(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1から
図13を参照しつつ、本発明に係るネイルプリント装置の一実施形態について説明する。なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
また、以下の実施形態では、描画装置は手の指の爪を描画対象として、これに描画するものとして説明するが、本発明の描画対象は手の指の爪に限るものではなく、例えば足の指の爪を描画対象としてもよい。
【0011】
図1は、本実施形態におけるネイルプリント装置の外観を示す斜視図であり、
図2は、ネイルプリント装置の内部構成を示す斜視図である。
図1に示すように、このネイルプリント装置1は、ケース本体2及び蓋体4を備えている。蓋体4は、ケース本体2の上面(天板)の後端部に設けたヒンジ3を介して、ケース本体2に回動可能に連結されている。蓋体4は、ヒンジ3を支点として、ケース本体2の天板に重ねられた状態からケース本体2の天板に対して立てられた状態(
図1参照)まで回動可能となっている。
【0012】
上記ケース本体2は上方から平面視した場合にほぼ長円状に形成されている。このケース本体2の前側には開閉板2cが起倒可能に設けられている。この開閉板2cは、ケース本体2の前面下端部に設けられたヒンジ(図示せず)を介して、ケース本体2に連結されている。この開閉板2cは、ケース本体2の前面を開閉するためのものである。
なお、ケース本体2及び蓋体4の形状、構成はここに例示したものに限定されない。
【0013】
ケース本体2の上面(天板)には操作部12が設置されている。
操作部12は、ユーザが各種入力を行うものである。
操作部12には、例えば、ネイルプリント装置1の電源をONする電源スイッチ釦、爪Tに描画するデザイン画像を選択するデザイン選択釦、その他各種の入力を行うための操作釦121が配置されている。
【0014】
また、ケース本体2の上面(天板)のほぼ中央部には表示部13が設置されている。
表示部13は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。本実施形態において、この表示部13には、例えば、印刷指U1を撮影した画像(以下「指画像」という。)、この指画像中に含まれる爪画像(爪Tの輪郭線等の画像)、爪Tに描画すべきデザイン画像を選択するためのデザイン選択画面、デザイン確認用のサムネイル画像、各種の指示を表示させる指示画面、告知画面、警告画面等が適宜表示される。
なお、表示部13の表面にタッチパネルが一体的に構成されていてもよい。この場合には、例えば、図示しないスタイラスペンや指先等によって表示部13の表面をタッチするタッチ操作によっても各種の入力を行うことができるように構成される。
【0015】
また、ケース本体2にはネイルプリント装置1の装置本体10が収容されている。
図3は、本実施形態における装置本体の側断面図である。
図2及び
図3に示すように、装置本体10は、ほぼ箱状に形成され、ケース本体2の内部下方に設置された下部機枠11aと、この下部機枠11aの上方で且つケース本体2の内部上方に設置されている上部機枠11bとを備えている。そして、これら下部機枠11a及び上部機枠11bには、印刷指固定部20、撮影部30、描画部40及び制御装置50(
図6参照)等が設けられている。
【0016】
印刷指固定部20は、下部機枠11aに設けられている。すなわち、下部機枠11aには、印刷指挿入部20a及び非印刷指挿入部20bが設けられており、これらによって印刷指固定部20が構成されている。印刷指挿入部20aと非印刷指挿入部20bとは、隔壁21によって仕切られている。
ここで、印刷指挿入部20aは、描画対象である爪Tに対応する指(以下「印刷指U1」という)を挿入するめための指挿入部である(
図3参照)。印刷指挿入部20aは、上部に開口部を有し、開口部から描画対象である爪Tが露出するようになっている。なお、本実施形態では、印刷指挿入部20aに1本ずつ印刷指U1を挿入して爪Tへの描画を行う場合を例として説明する。印刷指挿入部20aの形状、大きさ等は特に限定されないが、各種の指に対応できるように、印刷指挿入部20aは大人の親指等が挿入された場合でもきつくない程度の形状、大きさに形成されている。
また、非印刷指挿入部20bは、印刷指U1を有する手の印刷指以外の指(図示せず。以下「非印刷指」という。)を挿入するための指挿入部である。
本実施形態では、印刷指U1を印刷指挿入部20aに挿入し、非印刷指を非印刷指挿入部20bに挿入して、印刷指U1と非印刷指とで隔壁21を挟持することにより、印刷指U1が安定した状態で固定される。
【0017】
ここで、
図4(a)〜
図4(d)及び
図5(a)〜
図5(c)を参照しつつ、本実施形態における印刷指挿入部20aの構成について詳細に説明する。
図4(a)〜
図4(c)及び
図5(a)〜
図5(c)は、印刷指挿入部20aの概略側断面図であり、
図4(d)は、
図4(c)における矢視d方向から見た印刷指挿入部20aの平面図である。
図4(a)〜
図4(d)に示すように、印刷指挿入部20aの手前側(指挿入方向の手前側、
図3において左側)の内部上方には、描画される爪の指(印刷指U1)の上面が押し当てられる指押さえ部24が設けられている。
指押さえ部24は、板状の部材であって、位置が固定されており、印刷指U1が上方に押し上げられた際に、印刷指U1の上面が指押さえ部24の下面に押し当てられる。これにより、印刷指U1が上方に上がり過ぎないように、印刷指U1の高さ方向の位置決めがされるようになっている(例えば
図4(c)参照)。
【0018】
また、印刷指挿入部20aの奥側(指挿入方向の奥側、
図4において右側)には、印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1の爪Tの少なくとも先端部分を載置することが可能な爪乗せ部25が配置されている。本実施形態では、印刷指U1がその上面が指押さえ部24の下面に押し当てられて、描画部40により爪Tに描画を施すことが可能な描画可能位置まで指載置部材61によって押し上げられた状態において、爪Tの先端部分が爪乗せ部25に載置されるようになっている(
図4(c)及び
図4(d)参照)。
爪乗せ部25は、例えばゴムや樹脂等で形成されている。なお、爪乗せ部25を形成する材料等はここに例示したものに限定されないが、インクの付着によって変質しないものが好ましく、また、爪Tを乗せた際に指先等に負担がかからないように、多少の柔軟性を有するものであることが好ましい。
爪Tの少なくとも先端部分を爪乗せ部25に載置することにより、爪Tの位置を安定させることができるとともに、爪Tの高さ方向の位置を一定にすることができる。
なお、爪乗せ部25の高さ、大きさ等は図示例に限定されないが、爪乗せ部25の高さが指押さえ部24の下面より高い場合には、爪乗せ部25に爪Tの先端部分を乗せるために、印刷指U1の指押さえ部24によって規制されている部分よりも先の指先部分を大きく上方に反らすことが必要となり、ユーザに不自然な姿勢を強いることとなる。このため、爪乗せ部25の高さは、その上面が指押さえ部24の下面の高さを超えないように構成されていることが好ましい。
【0019】
また、印刷指挿入部20aの内部には、印刷指U1が載置され、印刷指U1をネイルプリント装置内への印刷指U1の抜き差しが可能な待機位置から印刷指U1の上面が指押さえ部24に押し当てられて描画可能となる描画可能位置まで昇降させることが可能な指載置部材61が設けられている。
指載置部材61は流体の出入によって膨縮可能に構成され、指載置部材61には連通管62が接続され、連通管62に、指載置部材61に流体を送り込むポンプ63と、指載置部材61から流体を排出させることを可能とするバルブ64と、指載置部材61の内圧を検出することが可能なセンサ65と、が接続されている。
本実施形態では、指載置部材61とポンプ63とバルブ64と圧力センサ65とによって昇降機構60が構成されている。
図3に示すように、昇降機構60を構成する部材のうち、ポンプ63、バルブ64及び圧力センサ65は、非印刷指挿入部20b内に配置されており、連通管62はこれらの部材と印刷指挿入部20a内に配置されている指載置部材61とを接続している。なお、連通管62、ポンプ63、バルブ64及び圧力センサ65の配置等は図示例に限定されない。
なお、
図4(a)〜
図4(c)及び
図5(a)〜
図5(c)では、説明の都合上、昇降機構60を構成する連通管62、ポンプ63、バルブ64及び圧力センサ65を印刷指挿入部20aの側部に図示している。
【0020】
指載置部材61は、例えば樹脂等の伸縮性に優れた材料により形成された袋状の部材であり、例えば流体として空気が流入されて膨張可能となっている。なお、指載置部材61は、指先が触れたときの感触を良好とするために、表面が起毛した布等で覆われていることが好ましい。
なお、指載置部材61は、このように流体の出入によって膨縮可能なものであればよく、その材料は特に限定されない。
また、指載置部材61の内部に出入される流体は空気に限定されず、各種気体や水・油等の液体、またはゲル状のもの等であってもよい。
【0021】
本実施形態において指載置部材61は、内部に流体として空気を送り込むことによって印刷指U1を下方から押し上げるように膨張する袋状の構造を有している(
図4(b)及び
図4(c)参照)。本実施形態では、指載置部材61は、空気を流入させることにより、印刷指U1が描画可能位置に配置される固定状態となるまで膨張可能となっている(
図4(c)及び
図5(a)参照)。
前述のように、指載置部材61は、伸縮性・柔軟性のある変形可能な材料で形成されているため、指載置部材61を印刷指U1が固定される固定状態となるまで膨張させた際には、指載置部材61は印刷指U1の形状に沿って変形する。これにより、ユーザの印刷指U1の大きさや形状に関わりなく、ユーザの指に必要以上の圧迫感や苦痛を与えずに、柔らかく、かつ確実に印刷指U1を固定することができる。
また、指載置部材61は、流体である空気が排出されることで収縮し、指載置部材61に載置されている印刷指U1を降下させる(
図5(b)及び
図5(c)参照)。本実施形態では、指載置部材61は、空気を排出させることにより、ネイルプリント装置1内への指の抜き差しが可能となる待機位置まで印刷指U1が降下する待機状態となるまで収縮可能となっている(
図4(b)及び
図5(c)参照)。
【0022】
連通管62は一端側に指載置部材61が接続され、他端側にポンプ63が接続されている。
ポンプ63は、例えば図示しないモータ、ダイヤフラム及び弁等で構成される。なお、ポンプ63の構成、種類は特に限定されないが、少量ずつ正確に流体(本実施形態では空気)を送入できる高精度のポンプを適用することが好ましい。
ポンプ63は、後述する昇降制御部(
図6参照)から出力される電気信号によってその駆動状態が制御されるようになっている。
【0023】
このポンプ63と指載置部材61との間の空気(流体)の注入経路上には開状態とすることで指載置部材61内の空気(流体)を排出させるバルブ64が配置されている。ポンプ63と指載置部材61との間に設けられるバルブ64の種類は特に限定されないが、小型かつ低コストで実現することのできるものが好ましく、例えば通常閉状態にあり電気信号が入力されたときだけ開状態となる小型のマイクロ電磁バルブ等を適用することができる。
バルブ64は、後述する昇降制御部(
図6参照)から出力される電気信号によって、開状態、閉状態が切り替えられるようになっている。
【0024】
また、ポンプ63と指載置部材61との間の空気(流体)の注入経路上には、指載置部材61の内圧を検出するセンサ65(圧力センサ)が配置されている。センサ65の種類等は特に限定されないが、微細な圧力変動を高精度、高感度に検出することのできるものが好ましく、例えば、機械的機能(センシング、移動、加熱)と電子的機能(スイッチング、判定)を組み合せて、微細加工技術により同一チップ上に集積する技術であるMEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)技術により作成された小型の圧力センサ等を適用することができる。
センサ65は、指載置部材61の内圧を検出して、その検出結果(圧力値)を昇降制御部(
図6参照)に出力するようになっている。
【0025】
撮影部30は、
図2及び
図3に示すように、上部機枠11bに設けられている。
すなわち、上部機枠11bには基板15が設置されており、この基板15の中央部下面には、撮像装置としてのカメラ32が設置されている。カメラ32は、例えば200万画素程度以上の画素を有するものであることが好ましい。
カメラ32は、印刷指挿入部20a内に挿入されている印刷指U1や印刷指U1の爪Tを撮影して、印刷指U1の爪Tの画像である爪画像や爪画像を含む指画像を得るものである。
また、基板15には、カメラ32を囲むように白色LED等の照明灯33が設置されている。照明灯33は、カメラ32による撮影の際に、印刷指U1の爪Tを照明するものである。撮影部30は、このカメラ32及び照明灯33を備えて構成されている。
本実施形態では、撮像装置としてのカメラ32によって取得された爪画像に基づいて、後述する爪情報検出部512が、爪Tの輪郭(爪Tの形状)を爪情報として検出するようになっている。
この撮影部30は、後述する制御装置50の撮影制御部511(
図6参照)に接続され、該撮影制御部511によって制御されるようになっている。
撮影部30によって撮影された画像の画像データは、後述する記憶部52の爪画像記憶領域521に記憶される。
【0026】
また、描画部40は、主に上部機枠11bに設けられている。すなわち、
図2及び
図3に示すように、上部機枠11bの両側板には、2本のガイドロッド41が平行に架設されている。このガイドロッド41には、主キャリッジ42が摺動自在に設置されている。また、
図3に示すように、主キャリッジ42の前壁42aおよび後壁42bには2本のガイドロッド44が平行に架設されている。このガイドロッド44には、副キャリッジ45が摺動自在に設置されている。この副キャリッジ45の下面中央部には、描画ヘッド46が搭載されている。
本実施形態において、この描画ヘッド46は、インクを微滴化し、描画対象の被描画面に対し直接に吹き付けて描画を行うインクジェット方式の描画ヘッドである。なお、描画ヘッド46の記録方式はインクジェット方式に限定されない。
【0027】
本実施形態において、描画部40には、例えば、イエロー(Y;YELLOW)、マゼンタ(M;MAGENTA)、シアン(C;CYAN)のインクに対応する描画ヘッド46が設けられている。各描画ヘッド46は、それぞれの色のインクを噴射する複数のノズルからなるノズルアレイを備えている。なお、描画部40に設けられる描画ヘッド46はこの3色のインクを吐出させるものに限定されない。その他の色のインクを吐出させる描画ヘッド46をさらに備えていてもよい。
描画ヘッド46は、指押さえ部24に印刷指U1の上面が押し当てられ、爪乗せ部25に爪Tの少なくとも先端が載置された状態で、印刷指U1の爪Tの表面に画像(ネイルデザイン)を描画するものである。描画ヘッド46は、後述する爪情報検出部512(
図6参照)により検出された爪情報に基づいて、印刷指U1の爪Tに描画を行うようになっている。
下部機枠11aには、描画ヘッド46にインクを供給するためのインクカートリッジ48が設けられている。インクカートリッジ48は、図示しないインク供給管を介して描画ヘッド46と接続されており、適宜描画ヘッド46にインクを供給するようになっている。なお、描画ヘッド46自体にインクカートリッジを搭載する構成としてもよい。
【0028】
主キャリッジ42は動力伝達部(図示せず)を介してモータ43に連結され、モータ43の正逆回転によって、ガイドロッド41に沿ってネイルプリント装置1の左右方向に移動するように構成されている。また、副キャリッジ45は動力伝達部(図示せず)を介してモータ47に連結され、モータ47の正逆回転によって、ガイドロッド44に沿ってネイルプリント装置1の前後方向(
図3において左右方向)に移動するように構成されている。
【0029】
描画部40は、これらガイドロッド41、主キャリッジ42、モータ43、ガイドロッド44、副キャリッジ45、描画ヘッド46、モータ47及びインクカートリッジ48等を備えて構成されている。この描画部40のモータ43、描画ヘッド46、モータ47は、後述する制御装置50の描画制御部514(
図6参照)に接続され、該描画制御部514によって制御されるようになっている。
【0030】
また、制御装置50は、例えば上部機枠11bに配置された基板15等に設置されている。
図6は、本実施形態における制御構成を示す要部ブロック図である。
制御装置50は、
図6に示すように、図示しないCPU(Central Processing Unit)等によって構成されている制御部51と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等で構成されている記憶部52とを備えるコンピュータである。
【0031】
記憶部52には、ネイルプリント装置1を動作させるための各種プログラムや各種データ等が格納されている。
具体的には、記憶部52には、例えば、爪Tの爪情報を検出するための爪情報検出プログラム、描画処理を行うための描画プログラム等の各種プログラムや、昇降機構60を動作させる際の判断指標となる第1の閾値及び第2の閾値等の各種情報が格納されており、制御装置50は必要に応じて各種情報を参照しつつプログラムを実行することでネイルプリント装置1の各部を制御するようになっている。
また、本実施形態において記憶部52には、撮影部30によって取得されたユーザの印刷指U1の爪Tの爪画像を記憶する爪画像記憶領域521、爪情報検出部512により検出された爪情報(本実施形態では、爪の輪郭)を記憶する爪情報記憶領域522及び爪Tに描画されるネイルデザインの画像データを記憶するネイルデザイン記憶領域523が設けられている。
ネイルデザイン記憶領域523に記憶されているネイルデザインの画像データは、例えば矩形のデータであり、各種の爪Tのサイズに対応できるように、一般的な爪Tのサイズよりも大きなサイズのものが用意されている。
【0032】
制御部51は、機能的に見た場合、撮影制御部511、爪情報検出部512、昇降制御部513、描画制御部514、表示制御部515等の機能部を含んでいる。これら撮影制御部511、爪情報検出部512、昇降制御部513、描画制御部514、表示制御部515等としての機能は、制御部51のCPUと記憶部52のROM等に記憶されたプログラムとの共働によって実現される。なお、制御部51に含まれる機能部はここに挙げたものに限定されない。
【0033】
撮影制御部511は、撮影部30を制御してユーザの印刷指U1を撮影させ、爪Tの爪画像や爪画像を含む指画像を取得させるものである。
撮影部30によって取得された爪画像は、記憶部52の爪画像記憶領域521に記憶される。
なお、撮影制御部511は、ユーザが印刷指U1を印刷指挿入部20aに挿入する際に、印刷指挿入部20a内に挿入される印刷指U1の様子を撮影部30に撮影させてもよい。この場合、撮影部30によって撮影された画像を表示部13等に表示させることにより、ユーザが印刷指U1をセットする際に目視にて印刷指U1の配置を確認でき、適切に印刷指U1の爪Tの先端を爪乗せ部25の上に載置することができるため、好ましい。
【0034】
爪情報検出部512は、撮像装置であるカメラ32によって取得された爪画像に基づいて、印刷指U1の爪Tについての爪情報を検出するものである。
本実施形態では、爪情報検出部512は、爪情報として、爪Tの輪郭(爪形状)を検出する。
具体的には、爪情報検出部512は、カメラ32により取得された印刷指U1の爪Tの爪画像を含む指画像から、爪Tの輪郭(形状)や位置を検出し、この輪郭をx,y座標等で表される情報として取得する。爪情報検出部512が爪Tの輪郭(形状)を検出する手法は特に限定されないが、例えば、爪情報検出部512は、カメラ32により取得された印刷指U1の爪Tの爪画像を含む指画像から爪Tとそれ以外の指部分との色の違い等に基づいて爪Tの輪郭(形状)を検出するものである。なお、爪情報検出部512が爪Tの輪郭(形状)を検出する手法は特に限定されず、ここに挙げたものに限られない。
なお、爪情報検出部512は、爪情報として爪Tの輪郭(爪Tの形状)のみを検出するものに限定されない。例えば、爪Tの高さ(爪Tの垂直方向の位置)、爪Tの曲率(爪曲率)等についても検出するようにしてもよい。この場合には、例えばカメラ32によって印刷指U1の爪Tを複数の異なる角度から撮影して複数の爪画像を取得し、これに基づいて爪Tの高さや曲率を検出する。なお、爪高さ、爪曲率についても爪情報検出部512が検出するとした場合には、爪Tの高さ方向の形状も考慮して描画を行うことができ、より高精度の描画を実現することができる。
【0035】
昇降制御部513は、昇降機構60の動作を制御することにより、印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1を昇降させる機能部である。
前述のように、昇降制御部513には、センサ65から指載置部材61の内圧を検出した検出結果(圧力値)が出力されるようになっており、昇降制御部513は、このセンサ65の検出結果に基づいてポンプ63による流体の送り込み動作及びバルブ64による流体の排出動作を制御する。
【0036】
ここで、本実施形態における昇降制御部513によるポンプ63及びバルブ64の動作制御について詳細に説明する。
図7は、指載置部材61に空気を注入していった場合における指載置部材61の内圧の変化を検出したセンサ65の検出結果をプロットして示したグラフである。
図7において、横軸はポンプ63による空気注入時間を示し、単位はmsである。縦軸はセンサ65によって検出される圧力値をAD変換した変換後の値(AD変換値)を示している。
【0037】
本実施形態においてセンサ65による検出値は1気圧よりも下がることはなく、AD変換値を示す
図7では、1気圧に対応する略650を下回らない。すなわち、指載置部材61の内圧が650近傍又はそれよりも低い場合には、指載置部材61がほとんど膨らんでいない状態(例えば
図4(a)に示す状態)である。この状態では、指載置部材61に触れても指載置部材61の内圧が大きく変化することはなく、センサ65によって指載置部材61の内圧の変化を検出することができない。
本実施形態では、指載置部材61の内圧をセンサ65が検出できる程度とするために、ネイルプリント装置1の電源がONとなると、昇降制御部513は、ポンプ63を動作させて指載置部材61の内圧がほぼ第1の圧力値の内圧となるまで指載置部材61内に流体である空気を送り込む。これにより、指載置部材61は、センサ65が指載置部材61の内圧の変化を検出することができるとともに、ネイルプリント装置1内への印刷指U1の抜き差しが可能な待機状態となる(
図4(b)参照)。
なお、指載置部材61の待機状態における内圧である第1の圧力値をいくつとするかは適宜設定可能であるが、本実施形態では、
図7において破線で示すようにAD変換値800程度として説明する。
【0038】
また、指載置部材61が膨張しすぎると、印刷指U1が印刷可能な描画可能位置まで押し上げられてからも下方から印刷指U1を圧迫し続けることとなる。このため、本実施形態では、印刷指U1が描画可能位置に押し上げられた状態(指載置部材61の固定状態)となると、それ以上指載置部材61の内圧を上昇させないようにするために、昇降制御部513は、ポンプ63とバルブ64を適宜動作させて指載置部材61の内圧がほぼ第2の圧力値の内圧に保たれるように指載置部材61内の空気を適宜排出させるようになっている。
なお、指載置部材61の固定状態における内圧である第2の圧力値をいくつとするかは適宜設定可能であるが、本実施形態では、
図7において一点鎖線で示すようにAD変換値1300程度として説明する。
【0039】
また本実施形態では、上記第1の圧力値よりも一定程度高い圧力の値が第1の閾値として記憶部52に記憶されており、昇降制御部513は、指載置部材61の内圧が第1の圧力値である状態から第1の閾値を超えたとセンサ65が検出したときに、印刷指U1が描画可能位置まで上昇するようにポンプ63による流体である空気の送り込み動作を制御して指載置部材61を膨張させる。
第1の閾値をどの程度とするかは適宜設定可能であるが、本実施形態では、
図8に示すように、第1の閾値がAD変換値900である場合を例として説明する。
【0040】
指載置部材61の内圧が第1の圧力値である状態から第1の閾値を超えたときとは、具体的には、
図4(b)に示すように、ユーザが指載置部材61上に載置された印刷指U1によってある程度の力で指載置部材61を下方向に押し下げた場合である。印刷指U1が指載置部材61を下方向に押し下げている間、指載置部材61の内圧が上昇する。
図8に示すように、本実施形態では、指載置部材61の内圧がセンサ65によって検出可能となった後に印刷指U1によって指載置部材61が押下されて、指載置部材61の内圧が第1の閾値を超えると、昇降制御部513はこれをもって描画動作開始の指示がされたと判断し、ポンプ63を動作させて、爪Tに描画することが可能となる固定状態となるまで(すなわち、指載置部材61の内圧がほぼ第2の圧力値となるまで)指載置部材61に空気を注入させて、印刷指U1を上昇させる上昇動作を行う(
図4(c)参照)。
これにより、ユーザが描画を行っていない方の手でボタン操作等を行うことなく、印刷指U1の動作のみで印刷指U1のセット(固定)を行うことができる。
なお、
図8では、指載置部材61の内圧が第1の閾値を超えて少し時間が経過してから圧力値が上がり始めているように示している。これは指載置部材61の内圧が第1の閾値に達し、制御プログラムがこれを認識して、ポンプ63を動作させ、指載置部材61内に空気を送り込む処理を実行し、実際に空気が流入して指載置部材61が膨張するまでの間に多少のタイムラグがあることを表したものである。
なお、ユーザの意図でなく印刷指U1が多少動いてしまうこともあり得るため、極僅かな時間だけ第1の閾値を超えた場合には描画開始の指示と判断せず、例えば、第1の閾値を超えた状態が2,3秒間程度の所定時間継続した場合に描画開始の指示がされたと判断するようにしてもよい。
【0041】
描画可能位置まで印刷指U1が押し上げられた後は、印刷指U1が指載置部材61によって過度に圧迫されないようにするため、昇降制御部513は、適宜ポンプ63とバルブ64の動作を制御して、
図7〜
図9に示すように、指載置部材61の内圧をほぼ第2の圧力値であるAD変換値1300程度に維持するようになっている。
なお、
図9では、印刷指U1が描画可能位置まで押し上げられた状態の指載置部材61の内圧について、センサ65によって8回検出を行った場合の検出結果をプロットしたグラフである。
図9に示すように、固定状態では、指載置部材61の内圧がほぼ第2の圧力値であるAD変換値1300程度に維持されている。
【0042】
さらに本実施形態では、上記第2の圧力値よりも一定程度高い圧力の値が第2の閾値として記憶部52に記憶されており、昇降制御部513は、指載置部材61の内圧が第2の圧力値である状態から第2の閾値を超えたことがセンサ65により検出されたときに、ポンプ63の動作を停止させるとともにバルブ64による流体の排出動作を制御して、指載置部材61を収縮させて印刷指U1を待機位置まで下降させる下降動作を行う。
第2の閾値をどの程度とするかは適宜設定可能であるが、本実施形態では、
図10に示すように、第2の閾値がAD変換値1400である場合を例として説明する。
【0043】
指載置部材61の内圧が第2の圧力値である状態から第2の閾値を超えたときとは、具体的には、
図5(a)に示すように、ユーザが指載置部材61と指押さえ部24の下面との間に固定されている印刷指U1によってある程度の力で指載置部材61を下方向に押し下げた場合である。印刷指U1が指載置部材61を下方向に押し下げている間、指載置部材61の内圧が上昇する。
図10に示すように、本実施形態では、指載置部材61が固定状態となった後(すなわち、指載置部材61の内圧が第2の圧力値である1300となった後)に印刷指U1によって指載置部材61が押下されて、指載置部材61の内圧が第2の閾値を超えると、昇降制御部513はこれをもって指固定状態の解除の指示がされたと判断し、ポンプ63の動作を停止させるとともに、バルブ64を開状態に動作させて、指載置部材61の空気を排出させる(
図5(b)参照)。これにより、指載置部材61の内圧が第1の圧力値又はそれ以下となって、印刷指U1を抜き差しできる待機状態となる(
図5(c)参照)。
これにより、ユーザが描画を行っていない方の手でボタン操作等を行うことなく、印刷指U1の動作のみで印刷指U1の固定状態の解除を行うことができる。
なお、
図10では、指載置部材61の内圧が第2の閾値を超えて少し時間が経過してから圧力値が下がり始めているように示している。これは指載置部材61の内圧が第2の閾値に達し、制御プログラムがこれを認識して、バルブ64を動作させ、指載置部材61内の空気を排出する処理を実行し、実際に空気が流出して指載置部材61が収縮するまでに多少のタイムラグがあることを表したものである。
なお、ユーザの意図でなく印刷指U1が多少動いてしまうこともあり得るため、極僅かな時間だけ第2の閾値を超えた場合には指固定状態の解除の指示と判断せず、例えば、第2の閾値を超えた状態が2,3秒間程度の所定時間継続した場合に指固定状態の解除の指示がされたと判断するようにしてもよい。
【0044】
描画制御部514は、ネイルデザインの画像データに基づく描画データを描画部40の描画ヘッド46に出力し、この描画データにしたがって描画ヘッド46により爪Tに描画が施されるように描画部40を制御するものである。
本実施形態において、制御部51は、ユーザが操作部12等を操作することによって選択されたネイルデザインの画像データを爪情報検出部512により検出された爪Tの輪郭に合わせ込み、爪情報検出部512により検出された爪Tの輪郭の領域内を描画対象領域とする描画データを生成するようになっており、描画制御部514は、この描画データを描画ヘッド46に出力する。
前述のように、本実施形態では、ネイルデザイン記憶領域523に記憶されているネイルデザインの画像データは、矩形の大きなサイズのデータであり、描画データは、このネイルデザインの画像データを爪Tの輪郭に合うように適宜縮小することで生成される。
なお、合せ込み処理の具体的な手法は、特に限定されないが、例えば、描画対象である爪Tの縦横の長さのうち、長さの短い方を基準として、ネイルデザインが爪Tからはみ出さない大きさまでネイルデザインの画像データを縮小することにより、爪Tの輪郭の領域内に合わせ込み、描画データが生成される。
【0045】
本実施形態において描画制御部514は、指載置部材61の内圧が第2の圧力値(本実施形態ではAD変換値1300)まで上昇したことがセンサ65により検出されたときに描画を開始させるように描画部40を制御するようになっている。
また、描画制御部514は、指載置部材61の内圧が第2の圧力値である状態から第2の閾値(本実施形態ではAD変換値1400)を超えたことがセンサ65により検出されたときに、描画を停止させるように描画部40を制御する。
これにより、ユーザが描画を行っていない方の手でボタン操作等を行うことなく、印刷指U1の動作のみで描画動作の開始及び描画動作の停止を行うことができる。
【0046】
表示制御部515は、表示部13を制御して、各種の表示画面を表示させるものである。
本実施形態では、表示制御部515は、例えば、印刷指U1を撮影して得られた指画像や、この指画像中に含まれる爪画像(爪Tの輪郭線等の画像)、爪Tに描画すべき画像(すなわち、「ネイルデザイン」)を選択するためのデザイン選択画面、デザイン確認用のサムネイル画像、各種の指示を表示させる指示画面等を表示部13に表示させるようになっている。
【0047】
次に、
図11〜
図13等を参照しつつ、本実施形態におけるネイルプリント装置1による描画方法について説明する。
このネイルプリント装置1により描画を行う場合、
図11に示すように、ユーザはまず、電源スイッチを入れて制御装置50を起動させる(ステップS1)。
ネイルプリント装置1の電源がONとなると、センサ65による指載置部材61の内圧の検出が開始され(ステップS2)、検出結果が昇降制御部に出力される。なお、センサ65による指載置部材61の内圧の検出は、描画処理が終了するまで継続される。昇降制御部513は、ポンプ63を動作させて指載置部材61の内圧がほぼ第1の圧力値(本実施形態では、
図7等に示すようにAD変換値800)の内圧となるまで指載置部材61内に空気を注入する(ステップS3)。これにより、指載置部材61は、センサ65が指載置部材61の内圧の変化を検出することができるとともに、ネイルプリント装置内への印刷指U1の抜き差しが可能な待機状態となる(
図4(b)参照)。
【0048】
また、表示制御部515は、表示部13にデザイン選択画面を表示させて、ユーザにネイルデザインを選択するよう促す(ステップS4)。ユーザは操作部12の操作釦121等を操作して、デザイン選択画面に表示された複数のネイルデザインの中から所望のネイルデザインを選択する。
制御装置50はいずれかのネイルデザインが選択されたか否かを判断し(ステップS5)、操作部12から選択指示信号が出力されない場合には、未だネイルデザインが選択されていないと判断して(ステップS5;NO)、ステップS5の処理を繰り返す。他方、ユーザが操作部12の操作釦121等を操作することにより、操作部12から選択指示信号が出力されると、一つのネイルデザインが選択されたと判断する(ステップS5;YES)。
【0049】
印刷指挿入部20a内は撮影部30により撮影されており、ユーザが印刷指挿入部20a内に印刷指U1を挿入すると、撮影部30によって撮影された印刷指挿入部20a内の画像が随時表示部13に表示される(ステップS6)。なお、表示部13の表示画面に、印刷指U1の適正位置を示す枠等を表示させるとユーザにとって印刷指U1の位置決めがしやすくなり好ましい。
ユーザは、表示部13で印刷指U1の位置を確認し、適切な位置に配置されたと判断すると印刷指U1によって指載置部材61を下方向に押し下げる(
図4(b)参照)。
前述のように、指載置部材61の内圧はセンサ65によって検出されており、検出結果は随時昇降制御部513に出力される。昇降制御部513はセンサ65により検出された値(指載置部材61の内圧値)が第1の圧力値(本実施形態ではAD変換値800)である状態から第1の閾値(本実施形態では、
図7、
図8に示すようにAD変換値900)を超えたか否かを判断し(ステップS7)、第1の閾値を超えていない場合(ステップS7;NO)には、ステップS7の判断を繰り返す。他方、指載置部材61の内圧値が第1の圧力値である状態から第1の閾値を超えたと判断すると(ステップS7;YES)、昇降制御部513は印刷指U1が描画可能位置まで上昇するようにポンプ63による空気の送り込み動作を開始させて指載置部材61を膨張させる(ステップS8)。これにより、
図4(c)に示すように印刷指U1が押し上げられ、印刷指U1の上側が指押さえ部24の下面に当接する。また、爪Tの先端部が爪乗せ部25に載置される。
昇降制御部513はセンサ65により検出される値(指載置部材61の内圧値)が第2の圧力値(本実施形態ではAD変換値1300)に達したか否かを判断し(ステップS9)、第2の圧力値に達していない場合(ステップS9;NO)には、ステップS9の判断を繰り返す。他方、指載置部材61の内圧値が第2の圧力値に達したと判断した場合(ステップS9;YES)には、昇降制御部513は、ポンプ63による空気の送り込み動作を停止させる(ステップS10)。
なお、指載置部材61の内圧値が第2の圧力値に達した後も指載置部材61の内圧値はセンサ64によって検出され、随時昇降制御部513に出力される。そして、昇降制御部513は、指載置部材61の内圧がほぼ第2の圧力値に維持されるように内圧値が高すぎる場合にはポンプ63を停止させるとともにバルブ64を開状態にして指載置部材61内の空気を排出させ、内圧値が低くなったときにはバルブ64を閉状態にするとともにポンプ63を動作させて指載置部材61内に空気を注入させる。
【0050】
指載置部材61の内圧値が第2の圧力値に達すると、撮影制御部511が撮影部30を制御して印刷指U1の爪Tを撮影して爪画像を取得する(ステップS11)。爪画像が取得されると、
図12に示すように、爪情報検出部512は、当該爪画像から、爪情報として爪形状(爪Tの輪郭)を検出する(ステップS12)。
爪Tの輪郭が検出されると、制御部51は、ネイルデザインの画像データを爪情報検出部512により検出された爪Tの輪郭に合わせ込み処理を行う(ステップS13)。これにより、爪情報検出部512により検出された爪Tの輪郭の領域内を描画対象領域とする描画データが生成される。
描画データが生成されると、描画制御部514は、この描画データを描画ヘッド46に出力し、描画データに基づく爪領域(すなわち、爪情報検出部512により検出された爪Tの輪郭の内側の領域)への描画を開始させる(ステップS14)。
【0051】
描画制御部514は、爪領域への描画が終了したか否かを判断し(ステップS15)、終了していない場合(ステップS15;NO)は、描画が終了するまで処理を繰り返す。爪領域への描画が終了した場合(ステップS15;YES)には、当該爪Tについての描画処理を終了する。
【0052】
描画処理が終了すると、昇降制御部513は、ポンプ63を停止させるとともにバルブ64を開状態とし、印刷指U1を装置内から抜くことのできる待機状態となるまで(すなわち、指載置部材61の内圧が第1の圧力値以下となるまで)指載置部材61内の空気を排出させる(ステップS16)。これにより、ユーザは描画が終了した印刷指U1を装置内から抜くことができる。
なお、他にも描画する指の爪Tがある場合には、印刷指U1を入れ替えて、上記の処理を繰り返す。
【0053】
なお、本実施形態では、印刷指U1が描画可能位置に固定された後、描画処理の終了前であっても、ユーザの意図によって印刷指U1の固定状態を解除して装置内から取り出すことが可能となっている。
すなわち、
図13に示すように、指載置部材61の内圧が第2の圧力値(本実施形態ではAD変換値1300)に達して印刷指U1が描画可能位置に固定された後も、指載置部材61の内圧値はセンサ64によって検出され(ステップS21)、随時昇降制御部513に出力される。そして、昇降制御部513は、センサ65により検出された値(指載置部材61の内圧値)が第2の圧力値である状態から第2の閾値(本実施形態ではAD変換値1400)を超えたか否かを判断し(ステップS22)、第2の閾値を超えていない場合(ステップS22;NO)には、ステップS22の判断を繰り返す。他方、指載置部材61の内圧が第2の圧力値である状態から第2の閾値を超えたと判断すると(ステップS22;YES)、昇降制御部513は、印刷指U1が装置内から取り出し可能な待機位置まで下降するように、ポンプ63を停止させるとともにバルブ64を開状態にして、指載置部材61内から空気を排出させ、指載置部材61を収縮させる(ステップS23)。
これにより、ユーザは描画が終了する前であっても、必要に応じて印刷指U1で指載置部材61を押し下げることにより印刷指U1を装置内から抜くことができる。
【0054】
以上のように、本実施形態によれば、指載置部材61の内圧をセンサ65により検出し、昇降制御部513がセンサ65の検出結果に基づいてポンプ63による流体の送り込み動作及びバルブ64による流体の排出動作を制御するようになっている。これにより、印刷指U1で指載置部材61を押し下げる動作を検出し、これをネイルプリント装置の動作指示のためのスイッチとして用いることができる。このため、ユーザが手動によるボタン操作等を行うことなく、印刷指U1の動作により、印刷指U1のセット(固定)や描画処理の開始等をさせることができる。このため、描画を行う手が利き手である場合でも他方の手でボタン操作を行うような煩わしさがない。また、他方の手を乾燥させている場合や、他方の手で他の用事をしている場合でも、これらを中断することなく印刷指U1の固定や描画開始の指示を行うことができる。
また、本実施形態では、指載置部材61の内圧がネイルプリント装置内への印刷指U1の抜き差しが可能な待機状態の内圧である第1の圧力値である状態から第1の閾値を超えたとセンサ65が検出したときに、昇降制御部513が、印刷指U1が描画可能位置まで上昇するようにポンプ63による空気(流体)の送り込み動作を制御して指載置部材61を膨張させるようになっている。これにより、ユーザが印刷指挿入部20a内に印刷指U1を挿入しただけでは印刷指U1は固定されないが、印刷指U1で指載置部材61を押し下げることで自動的に指の固定を行うことができ、直感的かつ簡易な動作でユーザの意図を反映した装置制御を行うことができる。
また、本実施形態では、指載置部材61の内圧が描画可能位置に印刷指U1が押し上げられた固定状態の内圧である第2の圧力値である状態から第2の閾値を超えたことがセンサ65により検出されたときに、昇降制御部513が待機位置まで印刷指U1が下降するようにポンプ63を停止させるとともにバルブ64による流体の排出動作を制御して指載置部材61を収縮させるようになっている。これにより、ユーザは、一旦印刷指U1が固定された後であっても、印刷指U1で指載置部材61を押し下げることで印刷指U1の固定を解除することができる。このため、描画中に例えば急な用事等で装置から指を直ぐに抜きたい場合等に、印刷指U1による直感的な動作で素早く指の固定を解除して簡易に指を取り出すことが可能である。
また、本実施形態では、指載置部材61の内圧が第2の圧力値まで上昇したとセンサ65が検出したときに、描画制御部514が描画を開始させるようになっている。これにより、ユーザが描画開始ボタン等を操作することなく、印刷指U1で指載置部材61を押し下げるだけで自動的に描画を開始させることができ、直感的かつ簡易な動作でユーザの意図を反映した装置制御を行うことができる。
また、本実施形態では、指載置部材61の内圧が第2の圧力値である状態から第2の閾値を超えたとセンサ65が検出したときに、描画制御部514が描画を停止させるようになっている。これにより、一旦印刷指U1が固定された後であっても、ユーザが描画停止ボタン等を操作することなく、印刷指U1で指載置部材61を押し下げるだけで自動的に描画を停止させることができ、描画中に急な用事等で装置から指を直ぐに抜きたい場合等に、直感的な動作で素早く描画を止めることができる。
【0055】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0056】
例えば、本実施形態では、描画部がインクジェット方式の描画ヘッドを備えている場合を例示したが、描画部はインクジェット方式によって描画を行うものに限定されない。
例えば、描画部はペンホルダ等に保持されたペンを用いて描画するペンプロッタ方式のものであってもよいし、インクジェット方式の描画ヘッドとペンの両方を備えるものであってもよい。
ペンは、インクの粒径や粘度等にかかわらず描画を行うことが可能であるため、描画部がペンを備える場合には、ネイルプリント装置によって粒径の大きなインクやラメ等を含むインク等を用いたネイルプリントが可能となり、よりバリエーション豊かな美しいネイルアートを爪に施すことができる。
【0057】
また、本実施形態では、印刷指U1で指載置部材61を押下することによる指載置部材61の内圧の変化をセンサ65によって検出して、この検出結果に基づいて、印刷指U1の固定開始、印刷指U1の固定解除、描画の開始、及び描画の停止を制御する場合を例示したが、指載置部材61の内圧の変化の検出結果に基づいて制御する対象はこれに限定されない。
例えば、指載置部材61の内圧の変化の検出結果を印刷指U1の固定開始のスイッチングのみに反映させる等、上記のうちの何れかの制御を、指載置部材61の内圧の変化の検出結果に基づいて行うものとしてもよい。
また、例えば、印刷指U1で指載置部材61を押下する長さや回数に応じて、選択したネイルデザインの変更を行う等、さらに複雑な制御を、指載置部材61の内圧の変化の検出結果に基づいて行うように構成してもよい。
【0058】
また、本実施形態では、指を1本ずつ装置に挿入して、挿入された1本の指の爪に描画を行うネイルプリント装置1を例示したが、例えば、4本の指を装置に同時に挿入して、挿入された4本の指のそれぞれの爪に対して連続的に描画を行うことのできる装置や、両手の指を同時に装置内に挿入して、挿入された両手の指のそれぞれの爪に連続的に描画を行う装置に本発明を適用することも可能である。
本実施形態の構成では、印刷指U1の固定や固定解除のスイッチング及び描画開始や描画停止のスイッチングを印刷指挿入部20a内に挿入されている印刷指U1の動作のみで行うことができるため、両手を同時に装置内に挿入する場合でも容易に各種のスイッチ操作を行うことができる。
【0059】
また、本実施形態では、第1の閾値、第2の閾値がそれぞれ1つ設定されている場合を例示したが、例えば、第1の閾値、第2の閾値をそれぞれ複数用意しておき、ユーザが、自分の指の力等に応じて好みの閾値を選択できるようにしてもよい。
【0060】
また、本実施形態では、爪画像記憶領域521、爪情報記憶領域522、ネイルデザイン記憶領域523が制御装置50の記憶部52内に設けられている場合を例としたが、爪画像記憶領域521、爪情報記憶領域522、ネイルデザイン記憶領域523は制御装置50の記憶部52(ROM、RAM)に設けられている場合に限定されず、別途記憶部が設けられていてもよい。
【0061】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
指の爪に描画を施す描画部と、
上面に前記指が載置される指載置部材を有し、前記指載置部材により、装置内への前記指の抜き差しが可能な待機位置と、前記待機位置より上方であって前記指の爪に前記描画部による描画を施すことが可能な描画可能位置と、の間で前記指を昇降させる昇降機構と、
前記昇降機構を制御する昇降制御部と、
を備え、
前記昇降制御部は、前記指載置部材に載置されている前記指による前記載置部材を下方向に押圧する動作に応じて、前記指を前記待機位置から前記描画可能位置まで上昇させる上昇動作及び前記指を前記描画可能位置から前記待機位置まで下降させる下降動作の少なくとも何れかを行うように前記昇降機構を制御することを特徴とするネイルプリント装置。
<請求項2>
前記指載置部材は、流体の出入によって膨縮可能に構成され、
前記昇降制御部は、前記指載置部材に載置されている前記指による前記載置部材を押圧する動作に応じた前記指載置部材の内圧の変化に基づいて前記昇降機構を制御することを特徴とする請求項1に記載のネイルプリント装置。
<請求項3>
前記昇降機構は、前記指載置部材に前記流体を送り込むポンプと、前記指載置部材から前記流体を排出させるバルブと、前記指載置部材の内圧を検出するセンサと、
を有し、
前記昇降制御部は、前記センサの検出結果に基づいて、前記ポンプによる前記流体の送り込み動作、及び、前記バルブによる流体の排出動作を制御することを特徴とする請求項2に記載のネイルプリント装置。
<請求項4>
前記指載置部材は、前記指が前記待機位置にあるときに内圧が第1の圧力値を有し、
前記第1の圧力値よりも一定程度高い圧力の値を第1の閾値とし、
前記昇降制御部は、前記指載置部材の内圧が前記第1の圧力値である状態から前記第1の閾値を超えたことが前記センサにより検出されたときに、前記ポンプによる前記流体の送り込み動作を制御して、前記上昇動作を行うように前記指載置部材を膨張させることを特徴とする請求項3に記載のネイルプリント装置。
<請求項5>
前記指載置部材は、前記指が前記描画可能位置にあるときに内圧が第2の圧力値を有し、
前記第2の圧力値よりも一定程度高い圧力の値を第2の閾値とし、
前記昇降制御部は、前記指載置部材の内圧が前記第2の圧力値である状態から前記第2の閾値を超えたことが前記センサにより検出されたときに、前記バルブによる流体の排出動作を制御して、前記下降動作を行うように前記指載置部材を収縮させることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のネイルプリント装置。
<請求項6>
前記描画部を制御する描画制御部を有し、
前記描画制御部は、前記指載置部材の内圧が前記第2の圧力値まで上昇したことが前記センサにより検出されたときに、前記描画を開始させるように前記描画部を制御することを特徴とする請求項5に記載のネイルプリント装置。
<請求項7>
前記描画制御部は、前記指載置部材の内圧が前記第2の圧力値である状態から前記第2の閾値を超えたことが前記センサにより検出されたときに、前記描画を停止させるように前記描画部を制御することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のネイルプリント装置。
<請求項8>
爪に描画を施すネイルプリント装置の描画方法であって、
前記ネイルプリント装置は、指の前記爪に描画を施す描画部と、上面に前記指が載置される指載置部材を有し、装置内への前記指の抜き差しが可能な待機位置と、前記待機位置より上方であって前記指の爪に前記描画部による描画を施すことが可能な描画可能位置と、の間で前記指を昇降させる昇降動作を前記指載置部材により行う昇降機構と、を備え、
前記指載置部材に載置されている前記指による前記載置部材を下方向に押圧する動作に応じて、前記指を前記待機位置から前記描画可能位置まで上昇させる上昇動作と、前記指を前記描画可能位置から前記待機位置まで下降させる下降動作と、の少なくとも何れかを行うように前記昇降機構を制御することを特徴とするネイルプリント装置の描画方法。