特許第6561452号(P6561452)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561452
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】訓練装置、算出方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61H 1/02 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
   A61H1/02 G
   A61H1/02 K
   A61H1/02 N
【請求項の数】13
【全頁数】49
(21)【出願番号】特願2014-220047(P2014-220047)
(22)【出願日】2014年10月29日
(65)【公開番号】特開2016-83309(P2016-83309A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2017年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】村上 武
(72)【発明者】
【氏名】大松 弘明
【審査官】 胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/117486(WO,A1)
【文献】 特開2005−118466(JP,A)
【文献】 特開平09−154900(JP,A)
【文献】 国際公開第1995/030059(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/056152(WO,A1)
【文献】 特開2014−182318(JP,A)
【文献】 特開平08−229084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者自らの上肢及び/又は下肢の四肢の動きに追従するように動作する訓練プログラムを実行し、前記四肢を訓練する訓練装置であって、
床面上又は床面に近接して載置される固定フレームに、2以上の自由度にて動作可能に支持され、保持した肢を動作させる操作ロッドと、
前記操作ロッドに加えられた力量の前記操作ロッドが動作可能な対応する各自由度方向の成分である力量成分のそれぞれを検出し、検出された前記力量成分の大きさに基づいた力量成分信号を出力する複数の力量検出部と、
前記操作ロッドの、前記操作ロッドが動作可能な対応する各自由度方向の動作位置を検出する複数の動作位置検出部と、
前記操作ロッドが動作可能な範囲を定める操作ロッド可動領域の境界を定める可動領域境界線に沿った方向の速度成分である境界線方向速度を算出する境界線方向速度算出部と、
前記操作ロッドの現在の動作位置において前記操作ロッドに前記各自由度方向の力量成分を合成した合成力量が加えられたときに、前記操作ロッドが到達すると予測される予測動作位置を算出する動作位置予測部と、
前記予測動作位置が前記操作ロッド可動領域外に存在すると予測されたとき、前記境界線方向速度を含む速度を、前記操作ロッドが動作すべき動作速度として算出する動作速度算出部と、
を備える訓練装置。
【請求項2】
所定の訓練プログラムに従って、使用者の上肢及び/又は下肢の四肢を訓練する訓練装置であって、
床面上又は床面に近接して載置される固定フレームに、2以上の自由度にて動作可能に支持され、保持した肢を動作させる操作ロッドと、
前記操作ロッドに加えられた力量の前記操作ロッドが動作可能な対応する各自由度方向の成分である力量成分のそれぞれを検出し、検出された前記力量成分の大きさに基づいた力量成分信号を出力する複数の力量検出部と、
前記操作ロッドの、前記操作ロッドが動作可能な対応する各自由度方向の動作位置を検出する複数の動作位置検出部と、
前記操作ロッドが動作可能な範囲を定める操作ロッド可動領域の境界を定める可動領域境界線に沿った方向の速度成分である境界線方向速度を算出する境界線方向速度算出部と、
前記操作ロッドの現在の動作位置において前記操作ロッドに前記各自由度方向の力量成分を合成した合成力量が加えられたときに、前記操作ロッドが到達すると予測される予測動作位置を算出する動作位置予測部と、
前記予測動作位置が前記操作ロッド可動領域外に存在すると予測されたとき、前記境界線方向速度を含む速度を、前記操作ロッドが動作すべき動作速度として算出する動作速度算出部と、を備え、
前記境界線方向速度算出部は、前記操作ロッドの動作位置の基準点である動作位置基準点と前記予測動作位置とを結ぶ直線と前記可動領域境界線との交点と前記操作ロッドの現在の動作位置との位置偏差とに基づいて、前記境界線方向速度を算出する
訓練装置。
【請求項3】
所定の訓練プログラムに従って、使用者の上肢及び/又は下肢の四肢を訓練する訓練装置であって、
床面上又は床面に近接して載置される固定フレームに、2以上の自由度にて動作可能に支持され、保持した肢を動作させる操作ロッドと、
前記操作ロッドに加えられた力量の前記操作ロッドが動作可能な対応する各自由度方向の成分である力量成分のそれぞれを検出し、検出された前記力量成分の大きさに基づいた力量成分信号を出力する複数の力量検出部と、
前記操作ロッドの、前記操作ロッドが動作可能な対応する各自由度方向の動作位置を検出する複数の動作位置検出部と、
前記操作ロッドが動作可能な範囲を定める操作ロッド可動領域の境界を定める可動領域境界線に沿った方向の速度成分である境界線方向速度を算出する境界線方向速度算出部と、
前記操作ロッドの現在の動作位置において前記操作ロッドに前記各自由度方向の力量成分を合成した合成力量が加えられたときに、前記操作ロッドが到達すると予測される予測動作位置を算出する動作位置予測部と、
前記予測動作位置が前記操作ロッド可動領域外に存在すると予測されたとき、前記境界線方向速度を含む速度を、前記操作ロッドが動作すべき動作速度として算出する動作速度算出部と、
前記複数の力量検出部により出力された前記力量成分信号に基づいて、前記操作ロッドの力量速度を算出する力量速度算出部と、
前記操作ロッドの現在の動作位置から前記可動領域境界線までの境界線距離に基づいて、境界線到達速度を算出する境界線到達速度算出部と、を備え、
前記動作速度算出部は、前記境界線方向速度と、前記境界線到達速度及び/又は前記力量速度と、を合成して前記動作速度を算出する
訓練装置。
【請求項4】
前記予測動作位置は、前記力量速度が一定時間継続したと仮定したときに、前記操作ロッドが到達すると予測される位置である、請求項3に記載の訓練装置。
【請求項5】
前記予測動作位置は、前記操作ロッドが前記力量速度から所定の減速度にて減速停止すると予測される位置である、請求項3に記載の訓練装置。
【請求項6】
前記動作速度算出部は、前記力量速度又は前記境界線到達速度のいずれか小さい方と、前記境界線方向速度又は前記力量速度と前記境界線方向速度とを含む第2合成速度のいずれかと、を前記現在の動作位置に基づいて変化する第1の比にて合成した第1合成速度を、前記動作速度として算出する請求項3〜5のいずれかに記載の訓練装置。
【請求項7】
前記第1の比は、前記可動領域境界線と前記操作ロッドの現在の動作位置との間の距離に基づいて算出される、請求項6に記載の訓練装置。
【請求項8】
前記第2合成速度は、前記力量速度と前記境界線方向速度とを前記予測動作位置に基づいて変化する第2の比にて合成して算出される、請求項6又は7に記載の訓練装置。
【請求項9】
前記第2の比は、前記可動領域境界線と前記予測動作位置との間の距離に基づいて算出される、請求項8に記載の訓練装置。
【請求項10】
前記境界線方向速度が最低走行速度よりも小さく、かつ、前記予測動作位置が前記操作ロッド可動領域の外に存在する場合、前記動作速度算出部は、前記境界線方向速度を0として動作速度を算出する、請求項1〜9のいずれかに記載の訓練装置。
【請求項11】
動作位置検出部と、力量検出部と、境界線方向速度算出部と、動作位置予測部と、動作速度算出部と、を備え、使用者自らの上肢及び/又は下肢の四肢の動きに追従するように動作する訓練プログラムを実行し、前記四肢を訓練する訓練装置における、保持した前記四肢を動作させる操作ロッドの動作速度の算出方法を含む作動方法であって、
前記動作位置検出部、前記操作ロッドの現在の動作位置を検出するステップと、
前記力量検出部、前記操作ロッドに加えられた力量の各自由度方向の力量成分を検出するステップと、
前記現在の動作位置において、前記操作ロッドに、前記各自由度方向の力量成分を合成した合成力量が加えられたときに、前記操作ロッドが到達すると予測される予測動作位置を、前記動作位置予測部予測するステップと、
前記予測動作位置が、前記操作ロッドが動作可能な範囲を定める操作ロッド可動領域外に存在すると予測されたとき、前記操作ロッド可動領域の境界を定める可動領域境界線に沿った方向の速度成分であり前記境界線方向速度算出部により算出された境界線方向速度を含む速度を、前記動作速度として前記動作速度算出部算出するステップと、
を含む作動方法。
【請求項12】
前記境界線方向速度を含む速度を前記動作速度として算出するステップは、前記境界線方向速度算出部が実行するステップとして、
前記操作ロッドの動作位置の基準点である動作位置基準点と前記予測動作位置とを結ぶ直線を算出するステップと、
前記直線と前記可動領域境界線との交点を算出するステップと、
前記交点と、前記操作ロッドの現在の動作位置との位置偏差とに基づいて、前記境界線方向速度を算出するステップと、
をさらに含む請求項11の作動方法。
【請求項13】
所定の訓練プログラムに従って、使用者の上肢及び/又は下肢の四肢を訓練する訓練装置であって、
床面上又は床面に近接して載置される固定フレームに、2以上の自由度にて動作可能に支持され、保持した肢を動作させる操作ロッドと、
前記操作ロッドに加えられた力量の前記操作ロッドが動作可能な対応する各自由度方向の成分である力量成分のそれぞれを検出し、検出された前記力量成分の大きさに基づいた力量成分信号を出力する複数の力量検出部と、
前記操作ロッドの、前記操作ロッドが動作可能な対応する各自由度方向の動作位置を検出する複数の動作位置検出部と、
前記操作ロッドが動作可能な範囲を定める操作ロッド可動領域の境界を定める可動領域境界線に沿った方向の速度成分である境界線方向速度を算出する境界線方向速度算出部と、
前記操作ロッドの現在の動作位置において前記操作ロッドに前記各自由度方向の力量成分を合成した合成力量が加えられたときに、前記操作ロッドが到達すると予測される予測動作位置を算出する動作位置予測部と、
前記予測動作位置が前記操作ロッド可動領域外に存在すると予測されたとき、前記境界線方向速度を含む速度を、前記操作ロッドが動作すべき動作速度として算出する動作速度算出部と、
前記複数の力量検出部により出力された前記力量成分信号に基づいて、前記操作ロッドの力量速度を算出する力量速度算出部と、
前記操作ロッドの現在の動作位置から前記可動領域境界線までの境界線距離に基づいて、境界線到達速度を算出する境界線到達速度算出部と、
を備え、
前記境界線方向速度算出部は、前記操作ロッドの動作位置の基準点である動作位置基準点と前記予測動作位置とを結ぶ直線と前記可動領域境界線との交点と前記操作ロッドの現在の動作位置との位置偏差とに基づいて、前記境界線方向速度を算出し、
前記動作速度算出部は、前記境界線方向速度と、前記境界線到達速度及び/又は前記力量速度と、を合成して前記動作速度を算出する、
訓練装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の訓練プログラムに従って、患者の上肢および下肢等のリハビリテーションを支援する訓練装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脳卒中患者の片麻痺した上肢や下肢の運動機能回復を目的とするリハビリテーションは、一般に作業療法士や理学療法士によって行われるため、リハビリテーションの効率的な提供の面においては限界がある。たとえば、上肢の運動機能回復を目的としたリハビリテーションでは、主には麻痺した上肢の正確な動作を、現状よりも僅かに広い動作範囲で、他動的及び能動的に、可能な限り反復することが求められる。これらの運動機能回復に関するリハビリテーションをベースに、作業療法士又は理学療法士は、患者に正確な動作を教授し、さらに手技によって患者の上肢に対して他動的負荷を加えながら能動的な動作を誘導する。
【0003】
かかるリハビリテーションでは、動作の反復回数は、療法士の体力の限界によって制限される。また、療法士の経験によって、リハビリテーションの医学的な質についても差が生ずる可能性がある。よって、療法士による訓練を補助して、疲労による制約を無くし、かつ、その医学的な質をできるだけ標準化するために、例えば、特許文献1のような、腕などの肢が不自由な患者のリハビリテーションを支援するための上肢訓練装置が、知られている。この装置は、床面上に配置可能な固定フレームと、全方向に傾動可能に固定フレームに支持された可動フレームと、可動フレームに伸縮自在に装着され、訓練を受ける人の手で操作される操作ロッドとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2012/117488号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された訓練装置では、患者等が訓練中に椅子から転倒などしないように、操作ロッドの動作範囲(操作ロッド可動領域)が定められている。従来の訓練装置においては、操作ロッドが操作ロッド可動領域の境界に到達した時点において、操作ロッドを使用する患者の意思に関係なく操作ロッドの動作速度を0としていた。
【0006】
操作ロッド可動領域の境界近傍において操作ロッドを当該境界に沿った方向に動作させたいとき、従来の訓練装置は、境界の外に出ようとする速度成分が少しでもあれば、操作ロッドを停止していた。
例えば境界が円形の場合、境界に沿って動かそうとすると必ず境界外側に進もうとする成分が発生するので、実質的に境界に沿って動かすことはできなかった。
【0007】
本発明の課題は、操作ロッド可動領域の境界近傍において、操作ロッドを境界に沿った方向に動作させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係る訓練装置は、所定の訓練プログラムに従って、使用者の上肢及び/又は下肢の四肢を訓練する訓練装置である。
訓練装置は、操作ロッドと、力量検出部と、動作位置検出部と、境界線方向速度算出部と、動作位置予測部と、動作速度算出部と、を備える。
【0009】
操作ロッドは、床面上又は床面に近接して載置される固定フレームに、2以上の自由度にて動作可能に支持されている。また、操作ロッドは、保持した肢を動作させる。
複数の力量検出部のそれぞれは、力量成分を検出し、検出した力量成分を力量成分信号として算出する。力量成分は、操作ロッドに加えられた力量の操作ロッドが動作可能な対応する各自由度方向の成分である。動作位置検出部は、操作ロッドの動作位置を検出する。操作ロッドの動作位置は、操作ロッドが動作可能な対応する各自由度方向の動作位置である。
【0010】
境界線方向速度算出部は、境界線方向速度を算出する。境界線方向速度は、可動領域境界線に沿った方向の速度成分である。可動領域境界線は、操作ロッド可動領域の境界を定める境界線である。操作ロッド可動領域は、操作ロッドが動作可能な範囲を定める領域である。動作位置予測部は、予測動作位置を予測する。予測動作位置は、操作ロッドの現在の動作位置において、操作ロッドに合成力量が加えられたときに、操作ロッドが到達すると予測される、操作ロッドの動作位置である。合成力量は、各自由度方向の力量成分を合成して得られる力量である。
動作速度算出部は、予測動作位置が操作ロッド可動領域外に存在すると予測されたとき、境界線方向速度を含む速度を、動作速度として算出する。動作速度は、操作ロッドが動作すべき速度である。
【0011】
上記の訓練装置においては、まず、操作ロッドの現在の動作位置と操作ロッドに加えられる力量の力量成分が検出される。次に、動作位置予測部が、操作ロッドの現在の動作位置において合成力量が操作ロッドに加えられたときに、操作ロッドが到達する予測動作位置を予測する。そして、予測動作位置が操作ロッド可動領域外に存在すると予測された場合、動作速度算出部が、境界線方向速度算出部において算出された境界線方向速度を含む速度を、動作速度として算出する。
【0012】
上記の訓練装置においては、操作ロッドに合成力量が加えられた結果、操作ロッドが操作ロッド可動領域外に存在すると予測される場合に、可動領域境界線に沿った方向の速度成分である境界線方向速度を含む速度が、動作速度として算出される。つまり、操作ロッドに加えられた力により、操作ロッドが操作ロッド可動領域外へ移動するときに、操作ロッドを可動領域境界線に沿った方向に動作させる。これにより、操作ロッド可動領域の境界近傍において、加えられた力に対して可動領域境界線に沿った自然な動きを実現することができる。
【0013】
境界線方向速度算出部は、動作位置基準点と予測動作位置とを結ぶ直線と可動領域境界線との交点と操作ロッドの現在の動作位置との位置偏差に基づいて、境界線方向速度を算出してもよい。動作位置基準点は、操作ロッドの動作位置の基準点である。
これにより、境界線方向速度を、操作ロッドの現在の動作位置から上記の交点へと向かう可動領域境界線に沿った方向の速度として算出できる。
【0014】
上記の訓練装置は、力量速度算出部と境界線到達速度算出部とをさらに備えていてもよい。力量速度算出部は、複数の力量検出部により出力された力量成分信号に基づいて、操作ロッドの力量速度を算出する。境界線到達速度算出部は、操作ロッドの現在の動作位置から可動領域境界線までの境界線距離に基づいて、境界線到達速度を算出する。
この場合、動作速度算出部は、境界線方向速度と、境界線到達速度及び/又は力量速度と、を合成して動作速度を算出する。
これにより、境界線方向速度と境界線到達速度及び/又は力量速度とを含んだ動作速度を算出できる。
【0015】
予測動作位置は、力量速度が一定時間継続したと仮定したときに、操作ロッドが到達すると予測される位置であってもよい。これにより、操作ロッドが力量速度にて一定時間移動した場合の位置を予測動作位置として予測できる。
【0016】
予測動作位置は、操作ロッドが力量速度から所定の減速度にて減速停止すると予測される位置であってもよい。これにより、操作ロッドが最終的に停止する位置を予測動作位置として予測できる。
【0017】
動作速度算出部は、第1合成速度を動作速度として算出してもよい。第1合成速度は、力量速度又は境界線到達速度のいずれか小さい方と、境界線方向速度又は第2合成速度のいずれかと、を第1の比にて合成した速度である。第2合成速度は、境界線方向速度と力量速度とを含む速度である。第1の比は、現在の動作位置に基づいて変化する。
これにより、操作ロッドの現在の動作位置により、境界線方向速度と力量速度又は境界線到達速度とを適切な比率にて合成した動作速度を算出できる。その結果、境界線方向速度の影響と力量速度又は境界線到達速度の影響とを徐々に変化させて、滑らかに操作ロッドを動作できる。
【0018】
第1の比は、可動領域境界線と操作ロッドの現在の動作位置との間の距離に基づいて算出されてもよい。これにより、任意の形状の可動領域境界線について第1の比を決定できる。
【0019】
第2合成速度は、力量速度と境界線方向速度とを第2の比にて合成して算出されてもよい。第2の比は、予測動作位置に基づいて変化する。
これにより、操作ロッドに加えられた力によっては、操作ロッドを操作ロッドに加えられた力の方向になるべく動作させつつ、操作ロッド可動領域の境界近傍において、加えられた力に対して可動領域境界線に沿った自然な動きを実現することができる。
【0020】
第2の比は、可動領域境界線と予測動作位置との間の距離に基づいて算出されてもよい。これにより、任意の形状の可動領域境界線について第2の比を決定できる。
【0021】
境界線方向速度が最低走行速度よりも小さく、かつ、予測動作位置が操作ロッド可動領域の外に存在する場合、動作速度算出部は、境界線方向速度を0として動作速度を算出してもよい。これにより、操作ロッドを可動領域境界線上にて安定して停止できる。
また、制御遅れなどにより操作ロッドが操作ロッド可動領域の外にわずかに出た場合には、動作位置基準点に向かう速度が操作ロッド可動領域に入るまで作用するため、操作ロッドは速やかに可動領域境界線へ移動する。
【0022】
本発明の他の見地に係る算出方法は、所定の訓練プログラムに従って、使用者の上肢及び/又は下肢の四肢のいずれかを訓練する訓練装置における、保持した四肢を動作させる操作ロッドの動作速度の算出方法である。算出方法は、以下のステップを含む。
◎操作ロッドの現在の動作位置を検出するステップ。
◎操作ロッドに加えられた力量の各自由度方向の力量成分を検出するステップ。
◎現在の動作位置において、操作ロッドに合成力量が加えられたときに、操作ロッドが到達する予測動作位置を予測するステップ。
◎予測動作位置が操作ロッド可動領域外に存在すると予測されたとき、境界線方向速度を含む速度を動作速度として算出するステップ。
【0023】
操作ロッドの動作速度が上記のステップを含む算出方法により算出されることにより、操作ロッドを可動領域境界線に沿った方向に動作できる。
【0024】
上記の境界線方向速度を含む速度を動作速度として算出するステップは、以下のステップを含んでいてもよい。
◎動作位置基準点と予測動作位置とを結ぶ直線を算出するステップ。
◎上記直線と可動領域境界線との交点を算出するステップ。
◎上記交点と操作ロッドの現在の動作位置との位置偏差とに基づいて、境界線方向速度を算出するステップ。
【0025】
境界線方向速度が上記のステップを含む算出方法により算出されることにより、境界線方向速度を、上記の交点へと向かう可動領域境界線に沿った方向の速度として算出できる。これにより、操作ロッド可動領域の境界近傍において、加えられた力に対して可動領域境界線に沿った自然な動きを実現することができる。
【0026】
本発明のさらに他の見地に係るプログラムは、上記の算出方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0027】
操作ロッド可動領域の境界近傍において、操作ロッドを境界に沿った方向に動作できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】訓練装置の全体構成を示す図。
図2】固定フレーム内の制御部と操作ロッド傾動機構の全体構成を示す図。
図3】操作ロッド可動領域を模式的に示す図。
図4A】操作ロッド傾動機構及び力量検出機構のA−A’平面における断面図。
図4B】操作ロッドに力が加えられたときの操作ロッド傾動機構と力量検出機構との関係を示す図。
図5】操作ロッドの構成を示す図。
図6】制御部の全体構成を示す図。
図7】指令作製部の構成を示す図。
図8】第1実施形態に係る訓練装置の第1指令算出部の構成を示す図。
図9】境界線到達速度の算出方法を模式的に示す図。
図10】操作ロッドの動作位置と算出される境界線到達速度との関係を示す図。
図11】中心方向速度の算出方法を模式的に示す図。
図12A】訓練装置の基本動作を示すフローチャート。
図12B】第1動作モードの動作を示すフローチャート。
図12C】第1実施形態に係る訓練装置における操作ロッドの動作速度の算出方法を示すフローチャート。
図13】操作ロッド可動領域内における動作速度と操作ロッドの動作位置との関係を示す図。
図14A】第2実施形態に係る訓練装置の速度成分算出部の構成を示す図。
図14B】第2実施形態に係る訓練装置の動作速度算出部の構成を示す図。
図15A】境界線方向速度の算出方法を模式的に示す図。
図15B】境界線方向速度の算出方法を示すフローチャート。
図16A】第1速度成分合成部における第1合成速度の算出方法を示すフローチャート。
図16B】第1合成係数及び第2合成係数と動作位置基準点から動作位置までの距離との関係を示す図。
図17A】第2速度成分合成部における速度の算出方法を示すフローチャート。
図17B】第3合成係数及び第4合成係数と動作位置基準点から予測動作位置までの距離との関係を示す図。
図18】第3速度成分合成部における速度の算出方法を示すフローチャート。
図19】境界線方向速度が小さな値として算出される場合の一例を模式的に示す図。
図20】第2実施形態に係る訓練装置における動作速度の算出方法を示すフローチャート。
図21】境界線方向速度の他の実施形態を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
1.第1実施形態
(1)訓練装置の全体構成
以下、本発明の訓練装置について説明する。まず、第1実施形態に係る訓練装置100の全体構成を、図1を用いて説明する。図1は、訓練装置100の全体構成を示す図である。訓練装置100は、所定の訓練プログラムに従って、使用者(患者)の上肢及び/又は下肢の四肢のうちのいずれかの肢の運動機能回復を目的とした訓練を行うための訓練装置である。
訓練装置100は、固定フレーム1と、操作ロッド3と、訓練指示部5、とを主に備える。固定フレーム1は、訓練装置100を設置する床面上又は床面に近接して載置される。また、固定フレーム1は、訓練装置100の本体筐体を形成している。
【0030】
操作ロッド3は、固定フレーム1内部に備えられた操作ロッド傾動機構13(図2)を介して、固定フレーム1に取り付けられている。この結果、操作ロッド3は、操作ロッド傾動機構13により、固定フレーム1の長さ方向に平行なX軸、及び、固定フレーム1の幅方向に平行なY軸(図1及び図2)方向に動作(傾動)可能となる。
なお、操作ロッド3は、必要に応じて、上記のX軸方向又は上記のY軸方向のみに動作(傾動)可能となっていてもよい。この場合、操作ロッド3は、1自由度にて傾動可能となる。
【0031】
また、操作ロッド3は、内部に操作ロッド3の長手方向に伸縮機構(図5)を備えてもよい。このとき、操作ロッド3は、操作ロッド3の長さ方向に伸縮可能となるので、操作ロッド傾動機構13と合わせて少なくとも2自由度又は3自由度の動作を形成することができる。
【0032】
さらに、操作ロッド3は、その上端部に肢支持部材31(後述)を有している。患者の肢を肢支持部材31に支持することにより、操作ロッド3によって患者の肢を動かすことを可能とする。または、患者自らの意思で操作ロッド3を動かすことを可能とする。
【0033】
訓練指示部5は、固定部材7を介して、固定フレーム1に固定されている。訓練指示部5は、予め設定した訓練プログラムを実行し、当該訓練プログラムに基づいて、第1動作モード(後述)を実行するか、又は、第2動作モードを実行するかを決定する。第1動作モードは、操作ロッド3を、操作ロッド3に患者等により加えられた力量に基づいて動作させるための動作モードである。第2動作モードは、訓練プログラムにおいて操作ロッド3の動作が指定された時の動作モードである。
【0034】
また、訓練指示部5は、予め設定された訓練プログラムによって、訓練ルートと実際の患者の肢の訓練動作を視覚的情報又は聴覚的情報によって提供する。これにより、患者は、訓練プログラムにより設定された訓練動作と実際の動作とをフィードバックしながら、肢の訓練を行える。
さらに、訓練指示部5は、患者の肢が訓練プログラムに示された目標点(目標傾動角度)まで操作ロッド3を傾動できたときにも、使用者に対して、視覚的情報又は聴覚的情報により、目標傾動角度に到達したことを知らせてもよい。これにより、患者が訓練を続けるためのモチベーションを維持できる。
【0035】
訓練指示部5としては、液晶ディスプレーなどの表示装置と、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク、SSD(Solid State Disk)などの記憶装置と、必要に応じてタッチパネルなどの入力装置と、を備えた、一体型コンピュータシステムを用いることができる。また、訓練指示部5は、表示装置と、その他のコンピュータシステムとが分離して構成されていてもよい。この場合、固定フレーム1に固定部材7を介して固定されるのは、表示装置である。
【0036】
訓練指示部5において実行される訓練プログラムは、例えば、(i)ガイデッドモード(Guided Mode)、(ii)イニシエーティッドモード(Initiated Mode)、(iii)ステップイニシエーティッドモード(Step Initiated Mode)、(iv)フォローアシストモード(Follow Assist Mode)、(v)フリーモード(Free Mode)という、5つの訓練モード等を有している。ガイデッドモードは、操作ロッド3が患者の肢の動きに関係なく、肢を予め決められた方向に一定速度で動かす訓練モードである。イニシエーティッドモードは、訓練プログラムで予め設定された訓練ルートに対して、患者が肢により操作ロッド3を初動位置にて正しい方向に動かそうとした力(力覚トリガーと呼ぶこともある)を検出し、操作ロッド3が患者の肢を予め決められた訓練ルートの方向に一定速度で動かす訓練モードである。ステップイニシエーティッドモードは、操作ロッド3の訓練ルート中の所定の箇所において、力覚トリガーを検出したとき、訓練ルートにおける一定距離だけ、操作ロッド3が患者の肢を動かす訓練モードである。フォローアシストモードは、所定周期毎に力覚トリガーを検出して、検出した力覚トリガーの大きさに応じて、操作ロッド3の速度を変化させる訓練モードである。フリーモードは、患者自らの肢の動きに追従するように操作ロッド3を動かす訓練モードである。
【0037】
上記の5つの訓練モードのうち、フリーモードが第1動作モードに含まれる。一方、他の訓練モードは第2動作モードに含まれる。すなわち、第1動作モードは、操作ロッド3の動作方向及び/又は動作速度を、患者の肢の動き(すなわち、患者の肢が操作ロッド3に対して加えた力量)に基づいて決定する動作モードである。一方、第2動作モードは、動作初期においては力量を検出することもあるが、操作ロッド3の主動作(動作方向/動作速度)は、訓練プログラムにおいて指定された訓練指示に基づいて指示されている。
【0038】
また、訓練装置100は、患者が訓練中に腰掛けるための椅子9をさらに備えていてもよい。椅子9は、椅子接続部材91を介して、固定フレーム1に接続されていることで、訓練装置100の安定性を確保でき、また椅子接続部材91を再現良く固定することで患者が毎回訓練を同じ位置で実施することができる。
【0039】
(2)制御部及び操作ロッド傾動機構の構成
I.全体構成
次に、制御部11と、操作ロッド傾動機構13の全体構成について図2を用いて説明する。図2は、固定フレーム内の制御部と操作ロッド傾動機構の全体構成を示す図である。制御部11と、操作ロッド傾動機構13は、固定フレーム1内に配置されている。
制御部11は、訓練指示部5から、第1動作モードを実行するための第1動作モード実行指示、又は、第2動作モードを実行するための第2動作モード実行指示のいずれかを受信可能となっている。
【0040】
制御部11は、第1動作モードの実行時(第1動作モード実行指示の受信時)においては、患者等により操作ロッド3に加えられた力量に基づいて操作ロッド3を動作させる第1モータ制御指令(後述)を算出する。一方、第2動作モードの実行時(第2動作モード実行指示の受信時)においては、制御部11は、操作ロッドの訓練指示に基づいて第2モータ制御指令を算出する。
【0041】
また、制御部11は、X軸方向傾動モータ135b(後述)、Y軸方向傾動モータ135a(後述)、及び伸縮モータ359(図5)に電気的に接続されており、これらモータに駆動電力を供給可能となっている。よって、制御部11は、上記の第1モータ制御指令又は第2モータ制御指令に基づいて出力する駆動電力量を調整することにより、これらのモータを制御できる。
【0042】
さらに、制御部11は、図3に示すような、操作ロッド3が動作可能な範囲を定める操作ロッド可動領域MAを定義している。図3は、操作ロッド可動領域を模式的に示す図である。本実施形態において、操作ロッド可動領域MAは、操作ロッド3が傾動していない場合に操作ロッド3が存在する位置(動作位置基準点O(後述))を中心とした半径rの円内の領域であって、X軸方向の前方方向(図3においては、訓練指示部5が設置された方向)において、半径rよりも小さい範囲内にて操作ロッド3が動作(傾動)可能となるように定義されている。また、操作ロッド可動領域MAにおいては、操作ロッド可動領域MAの境界線を定める可動領域境界線Bが定義されている。
【0043】
本実施形態において、制御部11は、操作ロッド3の動作位置が半径r以下(X軸方向の前方方向においては、半径rよりも小さい予め決められた値以下)であるか、又は、半径r以上(X軸方向の前方方向においては、半径rよりも小さい予め決められた値以上)であるかにより、操作ロッド3に所定の動作をさせるように上記のモータを制御する。これにより、制御部11は、操作ロッド3を患者等にとって苦痛とならない範囲にて動作できる。
なお、操作ロッド可動領域MAは、上記の円以外にも任意の形状の領域とすることもできる。また、操作ロッド可動領域MAは、X−Y−Z座標における関数(領域を表す不等式)として表現されていてもよいし、操作ロッド可動領域MAの境界を定めるいくつかの座標点により定義されていてもよい。さらに、操作ロッド可動領域MAを定める半径、関数、及び/又は座標値は、制御部11を構成するマイコンシステム(後述)の記憶装置に記憶されていてもよい。
また、本実施形態において、上記の操作ロッド可動領域MAは、ソフトウェア的に実現されているが、これに限られず、スイッチなどを用いて機械的に実現されていてもよい。
制御部11の構成及び動作の詳細については、後ほど詳しく説明する。
【0044】
操作ロッド傾動機構13は、固定フレーム1に固定された操作ロッド傾動機構固定部材15a、15bを介して、固定フレーム1に傾動可能に取り付けられている。そのため、操作ロッド傾動機構13は、固定フレーム1に対しては、Y軸方向(後述)に動作(傾動)可能となっている。以下に、操作ロッド傾動機構13の構成について、詳細に説明する。
【0045】
II.操作ロッド傾動機構の構成
ここで、本実施形態の操作ロッド傾動機構13の構成について、図2を用いて説明する。操作ロッド傾動機構13は、2軸を可動させうる「ジンバル」機構により、操作ロッド3をX軸方向及びY軸方向に傾動可能とする機構である。ここで、X軸方向とは、図2において、上下方向に記載した軸に平行な水平方向である。Y軸方向とは、図2において、左右方向に記載した軸に平行な水平方向である。
【0046】
操作ロッド傾動機構13は、X軸方向傾動部材131と、Y軸方向傾動部材133と、それぞれに対応するX軸方向傾動モータ135bと、Y軸方向傾動モータ135aと、力量検出機構17(図2図4A図4B)と、を有している。
【0047】
X軸方向傾動部材131は、Y軸方向傾動部材133(後述)の空間の内側に配置されている。また、X軸方向傾動部材131は、Y軸に平行な法線を有する2つの側面から外側に伸びる2つの軸131a、131bを有している。この2つの軸131a、131bのそれぞれが、Y軸方向傾動部材133のY軸に平行な法線を有する2つの側面のそれぞれに、X軸方向傾動部材131をY軸回りに回動可能なように支持されている。
【0048】
一方、Y軸方向傾動部材133は、X軸に平行な法線を有する2つの側面から外側へ伸びる2つの軸133a、133bを有している。この2つの軸133a、133bのそれぞれが、操作ロッド傾動機構固定部材15a、15bに、Y軸方向傾動部材133をX軸回りに回動可能なように支持されている。
【0049】
上記のように、X軸方向傾動部材131がY軸方向傾動部材133に対してX軸方向に傾動可能であり、Y軸方向傾動部材133が操作ロッド傾動機構固定部材15a、15bに対してY軸方向に傾動可能となることにより、操作ロッド傾動機構13は、固定フレーム1に対して2次元(場合によっては1次元)の自由度にて動作(傾動)できる。
【0050】
なお、図2ではX軸方向傾動部材131は、Y軸方向傾動部材133の空間の内側に配置されているが、X軸方向傾動部材131を、Y軸方向傾動部材133の空間の外側に配置し、それに対応する部材を傾動できるように設計変更してもよい。
【0051】
Y軸方向傾動モータ135aは、操作ロッド傾動機構固定部材15aに固定されている。また、Y軸方向傾動モータ135aの出力回転軸は、図示されない減速機構を介して、Y軸方向傾動部材133から伸びる軸133aに対して、軸133aを回動可能なように接続されている。
【0052】
X軸方向傾動モータ135bは、X軸方向傾動部材131から伸びる軸131aを軸支している側面に固定されている。また、X軸方向傾動モータ135bの出力回転軸は、図示されない減速機構を介して、X軸方向傾動部材131から伸びる軸131aに対して、軸131aを回動可能なように接続されている。
【0053】
Y軸方向傾動モータ135a及びX軸方向傾動モータ135bは、制御部11から駆動電力の供給を受けて制御されている。従って、Y軸方向傾動モータ135a及びX軸方向傾動モータ135bは、モータ制御指令から算出される駆動電力に基づいて、操作ロッド3を、それぞれY軸方向及びX軸方向に2自由度で傾動できる。
【0054】
Y軸方向傾動モータ135a及びX軸方向傾動モータ135bとしては、例えば、サーボモータ又はブラシレスモータなどの、電動モータを用いることができる。
【0055】
なお、操作ロッド傾動機構13が操作ロッド3を1自由度にて傾動させる場合、操作ロッド傾動機構13は、X軸方向傾動部材131とX軸方向傾動モータ135bとのみを備えるか、又は、Y軸方向傾動部材133とY軸方向傾動モータ135aとのみを備えていれば十分である。あるいは、操作ロッド傾動機構13が上記4つの部材及びモータを備えている場合であっても、いずれかの部材とモータとの組み合わせを無効にすることにより、操作ロッド傾動機構13は、操作ロッド3を1自由度にて傾動可能となる。
【0056】
力量検出機構17は、操作ロッド3に加えられた力(力量)を、力量検出機構17のX軸方向傾動部材131に対する傾動角度として検出する。そして、力量検出機構17は、検出された当該傾動角度を、電気信号(力量成分信号(後述))に変換して出力する。以下に、力量検出機構17の構成の詳細について説明する。
【0057】
III.力量検出機構の構成
力量検出機構17の構成の詳細について、図2及び図4Aを用いて説明する。図4Aは、操作ロッド傾動機構13及び力量検出機構17の、A−A’平面における断面図である。図2に示すように、力量検出機構17は、操作ロッド傾動機構13と同様、2軸を可動させうる「ジンバル」機構により、操作ロッド3をX軸方向及びY軸方向に傾動可能とする機構である。
そのため、力量検出機構17は、Y軸方向力量検出部材171と、X軸方向力量検出部材173と、Y軸方向力量検出部175と、X軸方向力量検出部177と、付勢部材179と、を有する。
【0058】
Y軸方向力量検出部材171は、X軸に平行な法線を有する2つの側面から外側へ伸びる2つの軸171a、171bを有している。この2つの軸171a、171bのそれぞれが、X軸方向傾動部材131にX軸回りに回動可能なように支持されている。
X軸方向力量検出部材173は、Y軸に平行な法線を有する2つの側面から外側へ伸びる2つの軸173a、173bを有している。この2つの軸173a、173bのそれぞれが、Y軸方向力量検出部材171にY軸回りに回動可能なように支持されている。
【0059】
Y軸方向力量検出部材171がX軸回りに回動可能にX軸方向傾動部材131に支持され、X軸方向力量検出部材173がY軸回りに回動可能にY軸方向力量検出部材171に支持されることにより、力量検出機構17は、操作ロッド傾動機構13に対して、X軸方向及びY軸方向に傾動可能となる。
【0060】
Y軸方向力量検出部175は、回転可能な軸(回転軸)を備え、当該回転軸の回転量に基づいた信号(力量成分信号)を出力する。Y軸方向力量検出部175は、回転軸がY軸方向力量検出部材171の軸171a、又は、171bと一致するように、X軸方向傾動部材131に固定される。
X軸方向力量検出部177は、回転可能な軸(回転軸)を備え、当該回転軸の回転量に基づいた信号(力量成分信号)を出力する。X軸方向力量検出部177は、回転軸がX軸方向力量検出部材173の軸173a、又は、173bと一致するように、Y軸方向力量検出部材171に固定される。
【0061】
上記の構成により、Y軸方向力量検出部175及びX軸方向力量検出部177は、それぞれ、X軸方向傾動部材131に対するY軸方向力量検出部材171の傾動角度、及び、Y軸方向力量検出部材171に対するX軸方向力量検出部材173の傾動角度を検出できる。
【0062】
なお、X軸方向傾動部材131に対するY軸方向力量検出部材171の傾動角度は、力量検出機構17の操作ロッド傾動機構13に対するY軸方向の傾動角度に対応する。またY軸方向力量検出部材171に対するX軸方向力量検出部材173の傾動角度は、力量検出機構17の操作ロッド傾動機構13に対するX軸方向の傾動角度に対応する。
【0063】
Y軸方向力量検出部175及びX軸方向力量検出部177としては、例えば、軸回転検出用のポテンショメータを用いることができる。
軸回転検出用のポテンショメータは、基準電極と測定電極とを備えており、基準電極間には基準電圧(あるいは基準電流)を印加しておく。この状態において、ポテンショメータの回転軸が回転したとき、ポテンショメータの軸の回転量に応じた電圧が測定電極に発生する。すなわち、ポテンショメータは、上記の力量検出機構17の操作ロッド傾動機構に対する傾動角度を、電圧変化として検出できる。
【0064】
付勢部材179は、例えば、複数の円形の渦巻き形状の板バネにより構成されている。図4Aに示すように、付勢部材179を構成する渦巻き形状のバネの渦巻きの中心部に設けられた接続端が、X軸方向力量検出部材173の中心に設けられた付勢部材固定部173−1に固定される。また、付勢部材179を構成する渦巻き形状のバネの最外円周部に設けられた接続端が、X軸方向傾動部材131に設けられた付勢部材固定部131−1に固定される。
【0065】
このように、X軸方向傾動部材131とX軸方向力量検出部材173とが、付勢部材179を介して接続されることにより、力量検出機構17は、操作ロッド傾動機構13の傾動に追随して傾動できる。
【0066】
また、操作ロッド3は、X軸方向力量検出部材173に設けられた空間S内に挿入されて、X軸方向力量検出部材173に固定される。これにより、操作ロッド3は、操作ロッド傾動機構13の傾動に追随して、力量検出機構17を介して、2自由度にて動作(傾動)可能となる。
【0067】
ここで、上記のような構成を有する力量検出機構17が操作ロッド3に加えられる力量を検出する原理について説明する。
今、例えば、図4Bのように操作ロッド3にY軸方向の紙面右方向の力が加えられたとする。図4Bは、操作ロッドに力が加えられたときの操作ロッド傾動機構と力量検出機構との関係を示す図である。
【0068】
操作ロッド3にY軸方向の力が加えられると、その力に応じて、Y軸方向力量検出部材171及びX軸方向力量検出部材173がX軸方向傾動部材131に対してY軸方向に傾動して、付勢部材179が変形する。具体的には、操作ロッド3に力が加えられていないときの付勢部材179の半径をdとした場合、付勢部材179の付勢部材固定部173−1よりも紙面左側部分はX軸方向力量検出部材173の付勢部材固定部173−1により圧縮されて、長さが半径dよりも小さくなる。一方、付勢部材固定部173−1よりも紙面右側部分はX軸方向力量検出部材173の付勢部材固定部173−1により伸長されて、長さが半径dよりも大きくなる。
【0069】
上記の付勢部材179の変形により、力量検出機構17のY軸方向力量検出部材171が、操作ロッド傾動機構13のX軸方向傾動部材131に対して傾動角度θだけ右回りに変位する。そして、傾動角度θは、操作ロッド3に加えられた力量と、付勢部材179の変形による付勢力とが釣り合った時に一定の値となる。
【0070】
従って、上記の傾動角度θ(軸171aの回転量)を、Y軸方向力量検出部175により電圧信号として検出することにより、操作ロッド3に加えられたY軸方向の力量成分を力量成分信号として出力できる。
【0071】
一方、操作ロッド3にX軸方向の力が加えられた場合には、付勢部材179の変形による付勢力と当該X軸方向の力とが釣り合うように、X軸方向力量検出部材173は、Y軸方向力量検出部材171に対して傾動することにより、X軸方向傾動部材131に対して傾動する。操作ロッド3にX軸方向の力が加えられた場合、Y軸方向力量検出部材171はX軸方向傾動部材131に対する傾動角度を変化しない。なぜなら、Y軸方向力量検出部材171は、X軸方向傾動部材131にX軸回りに回動可能に軸支されているからである。
【0072】
従って、X軸方向に力が加えられたときのX軸方向力量検出部材173のY軸方向力量検出部材171に対する傾動角度は、X軸方向力量検出部材173のX軸方向傾動部材131に対する傾動角度となる。よって、X軸方向力量検出部材173のY軸方向力量検出部材171に対する傾動角度を、X軸方向力量検出部177により検出することにより、X軸方向の力量成分を力量成分信号として測定できる。
【0073】
実際の力量成分は、上記の付勢部材179の変形度合いと操作ロッド3に加えられる力量との関係に基づいて、上記の力量成分信号から算出できる。なお、付勢部材179の変形度合いと操作ロッド3に加えられる力量は、一般的には比例関係を有しているが、比例関係に限られず、付勢部材179の特性などに応じて、任意の関係とすることができる。
【0074】
また、操作ロッド3にX軸方向又はY軸方向に平行ではない力量が加えられた場合には、Y軸方向力量検出部175及びX軸方向力量検出部177は、それぞれ、操作ロッド3に加えられた力量のY軸方向成分(Y軸方向力量成分)及びX軸方向成分(X軸方向力量成分)を検出する。そして、Y軸方向力量検出部175及びX軸方向力量検出部177は、検出された力量成分の大きさに基づいた力量成分信号を出力する。
このように、力量検出機構17が2つの力量検出部を有することにより、力量検出機構17は、X−Y平面の任意の方向の力量を検出できる。
【0075】
(3)操作ロッドの構成
I.全体構成
次に、操作ロッド3の構成について、図5を用いて説明する。まず、操作ロッド3の全体構成について説明する。図5は、操作ロッドの構成を示す図である。操作ロッド3は、肢支持部材31と、固定ステイ33と、伸縮機構35と、長さ方向力量検出機構39と、を備えている。肢支持部材31は、伸縮機構35のカバー353(後述)の上端部に固定されている。肢支持部材31は、患者の肢を支持する。
【0076】
固定ステイ33は、操作ロッド3の本体を形成している。また、固定ステイ33は、伸縮機構35の可動ステイ351(後述)を収納する空間S’を有している。
さらに、固定ステイ33は、X軸方向力量検出部材173の操作ロッド固定部に固定される。
【0077】
伸縮機構35は、固定ステイ33の長さ方向に沿って移動可能なように、固定ステイ33に設けられる。これにより、操作ロッド3は、操作ロッド3の長さ方向に伸縮可能となる。伸縮機構35の構成については、後ほど詳しく説明する。
【0078】
長さ方向力量検出機構39は、操作ロッド3の長さ方向に患者の肢によって加えられた力量を検出する。具体的には、長さ方向力量検出機構39は、一端がカバー353に固定され、他端が可動ステイ351に固定された付勢部材391(例えば、バネ)の伸びΔLを長さ方向力量検出部393(本実施形態においては、リニア動作ポテンショメータ)により検出して、上記の長さ方向の力量を検出する。
【0079】
長さ方向力量検出部393をリニア動作ポテンショメータにより構成した場合、長さ方向の力量成分を表す長さ方向力量成分信号は、付勢部材391の伸びΔLに応じて変化するリニア動作ポテンショメータの出力電圧として得られる。
【0080】
II.伸縮機構の構成
次に、伸縮機構35の構成について、図5を用いて説明する。伸縮機構35は、可動ステイ351と、カバー353と、ナット355と、ねじ軸357と、伸縮モータ359と、を有している。
可動ステイ351は、固定ステイ33に設けられた空間S’に挿入されている。また、可動ステイ351は、図示しないスライドユニットを有している。このスライドユニットは、固定ステイ33の内壁に設けられた案内レール37に摺動可能に係合している。
カバー353は、可動ステイ351の上端部に長さ方向力量検出機構39の付勢部材391を介して固定されている。また、カバー353は、上端部に肢支持部材31を備えている。
【0081】
ナット355は、可動ステイ351の底部に取り付けられている。ナット355は、ねじ軸357(後述)を螺合している。ねじ軸357は、固定ステイ33の長さ方向と平行な方向に伸びる、ねじ山が設けられた部材である。
【0082】
伸縮モータ359は、固定ステイ33の底部に固定されている。また、伸縮モータ359の出力回転軸は、ねじ軸357の長さ方向の一端に、ねじ軸357を軸回りに回転可能なように接続されている。さらに、伸縮モータ359は、制御部11と電気的に接続されている。従って、伸縮モータ359は、制御部11から出力される駆動電力により駆動される。
伸縮機構35が上記の構造を有することにより、可動ステイ351は、伸縮モータ359によりねじ軸357を軸回りに回転させることにより、固定ステイ33の長さ方向に沿って移動可能となる。
【0083】
(4)制御部の構成
I.全体構成
次に、制御部11の全体構成について、図6を用いて説明する。図6は、制御部の全体構成を示す図である。制御部11としては、例えば、CPUと、RAM、ROM、ハードディスク装置、SSDなどの記憶装置と、電気信号を変換するインターフェースなどを備えたマイコンシステムなどを用いることができる。また、以下に説明する制御部11の機能の一部又は全部は、マイコンシステムにおいて実行可能なプログラムとして実現されていてもよい。また、当該プログラムは、マイコンシステムの記憶装置に記憶されていてもよい。さらに、制御部11の機能の一部又は全部は、カスタムICなどにより実現されていてもよい。
制御部11は、指令作製部111と、モータ制御部113a、113b、113cと、を有する。
【0084】
指令作製部111は、Y軸方向力量検出部175、X軸方向力量検出部177、及び長さ方向力量検出部393から、それぞれ、Y軸方向の力量成分を表すY軸方向力量成分信号、X軸方向の力量成分を表すX軸方向力量成分信号、及び操作ロッド3の長さ方向の力量成分を表す長さ方向力量成分信号を入力可能となっている。また、指令作製部111は、第1動作位置検出部135a−1、第2動作位置検出部135b−1、及び第3動作位置検出部359−1から、信号を入力可能となっている。
【0085】
上記の動作位置検出部は、それぞれ、Y軸方向傾動モータ135aの出力回転軸、X軸方向傾動モータ135bの出力回転軸、伸縮モータ359の出力回転軸に固定され、それぞれのモータの出力回転軸の回転量を出力する。すなわち、上記の動作位置検出部のそれぞれは、操作ロッド3が動作可能な対応する各自由度方向の動作位置を検出する。
【0086】
具体的には、第1動作位置検出部135a−1は、Y軸方向傾動モータ135aの回転量に基づいて、操作ロッド3のY軸方向の動作位置(傾動角度)を検出する。第2動作位置検出部135b−1は、X軸方向傾動モータ135bの回転量に基づいて、操作ロッド3のX軸方向の動作位置(傾動角度)を検出する。第3動作位置検出部359−1は、伸縮モータ359の回転量に基づいて、操作ロッド3の長さ方向の動作位置を検出する。
【0087】
上記の動作位置検出部としては、例えば、インクリメンタル型のエンコーダや、アブソリュート型のエンコーダなどのエンコーダを好適に用いることができる。上記のエンコーダは、対応するモータの回転量に応じたパルス信号を出力する。
【0088】
また、指令作製部111は、訓練指示部5から第1動作モード実行指示、又は、第2動作モード実行指示を受信可能となっており、受信した実行指示に応じて、第1モータ制御指令(後述)又は第2モータ制御指令(後述)のいずれかを出力する。なお、指令作製部111の構成の詳細については、後ほど説明する。
【0089】
モータ制御部113a、113b、113cは、それぞれ、指令作製部111からモータ制御指令を入力可能となっており、入力したモータ制御指令に基づき、各モータの駆動電力を算出する。そして、モータ制御部113a、113b、113cは、それぞれ、Y軸方向傾動モータ135a、X軸方向傾動モータ135b、伸縮モータ359に対して、算出した駆動電力を供給する。
【0090】
また、モータ制御部113a、113b、113cは、それぞれ、第1動作位置検出部135a−1、第2動作位置検出部135b−1、及び第3動作位置検出部359−1から対応するモータの回転量を入力可能となっており、当該モータの回転量を考慮して、上記のモータを制御できる。従って、上記のモータ制御部113a、113b、113cとしては、例えば、フィードバック制御理論を用いたモータ制御装置などを用いることができる。
【0091】
制御部11が上記のような構成を有することにより、制御部11は、訓練指示部5から入力した動作モード実行指示に応じて、適切なモータ制御指令(第1モータ制御指令、又は、第2モータ制御指令)を出力し上記の各モータを制御できる。その結果、操作ロッド3は、実行中の動作モードに応じて、適切に動作できる。
【0092】
II.指令作製部の構成
次に、指令作製部111の構成について、図7を用いて説明する。図7は、指令作製部の構成を示す図である。指令作製部111は、第1指令算出部1111と、第2指令算出部1113と、制御指令切替部1115と、を有する。
第1指令算出部1111は、上記の力量成分信号及び上記の操作ロッド3の動作位置を、それぞれ、上記の力量検出部及び上記の動作位置検出部から入力可能となっている。第1指令算出部1111は、入力した力量成分信号及び/又は操作ロッド3の動作位置に基づいて、第1モータ制御指令を算出する。なお、第1指令算出部1111の構成については、後ほど詳しく説明する。
【0093】
第2指令算出部1113は、訓練指示部5から、訓練プログラムにおいて指定された訓練指示を入力可能となっており、入力した訓練指示に基づいて、第2モータ制御指令を算出する。
【0094】
制御指令切替部1115は、2つの入力e、fと、1つの出力gを有している。入力eには第1指令算出部1111から第1モータ制御指令が入力され、入力fには第2指令算出部1113から第2モータ制御指令が入力される。また、出力gは、モータ制御部113a、113b、113cに接続されている。
制御指令切替部1115は、訓練指示部5から第1動作モード実行指示を受信したときは、出力gを入力eと接続する。一方、制御指令切替部1115において、訓練指示部5から第2動作モード実行指示を受信したときは、出力gと入力fとが接続される。
【0095】
上記の構成により、指令作製部111は、第1動作モードの実行時には第1モータ制御指令を、第2動作モードの実行時には第2モータ制御指令を、モータ制御部113a、113b、113cに対して選択して出力できる。
これにより、上記の各モータは、実行中の動作モードに応じて適切なモータ制御指令により制御される。その結果、操作ロッド3は、実行中の動作モードに応じて適切に動作できる。
【0096】
III.第1指令算出部の構成
次に、第1指令算出部1111の構成について、図8を用いて説明する。図8は、第1実施形態に係る訓練装置の第1指令算出部の構成を示す図である。第1指令算出部1111は、速度成分算出部1111−1と、動作速度算出部1111−3と、第1モータ制御指令算出部1111−5と、を有する。
速度成分算出部1111−1は、上記の3つの力量検出部から力量成分信号を、上記の3つの動作位置検出部から操作ロッド3の動作位置を入力可能となっている。速度成分算出部1111−1は、これらの力量成分信号及び/又は操作ロッド3の動作位置に基づいて、特性の異なる複数の速度成分を算出する。なお、速度成分算出部1111−1の構成と、本実施形態において算出される速度成分とについては、後ほど詳しく説明する。
【0097】
動作速度算出部1111−3は、速度成分算出部1111−1にて算出された複数の速度成分を入力可能となっており、これらの複数速度成分を予め決められた条件に基づいて合成して、操作ロッド3の動作速度を算出する。なお、本実施形態における動作速度算出部1111−3の構成については、後ほど詳しく説明する。
【0098】
第1モータ制御指令算出部1111−5は、動作速度算出部1111−3から操作ロッド3の動作速度を入力可能となっており、入力した動作速度に基づいて、第1モータ制御指令を算出する。
【0099】
上記の構成により、第1指令算出部1111は、予め決められた条件に基づいて、上記の複数の速度成分を用いて適切な操作ロッド3の動作速度を算出し、算出した動作速度に基づいた第1モータ制御指令を算出できる。
【0100】
IV.速度成分算出部の構成
次に、本実施形態の速度成分算出部1111−1の構成について、図8を用いて説明する。速度成分算出部1111−1は、力量速度算出部1111−11と、境界線到達速度算出部1111−13と、中心方向速度算出部1111−15と、を有する。
力量速度算出部1111−11は、上記の3つの力量検出部から出力された力量成分信号を入力可能となっており、当該力量成分信号に基づいて、操作ロッド3の力量速度を算出する。本実施形態においては、力量速度は、操作ロッド3に加えられた力量の増加に対してリニアに増加する速度として算出される。しかし、これに限られず、操作ロッド3の動作等により、力量速度を、力量に対する任意の関数として算出してもよい。
【0101】
境界線到達速度算出部1111−13は、上記の3つの動作位置検出部から操作ロッド3の動作位置を入力可能となっている。境界線到達速度算出部1111−13は、操作ロッド3の現在の動作位置から図3に示した操作ロッド可動領域MAの可動領域境界線Bまでの距離に基づいて、境界線到達速度を算出する。なお、上記の操作ロッド3の現在の動作位置から可動領域境界線Bまでの距離を、「境界線距離」と呼ぶことにする。
【0102】
境界線到達速度算出部1111−13は、境界線到達速度として、境界線距離が小さくなるに従ってその絶対値が小さくなる速度を算出している。すなわち、境界線到達速度算出部1111−13は、操作ロッド3の動作位置が可動領域境界線Bに近づくに従って、操作ロッド3をゆっくりと動作させる速度を、境界線到達速度として算出している。
【0103】
中心方向速度算出部1111−15は、上記3つの動作位置検出部から操作ロッド3の動作位置を入力し、操作ロッド3の現在の動作位置が操作ロッド可動領域MA外である場合には、中心方向速度を算出する。
【0104】
中心方向速度は、操作ロッド3の動作位置を基準点へ向かう方向の速度成分である。つまり、中心方向速度は、操作ロッド3を動作位置の基準点へ移動させるための速度である。なお、上記の操作ロッド3の動作位置の基準点のことを「動作位置基準点O」と呼ぶこともある。本実施形態において、動作位置基準点Oは、操作ロッド3の傾動角度(動作位置)が0となる点である。
【0105】
上記の構成を有することにより、速度成分算出部1111−1は、速度成分として、力量の増加に対してリニアに増加する力量速度と、可動領域境界線Bに近づくに従い操作ロッド3をゆっくり動作させる境界線到達速度と、動作位置基準点に向かう中心方向速度の3種類の速度を算出できる。
【0106】
V.動作速度算出部の構成
次に、本実施形態における動作速度算出部1111−3の構成について、図8を用いて説明する。本実施形態において、動作速度算出部1111−3は、速度成分比較部1111−31と、速度成分合成部1111−33と、を有する。
速度成分比較部1111−31は、速度成分算出部1111−1から、力量速度と境界線到達速度を入力可能となっており、力量速度又は境界線到達速度のいずれか(絶対値が)小さい方を選択して出力する。
【0107】
速度成分合成部1111−33は、速度成分比較部1111−31から入力した力量速度又は境界線到達速度のいずれかと、速度成分算出部1111−1から入力した中心方向速度とを合成して動作速度を算出する。
【0108】
動作速度を算出する際、速度成分合成部1111−33は、入力された力量速度又は境界線到達速度の絶対値が最大動作速度Vmaxより大きい場合、最大動作速度Vmaxと中心方向速度とを合成して動作速度とする。すなわち、速度成分合成部1111−33は、操作ロッド3の動作速度を最大動作速度Vmax以下に制限する。
【0109】
上記の構成により、動作速度算出部1111−3は、操作ロッド3の現在の動作位置が操作ロッド可動領域MA内にあるときは、力量速度又は境界線到達速度のいずれか(絶対値が)小さい方を操作ロッド3の動作速度として出力する一方、操作ロッド3の動作位置が操作ロッド可動領域MAの外にあるときには、中心方向速度を含んだ動作速度を算出する。
【0110】
これにより、動作速度算出部1111−3は、操作ロッド3が操作ロッド可動領域MA内の可動領域境界線Bの近傍にあるときには、操作ロッド3の動作速度を低い速度に制限できる一方、操作ロッド3が操作ロッド可動領域MA外にあるときには、操作ロッド3が操作ロッド可動領域MA内へ戻す方向の速度を算出できる。
【0111】
その結果、操作ロッド3が操作ロッド可動領域MA内の可動領域境界線Bに到達したときに、操作ロッド3が急激に停止して肢に対して衝撃を与えたり、操作ロッド3が慣性により操作ロッド可動領域MA外へと移動したりすることを抑制できる。また、万が一、操作ロッド3が操作ロッド可動領域MA外へと移動しても、操作ロッド3を操作ロッド可動領域MAの内側に戻す。
【0112】
(5)訓練装置の動作
次に、本実施形態の訓練装置100の動作について説明する。まず、上記の境界線到達速度算出部1111−13における境界線到達速度の算出方法、及び、中心方向速度算出部1111−15における中心方向速度の算出方法について説明する。
【0113】
I.境界線到達速度の算出方法
まず、境界線到達速度算出部1111−13における境界線到達速度の算出方法について、図9を用いて説明する。図9は、境界線到達速度の算出方法を模式的に示す図である。図9を用いた説明では、境界線到達速度のX軸方向の成分の算出方法を例にとって説明する。なぜなら、境界線到達速度のY軸方向の成分も同様にして算出できるからである。
境界線到達速度の長さ方向の成分については、例えば、操作ロッド3の最小収縮長さと最大伸長長さとの中間の長さを、長さ方向の動作位置基準点として、以下に説明するのとほぼ同様にして境界線到達速度を算出できる。
【0114】
境界線到達速度を算出するため、境界線到達速度算出部1111−13は、まず、操作ロッド3の現在の動作位置を、動作位置検出部から取得する。今、操作ロッド3の現在の動作位置が動作位置P(X,Y)にあるとする。
【0115】
次に、境界線到達速度算出部1111−13は、操作ロッド3の現在の動作位置Pから可動領域境界線Bまでの境界線距離Dを算出する。本実施形態において、X軸方向の境界線距離Dは、現在の動作位置Pを通るX軸に平行な直線と可動領域境界線Bとの交点Qと、現在の動作位置PのX座標値Xとの間の距離としている。
【0116】
境界線到達速度算出部1111−13は、以下のようにして、交点Qの具体的な(X)座標値を算出する。図9に示すように、交点QのY座標値は動作位置PのY座標値Yと同じである。一方、交点QのX座標値は、図9に示すように、動作位置基準点Oと、交点Qと、交点QからX軸に下ろした垂線とX軸との交点Q’により構成される三角形OQQ’の辺OQ’の長さに対応することが分かる。
【0117】
なお、本実施形態において、操作ロッド可動領域MAは、X軸の負値側の所定の領域を除いて、半径rの円内の領域であるとして定義される(操作ロッド可動領域MAはD字形の領域)。また、図9に示すように、三角形OQQ’の辺OQの長さは、操作ロッド可動領域MAの半径rと一致している。
よって、三角形OQQ’において、辺OQの長さをr、辺QQ’の長さをYとして、辺OQ’の長さを算出することにより、交点QのX座標値を算出できる。
【0118】
交点QのX座標値を算出後、境界線到達速度算出部1111−13は、交点QのX座標値と動作位置PのX座標値との差分(の絶対値)をX軸方向の境界線距離Dとして算出する。
【0119】
次に、境界線到達速度算出部1111−13は、算出した境界線距離Dを用いて、現在の動作位置Pから交点Qへ向かう方向の速度を、境界線到達速度のX軸方向成分として算出する。本実施形態においては、境界線到達速度算出部1111−13は、予め決められた一定の減速度にて減速しながら動作位置Pから交点Qへ向かうように、境界線到達速度(のX軸方向成分)を算出する。
【0120】
上記の算出方法により境界線到達速度を算出すると、図10に示すような境界線到達速度を算出できる。図10は、操作ロッドの動作位置と算出される境界線到達速度との関係を示す図である。
【0121】
図10に示すように、上記の方法により算出された境界線到達速度は、操作ロッド可動領域MA内において、操作ロッド3の動作位置(図10の横軸)が可動領域境界線Bに近づくほど(すなわち、境界線距離が小さいほど)大きさ(絶対値)が小さくなる速度として算出されることが分かる。
【0122】
なお、本実施形態では、境界線到達速度は、境界線距離D(操作ロッド3の動作位置)の二乗根に比例する式として算出されている。なぜなら、この領域においては、境界線到達速度が一定の減速度にて減速しながら可動領域境界線Bに近づくためである。
【0123】
このことは、さらに、距離、速度、加速度、及び時間の関係を表した式(D=at/2、及び、V=atから、V=SQRT(2aD)(D:距離、a:加速度、V:速度、t:時間、SQRT(2aD):値2aDの二乗根))からも分かる。
【0124】
なお、境界線到達速度算出部1111−13は、操作ロッド3の現在の動作位置Pが操作ロッド可動領域MAの外にある場合にも、上記と同様にして、可動領域境界線Bに近づく方向の境界線到達速度を算出できる。
【0125】
II.中心方向速度の算出方法
次に、本実施形態における、中心方向速度算出部1111−15における中心方向速度の算出方法について、図11を用いて説明する。図11は、中心方向速度の算出方法を模式的に示す図である。
中心方向速度は、図11に示すように、操作ロッド3の動作位置Pが操作ロッド可動領域MAの外にある場合に算出される。そのため、中心方向速度算出部1111−15は、操作ロッド3の現在の動作位置Pが、操作ロッド可動領域MA外にあるかどうか確認する。例えば、図11において、動作位置基準点Oから動作位置Pまでの距離が、操作ロッド可動領域MAを定める円の半径r以上であるかどうかを確認することより、動作位置Pが操作ロッド可動領域MA外にあるかどうか確認できる。
【0126】
操作ロッド3の現在の動作位置Pが操作ロッド可動領域MA内にあると判断された場合、中心方向速度算出部1111−15は、中心方向速度を0の速度として算出する。
一方、操作ロッド3の現在の動作位置Pが操作ロッド可動領域MA外にあると判断された場合、以下のようにして中心方向速度を算出する。
【0127】
まず、中心方向速度算出部1111−15は、動作位置基準点Oと動作位置P(座標:(X’,Y’))とを通る直線と、可動領域境界線Bとの交点Rを導出し、線分PRの長さと、線分OPの長さを算出する。さらに、中心方向速度算出部1111−15は、線分PRの長さを用いて、上記の境界線到達速度を算出する式(すなわち、線分PRの長さの二乗根に比例する式)により、中心方向速度Vの大きさ(スカラー量)を算出する。
【0128】
中心方向速度Vの大きさを算出後、中心方向速度算出部1111−15は、中心方向速度VのX軸方向成分VCX及びY軸方向成分VCYを算出する。
具体的には、中心方向速度算出部1111−15は、中心方向速度Vの大きさと第1成分比との積を、中心方向速度VのX軸方向成分VCXとして算出する。第1成分比は、動作位置PのX座標値X’の線分OPの長さに対する比の値である。また、中心方向速度算出部1111−15は、中心方向速度Vの大きさと第2成分比との積を、中心方向速度VのY軸方向成分VCYとして算出する。第2成分比は、動作位置PのY座標値Y’の線分OPの長さに対する比の値である。
【0129】
上記のように中心方向速度VのX軸方向成分VCX及びY軸方向成分VCYを算出し、操作ロッド3をX軸方向成分VCXの速度にてX軸方向に移動し、Y軸方向成分VCYの速度にてY軸方向に移動すると、これらの速度が合成されて、操作ロッド3は、図11に示すように、現在の動作位置Pから動作位置基準点Oに向かって移動する。
言い換えると、中心方向速度算出部1111−15は、上記のように中心方向速度VのX軸方向成分VCX及びY軸方向成分VCYを算出することにより、動作位置基準点Oへ向かう中心方向速度V(ベクトル量)を算出できる。
【0130】
III.訓練装置の動作
(i)基本動作
次に、本実施形態に係る訓練装置100の基本動作について、図12Aを用いて説明する。図12Aは、訓練装置の基本動作を示すフローチャートである。
【0131】
訓練装置100が動作を開始すると、まず、訓練指示部5において、第1動作モードにて操作ロッド3を動作させるか、又は、第2動作モードにて操作ロッド3を動作させるかが選択される(ステップS1)。
【0132】
具体的には、訓練指示部5において、訓練プログラムとして上記のフリーモードが選択された場合には、操作ロッド3に加えられた力量に基づいて操作ロッド3を動作させる第1動作モードが、動作モードとして選択される。
一方、訓練指示部5において、訓練プログラムとしてフリーモード以外のモードが選択された場合には、訓練プログラムに指定された訓練指示に基づいて操作ロッド3を動作させる第2動作モードが、動作モードとして選択される。
【0133】
訓練指示部5において動作モードを選択後、訓練指示部5は、第1動作モードを動作モードとして選択した場合は第1動作モード実行指示を、第2動作モードを動作モードとして選択した場合は第2動作モード実行指示を、制御部11に送信する。
【0134】
訓練指示部5から第1動作モード実行指示が送信されると(ステップS1において「第1動作モード」の場合)、制御指令切替部1115は、入力eと出力gとを接続する。これにより、第1指令算出部1111において算出された第1モータ制御指令が、モータ制御部113a、113b、113cに対して出力されるようになる(ステップS2)。すなわち、訓練装置100において、第1動作モードが実行される。
【0135】
一方、制御部11が訓練指示部5から第2動作モード実行指示を受信すると(ステップS1において「第2動作モード」の場合)、制御指令切替部1115は、入力fと出力gとを接続する。これにより、第2指令算出部1113において算出された第2モータ制御指令が、モータ制御部113a、113b、113cに対して出力されるようになる(ステップS3)。すなわち、訓練装置100において、第2動作モードが実行される。
【0136】
このように、訓練プログラムに応じて適切な動作モードを選択し、選択された動作モード(第1動作モード。又は、第2動作モード)に基づいて操作ロッド3(モータ135a、135b、359)を制御するためのモータ制御指令(第1モータ制御指令、又は、第2モータ制御指令)を選択することにより、訓練装置100は、訓練プログラムに応じて、適切に操作ロッド3を動作できる。
【0137】
(ii)第1動作モードの実行時における訓練装置の動作
次に、上記のステップS2における第1動作モードの実行時における訓練装置100の動作の詳細について、図12Bを用いて説明する。図12Bは、第1動作モードの動作を示すフローチャートである。
第1動作モードの実行が開始されると、まず、第1指令算出部1111が、上記3つの動作位置検出部から各自由度方向の操作ロッド3の現在の動作位置を、上記3つの力量検出部から各自由度方向の力量成分信号(力量成分)を取得する(ステップS21)。
【0138】
その後、速度成分算出部1111−1が、ステップS21にて取得した操作ロッド3の現在の動作位置及び力量成分信号を用いて、速度成分を算出する(ステップS22)。具体的には、力量速度算出部1111−11が力量成分信号に基づいて力量速度を算出し、境界線到達速度算出部1111−13が操作ロッド3の現在の動作位置に基づいて境界線到達速度を算出する。さらに、中心方向速度算出部1111−15が中心方向速度を算出する。
このとき、速度成分算出部1111−1は、操作ロッド3の動作可能な各自由度方向に対して対応する速度成分を算出する。
【0139】
次に、動作速度算出部1111−3が、ステップS22にて算出された3つの速度成分(力量速度、境界線到達速度、中心方向速度)を用いて、操作ロッド3の動作速度を算出する(ステップS23)。なお、ステップS23における操作ロッド3の動作速度算出方法については、後ほど詳しく説明する。
【0140】
動作速度算出部1111−3において操作ロッド3の動作速度を算出後、第1モータ制御指令算出部1111−5が、動作速度算出部1111−3から入力した操作ロッド3の動作速度に基づいて、第1モータ制御指令を算出する(ステップS24)。このとき、第1モータ制御指令算出部1111−5は、操作ロッド3の動作可能な各自由度方向に対して、対応する第1モータ制御指令を算出する。
【0141】
第1モータ制御指令を算出後、3つのモータ制御部113a、113b、113cが、それぞれ、Y軸方向傾動モータ135a、X軸方向傾動モータ135b、及び伸縮モータ359を制御するための対応する第1モータ制御指令を入力する。そして、3つのモータ制御部のそれぞれは、対応する第1モータ制御指令に基づいて、対応するモータに対して、当該モータを駆動するための駆動電力を出力する。
これにより、上記3つのモータは、第1モータ制御指令に基づいて制御される(ステップS25)。
【0142】
次に、制御部11は、第1動作モードが終了したかどうかを確認する(ステップS26)。具体的には、例えば、訓練指示部5から、上記のフリーモードの実行の停止が指示された場合などに、制御部11は、第1動作モードが終了したと判断する。
【0143】
制御部11が、第1動作モードが終了したと判断した場合(ステップS26において「Yes」の場合)、制御部11は、上記の3つのモータの制御を停止して、第1動作モードの実行を停止する。
一方、制御部11が第1動作モードを実行中(継続中)と判断した場合(ステップS26において「No」の場合)、訓練装置100の動作プロセスはS21に戻る。つまり、制御部11は、上記の3つのモータの制御を継続する。
これにより、制御部11は、第1動作モードを実行中に、上記の3つのモータを第1モータ制御指令に基づいて継続して制御できる。
【0144】
(iii)操作ロッドの動作速度の算出方法
次に、本実施形態における、上記のステップS23における操作ロッド3の動作速度の算出方法について、図12Cを用いて説明する。図12Cは、第1実施形態に係る訓練装置における操作ロッドの動作速度の算出方法を示すフローチャートである。
操作ロッド3の動作速度の算出を開始すると、まず、速度成分比較部1111−31が、速度成分算出部1111−1から、力量速度及び境界線到達速度を入力し、力量速度と境界線到達速度との大きさ(絶対値)の比較を行う(ステップS231)。
【0145】
速度成分比較部1111−31において、力量速度が境界線到達速度よりも大きいと判断された場合(ステップS231において「Yes」の場合)、速度成分比較部1111−31は、境界線到達速度を、速度成分合成部1111−33に出力する(ステップS232)。
一方、力量速度が境界線到達速度以下であると判断された場合(ステップS231において「No」の場合)、速度成分比較部1111−31は、力量速度を、速度成分合成部1111−33に出力する(ステップS233)。
【0146】
次に、速度成分合成部1111−33は、入力した力量速度又は境界線到達速度の絶対値が最大動作速度Vmaxより大きいかどうか確認する(ステップS234)。力量速度又は境界線到達速度の絶対値が最大動作速度Vmaxより大きい場合(ステップS234において「Yes」の場合)、速度成分合成部1111−33は、中心方向速度と合成する速度として最大動作速度Vmaxを選択する。そして、速度成分合成部1111−33は、最大動作速度Vmaxと中心方向速度とを合成して動作速度を算出し、第1モータ制御指令算出部1111−5に算出した動作速度を出力する(ステップS236)。その後、動作速度の算出を終了する。
【0147】
一方、力量速度又は境界線到達速度の絶対値が最大動作速度Vmax以下の場合(ステップS234において「No」の場合)、速度成分合成部1111−33は、中心方向速度と合成する速度として、力量速度又は境界線到達速度を選択する。そして、速度成分合成部1111−33は、力量速度又は境界線到達速度のうち上記のステップS231〜S233を実行して選択された速度と中心方向速度とを合成して動作速度を算出し、第1モータ制御指令算出部1111−5に算出した動作速度を出力する(ステップS235)。その後、動作速度の算出を終了する。
【0148】
ここで、上記のステップS231〜S236を実行することにより、中心方向速度と合成される速度が、操作ロッド可動領域MA内にてどのように変化するかを、図13を用いて説明する。図13は、操作ロッド可動領域MA内における動作速度と操作ロッドの動作位置との関係を示す図である。
【0149】
今、操作ロッド3に力を加えて、動作位置基準点Oから可動領域境界線Bまで、操作ロッド3を動作させる例を考える。この例において、操作ロッド3に力が加えられた結果、図13の点線に示すような力量速度が算出されているとする。なお、図13において、算出された境界線到達速度を一点鎖線にて、最大動作速度Vmaxを二点鎖線にて、操作ロッド可動領域MA内における操作ロッド3の実際の動作速度を実線にて示している。
【0150】
図13に示すように、動作位置基準点Oから動作位置P1までにおいて、力量速度及び境界線到達速度はともに最大動作速度Vmaxよりも大きい値として算出されている。このような場合、操作ロッド3の動作速度は、最大動作速度Vmaxに制限される。このように、本実施形態においては、力量速度及び/又は境界線到達速度が最大動作速度Vmaxよりも大きな値として算出されても、操作ロッド3の動作速度は最大動作速度Vmax以下に制限される。
【0151】
動作位置P1以降において、力量速度(の絶対値)は、境界線到達速度(の絶対値)より小さく、かつ、最大動作速度Vmaxよりも小さい。従って、操作ロッド3の動作速度として力量速度が出力されている。すなわち、動作位置P1以降において、操作ロッド3は操作ロッド3に加えられた力(力量)に基づき動作している。
【0152】
さらに、動作位置PTH以降から可動領域境界線Bまでの範囲において、境界線到達速度(の絶対値)が力量速度(の絶対値)より小さく、かつ、最大動作速度Vmaxよりも小さくなっている。このため、当該動作位置範囲において、操作ロッド3は境界線到達速度にて動作している。すなわち、可動領域境界線Bの近傍において、操作ロッド3の動作速度は上記の境界線距離Dによる制限(境界線到達速度による制限)を受けている。
【0153】
なお、上記の動作位置PTH以降から可動領域境界線Bまでの範囲において、操作ロッド3に加えられる力(力量)が減少して、算出された力量速度が境界線到達速度よりも小さくなった場合には、力量速度が操作ロッド3の動作速度として選択される。従って、境界線到達速度は、可動領域境界線Bの近傍における動作速度の上限値を定めていると言える。
【0154】
上記のように、特に操作ロッド3の現在の動作位置Pが可動領域境界線Bの近傍にあるときに、操作ロッド3の動作速度に対して境界線距離Dによる制限を設けることにより、操作ロッド3へ加えられる力(力量)が大きい場合でも、操作ロッド3が可動領域境界線Bにおいて急激に停止することを抑制できる。その結果、操作ロッド3が可動領域境界線Bに到達したときに、操作ロッド3が肢に与える衝撃を低減できる。
【0155】
また、操作ロッド3の動作速度に対して境界線距離Dによる制限を設けることにより、操作ロッド3が、速い速度のまま可動領域境界線Bに近づいて、慣性などにより可動領域境界線Bを越えて操作ロッド可動領域MAの外へ移動してしまうことを抑制できる。
【0156】
さらに、力量速度の算出値と、境界線到達速度の算出値と、最大動作速度Vmaxとの大小関係(上記のように、これらの速度の最小値が選択される)に基づいて、中心方向速度と合成される速度(操作ロッド可動領域MA内の動作速度)を選択することにより、操作ロッド3が過剰に速い速度にて動作したり、操作ロッド3の動作速度が急激に変化したりすることがなくなる。そのため、動作速度を切り替えたときに、操作ロッド3が肢に与える衝撃を低減できる。
【0157】
また、上記のステップS235又はS236において、操作ロッド3の現在の動作位置が操作ロッド可動領域MAの外に存在する場合には、上記のステップS231〜S234のステップにより選択された速度成分と0でない中心方向速度とが合成される。これにより、操作ロッド3は速やかに操作ロッド可動領域MA内に戻される。
【0158】
なお、上記において説明した第1実施形態に係る訓練装置100の動作は、本発明の範囲を超えない範囲にて、各動作に対して変更を加えたり、及び/又は、各動作の実行順序を入れ替えたりしてもよい。
【0159】
2.第2実施形態
(1)第2実施形態に係る訓練装置の構成
上記の第1実施形態に係る訓練装置100においては、力量速度、境界線到達速度、又は最大動作速度Vmaxのうちの最小の速度成分と、中心方向速度とが合成された動作速度が算出されていた。そのため、第1実施形態に係る訓練装置100において、可動領域境界線Bに近づくほど操作ロッド3の動作速度は小さくなるように制限され、可動領域境界線B上では操作ロッド3が停止するように動作速度が算出されていた。しかし、これに限られない。以下に説明する第2実施形態に係る訓練装置200においては、操作ロッド3に加えられた力量によっては、操作ロッド3が可動領域境界線Bの近傍や可動領域境界線B上にある場合に操作ロッド3を停止するのではなく、操作ロッド3を可動領域境界線Bに沿って動作させる。
【0160】
このような第2実施形態に係る訓練装置200は、第1指令算出部1111の速度成分算出部1111−1’の構成と動作速度算出部1111−3’の構成が、第1実施形態に係る訓練装置100の速度成分算出部1111−1の構成と動作速度算出部1111−3の構成と異なっている。従って、以下の説明においては、第2実施形態の速度成分算出部1111−1’の構成と、動作速度算出部1111−3’の構成についてのみ説明し、他の構成の説明は省略する。
【0161】
I.速度成分算出部の構成
まず、第2実施形態に係る訓練装置200の速度成分算出部1111−1’の構成について、図14Aを用いて説明する。図14Aは、第2実施形態に係る訓練装置の速度成分算出部の構成を示す図である。
第2実施形態に係る訓練装置200の速度成分算出部1111−1’は、力量速度算出部1111−11’と、境界線到達速度算出部1111−13’と、中心方向速度算出部1111−15’と、さらに、境界線方向速度算出部1111−17’と、動作位置予測部1111−19’と、を有する。
【0162】
なお、第2実施形態に係る訓練装置200の力量速度算出部1111−11’、境界線到達速度算出部1111−13’、及び中心方向速度算出部1111−15’の構成と機能は、それぞれ、第1実施形態の力量速度算出部1111−11、境界線到達速度算出部1111−13、及び中心方向速度算出部1111−15と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0163】
境界線方向速度算出部1111−17’は、境界線方向速度を算出する。境界線方向速度は、可動領域境界線Bに沿った方向の速度成分である。境界線方向速度算出部1111−17’は、動作位置予測部1111−19’(後述)から予測動作位置P’’(後述)を、3つの動作位置検出部から操作ロッド3の動作位置を入力可能となっており、入力した予測動作位置P’’及び操作ロッド3の現在の動作位置Pに基づいて、境界線方向速度を算出する。
なお、境界線方向速度算出部1111−17’における境界線方向速度の算出方法については、後ほど詳しく説明する。
【0164】
動作位置予測部1111−19’は、3つの力量検出部175、177、393から対応する自由度方向の力量成分信号を入力し、入力した力量成分信号を合成して合成力量を算出する。よって、合成力量は、検出された各自由度方向(X軸方向、Y軸方向、長さ方向)の力量成分を合成することにより得られる、操作ロッド3に加えられた力量に対応する。すなわち、動作位置予測部1111−19’は、ベクトル量としての合成力量(操作ロッド3に加えられた力量)、すなわち合成力量ベクトルFを算出する。
【0165】
また、動作位置予測部1111−19’は、3つの動作位置検出部から操作ロッド3の動作位置を入力し、合成力量と入力した操作ロッド3の現在の動作位置Pとに基づいて、予測動作位置P’’を算出する。
【0166】
予測動作位置P’’とは、操作ロッド3の現在の動作位置Pにおいて、操作ロッド3に合成力量が加えられたときに、操作ロッド3が到達すると予測される操作ロッド3の動作位置に対応する。なお、動作位置予測部1111−19’における予測動作位置P’’の具体的な算出方法については、後ほど説明する。
【0167】
このように、速度成分算出部1111−1’が境界線方向速度算出部1111−17’をさらに有することにより、速度成分算出部1111−1’は、力量速度、境界線到達速度、中心方向速度に加えて、さらに、境界線方向速度を速度成分として算出できる。
【0168】
II.動作速度算出部の構成
次に、第2実施形態に係る訓練装置200の動作速度算出部1111−3’の構成について、図14Bを用いて説明する。図14Bは、第2実施形態に係る訓練装置の動作速度算出部の構成を示す図である。
第2実施形態に係る訓練装置200の動作速度算出部1111−3’は、速度成分比較部1111−31’と、第1速度成分合成部1111−33’と、第2速度成分合成部1111−35’と、第3速度成分合成部1111−37’と、を有する。
なお、速度成分比較部1111−31’の構成及び機能は、第1実施形態の速度成分比較部1111−31と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0169】
第1速度成分合成部1111−33’は、速度成分比較部1111−31’にて選択された力量速度又は境界線到達速度のいずれか小さい方の速度と、第2速度成分合成部1111−35’(後述)から入力した速度とを合成して、第1合成速度を算出する。具体的には、第1速度成分合成部1111−33’は、力量速度又は境界線到達速度の小さい方の速度と、第2速度成分合成部1111−35’から入力した速度とを、操作ロッド3の現在の動作位置Pに基づいて変化する第1に比にて合成する。なお、第1速度成分合成部1111−33’における第1合成速度の具体的な算出方法については、後ほど詳しく説明する。
【0170】
第2速度成分合成部1111−35’は、速度成分算出部1111−1’から入力した力量速度と境界線方向速度とを、予測動作位置P’’に基づいて変化する第2の比にて合成して、出力すべき速度を算出する。第2速度成分合成部1111−35’における速度の算出方法については後述する。
【0171】
第3速度成分合成部1111−37’は、最終的な動作速度を算出し、第1モータ制御指令算出部1111−5に出力する。なお、第3速度成分合成部1111−37’における動作速度の算出方法については、後ほど詳しく説明する。
【0172】
(2)第2実施形態に係る訓練装置の動作
I.境界線方向速度の算出方法
以下に、第2実施形態に係る訓練装置200の動作について説明する。まず、境界線方向速度算出部1111−17’における境界線方向速度の算出方法について、図15A及び図15Bを用いて説明する。図15Aは、境界線方向速度の算出方法を模式的に示す図である。図15Bは、境界線方向速度の算出方法を示すフローチャートである。境界線方向速度は、具体的には以下のように算出される。
【0173】
まず、動作位置予測部1111−19’が、合成力量(合成力量信号)を算出し、算出した合成力量を用いて予測動作位置P’’を算出する(ステップS1001)。具体的には、図15Aに示すように、操作ロッド3の現在の動作位置Pから合成力量ベクトルFを伸ばしたときの合成力量ベクトルFの終端位置(図15Aにおいては、矢印が付されている方の先端)を予測動作位置P’’として算出する。
【0174】
上記の合成力量ベクトルFの大きさは、入力した合成力量信号に対応する力量が操作ロッド3に加えられたときの操作ロッド3の動作速度(力量速度)が一定時間継続したと仮定したときに操作ロッド3が移動する距離となる。この場合、予測動作位置P’’は、操作ロッド3に合成力量が加えられたときに、操作ロッド3が到達すると予測される位置として算出される。このような合成力量ベクトルFは、例えば、上記の合成力量信号と所定の係数との積として算出できる。これにより、操作ロッド3が力量速度にて一定時間移動した場合の位置を予測動作位置P’’として予測できる
【0175】
または、上記の合成力量ベクトルFを、例えば、現在の動作位置Pと、上記の力量速度から所定の減速度にて減速して停止する(減速停止する)と予測される位置とを結ぶベクトルとして算出してもよい。すなわち、予測動作位置P’’を、操作ロッド3が力量速度から所定の減速度にて減速停止すると予測される位置としてもよい。これにより、操作ロッド3が最終的に停止する位置を予測動作位置P’’として予測できる。
【0176】
次に、境界線方向速度算出部1111−17’は、動作位置基準点Oと予測動作位置P’’とを結ぶ直線(図15Aの点線にて示した線分OP’’)を算出する(ステップS1002)。そして、当該直線と可動領域境界線Bとの交点Mを算出する(ステップS1003)。交点Mの座標は、例えば、上記直線(線分OP’’)を表す方程式と可動領域境界線Bを表す方程式との連立方程式を解くことにより算出できる。
【0177】
上記の交点Mを算出後、境界線方向速度算出部1111−17’は、交点Mと操作ロッド3の現在の動作位置Pとの位置偏差に基づいて、境界線方向速度Vを算出する(ステップS1004)。具体的には、境界線方向速度VのX軸方向成分VBXを、一定の減速度にて動作位置PのX座標値Xから交点MのX座標値Xまで移動するための速度として算出する。すなわち、VBXの大きさは、位置偏差X(動作位置PのX座標値)−X(交点MのX座標値)の絶対値の二乗根に比例する式により算出される。また、VBXの方向は、動作位置PのX座標値Xと交点MのX座標値Xとの大小関係に基づいて決定できる。
【0178】
一方、境界線方向速度VのY軸方向成分VBYは、一定の減速度にて動作位置PのY座標値Yから交点MのY座標値Yまで移動するための速度として算出する。具体的には、境界線方向速度VのY軸方向成分VBYの大きさは、位置偏差Y(動作位置PのY座標値)−Y(交点MのY座標値)の絶対値の二乗根に比例する式により算出される。また、VBYの方向は、動作位置PのY座標値Yと交点MのY座標値Yとの大小関係に基づいて決定される。
【0179】
図15Aに示されているとおり、上記のX軸方向成分VBX及びY軸方向成分VBYを合成して得られる境界線方向速度Vは、操作ロッド3の現在の動作位置Pから交点Mへと向かう可動領域境界線Bに沿った方向の速度として算出できている。
【0180】
なお、上記のように、境界線方向速度は交点Mを用いて算出されている。よって、予測動作位置P’’が操作ロッド可動領域MAの内側にある場合には、交点Mは存在しないことになる。この場合、境界線方向速度は算出できない。
従って、予測動作位置P’’が操作ロッド可動領域MAの内側にある場合、境界線方向速度算出部1111−17’は、境界線方向速度を0値として算出してもよいし、境界線方向速度を算出することなく上記の境界線方向速度を算出するプロセスを終了してもよい。
【0181】
II.第1合成速度の算出方法
次に、第1速度成分合成部1111−33’における第1合成速度の算出方法について、図16Aを用いて説明する。図16Aは第1速度成分合成部における第1合成速度の算出方法を示すフローチャートである。本実施形態において、第1速度成分合成部1111−33’は、力量速度又は境界線到達速度のいずれか小さい方の速度と第1合成係数との積と、第2速度成分合成部1111−35’から入力した速度と第2合成係数との積との和を、第1合成速度として算出する。すなわち、第1合成速度は、力量速度又は境界線到達速度のいずれか小さい方の速度と、第2速度成分合成部1111−35’から入力した速度とを、第1の比(第1合成係数/第2合成係数)にて合成した速度として定義される。
【0182】
具体的には、まず、第1速度成分合成部1111−33’が、操作ロッド3の現在の動作位置Pに基づいて、第1合成係数及び第2合成係数を算出する(ステップS1101)。本実施形態において、第1合成係数及び第2合成係数は、図16Bのように算出される。図16Bは、第1合成係数及び第2合成係数と動作位置基準点から動作位置までの距離との関係を示す図である。図16Bに示すように、第1合成係数(図16Bの点線)は、操作ロッド3の現在の動作位置Pが動作位置基準点Oから境界方向速度合成開始位置RTHまでの範囲にあるときは、1となる。また、操作ロッド3の動作位置Pが境界方向速度合成開始位置RTHから可動領域境界線Bまでの範囲にあるときは、第1合成係数は1から0に単調減少する。さらに、操作ロッド3の動作位置Pが操作ロッド可動領域MA外にあるときは、第1合成係数は0となる。
【0183】
一方、第2合成係数(図16Bの実線)は、第1合成係数とは逆に、操作ロッド3の現在の動作位置Pが動作位置基準点Oから境界方向速度合成開始位置RTHまでにあるときは、0となる。操作ロッド3の動作位置Pが境界方向速度合成開始位置RTHから可動領域境界線Bまでの範囲にあるときは、第2合成係数は0から1に単調増加する。さらに、操作ロッド3の動作位置Pが操作ロッド可動領域MA外にあるときは、第2合成係数は1となる。
【0184】
また、上記の第1合成係数及び第2合成係数(第1の比)は、可動領域境界線Bと操作ロッド3の現在の動作位置Pとの距離に基づいて、上記の図16Bのように算出されてもよい。これにより、円形ではない任意の形状の操作ロッド可動領域MAについて上記の第1合成係数及び第2合成係数を決定できる。
【0185】
上記のような第1合成係数及び第2合成係数を算出後、第1速度成分合成部1111−33’は、操作ロッド3の現在の動作位置Pが動作位置基準点Oから境界方向速度合成開始位置RTHまでの範囲にあるかどうかを判断する(ステップS1102)。操作ロッド3の現在の動作位置Pが動作位置基準点Oから境界方向速度合成開始位置RTHまでの範囲にあると判断された場合(ステップS1102において「Yes」の場合)、第1速度成分合成部1111−33’は、境界線到達速度又は力量速度のいずれか小さい方の速度を第1合成速度として算出する(ステップS1103)。なぜなら、操作ロッド3の動作位置Pが動作位置基準点Oから境界方向速度合成開始位置RTHまでの範囲にあるとき、第1合成係数は1と算出され、第2合成係数は0と算出されているからである。
【0186】
一方、操作ロッド3の現在の動作位置Pが動作位置基準点Oから境界方向速度合成開始位置RTHまでの範囲外にあると判断された場合(ステップS1102において「No」の場合)、第1速度成分合成部1111−33’は、さらに、現在の動作位置Pが操作ロッド可動領域MAの外(ここでは、可動領域境界線B上も操作ロッド可動領域MA外にあるものとする)にあるかどうかを判断する(ステップS1104)。
【0187】
操作ロッド3の動作位置Pが操作ロッド可動領域MAの外にあると判断された場合(ステップS1104において「Yes」の場合)、第1速度成分合成部1111−33’は、第2速度成分合成部1111−35’から出力された速度を第1合成速度として算出する(ステップS1105)。なぜなら、この場合、第1合成係数は0と算出され、第2合成係数は1と算出されているからである。
【0188】
一方、操作ロッド3の動作位置Pが、操作ロッド可動領域MAの内側の境界方向速度合成開始位置RTHよりも可動領域境界線Bに近い位置にあると判断された場合、すなわち、操作ロッド3の動作位置Pが可動領域境界線Bの近傍にあると判断された場合(ステップS1104において「No」の場合)、第1合成係数及び第2合成係数のいずれもが0から1の範囲の数値となっている。従って、第1速度成分合成部1111−33’は、力量速度又は境界線到達速度のうちの小さい方と、第2速度成分合成部1111−35’にて出力された速度とを、第1の比にて合成して第1合成速度を算出する(ステップS1106)。
【0189】
上記のステップS1101〜S1106を実行することにより、第1速度成分は、操作ロッド3の現在の動作位置Pに基づいて、以下のように算出される。
【0190】
(i)操作ロッド3の現在の動作位置Pが動作位置基準点Oから境界方向速度合成開始位置RTHまでの範囲にある場合は、力量速度又は境界線到達速度のいずれか小さい方が第1合成速度となる(ステップS1103)。すなわち、操作ロッド3の現在の動作位置Pが操作ロッド可動領域MAの十分に内部にある場合は、第1実施形態と同様に、力量速度又は境界線到達速度のいずれか小さい方が第1合成速度として算出される。
【0191】
(ii)操作ロッド3の現在の動作位置Pが操作ロッド可動領域MAの内側の境界方向速度合成開始位置RTHよりも可動領域境界線Bに近い位置にある場合、すなわち、操作ロッド3の現在の動作位置Pが可動領域境界線Bの近傍にあるとき、力量速度又は境界線到達速度のうちの小さい方と、第2速度成分合成部1111−35’から出力された速度とを、第1の比にて合成して第1合成速度が算出される(ステップS1106)。
【0192】
(iii)操作ロッド3の現在の動作位置Pが操作ロッド可動領域MAの外側(可動領域境界線Bを含む)にある場合、第2速度成分合成部1111−35’から出力される速度が第1合成速度として算出される(ステップS1105)。
【0193】
また、図16Bに示すように、第1合成係数及び第2合成係数は連続的に変化しているため、第1合成速度における、第2速度成分合成部1111−35’から出力された速度の割合と、力量速度又は境界線到達速度のいずれかの速度の割合とが、操作ロッド3の動作位置Pに対して連続的に変化する。これにより、第1合成速度が急激に変化することがなくなり、操作ロッド3を滑らかに動作できる。
【0194】
III.第2速度成分合成部における速度の算出方法
次に、第2速度成分合成部1111−35’における速度の算出方法について図17Aを用いて説明する。図17Aは、第2速度成分合成部における速度の算出方法を示すフローチャートである。第2速度成分合成部1111−35’は、力量速度と第3合成係数との積と境界線方向速度と第4合成係数との積との和により速度を算出する。
【0195】
具体的には、第2速度成分合成部1111−35’は、まず、予測動作位置P’’に基づいて、図17Bに示すような第3合成係数及び第4合成係数を算出する(ステップS1201)。図17Bは、第3合成係数及び第4合成係数と動作位置基準点から予測動作位置までの距離との関係を示す図である。
【0196】
図17Bに示すように、第3合成係数(図17Bの点線)は、予測動作位置P’’が操作ロッド可動領域MA内にあるときに1であり、予測動作位置P’’が操作ロッド可動領域MAの外にある場合には、可動領域境界線Bから予測動作位置P’’までの距離が増加するに従って単調減少する。そして、予測動作位置P’’が操作ロッド可動領域MA外の所定の位置よりもさらに離れた位置にある場合、第3合成係数は0となる。
【0197】
一方、第4合成係数(図17Bの実線)は、予測動作位置P’’が操作ロッド可動領域MA内にあるときに0であり、予測動作位置P’’が操作ロッド可動領域MAの外にある場合には、可動領域境界線Bから予測動作位置P’’までの距離が増加するに従って単調増加する。そして、予測動作位置P’’が操作ロッド可動領域MA外の所定の位置よりもさらに離れた位置にある場合、第4合成係数は1となる。
【0198】
また、上記の第3合成係数及び第4合成係数(第2の比)は、可動領域境界線Bと予測動作位置P’’との距離に基づいて、上記の図17Bのように算出されてもよい。これにより、円形ではない任意の形状の操作ロッド可動領域MAについて上記の第3合成係数及び第4成係数を決定できる。
【0199】
第3合成係数及び第4合成係数を上記のように算出後、第2速度成分合成部1111−35’は、予測動作位置P’’が操作ロッド可動領域MAの外にあるかどうかを判断する(ステップS1202)。
予測動作位置P’’が操作ロッド可動領域MAの内側にあると判断された場合(ステップS1202において「No」の場合)、上記の第3合成係数は1と算出され、第4合成係数は0と算出されている。従って、第2速度成分合成部1111−35’からは力量速度が出力される(ステップS1203)。
【0200】
一方、予測動作位置P’’が操作ロッド可動領域MAの外にあると判断された場合(ステップS1202において「Yes」の場合)、第2速度成分合成部1111−35’は、さらに、予測動作位置P’’が可動領域境界線Bから上記の所定の位置までの範囲(図17Bの所定の範囲)内にあるかどうかを判断する(ステップS1204)。
【0201】
予測動作位置P’’が図17Bに示す所定の範囲よりもさらに外側にある場合(ステップS1204において「No」の場合)、第3合成係数は0と算出され、第4合成係数は1と算出されている。従って、この場合、第2速度成分合成部1111−35’は、境界線方向速度を出力する(ステップS1205)。
【0202】
一方、予測動作位置P’’が図17Bに示す所定の範囲内にある場合(ステップS1204において「Yes」の場合)、第3合成係数及び第4合成係数はともに、0から1の間の数値をとる。従って、第2速度成分合成部1111−35’は、力量速度と境界線方向速度とを第2の比にて合成した第2合成速度を出力する(ステップS1206)。
【0203】
上記のステップS1201〜S1206を実行することにより、第2速度成分合成部1111−35’は、予測動作位置P’’の位置によって、以下のような速度を出力する。
【0204】
(iv)予測動作位置P’’が操作ロッド可動領域MA内にある場合、すなわち、現在の力量により操作ロッド3が操作ロッド可動領域MAの外に移動しないと予測される場合には、第2速度成分合成部1111−35’は力量速度を出力する。
【0205】
(v)予測動作位置P’’が操作ロッド可動領域MA外の可動領域境界線Bから所定の距離の範囲内にある場合、すなわち、現在の力量により、操作ロッド3が、操作ロッド可動領域MAの外の可動領域境界線Bの近傍に移動すると予測される場合には、第2速度成分合成部1111−35’は第2合成速度を出力する。
【0206】
(vi)予測動作位置P’’が可動領域境界線Bから所定の距離以上離れた位置にある場合、すなわち、現在の力量により操作ロッド3が操作ロッド可動領域MAからある程度離れた位置に移動すると予測される場合、第2速度成分合成部1111−35’は境界線方向速度を出力する。
【0207】
また、図17Bに示すように、第3合成係数及び第4合成係数は、予測動作位置に対して連続的に変化している。
これにより、第2速度成分合成部1111−35’から出力される速度を、予測動作位置P’’の大きさに基づいて、力量速度から境界線方向速度へと、又はその逆方向に、滑らかに切り替えられる。その結果、操作ロッド3の動作速度が急激に変化することがなくなる。
【0208】
IV.第3速度成分合成部における動作速度の算出方法
次に、第3速度成分合成部1111−37’における動作速度の算出方法について、図18を用いて説明する。図18は、第3速度成分合成部における速度の算出方法を示すフローチャートである。第3速度成分合成部1111−37’においては、操作ロッド3の動作位置P及び予測動作位置P’’の存在位置に基づいて、第1速度成分合成部1111−33’からの第1合成速度に対してさらに速度を合成して、最終的な動作速度を算出している。
【0209】
具体的には、第3速度成分合成部1111−37’は、まず、操作ロッド3の動作位置Pが操作ロッド可動領域MAの外にあるかどうかを判断する(ステップS1301)。なお、ステップS1301においては、可動領域境界線Bは操作ロッド可動領域MA内に含まれるものとする。操作ロッド3の動作位置Pが操作ロッド可動領域MAの外にあると判断された場合(ステップS1301において「Yes」の場合)、第3速度成分合成部1111−37’は、第1合成速度と中心方向速度とを合成した速度を動作速度とする(ステップS1302)。
【0210】
一方、操作ロッド3の動作位置Pが操作ロッド可動領域MAの内側にあると判断された場合(ステップS1301において「No」の場合)、第3速度成分合成部1111−37’は、算出された境界線方向速度が最低走行速度よりも小さいかどうかを判断する(ステップS1303)。
境界線方向速度が最低走行速度以上の値として算出されている場合(ステップS1303において「No」の場合)、第3速度成分合成部1111−37’は、第1合成速度を動作速度として出力する(ステップS1305)。
【0211】
一方、境界線方向速度が最低走行速度より小さい値として算出されている場合(ステップS1303において「Yes」の場合)、第3速度成分合成部1111−37’は、さらに、予測動作位置P’’が操作ロッド可動領域MAの外にあるかどうかを判断する(ステップS1304)。
予測動作位置P’’が操作ロッド可動領域MAの内側にあると判断された場合(ステップS1304において「No」の場合)、第3速度成分合成部1111−37’は、第1合成速度を動作速度として出力する(ステップS1305)。
一方、予測動作位置P’’が操作ロッド可動領域MAの外にあると判断された場合(ステップS1304において「Yes」の場合)、第3速度成分合成部1111−37’は、境界線方向速度を0として動作速度を算出する(ステップS1306)。
【0212】
ここで、境界線方向速度が最低走行速度よりも小さいことについての意味について説明する。境界線方向速度が小さな値として算出される場合は、図19に示すように、操作ロッド3の現在の動作位置Pと交点Mとの間の距離が小さくなっている場合である。または、操作ロッド3の動作位置Pと上記の交点Mとの間の距離は大きいが、動作位置Pが線分OP’’上に存在する場合である。図19は、境界線方向速度が小さな値として算出される場合の一例を模式的に示す図である。
【0213】
V.第2実施形態に係る訓練装置の動作
次に、第2実施形態に係る訓練装置200の動作について図20を用いて説明する。図20は、第2実施形態に係る訓練装置における動作速度の算出方法を示すフローチャートである。
なお、第2実施形態に係る訓練装置200の動作は、第1動作モードの実行時における動作速度の算出方法(図12BのフローチャートのステップS23に対応)以外は、第1実施形態に係る訓練装置100における動作と同じである。従って、以下においては、第2実施形態に係る訓練装置200における第1動作モード実行時の動作速度の算出方法についてのみ説明し、それ以外の動作についての説明は省略する。
【0214】
訓練装置200において動作速度の算出が開始されると、まず、ステップS22において算出された力量速度、境界線到達速度、及び中心方向速度に加えて、さらに、境界線方向速度算出部1111−17’が、上記のステップS1001〜S1004を実行して境界線方向速度を算出する(ステップS2301)。
【0215】
境界線方向速度を算出後、第2速度成分合成部1111−35’が、上記のステップS1201〜S1206を実行して、予測動作位置P’’の位置に基づいた所定の速度を出力する(ステップS2302)。
【0216】
第2速度成分合成部1111−35’が所定の速度を出力後、第1速度成分合成部1111−33’が、上記のステップS1101〜1106を実行して、第1合成速度を算出する(ステップS2303)。
【0217】
第1合成速度を算出後、第3速度成分合成部1111−37’が、上記のステップS1301〜S1306を実行して、操作ロッド3の現在の動作位置P及び予測動作位置P’’の位置に基づいて、最終的な動作速度を算出する(ステップS2304)。
【0218】
上記にて説明したステップS2301〜S2304を実行することにより、動作速度は、予測動作位置P’’及び操作ロッド3の現在の動作位置Pなどに基づいて、以下のように算出される。
【0219】
(I)操作ロッドの現在の動作位置が操作ロッド可動領域内に存在するとき
操作ロッド3の現在の動作位置Pが操作ロッド可動領域MAの内側に存在する場合には、予測動作位置P’’の位置や操作ロッド3に加えられている力の向きにより、以下ように動作速度が算出される。
【0220】
(i)操作ロッドに加えられている力の向きが可動領域境界線に対して垂直に近く、かつ、加えられた力量に基づくと操作ロッド3が操作ロッド可動領域MAからある程度離れた位置に移動することになるとき
この場合、境界線方向速度は0となっている。従って、可動領域境界線B上において、操作ロッド3に可動領域境界線Bに対して垂直に近い力が加えられている場合は、操作ロッド3を可動領域境界線Bにおいて安定して停止できる。
【0221】
(ii)操作ロッドの動作位置が操作ロッド可動領域の十分内側にあるとき
操作ロッド3の動作位置Pが境界方向速度合成開始位置RTHよりも動作位置基準点Oに近い場合、すなわち、操作ロッド3の動作位置Pが操作ロッド可動領域MAの十分内側にあるとき、操作ロッド3の動作速度は、第1実施形態の訓練装置100と同様、力量速度又は境界線到達速度のいずれか小さい方の速度となる。
【0222】
なお、上記(ii)の場合のみに限られず、動作速度として力量速度又は境界線到達速度のいずれか小さい方の速度が出力される場合、第1実施形態と同様に、動作速度の上限値を最大動作速度Vmaxに制限してもよい。これにより、操作ロッド3か過剰に高速に動作することを回避できる。
【0223】
(iii)操作ロッドの動作位置が可動領域境界線の近傍にあり、かつ、予測動作位置が操作ロッド可動領域内に存在するとき
操作ロッド3の動作位置Pが可動領域境界線Bの近傍にあり、かつ、予測動作位置P’’が操作ロッド可動領域MAの内側に存在する(すなわち、操作ロッド3に加えられた力により操作ロッド3が操作ロッド可動領域MAの外に移動しない)とき、動作速度は、第1実施形態の訓練装置100と同様に、力量速度又は境界線到達速度のいずれか小さい方となる。
【0224】
つまり、操作ロッド3の動作位置Pが可動領域境界線Bの近傍にあっても、操作ロッド3に加えられる力により操作ロッド3が操作ロッド可動領域MAの外に移動しない場合には、第1実施形態と同様に、操作ロッド3の動作速度は、力量速度又は境界線到達速度のいずれか小さい方の速度となる。
【0225】
(iv)操作ロッドの動作位置が可動領域境界線の近傍にあり、かつ、予測動作位置が操作ロッド可動領域外の可動領域境界線の近傍に存在するとき
操作ロッド3の動作位置Pが可動領域境界線Bの近傍にあり、かつ、予測動作位置P’’が操作ロッド可動領域MA外の可動領域境界線Bの近傍に存在するとき、動作速度は、力量速度と境界線方向速度とを含むか、又は、力量速度と境界線方向速度と境界線到達速度とを含む速度として算出される。
【0226】
上記の動作速度における境界線方向速度の割合は、後述する予測動作位置P’’が可動領域境界線B近傍よりも離れた位置の場合に算出される動作速度における境界線方向速度の割合よりも低い。なぜなら、予測動作位置P’’が操作ロッド可動領域MA外の可動領域境界線Bの近傍に存在する場合、第2速度成分合成部1111−35’は、境界線方向速度と力量速度とを両方含む第2合成速度を出力するからである。一方、後述するように、予測動作位置P’’が可動領域境界線Bから離れた位置に存在する場合、第2速度成分合成部1111−35’は、境界線方向速度を出力するからである。
【0227】
言い換えると、可動領域境界線Bの近傍において、操作ロッド3が操作ロッド可動領域MAから大きく外れて移動することがない力が操作ロッド3に加えられているとき、動作速度には境界線方向速度が含まれる一方、力量速度及び/又は境界線到達速度も比較的高い割合にて含まれる。
【0228】
従って、操作ロッド3の動作位置Pが可動領域境界線Bの近傍にあって、操作ロッド3に加えられた力によって操作ロッド3が操作ロッド可動領域MAから大きく外れて移動しない場合(例えば、加えられる力の大きさが小さい場合、及び/又は、加えられる力の向きと可動領域境界線Bの接線とがなす角(鋭角)が小さい場合)には、操作ロッド3を可動領域境界線Bに沿った方向に移動させつつ、加えられた力の向きにも操作ロッド3を移動できる。
【0229】
また、上記のように、第1合成係数及び第2合成係数は操作ロッド3の動作位置Pに対して連続的に変化し(図16B)、第3合成係数及び第4合成係数は予測動作位置P’’に対して連続的に変化する(図17B)する。この結果、動作速度における境界線方向速度の割合は、操作ロッド3の動作位置Pが動作位置基準点Oから離れるにつれて、及び/又は、予測動作位置P’’が可動領域境界線Bから離れるにつれて、徐々に大きくなる。これにより、動作速度における力量速度及び/又は境界線到達速度から境界線方向速度への変化、またはその逆の変化をスムーズに行える。その結果、動作速度の変化により操作ロッド3に対して衝撃が与えられることを抑制できる。
【0230】
(v)操作ロッドの動作位置が可動領域境界線の近傍にあり、かつ、予測動作位置が操作ロッド可動領域外の可動領域境界線から離れた位置に存在する場合
操作ロッド3の動作位置Pが可動領域境界線Bの近傍にあり、かつ、予測動作位置P’’が操作ロッド可動領域MA外の可動領域境界線Bから離れた位置(すなわち、上記の所定の範囲の外)に存在する場合、動作速度は、境界線方向速度と力量速度又は境界線到達速度とを含む速度として算出される。ただし、当該条件において算出される動作速度における境界線方向速度の割合は、上記(iv)の条件にて算出される動作速度における境界線方向速度の割合よりも大きくなっている。すなわち、動作速度において、境界線方向速度による影響が上記(iv)の場合より強調されている。
【0231】
言い換えると、操作ロッド3の現在の動作位置Pが可動領域境界線Bの近傍にあって、操作ロッド3に加えられている力による予測動作位置P’’が操作ロッド可動領域MAからある程度外れている場合には、動作速度において境界線方向速度の影響を大きくする。これにより、例えば、操作ロッド3に加えられる力が極端に小さくなかったり、加えられる力の向きと可動領域境界線Bの接線とがなす角度(鋭角)が大きくなったりしても、操作ロッド3が操作ロッド可動領域MAの外へ移動することを抑制できる。
【0232】
(II)操作ロッドの現在の動作位置が可動領域境界線上にあるとき
操作ロッド3の現在の動作位置Pが可動領域境界線B上にあるとき、予測動作位置P’’が上記の所定の範囲内に存在する場合には、第2合成速度が動作速度として出力される。一方、予測動作位置P’’が上記の所定の範囲よりも外にある場合には、境界線方向速度が動作速度として出力される。
【0233】
言い換えると、操作ロッド3の現在の動作位置Pが可動領域境界線B上にあるときに、例えば、操作ロッド3に加えられる力の大きさが小さい場合や、加えられる力の向きと可動領域境界線Bの接線とがなす角(鋭角)が小さい場合には、操作ロッド3に加えられた力も考慮して操作ロッド3を動作させる。
【0234】
一方、例えば、操作ロッド3に加えられる力が極端に小さくない場合や、加えられる力の向きと可動領域境界線Bの接線とがなす角(鋭角)が大きい場合には、可動領域境界線Bに沿った方向に操作ロッド3を動作させる。
【0235】
(III)操作ロッドの現在の動作位置が操作ロッド可動領域外に存在するとき
操作ロッド3の現在の動作位置Pが操作ロッド可動領域MAの外にあるとき、動作速度には、動作位置基準点Oに向かう方向の速度成分である中心方向速度が含まれる。これにより、操作ロッド3の動作位置Pが操作ロッド可動領域MA外にある場合に、操作ロッド3は操作ロッド可動領域MA内へと移動される。
【0236】
なお、上記にて説明した第2実施形態における動作速度の算出方法は、本発明の範囲を超えない範囲にて、上記のフローチャートにて示した動作の順番を変更したり、各動作の動作を変更したりしてもよい。
【0237】
3.実施形態の効果
上記第1実施形態及び第2実施形態の効果は、以下のように記載できる。
第1実施形態に係る訓練装置(例えば、訓練装置100)は、所定の訓練プログラムに従って、使用者の上肢及び/又は下肢の四肢を訓練する訓練装置である。訓練装置は、操作ロッド(例えば、操作ロッド3)と、力量検出部(例えば、Y軸方向力量検出部175、X軸方向力量検出部177、長さ方向力量検出部393)と、動作位置検出部(例えば、第1動作位置検出部135a−1、第2動作位置検出部135b−1、第3動作位置検出部359−1)と、力量速度算出部(例えば、力量速度算出部1111−11)と、境界線到達速度算出部(例えば、境界線到達速度算出部1111−13)と、動作速度算出部(例えば、動作速度算出部1111−3)と、を備える。
【0238】
操作ロッドは、床面上又は床面に近接して載置される固定フレーム(例えば、固定フレーム1)に、1以上の自由度にて動作可能に支持されている。また、操作ロッドは、保持した肢を動作させる。力量検出部は、力量成分を検出し、検出した力量成分の大きさに基づいた力量成分信号を出力する。力量成分は、操作ロッドに加えられた力量の操作ロッドが動作可能な各自由度方向の成分である。動作位置検出部は、操作ロッドの動作位置(例えば、操作ロッドの動作位置P)を検出する。操作ロッドの動作位置は、操作ロッドが動作可能な対応する各自由度方向における操作ロッドの位置である。
【0239】
力量速度算出部は、力量検出部により出力された力量成分信号に基づいて、操作ロッドの力量速度を算出する。境界線到達速度算出部は、境界線距離(例えば、境界線距離D)が小さくなるに従い絶対値が小さくなる境界線到達速度を算出する。境界線距離は、操作ロッドの現在の動作位置から可動領域境界線(例えば、可動領域境界線B)までの距離である。可動領域境界線は、操作ロッド可動領域(例えば、操作ロッド可動領域MA)の境界を定める境界線である。操作ロッド可動領域は、操作ロッドが動作可能な範囲を定める領域である。
【0240】
動作速度算出部は、力量速度と境界線到達速度のいずれか小さい方の速度を動作速度として算出する。動作速度は、操作ロッドが動作すべき速度である。
【0241】
上記の訓練装置においては、まず、動作位置検出部により操作ロッドの現在の動作位置が検出され、力量検出部より力量が検出される(例えば、ステップS21)。現在の動作位置及び力量を検出後、力量速度算出部が力量成分信号に基づいて力量速度を、境界線到達速度算出部が境界線距離に基づいて境界線到達速度を算出する(例えば、ステップS22)。その後、動作速度算出部が、上記の力量速度と境界線到達速度のいずれか小さい方の速度を動作速度として算出する(例えば、ステップS231〜S236)。
【0242】
上記の訓練装置においては、境界線距離が小さくなるに従い絶対値が小さくなる境界線到達速度と、力量に基づく力量速度とが算出され、これらの速度のうちいずれか小さい方が操作ロッドの動作速度として選択されている。つまり、操作ロッドの動作速度は算出された速度成分のうち最も低い速度に制限される。また、特に可動領域境界線の近傍においては、境界線距離が小さくなるに従って絶対値が小さくなる境界線到達速度によって動作速度が制限されている。これにより、操作ロッドが可動領域境界線に到達したときに、操作ロッドが急激に停止して肢に対して衝撃を与えたり、操作ロッドが操作ロッド可動領域外へと移動したりすることを抑制できる。
【0243】
また、力量速度と境界線到達速度のいずれか小さい方の速度を動作速度として選択することにより、動作速度の力量速度から境界線到達速度(又はその逆)への切り替えをスムーズに実行できる。その結果、肢に衝撃を与えることなく、操作ロッドの動作速度の切替を行える。
【0244】
動作速度は、最大動作速度(たとえば、最大動作速度Vmax)以下に制限されている。最大動作速度は、操作ロッドの動作速度の上限値を定める速度である。これにより、操作ロッドが過剰に速い速度にて動作することを抑制できる。
【0245】
操作ロッドの現在の動作位置が、操作ロッド可動領域の外に存在すると判断された場合、動作速度算出部は、動作位置基準点(例えば、動作位置基準点O)へ向かう速度成分(例えば、中心方向速度)を含む動作速度を算出している(例えば、ステップS235及びステップS236)。動作位置基準点は、操作ロッドの動作位置の基準点である。
これにより、操作ロッドが操作ロッド可動領域外からさらに外へ向かって動作することを抑制でき、操作ロッドの現在の動作位置が操作ロッド可動領域外に存在したまま操作ロッドが動作しなくなることを抑制できる。また、操作ロッド可動領域の外にある操作ロッドは、操作ロッド可動領域内に戻される。
【0246】
第2実施形態に係る訓練装置(例えば、訓練装置200)は、操作ロッド(例えば、操作ロッド3)と、力量検出部(例えば、Y軸方向力量検出部175、X軸方向力量検出部177、長さ方向力量検出部393)と、動作位置検出部(例えば、第1動作位置検出部135a−1、第2動作位置検出部135b−1、第3動作位置検出部359−1)と、境界線方向速度算出部(例えば、境界線方向速度算出部1111−17’)と、動作位置予測部(例えば、動作位置予測部1111−19’)と、動作速度算出部(例えば、動作速度算出部1111−3’)と、を備える。
【0247】
操作ロッドは、床面上又は床面に近接して載置される固定フレームに、2以上の自由度にて動作可能に支持されている。また、操作ロッドは、保持した肢を動作させる。
複数の力量検出部のそれぞれは、力量成分を検出し、検出した力量成分を力量成分信号として算出する。力量成分は、操作ロッドに加えられた力量の操作ロッドが動作可能な対応する各自由度方向の成分である。動作位置検出部は、操作ロッドの動作位置を検出する。操作ロッドの動作位置は、操作ロッドが動作可能な対応する各自由度方向の動作位置である。
【0248】
境界線方向速度算出部は、境界線方向速度を算出する。境界線方向速度は、可動領域境界線(例えば、可動領域境界線B)に沿った方向の速度成分である。可動領域境界線は、操作ロッド可動領域(例えば、操作ロッド可動領域MA)の境界を定める境界線である。操作ロッド可動領域は、操作ロッドが動作可能な範囲を定める領域である。動作位置予測部は、予測動作位置(例えば、予測動作位置P’’)を予測する。予測動作位置は、操作ロッドの現在の動作位置において、操作ロッドに合成力量が加えられたときに、操作ロッドが到達すると予測される、操作ロッドの動作位置である。合成力量は、各自由度方向の力量成分を合成して得られる力量である。
動作速度算出部は、予測動作位置が操作ロッド可動領域外に存在すると予測されたとき、境界線方向速度を含む速度を、動作速度として算出する。動作速度は、操作ロッドが動作すべき速度である。
【0249】
第2実施形態の訓練装置においては、まず、操作ロッドの現在の動作位置と操作ロッドに加えられる力量の力量成分が検出される(例えば、ステップS21)。次に、動作位置予測部が、操作ロッドの現在の動作位置において合成力量が操作ロッドに加えられたときに、操作ロッドが到達する予測動作位置を予測する。そして、予測動作位置が操作ロッド可動領域外に存在すると予測された場合、動作速度算出部が、境界線方向速度算出部において算出された境界線方向速度を含む速度を、動作速度として算出する(例えば、ステップS2301〜S2304)。
【0250】
第2実施形態の訓練装置においては、操作ロッドに合成力量が加えられた結果、操作ロッドが操作ロッド可動領域外に存在すると予測される場合に、可動領域境界線に沿った方向の速度成分である境界線方向速度を含む速度が、動作速度として算出される。つまり、操作ロッドに加えられた力により、操作ロッドが操作ロッド可動領域外へ移動するときに、操作ロッドを可動領域境界線に沿った方向に動作させる。これにより、操作ロッド可動領域の境界近傍において、加えられた力に対して可動領域境界線に沿った自然な動きを実現することができる。
【0251】
境界線方向速度算出部は、動作位置基準点(例えば、動作位置基準点O)と予測動作位置とを結ぶ直線と可動領域境界線との交点(例えば、交点M)と操作ロッドの現在の動作位置との位置偏差に基づいて、境界線方向速度を算出する(例えば、ステップS1001〜S1004)。動作位置基準点は、操作ロッドの動作位置の基準点である。
これにより、境界線方向速度を、操作ロッドの現在の動作位置から上記の交点へと向かう可動領域境界線に沿った方向の速度として算出できる。
【0252】
第2実施形態の訓練装置は、力量速度算出部(例えば、力量速度算出部1111−11’)と境界線到達速度算出部(例えば、境界線到達速度算出部1111−13’)とをさらに備えている。力量速度算出部は、複数の力量検出部により出力された力量成分信号に基づいて、操作ロッドの力量速度を算出する。境界線到達速度算出部は、操作ロッドの現在の動作位置から可動領域境界線までの境界線距離(例えば、境界線距離D)に基づいて、境界線到達速度を算出する。
この場合、動作速度算出部は、境界線方向速度と、境界線到達速度及び/又は力量速度と、を合成して動作速度を算出する(例えば、ステップS2301〜S2304)。これにより、境界線方向速度と境界線到達速度及び/又は力量速度とを含んだ動作速度を算出できる。
【0253】
予測動作位置は、力量速度が一定時間継続したと仮定したときに、操作ロッドが到達すると予測される位置であってもよい。これにより、操作ロッドが力量速度にて一定時間移動した場合の位置を予測動作位置として予測できる。
【0254】
予測動作位置は、操作ロッドが力量速度から所定の減速度にて減速停止すると予測される位置であってもよい。これにより、操作ロッドが最終的に停止する位置を予測動作位置として予測できる。
【0255】
動作速度算出部は、第1合成速度を動作速度として算出している(例えば、ステップS1101〜S1106)。第1合成速度は、力量速度又は境界線到達速度のいずれか小さい方と、境界線方向速度又は第2合成速度のいずれかと、を第1の比にて合成した速度である。第2合成速度は、境界線方向速度と力量速度とを含む速度である。第1の比は、現在の動作位置に基づいて変化する。
これにより、操作ロッドの現在の動作位置により、境界線方向速度と力量速度又は境界線到達速度とを適切な比率にて合成した動作速度を算出できる。その結果、境界線方向速度の影響と力量速度又は境界線到達速度の影響とを徐々に変化させて、滑らかに操作ロッドを動作できる。
【0256】
第1の比は、可動領域境界線と操作ロッドの現在の動作位置との間の距離に基づいて算出されてもよい。これにより、任意の形状の可動領域境界線について第1の比を決定できる。
【0257】
第2合成速度は、力量速度と境界線方向速度とを第2の比にて合成して算出されている(例えば、ステップS1206)。第2の比は、予測動作位置に基づいて変化する。
これにより、操作ロッドに加えられた力によっては、操作ロッドを操作ロッドに加えられた力の方向になるべく動作させつつ、操作ロッド可動領域の境界近傍において、加えられた力に対して可動領域境界線に沿った自然な動きを実現することができる。
【0258】
第2の比は、可動領域境界線と予測動作位置との間の距離に基づいて算出されてもよい。これにより、任意の形状の可動領域境界線について第2の比を決定できる。
【0259】
境界線方向速度が最低走行速度よりも小さく(例えば、ステップS1303において「Yes」の場合)、かつ、予測動作位置が操作ロッド可動領域の外に存在する(例えば、ステップS1304において「Yes」の場合)場合、動作速度算出部は、操作ロッドが可動領域境界線に到達する速度を算出し、また、境界線方向速度を0とする(例えば、ステップS1306)。これにより、操作ロッドを可動領域境界線上にて安定して停止できる。
また、制御遅れなどにより操作ロッドが操作ロッド可動領域の外にわずかに出た場合には、動作位置基準点に向かう速度が操作ロッド可動領域に入るまで作用するため、操作ロッドは速やかに可動領域境界線へ移動する(例えば、ステップS1302)。
【0260】
第2実施形態に係る算出方法は、所定の訓練プログラムに従って、使用者の上肢及び/又は下肢の四肢のいずれかを訓練する訓練装置における、保持した四肢を動作させる操作ロッドの動作速度の算出方法である。算出方法は、以下のステップを含む。
◎操作ロッドの現在の動作位置を検出するステップ(例えば、ステップS21)。
◎操作ロッドに加えられた力量の各自由度方向の力量成分を検出するステップ(例えば、ステップS21)。
◎現在の動作位置において、操作ロッドに合成力量が加えられたときに、操作ロッドが到達する予測動作位置を予測するステップ(例えば、ステップS1001)。
◎予測動作位置が操作ロッド可動領域外に存在すると予測されたとき、境界線方向速度を含む速度を動作速度として算出するステップ(例えば、ステップS2301〜S2304)。
【0261】
操作ロッドの動作速度が上記のステップを含む算出方法により算出されることにより、操作ロッドを可動領域境界線に沿った方向に動作できる。
【0262】
上記の境界線方向速度を含む速度を動作速度として算出するステップは、以下のステップを含んでいる。
◎動作位置基準点と予測動作位置とを結ぶ直線を算出するステップ(例えば、ステップS1002)。
◎上記直線と可動領域境界線との交点を算出するステップ(例えば、ステップS1003)。
◎上記交点と操作ロッドの現在の動作位置との位置偏差とに基づいて、境界線方向速度を算出するステップ(例えば、ステップS1004)。
【0263】
境界線方向速度が上記のステップを含む算出方法により算出されることにより、境界線方向速度を、上記の交点へと向かう可動領域境界線に沿った方向の速度として算出できる。これにより、操作ロッド可動領域の境界近傍において、加えられた力に対して可動領域境界線に沿った自然な動きを実現することができる。
【0264】
4.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
(A)境界線方向速度についての他の実施形態
上記の第2実施形態に係る訓練装置200において、境界線方向速度は、図15Aに示すように、操作ロッド3の現在の動作位置Pから交点Mへと向かう方向の速度として算出されていた。しかし、これに限られず、現在の動作位置Pから交点Mまでの間に複数の目標点を設けて、操作ロッド3が各目標点を通過するような境界線方向速度を算出してもよい。
【0265】
例えば、図21に示すように、操作ロッド3の現在の動作位置Pから交点Mまでの、可動領域境界線B上に複数の目標点M’、M’、M’、・・・を所定の間隔にて設けて、これらの目標点を通過するように、複数の速度を算出して、境界線方向速度としてもよい。図21は、境界線方向速度の他の実施形態を模式的に示す図である。
【0266】
具体的には、例えば、境界線方向速度を、現在の動作位置Pから交点Mへ向かう方向に点Nまで進む速度V1と、点Nから可動領域境界線B上の目標点M’まで進む速度V2と、目標点M’から交点Mへ向かう方向に点Nまで進む速度V3と、点Nから可動領域境界線B上の目標点M’まで進む速度V4と、・・・というように、複数の速度成分により構成された速度として定義できる。
【0267】
境界線方向速度を、可動領域境界線B上の複数の目標点を通過するように、複数の速度成分により構成することにより、図21に示すように、現在の動作位置Pから交点Mへ直接向かうように操作ロッド3を動作させるのと比較して、可動領域境界線Bにより近い位置にて可動領域境界線Bに沿うように操作ロッド3を動作させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0268】
本発明は、所定の訓練プログラムに従って、患者の上肢および下肢等のリハビリテーションを支援する訓練装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0269】
100、200 訓練装置
1 固定フレーム
11 制御部
111 指令作製部
1111 第1指令算出部
1111−1、1111−1’速度成分算出部
1111−11、1111−11’ 力量速度算出部
1111−13、1111−13’ 境界線到達速度算出部
1111−15、1111−15’ 中心方向速度算出部
1111−17’ 境界線方向速度算出部
1111−19’ 動作位置予測部
1111−3、1111−3’動作速度算出部
1111−31、1111−31’ 速度成分比較部
1111−33 速度成分合成部
1111−33’ 第1速度成分合成部
1111−35’ 第2速度成分合成部
1111−37’ 第3速度成分合成部
1111−5 第1モータ制御指令算出部
1113 第2指令算出部
1115 制御指令切替部
113a、113b、113cモータ制御部
13 操作ロッド傾動機構
131 X軸方向傾動部材
131−1 付勢部材固定部
131a、131b 軸
133 Y軸方向傾動部材
133a、133b 軸
135a Y軸方向傾動モータ
135a−1 第1動作位置検出部
135b X軸方向傾動モータ
135b−1 第2動作位置検出部
15a、15b操作ロッド傾動機構固定部材
17 力量検出機構
171 Y軸方向力量検出部材
171a、171b 軸
173 X軸方向力量検出部材
173−1 付勢部材固定部
173a、173b 軸
175 Y軸方向力量検出部
177 X軸方向力量検出部
179 付勢部材
3 操作ロッド
31 肢支持部材
33 固定ステイ
35 伸縮機構
351 可動ステイ
353 カバー
355 ナット
357 ねじ軸
359 伸縮モータ
359−1 第3動作位置検出部
37 案内レール
39 長さ方向力量検出機構
391 付勢部材
393 長さ方向力量検出部
5 訓練指示部
7 固定部材
9 椅子
91 椅子接続部材
B 可動領域境界線
D 境界線距離
F 合成力量ベクトル
MA 操作ロッド可動領域
O 動作位置基準点
P 動作位置
P’’ 予測動作位置
TH 境界方向速度合成開始位置
S、S’ 空間
e、f 入力
g 出力
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21