(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
<貼り合わせ基板>
図1は、本実施の形態において分割の対象とされる貼り合わせ基板10の構成を概略的に示す断面図である。本実施の形態において、貼り合わせ基板10とは、ガラス基板1とシリコン基板2とを接着層3によって接着することで貼り合わせ、全体として一の基板としてなるものである。
【0017】
貼り合わせ基板10は、分割を行う位置としてあらかじめ定められてなる分割予定位置Aにおいて後述する手法により厚み方向に沿って分断されることで分割される。分割予定位置Aは、貼り合わせ基板10の主面に沿って線状(例えば直線状)に規定される。
図1においては、図面に垂直な方向に分割予定位置Aが定められてなる場合を例示している。なお、
図1においては貼り合わせ基板10の両主面たるガラス基板1の主面1aとシリコン基板2の主面2aとの双方に分割予定位置Aを示しているが、当然ながら、貼り合わせ基板10の主面を平面視(平面透過視)した場合においてそれぞれの主面における分割予定位置Aは同一である。換言すれば、一方主面における分割予定位置Aを貼り合わせ基板10の厚み方向に平行移動させると他方主面における分割予定位置Aと一致する。
【0018】
図1においては図示を省略しているが、一の貼り合わせ基板10に対して複数の分割予定位置Aが定められていてもよく、例えば、格子状に分割予定位置Aが定められてなる態様であってもよい。複数の分割予定位置Aが定められる場合において、個々の分割予定位置A同士の間隔は、後述する手順での分割が好適に行える範囲で、適宜に定められてよい。
【0019】
図1にはさらに、分割に際して実際に分断が進行する予定の位置である分断進行予定位置Bも示している。分断進行予定位置Bは、貼り合わせ基板10の両主面たるガラス基板1の主面1aとシリコン基板2の主面2aとのそれぞれにおける分割予定位置Aの間の、厚み方向に沿う面として観念される。
図1に例示する場合においては、分断進行予定位置Bは図面視垂直な方向に延在してなる。
【0020】
ガラス基板1の材質としては、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、ソーダガラス等のアルカリガラスなどといった種々のガラスが例示される。接着層3の材質としては、熱硬化型エポキシ樹脂などが例示される。
【0021】
ガラス基板1、シリコン基板2、および、接着層3の厚み、さらには貼り合わせ基板10の総厚は、後述する手法にて貼り合わせ基板10を分割するに際して分割を好適に行える限りにおいて特段の制限はないが、それぞれ、100μm〜1000μm、50μm〜1000μm、10μm〜200μm、150μm〜1500μmという範囲が例示される。また、貼り合わせ基板の平面サイズについても特段の制限はないが、縦1〜3mm程度×横1〜3mm程度という範囲が例示される。
【0022】
また、
図1においては、シリコン基板2の一方主面であって、接着層3との隣接面とは反対側の主面である、図面視上面側の主面2aに、上部層4が設けられてなる場合を例示している。
図1(a)は、シリコン基板2の主面2aのうち、分割予定位置Aの近傍領域が非形成領域REとされる場合の上部層4の形成態様を例示しており、
図1(b)は、主面2aの全面に上部層4が形成される場合の形成態様を例示している。
【0023】
なお、
図1においては簡単のため、上部層4は単一の層であるかのように図示されているが、上部層4は、単一層であってもよいし、同質のあるいは異なる材質の複数の層から構成されていてもよい。上部層4の構成材料としては、種々の金属層、セラミックス層、半導体層、アモルファス層、樹脂層など、種々の材質のものが例示される。
【0024】
ただし、本実施の形態に係る分割手法にて貼り合わせ基板10を分割するに際して、上部層4の存在は必須ではない。それゆえ、以降の説明においては、上部層4が形成されてなる場合についても、シリコン基板2と上部層4とを単にシリコン基板2と総称することがあり、また、厳密に言えば上部層4の上面をなしている面をシリコン基板2の主面2aと称することがある。
【0025】
<分割の手順>
次に、上述した構成を有する貼り合わせ基板10を分割予定位置Aにて分割する手順について説明する。
図2は、係る分割の手順を示す図である。
【0026】
まず、
図1に例示したような貼り合わせ基板10を用意する(ステップS1)。すなわち、ガラス基板1とシリコン基板2とが接着層3によって貼り合わされてなり、かつ、分割予定位置Aが定められた貼り合わせ基板10を用意する。
【0027】
そして、用意した貼り合わせ基板10のガラス基板1側の分割予定位置Aにおいて、スクライブラインSL(
図3)を形成する(ステップS2)。
図3は、係るスクライブラインSLの形成を説明するための図である。なお、
図3においては、それぞれが図面に垂直な方向に直線状に延在する複数の分割予定位置Aが設定されてなる場合を例示している(
図4〜
図7においても同様)。
【0028】
スクライブラインSLは、後述する工程においてクラック(垂直クラック)伸展の起点となる部位である。スクライブラインSLの形成は、
図3(a)に示すように、ガラス基板1が最上部となり、シリコン基板2が最下部となる水平姿勢で貼り合わせ基板10を保持して行う。その際、貼り合わせ基板10は直接にステージに保持するようにしてもよいし、これに代わり、シリコン基板2の主面2a側を例えばダイシングリングなどの環状の保持部材に張設保持させたダイシングテープなどの保持テープに貼り付け、それら保持部材および保持テープごと貼り合わせ基板10をステージにて保持する態様であってもよい。
【0029】
概略的にいえば、スクライブラインSLの形成は、図示しない公知のレーザー加工装置のステージに貼り合わせ基板10を当該姿勢にて保持した状態で、
図3(b)に示すように該レーザー加工装置に備わる出射源101からガラス基板1の主面1aに対しレーザー光LBを照射し、該レーザー光LBを分割予定位置Aに沿って走査することによって行う。
【0030】
係る場合において、スクライブラインSLは、レーザー光LBの照射による加熱とその後の冷却とによって生じた変質領域であってもよいし、レーザー光LBの被照射領域に存在する物質が蒸発することで形成される断面視V字状、U字状その他の形状を有する溝部であってもよい。レーザー光源の種類(CO
2レーザー、UVレーザー、YAGレーザーなど)や照射条件、照射光学系等は、実際に形成しようとするスクライブラインSLの種別に応じて適宜に定められてよい。
【0031】
あるいは、
図3(b)および
図3(c)、さらには以降の図においては、ガラス基板1の主面1aにスクライブラインSLが形成されてなる場合が例示されているが、いわゆるステルスダイシング技術によって、ガラス基板1の内部にのみ融解改質領域を形成し、当該融解質領域をスクライブラインSLとする態様であってもよい。
【0032】
図3(b)において矢印AR1およびAR2にて示すように、個々の分割予定位置Aに沿って順次にレーザー光LBを照射していくことで、スクライブラインSLが形成され、最終的には、
図3(c)に示すように全ての分割予定位置AにおいてスクライブラインSLが形成される。
【0033】
ガラス基板1側の分割予定位置に対しスクライブラインSLが形成されると、続いて、貼り合わせ基板10のシリコン基板2側の分割予定位置Aにおいてダイシングを行い、ダイシング溝DG(
図4)を形成する(ステップS3)。
図4および
図5は、係るダイシング溝DGの形成を説明するための図である。ダイシング溝DGは、溝部として形成され、後述する工程においてブレイクの起点となる。
【0034】
ダイシング溝DGの形成は、
図4(a)に示すように、シリコン基板2が最上部となり、ガラス基板1が最下部となる水平姿勢で貼り合わせ基板10を保持して行う。すなわち、スクライブラインSL形成時とは反転させた姿勢にて貼り合わせ基板10を保持することで行う。その際、貼り合わせ基板10は直接にステージに保持するようにしてもよいし、これに代わり、ガラス基板1の主面1a側を例えばダイシングリングなどの環状の保持部材に張設保持させたダイシングテープなどの保持テープに貼り付け、それら保持部材および保持テープごと貼り合わせ基板10をステージにて保持する態様であってもよい。
【0035】
図4(b)に示すように、ダイシング溝DGは、シリコン基板2を貫通して接着層3にまで達する溝部として形成される。換言すれば、ダイシング溝DGは、その深さhが、シリコン基板2の厚みよりも大きく、シリコン基板2と接着層3の厚みの総和よりも小さくなるように形成される。なお、詳細は後述するが、ダイシング溝DGのサイズ(深さh、幅w)と、ダイシング溝DGの底部DG1と接着層3との距離dとは、接着層3の材質に応じて選択される、後述するブレイク工程におけるブレイク手法に応じて定められる。
【0036】
概略的にいえば、ダイシング溝DGの形成は、所定のダイシング手段を備える図示しない公知のダイシング装置(ダイサー)のステージに貼り合わせ基板10を当該姿勢にて保持した状態で、シリコン基板2の主面2a側の分割予定位置Aにおいて厚み方向および幅方向の所定範囲をダイシング手段によって切削することによってなされる。
【0037】
図4(b)および
図4(c)においては、ダイシング手段として公知のダイシングブレード201を備えたダイサーを用いてダイシング溝DGを形成する様子を示している。ダイシングブレード201は、円板状(円環状)をなしているとともにその外周部分が刃先となっているツールである。ダイシングブレード201を用いてダイシング溝DGを形成する場合は、まず、係るダイシングブレード201をその主面が鉛直面と平行となる姿勢にて鉛直面内で回転させながら、その刃先部分が形成しようとするダイシング溝DGの深さhに応じた目標深さ位置に到達するまで、
図4(b)において矢印AR3にて示すように、さらには
図4(c)において矢印AR4にて示すように下降させる。そして、刃先部分が目標深さ位置に到達すると、当該回転状態を保ちつつ分割予定位置Aに沿って(つまりは分断進行予定位置Bに沿って)ダイシングブレード201が貼り合わせ基板10に対し相対移動させられることによって、ダイシング溝DGが形成される。
【0038】
図4(b)において矢印AR5およびAR6にて示すように、あるいは
図4(c)において矢印AR7およびAR8にて示すように、個々の分割予定位置Aに対して順次にダイシングブレード201が移動させられてダイシング溝DGが形成さると、最終的には、
図5に示すように全ての分割予定位置Aにおいてダイシング溝DGが形成される。
【0039】
ダイシング溝DGが形成されると、貼り合わせ基板10は、全ての分割予定位置Aにおいて、一方主面側にスクライブラインSLが形成されており、他方主面側にダイシング溝DGが形成された状態が、実現されたものとなっている。
【0040】
係る状態が実現された貼り合わせ基板10は、次のブレイク工程を実施可能なものとなっているが、貼り合わせ基板10の種類によっては、より詳細には、当該貼り合わせ基板10を分割することで得られるチップの種類によっては、係るブレイクに先立ち、シリコン基板2の主面2a上に、より厳密には
図3ないし
図5において図示を省略している上部層4の上に、半田ボールSBが形成される態様であってもよい(ステップS4)。
図6は、半田ボールSBが形成された後の貼り合わせ基板10を例示する図である。半田ボールSBは、シリコン基板2の主面2a上の(より詳細には上部層4の主面上の)、最終的に分割がなされることによってそれぞれに別個のチップとなる領域ごとに形成される。ただし、半田ボールSBの形成は、必須ではない。
【0041】
なお、半田ボールSBは、スクライブラインSL形成前の時点で、つまりは、最初に貼り合わせ基板を用意した時点で、あるいは、スクライブラインSL形成の形成後であってダイシング溝DG形成前の時点で、形成される態様であってもよい。ただし、前者の場合は、スクライブラインSLの形成時に半田ボールSBが形成された凹凸のあるシリコン基板2の主面2a側を下方に向けて貼り合わせ基板10を保持する必要があり、後者の場合は、ダイシングの際に切削片の除去やダイシング溝DGの洗浄などに用いられる水によって半田ボールSBが腐食される場合があるなど、それぞれに留意すべき点があるが、上述したダイシング溝DG形成後のタイミングで半田ボールSBを形成する態様は、そのような留意点は無関係となる点で好適である。
【0042】
また、スクライブラインSLの形成と、ダイシング溝DGの形成の順序は、反対であってもよい。
【0043】
スクライブラインSLとダイシング溝DGとをともに形成し、必要な場合には半田ボールSBを形成した後、ブレイク装置300を用いたブレイクを行い、スクライブラインSLとダイシング溝DGとの間で、分断進行予定位置Bに沿った分断を進行させる(ステップS5)。
【0044】
図7は、ブレイク装置300を用いて貼り合わせ基板10をブレイクする様子を概略的に示す図である。
【0045】
ブレイク装置300は、弾性体からなり、上面301aに貼り合わせ基板10が載置される支持部301と、所定の刃渡り方向に延在してなる断面視三角形状の刃先を有し、鉛直方向に昇降自在とされてなるブレイク刃302とを、主として備える。
【0046】
支持部301は、硬度が65°〜95°、好ましくは70°〜90°、例えば80°である材質の弾性体にて形成されるのが好適である。係る支持部301としては、例えばシリコーンゴムなどを好適に用いることができる。なお、支持部301はさらにその下方を図示しない硬質の(弾性を有していない)支持体によって支持されていてもよい。
【0047】
図7に示すように、ブレイクに際し、貼り合わせ基板10は、ダイシング溝DGが形成されてなるシリコン基板2の側が最上部となり、スクライブラインSLが形成されてなるガラス基板1の側が最下部となるように、支持部301の上面301a上に載置される。なお、
図7においては、分割予定位置Aが(それゆえスクライブラインSLとダイシング溝DGとが)図面に垂直な方向に延在するように、貼り合わせ基板10が支持部301の上面301aに載置されてなるとともに、係る分割予定位置Aの鉛直上方に、ブレイク刃302が(より詳細にはその刃先が)、分割予定位置Aの延在方向に沿って配置されてなる場合を示している。
【0048】
係るブレイク装置300を用いたブレイクは、概略的にいえば、ブレイク刃302を、矢印AR9に示すように鉛直方向においてシリコン基板2側の分割予定位置A(つまりはダイシング溝DGの形成位置)に対し下降させ、ブレイク刃302が貼り合わせ基板10に当接した後もブレイク刃302を押し下げることによって実現される。そして、矢印AR10にて示すように、全ての分割予定位置Aに対して順次にブレイクがなされることで、貼り合わせ基板10は、所望のサイズおよび個数のチップに分割される。
【0049】
より詳細には、本実施の形態においては、接着層3の材質に応じて、原理の異なる2通りのブレイク手法を使い分けるようにする。係る場合においては、選択するブレイク手法によって、ブレイク刃302の刃先302a(
図8、
図9参照)の形状や、ダイシング溝DGのサイズを、それぞれ違える。以下、2通りのブレイク手法を順次に説明する。
【0050】
(第1のブレイク手法)
図8は、第1のブレイク手法を示すための図である。第1のブレイク手法は、
図7において矢印AR9にて示したようにブレイク刃302を鉛直方向において下降させていくことでやがて生じる、ダイシング溝DGに対するブレイク刃302の当接が、まず最初に
図8(a)に示すように刃先302aの先端とダイシング溝DGの底部DG1との間でなされるようにしたうえで、分断を進行させるというものである。
【0051】
具体的には、
図8(b)において矢印AR11として示すように、刃先302aの先端がダイシング溝DGの底部DG1に当接した後もブレイク刃302を所定の力で鉛直下方に押し下げると、矢印AR12にて示すように、刃先302aは接着層3から抵抗力を受けつつも分断進行予定位置Bに沿って接着層3を切り裂きながら下降していく。これにより、接着層3における分断が進行する。
【0052】
また、その際、ブレイク刃302を鉛直下方に押し下げる力は、貼り合わせ基板10を弾性体たる支持部301に対し分割予定位置Aに沿って押し込む力としても作用するため、貼り合わせ基板10は支持部301から、矢印AR13にて示すような上向きの反発力を、スクライブラインSLに対して対称に受けることになる。すると、係る反発力と、ブレイク刃302から作用する鉛直下向きの力とが加わる結果として、貼り合わせ基板10のガラス基板1側においては、いわゆる3点曲げの状況が実現され、矢印AR14にて示すように、垂直クラックCRが、スクライブラインSLから分断進行予定位置Bに沿って鉛直上方へと伸展していく。
【0053】
ブレイク刃302による鉛直上方からの接着層3の分断(切り裂き)と、鉛直下方からのガラス基板1における垂直クラックCRの伸展とは、いずれも分断進行予定位置Bに沿って進行する。最終的に、両者がともに接着層3とガラス基板1との界面に到達すると、分断は完了する。すなわち、貼り合わせ基板10は、
図8(c)に示すように2つの個片10aに分割されたことになる。
【0054】
以上のような第1のブレイク手法でのブレイクを行う場合、ブレイク刃302を下降させた際に少なくとも刃先302aの先端とダイシング溝DGとの底部DG1とが当接するまでは、刃先302aがダイシング溝DGと接触することのないように、ダイシング溝DGのサイズを定めるとともに刃渡り方向に垂直な断面における刃先302aのなす角である刃先角θを定める必要がある。通常は、後述する第2のブレイク手法に比して、ダイシング溝DGのサイズを相対的に大きく、かつ、刃先角θを相対的に小さくすることになる。
【0055】
(第2のブレイク手法)
図9は、第2のブレイク手法を示すための図である。第2のブレイク手法は、
図7において矢印AR9にて示したようにブレイク刃302を鉛直方向において下降させていくことでやがて生じる、ダイシング溝DGに対するブレイク刃302の当接が、まず最初に
図9(a)に示すように刃先302aの2つの側面302bのそれぞれとダイシング溝DGの対応する開口端部DG2との間でなされるようにしたうえで、分断を進行させるというものである。ここで、ダイシング溝DGの開口端部DG2とは、シリコン基板2の表面におけるダイシング溝DGのエッジ部分である。
【0056】
具体的には、
図9(b)において矢印AR21として示すように、刃先302aの側面302bがダイシング溝DGの開口端部DG2に当接した後もブレイク刃302を所定の力で鉛直下方に押し下げていくと、刃先302aの2つの側面302bのそれぞれが、矢印AR22にて示すように、斜め方向において接触しているダイシング溝DGの対応する開口端部DG2に対し、分割予定位置Aに対して対称でかつ互いに離反する向きの力を作用させる。
【0057】
係る態様にて開口端部DG2が力を受けると、矢印AR23にて示すように、接着層3のダイシング溝DGが形成されていない箇所において、分断進行予定位置Bに対して対称に、相反する向きの力が生じる。ブレイク刃302の押し下げが進むほど係る力は大きくなり、やがて、接着層3はダイシング溝DGの底部DG1から矢印AR24に示す鉛直下方に向けて引き裂かれていく。その結果、接着層3には分断進行予定位置Bに沿った亀裂CR1が形成される。亀裂CR1は、最終的には接着層3とガラス基板1との界面にまで到達する。
【0058】
係る亀裂CR1の形成の後も、ブレイク刃302を鉛直下方に押し下げていくと、ブレイク刃302が貼り合わせ基板10に対し与える力は、貼り合わせ基板10を弾性体たる支持部301に対し分割予定位置Aに沿って押し込む力として作用する。それゆえ、第1のブレイク手法の場合と同様、貼り合わせ基板10は、矢印AR25にて示すように支持部301から鉛直上向きの反発力を受けることになる。従って、貼り合わせ基板10のガラス基板1側においては、3点曲げの状況が実現され、矢印AR26にて示すように、垂直クラックCR2が、スクライブラインSLから分断進行予定位置Bに沿って鉛直上方へと伸展していく。最終的に、垂直クラックCR2が接着層3とガラス基板1との界面に到達すると、分断は完了する。すなわち、貼り合わせ基板10は、
図9(c)に示すように2つの個片10aに分割されたことになる。
【0059】
以上のような第2のブレイク手法でのブレイクを行う場合、ブレイク刃302を下降させた際に刃先302aの先端とダイシング溝DGとの底部DG1とが当接するよりも先に、刃先302aの側面302bとダイシング溝DGの開口端部DG2とが接触するように、ダイシング溝DGのサイズを定めるとともに刃先角θを定める必要がある。通常は、上述した第1のブレイク手法に比して、ダイシング溝DGのサイズを相対的に小さく、かつ、刃先角θを相対的に大きくすることになる。加えて、ダイシング溝DGの底部DG1と接着層3との距離dについても、ブレイク刃302の押し込み量とのバランスを考慮して定める必要がある。距離dが大きすぎると、亀裂CR1が接着層3とガラス基板1との界面まで到達しなくなる可能性があるためである。
【0060】
なお、第1のブレイク手法と第2のブレイク手法の使い分けは、接着層3の材質(組成、粘性、弾性など)を考慮して選択するのが好適である。例えば、接着層3の粘性が高い場合には、ブレイク刃302による切り裂きが好適に進行しにくい傾向があるため、第1のブレイク手法よりも第2のブレイク手法を適用した方が、分断は好適に行える可能性が高い。
【0061】
あるいは、ブレイク当初は第1のブレイク手法に相当する手法にて分断を進行させ、その後、刃先302aの側面302bをダイシング溝DGの開口端部DG2に当接させる状態についても実現しつつ、ブレイクを進行させるようにしてもよい。
【0062】
以上、説明したように、本実施の形態によれば、シリコン基板とガラス基板とを接着層にて貼り合わせてなる貼り合わせ基板の分割を、ガラス基板側の分割予定位置にスクライブラインを形成し、かつ、シリコン基板側の分割予定位置に接着層にまで達するダイシング溝を形成したうえで、ブレイクによってスクライブラインとダイシング溝との間において分断を進行させることによって行うようにすることで、当該貼り合わせ基板を好適に分割することができる。ガラス基板をダイシングすることがないので、ガラス基板にチッピングが生じることが抑制され、また、生産性の向上やコストの低減が実現される。また、接着層とガラス基板との間に水が侵入することもない。