下にされている)
【0021】
このように、本実施形態の非接触型データ受送信体10は、上記(a)の配置、上記(b)の配置、及び上記(c)の配置の何れの配置にすることも可能である。したがって、本実施形態の非接触型データ受送信体10は、設計の自由度が高い。
【0022】
ICチップ11としては、特に限定されず、第1アンテナ12および第2アンテナ13を介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能なものであればよい。ICチップ11としては、非接触型ICタグや非接触型ICラベル、あるいは、非接触型ICカード等のRFIDメディアに適用可能なものであればいかなるものでも用いられる。
【0023】
第1アンテナ12および第2アンテナ13としては、次のものが挙げられる。公知のポリマー型導電インク、銀インク組成物等の導電性のインクからなるアンテナ。金属箔をエッチングしてなるアンテナ。電気メッキや静電メッキ、もしくは金属蒸着等の各種薄膜形成法により形成された金属薄膜からなるアンテナ。板状の金属を打ち抜いたアンテナ。金属からなる繊維状のアンテナ。樹脂からなる繊維に金属等の導電材料を練りこんだアンテナ。樹脂からなる繊維にめっき、もしくは蒸着等で導電性材料を被覆したアンテナ。
【0024】
本実施形態の非接触型データ受送信体10は、第1アンテナ12と第2アンテナ13の間における電磁界結合が強く、且つ、給電点(ICチップ11)が第2アンテナ13に近接している。これにより、本実施形態の非接触型データ受送信体10は、長距離通信を行うことが可能である。
【0025】
(2)第2の実施形態
図2は、本実施形態の非接触型データ受送信体を示す概略平面図である。図2において、図1に示した第1の実施形態の非接触型データ受送信体と同一の構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態の非接触型データ受送信体20が、第1の実施形態の非接触型データ受送信体10と異なる点は、次の2点である。ICチップ11が、第1アンテナ12の直線部12Dの中央部に配置されている点。ICチップ11が、第2アンテナ13の第2直線部15の一方(紙面右側)の中央部に近接して配置されている点。
【0026】
本実施形態の非接触型データ受送信体20は、第1アンテナ12と第2アンテナ13の間における電磁界結合が強く、且つ、給電点(ICチップ11)が第2アンテナ13に近接している。これにより、本実施形態の非接触型データ受送信体20は、長距離通信を行うことが可能である。
【0027】
(3)第3の実施形態
図3は、本実施形態の非接触型データ受送信体を示す概略平面図である。図3において、図1に示した第1の実施形態の非接触型データ受送信体と同一の構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態の非接触型データ受送信体30が、第1の実施形態の非接触型データ受送信体10と異なる点は、次の2点である。ICチップ11が、第1アンテナ12の直線部12Cと直線部12Dとの境界近傍に配置されている点。ICチップ11が、第2アンテナ13の第2直線部15の一方(紙面右側)とブースターアンテナ部13Bとの境界近傍に近接して配置されている点。
【0028】
本実施形態の非接触型データ受送信体30は、第1アンテナ12と第2アンテナ13の間における電磁界結合が強く、且つ、給電点(ICチップ11)が第2アンテナ13に近接している。これにより、本実施形態の非接触型データ受送信体30は、長距離通信を行うことが可能である。
【0029】
(4)第4の実施形態
図4は、本実施形態の非接触型データ受送信体を示す概略平面図である。図4において、図1に示した第1の実施形態の非接触型データ受送信体と同一の構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態の非接触型データ受送信体40が、第1の実施形態の非接触型データ受送信体10と異なる点は、次の2点である。ICチップ11が、第1アンテナ12の直線部12Aと直線部12Dとの境界に配置されている点。ICチップ11が、第2アンテナ13の第1直線部14と第2直線部15の一方(紙面右側)との境界近傍に近接して配置されている点。
【0030】
本実施形態の非接触型データ受送信体40は、第1アンテナ12と第2アンテナ13の間における電磁界結合が強く、且つ、給電点(ICチップ11)が第2アンテナ13に近接している。これにより、本実施形態の非接触型データ受送信体40は、長距離通信を行うことが可能である。
【0031】
(5)第5の実施形態
図5は、本実施形態の非接触型データ受送信体を示す概略平面図である。図5において、図1に示した第1の実施形態の非接触型データ受送信体と同一の構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態の非接触型データ受送信体50が、第1の実施形態の非接触型データ受送信体10と異なる点は、次の点である。第2アンテナ51が、中央部51Aの中央を通り、第2アンテナ51の長手方向に対して垂直な直線を基準として非対称(紙面左右方向に非対称)となっている点。すなわち、第2アンテナ51では、中央部51Aの中央を通り、第2アンテナ51の長手方向に対して垂直な直線を基準として、紙面左側のブースターアンテナ部51Bが、紙面右側のブースターアンテナ部51Cよりも短くなっている。
【0032】
また、本実施形態の非接触型データ受送信体50が、第1の実施形態の非接触型データ受送信体10と異なる点は、次の2点である。ICチップ11が、第1アンテナ12の直線部12Dの中央部に配置されている点。ICチップ11が、第2アンテナ51の第2直線部53(第1直線部52に連接し、第1直線部52と垂直な部分)の一方(紙面右側)の中央部に近接して配置されている点。
また、ICチップ11は、第2アンテナ51を一直線に伸した場合に、その一直線の中央部に近接するように配置されている。
【0033】
本実施形態の非接触型データ受送信体50は、第1アンテナ12と第2アンテナ51の間における電磁界結合が強く、且つ、給電点(ICチップ11)が第2アンテナ51に近接している。これにより、本実施形態の非接触型データ受送信体50は、長距離通信を行うことが可能である。
【0034】
(6)第6の実施形態
図6は、本実施形態の非接触型データ受送信体を示す概略平面図である。
本実施形態の非接触型データ受送信体60は、ICチップ61と、ICチップ61が接続される第1アンテナ62と、第1アンテナ62と非接触で共振するブースター用の第2アンテナ63と、を備える。
【0035】
第1アンテナ62は、5つの直線部62A,62B,62C,62D,62Eを有する五角環形状のアンテナである。本実施形態では、第1アンテナ62は正五角形の環形状をなしている。
【0036】
第2アンテナ63は、中央部63Aと、中央部63Aに連接し、中央部63Aから紙面の左右方向にそれぞれ沿在する直線状のブースターアンテナ部63B,63Bとから構成されている。第2アンテナ63は、第1アンテナ62の3つの直線部62A,62B,62Eの各々に沿うように、且つ互いに90度以上の角度をなすように中央部63Aが折り曲げられている。言い換えれば、五角環形状をなす第1アンテナ62に沿って配置される第2アンテナ63の中央部63Aは、ブースターアンテナ部63B,63B側から次第に幅が狭くなるテーパー形状をなしている。また、中央部63Aと、ブースターアンテナ部63B,63Bとのなす角度θ11,θ12が90度以上である。
【0037】
また、第2アンテナ63の中央部63Aは、第2アンテナ63の長手方向(紙面左右方向)の中央に配置され、第2アンテナ63の長手方向と平行な第1直線部64と、第1直線部64に連接し、第1直線部64と角度θ11,θ12で斜めに交わる第2直線部65,65とから構成されている。
さらに、第2アンテナ63は、中央部63Aの中央を通り、第2アンテナ63の長手方向に対して垂直な直線(中心線)を基準として線対称(紙面左右方向に線対称)となっている。
【0038】
ICチップ61は、第1アンテナ62の直線部62A上に配置され、その直線部62Aにおいて第1アンテナ62に接続されている。また、ICチップ61は、第1アンテナ62の直線部62Aの中央部に配置されている。また、ICチップ61は、第2アンテナ63の第1直線部64の中央部に近接して配置されている。
【0039】
第2アンテナ63は、第1アンテナ62の3つの直線部62A,62B,62Eの各々との間隔d11,d12,d13が2mm以下となるように配置されていることが好ましい。なお、間隔d11は、第1アンテナ62の直線部62Aと第2アンテナ63(中央部63A)との間隔である。間隔d12は、第1アンテナ62の直線部62Bと第2アンテナ63(中央部63A)との間隔である。間隔d13は、第1アンテナ62の直線部62Eと第2アンテナ63(中央部63A)との間隔である。
このような配置にするのは、第1アンテナ62と第2アンテナ63との電磁界結合を強くするためである。つまり、第2アンテナ63と、第1アンテナ62の3つの直線部62A,62B,62Eの各々との間隔d11,d12,d13が2mmを超えると、第1アンテナ62と第2アンテナ63との間における電磁界結合が弱くなることがある。
【0040】
また、第1アンテナ62と第2アンテナ63との配置は、以下に示す配置の何れであっても良い。
(a)第1アンテナ62と第2アンテナ63とが同一面に含まれる配置
(b)第1アンテナ62が含まれる面(以下、開口面という)と異なる面に第2アンテナ63が含まれている配置。且つ、開口面を平面視で見た場合に、第2アンテナ63の中央部63Aが第1アンテナの3つの直線部62A,62B,62Eと重なる配置
(c)開口面と異なる面に第2アンテナ63が含まれている配置。且つ、開口面を平面視で見た場合に、第2アンテナ63の中央部63Aをなす第1直線部64及び第2直線部65,65の少なくとも1つが、第1アンテナ62の3つの直線部62A,62B,62Eから位置ずれしている配置(但し、上記間隔d11,d12,d13(開口面と第2アンテナ63が含まれる面との間隔も考慮した間隔)は、2mm以下にされている)
【0041】
このように、本実施形態の非接触型データ受送信体60は、上記(a)の配置、上記(b)の配置、及び上記(c)の配置の何れの配置にすることも可能である。したがって、本実施形態の非接触型データ受送信体60は、設計の自由度が高い。
【0042】
ICチップ61としては、上記のICチップ11と同様のものが用いられる。
【0043】
第1アンテナ62および第2アンテナ63としては、上記の第1アンテナ12および第2アンテナ13と同様のものが用いられる。
【0044】
本実施形態の非接触型データ受送信体60は、第1アンテナ62と第2アンテナ63の間における電磁界結合が強く、且つ、給電点(ICチップ61)が第2アンテナ63に近接している。これにより、本実施形態の非接触型データ受送信体60は、長距離通信を行うことが可能である。
【0045】
(7)第7の実施形態
図7は、本実施形態の非接触型データ受送信体を示す概略平面図である。
本実施形態の非接触型データ受送信体70は、ICチップ71と、ICチップ71が接続される第1アンテナ72と、第1アンテナ72と非接触で共振するブースター用の第2アンテナ73と、を備える。
【0046】
第1アンテナ72は、3つの直線部72A,72B,72Dと、1つの湾曲部72Cと、を有する環形状のアンテナである。本実施形態では、第1アンテナ72は、3つの直線部72A,72B,72Dによって形成される台形と、台形の上底(紙面上側の辺)に相当する位置に、上底とは反対側に膨出するように配置され、湾曲部72Cによって形成される半円形とから構成される環形状をなしている。
【0047】
第2アンテナ73は、中央部73Aと、中央部73Aに連接し、中央部73Aから紙面の左右方向にそれぞれ沿在する直線状のブースターアンテナ部73B,73Bとから構成されている。第2アンテナ73は、第1アンテナ72の3つの直線部72A,72B,72Dの各々に沿うように、且つ互いに90度以上の角度をなすように中央部73Aが折り曲げられている。言い換えれば、環形状をなす第1アンテナ72に沿って配置される第2アンテナ73の中央部73Aは、ブースターアンテナ部73B,73B側から次第に幅が狭くなるテーパー形状をなしている。また、中央部73Aと、ブースターアンテナ部73B,73Bとのなす角度θ21,θ22が90度以上である。
【0048】
また、第2アンテナ73の中央部73Aは、第2アンテナ73の長手方向(紙面左右方向)の中央に配置され、第2アンテナ73の長手方向と平行な第1直線部74と、第1直線部74に連接し、第1直線部74と角度θ21,θ22で斜めに交わる第2直線部75,75とから構成されている。
さらに、第2アンテナ73は、中央部73Aの中央を通り、第2アンテナ73の長手方向に対して垂直な直線(中心線)を基準として線対称(紙面左右方向に線対称)となっている。
【0049】
ICチップ71は、第1アンテナ72の直線部72A上に配置され、その直線部72Aにおいて第1アンテナ72に接続されている。また、ICチップ71は、第1アンテナ72の直線部72Aの中央部に配置されている。また、ICチップ71は、第2アンテナ73の第1直線部74の中央部に近接して配置されている。
【0050】
第2アンテナ73は、第1アンテナ72の3つの直線部72A,72B,72Dの各々との間隔d21,d22,d23が2mm以下となるように配置されていることが好ましい。なお、間隔d21は、第1アンテナ72の直線部72Aと第2アンテナ73(中央部73A)との間隔である。間隔d22は、第1アンテナ72の直線部72Bと第2アンテナ73(中央部73A)との間隔である。間隔d23は、第1アンテナ72の直線部72Dと第2アンテナ73(中央部73A)との間隔である。
このような配置にするのは、第1アンテナ72と第2アンテナ73との電磁界結合を強くするためである。つまり、第2アンテナ73と、第1アンテナ72の3つの直線部72A,72B,72Dの各々との間隔d21,d22,d23が2mmを超えると、第1アンテナ72と第2アンテナ73との間における電磁界結合が弱くなることがある。
【0051】
また、第1アンテナ72と第2アンテナ73との配置は、以下に示す配置の何れであっても良い。
(a)第1アンテナ72と第2アンテナ73とが同一面に含まれる配置
(b)第1アンテナ72が含まれる面(以下、開口面という)と異なる面に第2アンテナ73が含まれている配置。且つ、開口面を平面視で見た場合に、第2アンテナ73の中央部73Aが第1アンテナの3つの直線部72A,72B,72Dと重なる配置
(c)開口面と異なる面に第2アンテナ73が含まれている配置。且つ、開口面を平面視で見た場合に、第2アンテナ73の中央部73Aをなす第1直線部74及び第2直線部75,75の少なくとも1つが、第1アンテナ72の3つの直線部72A,72B,72Dから位置ずれしている配置(但し、上記間隔d21,d22,d23(開口面と第2アンテナ73が含まれる面との間隔も考慮した間隔)は、2mm以下にされている)
【0052】
このように、本実施形態の非接触型データ受送信体70は、上記(a)の配置、上記(b)の配置、及び上記(c)の配置の何れの配置にすることも可能である。したがって、本実施形態の非接触型データ受送信体70は、設計の自由度が高い。
【0053】
ICチップ71としては、上記のICチップ11と同様のものが用いられる。
【0054】
第1アンテナ72および第2アンテナ73としては、上記の第1アンテナ12および第2アンテナ13と同様のものが用いられる。
【0055】
本実施形態の非接触型データ受送信体70は、第1アンテナ72と第2アンテナ73の間における電磁界結合が強く、且つ、給電点(ICチップ71)が第2アンテナ73に近接している。これにより、本実施形態の非接触型データ受送信体70は、長距離通信を行うことが可能である。
【0056】
(8)第8の実施形態
図8は、本実施形態の非接触型データ受送信体を示す概略平面図である。図8において、図1に示した第1の実施形態の非接触型データ受送信体と同一の構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態の非接触型データ受送信体80は、ICチップ11と、ICチップ11が接続される第1アンテナ12と、第1アンテナ12と非接触で共振するブースター用の第2アンテナ83と、を備える。
【0057】
第2アンテナ83は、凹部84を有する平板状の中央部83Aと、中央部83Aに連接し、中央部83Aから紙面の左右方向にそれぞれ沿在する平板状のブースターアンテナ部83B,83Bとから構成されている。すなわち、図8に示すように、第2アンテナ83は、導電性の平板状(帯状)のアンテナからなる。そして、中央部83Aに、平板の長手方向の一辺(紙面の左右方向の辺)を基端として、平板の短手方向(長手方向と垂直な方向、紙面の上下方向)に窪む凹部84を有している。言い換えれば、第2アンテナ83の凹部84は、第1アンテナ12の3つの直線部12A,12B,12Dの各々に沿うように、且つ互いに90度の角度をなすように、中央部83Aが窪んでなる凹部84が設けられている。また、言い換えれば、第2アンテナ83は、中央部83Aが折り曲げられた3つの辺部84A,84B,84Cを有する凹部84が設けられている。さらに言い換えれば、四角環形状をなす第1アンテナ12に沿って配置される第2アンテナ83の中央部83Aに設けられた凹部84は、コ字状をなしている。また、凹部84と、ブースターアンテナ部83B,83Bとのなす角度θ31,θ32が90度である。
また、第2アンテナ83は、その長手方向に沿って、中央部83Aにおいて折り曲げられて(窪んで)いる。
【0058】
また、第2アンテナ83は、中央部83A(凹部84)の中央を通り、第2アンテナ83の長手方向に対して垂直な直線(中心線)を基準として線対称(紙面左右方向に線対称)となっている。
【0059】
本実施形態では、第2アンテナ83において、中央部83Aとブースターアンテナ部83B,83Bとのなす角度θ31,θ32が90度である場合を例示したが、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態では、第2アンテナ83において、中央部83Aとブースターアンテナ部83B,83Bとのなす角度θ31,θ32が90度以上であればよい。第2アンテナ83において、中央部83Aとブースターアンテナ部83B,83Bとのなす角度θ31,θ32が90度未満では、曲げ部での損失の影響が大きくなり通信距離が短くなる。
【0060】
第2アンテナ83は、第1アンテナ12の3つの直線部12A,12B,12Dの各々との間隔d31,d32,d33が2mm以下となるように配置されていることが好ましい。なお、間隔d31は、第1アンテナ12の直線部12Aと第2アンテナ83(凹部84の底辺をなす辺部84A)との間隔である。間隔d32は、第1アンテナ12の直線部12Bと第2アンテナ83(凹部84の一方の側辺をなす辺部84B)との間隔である。間隔d33は、第1アンテナ12の直線部12Dと第2アンテナ83(凹部84の他方の側辺をなす辺部84C)との間隔である。
このような配置にするのは、第1アンテナ12と第2アンテナ83との電磁界結合を強くするためである。つまり、第2アンテナ83と、第1アンテナ12の3つの直線部12A,12B,12Dの各々との間隔d31,d32,d33が2mmを超えると、第1アンテナ12と第2アンテナ83との間における電磁界結合が弱くなることがある。
【0061】
図8に示すように、第2アンテナ83は、第1アンテナ12の長さの4分の3以上の長さに亘って第1アンテナ12に沿うように配置されていることが好ましい。
このようにすれば、第1アンテナ12と第2アンテナ83との間における電磁界結合をより強くすることができる。
【0062】
また、第1アンテナ12と第2アンテナ83との配置は、以下に示す配置の何れであっても良い。
(a)第1アンテナ12と第2アンテナ83とが同一面に含まれる配置
(b)第1アンテナ12が含まれる面(以下、開口面という)と異なる面に第2アンテナ83が含まれている配置。且つ、開口面を平面視で見た場合に、第2アンテナ83の中央部83A(凹部84)が第1アンテナの3つの直線部12A,12B,12Dと重なる配置
(c)開口面と異なる面に第2アンテナ83が含まれている配置。且つ、開口面を平面視で見た場合に、第2アンテナ83の中央部83Aの凹部84をなす辺部84A,84B及び84Cの少なくとも1つが、第1アンテナ12の3つの直線部12A,12B,12Dから位置ずれしている配置(但し、上記間隔d31,d32,d33(開口面と第2アンテナ83が含まれる面との間隔も考慮した間隔)は、2mm以下にされている)
【0063】
このように、本実施形態の非接触型データ受送信体80は、上記(a)の配置、上記(b)の配置、及び上記(c)の配置の何れの配置にすることも可能である。したがって、本実施形態の非接触型データ受送信体80は、設計の自由度が高い。
【0064】
第2アンテナ83としては、導電性の平板状(帯状)のアンテナが挙げられる。このようなアンテナとしては、次のものが挙げられる。板状の金属を打ち抜いたアンテナ。絶縁基材と、その上に形成した公知のポリマー型導電インク、銀インク組成物等の導電性のインクからなる導電性膜とからなるアンテナ。絶縁基材と、その上に形成した金属箔をエッチングした導電性膜とからなるアンテナ。絶縁基材と、その上に電気メッキや静電メッキ、もしくは金属蒸着等の各種薄膜形成法により形成した金属薄膜とからなるアンテナ。
金属としては、特に限定されないが、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられる。
第2アンテナ83の厚さは、特に限定されないが、例えば、1mm〜3mmである。
【0065】
本実施形態の非接触型データ受送信体80は、第1アンテナ12と第2アンテナ83の間における電磁界結合が強く、且つ、給電点(ICチップ11)が第2アンテナ83に近接している。これにより、本実施形態の非接触型データ受送信体80は、長距離通信を行うことが可能である。
【0066】
上述の非接触型データ受送信体10,20,30,40,50,60,70,80は、対象物(情報を管理する物品等)上に、直接設けられてもよく、接着材や粘着材を介して設けられてもよい。なお、対象物(情報を管理する物品等)上に非接触型データ受送信体10,20,30,40,50,60,70,80を設けるとは、対象物の表面や内面等に、非接触型データ受送信体10,20,30,40,50,60,70,80を設けることを言う。また、非接触型データ受送信体10,20,30,40,50,60,70,80は、ICチップと第1アンテナが基材の一面に設けられて一体化された状態、第2アンテナが基材の一面に設けられて一体化された状態、ICチップと第1アンテナと第2アンテナ、すなわち、非接触型データ受送信体全体が基材の一面に設けられて一体化された状態、いずれの形態であってもよい。
【0067】
なお、第1〜第5の実施形態および第8の実施形態では、第1アンテナ12が四角環形状をなす場合を例示し、第6の実施形態では、第1アンテナ62が五角環形状をなす場合を例示し、第7の実施形態では、第1アンテナ72が3つの直線部72A,72B,72Dと、1つの湾曲部72Cとからなる環形状をなす場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第1アンテナは、少なくとも3つの直線部を有する環形状であればいかなる形状であってもよい。
また、第1〜第7の実施形態では、第2アンテナが、中央部と、中央部に連接し、中央部から紙面の左右方向にそれぞれ沿在する直線状のブースターアンテナ部とから構成されている場合を例示した。また、第8の実施形態では、第2アンテナが、凹部を有する平板状の中央部と、中央部に連接し、中央部から紙面の左右方向にそれぞれ沿在する平板状のブースターアンテナ部とから構成されている、すなわち、第2アンテナが長手方向に沿って、その中央部において折り曲げられた(窪んだ)場合を例示した。このような第2アンテナは、「第1アンテナの3つの直線部の各々に沿うように、且つ互いに90度以上の角度をなすように中央部が折り曲げられた辺部を有するアンテナ」に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
10・・・非接触型データ受送信体
11・・・ICチップ
12・・・第1アンテナ
13・・・第2アンテナ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8