(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6561427
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
F25D 13/00 20060101AFI20190808BHJP
F25D 19/00 20060101ALI20190808BHJP
F25D 21/04 20060101ALI20190808BHJP
F25D 17/06 20060101ALI20190808BHJP
F25D 13/06 20060101ALN20190808BHJP
【FI】
F25D13/00 A
F25D19/00 520C
F25D21/04 Z
F25D17/06 301
!F25D13/06
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-164099(P2018-164099)
(22)【出願日】2018年9月2日
【審査請求日】2018年10月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518313489
【氏名又は名称】株式会社ナガオカ
(74)【代理人】
【識別番号】100163267
【弁理士】
【氏名又は名称】今中 崇之
(72)【発明者】
【氏名】長岡 昭彦
【審査官】
笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−007390(JP,A)
【文献】
特開2009−85575(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0004235(US,A1)
【文献】
国際公開第2004/113807(WO,A1)
【文献】
国際公開第2005/124249(WO,A1)
【文献】
実開昭53−138759(JP,U)
【文献】
特開2006−071252(JP,A)
【文献】
特開平02−247470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00 〜 31/00
A23B 4/06 〜 4/09
A23L 3/36 〜 3/375
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に第1の室と被冷却物が搬入される第2の室とを形成し、該第1の室及び該第2の室をつなぐ開口部が設けられた仕切りと、
前記開口部に配置された冷却コイルと、
前記第1の室に設けられ、前記冷却コイルに対して送風する第1のファンと、を備え、
前記仕切りが、前記冷却コイルが配置された前記開口部を除いて前記第2の室から前記第1の室へと通じる隙間が実質的に生じないように設けられ、
前記第2の室から前記第1の室へと向かう気流が前記冷却コイルを通る冷却装置。
【請求項2】
内部に第1の室と被冷却物が搬入される第2の室とを形成し、該第1の室及び該第2の室をつなぐ開口部が設けられた仕切りと、
前記開口部に配置され、前記第1の室から前記第2の室へと向かう気流及び前記第2の室から前記第1の室へと向かう気流が通過する冷却コイルと、
前記第1の室に設けられ、前記冷却コイルに対して送風する第1のファンと、を備え、
前記仕切りが、前記冷却コイルが配置された前記開口部を除いて前記第2の室から前記第1の室へと通じる隙間が実質的に生じないように設けられている冷却装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の冷却装置において、
前記第2の室に前記被冷却物に対して送風する第2のファンを更に備えた冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷却ファンによる冷気循環により、被冷却物を冷却させる冷却装置が記載されている。この冷却装置は、断熱箱体により形成された室内の少なくとも−側壁側に設けられた冷却器と、冷却器の前方の冷却室と、冷却室の空気を流動させるファンとを備えた冷却装置であって、冷却器と冷却室とは、冷却器に冷気が溜まるように、仕切り板で区画されており、ファンは、仕切り板より冷却器側に配置されており、ファンの前方の仕切り板には開口を備え、開口の大きさは、ファンの径より大きく、ファンをファンの回転軸方向に見たときに、ファンは開口内に配置されており、ファンの外側には開放空間があり、ファンの回転によって、冷却器から開口を経て冷却室に吹き出される冷気の吐出流と、冷却室から開口を経て冷却器に吸引される冷気の吸引流とが生じ、吐出流と吸引流とがぶつかり合って、冷気の流動速度が抑えられ、冷却器の着霜を抑えるように、冷却室の冷気と冷却器に溜った冷気とを入れ替えることを特徴としている。
【0003】
特許文献2には、従来の冷気強制循環方式と比べて構造が簡単でありながら、同等の冷却性能を発揮でき、しかも冷却器への着霜量も少なくすることができる冷却装置が記載されている。この冷却装置は、断熱部材で構成された箱体と、空気を熱交換により冷却する冷却器と、箱体の内部を、冷却器が収容される冷却器室と、被冷却物が収容される貯蔵室との二つの室に区画し、且つ、これら二つの室をつなぐ開口が形成された仕切り板と、冷却器室内に配置され、冷却器で冷却された空気を開口を介して貯蔵室内に送り込むファンと、を備えている。開口は、ファンの直径よりも大きく、且つ、ファンの回転軸方向から見たとき、開口がファンの外周を隙間を開けて取り囲むように配置され、開口の面積Sは、ファンの直径をRとしたとき、1.8×π(R/2)
2≦S≦2.5×π(R/2)
2で規定され、開口の貯蔵庫側の境界面とファンの最前部との間の距離は、0以上、0.2R以下である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2004/113807号
【特許文献2】国際公開第2005/124249号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで一般に、冷却コイルに付着する霜の量が低減された冷却装置が求められている。
本発明は、冷却コイルに付着する霜の量が低減された冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、内部に第1の室と被冷却物が搬入される第2の室とを形成し、該第1の室及び該第2の室をつなぐ開口部が設けられた仕切りと、前記開口部に配置された冷却コイルと、
前記第1の
室に設けられ
、前記冷却コイルに対して送風する第1のファンと、を備え
、前記仕切りが、前記冷却コイルが配置された前記開口部を除いて前記第2の室から前記第1の室へと通じる隙間が実質的に生じないように設けられ、前記第2の室から前記第1の室へと向かう気流が前記冷却コイルを通る冷却装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、
内部に第1の室と被冷却物が搬入される第2の室とを形成し、該第1の室及び該第2の室をつなぐ開口部が設けられた仕切りと、前記開口部に配置され、前記第1の室から前記第2の室へと向かう気流及び前記第2の室から前記第1の室へと向かう気流が通過する冷却コイルと、前記第1の室に設けられ、前記冷却コイルに対して送風する第1のファンと、を備え、前記仕切りが、前記冷却コイルが配置された前記開口部を除いて前記第2の室から前記第1の室へと通じる隙間が実質的に生じないように設けられている冷却装置である。
【0008】
【0009】
請求項
3に記載の発明は、請求項
1又は2記載の発明において、前記第2の室に前記被冷却物に対して送風する第2のファンを更に備える。
【0010】
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、冷却コイルに付着する霜の量が低減された冷却装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る冷却装置の説明図である。
【
図2】同冷却装置が備えるファン及び冷却コイルの配置を示す平面図である。
【
図3】本発明の第2の実施の形態に係る冷却装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、図において、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0014】
〔第1の実施の形態〕
本発明の第1の実施の形態に係る冷却装置10は、
図1に示すように、仕切り板16、冷却コイル12、ファン14a、14b及びファン15を備えている。
【0015】
仕切り板(仕切りの一例)16は、冷却装置10の内部に上側の第1の室20aと下側の第2の室20bとを形成するための部材である。仕切り板16の中央部には、冷却コイル12が配置された開口部が設けられており、この開口部によって第1の室20a及び第2の室20bはつながっている。仕切り板16は、開口部を除いて第1の室20aと第2の室20bとの間を行き来する気流が生じないよう、第2の室20bから第1の室20aへと通じる隙間が生じないように内部の壁面内側に設けられているので、仕切り板16は、第2の室20bから第1の室20aへと戻る気流が冷却コイル12を通るように制御できる。なお、ここにいう「第2の室20bから第1の室20aへと通じる隙間が生じないように」とは、設計上又は製造上の誤差が許容され、「隙間が実質的に生じないように」という意味である。
従って、冷却装置10の内部は、仕切り板16及び冷却コイル12を挟んで、第1の室20aと被冷却物30が搬入される第2の室20bとに分けられている。
仕切り板16は、一枚板で形成されていなくてもよく、複数の板材により形成されていてもよい。
【0016】
なお、第1の室20aには、冷却コイル12やファン14a、14bのメンテナンス用の第1の扉22aが設けられている。
第2の室20bには、被冷却物30を搬入出するための第2の扉22bが設けられている。
【0017】
冷却コイル12は、仕切り板16よりも下側に突出するように仕切り板16に設けられた開口部に配置され、周囲の空気を冷却できる。平面視した際の冷却コイル12の面積は、すべてのファン14a、14bの面積よりも大きくなるように設定されている。
【0018】
ファン14a、14b(第1のファンの一例)は、それぞれ冷却コイル12の上面から距離H1だけ離れた上方に設けられ、下方へと送風することによって、冷却コイル12によって冷却された空気を第2の室20bの下方へと向かって送ることができる。
ファン14a、14bは互いに間隔D1を空けて配置されている。
なお、ファンは2台に限定されるものではない。
【0019】
ファン15(第2のファンの一例)は、送風方向が被冷却物30の方向となるように配置されている。ファン15が被冷却物30に対して送風することによって、被冷却物30が凍結するまでの時間が短縮される。
【0020】
次に、冷却装置10の動作について説明する。
冷却装置10においては、第2の扉22bから被冷却物30が搬入されると、ファン14a、14bによって冷気が第2の室20bに送られる。
第2の室20bに送られた冷気は、再び冷却コイル12を通って第1の室20aに戻る。その際、一部の冷気は、
図1の矢印で示すように、ファン14aとファン14bとの間の隙間(
図2に示すA部参照)を通って、第1の室20aへと戻る。
第1の室20aに戻った冷気は、再びファン14a、14b及び冷却コイル12によって冷却され、第2の室20bへと送られる。
被冷却物30は、このような気流の中で冷却され、乾燥が抑えられた状態で凍結される。
【0021】
発明者はこのような冷却装置10について、その性能を明らかにするための試験を行った。
比較例となる冷却装置は、冷却装置10から仕切り板16を取り除いた冷却装置である。すなわち、本実施形態に係る冷却装置10と比較例となる冷却装置との相違点は、仕切り板16の有無のみである。
付言すると、仕切り板16がない比較例となる冷却装置は、ファン14a、14bによって第2の室20bに送られた冷気が、主として仕切り板16があった場所を通り、冷却コイル12の周囲を回り込むようにして第1の室20aへと戻る。
【0022】
(1)霜の付着量
冷却装置10の冷却コイル12に霜が付着しにくいことを明らかにするため、庫内温度−25℃での冷却運転後の水分量を測定した。
測定の結果、比較例の冷却装置は85gであり、冷却装置10は21gであった。すなわち、冷却装置10においては、霜の付着量は約1/4に低減された。
【0023】
(2)庫内温度の回復特性
冷却装置10の庫内の温度回復が早いことを明らかにするため、庫内温度−25℃まで冷却運転し、第2の扉22bを開放して庫内温度を0℃まで上昇させた後、第2の扉22bを閉めてから庫内温度が−25℃に到達するまでの時間を計測した。
測定の結果、比較例の冷却装置は30分であり、冷却装置10は15分であった。すなわち、冷却装置10においては、庫内温度が2倍早く復帰した。
【0024】
(3)被冷却物30の乾燥特性
冷却装置10の冷却運転による被冷却物30が乾燥しにくいことを明らかにするため、冷却運転後の被冷却物30の乾燥度合いを測定した。乾燥度合いは、冷却前後の被冷却物30の重量の減少量の割合で評価した。
測定の結果、比較例の冷却装置は重量の減少量の割合が12%であり、冷却装置10は2.5%であった。すなわち、冷却装置10においては、乾燥度合いが約1/5に低減され、乾燥が抑えられた。
【0025】
このように、本実施形態に係る冷却装置10によれば、冷却コイル12に霜が付着することが抑制され、庫内温度の回復特性に優れ、被冷却物30の乾燥が抑制される。
【0026】
〔第2の実施の形態〕
続いて、本発明の第2の実施の形態に係る冷却装置50について説明する。
冷却装置50は、いわゆるトンネル式のフリーザーであり、
図3に示すように、仕切り板62、冷却コイル52、ファン54a、54b、ファン55a、55b、ファン56a、56b及びコンベヤ58を備えている。
【0027】
仕切り板(仕切りの一例)62は、冷却装置50の内部に上側の第1の室70aと下側の第2の室70bとを形成するための部材である。仕切り板62の中央部には、冷却コイル52が配置された開口部が設けられており、この開口部によって第1の室70a及び第2の室70bはつながっている。仕切り板62は、開口部を除いて第1の室70aと第2の室70bとの間を行き来する気流が生じないよう、第2の室70bから第1の室70aへと通じる隙間が生じないように内部の壁面内側に設けられているので、仕切り板62は、第2の室70bから第1の室70aへと戻る気流が冷却コイル52を通るように制御できる。なお、ここにいう「第2の室70bから第1の室70aへと通じる隙間が生じないように」とは、設計上又は製造上の誤差が許容され、「隙間が実質的に生じないように」という意味である。
従って、冷却装置50の内部は、仕切り板62及び冷却コイル52を挟んで、第1の室70aと被冷却物80がコンベヤ58に載って搬入される第2の室70bとに分けられている。
仕切り板62は、一枚板で形成されていなくてもよく、複数の板材により形成されていてもよい。
【0028】
冷却コイル52は、仕切り板62よりも下側に突出するように仕切り板62に設けられた開口部に配置され、周囲の空気を冷却できる。平面視した際の冷却コイル52の面積は、すべてのファン54a、54bの面積よりも大きくなるように設定されている。
【0029】
ファン54a、54b(第1のファンの一例)は、それぞれ冷却コイル52の上面から距離H2だけ離れた上方に設けられ、下方へと送風することによって、冷却コイル52によって冷却された空気を第2の室70bの下方へと向かって送ることができる。
ファン54a、54bは互いに間隔D2を空けて配置されている。
なお、ファンは2台に限定されるものではない。
【0030】
ファン55a、55b(第2のファンの一例)は、それぞれ被搬送物80の搬送経路に沿って間隔を空けて配置され、送風方向が被冷却物80の搬送経路と交差する方向となるよう設定されている。これらファン55a、55bが被冷却物80に対して送風することによって、被冷却物80が凍結するまでの時間が短縮される。
【0031】
ファン56a、56bは、庫内の冷気が漏れることを抑制するためのファンであり、それぞれ被冷却物80の搬送経路の入口側及び出口側に設けられている。
コンベヤ58は、冷却装置50の入口から内部を通り、出口へ向かって被冷却物80を搬送できる。
【0032】
次に、冷却装置50の動作について説明する。
冷却装置50においては、ファン54a、54bによって冷気が第2の室70bに送られる。
第2の室70bに送られた冷気は、再び冷却コイル52を通って第1の室70aに戻る。その際、一部の冷気は、
図3の矢印で示すように、ファン54aとファン54bとの間の隙間を通って、第1の室70aへと戻る。
第1の室70aに戻った冷気は、再びファン54a、54b及び冷却コイル52によって冷却され、第2の室70bへと送られる。
被冷却物80は、このような気流の中、入口からコンベヤ58に載って移動するとともに冷却され、乾燥が抑えられた状態で凍結される。
【0033】
このように、本実施の形態に係る冷却装置50によれば、トンネル式のフリーザーが構成されるので、冷却コイル52への霜の付着が抑制されるとともに被冷却物80の乾燥が抑えられた状態で、被冷却物80が効率よく大量に冷凍される。
【0034】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
【符号の説明】
【0035】
10 冷却装置
12 冷却コイル
14a、14b ファン
15 ファン
16 仕切り板
20a 第1の室
20b 第2の室
22a 第1の扉
22b 第2の扉
30 被冷却物
50 冷却装置
52 冷却コイル
54a、54b ファン
55a、55b ファン
56a、56b ファン
58 コンベヤ
62 仕切り板
70a 第1の室
70b 第2の室
80 被冷却物
【要約】
【課題】冷却コイルに付着する霜の量が低減された冷却装置を提供する。
【解決手段】冷却装置10は、内部に第1の室20aと被冷却物30が搬入される第2の室20bとを形成するための仕切り16と、仕切り16に設けられた冷却コイル12と、冷却コイル12の第1の室20aの側に設けられたファン14a、14bと、を備え、仕切り16が、第2の室20bから第1の室20aへと向かう気流が冷却コイル12を通るように制御する。
【選択図】
図1