特許第6561480号(P6561480)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561480
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】エンジンの吸気ポート構造
(51)【国際特許分類】
   F02F 1/42 20060101AFI20190808BHJP
   F01L 3/22 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   F02F1/42 F
   F02F1/42 E
   F02F1/42 K
   F01L3/22 A
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-15376(P2015-15376)
(22)【出願日】2015年1月29日
(65)【公開番号】特開2016-138534(P2016-138534A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2017年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100187827
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 雅則
(72)【発明者】
【氏名】森岡 遼
(72)【発明者】
【氏名】吉川 智
(72)【発明者】
【氏名】干場 義幸
【審査官】 村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第00281015(EP,A2)
【文献】 特開平02−125916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02F 1/00−1/42、
7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの燃焼室に接続される吸気ポートと、
前記吸気ポートの前記燃焼室に臨む領域に設けられる環状のシートリングとを備え、
前記シートリングの内面の上流側に連続する前記吸気ポートの内面は、前記燃焼室側からの前記シートリングの軸心方向に沿う平面視において、シリンダボアの軸心から遠い後端側に前記シートリングの内面と面一な内面一致部を備え、他のいずれかの部分に前記シートリングの内面よりも内側に突出する張り出し部を備え、前記張り出し部のある箇所の流路の断面積を前記シートリングの流路の断面積よりも小さくし、
前記張り出し部は、前記シートリングの内面の上流側に連続する前記吸気ポートの内面のうち前記後端側とシリンダボアの軸心に近い前端側との間を結ぶ側方部のいずれか一方の側又は両側ならびに前記前端側に設けられ、前記側方部の張り出し部における前記シートリングの内面からの内側への最大突出長さは、前記前端側の張り出し部における前記シートリングの内面からの内側への最大突出長さよりも大きく設定される
エンジンの吸気ポート構造。
【請求項2】
前記内面一致部は、前記シートリングの内面の上流側に連続する吸気ポートの内面のうち前記前端側に設けられる
請求項に記載のエンジンの吸気ポート構造。
【請求項3】
前記シートリングの内面の上流側に連続する前記吸気ポートの内面は、前記前端側と前記後端側とを結ぶ前後方向への最大径が、それに直交する幅方向への最大径よりも大きく設定される
請求項1又は2に記載のエンジンの吸気ポート構造。
【請求項4】
前記シートリングの内面の上流側に連続する前記吸気ポートの内面は、前記後端側と前記前端側のそれぞれに前記シートリングの軸心回りの円弧状部を備え、
前記後端側の円弧状部の半径を前記前端側の円弧状部の半径よりも大きく設定した
請求項1からの何れか1項に記載のエンジンの吸気ポート構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃焼室内で良好な燃焼を可能とするエンジンの吸気ポート構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジンの燃焼室内に、シリンダボアの軸心方向に沿って流れる旋回流であるタンブル流(縦渦)や、シリンダボアの内周面の周方向に沿って流れる旋回流であるスワール流(横渦)を発生させる種々の技術が知られている。
【0003】
タンブル流を発生させる技術としては、例えば、吸気ポート内に設けた吸気流制御弁によって、その吸気ポート内の遮蔽度合いを変化させて、タンブル流を生成させるものがある(例えば、特許文献1参照)。また、吸気ポート内に設けたノズルから、バルブスロート部の壁面に沿って下向きに空気を噴出することにより、タンブル流を生成させるものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、タンブル流を強化するために、吸気ポートの内径を縮小するとともに、その吸気ポートにおけるシリンダボアの軸心から遠い側の内面にエッジ部を設ける技術がある。エッジ部を設けることにより流路断面積が小さくなり、流速の増大を図ることで、タンブル流が強化できるとされている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−32560号公報
【特許文献2】特開2013−122188号公報
【特許文献3】特開2007−46457号公報(第3頁明細書段落0010、第8頁第6図参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、燃料室内に吸気のタンブル流を生成する場合、良好な燃焼を確保するために、そのタンブル流をさらに強化したいという要請がある。しかし、タンブル流を強化するために、種々の弁装置やノズルを追加することは、装置の複雑化やコストの増大につながるので限界がある。
【0007】
また、特許文献3の技術によれば、吸気ポート内のエッジ部周辺において吸気通路が屈曲するので、流量係数が低下し、逆にタンブル流が弱まってしまう事態も想定される。
【0008】
そこで、この発明の課題は、構造を複雑にすることなく、燃料室内のタンブル流を強化することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、この発明は、エンジンの燃焼室に接続される吸気ポートと、前記吸気ポートの前記燃焼室に臨む領域に設けられる環状のシートリングとを備え、前記シートリングの内面の上流側に連続する前記吸気ポートの内面は、前記燃焼室側からの前記シートリングの軸心方向に沿う平面視において、シリンダボアの軸心から遠い後端側に前記シートリングの内面と面一な内面一致部を備え、他のいずれかの部分に前記シートリングの内面よりも内側に突出する張り出し部を備え、前記張り出し部のある箇所の流路の断面積を前記シートリングの流路の断面積よりも小さくしたエンジンの吸気ポート構造を採用した。
【0010】
ここで、前記張り出し部は、前記シートリングの内面の上流側に連続する前記吸気ポートの内面のうち前記後端側とシリンダボアの軸心に近い前端側との間を結ぶ側方部のいずれかの側又は両側に設けられる構成を採用することができる。
【0011】
さらに、前記内面一致部は、前記シートリングの内面の上流側に連続する吸気ポートの内面のうち前記前端側に設けられる構成を採用することができる。
【0012】
あるいは、前記前端側に張り出し部を備え、前記側方部の張り出し部における前記シートリングの内面からの内側への最大突出長さは、前記前端側の張り出し部における前記シートリングの内面からの内側への最大突出長さよりも大きく設定した構成を採用することができる。
【0013】
これらの各構成において、前記シートリングの内面の上流側に連続する前記吸気ポートの内面は、前記前端側と前記後端側とを結ぶ前後方向への最大径が、それに直交する幅方向への最大径よりも大きく設定される構成を採用することができる。
【0014】
これらの各構成において、前記シートリングの内面の上流側に連続する前記吸気ポートの内面は、前記後端側と前記前端側のそれぞれに前記シートリングの軸心回りの円弧状部を備え、前記後端側の円弧状部の半径を前記前端側の円弧状部の半径よりも大きく設定した構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、シートリングの内面の上流側に連続する吸気ポートの内面に、燃焼室側からのシートリングの軸心方向に沿う平面視において、シリンダボアの軸心から遠い後端側にシートリングの内面と面一な内面一致部を備え、他のいずれかの部分にシートリングの内面よりも内側に突出する張り出し部を備えたので、吸気の流量を維持又は増加させつつ、タンブル比、すなわち、ピストンが一往復する間のタンブル流の回転数を向上させることができる。このため、構造を複雑にすることなく、燃料室内のタンブル流を強化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の実施形態を示し、(a)は吸気ポートの要部拡大図、(b)は(a)の変形例である。
図2】この発明の効果を示すグラフ図である。
図3】(a)(b)は他の実施形態を示す要部拡大図である。
図4】(a)(b)は吸気ポートの加工方法を示す説明図、(c)はその完成時を示す説明図である。
図5】エンジンの内部を模式的に示す縦断面図、(b)(c)は吸気ポートの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。図1(a)は、この実施形態のエンジンの吸気ポート付近を示す要部拡大図である。図1(b)はその変形例である。
【0018】
エンジンの燃焼室3の配置と吸気ポート5の形状を図5に示す。この実施形態のエンジンは自動車用のディーゼルエンジンである。エンジンのシリンダ1内にはピストン2が収容されている。シリンダ1の内周面、及び、ピストン2の上面等により燃焼室3が形成されている。各シリンダの燃焼室3内に吸気を送り込む吸気通路5、燃焼室3から引き出された排気ポート7、燃焼室3内へ燃料を噴射する燃料噴射装置9等を備えている。
【0019】
これらの図面では、この発明に直接関係する部材、手段を中心に示し、他の部材等については図示省略している。また、図面では、一つのシリンダ1のみを示しているが、エンジンは単気筒であってもよいし、複数のシリンダを備えた多気筒であってもよい。
【0020】
この実施形態では、図5(c)に示すように、吸気ポート5は、燃焼室3の手前で2つの通路に分岐している。また、図示していないが、排気ポート7も、燃焼室3の手前で2つの通路に分岐している。
【0021】
各吸気ポート5の燃焼室3への開口部である吸気弁孔5aは、吸気バルブ6によって開閉される。また、各排気ポート7の燃焼室3への開口部である排気弁孔7aは、排気バルブ8によって開閉される。このとき、吸気バルブ6及び排気バルブ8は、それぞれ吸気ポート5、排気ポート7の燃焼室3に臨む領域に設けられる環状のシートリング20に接離する。
【0022】
これらの吸気バルブ6及び排気バルブ8は、シリンダヘッド4側に設けたカムシャフトの回転によって、所定のタイミングで吸気弁孔5a、排気弁孔7aを開閉する。吸気バルブ6及び排気バルブ8の軸部は、吸気ポート5、排気ポート7の内面に開口する軸挿通部5bから、シリンダヘッド4内のカムシャフト側へ引き出されている。吸気ポート5の軸挿通部5bは、図5(b)に示すように、吸気ポート5における吸気弁孔5aの上流側に位置する屈曲部5c、又は、その屈曲部5cのすぐ上流側に開口している。
【0023】
図1(a)に示すように、シートリング20の内面の上流側に連続する吸気ポート5の内面のうち、吸気バルブ6の軸部を支持する軸挿通部5bより下流側であってシートリング20の直上に位置する部分(以下、シートリング上流部30と称する。)は、燃焼室3側からの下面視、すなわち、燃焼室3側からのシートリング20の軸心方向に沿う平面視において、シリンダボアの軸心xから遠い後端側に、シートリング20の内面と面一な内面一致部32を備える。この実施形態では、図1(a)の後端部31dが内面一致部32に相当する。
【0024】
また、シートリング上流部30のうち他の部分、すなわち、前記平面視において、シリンダボアの軸心xに近い前端側と、その前端側と後端側とを結ぶ両側の側方部に、シートリング20の内面よりも内側に突出する張り出し部31を備える。この実施形態では、図1(a)の前端部31cと側方部31a、31bが、張り出し部31に相当する。そして、シートリング上流部30全体の断面形状は、前端側と後端側とを結ぶ前後方向への最大径が、それに直交する幅方向への最大径よりも大きく設定された、いわゆるオーバル形状となっている。
【0025】
また、後端部31dと前端部31cのそれぞれに、シートリング20の軸心回りの円弧状部を備える。側方部31a、31bは、後端部31dと前端部31cとを結ぶ直線状の内面である。側方部31a、31bを緩やかな円弧状としてもよい。
【0026】
この張り出し部31によって、シートリング上流部30の流路の断面積は、シートリング20の流路の断面積よりも小さくなる。これにより、吸気の燃焼室3内への流速を高めることができる。
【0027】
ここで、シートリング上流部30のうち、シリンダボアの軸心xから遠い後端部31dには張り出し部31を設けていない。張り出し部31は、その後端部31dを除く箇所に設けられる。これにより、シリンダ1の内周面に近い側での吸気の流量を確保しつつ、他の部分、すなわち、張り出し部31を設けた側において流路を狭くして吸気の流速を高めることができる。このような、後端部31dでの流量確保と、それ以外の側での流速向上により、タンブル比を向上できることが実験により確認できた。
【0028】
ここで、シートリング上流部30、すなわち、シートリング20の内面の上流側に連続する吸気ポート5の内面とは、鋳物等の金属で構成される吸気ポート5の内面のうち、シートリング20の直上に位置する部分を意味する。また、張り出し部31とは、吸気ポート5内の流路の断面積を縮小するために設けられるものである。
このため、吸気バルブ6の軸部を支持する軸挿通部5bは、吸気ポート5の内面に突出する部分を有していても、それは張り出し部31に該当しない。また、屈曲部5cの内面が、前記平面視において、シートリング20の内面から内側に見えていても、その屈曲部5cの内面は流路の断面積を縮小するためのものではないので、張り出し部31には該当しない。シートリング上流部30は、シートリング20の直上にあり、通常は、吸気ポート5の流路の断面積が、燃焼室3に向かって徐々に拡がる部分でもある。
【0029】
図1(b)に変形例を示す。図1(b)において、シートリング上流部30のうち、後端部31dに内面一致部32を、前端部31cと側方部31a、31bに張り出し部31を備える点は、前述の例と同様である。
【0030】
また、後端部31dと前端部31cのそれぞれに、シートリング20の軸心回りの円弧状部を備える点も同様である。側方部31a、31bは、後端部31dと前端部31cとを結ぶ直線状の内面である点も同様である。
【0031】
この例では、後端部31dの円弧状部の半径rdを、前端部31cの円弧状部の半径rcよりも大きく設定している。このように、後端部31d側の半径を相対的に大きくすることが後端側での流量確保に効果的であり、また、前端部31c側の半径を相対的に小さくすることが前端側での流速確保に効果的である。
【0032】
このように、前端部31cに張り出し部31を備える場合において、側方部31a、31bの張り出し部31におけるシートリング20の内面からの内側への最大突出長さa、bは、前端部31cの張り出し部31におけるシートリング20の内面からの内側への最大突出長さcよりも大きく設定することが望ましい。流速向上のための流路断面積の縮小量は、前端部31cよりも側方部31a、31bで大きく確保することが可能である。
【0033】
図2に、この発明のタンブル比向上の効果を示す。従来のエンジンでは、流量とタンブル比とはトレードオフの関係にあり、流量を増大させるとタンブル比が減少してしまうという問題があった。しかし、この発明によれば、流量を増加させながらタンブル比を増加させることができるので、従来の流量とタンブル比とのトレードオフの関係を改善できる。
【0034】
他の実施形態を、図3(a)に示す。この態様では、前記平面視において、後端部31d側に内面一致部32を備える。また、前端部31cと両側の側方部31a、31bに張り出し部31を備える。ただし、側方部31a、31bの張り出し部31は直線状のものではなく、シートリング20の軸心oよりも前端寄りの部分にのみ、前端部31cの円弧状の張り出し部31に連続する同じく円弧状の張り出し部31を設けている。側方部31a、31bの円弧状の張り出し部31と、前端部31cの円弧状の張り出し部31とは、同心で同一の半径rcからなる連続する円としているが、これらを互いに半径の異なる円弧としてもよい。また、張り出し部31の半径rcを、後端部31d側の円弧状の内面の半径rdよりも小さくして、張り出し部31の面積を増大させてもよい。
【0035】
さらに他の実施形態を、図3(b)に示す。この態様では、内面一致部32は、後端部31dと前端部31cに設けられる。張り出し部31は、両側の側方部31a、31bに設けられる。この実施形態も、シートリング上流部30の断面形状は、前端側と後端側とを結ぶ前後方向への最大径が、それに直交する幅方向への最大径よりも大きく設定された、いわゆるオーバル形状である。
【0036】
これらの各態様では、両方の側方部31a、31bに張り出し部31を設けたが、いずれか一方の側方部にのみ張り出し部31を設け、他方の側方部は内面一致部32としてもよい。
【0037】
つぎに、これらの各態様の吸気ポート構造とするための製造方法(加工方法)について説明する。
【0038】
シートリング上流部30を含む吸気ポート5は、鋳造によりシリンダヘッド4とともに製作される。シートリング上流部30の断面形状は、張り出し部31と内面一致部32とが介在することにより真円ではないので、鋳造時の鋳物の型をこのような形状とするか、あるいは、鋳造後の部材を三次元マシニングセンタ等で切削加工する。
【0039】
つぎに、吸気弁孔5aのうち、吸気バルブ6が当接する部分の加工を行う。加工前のシートリング20は、吸気ポート5の燃焼室3へ臨む部分に予め圧入されて、その吸気ポート5に固定されているものとする。
【0040】
まず、第1の工程では、吸気弁孔5aの奥部内面に、燃焼室3側に向かって徐々に拡がるスロート部22を加工する。図4(a)に示すように、スロートカッタAを吸気バルブ6の中心線に一致する軸心に沿って吸気ポート5内へ所定量進入させる。スロートカッタAを軸心周りに回転させることにより、シートリング20の内面及びシートリング上流部30の削り加工を行う。スロートカッタAの加工により、シートリング20の内面からシートリング上流部30の内面に亘って連続する、円錐面又は球面等からなるスロート部22を形成する。したがって、このとき、張り出し部31や内面一致部32の一部も削り加工される。
【0041】
つぎに、第2の工程では、スロートカッタAを取り外した後、吸気バルブ6が当接する部分、すなわち、バルブ当接部21を加工する。図4(b)に示すように、シートカッタBを吸気バルブ6の中心線に一致する軸心に沿ってシートリング20内へ所定量進入させる。シートカッタBを軸心周りに回転させることにより、シートリング20の内面の削り加工を行う。シートカッタBの加工により、シートリング20の内面に、円錐面又は球面等からなるバルブ当接部21を形成する。
【0042】
図4(c)に示すように、スロート部22とバルブ当接部21とは滑らかに連続しており、したがって、張り出し部31や内面一致部32からシートリング20の内面に亘って、滑らかな内面が形成される。
【0043】
なお、スロート部22がバルブ当接部21よりも先に加工される場合もあるし、バルブ当接部21がスロート部22よりも先に加工される場合もある。
【0044】
これらの実施形態では、自動車用のディーゼルエンジンを例に、この発明の構成を説明したが、自動車用の4サイクルガソリンエンジン、その他各種用途、各種使用のエンジンにおいても、この発明を適用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 シリンダ
2 ピストン
3 燃焼室
4 シリンダヘッド
5 吸気ポート
6 吸気バルブ
7 排気ポート
8 排気バルブ
9 燃料噴射装置
20 シートリング
21 バルブ当接部
22 スロート部
30 シートリング上流部
31 張り出し部
32 内面一致部
図1
図2
図3
図4
図5