特許第6561443号(P6561443)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6561443光輝性粉体及びその製造方法、光輝性トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、画像形成方法、並びに、画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561443
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】光輝性粉体及びその製造方法、光輝性トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、画像形成方法、並びに、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/08 20060101AFI20190808BHJP
   G03G 9/09 20060101ALI20190808BHJP
   B03B 5/28 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   G03G9/08 391
   G03G9/09
   B03B5/28 Z
【請求項の数】1
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2014-190942(P2014-190942)
(22)【出願日】2014年9月19日
(65)【公開番号】特開2016-62002(P2016-62002A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 賢
(72)【発明者】
【氏名】原 聡美
(72)【発明者】
【氏名】平井 紗希子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 章太郎
(72)【発明者】
【氏名】杉立 淳
【審査官】 高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−156343(JP,A)
【文献】 特開2007−169378(JP,A)
【文献】 特開2003−026993(JP,A)
【文献】 特開2013−113995(JP,A)
【文献】 特開2013−072944(JP,A)
【文献】 特開2006−227212(JP,A)
【文献】 特開2013−200521(JP,A)
【文献】 特表2013−507494(JP,A)
【文献】 東洋アルミニウム株式会社,製品紹介,リーフィングアルペースト,日本,2013年,URL,http://www.toyal.co.jp/products/pw_pt/product/leafing.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/00−9/16
B03B 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光輝性顔料を液体中に分散する分散工程、
分散した前記光輝性顔料を自然沈降させ沈降速度の遅い顔料を分離し分級する分級工程、及び、
分級した前記光輝性顔料を前記液体中より分離する分離工程を含み、
前記分散工程、分級工程及び分離工程を2回以上繰り返して行う、
平均円相当径が6μm〜15μmであり、円相当径が4μm以下の粒子数が20個数%以下であり、平均円形度が0.900〜0.980であり、かつ円形度が0.850以下の粒子数が20個数%以下である光輝性顔料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光輝性粉体及びその製造方法、光輝性トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、画像形成方法、並びに、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法など、静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在さまざまな分野で利用されている。
従来電子写真法においては、感光体や静電記録体上に種々の手段を用いて静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーと呼ばれる検電性粒子を付着させて静電潜像(トナー像)を現像し、被転写体表面に転写し、加熱等により定着する、という複数の工程を経て、可視化する方法が一般的に使用されている。
トナーの中でも、金属光沢のごとき輝きを有する画像を形成する目的から、光輝性のトナーが用いられている。
上記光輝性のトナーの例としては、例えば、ベタ画像を形成した場合に、該画像に対し変角光度計により入射角−45°の入射光を照射した際に測定される受光角+30°での反射率Aと受光角−30°での反射率Bとの比(A/B)が2以上100以下であるトナーが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−32765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、光輝性に優れる光輝性粉体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は、以下の<1>〜<3>又は<5>〜<8>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<4>とともに以下に記載する。
<1>平均円相当径が6〜15μmであり、円相当径が4μm以下の粒子数が20個数%以下であり、平均円形度が0.900〜0.980であり、かつ円形度が0.850以下の粒子数が20個数%以下である光輝性顔料を含むことを特徴とする光輝性粉体、
<2>光輝性顔料を液体中に分散する分散工程、分散した前記光輝性顔料を自然沈降させ沈降速度の遅い顔料を分離し分級する分級工程、及び、分級した前記光輝性顔料を前記液体中より分離する分離工程を含み、前記分散工程、分級工程及び分離工程を2回以上繰り返して行う、<1>に記載の光輝性粉体の製造方法、
<3><1>に記載の光輝性粉体を含有する、光輝性トナー、
<4>ベタ画像を形成した場合に、前記画像の明度が50以上80以下である、<3>に記載の光輝性トナー、
<5><3>又は<4>に記載の光輝性トナー、及び、キャリアを含む静電荷像現像剤、
<6>画像形成装置に着脱可能であり、<3>又は<4>に記載の光輝性トナーを収容するトナーカートリッジ、
<7>像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像保持体表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像工程、前記トナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程、を含み、前記トナーが<3>又は<4>に記載の光輝性トナーである画像形成方法、
<8>像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体表面に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーにより前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記像保持体から被転写体表面に転写する転写手段と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、前記トナーが<3>又は<4>に記載の光輝性トナーである画像形成装置。
【発明の効果】
【0006】
上記<1>に記載の発明によれば、光輝性顔料の平均円相当径が6〜15μmでないか、円相当径が4μm以下の粒子が20個数%以下でないか、及び/又は、円形度が0.850以下の粒子が20個数%以下でない場合に比して、光輝性に優れる光輝性粉体が提供される。
上記<2>に記載の発明によれば、前記分散工程、分級工程及び分離工程を2回以上繰り返して行わない場合に比して、容易に光輝性に優れる光輝性粉体を製造することができる光輝性粉体の製造方法が提供される。
上記<3>に記載の発明によれば、光輝性顔料の平均円相当径が6〜15μmであり、円相当径が4μm以下の粒子が20個数%以下であり、円形度が0.850以下の粒子が20個数%以下である光輝性粉体を含有しない場合に比して、得られる画像の光輝性に優れる光輝性トナーが提供される。
上記<4>に記載の発明によれば、ベタ画像を形成した場合に、前記画像の明度が50未満であるか、80を超える場合に比して、良好なカラー光輝性画像を得ることができる光輝性トナーが提供される。
上記<5>に記載の発明によれば、トナーにおいて、光輝性顔料の平均円相当径が6〜15μmであり、円相当径が4μm以下の粒子が20個数%以下であり、円形度が0.850以下の粒子が20個数%以下である光輝性粉体を含有しない場合に比して、得られる画像の光輝性に優れる静電荷像現像剤が提供される。
上記<6>に記載の発明によれば、トナーにおいて、光輝性顔料の平均円相当径が6〜15μmであり、円相当径が4μm以下の粒子が20個数%以下であり、円形度が0.850以下の粒子が20個数%以下である光輝性粉体を含有しない場合に比して、得られる画像の光輝性に優れる光輝性トナーを収容するトナーカートリッジが提供される。
上記<7>に記載の発明によれば、トナーにおいて、光輝性顔料の平均円相当径が6〜15μmであり、円相当径が4μm以下の粒子が20個数%以下であり、円形度が0.850以下の粒子が20個数%以下である光輝性粉体を含有しない場合に比して、得られる画像の光輝性に優れる画像形成方法が提供される。
上記<8>に記載の発明によれば、トナーにおいて、光輝性顔料の平均円相当径が6〜15μmであり、円相当径が4μm以下の粒子が20個数%以下であり、円形度が0.850以下の粒子が20個数%以下である光輝性粉体を含有しない場合に比して、得られる画像の光輝性に優れる画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態の静電荷像現像用トナーの一例を概略的に示す平面図及び側面図である。
図2】本実施形態の静電荷像現像用トナーの一例を概略的に示す断面図である。
図3】本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図4】本実施形態のプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本実施形態について説明する。
なお、本実施形態において、「A〜B」との記載は、AからBの間の範囲だけでなく、その両端であるA及びBも含む範囲を表す。例えば、「A〜B」が数値範囲であれば、「A以上B以下」又は「B以上A以下」を表す。
【0009】
(光輝性粉体)
本実施形態の光輝性粉体は、平均円相当径が6〜15μmであり、円相当径が4μm以下の粒子数が20個数%以下であり、平均円形度が0.900〜0.980であり、かつ円形度が0.850以下の粒子数が20個数%以下である光輝性顔料を含有することを特徴とする。
本実施形態の光輝性粉体は、光輝性トナーに好適に用いられる。
なお、本実施形態における「光輝性」とは、金属光沢のごとき輝きを有することを表す。例えば、後述するトナーに光輝性粉体を用いた場合は、トナーによって形成された画像を視認した際に金属光沢のごとき輝きを有する。
【0010】
本発明者らが詳細に検討を行った結果、光輝性粉体を含有するトナーより形成したトナー画像は、その光輝性や明度が光輝性粉体端部における吸収や散乱により大きく影響を受けていること、及び、光輝性顔料として用いられる従来の光輝性粉体には微粉や凹凸形状の粒子が多く含まれていることを見いだした。
本発明者らは鋭意検討した結果、平均円相当径が6〜15μmであり、円相当径が4μm以下の粒子数が20個数%以下であり、平均円形度が0.900〜0.980であり、かつ円形度が0.850以下の粒子数が20個数%以下である光輝性顔料を含有する光輝性粉体とすることで、得られる画像の光輝性に優れることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】
本実施形態の光輝性粉体は、円相当径が4μm以下の粒子が20個数%以下である光輝性顔料を含有する。
円相当径とは、粒子の投影面積と同じ投影面積を有する円と想定したときの、当該円の直径である。
本実施形態の光輝性粉体は、光輝性顔料に含まれる円相当径が4μm以下の粒子が、18個数%以下であることが好ましく、15個数%以下であることがより好ましく、12個数%以下であることが更に好ましい。
【0012】
本実施形態の光輝性粉体は、円形度が0.850以下の粒子が20個数%以下であり、かつ平均円形度が0.900〜0.980である光輝性顔料を含有する。
円形度とは、以下の式により算出される値である。
円形度=円相当径周囲長/周囲長=[2×(Aπ)1/2]/PM
(上式においてAは投影面積、PMは周囲長を表す。)
円径度が1に近づけば近づくほど、当該粒子の形状は真球に近づく。
本実施形態の光輝性粉体における光輝性顔料は、含まれる円形度が0.850以下の粒子が、18個数%以下であることが好ましく、15個数%以下であることがより好ましく、12個数%以下であることが更に好ましい。
本実施形態の光輝性粉体における光輝性顔料は、平均円形度が0.920〜0.980であることが好ましく、0.930〜0.980であることがより好ましく、0.940〜0.980であることが更に好ましい。
【0013】
本実施形態における円相当径及び円形度は、Sysmex社製FPIA−3000で測定するものとする。本装置では、水などに分散させた粒子をフロー式画像解析法によって測定する方式が採用されており、吸引された粒子懸濁液はフラットシースフローセルに導かれ、シース液によって偏平な試料流に形成される。その試料流にストロボ光を照射することにより、通過中の粒子は対物レンズを通してCCDカメラで、静止画像として撮像された。撮像された粒子像を、2次元画像処理して、投影面積と周囲長から円相当径及び円形度を算出した。円相当径は、撮影された各々の粒子に対して、2次元画像の面積から同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出した。
なお、測定にはHPFモード(高分解能モード)を使用し、希釈倍率は1.0倍とした。また、データの解析に当たっては、個数粒径解析範囲を0.50〜200μmとし、円形度解析範囲を0.20〜1.00の範囲に選択した。
【0014】
本実施形態の光輝性粉体に含まれる光輝性顔料は、平均円相当径が6〜15μmであり、6〜12μmであることが好ましく、6〜10μmであることがより好ましく、6〜8μmであることが更に好ましい。上記範囲であると、得られる画像の明度により優れ、また、画質に優れる。
光輝性顔料の平均粒径測定には、Sysmex社製FPIA−3000を使用するものとする。
【0015】
本実施形態の光輝性粉体の粒子形状は、粒子の平均最大厚さよりも粒子の平均円相当径が長い粒子であることが好ましい。
本実施形態の光輝性粉体の平均最大厚さC’と平均円相当径D’との比(C’/D’)が、0.001以上0.500以下であることが好ましく、0.01以上0.500以下であることがより好ましく、0.05以上0.100以下であることが更に好ましい。上記範囲であると、光輝性に優れる。
上記平均最大厚さC’及び平均円相当径D’は、以下の方法により測定される。
光輝性粉体を平滑面にのせ、振動を掛けてムラのないように分散する。1,000個の光輝性粉体について、カラーレーザー顕微鏡「VK−9700」((株)キーエンス製)により1,000倍に拡大して最大の厚さC’と上から見た面の円相当径D’を測定し、それらの算術平均値を求めることにより算出する。
また、本実施形態の光輝性粉体の粒子形状は、扁平状であることが好ましい。
【0016】
光輝性粉体としては、金属粉体、パール顔料等が挙げられる。
光輝性粉体としては、例えば、アルミニウム、黄銅、青銅、ニッケル、ステンレス、亜鉛、銅、銀、金、白金などの金属粉末、酸化チタンや黄色酸化鉄を被覆した雲母、硫酸バリウム、層状ケイ酸塩、層状アルミニウムのケイ酸塩などの被覆薄片状無機結晶基質、単結晶板状酸化チタン、塩基性炭酸塩、酸オキシ塩化ビスマス、天然グアニン、薄片状ガラス粉、金属蒸着された薄片状ガラス粉など、光輝性を有するものならば特に制限はない。中でも、コストや安定性、入手容易性、光輝性の観点から、金属粉体が好ましく、アルミニウム粉体がより好ましく、アルミニウム金属単体の金属粉体であることが特に好ましい。
【0017】
(光輝性粉体の製造方法)
本実施形態の光輝性粉体の製造方法は、特に制限はないが、光輝性顔料を液体中に分散する分散工程、分散した前記光輝性顔料を自然沈降させ沈降速度の遅い顔料を分離し分級する分級工程、及び、分級した前記光輝性顔料を前記液体中より分離する分離工程を含み、前記分散工程、分級工程及び分離工程を2回以上繰り返して行う方法を含むことが好ましい。
【0018】
本実施形態の光輝性粉体の製造方法は、光輝性顔料を液体中に分散する分散工程を含むことが好ましい。
前記分散工程に用いる液体としては、25℃において液体であるものが好ましく、シリコーンオイル、鉱油、流動パラフィン、植物油、及び、動物油よりなる群から選ばれた液体であることがより好ましく、シリコーンオイル、鉱油、及び、流動パラフィンよりなる群から選ばれた液体であることが更に好ましく、シリコーンオイル、及び、鉱油よりなる群から選ばれた液体であることが特に好ましい。また、鉱油としては、ミネラルスピリットが好ましく例示できる。
分散方法としては、特に制限はなく、公知の分散方法や公知の分散装置を用いることができる。
光輝性顔料と液体との混合比は、所望に応じ適宜選択すればよいが、重量比で、光輝性顔料:液体=0.01〜10:100であることが好ましく、光輝性顔料:液体=0.1〜5:100であることがより好ましい。
【0019】
本実施形態の光輝性粉体の製造方法は、分散した前記光輝性顔料を自然沈降させ沈降速度の遅い顔料を分離し分級する分級工程を含むことが好ましい。
前記分級工程においては、自然沈降により分級を行う。光輝性顔料は、球形の粒子が少なく、様々な形状のものが多く、また、方向によって投影面積が大きく変化する粒子も多いため、自然沈降により流れの少ない静置状態で分級し、かつ複数回分級を繰り返すことが好ましい。
分級容器の大きさや形状は、特に制限はなく、所望の大きさや形状の容器を用いればよい。
分級時間も特に制限はなく、自然沈降や分級の進行具合に応じて、適宜選択すればよい。
前記分級工程では、沈降した光輝性顔料を回収するか、及び/又は、沈降していない若しくは沈降途中の光輝性顔料を除去することにより、分級することが好ましい。
【0020】
本実施形態の光輝性粉体の製造方法は、分級した前記光輝性顔料を前記液体中より分離する分離工程を含むことが好ましい。
分離方法としては、特に制限はなく、ろ過や遠心分離等の公知の分離方法を用いることができる。
また、分離工程後、得られた光輝性顔料は、洗浄や乾燥等の公知の工程を任意に行ってもよい。
【0021】
本実施形態の光輝性粉体の製造方法は、前記分散工程、分級工程及び分離工程を2回以上繰り返して行う方法を含むことが好ましい。上述したように、光輝性顔料は、球形の粒子が少なく、様々な形状のものが多く、また、方向によって投影面積が大きく変化する粒子も多いため、十分微粉や凹凸形状の大きい粒子を十分に除去するためには、複数回繰り返すことが好ましい。
【0022】
(光輝性トナー)
本実施形態の光輝性トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)は、本実施形態の光輝性顔料、及び、結着樹脂を含有する。
本実施形態の光輝性トナーにおける光輝性粉体の含有量としては、トナーの全重量100重量部に対して、1重量部以上70重量部以下が好ましく、5重量部以上50重量部以下がより好ましい。
【0023】
<結着樹脂>
本実施形態のトナーは、結着樹脂を含む。
結着樹脂としては、重縮合樹脂、付加重合型樹脂が挙げられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)等を主成分とするスチレン系樹脂、ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリロニトリル等を主成分とする(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらの共重合樹脂が挙げられる。
中でも、結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂が親水性であるため、トナー形成時に良好に分散し、より均一に近い状態でユーロピウム着色剤がトナー母粒子中に取り込まれる。
【0024】
重縮合樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、及び、ポリアミド樹脂等が好ましく例示できるが、特に、重縮合性単量体としてポリカルボン酸とポリオールとを含んだものを用いて得られたポリエステル樹脂であることが好ましい。
本実施形態に用いることのできる重縮合性単量体としては、例えば、多価カルボン酸、ポリオール、ヒドロキシカルボン酸、ポリアミン、又は、それらの混合物が挙げられる。特に、重縮合性単量体としては、多価カルボン酸とポリオールと更にはこれらのエステル化合物(オリゴマー及び/又はプレポリマー)であることが好ましく、直接エステル反応、又はエステル交換反応を経て、ポリエステル樹脂を得るものがよい。
本実施形態において、重縮合樹脂は、重縮合性単量体、それらのオリゴマー及びプレポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種を重縮合して得られるが、これらの中でも重縮合性単量体を使用することが好ましい。
【0025】
多価カルボン酸は、1分子中にカルボキシル基を2個以上含有する化合物である。このうち、ジカルボン酸は1分子中にカルボキシル基を2個含有する化合物であり、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−カルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、マロン酸、ピメリン酸、スペリン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレン二酢酸、o−フェニレン二酢酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等を挙げることができる。
また、ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸、イタコン酸、グルタコン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸等、更にまたこれらの低級エステルなどが挙げられる。更にまた、酸ハロゲン化物、酸無水物もこの限りではない。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、低級エステルとは、エステルのアルコキシ部分の炭素数が1〜8であることを示す。具体的には、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル及びイソブチルエステル等が挙げられる。
【0026】
ポリオールは、1分子中に水酸基を2個以上含有する化合物である。このうち、ジオールは1分子中に水酸基を2個含有する化合物であり、具体的には例えば、ジオールとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、ポリテトラメチレングリコール、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及び、これと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
また、水分散性を容易にするため、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸等が例示される。
【0027】
三価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン、ソルビトール、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、上記三価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、これらの重縮合性単量体の組み合わせにより非結晶性樹脂や結晶性樹脂を容易に得ることができる。
【0028】
また、ヒドロキシカルボン酸を用いることもできる。前記ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシウンデカン酸、リンゴ酸、酒石酸、粘液酸、クエン酸等を挙げることができる。
【0029】
また、ポリアミンとしては、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,4−ブテンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)等を挙げることができる。
【0030】
また、重縮合性単量体を重縮合して得られる重縮合樹脂の重量平均分子量は、1,500以上40,000以下であることが好ましく、3,000以上30,000以下であることがより好ましい。重量平均分子量が1,500以上であると、結着樹脂の凝集力が良好であり、ホットオフセット性に優れ、40,000以下であると、ホットオフセット性に優れ、かつ、最低定着温度が優れた値を示し好ましい。また、単量体のカルボン酸価数、アルコール価数の選択などによって一部枝分かれや架橋などを有していてもよい。
【0031】
また、得られるポリエステル樹脂の酸価は、1mg・KOH/g以上50mg・KOH/g以下であることが好ましい。この第一の理由は、高画質トナーとして実用に供するためには、水系媒体中でのトナーの粒子径、分布の制御が必要不可欠であり、酸価が1mg・KOH/g以上であると、造粒工程において、十分な粒子径及び分布が達成でき、更にトナーに使用した場合、十分な帯電性を得られることである。また重縮合されるポリエステルの酸価が50mg・KOH/g以下であると、重縮合の際トナーとして画質強度を得るための十分な分子量を得られ、また、トナーの高湿度下での帯電性の環境依存も小さく、画像信頼性に優れる。
酸価の測定方法としては、特に制限はないが、JIS K0070に従い測定することが好ましい。
【0032】
非結晶性ポリエステル樹脂を使用する場合、該非結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgは、50〜80℃であることが好ましく、50〜65℃であることがより好ましい。Tgが50℃以上であると、高温度域での結着樹脂自体の凝集力が良好であるため、定着の際にホットオフセット性に優れる。また、Tgが80℃以下であると、十分な溶融が得られ、最低定着温度が上昇しにくい。
結着樹脂のガラス転移温度は、ASTM D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値をいう。
【0033】
付加重合型樹脂の作製に使用する付加重合性単量体としては、カチオン重合性単量体及びラジカル重合性単量体が挙げられるが、ラジカル重合性単量体であることが好ましい。
ラジカル重合性単量体としては、スチレン系単量体類、不飽和カルボン酸類、(メタ)アクリレート類(なお、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートを意味するものとし、以下も同様とする。)、N−ビニル化合物類、ビニルエステル類、ハロゲン化ビニル化合物類、N−置換不飽和アミド類、共役ジエン類、多官能ビニル化合物類、多官能(メタ)アクリレート類等が挙げられる。なお、これらの中で、N−置換不飽和アミド類、共役ジエン類、多官能ビニル化合物類、及び、多官能(メタ)アクリレート類等は、生成された重合体に架橋反応を生起させることもできる。これらを、単独で、あるいは組み合わせて使用できる。
【0034】
本実施形態に用いることができる付加重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体、カチオン重合性単量体、又は、アニオン重合性単量体が挙げられ、ラジカル重合性単量体であることが好ましい。
ラジカル重合性単量体としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物であることが好ましく、芳香族エチレン性不飽和化合物(以下、「ビニル芳香族」ともいう。)、エチレン性不飽和結合を有するカルボン酸(不飽和カルボン酸)、エステルやアルデヒド、ニトリル若しくはアミドなどの不飽和カルボン酸の誘導体、N−ビニル化合物、ビニルエステル類、ハロゲン化ビニル化合物、N−置換不飽和アミド、共役ジエン、多官能ビニル化合物、又は、多官能(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
【0035】
具体的には、例えば、スチレン、p−ビニルピリジン等の無置換ビニル芳香族類、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン等のα−置換スチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン等の芳香核置換スチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、ジブロモスチレン等の芳香核ハロゲン置換スチレン等のビニル芳香族類、(メタ)アクリル酸(なお、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味するものとし、以下も同様とする。)、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステル類、(メタ)アクリルアルデヒド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等の不飽和カルボン酸誘導体類、N−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物類、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル化合物類、N−メチロールアクリルアミド、N−エチロールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メチロールマレインアミド酸、N−メチロールマレインアミド酸エステル、N−メチロールマレイミド、N−エチロールマレイミド等のN−置換不飽和アミド類、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルシクロヘキサン等の多官能ビニル化合物類、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート類等が挙げられる。また、エチレン性不飽和結合を有するスルホン酸やホスホン酸、及び、それらの誘導体も用いることができる。なお、これらの中で、N−置換不飽和アミド類、共役ジエン類、多官能ビニル化合物類、及び、多官能アクリレート類等は、生成された重合体に架橋反応を生起させることもできる。また、これら付加重合性単量体を、1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0036】
また、本実施形態のトナーにおける結着樹脂の含有量は、トナーの全重量に対し、10〜90重量%であることが好ましく、30〜85重量%であることがより好ましく、50〜80重量%であることが更に好ましい。
【0037】
<離型剤>
本実施形態のトナーは、離型剤を含有することが好ましい。
離型剤の具体例としては、例えば、エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンとポリプロピレンの共重合物が好ましいが、ポリグリセリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス、脱酸カルナバワックス、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベフェニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの、不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0038】
前記離型剤は、1種を単独で、又は、2種以上を併用してもよい。
離型剤の含有量は、結着樹脂100重量%に対して、1〜20重量%の範囲で含有することが好ましく、3〜15重量%の範囲で含有することがより好ましい。上記範囲であると、良好な定着及び画質特性の両立が可能である。
【0039】
<他の着色剤>
本実施形態のトナーは、必要に応じ、本実施形態の光輝性粉体以外の着色剤を含有してもよい。
他の着色剤としては、公知のものを用いることができ、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から任意に選択すればよい。
具体的には、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドCローズベンガル、などの種々の顔料や、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種着色剤などが例示できる。
【0040】
また、他の着色剤として、具体的には、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、アニリンブルー(C.I.No.50405)、カルコオイルブルー(C.I.No.azoic Blue3)、クロムイエロー(C.I.No.14090)、ウルトラマリンブルー(C.I.No.77103)、デュポンオイルレッド(C.I.No.26105)、キノリンイエロー(C.I.No.47005)、メチレンブルークロライド(C.I.No.52015)、フタロシアニンブルー(C.I.No.74160)、マラカイトグリーンオクサレート(C.I.No.42000)、ランプブラック(C.I.No.77266)、ローズベンガル(C.I.No.45435)、これらの混合物などを好ましく用いることができる。
【0041】
他の着色剤の使用量は、トナー100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、0.5〜10重量部であることがより好ましい。また、着色剤として、これらの顔料や染料等を1種単独で使用する、又は、2種以上を併せて使用することができる。
他の着色剤の分散方法としては、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、何ら制限されるものではない。また、これらの着色剤粒子は、その他の粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段階で添加してもよい。
【0042】
<外添剤>
本実施形態のトナーは、外添剤を含有していてもよい。
外添剤としては、無機粒子や有機粒子が挙げられ、無機粒子が好ましい。
無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。
中でも、転写性及び得られる画像の光輝性の観点から、外添剤として、シリカ粒子を含むことが好ましく、外添剤がシリカ粒子であることが特に好ましい。
また、前記シリカ粒子は、気相シリカであることが好ましい。
【0043】
前記無機粒子は、表面が予め疎水化処理されていることが好ましい。この疎水化処理によりトナーの粉体流動性改善のほか、帯電の環境依存性、耐キャリア汚染性に対してより効果的である。
前記疎水化処理は、疎水化処理剤に前記無機粒子を浸漬等することにより行ってもよい。前記疎水化処理剤としては特に制限はないが、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイル、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シランカップリング剤が好適に挙げられる。
【0044】
有機粒子は、一般にクリーニング性や転写性を向上させる目的で使用され、具体的には例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
【0045】
外添剤の数平均一次粒径は、5〜300nmであることが好ましく、10〜200nmであることがより好ましい。
また、外添剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
外添剤の含有量は、トナーの全重量に対し、0.01〜5重量部の範囲が好ましく、0.1〜3.0重量部の範囲がより好ましい。
【0046】
<その他の成分>
トナーには、上記成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を添加してもよい。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。上記磁性体等を含有させて磁性トナーとして用いる場合、これらの強磁性体は平均粒子が2μm以下が好ましく、0.1〜0.5μm程度のものがより好ましい。トナー中に含有させる量としては樹脂成分100重量部に対し20〜200重量部が好ましく、特に樹脂成分100重量部に対し40〜150重量部が好ましい。また、10Kエルステッド印加での磁気特性が保磁力(Hc)が20〜300エルステッド、飽和磁化(σs)が50〜200emu/g、残留磁化(σr)が2〜20emu/gのものが好ましい。
【0047】
帯電制御剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、サリチル酸金属錯体、アゾ系金属化合物の様な含金属染料、マレイン酸を単量体成分として含む重合体の如き高分子酸、四級アンモニウム塩、ニグロシン等のアジン系染料等が挙げられる。
【0048】
トナーは、粘弾性調整を目的として、無機粉体を含んでもよい。無機粉体としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等の下記に詳細に列挙する、通常トナー表面の外添剤として使用されるすべての無機粒子が挙げられる。
【0049】
<トナーの態様及び物性>
本実施形態のトナーの体積平均粒径(D50v)は、5μm以上40μm以下であることが好ましく、8μm以上40μm以下であることがより好ましく、10μm以上20μm以下であることが更に好ましい。上記範囲であると、かぶりの発生が少なく、また、クリーニング時に粒子が破壊され、像保持体に傷が付くことが抑制される。
トナーの粒度分布としては狭いほうが好ましく、より具体的にはトナーの個数粒径の小さい方から換算して16%径(D16p)と84%径(D84p)の比を平方根として示したもの(GSDp)、すなわち、下式で表されるGSDpが1.40以下であることが好ましく、1.31以下であることがより好ましく、1.27以下であることが特に好ましい。また、GSDpは1.15以上であることが好ましい。
GSDp={(D84p)/(D16p)}0.5
体積平均粒径、GSDpともに上記範囲であれば、極端に小さな粒子が存在しないため、小粒径トナーの帯電量が過剰になることによる現像性の低下を抑制できる。
【0050】
トナー等の粒子の平均粒径測定には、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用いることができる。この場合、粒子の粒径レベルにより、最適なアパーチャーを用いて測定することができる。測定した粒子の粒径は体積平均粒径で表す。
粒子の粒径がおよそ5μm以下の場合は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、(株)堀場製作所製)を用いて測定することができる。
更に、粒径がナノメーターオーダーの場合は、BET式の比表面積測定装置(Flow SorbII2300、(株)島津製作所製)を用いて測定することができる。
【0051】
本実施形態において、トナーの形状係数SF1は、110以上160以下の範囲が好ましく、120以上150以下の範囲がより好ましい。上記範囲であると、高温高湿環境下における転写むらがより抑制される。
形状係数SF1は、粒子表面の凹凸の度合いを示す形状係数であり、以下の式により算出される。
【0052】
【数1】
【0053】
式中、MLは粒子の最大長を示し、Aは粒子の投影面積を示す。
SF1の具体的な測定方法としては、例えば、まずスライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像を、ビデオカメラを通じて画像解析装置に取り込み、50個のトナーについてSF1を計算し、平均値を求める方法が挙げられる。
【0054】
本実施形態の光輝性トナーは、トナーのベタ画像を形成した場合に、前記画像に対し変角光度計により入射角−45°の入射光を照射した際に測定される受光角+30°での反射率Aと受光角−30°での反射率Bとの比(A/B)が2以上100以下であることが好ましい。上記範囲であると、得られる画像の光輝性により優れる。
上記比(A/B)は、20以上100以下であることが好ましく、40以上100以下であることがより好ましく、50以上100以下であることが更に好ましく、60以上90以下であることが特に好ましい。
【0055】
・変角光度計による比(A/B)の測定
ここで、まず入射角及び受光角について説明する。本実施形態において変角光度計による測定の際には、入射角を−45°とするが、これは光沢度の広い範囲の画像に対して測定感度が高いためである。
また、受光角を−30°及び+30°とするのは、光輝感のある画像と光輝感のない画像を評価するのに最も測定感度が高いためである。
【0056】
次いで、比(A/B)の測定方法について説明する。
本実施形態においては、比(A/B)を測定するに際し、まず「ベタ画像」を以下の方法により形成する。試料となる現像剤を、富士ゼロックス(株)製DocuCentre−III C7600の現像器に充填し、記録紙(OKトップコート+紙、王子製紙(株)製)上に、定着温度190℃、定着圧力4.0kg/cmにて、トナー載り量が4.5g/cmのベタ画像を形成する。なお、前記「ベタ画像」とは印字率100%の画像を指す。
形成したベタ画像の画像部に対し、変角光度計として日本電色工業(株)製の分光式変角色差計GC5000Lを用いて、ベタ画像への入射角−45°の入射光を入射し、受光角+30°における反射率Aと受光角−30°における反射率Bを測定する。なお、反射率A及び反射率Bは、400〜700nmの範囲の波長の光について20nm間隔で測定を行い、各波長における反射率の平均値とした。これらの測定結果から比(A/B)が算出される。
【0057】
本実施形態の光輝性トナーは、トナーの平均最大厚さCよりもトナーの平均円相当径Dが長いことが好ましい。
円相当径Mとは、投影面積が最大面となる扁平面において、投影面積をXとしたとき、以下の式で与えられる。
M=(X/π)1/2
図1に示すトナーは、最大厚さLよりも、円相当径Mが長い扁平状のトナーである。
本実施形態の光輝性トナーは、トナーの平均最大厚さCとトナーの平均円相当径Dとの比(C/D)が、0.001以上0.500以下であることが好ましく、0.01以上0.500以下であることがより好ましく、0.05以上0.100以下であることが更に好ましい。上記範囲であると、得られる画像の光輝性により優れる。
【0058】
上記平均最大厚さC及び平均円相当径Dは、以下の方法により測定される。
トナーを平滑面にのせ、振動を掛けてムラのないように分散する。1,000個のトナーについて、カラーレーザー顕微鏡「VK−9700」((株)キーエンス製)により1,000倍に拡大して最大の厚さCと上から見た面の円相当径Dを測定し、それらの算術平均値を求めることにより算出する。
また、平均長軸長及び平均短軸長は、同様にして1,000個のトナーについて、カラーレーザー顕微鏡(VK−9700)((株)キーエンス製)により1,000倍に拡大して長軸長と短軸長を測定し、それらの算術平均値を求めることにより算出する。
【0059】
本実施形態において、平均最大厚さCは、1〜6μmであることが好ましく、2〜5μmであることがより好ましい。
また、平均円相当径Dは、5〜40μmであることが好ましく、8〜30μmであることがより好ましく、10〜25μmであることが更に好ましい。
平均最大厚さC及び平均円相当径Dが上記範囲内であると、優れた光輝性が得られるので好ましい。
【0060】
また、本実施形態の光輝性トナーは、トナーの厚さ方向への断面を観察した場合に、トナーの前記断面における長軸方向と光輝性顔料の長軸方向との角度が、−30°〜+30°の範囲となる光輝性顔料の数が、観察される全光輝性顔料のうち60個数%以上であることが好ましい。
図1及び図2に示すトナーTは、厚さLよりも円相当径が長い扁平状のトナーであり、鱗片状の顔料粒子MPを含有している。
図2に示すごとく、トナーTが厚さLよりも円相当径が長い扁平状であると、画像形成の現像工程や転写工程において、トナーが像保持体や中間転写体、記録媒体等に移動する際、このトナーの電荷を最大限打ち消すように移動する傾向にあるため、付着する面積が最大となるようトナーが並ぶと考えられる。すなわち、最終的にトナーが転写される記録媒体上において、扁平状のトナーはその扁平な面側が記録媒体表面と相対するよう並ぶと考えられる。また、画像形成の定着工程においても、定着する際の圧力によって、扁平状のトナーはその扁平な面側が記録媒体表面と相対するよう並ぶと考えられる。特にフッ素樹脂粒子を外添することにより、前記のように付着する面積が最大となるようトナーが並ぶことを更に生じやすくさせるものと考えられる。
そのため、このトナー中に含有される鱗片状の顔料粒子のうち前記に示される「トナーの該断面における長軸方向と顔料粒子の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲にある」との要件を満たす顔料粒子は、面積が最大となる面側が記録媒体表面と相対するよう並ぶと考えられる。こうして形成された画像に対し光を照射した場合には、入射光に対して乱反射する顔料粒子の割合が抑制されるため、前述の比(A/B)の範囲が達成されるものと考えられる。
【0061】
前記に示すとおり、トナーの厚さ方向への断面を観察した場合に、トナーの該断面における長軸方向と顔料粒子の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる顔料粒子の数が、観察される全顔料粒子のうち60個数%以上であることが好ましい。更には、上記数が70個数%以上95個数%以下であることがより好ましく、80個数%以上90個数%以下であることが特に好ましい。
上記の数が60個数%以上であることにより優れた光輝性が得られやすい。
【0062】
ここで、トナー断面の観察方法について説明する。
トナーをビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と硬化剤を用いて包埋したのち、切削用サンプルを作製する。次にダイヤモンドナイフを用いた切削機(本実施形態においては、LEICAウルトラミクロトーム((株)日立ハイテクノロジーズ製)を使用)を用いて−100℃の下、切削サンプルを切削し、観察用サンプルを作製する。この観察サンプルを透過型電子顕微鏡(TEM)により倍率5,000倍前後でトナー粒子の断面を観察する。観察された1,000個のトナーについて、トナーの断面における長軸方向と顔料粒子の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる顔料粒子の数を、画像解析ソフトを用いて数えその割合を計算する。
【0063】
なお、「トナーの断面における長軸方向」とは、前述の平均最大厚さCよりも平均円相当径Dが長いトナーにおける厚さ方向と直行する方向を表し、また「顔料粒子の長軸方向」とは、顔料粒子における長さ方向を表す。
【0064】
<光輝性トナーの製造方法>
本実施形態のトナーは、湿式法や乾式法など公知の方法により作製されるが、湿式法で製造することが好ましい。該湿式法としては、溶融懸濁法、乳化凝集法、溶解懸濁法等が挙げられ、中でも、乳化凝集法にて製造することが特に好ましい。
ここで、乳化凝集法とは、トナーに含まれる成分(結着樹脂、着色剤等)を含む分散液(乳化液、光輝性顔料分散液等)をそれぞれ調製し、これらの分散液を混合して混合液とし、その後凝集粒子を結着樹脂の融解温度又はガラス転移温度以上(結晶性樹脂と非結晶性樹脂とを両方含有するトナーを製造する場合には、結晶性樹脂の融解温度以上、かつ非結晶性樹脂のガラス転移温度以上)に加熱してトナー成分同士を凝集させるとともに、合一させる方法である。
【0065】
トナーを乳化凝集法によって製造する場合であれば、例えば以下の製造方法によって調製することが好ましい。
まず、光輝性顔料粒子を準備し、該光輝性顔料粒子と結着樹脂とを溶剤に分散・溶解して混合する。これを転相乳化やせん断乳化により水中へ分散することにより、樹脂で被覆された光輝性顔料粒子を形成する。ここにその他の組成物(例えば離型剤、シェル用樹脂等)を添加し、更に凝集剤を添加し、撹拌しながら温度を樹脂のガラス転移温度(Tg)の近くまで上昇させ、凝集粒子を形成する。この工程において、例えば2枚パドルを有した層流を形成する撹拌翼を使用し、撹拌速度を高速度にして(例えば500rpm以上1,500rpm以下)撹拌することで、光輝性顔料粒子が凝集粒子中で長軸方向の向きを揃え、かつ、凝集粒子も長軸方向に向かって凝集し、トナーの厚さが小さくなる(すなわち、トナーの平均最大厚さCよりもトナーの平均円相当径Dが長いトナーが容易に得られる。)。最後に粒子安定化のためにアルカリ性にした後、温度をトナーのガラス転移温度(Tg)以上、好ましくはTg+20℃付近まで上昇させ、凝集粒子を合一させる。この合一工程において、より低温(例えば60℃以上80℃以下)で合一させることで、材料の再配置に伴う移動を小さくし、顔料の配向性が保たれ、トナーの厚さ方向への断面を観察した場合に、トナーの前記断面における長軸方向と金属顔料の長軸方向との角度が、−30°〜+30°の範囲となる光輝性顔料の数が、観察される全光輝性顔料のうち60個数%以上であるトナーが容易に得られる。
【0066】
なお、上記撹拌速度としては、650rpm以上1,130rpm以下が好ましく、760rpm以上870rpm以下が特に好ましい。また、上記合一工程における合一の温度としては、63℃以上75℃以下が好ましく、65℃以上70℃以下が特に好ましい。
【0067】
トナー母粒子の表面に外添剤する方法としては、特に制限はなく、公知の方法が用いられ、例えば、機械的方法、又は、化学的方法で付着させる方法が挙げられる。
【0068】
(静電荷像現像剤)
本実施形態の静電荷像現像剤(以下、「現像剤」という場合がある。)は、本実施形態の光輝性トナーを含有するものであれば特に制限はなく、また、トナーを単独で用いる一成分系の現像剤であってもよく、トナーとキャリアとを含む二成分系の現像剤であってもよい。なお、一成分系の現像剤の場合には、磁性金属粒子を含むトナーであっても磁性金属粒子を含まない非磁性一成分トナーであっても構わない。
【0069】
キャリアは、公知のキャリアであれば特に制限されるものではなく、鉄粉系キャリア、フェライト系キャリア、表面コートフェライトキャリア等が使用される。また、それぞれの表面添加粉末は所望の表面処理を施して用いてもよい。
キャリアの具体例としては、以下の樹脂被覆キャリアが挙げられる。キャリアの核体粒子としては、通常の鉄粉、フェライト、マグネタイト造型物などが挙げられ、その体積平均粒径は、30〜200μmであることが好ましい。
【0070】
また、上記樹脂被覆キャリアの被覆樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸類;ジメチルアミノエチルメタクリレート等の含窒素アクリル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;弗化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン等のビニル系フッ素含有モノマー;などの単独重合体、又は2種類以上のモノマーからなる共重合体、更に、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等を含むシリコーン樹脂類、ビスフェノール、グリコール等を含有するポリエステル類、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上併用してもよい。被覆樹脂の被覆量としては、前記核体粒子100重量部に対して0.1〜10重量部程度の範囲が好ましく、0.5〜3.0重量部の範囲がより好ましい。
【0071】
キャリアの製造には、加熱型ニーダー、加熱型ヘンシェルミキサー、UMミキサーなどが使用され、前記被覆樹脂の量によっては、加熱型流動転動床、加熱型キルンなどが使用される。
【0072】
キャリアとして、フェライト粒子を核体としてアクリル酸メチル又はアクリル酸エチル及びスチレン等に導電剤としてカーボンブラック等及び又は帯電制御剤としてメラミンビーズ等を分散した樹脂をコートしたキャリアを用いると、コート層を厚膜化しても抵抗制御性に優れるため、画質及び画質維持性に優れ、より好ましい。
現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比としては特に制限はなく、目的に応じて選択される。
【0073】
(画像形成方法)
本実施形態の光輝性トナーを用いた画像形成方法について説明する。本実施形態の光輝性トナーは、公知の電子写真方式を利用した画像形成方法に利用される。具体的には以下の工程を有する画像形成方法において利用される。
すなわち、好ましい画像形成方法は、像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像保持体表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像工程、前記トナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程、を有するもので、前記トナーとして、本実施形態の静電荷像現像用トナーを用いる。また、転写工程は、像保持体から被転写体へのトナー像の転写を媒介する中間転写体を用いたものであってもよい。
また、転写後の前記像保持体表面の残留トナーを除去するクリーニング工程を更に有していてもよい。
【0074】
また、本実施形態の画像形成方法は、得られる画像が、本実施形態の光輝性トナーにより形成された層の上層に、少なくともイエロー、マゼンタ、シアン及びブラック等のカラートナーにより形成された層を有する画像であることが好ましく、本実施形態の光輝性トナーにより形成された層の上層に、少なくともカラートナーにより形成された層を有するカラーメタリック色を有する画像であることがより好ましい。本実施形態の光輝性粉体は、明度が高いため、カラートナー層の下層に用いても、その光輝性が画像において十分発揮され、良好なカラーメタリック画像が特に好適に形成される。
【0075】
前記各工程は、それ自体一般的な工程であり、例えば、特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。なお、本実施形態の画像形成方法は、それ自体公知のコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。
前記静電潜像形成工程は、像保持体(感光体)上に静電潜像を形成する工程である。
前記現像工程は、現像剤保持体上の現像剤層により前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程である。前記現像剤層としては、本実施形態の光輝性トナーを含んでいれば特に制限はない。
前記転写工程は、前記トナー画像を被転写体上に転写する工程である。また、転写工程における被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体が例示できる。
前記定着工程では、例えば、加熱ローラの温度を一定温度に設定した加熱ローラ定着器により、転写紙上に転写したトナー像を定着して複写画像を形成する方式が挙げられる。
前記クリーニング工程は、像保持体上に残留する静電荷像現像剤を除去する工程である。
被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体を使用することができる。
被記録媒体としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される紙、OHPシート等が挙げられ、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
【0076】
本実施形態の画像形成方法においては、更にリサイクル工程をも含む態様でもよい。前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程において回収した静電荷像現像用トナーを現像剤層に移す工程である。このリサイクル工程を含む態様の画像形成方法は、トナーリサイクルシステムタイプのコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施される。また、クリーニング工程を省略し、現像と同時にトナーを回収する態様のリサイクルシステムに適用してもよい。
【0077】
(画像形成装置)
本実施形態の画像形成装置は、本実施形態の光輝性トナーを用いた画像形成装置である。本実施形態の画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体表面に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーにより前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記像保持体から被転写体表面に転写する転写手段と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、前記トナーが本実施形態の光輝性トナーであることが好ましい。
なお、本実施形態の画像形成装置は、上記のような像保持体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも含むものであれば特に限定はされないが、その他必要に応じて、クリーニング手段や除電手段等を含んでいてもよい。
前記転写手段では、中間転写体を用いて2回以上の転写を行ってもよい。また、転写手段における被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体が例示できる。
また、本実施形態の画像形成装置は、本実施形態の光輝性トナー以外に、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラック等の他のカラートナーを備えた装置であることが好ましい。
【0078】
前記像保持体、及び、前記の各手段は、前記の画像形成方法の各工程で述べた構成を好ましく用いることができる。前記の各手段は、いずれも画像形成装置において公知の手段が利用できる。また、本実施形態の画像形成装置は、前記した構成以外の手段や装置等を含むものであってもよい。また、本実施形態の画像形成装置は、前記した手段のうちの複数を同時に行ってもよい。
また、本実施形態の画像形成装置においては、像保持体上に残留する静電荷像現像剤を除去するクリーニング手段を備えることが好ましい。
クリーニング手段としては、例えば、クリーニングブレード、クリーニングブラシなどが挙げられるが、クリーニングブレードが好ましい。
【0079】
なお、この画像形成装置において、例えば前記現像手段を含む部分が、画像形成装置本体に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよく、該プロセスカートリッジとしては、現像剤保持体を少なくとも備え、本実施形態の静電荷像現像用現像剤を収容する本実施形態のプロセスカートリッジが好適に用いられる。
以下、本実施形態の画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0080】
図3は、本実施形態のトナーが適用された現像装置を含む画像形成装置の実施の形態を示す概略構成図である。
同図において、本実施形態の画像形成装置は、定められた方向に回転する像保持体としての感光体ドラム20を有し、この感光体ドラム20の周囲には、感光体ドラム20を帯電する帯電装置21と、この感光体ドラム20上に静電潜像Zを形成する潜像形成装置としての例えば露光装置22と、感光体ドラム20上に形成された静電潜像Zを可視像化する現像装置30と、感光体ドラム20上で可視像化されたトナー像を被転写体である記録紙28に転写する転写装置24と、感光体ドラム20上の残留トナーを清掃するクリーニング装置25とを順次配設したものである。
【0081】
本実施形態において、現像装置30は、図3に示すように、トナー40を含む現像剤Gが収容される現像ハウジング31を有し、この現像ハウジング31には感光体ドラム20に対向して現像用開口32を開設すると共に、この現像用開口32に面してトナー保持体としての現像ロール(現像電極)33を配設し、この現像ロール33に定められた現像バイアスを印加することで、感光体ドラム20と現像ロール33とに挟まれる領域の現像領域に現像電界を形成する。更に、現像ハウジング31内には前記現像ロール33と対向して電荷注入部材としての電荷注入ロール(注入電極)34を設けたものである。特に、本実施の形態では、電荷注入ロール34は現像ロール33にトナー40を供給するためのトナー供給ロールをも兼用したものになっている。
ここで、電荷注入ロール34の回転方向については選定して差し支えないが、トナーの供給性及び電荷注入特性を考慮すると、電荷注入ロール34としては、現像ロール33との対向部にて同方向で且つ周速差(例えば1.5倍以上)をもって回転し、電荷注入ロール34と現像ロール33とに挟まれる領域にトナー40を挟み、摺擦しながら電荷を注入する態様が好ましい。
【0082】
次に、画像形成装置の作動について説明する。
作像プロセスが開始されると、先ず、感光体ドラム20表面が帯電装置21により帯電され、露光装置22が帯電された感光体ドラム20上に静電潜像Zを書き込み、現像装置30が前記静電潜像Zをトナー像として可視像化する。しかる後、感光体ドラム20上のトナー像は転写部位へと搬送され、転写装置24が被転写体である記録紙28に感光体ドラム20上のトナー像を静電的に転写する。なお、感光体ドラム20上の残留トナーはクリーニング装置25にて清掃される。この後、不図示の定着装置によって記録紙28上のトナー像が定着され、画像が得られる。
【0083】
図4は、本実施形態のプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。本実施形態のプロセスカートリッジは、前述の本実施形態のトナーを収容すると共に、該トナーを保持して搬送するトナー保持体を備えることを特徴としている。
【0084】
図4に示すプロセスカートリッジ200は、像保持体としての感光体107とともに、帯電ローラ108、前述の本実施形態のトナーを収容する現像装置111、感光体クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ一体化したものである。このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
なお、図4において符号300は被転写体を表す。
【0085】
図4で示すプロセスカートリッジ200では、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を備えているが、これら装置は選択的に組み合わせてもよい。本実施形態のプロセスカートリッジでは、現像装置111のほかには、感光体107、帯電装置108、クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117から構成される群から選択される少なくとも1種を備える。
【0086】
次に、本実施形態のトナーカートリッジについて説明する。本実施形態のトナーカートリッジは、画像形成装置に着脱自在に装着され、少なくとも、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するためのトナーを収めるトナーカートリッジにおいて、前記トナーが既述した本実施形態のトナーであることを特徴とする。なお、本実施形態のトナーカートリッジには少なくともトナーが収容されればよく、画像形成装置の機構によっては、例えば現像剤が収められてもよい。
【0087】
なお、図3に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ(図示せず)の着脱が自在な構成を有する画像形成装置であり、現像装置30はトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収納されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジを交換してもよい。
【実施例】
【0088】
以下に実施例及び比較例を挙げて本実施形態について更に詳述するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下に実施例において、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を意味し、「%」は「重量%」を意味する。
【0089】
<光輝性顔料の平均粒径、円相当径及び円形度の測定>
光輝性顔料の平均粒径、円相当径及び円形度の測定には、Sysmex社製FPIA−3000により、上述した方法で測定した。
【0090】
<キャリアの体積平均粒子径及びトナーの体積平均粒子径の測定方法>
キャリアの体積平均粒子径は、電子顕微鏡(SEM)を用いて行った。より具体的にはSEMにより画像を得た後、粒子一つにつき粒子の径(最長部分)r1を測定した。これを100個につき測定した後、r1〜r100を球径換算し体積を求め、1番目から100番目までの50%となったときの値を体積平均粒子径とした。
トナーの体積平均粒子径は、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用いて測定した。電解液としては、ISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用した。
測定法としては、まず、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に、測定試料を0.5mg以上50mg以下加え、これを前記電解液100ml以上150ml以下中に添加した。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーII型により、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒径が2.0μm以上60μm以下の範囲の粒子の粒度分布を測定した。測定する粒子数は50,000とした。
測定された粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、重量又は体積について小径側から累積分布を描き、累積50%となる粒径をそれぞれ重量平均粒子径又は体積平均粒子径と定義する。
【0091】
〔トナーの作製〕
<結着樹脂(1)の合成>
・アジピン酸ジメチル:74部
・テレフタル酸ジメチル:192部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物:216部
・エチレングリコール:38部
・テトラブトキシチタネート(触媒):0.037部
上記成分を加熱乾燥した二口フラスコに入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち撹拌しながら昇温した後、160℃で7時間共縮重合反応させ、その後、10Torrまで徐々に減圧しながら220℃まで昇温し4時間保持した。一旦常圧に戻し、無水トリメリット酸9部を加え、再度10Torrまで徐々に減圧し220℃で1時間保持することにより結着樹脂(1)を合成した。
結着樹脂(1)のガラス転移温度(Tg)は、ASTMD3418−8に準拠して、示差走査熱量計((株)島津製作所製:DSC−50)を用い、室温(25℃)から150℃まで昇温速度10℃/分の条件下で測定することにより求めた。なお、ガラス転移温度は吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度とした。結着樹脂(1)のガラス転移温度は63.5℃であった。
【0092】
<樹脂粒子分散液(1)の調製>
・結着樹脂(1):160部
・酢酸エチル:233部
・水酸化ナトリウム水溶液(0.3N):0.1部
上記成分を1000mlのセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株)製)により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液を更に90rpmで更にしながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤することにより樹脂粒子分散液(1)(固形分濃度:30%)を得た。樹脂粒子分散液(1)中における樹脂粒子の体積平均粒子径は、162nmであった。
【0093】
<離型剤分散液の調製>
・カルナバワックス(東亜化成(株)製、RC−160):50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):1.0部
・イオン交換水:200部
以上を混合して95℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で360分間の分散処理をして、体積平均粒子径が0.23μmである離型剤粒子を分散させてなる離型剤分散液(固形分濃度:20%)を調製した。
【0094】
<分級された光輝性金属顔料の調製>
<<分級された光輝性金属顔料(1)の調製>>
−分散1−
ミネラルスピリット(米山薬品工業(株)製)500部にアルミニウム顔料(東洋アルミニウム(株)0670TS、固形分50%)100部(アルミ分として50部)を加え、常温で3時間撹拌した。
【0095】
−分級1−
その後、顔料分散液をメスシリンダー1,000mlに入れ、静置させ沈降を開始した。3時間静置した後、メスシリンダー上部から顔料分散液を400部取り出した。
【0096】
−分散2−
残った顔料分散液100部を400部のミネラルスピリットに分散させ、1時間撹拌した。
【0097】
−分級2−
その後、顔料分散液をメスシリンダー1,000mlに入れ、静置させ、3時間静置した後、メスシリンダー上部から顔料分散液を400部取り出した。
【0098】
−分散3−
分散2の操作を繰り返した。
【0099】
−分離−
残った顔料分散液100部を濾過し、アセトンで洗浄、濾過、乾燥を行い、ミネラルスピリットを除去した。乾燥した顔料の平均円相当径、円相当径が4μm以下の粒子数、平均円形度及び円形度が0.850以下の粒子数をFPIA−3000で測定した。測定した結果を表1に示した。
【0100】
<<分級された光輝性金属顔料(2)の調製>>
分級の静置時間を3時間から1時間にした以外は、分級された光輝性金属顔料(1)と同様にして、分級された光輝性金属顔料(2)を調製した。
【0101】
<<分級された光輝性金属顔料(3)の調製>>
分級の静置時間を3時間から5時間にした以外は、分級された光輝性金属顔料(1)と同様にして、分級された光輝性金属顔料(3)を調製した。
【0102】
<<分級された光輝性金属顔料(4)の調製>>
ミネラルスピリットの代わりにシリコーンオイル(KF−96−50cs)(信越化学工業(株)製)を用い、分級の静置時間を3時間から1時間にした以外は、分級された光輝性金属顔料(1)と同様にして、分級された光輝性金属顔料(4)を調製した。
【0103】
<<分級された光輝性金属顔料(5)の調製>>
ミネラルスピリットの代わりにシリコーンオイル(KF−96−50cs)(信越化学工業(株)製)を用い、分級の静置時間を3時間から5時間にした以外は、分級された光輝性金属顔料(1)と同様にして、分級された光輝性金属顔料(5)を調製した。
【0104】
<<分級された光輝性金属顔料(6)の調製>>
分散と分級とをそれぞれ2回にした以外は、分級された光輝性金属顔料(1)と同様にして、分級された光輝性金属顔料(6)を調製した。
【0105】
<<分級された光輝性金属顔料(7)の調製>>
ミネラルスピリットの代わりにシリコーンオイル(KF−96−50cs)(信越化学工業(株)製)を用い、分散と分級とをそれぞれ2回にした以外は、分級された光輝性金属顔料(1)と同様にして、分級された光輝性金属顔料(7)を調製した。
【0106】
<<分級された光輝性金属顔料(8)の調製>>
分級の静置時間を3時間から0.5時間にした以外は、分級された光輝性金属顔料(1)と同様にして、分級された光輝性金属顔料(8)を調製した。
【0107】
<<分級された光輝性金属顔料(9)の調製>>
分級の静置時間を3時間から7時間にした以外は、分級された光輝性金属顔料(1)と同様にして、分級された光輝性金属顔料(9)を調製した。
【0108】
<<分級された光輝性金属顔料(10)の調製>>
ミネラルスピリットの代わりにシリコーンオイル(KF−96−50cs)(信越化学工業(株)製)を用い、分級の静置時間を3時間から7時間にした以外は、分級された光輝性金属顔料(1)と同様にして、分級された光輝性金属顔料(10)を調製した。
【0109】
<<分級された光輝性金属顔料(11)の調製>>
分散と分級とをそれぞれ1回にした以外は、分級された光輝性金属顔料(1)と同様にして、分級された光輝性金属顔料(11)を調製した。
【0110】
<<分級された光輝性金属顔料(12)の調製>>
ミネラルスピリットの代わりにシリコーンオイル(KF−96−50cs)(信越化学工業(株)製)を用い、分散と分級とをそれぞれ1回にした以外は、分級された光輝性金属顔料(1)と同様にして、分級された光輝性金属顔料(12)を調製した。
【0111】
<光輝性顔料粒子分散液の調製>
<<光輝性顔料粒子分散液(1)の調製>>
・分級された光輝性金属顔料(1):100部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR):1.5部
・イオン交換水:900部
アルミニウム顔料のペーストから溶剤を除去した後、以上を混合し、溶解し、乳化分散機キャビトロン(太平洋機工(株)製、CR1010)を用いて1時間ほど分散して、光輝性顔料粒子(アルミニウム顔料)を分散させてなる光輝性顔料粒子分散液(固形分濃度:10%)を調製した。
【0112】
<<光輝性顔料粒子分散液(2)〜(12)の調製>>
分級された光輝性金属顔料(1)の代わりに分級された光輝性金属顔料(2)〜(12)を用いた以外は、光輝性顔料粒子分散液(1)と同様にして、光輝性顔料粒子分散液(2)〜(12)を調製した。
【0113】
<シアン着色剤分散液の調製>
・C.I.Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン)(大日精化工業(株)製):50部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬(株)製):5部
・イオン交換水:192.9部
上記成分を混合し、アルティマイザ(スギノマシン社製)により240MPaで10分処理し、シアン着色剤分散液を得た(固形分濃度:20%)。
【0114】
<マゼンタ着色剤分散液の調製>
着色剤をC.I.Pigment Blue 15:3からC.I.Pigment Red 122(キナクリドン)(大日精化工業(株)製)に変更した以外はシアン着色剤分散液の調製と同様にして、マゼンタ着色剤分散液を調製した。固形分濃度は20%だった。
【0115】
(実施例1)
<トナーの作製>
・樹脂粒子分散液:325部
・離型剤分散液:48.5部
・光輝性顔料分散液(1):180部
・ノニオン性界面活性剤(IGEPAL CA897、ローディア社製):1.40部
上記原料を円筒ステンレス容器に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)により4,000rpmでせん断力を加えながら10分間分散して混合した。次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液1.75部を徐々に滴下して、ホモジナイザーの回転数を5,000rpmにして15分間分散して混合し、原料分散液とした。
その後、2枚パドルの撹拌翼を用いた撹拌装置、及び、温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、撹拌回転数を810rpmにしてマントルヒーターにて加熱し始め、54℃にて凝集粒子の成長を促進させた。また、この際、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液で原料分散液のpHを2.2以上3.5以下の範囲に制御した。上記pH範囲で2時間ほど保持し、凝集粒子を形成した。
次に、樹脂粒子分散液:50部を追添加し、前記凝集粒子の表面に結着樹脂の樹脂粒子を付着させた。更に56℃に昇温し、光学顕微鏡及びマルチサイザーIIで粒子の大きさ及び形態を確認しながら凝集粒子を整えた。その後、凝集粒子を融合させるためにpHを8.0に上げた後、67.5℃まで昇温させた。光学顕微鏡で凝集粒子が融合したのを確認した後、67.5℃で保持したままpHを6.0まで下げ、1時間後に加熱を止め、1.0℃/分の降温速度で冷却した。その後20μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥してトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の体積平均粒子径は12.2μmであった。また、トナー粒子は、扁平状であり、その平均最大厚さCよりも平均円相当径Dが長いことが確認された。
【0116】
得られたトナー粒子100部に対して疎水性シリカ(日本アエロジル(株)製、RY50)2.0部を、ヘンシェルミキサーを用いて周速30m/sで3分間混合した。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分してトナーを調製した。
【0117】
<キャリアの作製>
・フェライト粒子(体積平均粒子径:35μm):100部
・トルエン:14部
・パーフルオロアクリレート共重合体(臨界表面張力:24dyn/cm):1.6部
・カーボンブラック(商品名:VXC-72、キャボット社製、体積抵抗率:100Ωcm以下):0.12部
・架橋メラミン樹脂粒子(平均粒子径:0.3μm、トルエン不溶):0.3部
まず、パーフルオロアクリレート共重合体に、カーボンブラックをトルエンに希釈して加えサンドミルで分散した。次いで、これにフェライト粒子以外の上記各成分を10分間スターラーで分散し、被覆層形成用溶液を調合した。次いで、この被覆層形成用溶液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダーに入れ、温度60℃において30分間撹拌した後、減圧してトルエンを留去して、樹脂被覆層を形成してキャリアを得た。
【0118】
<現像剤の作製>
前記トナー:36部と前記キャリア:414部とを、Vブレンダーに入れ、20分間撹拌し、その後212μmで篩分して現像剤を作製した。
【0119】
(実施例2〜7、及び、比較例1〜5)
光輝性顔料分散液(1)に代えて、表1に従った光輝性顔料分散液を使用した以外は、実施例1と同様にして、トナー及び現像剤を作製した。
【0120】
<シアントナーの製造>
・結着樹脂分散液:400部
・シアン着色剤分散液:35部
・離型剤分散液1:80部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):1.30部
上記原料を円筒ステンレス容器に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラララックスT50)により4,000rpmでせん断力を加えながら10分間分散混合した。ついで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液0.14部を滴下しはじめ、プレ凝集を促進した。
次に、撹拌装置、温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、マントルヒーターにて加熱し始め、52℃にて2時間保持し、凝集粒子の成長を促進させた。その後、結着樹脂分散液:190部を追添加し、前記凝集粒子の表面に結着樹脂の樹脂粒子を付着させた。光学顕微鏡及びマルチサイザーIIで粒子径を確認しながら凝集粒子を整えた。
その後、凝集粒子を融合させるためにpHを8.5に上げた後、90℃まで昇温させた。昇温後、90℃で3時間保持し、顕微鏡で粒子が融合したのを確認した後90℃で保持したまま、再度pHを6.5まで下げて、1時間後に加熱を止め、放冷した。その後20μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥した。以上のように造粒したトナー粒子の体積平均粒子径は7.3μmであった。
得られたトナー粒子100部に対して疎水性シリカ(日本アエロジル(株)製、RY50)1.5部を、サンプルミルを用いて10,000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分してイエロートナーを調製した。
【0121】
<シアン現像剤の製造>
キャリアとシアントナーとを、それぞれ100部:8部の割合でVブレンダーで混合し、イエロー現像剤を製造した。
【0122】
<マゼンタトナーの製造>
シアン着色剤分散液をマゼンタ着色剤分散液に変更した以外はシアントナーの製造と同様にしてマゼンタトナーを製造した。得られたマゼンタトナーを用いてシアン現像剤の場合と同様にしてマゼンタ現像剤を製造した。
【0123】
<評価試験>
−ベタ画像の形成−
以下の方法によりベタ画像を形成した。
各例で得られた現像剤を、富士ゼロックス(株)製DocuCentre−III C7600の現像器に充填し、記録紙(OKトップコート+紙、王子製紙(株)製)上に、定着温度190℃、定着圧力4.0kg/cmにて、トナー載り量が4.5g/cmのベタ画像を形成する。なお、前記「ベタ画像」とは印字率100%の画像を指す。
【0124】
−ベタ画像の明度の測定−
形成したベタ画像に対し、分光測色計としてX−Rite社製のX−Rite938を用いて、ベタ画像の明度を測定した。結果を表1に示す。
【0125】
−光輝性の評価−
形成したベタ画像に対し、JIS K 5600−4−3:1999「塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第3節:色の目視比較」に準じた色観察用照明(自然昼光照明)下で目視にて光輝性を評価した。なお評価は、粒子感(キラキラと輝く光輝性の効果)、光学的効果(見る角度による色相の変化)を評価し、下記段階とした。2以上が実際に使用可能なレベルである。
得られた結果を表1に示す。
【0126】
−評価基準−
5:粒子感と光学的効果が調和している
4:やや粒子感、光学的効果がある
3:普通の感覚
2:ぼけた感じがする
1:全く粒子感、光学的効果がない
【0127】
−色相角270°の彩度の測定−
シアン現像剤、マゼンタ現像剤、並びに、実施例又は比較例の光輝性トナー現像剤を用い、富士ゼロックス(株)製DocuCentre−III C7600の現像器に充填した。光輝性トナー現像剤は黒用現像器に入れ、光輝性トナー画像についてはベタ画像(トナー載り量)が4.5g/cmとなるように現像し、その上にシアントナー及びマゼンタトナーのハーフトーン画像を形成し、色相角が270°となる画像を記録紙(OKトップコート+紙、王子製紙(株)製)上に、定着温度190℃、定着圧力4.0kg/cmにて形成した。形成した画像に対し、分光測色計としてX−Rite社製のX−Rite938を用いて、画像の最大彩度を測定した。結果を表1に示す。
【0128】
【表1】
【0129】
本実施形態では、光輝性のある彩度の高いカラー画像を得ることができた。これに対し、比較例では光輝性が劣るか、又は、カラー画像の彩度が劣る結果であった。
【符号の説明】
【0130】
T:トナー、MP:光輝性顔料、L:トナーの厚さ、20:感光体(像保持体)ドラム、21:帯電装置、22:露光装置、24:転写装置、25:クリーニング装置、28:記録紙、30:現像装置、31:現像ハウジング、32:現像用開口、33:現像ロール、34:電荷注入ロール、40:トナー、107:感光体(像保持体)、108:帯電ローラ、111:現像装置(現像手段)、112:転写装置、113:感光体クリーニング装置(クリーニング手段)、115:定着装置(定着手段)、116:取り付けレール、117:除電露光のための開口部、118:露光のための開口部、200:プロセスカートリッジ、300:記録紙(被転写体)、Z:静電潜像
図1
図2
図3
図4