特許第6561592号(P6561592)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561592
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/04 20060101AFI20190808BHJP
   H02K 11/215 20160101ALI20190808BHJP
   H02K 11/30 20160101ALI20190808BHJP
   H02K 29/08 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   H02K5/04
   H02K11/215
   H02K11/30
   H02K29/08
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-110887(P2015-110887)
(22)【出願日】2015年5月29日
(65)【公開番号】特開2016-226177(P2016-226177A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年5月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 留介
(72)【発明者】
【氏名】中原 康晶
(72)【発明者】
【氏名】牧野 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】藤原 久嗣
【審査官】 津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−219335(JP,A)
【文献】 特開2013−090376(JP,A)
【文献】 実開昭63−198350(JP,U)
【文献】 国際公開第2008/117728(WO,A1)
【文献】 特開2014−033540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/04
H02K 11/215
H02K 11/30
H02K 29/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる中心軸を中心とするシャフトを有するロータと、
前記シャフトを支持するベアリングと、
前記ロータの径方向外側に位置するステータと、
前記ステータの上側に位置するバスバーユニットと、
前記ロータ、前記ステータ、および前記バスバーユニットを収容するケースと、
前記ステータよりも上側に位置し前記シャフトに固定されるセンサマグネットと、
前記バスバーユニットに保持され前記センサマグネットと軸方向に対向する回転センサと、
を備え、
前記シャフトの下側の端部は、前記ケースの外部に突出し、
前記ケースは、前記ステータを保持し上側に開口部を有する円筒状のハウジングと、前記ハウジングの上側に取り付けられ、前記ステータの上側を覆うモータカバーと、を有し、
前記バスバーユニットは、前記回転センサと電気的に接続されるセンサバスバーと、前記開口部に位置し前記センサバスバーを保持するバスバーホルダと、を有し、
前記バスバーホルダは、少なくとも一部が前記開口部の径方向内側に位置する円筒状のホルダ本体部と、前記ホルダ本体部から径方向外側に突出するコネクタ部と、を有し、
前記バスバーホルダは、前記ハウジングと前記モータカバーとに軸方向に挟持されて前記ケースに固定され、
前記ハウジングは、前記ステータの径方向外側を囲むハウジング筒部と、前記ハウジング筒部の外周面から径方向外側に延びる3つ以上のハウジング側取付部と、を有し、
前記ハウジング側取付部は、前記ハウジング側取付部を軸方向に貫通するハウジング側固定孔部を有し、
前記モータカバーは、前記ホルダ本体部の上側の端部の径方向外側を囲むカバー筒部と、前記カバー筒部から前記コネクタ部が突出する方向に延びるとともに前記コネクタ部の周方向両側にそれぞれ設けられる側壁部と、前記カバー筒部の外周面から径方向外側に延びるとともに前記カバー側取付部を軸方向に貫通し前記ハウジング側固定孔部と軸方向に重なるカバー側固定孔部を有する3つ以上のカバー側取付部と、を有し、
前記カバー側取付部は、3つ以上のうちの1つが前記コネクタ部の周方向一方側の前記側壁部と接続され、他の1つが前記コネクタ部の周方向他方側の前記側壁部と接続され、
前記ハウジング側固定孔部と前記カバー側固定孔部とのうちの少なくとも一方は、周方向に延びる長孔であり、
前記ハウジング側取付部と前記カバー側取付部とは、互いに軸方向にカシメられて固定され、
前記ハウジング側取付部および前記カバー側取付部におけるカシメられたカシメ部は、上側に突出するモータ。
【請求項2】
前記ハウジング側固定孔部および前記カバー側固定孔部は、前記モータを固定するためのネジが通される孔である、請求項に記載のモータ。
上側に突出するモータ。
【請求項3】
前記ハウジング側固定孔部と前記カバー側固定孔部との両方は、周方向に延びる長孔である、請求項またはに記載のモータ。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記ハウジング筒部の外周面から径方向外側に延びるハウジング側連結部を有し、
前記カバーは、前記カバー筒部の外周面から径方向外側に延びるカバー側連結部と、を有し、
前記ハウジング側連結部は、周方向に延び、かつ、周方向に隣り合う前記ハウジング側取付部同士を連結し、
前記カバー側連結部は、周方向に延び、かつ、周方向に隣り合う前記カバー側取付部同士を連結し、
前記ハウジング側取付部の径方向外側の端部は、前記ハウジング側連結部よりも径方向外側に位置し、
前記カバー側取付部の径方向外側の端部は、前記カバー側連結部よりも径方向外側に位置する、請求項から請求項に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、回転センサを備えたモータが記載されている。例えば、特許文献2には、回転角センサとしてのレゾルバが予めモータケース内に組み込まれたブラシレスモータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2008/117728号
【特許文献2】特開2006−094678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなモータは、例えば、モータの部品を収容するケースを介して他の製品に取り付けられる。ケースは、例えばハウジングとモータカバーとが固定されて構成される。ハウジングとモータカバーとの固定構造としては、例えば、ハウジングとモータカバーとの少なくとも一方をカシメて固定する構造が挙げられる。
【0005】
例えば、特許文献1のモータにおいては、ステータケース(ハウジング)がフランジ(モータカバー)に対してカシメられている。しかし、特許文献1のモータでは、カシメられた爪が軸方向に沿って外側に張り出している。そのため、モータを他の製品に取り付ける際に、爪が製品と干渉して、作業性が低下する虞がある。
【0006】
ところで、上記のような回転センサを備えるモータにおいては、回転センサを位置決めして固定する必要がある。例えば、特許文献2のモータにおいては、ボルトを用いてセンサステータ(回転センサ)を固定している。しかし、センサステータ(回転センサ)の固定構造が、モータケース本体(ハウジング)とエンドプレート(モータカバー)との固定構造とは別に設けられているため、モータの組み立て工数が増加する問題があった。また、センサステータ(回転センサ)の固定構造にボルトを用いているため、ボルトの分だけモータの部品点数が増加して、モータの製造コストが増大する問題があった。
【0007】
本発明の一つの態様は、上記問題点に鑑みて、他の製品に取り付ける際の作業性が低下することを抑制しつつ、回転センサを位置決めでき、かつ、低コストなハウジングとモータカバーとの固定構造を有するモータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の例示的な一実施形態は、上下方向に延びる中心軸を中心とするシャフトを有するロータと、前記シャフトを支持するベアリングと、前記ロータの径方向外側に位置するステータと、前記ステータの上側に位置するバスバーユニットと、前記ロータ、前記ステータ、および前記バスバーユニットを収容するケースと、前記ステータよりも上側に位置し前記シャフトに固定されるセンサマグネットと、前記バスバーユニットに保持され前記センサマグネットと軸方向に対向する回転センサと、を備え、前記シャフトの下側の端部は、前記ケースの外部に突出し、前記ケースは、前記ステータを保持し上側に開口部を有する円筒状のハウジングと、前記ハウジングの上側に取り付けられ、前記ステータの上側を覆うモータカバーと、を有し、前記バスバーユニットは、前記回転センサと電気的に接続されるセンサバスバーと、前記開口部に位置し前記センサバスバーを保持するバスバーホルダと、を有し、前記バスバーホルダは、少なくとも一部が前記開口部の径方向内側に位置する円筒状のホルダ本体部と、前記ホルダ本体部から径方向外側に突出するコネクタ部と、を有し、前記バスバーホルダは、前記ハウジングと前記モータカバーとに軸方向に挟持されて前記ケースに固定され、前記ハウジングは、前記ステータの径方向外側を囲むハウジング筒部と、前記ハウジング筒部の外周面から径方向外側に延びる3つ以上のハウジング側取付部と、を有し、前記ハウジング側取付部は、前記ハウジング側取付部を軸方向に貫通するハウジング側固定孔部を有し、前記モータカバーは、前記ホルダ本体部の上側の端部の径方向外側を囲むカバー筒部と、前記カバー筒部から前記コネクタ部が突出する方向に延びるとともに前記コネクタ部の周方向両側にそれぞれ設けられる側壁部と、前記カバー筒部の外周面から径方向外側に延びるとともに前記カバー側取付部を軸方向に貫通し前記ハウジング側固定孔部と軸方向に重なるカバー側固定孔部を有する3つ以上のカバー側取付部と、を有し、前記カバー側取付部は、3つ以上のうちの1つが前記コネクタ部の周方向一方側の前記側壁部と接続され、他の1つが前記コネクタ部の周方向他方側の前記側壁部と接続され、前記ハウジング側固定孔部と前記カバー側固定孔部とのうちの少なくとも一方は、周方向に延びる長孔であり、前記ハウジング側取付部と前記カバー側取付部とは、互いに軸方向にカシメられて固定され、前記ハウジング側取付部および前記カバー側取付部におけるカシメられたカシメ部は、上側に突出するモータである。
【発明の効果】
【0009】
本願の例示的な一実施形態によれば、他の製品に取り付ける際の作業性が低下することを抑制しつつ、回転センサを位置決めでき、かつ、低コストなハウジングとモータカバーとの固定構造を有するモータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態のモータを示す断面図である。
図2図2は、本実施形態のモータを示す斜視図である。
図3図3は、本実施形態のモータを示す平面図である。
図4図4は、本実施形態のカバーを示す底面図である。
図5図5は、本実施形態の他の一例であるモータを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を、実際の構造における縮尺および数等と異ならせる場合がある。
【0012】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、図1に示す中心軸Jの軸方向と平行な方向とする。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって図1における左右方向とする。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向とする。
【0013】
また、以下の説明においては、中心軸Jの延びる方向(Z軸方向)を上下方向とする。Z軸方向の正の側(+Z側)を「上側」と呼び、Z軸方向の負の側(−Z側)を「下側」と呼ぶ。なお、上下方向、上側および下側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係や方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向(θ方向)、すなわち、中心軸Jの軸周りを単に「周方向」と呼ぶ。
【0014】
なお、本明細書において、軸方向に延びる、とは、厳密に軸方向に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、径方向に延びる、とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0015】
図1から図4は、本実施形態のモータ10を示す図である。図1は、断面図である。図2は、斜視図である。図3は、平面図である。図4は、本実施形態のモータカバー22を示す底面図である。図2においては、バスバーユニット60の図示を省略している。
【0016】
なお、本明細書において、平面図とは、上側から下側に向かって視た図である。本明細書において、底面図とは、下側から上側に向かって視た図である。本明細書において、正面図とは、+X側から−X側に向かって視た図である。
【0017】
本実施形態のモータ10は、ブラシレスモータである。図1に示すように、モータ10は、ケース20と、シャフト31を有するロータ30と、ステータ40と、下側ベアリング(ベアリング)51と、上側ベアリング(ベアリング)52と、制御装置70と、バスバーユニット60と、下側Oリング81と、上側Oリング82と、を有する。
【0018】
[ケース]
ケース20は、ロータ30、ステータ40、およびバスバーユニット60を収容する。ケース20は、ハウジング21と、モータカバー22と、を有する。ハウジング21は、ステータ40と下側ベアリング51とを保持する筒状の部材である。本実施形態においてハウジング21は、両端が開口した多段の円筒形状である。すなわち、ハウジング21は、ステータ40を保持し上側に開口部21eを有する。ハウジング21の材質は、例えば、金属である。
【0019】
(ハウジング)
ハウジング21は、ハウジング筒部21gと、ハウジングフランジ部23と、を有する。ハウジング筒部21gは、ステータ40の径方向外側を囲む。ハウジング筒部21gは、バスバーユニット挿入部21aと、ステータ保持部21bと、下側ベアリング保持部21cと、オイルシール保持部21dと、を有する。バスバーユニット挿入部21aと、ステータ保持部21bと、下側ベアリング保持部21cと、オイルシール保持部21dとは、軸方向(Z軸方向)に沿って、上側(+Z側)から下側(−Z側)へと、この順に位置する。バスバーユニット挿入部21aと、ステータ保持部21bと、下側ベアリング保持部21cと、オイルシール保持部21dとは、それぞれ同心の円筒形状であり、直径はこの順に小さく設定されている。
【0020】
バスバーユニット挿入部21aは、バスバーユニット60の下側(−Z側)の端部を中心軸Jの径方向外側から囲む。すなわち、バスバーユニット60の下側の端部は、ハウジング21の内側に位置する。
【0021】
ステータ保持部21bの内側面は、ステータ40の外側面、すなわち、後述するコアバック部41の外側面に嵌め合わされる。これにより、ハウジング21は、ステータ40を保持する。下側ベアリング保持部21cは、下側ベアリング51を保持する。本実施形態において、下側ベアリング51が、下側ベアリング保持部21cの内側に嵌め合わされる。オイルシール80が、オイルシール保持部21dの内部に保持される。
【0022】
ハウジングフランジ部23は、ハウジング筒部21gの外周面から径方向外側に延びる。本実施形態において、ハウジングフランジ部23は、バスバーユニット挿入部21aの上側(+Z側)の端部から径方向外側に延びる。
【0023】
図3に示すように、ハウジングフランジ部23は、ハウジング側取付部25a,25b,25cと、ハウジング側連結部25d,25e,25fと、を有する。すなわち、ハウジング21は、ハウジング側取付部25a〜25cと、ハウジング側連結部25d〜25fと、を有する。
【0024】
ハウジング側取付部25a〜25cは、ハウジング筒部21gの外周面から径方向外側に延びる。ハウジング側取付部25a〜25cの径方向外側の端部は、ハウジング側連結部25d〜25fよりも径方向外側に位置する。
【0025】
ハウジング側取付部25a〜25cは、周方向に沿って配置される。すなわち、本実施形態においてハウジング21は、ハウジング側取付部を周方向に沿って複数有する。本実施形態においてハウジング側取付部は、ハウジング側取付部25aと、ハウジング側取付部25bと、ハウジング側取付部25cと、の3つ設けられる。すなわち、本実施形態においてハウジング21は、ハウジング側取付部を周方向に沿って3つ以上有する。
【0026】
ハウジング側取付部25aは、ハウジング側固定孔部28aおよびハウジング側カシメ部(カシメ部)28dを有する。ハウジング側取付部25bは、ハウジング側固定孔部28bおよびハウジング側カシメ部(カシメ部)28eを有する。ハウジング側取付部25cは、ハウジング側固定孔部28cおよびハウジング側カシメ部(カシメ部)28fを有する。
【0027】
ハウジング側固定孔部28a〜28cは、ハウジング側取付部25a〜25cを軸方向(Z軸方向)に貫通する。ハウジング側固定孔部28a〜28cには、モータ10を他の製品に固定する固定部材が通される。ハウジング側固定孔部28a〜28cは、例えば、モータ10を固定するためのネジ(固定部材)が通される孔である。本実施形態においてハウジング側固定孔部28a〜28cは、例えば、周方向に延びる長孔である。
【0028】
ハウジング側カシメ部28d〜28fは、後述するカバー側カシメ部29d〜29fと軸方向(Z軸方向)にカシメられる部分である。図1および図2に示すように、ハウジング側取付部25bにおけるカシメられたハウジング側カシメ部28eは、上側に突出する。図1および図2の例では、ハウジング側カシメ部28eの形状は、例えば、円筒状である。ハウジング側カシメ部28d,28fについても同様である。
【0029】
図3に示すように、ハウジング側連結部25d〜25fは、ハウジング筒部21gの外周面から径方向外側に延びる。ハウジング側連結部25d〜25fは、周方向に延びる。ハウジング側連結部25d〜25fは、周方向に隣り合うハウジング側取付部25a〜25c同士を連結する。すなわち、ハウジング側連結部25dは、ハウジング側取付部25aとハウジング側取付部25bとを連結する。ハウジング側連結部25eは、ハウジング側取付部25bとハウジング側取付部25cとを連結する。ハウジング側連結部25fは、ハウジング側取付部25cとハウジング側取付部25aとを連結する。
【0030】
(モータカバー)
図1に示すように、モータカバー22は、ハウジング21の上側に取り付けられる。モータカバー22は、ステータ40の上側を覆う。モータカバー22の材質は、例えば、金属である。モータカバー22は、カバー筒部22aと、蓋部22bと、カバーフランジ部24と、コネクタカバー部27と、を有する。
【0031】
カバー筒部22aは、下側に開口する。カバー筒部22aは、バスバーユニット60、より詳細には後述するバスバーホルダ61のホルダ本体部62の上側の端部の径方向外側を囲む。
【0032】
蓋部22bは、カバー筒部22aの上側の端部と連続する。本実施形態において蓋部22bは、平板状である。蓋部22bは、ホルダ本体部62の上側の開口を閉塞する。蓋部22bの下側のカバー下面22cは、上側Oリング82の全周と接触している。
【0033】
図1および図4に示すように、カバーフランジ部24は、カバー筒部22aの下側の端部から径方向外側に延びる。図4に示すように、カバーフランジ部24は、カバー側取付部26a,26b,26cと、カバー側連結部26d,26eと、を有する。すなわち、モータカバー22は、カバー側取付部26a〜26cと、カバー側連結部26d,26eと、を有する。
【0034】
カバー側取付部26a〜26cは、カバー筒部22aの外周面から径方向外側に延びる。カバー側取付部26a〜26cの径方向外側の端部は、カバー側連結部26d,26eよりも径方向外側に位置する。
【0035】
カバー側取付部26a〜26cは、周方向に沿って配置される。すなわち、本実施形態においてモータカバー22は、カバー側取付部を周方向に沿って複数有する。本実施形態においてカバー側取付部は、カバー側取付部26aと、カバー側取付部26bと、カバー側取付部26cと、の3つ設けられる。すなわち、本実施形態においてモータカバー22は、カバー側取付部を周方向に沿って3つ以上有する。
【0036】
本実施形態によれば、ハウジング側取付部とカバー側取付部とは、それぞれ周方向に沿って複数設けられる。そのため、ハウジング21とモータカバー22とを安定して固定できる。
【0037】
また、本実施形態によれば、ハウジング側取付部とカバー側取付部とは、それぞれ周方向に沿って3つ以上設けられる。そのため、ハウジング21とモータカバー22とをより安定して固定できる。
【0038】
カバー側取付部26aは、カバー側固定孔部29aおよびカバー側カシメ部(カシメ部)29dを有する。カバー側取付部26bは、カバー側固定孔部29bおよびカバー側カシメ部(カシメ部)29eを有する。カバー側取付部26cは、カバー側固定孔部29cおよびカバー側カシメ部(カシメ部)29fを有する。
【0039】
カバー側固定孔部29a〜29cは、カバー側取付部26a〜26cを軸方向(Z軸方向)に貫通する。カバー側固定孔部29a〜29cには、モータ10を他の製品に固定する固定部材が通される。カバー側固定孔部29a〜29cは、例えば、モータ10を固定するためのネジ(固定部材)が通される孔である。
【0040】
カバー側固定孔部29aは、ハウジング側固定孔部28aと軸方向に重なる。カバー側固定孔部29bは、ハウジング側固定孔部28bと軸方向に重なる。カバー側固定孔部29cは、ハウジング側固定孔部28cと軸方向に重なる。換言すると、カバー側固定孔部29aとハウジング側固定孔部28a、カバー側固定孔部29bとハウジング側固定孔部28b、カバー側固定孔部29cとハウジング側固定孔部28cは、平面視において重なる位置にある。
【0041】
上述したように、本実施形態においてハウジング側固定孔部28a〜28cおよびカバー側固定孔部29a〜29cは、モータ10を固定するためのネジが通される孔である。そのため、モータ10を固定するためのネジを、軸方向に重なるカバー側固定孔部29a〜29cとハウジング側固定孔部28a〜28cとの両方に通して、モータ10を固定する他の製品に締め込むことで、モータ10は他の製品に対して強固に固定される。
【0042】
カバー側カシメ部29d〜29fは、ハウジング側カシメ部28d〜28fと軸方向(Z軸方向)にカシメられる部分である。図1および図2に示すように、カバー側取付部26bにおけるカシメられたカバー側カシメ部29eは、上側に突出する。図1および図2の例では、カバー側カシメ部29eの形状は、例えば、円筒状である。カバー側カシメ部29d,29fについても同様である。
【0043】
カバー側連結部26d,26eは、カバー筒部22aの外周面から径方向外側に延びる。カバー側連結部26d,26eは、周方向に延びる。カバー側連結部26d,26eは、周方向に隣り合うカバー側取付部26a〜26c同士を連結する。すなわち、カバー側連結部26dは、カバー側取付部26aとカバー側取付部26bとを連結する。カバー側連結部26eは、カバー側取付部26bとカバー側取付部26cとを連結する。
【0044】
以上に説明したように、各カシメ部と各固定孔部とは、それぞれハウジング側取付部25a〜25cおよびカバー側取付部26a〜26cに設けられる。そして、ハウジング側取付部25a〜25cの径方向外側の端部は、ハウジング側連結部25d〜25fよりも径方向外側に位置し、カバー側取付部26a〜26cの径方向外側の端部は、カバー側連結部26d,26eよりも径方向外側に位置する。すなわち、本実施形態において、各カシメ部と各固定孔部とは、各連結部よりも径方向の寸法が大きい各取付部に設けられる。
【0045】
そのため、ハウジングフランジ部23およびカバーフランジ部24において、各カシメ部および各固定孔部を設けるスペースを確保しやすい。これにより、ハウジング21とモータカバー22とを強固に固定しやすく、かつ、モータ10を他の製品に強固に固定しやすい。一方で、各カシメ部および各固定孔部が設けられない各連結部の径方向の寸法を各取付部の径方向の寸法よりも小さくすることで、ハウジングフランジ部23全体およびカバーフランジ部24全体としては、径方向の寸法を小さくできる。
【0046】
したがって、本実施形態によれば、ハウジング21とモータカバー22とを強固に固定できるとともに、他の製品にモータ10を強固に固定でき、かつ、モータ10を径方向に小型化することが可能である。
【0047】
ハウジング側取付部25a〜25cとカバー側取付部26a〜26cとは、上述したようにハウジング側カシメ部28d〜28fとカバー側カシメ部29d〜29fとが互いに軸方向(Z軸方向)にカシメられて固定される。これにより、ハウジング21とモータカバー22とは、ハウジングフランジ部23とカバーフランジ部24とが重ね合わされて接合される。図2に示すように、モータカバー22とハウジング21とは、ハウジングフランジ部23の上面であるハウジングフランジ上面23aとカバーフランジ部24の下面であるカバーフランジ下面24aとが接触して固定される。
【0048】
図2および図4に示すように、コネクタカバー部27は、カバー筒部22aから後述するコネクタ部63が突出する方向(X軸方向)に延びる。コネクタカバー部27は、側壁部27a,27bと、天板部27cと、を有する。側壁部27a,27bおよび天板部27cは、カバー筒部22aからコネクタ部63が突出する方向(X軸方向)に延びる。天板部27cは、側壁部27aの上側の端部と、側壁部27bの上側の端部とを接続する。天板部27cは、蓋部22bと同一平面上に位置する。
【0049】
図2および図4に示すように、モータカバー22は、モータカバー22の下側の端部から上側に窪むカバー凹部22dを有する。カバー凹部22dは、側壁部27a,27bと、天板部27cと、によって構成される。図4に示すように、カバー凹部22dの内側には、コネクタ部63の一部が位置する。
【0050】
側壁部27a,27bは、コネクタ部63の周方向両側(±θ側)にそれぞれ設けられる。側壁部27aは、コネクタ部63の周方向一方側(−θ側)に位置する。側壁部27bは、コネクタ部63の周方向他方側(+θ側)に位置する。
【0051】
側壁部27aは、カバー側取付部26aと接続される。側壁部27bは、カバー側取付部26cと接続される。すなわち、カバー側取付部26a〜26cのうちの1つ(図4の例ではカバー側取付部26a)は、コネクタ部63の周方向一方側(−θ側)の側壁部27aと接続される。カバー側取付部26a〜26cのうちの他の1つ(図4の例ではカバー側取付部26c)は、コネクタ部63の周方向他方側(+θ側)の側壁部27bと接続される。
【0052】
後述するコネクタ部63は、ケース20の外部に突出しているため、外部から力が加えられやすい。そのため、コネクタ部63の近傍においてハウジング21とモータカバー22とにコネクタ部63を介して力が加えられやすい。そのため、コネクタ部63の近傍においてハウジング21とモータカバー22との固定が不十分な場合、ハウジング21あるいはモータカバー22が変形して、ハウジング21とモータカバー22との軸方向(Z軸方向)の間に隙間が生じる虞があった。
【0053】
これに対して、本実施形態によれば、コネクタ部63の周方向両側に設けられる側壁部27a,27bにそれぞれカバー側取付部26a,26cが接続される。これにより、カバー側取付部26aのカバー側カシメ部29dおよびカバー側取付部26cのカバー側カシメ部29fを、それぞれハウジング側カシメ部28dおよびハウジング側カシメ部28fとカシメることで、コネクタ部63の周方向両側の近傍において、ハウジング21とモータカバー22とを固定することができる。したがって、本実施形態によれば、コネクタ部63の近傍をより強固に固定することができる。その結果、コネクタ部63に外部から力が加えられた場合に、ハウジング21とモータカバー22との軸方向(Z軸方向)の間に隙間が生じることを抑制できる。
【0054】
また、本実施形態によれば、カバー側取付部26a,26cがそれぞれ側壁部27a,27bと接続されることで、カバー側取付部26a,26cの強度を向上させることができる。
【0055】
図1および図2に示すように、ケース20は、外部に開口するケース貫通孔20aを有する。本実施形態においてケース貫通孔20aは、後述するコネクタ部63が通される孔である。ケース貫通孔20aは、ハウジング21とモータカバー22とのうちの少なくとも一方に位置する。本実施形態においてケース貫通孔20aは、径方向外側に開口する。本実施形態においては、モータカバー22とハウジング21とを重ね合わせることによって、ケース貫通孔20aが構成される。具体的には、本実施形態においてケース貫通孔20aは、カバー凹部22dの下側の開口をハウジングフランジ部23で閉じることによって構成される。ケース貫通孔20aの形状は、特に限定されない。図2の例では、ケース貫通孔20aの正面視(YZ面視)形状は、例えば、矩形状である。
【0056】
[ロータ]
図1に示すように、ロータ30は、シャフト31と、ロータコア32と、ロータマグネット33と、を有する。シャフト31は、上下方向(Z軸方向)に延びる中心軸Jを中心とする。シャフト31は、下側ベアリング51と上側ベアリング52とによって、軸周り(±θ方向)に回転可能に支持される。シャフト31の下側(−Z側)の端部は、ハウジング21の外部に突出する。すなわち、本実施形態においては、下側がモータ10の出力側である。オイルシール保持部21dにおいて、オイルシール80は、シャフト31の軸周りに設けられる。
【0057】
ロータコア32は、シャフト31を軸周り(θ方向)に囲んで、シャフト31に固定される。ロータマグネット33は、ロータコア32の軸周りに沿った外側面に固定される。ロータコア32およびロータマグネット33は、シャフト31と一体となって回転する。
【0058】
[ステータ]
ステータ40は、ロータ30の径方向外側に位置する。ステータ40は、ロータ30を軸周り(θ方向)に囲む。ステータ40は、コアバック部41と、ティース部42と、コイル43と、絶縁部材44と、を有する。
【0059】
コアバック部41の形状は、シャフト31と同心の円筒状である。ティース部42は、コアバック部41の内側面からシャフト31に向かって延びる。ティース部42は、複数設けられ、コアバック部41の内側面の周方向に均等な間隔で配置される。
【0060】
コイル43は、導電線43aが巻き回されて構成される。コイル43は、絶縁部材44に設けられる。絶縁部材44は、各ティース部42に装着される。
【0061】
[制御装置]
制御装置70は、モータ10の駆動を制御する。制御装置70は、回路基板71と、回転センサ72と、センサマグネット保持部材73aと、センサマグネット73bと、を備える。すなわち、モータ10は、回路基板71と、回転センサ72と、センサマグネット保持部材73aと、センサマグネット73bと、を備える。
【0062】
回路基板71は、シャフト31の上側の延長上に配置される。回路基板71は、軸方向(Z軸方向)において、上側ベアリング52とモータカバー22との間に位置する。回路基板71の上側の面である回路基板上面71a、および回路基板71の下側の面である回路基板下面71bは、例えば、軸方向(Z軸方向)と直交する。
【0063】
回路基板71は、後述するバスバーホルダ61における複数の回路基板支持部67の上側の端部で支持される。これにより、回路基板71は、バスバーユニット60に保持される。回路基板上面71aおよび回路基板下面71bの少なくとも一方には、図示しないプリント配線が設けられる。回路基板71は、モータ駆動信号を出力する。
【0064】
センサマグネット保持部材73aは、円環状の部材である。センサマグネット保持部材73aは、中央の孔がシャフト31の上側(+Z側)の端部の小径部分に嵌合されることで位置決めされ、シャフト31に取り付けられる。センサマグネット保持部材73aは、シャフト31とともに回転可能である。
【0065】
センサマグネット73bは、円環状であり周方向にN極とS極とが交互に配置される。センサマグネット73bは、センサマグネット保持部材73aの外周面に嵌合される。これにより、センサマグネット73bは、センサマグネット保持部材73aを介してシャフト31に固定される。センサマグネット73bは、ステータ40よりも上側に位置する。また、センサマグネット73bは、上側ベアリング52よりも上側に位置する。
【0066】
回転センサ72は、回路基板71に取り付けられる。そのため、回転センサ72が複数設けられる場合に、回転センサ72を、相対位置精度よく配置しやすい。また、回路基板71に回転センサ72を取り付けた後に、回路基板71をバスバーユニット60に配置するモータ10の組立方法を採用できるため、モータ10の組み立てが容易である。
【0067】
本実施形態において回転センサ72は、回路基板下面71bに取り付けられる。回路基板71は、バスバーユニット60に保持される。そのため、回転センサ72は、バスバーユニット60に保持される。回転センサ72は、センサマグネット73bと軸方向(Z軸方向)に対向する。回転センサ72は、センサマグネット73bの磁束の変化を検出する。回転センサ72は、図示は省略するが、例えば、3つ設けられる。回転センサ72は、例えば、周方向に沿って互いに等間隔に配置される。本実施形態において回転センサ72は、特に限定されず、例えば、ホール素子であってもよいし、レゾルバであってもよい。
【0068】
[バスバーユニット]
バスバーユニット60は、ステータ40に駆動電流を供給するユニットである。バスバーユニット60は、ステータ40の上側に位置する。バスバーユニット60は、バスバーホルダ61と、相用バスバー91と、センサバスバー92と、を有する。
【0069】
(バスバーホルダ)
バスバーホルダ61は、相用バスバー91およびセンサバスバー92を保持する。バスバーホルダ61は、例えば、樹脂製である。バスバーホルダ61は、開口部21eに位置する。バスバーホルダ61の上側は、モータカバー22のカバー筒部22aに挿入される。バスバーホルダ61の下側は、ハウジング21のバスバーユニット挿入部21aに挿入される。バスバーホルダ61は、ホルダ本体部62と、コネクタ部63と、ホルダ底部66と、上側ベアリング保持部65と、複数の回路基板支持部67と、を有する。
【0070】
ホルダ本体部62は、中心軸Jを周方向(θ方向)に囲む円筒状である。ホルダ本体部62の少なくとも一部は、開口部21eの径方向内側に位置する。より詳細には、ホルダ本体部62の下側の端部は、開口部21eに位置する。ホルダ本体部62は、ロータ30の上側の端部およびステータ40の上側の端部を、周方向に囲む。
【0071】
本体部上面62cには、ホルダ本体部62の上側の開口を囲む溝部62fがある。溝部62fには、上側Oリング82が嵌め込まれる。Oリング保持部62eは、ホルダ本体部62の外側面である本体部外側面62dの下側に設けられる。下側Oリング81は、Oリング保持部62eに嵌め込まれて保持される。
【0072】
コネクタ部63は、図示しない外部電源と接続される部分である。コネクタ部63は、ホルダ本体部62から径方向外側(+X側)に突出する。コネクタ部63は、ケース貫通孔20aを介してケース20の外部に突出する。コネクタ部63は、連結部63aと、コネクタ本体部63bと、を有する。連結部63aは、ホルダ本体部62とコネクタ本体部63bとを接続する。連結部63aは、ケース貫通孔20a内に位置する。
【0073】
コネクタ本体部63bは、連結部63aの径方向外側の端部に接続される。本実施形態においてコネクタ本体部63bは、例えば、概略直方体の筒状である。コネクタ本体部63bは、径方向外側に開口する電源用開口部63cを有する。相用バスバー91と、センサバスバー92とは、電源用開口部63cの底面から突出する。コネクタ本体部63bは、ケース20の外部に露出する。
【0074】
図3に示すように、ホルダ底部66は、ホルダ本体部62の内周面から径方向内側に広がる。ホルダ底部66は、ホルダ本体部62と上側ベアリング保持部65とを連結する。ホルダ底部66は、ホルダ底部66を軸方向(Z軸方向)に貫通する底部貫通孔66aを有する。図3の例では、底部貫通孔66aは、例えば、3つ設けられる。底部貫通孔66aは、周方向に沿って並ぶ。
【0075】
図1に示すように、底部貫通孔66aには、ステータ40と相用バスバー91とを接続する接続配線45が通される。図3に示すように、底部貫通孔66aは、周方向に延びる。底部貫通孔66aは、相用バスバー91の後述するコイル接続部93と軸方向(Z軸方向)に重なる。図3の例では、1つの底部貫通孔66aは、2つのコイル接続部93と軸方向に重なる。
【0076】
上側ベアリング保持部65は、ホルダ本体部62の径方向内側に設けられる。上側ベアリング保持部65は、上側ベアリング52を保持する。そのため、バスバーホルダ61をシャフト31周り(±θ方向)に精度よく回転させることができる。これにより、回転センサ72のセンサマグネット73bに対する相対位置を精度よく調整しやすい。
【0077】
回路基板支持部67は、上側ベアリング保持部65の上側の面から上側に突出する。回路基板支持部67は、上側の端部において回路基板71を支持する。
【0078】
ホルダ本体部62は、円筒状であり、円筒状のハウジング21の開口部21eに位置する。そのため、ハウジング21とモータカバー22とを固定する前においては、ホルダ本体部62は、ハウジング21に対して、周方向に回転可能である。すなわち、バスバーユニット60は、ハウジング21に対して、周方向に回転可能である。これにより、バスバーユニット60に保持される回転センサ72を周方向に回転させて、センサマグネット73bおよびステータ40に対する相対位置を調整することが可能である。これにより、回転センサ72によるロータ30の回転位置の検出精度を向上できる。
【0079】
センサマグネット73bおよびステータ40に対する回転センサ72の相対位置の調整においては、バスバーユニット60をケース20に対して周方向に少しずつ移動させて、各位置においてシャフト31を回転させる。そして、回転センサ72によって検出されたセンサマグネット73bの磁束の変化に基づいて、回転センサ72の最適な位置を検出する。シャフト31を回転させる方法としては、例えば、他のモータのシャフトをシャフト31に連結して回転させる方法が挙げられる。
【0080】
本実施形態によれば、ハウジング21とモータカバー22とは、ハウジングフランジ上面23aとカバーフランジ下面24aとが接触して固定される。ハウジングフランジ部23およびカバーフランジ部24は、それぞれ、取付部と、取付部同士を連結する連結部と、を有する。そのため、ハウジングフランジ上面23aとカバーフランジ下面24aとの接触面積を大きくできる。これにより、例えば、回転センサ72の位置調整の際に、バスバーユニット60を回転させると共にモータカバー22を回転させる場合、モータカバー22をハウジング21に対して回転させやすい。
【0081】
また、本実施形態によれば、ハウジング側固定孔部28a〜28cは、周方向に延びる長孔である。すなわち、本実施形態においてハウジング側固定孔部28a〜28cとカバー側固定孔部29a〜29cとのうちの少なくとも一方は、周方向に延びる長孔である。
【0082】
そのため、モータカバー22の周方向位置は、カバー側固定孔部29a〜29cが、長孔であるハウジング側固定孔部28a〜28cと軸方向(Z軸方向)に重なり、固定部材(ネジ)がカバー側固定孔部29a〜29cとハウジング側固定孔部28a〜28cとに通すことができる範囲内で変えることができる。これにより、ハウジング21とモータカバー22との周方向の相対位置の調整幅を大きくできる。したがって、本実施形態によれば、バスバーユニット60の回転調整幅を大きくできるため、回転センサ72の周方向位置の調整幅を大きくできる。その結果、回転センサ72の位置調整をより精度よく行うことができる。
【0083】
バスバーホルダ61は、ハウジング21とモータカバー22とがカシメられて固定されることで、モータカバー22の蓋部22bから上側Oリング82を介して下向きの力が加えられる。これにより、バスバーホルダ61は、ハウジング21とモータカバー22とに軸方向(Z軸方向)に挟持されてケース20に固定される。したがって、ハウジング21とモータカバー22とが固定された状態においては、バスバーホルダ61は周方向に回転しない。
【0084】
すなわち、本実施形態によれば、ハウジング21とモータカバー22とがカシメられて固定されることで、回転センサ72の周方向位置が固定される。そのため、ネジ等の固定部材を用いることなく、回転センサ72の周方向位置を固定できる。これにより、モータ10の部品点数が増加することを抑制でき、組み立て工数および製造コストを低減できる。
【0085】
また、例えば、モータ10を他の製品に取り付ける場合、モータ10の出力側を他の製品側に向けて、ケース20から突出するシャフト31を、例えば他の製品の従動軸に接続する。このとき、ケース20を構成するハウジング21とモータカバー22との固定構造が、他の製品側に突出する、あるいは、径方向に突出すると、固定構造が他の製品と干渉し、モータ10を他の製品に取り付ける際の作業性が低下する虞がある。
【0086】
これに対して、本実施形態によれば、ハウジング21とモータカバー22との固定構造であるハウジング側カシメ部28d〜28fおよびカバー側カシメ部29d〜29fは、軸方向における出力側(−Z側)と逆側、すなわち上側(+Z側)に突出する。そのため、本実施形態によれば、モータ10を他の製品に取り付ける際に、ハウジング側カシメ部28d〜28fおよびカバー側カシメ部29d〜29fが他の製品に干渉することを抑制できる。したがって、本実施形態によれば、モータ10を他の製品に取り付ける際の作業性が低下することを抑制できる。
【0087】
以上のように、本実施形態によれば、他の製品に取り付ける際の作業性が低下することを抑制しつつ、回転センサ72を位置決めでき、かつ、低コストなハウジング21とモータカバー22との固定構造を有するモータ10が得られる。
【0088】
(相用バスバー)
図1に示す相用バスバー91は、ステータ40に電気的に接続され、ステータ40に駆動電流を供給する。相用バスバー91は、複数設けられる。図5の例では、相用バスバー91は、例えば、3つ設けられる。図1に示すように、相用バスバー91の一端は、コネクタ部63の電源用開口部63cの底面から突出して設けられる。この外部に露出した相用バスバー91の一端に外部電源が接続される。
【0089】
図3に示すように、複数の相用バスバー91は、それぞれコイル接続部93を有する。コイル接続部93は、相用バスバー91の他端に設けられる。本実施形態においてコイル接続部93は、1つの相用バスバー91に、例えば、2つずつ設けられる。コイル接続部93は、ホルダ本体部62の内側面から突出して設けられる。
【0090】
図1に示すように、コイル接続部93は、接続配線45を介して、ステータ40のコイル43と電気的に接続される。これにより、相用バスバー91は、ステータ40と電気的に接続される。
【0091】
(センサバスバー)
センサバスバー92は、バスバーホルダ61に、部分的に埋設されて保持される。センサバスバー92は、図示しない外部電源と回路基板71とを電気的に接続する。上述したように回路基板71は、回転センサ72を有する。そのため、センサバスバー92は、回転センサ72と電気的に接続される。
【0092】
図3に示すように、センサバスバー92は、複数設けられる。図3の例では、センサバスバー92は、例えば、6つ設けられる。センサバスバー92の一端は、コネクタ部63の電源用開口部63cの底面から突出して設けられる。この外部に露出したセンサバスバー92の一端に外部電源が接続される。
【0093】
図1および図3に示すように、複数のセンサバスバー92は、それぞれ回路基板接続端子94を有する。回路基板接続端子94は、回路基板71の回路基板上面71aに固定される。これにより、センサバスバー92は、回路基板71と電気的に接続される。
【0094】
モータ10は、コネクタ部63を介して、外部電源に接続される。接続された外部電源は、コネクタ部63が有する電源用開口部63cの底面から突出する相用バスバー91およびセンサバスバー92と電気的に接続される。これにより、相用バスバー91およびセンサバスバー92を介して、ステータ40のコイル43および回転センサ72に駆動電流が供給される。コイル43に供給される駆動電流は、例えば、回転センサ72によって計測されるロータ30の回転位置に応じて制御される。コイル43に駆動電流が供給されると、磁場が発生し、この磁場によってシャフト31を有するロータ30が回転する。このようにして、モータ10は、回転駆動力を得る。
【0095】
なお、本実施形態においては、以下の構成を採用することもできる。以下の説明においては、上記説明と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
【0096】
本実施形態においては、ハウジング側固定孔部28a〜28cとカバー側固定孔部29a〜29cとのうちのカバー側固定孔部29a〜29cのみが、周方向に延びる長孔であってもよい。また、本実施形態においては、図5に示す構成のようにハウジング側固定孔部28a〜28cとカバー側固定孔部29a〜29cとのうちの両方が、周方向に延びる長孔であってもよい。
【0097】
図5は、本実施形態の他の一例であるモータ110を示す平面図である。図5に示すように、モータ110は、ケース120を備える。ケース120は、ハウジング21と、モータカバー122と、を有する。モータカバー122は、カバーフランジ部124を有する。カバーフランジ部124は、カバー側取付部126cと、カバー側連結部26eと、を有する。
【0098】
カバー側取付部126cは、カバー側固定孔部129cが周方向に延びる長孔である点を除いて、図4に示すカバー側取付部26cと同様である。図示は省略するが、この構成においては、他のカバー側取付部が有するカバー側固定孔部も、周方向に延びる長孔である。モータ110のその他の構成は、図1から図4に示すモータ10の構成と同様である。
【0099】
この構成によれば、カバー側固定孔部129cとハウジング側固定孔部28cとが、共に長孔であるため、バスバーユニット60の回転調整幅をより大きくできる。そのため、回転センサ72の周方向位置の調整幅をより大きくでき、回転センサ72の位置調整をより精度よく行いやすい。
【0100】
また、図5に示す固定部材挿通孔120bは、カバー側固定孔部129cとハウジング側固定孔部28cとが平面視で重なる部分である。この構成によれば、モータカバー122がハウジング21に対して周方向にわずかにずれて固定される場合であっても、固定部材挿通孔120bの形状を、図5に示すように周方向に延びる長孔状とできる。そのため、モータ110を他の製品に取り付ける際に、他の製品に対するモータ110の周方向位置を固定部材挿通孔120bの周方向の幅の範囲内で調整できる。これにより、モータ110の他の製品に対する取り付け自由度を向上できる。
【0101】
なお、上記説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0102】
10,110…モータ、20,120…ケース、21…ハウジング、21e…開口部、21g…ハウジング筒部、22,122…モータカバー、22a…カバー筒部、25a,25b,25c…ハウジング側取付部、25d,25e,25f…ハウジング側連結部、26a,26b,26c,126c…カバー側取付部、26d,26e…カバー側連結部、27a,27b…側壁部、28a,28b,28c…ハウジング側固定孔部、28d,28e,28f…ハウジング側カシメ部(カシメ部)、29a,29b,29c,129c…カバー側固定孔部、29d,29e,29f…カバー側カシメ部(カシメ部)、30…ロータ、31…シャフト、40…ステータ、51…下側ベアリング(ベアリング)、52…上側ベアリング(ベアリング)、60…バスバーユニット、61…バスバーホルダ、62…ホルダ本体部、63…コネクタ部、63a…連結部、72…回転センサ、73b…センサマグネット、92…センサバスバー、J…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5