(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、被験者が低血圧であるとき、高齢であるとき、また、測定環境が寒冷であるときなどには、針で穿刺しても、穿刺部位から血液がなかなか出てこない場合がある。その場合、従来の一体型分析装置では、穿刺された指から一旦装置を取り外し、その指を手で揉む、絞るなどして穿刺部位から血液を出し、改めてその血液を装置のバイオセンサに付ける、という操作を行うことになる。このため、採取した血液が汚染されたり、血液中の水分が蒸発して成分が変化したりする可能性が生じて、測定精度が損なわれるという問題がある。
【0005】
そこで、この発明の課題は、生体を針で穿刺して体液を採取し、その採取した体液の成分を測定する一体型の体液成分分析装置であって、生体に装置を沿わせたまま穿刺部位から体液を確実に出させることができ、したがって測定を円滑に精度良く行えるものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明の体液成分分析装置は、
生体を針で穿刺して体液を採取し、その採取した体液の成分を測定する一体型の体液成分分析装置であって、
本体と、
上記本体に対して一定の移動経路で往復移動可能に連結された針ホルダ部材と、
上記針ホルダ部材に着脱可能に取り付けられる穿刺用の針と、
上記本体に着脱可能に取り付けられ、上記針による穿刺部位から出てきた体液の成分を測定するための試験片とを備え、
上記針ホルダ部材の移動経路および上記試験片の体液導入口は、上記本体の周りで上記生体の穿刺部位が配置されるべき特定位置に面しており、
上記本体に対して上記一定の移動経路で往復移動可能に連結され、上記穿刺部位から体液を出すように上記生体の上記穿刺部位と並ぶ部位を押圧する押圧部を備えたことを特徴とする。
【0007】
本明細書で、「一体型」の体液成分分析装置とは、生体を針で穿刺して体液を採取するとともに、その採取した体液の成分を測定する装置を意味する。
【0008】
「穿刺部位」とは、生体の穿刺されるべき部位または穿刺された部位(例えば指の或る点)を指す。
【0009】
「体液」とは、典型的には血液を指すが、血液以外の体液であってもよい。
【0010】
この発明の体液成分分析装置では、上記本体の周りの特定位置に生体の穿刺部位が配置された状態で、上記針ホルダ部材が上記穿刺用の針とともに、上記特定位置へ向けて上記本体に対して一定の移動経路で移動される。これにより、上記生体の上記穿刺部位が上記針で穿刺される。上記試験片の体液導入口は上記特定位置に面しているので、上記穿刺部位から出てきた体液は、上記試験片の体液導入口を通して上記試験片に導入される。これにより、上記体液の成分が測定される。ここで、上記穿刺部位が上記針で穿刺されただけでは上記穿刺部位から体液がなかなか出てこない場合は、ユーザ(典型的には被験者を指すが、被験者のケアを行う医師、看護師などの医療従事者であってもよい。以下同様。)は、上記本体の周りの上記特定位置から上記穿刺部位を取り外すことなく(つまり、生体の穿刺部位近傍に
上記本体を沿わせたまま)、上記押圧部
を、上記本体に対して上記一定の移動経路に沿って上記特定位置へ向けて往復移動させることによって、上記穿刺部位から体液を出すように上記生体の上記穿刺部位と並ぶ部位を押圧する。これにより、上記穿刺部位から体液を確実に出させることができる。
また、上記押圧部が上記特定位置から離れた位置にあるとき、ユーザは、生体の穿刺部位近傍に上記本体を沿わせたまま、上記穿刺部位から体液が出たか否かを、視認できる。上記穿刺部位から出てきた体液は、既述のように、上記試験片の体液導入口を通して上記試験片(のセンサ部)に付着される。したがって、測定を円滑に精度良く行える。
【0011】
なお、測定終了後に上記穿刺用の針は上記針ホルダ部材から取り外され、また、上記試験片は上記本体から取り外され、それぞれ廃棄され得る。
【0012】
一実施形態の体液成分分析装置では、上記押圧部は、上記針ホルダ部材と一体に移動可能に設けられていることを特徴とする。
また、上記本体は、上記試験片によって上記体液の成分を測定するための測定回路と、上記測定回路によって得られた上記体液の成分の測定進度または測定結果を表示する表示器とを備えるのが望ましい。その場合、ユーザは、上記表示器の表示内容を見ることによって、上記体液の成分の測定進度または測定結果を知ることができる。
【0013】
一実施形態の体液成分分析装置では、上記押圧部は、上記針ホルダ部材の上記特定位置側の端面からなることを特徴とする。
【0014】
この一実施形態の体液成分分析装置では、上記押圧部は、上記針ホルダ部材の上記特定位置側の端面からなる。この構成によれば、ユーザは、上記針ホルダ部材を、上記移動経路に沿って上記特定位置へ向けて往復移動させることによって、上記生体の上記穿刺部位と並ぶ部位を繰り返し押圧することができる。また、この構成では、上記押圧部は、余分な部材を追加することなく、簡素かつ安価に実現され得る。
【0015】
一実施形態の体液成分分析装置では、上記針ホルダ部材を、上記本体に対して相対的に上記特定位置から遠ざかる向きに付勢する弾性体を備えたことを特徴とする。
【0016】
この一実施形態の体液成分分析装置では、弾性体は、上記針ホルダ部材を、上記本体に対して相対的に上記特定位置から遠ざかる向きに付勢する。したがって、穿刺後にユーザが上記針ホルダ部材に力を加えるのを止める(または力を緩める)と、上記針ホルダ部材は上記特定位置から離れた位置(初期位置)に復帰して、上記生体の上記穿刺部位およびその近傍は解放される。したがって、上記穿刺部位から体液が出るのを、上記針ホルダ部材が阻害することはない。
【0017】
一実施形態の体液成分分析装置では、上記針ホルダ部材の上記特定位置側の端面は上記針を取り囲む枠状になっていることを特徴とする。
【0018】
この一実施形態の体液成分分析装置では、上記針ホルダ部材の上記特定位置側の端面は上記針を取り囲む枠状になっている。したがって、上記針ホルダ部材が上記生体の上記穿刺部位と並ぶ部位を押圧するとき、上記穿刺部位の周りから上記穿刺部位へ上記生体内の体液を押しやることができる。これにより、上記穿刺部位から体液をさらに確実に出させることができる。
【0019】
一実施形態の体液成分分析装置では、上記針が上記生体の穿刺部位を穿刺した後、上記針ホルダ部材に対して上記針を上記特定位置から遠ざかる向きに後退した状態に保つ機構を備えたことを特徴とする。
【0020】
この一実施形態の体液成分分析装置では、上記機構によって、上記針が上記生体の穿刺部位を穿刺した後、上記針ホルダ部材に対して上記針が上記特定位置から遠ざかる向きに後退した状態に保たれる。したがって、ユーザは、上記針ホルダ部材の端面によって上記穿刺部位から体液を出すように上記生体の上記穿刺部位と並ぶ部位を押圧する際に、穿刺を繰り返さず、押圧だけを繰り返することができる。これにより、被験者に対して無用な痛みを与えることなく、上記穿刺部位から体液を確実に出させることができる。
【0021】
一実施形態の体液成分分析装置では、
上記生体の上記穿刺部位を上記特定位置に位置決めするための位置決め要素を備え、
上記位置決め要素は、上記生体の心臓と上記穿刺部位との間の血液流路以外の部位に対応して
当接するように配置されていることを特徴とする。
【0022】
この一実施形態の体液成分分析装置では、位置決め要素によって、上記生体の上記穿刺部位が上記特定位置に位置決めされる。したがって、ユーザは、目的の上記穿刺部位を上記特定位置に確実に位置させて穿刺できる。また、上記位置決め要素は、上記生体の心臓と上記穿刺部位との間の血液流路以外の部位に対応して
当接するように配置されているので、上記生体の心臓と上記穿刺部位との間の血液流路に当接することがない。したがって、上記穿刺部位から体液が出るのを、上記位置決め要素が阻害することはない。
【0023】
一実施形態の体液成分分析装置では、上記位置決め要素は上記本体に対して着脱可能になっていることを特徴とする。
【0024】
この一実施形態の体液成分分析装置では、上記位置決め要素は上記本体に対して着脱可能になっている。したがって、上記位置決め要素は、上記生体の心臓と上記穿刺部位との間の血液流路に当接しないように、上記本体に対して、上記生体の穿刺されるべき穿刺部位に応じて装着され得る。
【0025】
一実施形態の体液成分分析装置では、上記位置決め要素は、上記穿刺部位よりも末端側に相当する部位に当接する突起を含むことを特徴とする。
【0026】
この一実施形態の体液成分分析装置では、上記位置決め要素は、上記穿刺部位よりも末端側(心臓から遠い側)に相当する部位に当接する突起を含む。この突起によって、上記穿刺部位よりも末端側に相当する部位が圧迫されるので、上記穿刺部位から体液が出るのを助けることができる。
【0027】
一実施形態の体液成分分析装置では、
上記本体は上記生体としての被験者の片手で握られるサイズに設定され、
上記針ホルダ部材は、上記片手の親指によって上記本体に対して上記一定の移動経路に沿って移動されるように配置されていることを特徴とする。
【0028】
この一実施形態の体液成分分析装置では、上記本体は上記生体としての被験者の片手で握られるサイズに設定され、上記針ホルダ部材は、上記片手の親指によって上記本体に対して上記一定の移動経路に沿って移動されるように配置されている。したがって、被験者は、上記本体を片手で握り、その片手の親指によって上記針ホルダ部材を上記本体に対して上記移動経路に沿って移動させることによって、上記穿刺部位を穿刺して体液採取を行うことができる。つまり、体液採取のための操作を片手で済ませることができる。また、一般的に手の親指は他の指に比して力が強いので、被験者は体液採取のための操作を容易に行うことができる。また、万一、上記押圧部により繰り返し押圧しても、どうしても上記穿刺部位から体液が出難いときは、上記本体の周りの特定位置から上記穿刺部位を一旦取り外して、上記穿刺部位の周りを手で揉み、出てきた体液を上記試験片の体液導入口に付けることができる(ただし、そのようにした場合、採取した血液が汚染されたり、血液中の水分が蒸発して成分が変化したりする可能性が生じる。)。
【0029】
一実施形態の体液成分分析装置では、上記本体が片手で握られ、上記針ホルダ部材にその片手の親指が当てられたとき、上記本体の周りの上記特定位置に、上記片手の親指以外の特定の指が配置されるようになっていることを特徴とする。
【0030】
この一実施形態の体液成分分析装置では、上記本体が片手で握られ、上記針ホルダ部材にその片手の親指が当てられた状態で、上記本体の周りの上記特定位置に、上記片手の親指以外の特定の指が配置されるようになっている。したがって、その特定の指の穿刺部位から体液が採取され得る。つまり、被験者は、体液採取を全部片手で済ませることができる。
【0031】
一実施形態の体液成分分析装置では、
上記本体は、上記試験片によって上記体液の成分を測定するための測定回路を備え、
上記本体の外面のうち上記針ホルダ部材が上記親指で押さえられる側の面に、上記測定回路による上記体液の成分の測定進度または測定結果を表示する表示器が配置されていることを特徴とする。
【0032】
この一実施形態の体液成分分析装置では、上記測定回路は、上記試験片によって上記体液の成分を測定する。上記表示器は、上記測定回路による上記体液の成分の測定進度または測定結果を表示する。したがって、ユーザは、上記表示器の表示内容を見ることによって、上記体液の成分の測定進度または測定結果を知ることができる。特に、上記表示器は、上記本体の外面のうち上記針ホルダ部材が上記親指で押さえられる側の面に配置されているので、ユーザとしての被験者は、上記本体を上記片手で握った姿勢で上記表示器の表示内容を容易に見ることができる。
【0033】
一実施形態の体液成分分析装置では、
上記本体に対して着脱可能に又は一体に、この本体を台上に載置するための底部要素を備え、
上記本体が上記底部要素を介して台上に載置されたとき、上記本体の周りで生体の穿刺部位が配置されるべき上記特定位置は、上記台から、この台に置かれた手の特定の指の高さレベルにあることを特徴とする。
【0034】
この一実施形態の体液成分分析装置では、上記本体は底部要素を介して台上に載置される。上記本体が上記底部要素を介して台上に載置されたとき、上記本体の周りで生体の穿刺部位が配置されるべき上記特定位置は、上記台から、この台に置かれた手の特定の指の高さレベルにある。したがって、被験者は、上記台上に手を置き、その手を上記本体に沿わせれば、その手の特定の指(穿刺部位)を上記特定位置に配置することができる。この場合、上記本体と上記手がいずれも上記台によって安定して支持される。したがって、被験者は体液採取のための操作を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0035】
以上より明らかなように、この発明の体液成分分析装置によれば、生体に装置を沿わせたまま穿刺部位から体液を確実に出させることができ、したがって測定を円滑に精度良く行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0038】
(全体構成)
図1、
図2は、この発明の一実施形態の体液成分分析装置(全体を符号1で示す。)をそれぞれ表側、裏側から斜めに見たところを示している。この体液成分分析装置1は、大別して、体液の成分分析のための測定回路を内蔵した本体50と、この本体50に対して一対のアーム71,72で連結された針ホルダ部材80と、生体としての被験者の体液中の特定成分の濃度を測定するために体液が付着される試験片10と、穿刺用の針21(
図2中に示す。)を内蔵したランセットデバイス20とを備えている。試験片10、ランセットデバイス20は、それぞれ本体50のコネクタ部61(
図2中に示す。)、針ホルダ部材80の収容部81に着脱可能に装着されている。この体液成分分析装置1は、生体を針21で穿刺して体液を採取し、その採取した体液の成分を測定する一体型の分析装置として構成されている。体液中の特定成分としては、例えば血糖(グルコース)、コレステロール、乳酸などが挙げられる。理解の容易のために、
図1、
図2(および後述の
図9、
図16(B)、
図17(B)、
図17(B))中にXYZ直交座標を併せて示している。なお、「表」、「裏」、および、後述の「下」、「上」は、専ら説明の便宜のための名称であり、実際に本体50が配置される向きを制限するものではない。
【0039】
本体50のケーシング50Mは、XY平面に沿った略平板状の表部50Aと、下方へ凸状に膨らんだ裏部50Bとを組み合わせて構成されている。表部50AにはLED(発光ダイオード)55Aが配置されている。裏部50BにはLCD(液晶表示素子)55B(
図2中に示す。)が配置されている。
【0040】
ケーシング50Mの
図1における上端(−X側の端部)50Eには、U字状の窪み50Uが設けられている。この窪み50Uは、後述の穿刺時に、針ホルダ部材80の端面81Eが略Z方向に通過するのを許容する。試験片10がコネクタ部61に装着された状態では、この窪み50Uの裏側に試験片10の体液導入口17が配置されている。この例では、本体50の周りで、試験片10の体液導入口17に面した位置(具体的には、体液導入口17から約1mmだけ−X側に離間した位置)が、生体の穿刺部位が配置されるべき特定位置P1になっている。ケーシング50Mの上端50Eのうち窪み50Uの両側の一対の端面には、位置決め要素としての丸棒状の突起110を着脱可能に取り付けるための穴U1,U2が設けられている。表部50Aのうち穴U2の近傍には、左手の指を位置決めすることを表す「L」というマークが付されている。一方、表部50Aのうち−Y側の穴U1の近傍には、右手の指を位置決めすることを表す「R」というマークが付されている。
図1、
図2の例では、突起110は、左手の指を穿刺することを想定して+Y側の穴U2に取り付けられている。これらのマーク「L」、「R」は、突起110を、被験者の心臓と穿刺部位との間の血液流路以外の部位に対応して配置するためのものである(詳しくは、後述する。)。ケーシング50Mの
図1における下端(+X側の端部)50Fには、電源としての電池を収容する電源部50Gが設けられている。
【0041】
図2中に示すように、ケーシング50Mの裏部50Bの上端近傍には、窪み50WがY方向に延在して設けられている。この窪み50Wは、この試験片10がコネクタ部61に装着された状態で、試験片10の体液導入口17に対して生体の穿刺部位が接近して配置されるのを許容する。窪み50Wには、後述の付加的な位置決め要素を嵌合して取り付けるための穴W1,W2が設けられている。
【0042】
本体50のサイズは、生体としての被験者の片手で握られるサイズに設定されている。例えば、本体50のX方向寸法は8cm〜10cm、Y方向寸法は4cm〜5cm、Z方向寸法は2.5cm〜5cm程度に設定されている。
【0043】
図1、
図2に示すように、一対のアーム71,72は、本体50の略中央をY方向に沿って横切る軸70の周りに、矢印Rで示すように回動自在に取り付けられている。アーム71,72の回動範囲は、本体50の側部に設けられた一対の窪み50D1,50D2によって、概ね、
図1中に示す角度位置から、針ホルダ部材80の端面81Eが特定位置P1に達する角度位置までの範囲に規制されている。一対のアーム71,72の先端(軸70から遠い端部)側に、連結板部83,84を介して一体に、ランセットデバイス20を保持する針ホルダ部材80が設けられている。アーム71,72によって、針ホルダ部材80は、本体50に対して一定の移動経路(具体的には、軸70を中心とし、概ねアーム71,72の長さを半径とする経路)で往復移動可能に連結されている。アーム71,72の長さは4cm〜6cm程度に設定されている。
【0044】
ランセットデバイス20は、細長い略直方体状の外形をもつカートリッジタイプの市販品である(その構造、動作については、後述する。)。
【0045】
針ホルダ部材80は、ランセットデバイス20を収容するための収容部81を有している。収容部81は、アーム71,72に対して略垂直な方向に延在している。収容部81の断面は、上方へ開いたコの字の枠状(
図2参照)で、針21を取り囲んでいる。収容部81の特定位置P1側の端面81Eは、生体の穿刺部位と並ぶ部位92,93,96(後述の
図9参照)を押圧する押圧部として働く。この構成では、押圧部が、余分な部材を追加することなく、簡素かつ安価に実現される。
図1、
図2に示すように、収容部81の特定位置P1から遠い側の端面81Fには、複数の凹凸が形成されている。これらの凹凸は、被験者が、ランセットデバイス20を収容した針ホルダ部材80を穿刺部位(特定位置P1)へ向けて押圧する際に、滑り止めのために働く。
【0046】
収容部81の
図1、
図2における下方には、位置調整部材85と、この位置調整部材85を収容部81に対してアーム71,72の延在方向(矢印Aで示す。)にスライドさせるための位置調整ねじ88とが設けられている。この位置調整ねじ88を回転させることによって、位置調整部材85を介して、ランセットデバイス20(したがって、針21)のA方向の位置が調整され得る。これにより、穿刺時に、針21がX方向に関して正確に穿刺部位(特定位置P1)を狙うように調整され得る(なお、Y方向の位置ずれは、あまり問題にならない。)。
【0047】
図2中に示すように、連結板部83,84の裏側には、それぞれ、弾性体としての円錐コイルばね73,74が取り付けられている。これらの円錐コイルばね73,74は本体50の表部50Aに当接して、針ホルダ部材80を、本体50に対して相対的に特定位置P1から遠ざかる向きに付勢する。
【0048】
なお、弾性体は、円錐コイルばね73,74に限られるものではなく、針ホルダ部材80を本体50に対して相対的に特定位置P1から遠ざかる向きに付勢できるものであればよい。弾性体は、針ホルダ部材80と本体50との少なくとも一方に取り付けられているのが望ましい。
【0049】
(試験片の構成)
試験片10は、
図3(A)に示すように、基板11と、スペーサ16と、カバーシート18とを含んでいる。
【0050】
基板11は、この例では絶縁性のプラスチック材料からなり、一方向(
図3(A)におけるX1方向)に細長く延在する矩形の形状を有している。
【0051】
基板11の
図3(A)における上面に、作用極12と対極13との対が、互いに離間して、X1方向に沿って基板11の一方の端部11eから他方の端部11fまで細長く帯状に延在して設けられている。基板11の端部11fの側(+X1側)の領域で、作用極12、対極13の端部12f,13fが第1対の電極端子として露出している。作用極12、対極13のうち第1対の電極端子12f,13f以外の部分は、スペーサ16とカバーシート18とによって覆われている。
【0052】
また、基板11の上面で、作用極12と対極13との間には、後述の抵抗部14につながる配線42,43の対が、互いに離間して、X1方向に沿って細長く帯状に延在して設けられている。基板11の端部11fの側(+X1側)の領域で、配線42,43の端部42f,43fが第2対の電極端子として露出している。配線42,43のうち第2対の電極端子42f,43f以外の部分は、スペーサ16とカバーシート18とによって覆われている。
【0053】
基板11の一方の端部11eの側(−X1側)の領域で、作用極12、対極13の間にまたがって、試薬層からなるセンサ部15が設けられている。この例では、センサ部15は、血糖(グルコース)を測定するために、鉄錯体またはRu錯体に、グルコースデヒドロゲナーゼまたはグルコースオキシダーゼを分散させて構成されているものとする。センサ部15の直上ではスペーサ16が切り欠かれて存在しない。これにより、センサ部15は、スペーサ16の厚さ分だけ離間して、カバーシート18と対向している。スペーサ16が切り欠かれて生じた体液導入口17に血液が接すると、その血液は毛細管現象によってセンサ部15とスペーサ16との間の隙間に引き込まれて、センサ部15に付着される。
【0054】
基板11の略中央に、抵抗部14が設けられている。
図3(B)の等価回路に示すように、抵抗部14は、この試験片10の感度を含む属性情報を表す電気抵抗Rcをもつ。ここで、「属性情報」とは、例えば、試験片10の感度を表す情報や、測定すべき成分に適合する検量線を選択するための情報などを含んでいる。
【0055】
被験者の体液(血液)が試験片10のセンサ部15に付着されていない状態(これを「体液未付着状態」と呼ぶ。)では、センサ部15の電気抵抗は、実質的に無限大である。
【0056】
一方、被験者の血液が試験片10に付着されてセンサ部15に接触した状態(これを「体液付着状態」と呼ぶ。)では、
図3(B)中に示すように、センサ部15は電流源として起電流を生ずる。
【0057】
(本体の測定回路)
図4のブロック図に示すように、本体50のケーシング50M内には、試験片10が挿入されるコネクタ部61と、このコネクタ部61を介して試験片10の出力を検出する出力検出部51と、演算部52とが搭載されている。
【0058】
演算部52は、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)53と、メモリ54とを含んでいる。
【0059】
メモリ54は、この体液成分分析装置1を制御するためのプログラムのデータ、血糖値とセンサ部15の起電流との間の対応関係を表す検量線のデータ、および、測定結果のデータなどを記憶する。この例では、検量線のデータは、試験片10(センサ部15)の感度のバラツキ(つまり、血糖値とセンサ部15の起電流との間の対応関係のバラツキ)に対応できるように、複数種類記憶されている。また、このメモリ54は、プログラムが実行されるときのワークメモリとしても用いられる。
【0060】
CPU(Central Processing Unit)53は、メモリ54に記憶されたプログラムに従って、この体液成分分析装置1を制御する。なお、具体的な制御の仕方については、後述する。
【0061】
表示器55は、演算部52によって制御される既述のLED55Aと、LCD55Bとを含んでいる。この例では、LED55Aは測定進度、LCD55Bは体液中の特定成分の濃度(この例では、血糖値)に関する測定結果、その他の情報を表示するのに用いられる。
【0062】
図5中に示すように、出力検出部51は、具体的には、電源電位V
CCとその電源電位Vccよりも低い電位V
EEとの間に接続された演算増幅器(以下「オペアンプ」と呼ぶ。)68と、このオペアンプ68の反転入力端子(−)と出力端子(出力電圧Voutを出力する端子)との間に接続された帰還抵抗(抵抗値をR2とする。)69と、試験片10の抵抗部14またはセンサ部15に所定の電圧Vinを印加する電源(図示せず)と、第1対の接点62,63と第2対の接点64,65とを切り換えるためのスイッチSW1,SW2とを含んでいる。試験片10の対極13からの出力電流が、試験片10の出力として、オペアンプ68の反転入力端子(−)に入力される。オペアンプ68の非反転入力端子(+)は接地されている。この構成により、出力検出部51は、試験片10の出力(出力電流)に応じた出力電圧Voutを出力する。
【0063】
ここで、試験片10の電気抵抗をR1とすると、オペアンプ68の出力電圧は、一般的に、
Vout=−(R2/R1)×Vin …(1)
として表される。
【0064】
(本体の動作)
次に、
図7の処理フローを用いて、本体50の動作を説明する。
【0065】
i) まず、
図7中のステップS1に示すように、本体50のCPU53は、コネクタ部61に試験片10が装着されたか否かを判断する。
【0066】
この例では、CPU53は、
図5中に示すように出力検出部51のスイッチSW1,SW2が第2対の接点64,65を選択した状態にする。この状態で、CPU53は、コネクタ部61に試験片10が装着されたか否かを、
図5中に示した出力検出部51の出力電圧Voutの変化に基づいて判断する。すなわち、試験片10が未装着であれば、出力検出部51の出力電圧Voutは実質的にゼロであるが、体液未付着状態で試験片10が装着されると、上記式(1)において、R1=Rc(有限値)となることから、出力検出部51の出力電圧Voutは、
Vout=−(R2/Rc)×Vin …(2)
となり、実質的にゼロでない値を示す。CPU53は、この出力電圧Voutの変化に基づいて、コネクタ部61に試験片10が装着されたか否かを判断する(R2、Vinの値、Rcの値の範囲は、既知であるものとする。)。
【0067】
具体的には、出力電圧Voutがとるべき値の範囲は、上記式(2)にしたがって、R2、Vinの値、Rcの値の範囲に応じて定まる。そこで、出力電圧Voutがとるべき値に対して予め下限値V
L、上限値V
Uを設定しておく。そして、この段階で出力電圧Voutが下限値V
Lと上限値V
Uとの間であれば、体液未付着状態で試験片10が装着されたと判断する。出力電圧Voutが下限値V
Lを下回っていれば、試験片10が未装着であると判断する。または、出力電圧Voutが上限値V
Uを超えていれば、何らかの異常が発生したと判断する(この場合、表示器55に異常が発生した旨を表示させる。)。
【0068】
なお、それに代えて、または、それに加えて、試験片10が装着されたことを、この段階で被験者が操作部56(
図4参照)を操作することにより入力するようにしても良い。これにより、CPU53は、体液未付着状態で試験片10が装着されたことを確実に判断することができる。
【0069】
ii) 次に、体液未付着状態で試験片10が本体50に装着されるものとする。これにより、基板11上の作用極12、対極13の電極端子12f,13fと配線42,43の電極端子42f,43f(
図3(A)参照)がそれぞれ
図5中に示すコネクタ部61に設けられた接点62,63,64,65に接触する。この状態で、
図7中のステップS2に示すように、CPU53は、接点64,65と配線42,43とを通して、試験片10の抵抗部14から属性情報を表す電気抵抗Rcを取得する。
【0070】
具体的には、
図5中に示すように、電圧Vinの印加により、基板11上の作用極12、抵抗部14、対極13、帰還抵抗69を介して、電流(これをI
1とする。)が流れる。この状態で、CPU53は、出力検出部51の出力電圧Vout(これをVout1とする。)を検出する。これによって、CPU53は、次式(3)のように試験片10の属性情報(この例では、センサ部15の感度、つまり、表1に例示したような血糖値とセンサ部15の起電流との対応関係)を表す電気抵抗Rcを算出することができる。
【0071】
Rc=−R2×(Vin/Vout1) …(3)
この電気抵抗Rcが表す、血糖値とセンサ部15の起電流との対応関係は、既述のメモリ54(
図4参照)に検量線として記憶されている。
【0072】
iii) 抵抗部14の電気抵抗Rcの取得が完了すると、
図7中のステップS3に示すように、CPU53は、測定準備が完了した旨を表示器55に表示させて、ユーザに報知する。例えば、LCD55Bに、「測定準備が完了しました。試験片に血液を付けてください」と表示させる。それに代えて、または、それに加えて、被験者が試験片10に血液を付けるのを促すように、LED55Aを点滅させてもよいし、
図20に示すように、LCD55Bに、血液を示すマークM1と、試験片を示すマークM2とを表示させてもよい。
【0073】
iv) 次に、
図7中のステップS4に示すように、CPU53は、試験片10に血液が付けられたか否かを判断する。
【0074】
この例では、CPU53は、
図6中に示すように出力検出部51のスイッチSW1,SW2が第1対の接点62,63を選択した状態にする。この状態で、CPU53は、試験片10に血液が付けられたか否かを、出力検出部51の出力電圧Voutの変化に基づいて判断する。すなわち、体液未付着状態では、出力検出部51の出力電圧Voutは実質的にゼロであるが、体液付着状態では、
図6中に示すように、センサ部15は、血液と電気化学反応を起こして、電気特性の変化として起電流(これをI
2とする。)を生ずる。その場合、電圧Vinの印加により、接点62,63と基板11上の作用極12、対極13とを介して、電流I
2が流れる。この体液付着状態で、CPU53は、この電流I
2に応じた出力検出部51の出力電圧Vout(これをVout2とする。)を検出する。CPU53は、この出力電圧VoutのゼロからVout2への変化に基づいて、試験片10に血液が付けられたか否かを判断する。具体的には、この段階で出力電圧Vout2が既述の上限値V
Uを超えたら、試験片10に血液が付けられたと判断する。
【0075】
なお、それに代えて、または、それに加えて、試験片10に血液が付けられたことを、この段階で被験者が操作部56(
図4参照)を操作することにより入力するようにしても良い。これにより、CPU53は、試験片10に血液が付けられたことを確実に判断することができる。
【0076】
v) この体液付着状態で、
図7中のステップS5に示すように、CPU53は、センサ部15の電気特性を求める。具体的には、CPU53は、センサ部15の電気特性として起電流I
2を検出する。
【0077】
vi) 次に、
図7中のステップS7に示すように、CPU53は、体液付着状態でのセンサ部15の起電流I
2と、抵抗部14の電気抵抗Rcが表す試験片10の検量線(メモリ54に記憶されている)とに基づいて、血液中の血糖値を算出する。
【0078】
vii) この後、
図7中のステップS8に示すように、CPU53は、LED55Aを連続点灯させて、測定が完了したことをユーザに報知する。また、算出された血糖値を、LCD55Bに、例えば「血糖値 180mg/dL」のように表示させる。それとともに、CPU53は、その血糖値をメモリ54に記憶させる。メモリ54に記憶された血糖値は、ユーザ(例えば、被験者)が操作部56(
図4参照)を操作することによって、表示器55上に表示させることができる。
【0079】
このようにして、この本体50によれば、試験片10(特に、センサ部15)の感度にバラツキがあったとしても、被験者の血液中の血糖値を正確に測定することできる。
【0080】
(被験者による操作)
図8は、被験者による操作のフローを示している。次に、
図9〜
図14を参照しながら、被験者による血糖値の測定のための操作について説明する。ここで、
図9は、本体50が被験者の片手(この例では、右手90R)で握られた態様を示している。
図10(A)、
図11(A)、
図12(A)、
図13(A)、
図14(A)は、
図9の状態から操作が次第に進むときの縦断面(
図9中のZX平面に沿った断面)を示している。それに並行して、
図10(B)、
図11(B)、
図12(B)、
図13(B)、
図14(B)は、ランセットデバイス20の内部を上方から見たときの動作を示している。
【0081】
図9に示すように、被験者が、例えば右手90Rの人指し指90Iの側面を、穿刺部位91として穿刺するものとする。その場合、被験者は、本体50の「R」というマークが付された穴U1に、予め位置決め要素としての突起110を装着しておく。つまり、突起110を、被験者の心臓と穿刺部位91との間の血液流路以外の部位に対応して配置しておく。
【0082】
図8のステップS11に示すように、被験者は、まず、本体50のコネクタ部61に試験片10を装着するとともに、針ホルダ部材80の収容部81にランセットデバイス20を装着する。続いて、
図9中に示すように、本体50を片手(この例では、右手90R)で握り、針ホルダ部材80の特定位置P1から遠い側の端面81Fに右手90Rの親指90Tを当てる。これとともに、試験片10のセンサ部15(体液導入口17)近傍の特定位置P1に、右手90Rの人指し指90Iの側面を配置する(
図8のステップS12)。人指し指90Iの側面のうち特定位置P1に対応する点が穿刺部位となる。
【0083】
このとき、突起110は、人指し指90Iの穿刺部位91よりも末端側(心臓から遠い側)に相当する部位94に当接する。これにより、突起110が位置決め要素として働いて、人指し指90Iの+Z方向への位置ずれを規制する。この突起110は、被験者の心臓と穿刺部位91との間の血液流路に当接することがない。したがって、後述の穿刺の後、穿刺部位91から血液が出るのを、突起110が阻害することはない。むしろ、この突起110によって、穿刺部位91よりも末端側に相当する部位94が圧迫されるので、穿刺部位91から血液が出るのを助けることができる。
【0084】
また、このとき、針ホルダ部材80の端面81Fに力が殆ど加えられていない状態では、
図10(A)に示すように、本体50の表部50Aに対する円錐コイルばね73,74の反発力によって、ランセットデバイス20の特定位置P1側の一端24eおよび針ホルダ部材80の特定位置P1側の端面81Eは、いずれも人指し指90Iの側面(穿刺部位91)から離れた状態にある。
【0085】
ここで、ランセットデバイス20の構造について説明する。
図10(B)に示すように、ランセットデバイス20はガイド枠部材27を有している。このガイド枠部材27は、長手方向(
図10(B)における横方向)Z1に関して一端27eの側(特定位置P1、すなわち穿刺部位91に面する側)に開口27uを有し、残りの面が囲まれた形状をもつ。ガイド枠部材27の他端27fの側には、長手方向中央へ向かって突起した丸棒状の部分27cが形成されている。
【0086】
ガイド枠部材27内の長手方向Z1に関して略中央には、略直方体状の質量部材22が収容されている。質量部材22の一端22eの側には、穿刺用の針21が取り付けられている。質量部材22の他端22fの側には、丸棒状の部分22cが形成されている。
【0087】
質量部材22の丸棒状の部分22cとガイド枠部材27の丸棒状の部分27cとに、円筒コイルばね23が嵌合して一体に取り付けられている。この
図10(B)では、円筒コイルばね23は、長手方向Z1に関して伸縮しておらず、自然状態にある。
【0088】
ガイド枠部材27の開口27uには、移動部材24が略半分挿入されている。移動部材24は、ガイド枠部材27の長手方向中央へ向かって延在する一対のアーム24a,24a′と、それらのアーム24a,24a′を一体に連結する連結板部24dとを含んでいる。連結板部24dの長手方向Z1に関して一端24eの側は、人指し指90Iのうち穿刺部位91の上方に相当する部位95(
図9参照)に当接し得るように、ガイド枠部材27の外へ張り出している。
【0089】
アーム24a,24a′には、長手方向Z1に関して他端24f,24f′の側に向かって次第に互いの間隔を狭くする傾斜部24b,24b′と、傾斜部24b,24b′によって狭められた間隔を広げる段差部24c,24c′とが形成されている。また、アーム24a,24a′の他端24f,24f′は、ガイド枠部材27の他端27fの側へ向かって広がる向きに傾斜したテーパ面になっている。
【0090】
ガイド枠部材27内の長手方向Z1に関して略中央には、質量部材22を案内し得るように、このガイド枠部材27の側壁27a,27bに沿って長手方向Z1に延在する一対のガイド部28A,28Bが設けられている。ガイド部28A,28Bの長手方向Z1に関して一端28Ae,28Beの側は、ガイド枠部材27の一端27eの側へ向かって狭まる向きに傾斜したテーパ面になっている。
【0091】
側壁27a,27bとそれらに対応するガイド部28A,28Bとの間には、それぞれ、アーム24a,24a′の他端24f,24f′を逃がすための隙間29A,29Bが設けられている。
【0092】
図8に戻って、ステップS13に示すように、被験者は、例えば本体50の表部50Aに配置されたLED55Aが点滅しているのを見て、測定準備が完了していることを確認する。LED55Aは、本体50の外面のうち針ホルダ部材80が親指90Tで押さえられる側の面に配置されているので、ユーザとしての被験者は、本体50を片手で握った姿勢でLED55Aの表示内容を容易に見ることができる。なお、この確認は、ステップS12の前に、本体50の裏部50Bに配置されたLCD55Bの表示(例えば
図20に例示したような表示)を見て行ってもよい。
【0093】
測定準備完了を確認した後、被験者は、親指90Tで針ホルダ部材80を特定位置P1へ向けて押して、人指し指90Iの穿刺部位91を穿刺する(
図8のステップS13)。具体的には、
図11(A)中に矢印Bで示すように、円錐コイルばね73,74の反発力に抗して、親指90Tで針ホルダ部材80を押す。すると、ランセットデバイス20の移動部材24の一端24eが、人指し指90Iのうち穿刺部位91の上方に相当する部位95に当接する。これにより、
図11(B)中に矢印Cで示すように、移動部材24が段差部24c,24c′によって円筒コイルばね23の反発力に抗して質量部材22を押し込みながら、ガイド枠部材27内に入ってゆく。そして、
図11(C)に示すように、移動部材24のアーム24a,24a′の他端24f,24f′がガイド部28A,28Bの一端28Ae,28Beに当接すると、アーム24a,24a′の他端24f,24f′は互いに広がる向きの力を受けて、それぞれ隙間29A,29Bに入る。これにより、移動部材24の段差部24c,24c′が質量部材22の一端22eから外れる。すると、
図12(B)中に矢印Dで示すように、円筒コイルばね23の反発力によって質量部材22が押されて、慣性によって、質量部材22の一端22eが針21とともにガイド枠部材27の外へ出る。これにより、
図12(A)に示すように、針21によって人指し指90Iの側面の穿刺部位91が穿刺される。穿刺された次の瞬間には、
図13(B)中に矢印Eで示すように、円筒コイルばね23の張力によって、質量部材22が針21とともにガイド枠部材27内に引き込まれ、最終的にはガイド枠部材27内の略中央の位置(初期位置)に復帰する。これにより、穿刺後に、
図13(A)に示すように、針ホルダ部材80に対して針21が穿刺部位91(特定位置P1)から遠ざかる向きに後退した状態に保たれる。
【0094】
この後、
図8のステップS14に示すように、被験者は、親指90Tを針ホルダ部材80から離し、測定完了を待つ。このとき、
図14(A)に示すように、本体50の表部50Aに対する円錐コイルばね73,74の反発力によって、ランセットデバイス20の特定位置P1側の一端24eおよび針ホルダ部材80の特定位置P1側の端面81Eは、いずれも人指し指90Iの側面(穿刺部位91)から離れる。したがって、穿刺部位91から体液としての血液99が出るのを針ホルダ部材80が阻害することはない。
【0095】
試験片10の体液導入口17は穿刺部位91(特定位置P1)に面しているので、穿刺部位91から出てきた血液99は、試験片10の体液導入口17を通して試験片10に導入される。これにより、既述の本体50の測定回路によって、血液99の成分が測定される。測定が完了すると、被験者は、本体50の表部50Aに配置されたLED55Aが連続点灯する。これを見て、被験者は、測定が完了したことを確認できる(
図8のステップS15でYES)。
【0096】
一方、穿刺部位91が針21で穿刺されただけでは穿刺部位91から血液99がなかなか出てこない場合は、測定が完了しない(
図8のステップS15でNO)。その場合、被験者は、本体50を片手(この例では、右手90R)で握ったまま、本体50の周りの特定位置P1から人指し指90Iの側面(穿刺部位91)を取り外すことなく(つまり、人指し指90Iの側面に本体50を沿わせたまま)、
図14(A)中に矢印F,F′で示すように、円錐コイルばね73,74の反発力に抗して、親指90Tで押圧部としての針ホルダ部材80を特定位置P1へ向けて往復移動させる。これにより、穿刺部位91から血液99を出すように人指し指90Iの穿刺部位91と並ぶ部位92,93,96(
図9参照)を繰り返し押圧して揉む(
図8のステップS16)。これにより、穿刺部位91から血液99を確実に出させることができる。特に、この例では、針ホルダ部材80の特定位置P1側の端面81Eは針21を取り囲む枠状になっている。したがって、針ホルダ部材80が穿刺部位91と並ぶ部位92,93,96を押圧するとき、穿刺部位91の周りから穿刺部位91へ生体内の血液99を押しやることができる。これにより、穿刺部位91から血液99をさらに確実に出させることができる。
【0097】
なお、この例では、
図9中に示すように、穿刺部位91の横方向(±Y方向)に相当する部位92,93は、針ホルダ部材80の特定位置P1側の端面81Eによって直接押圧される。一方、穿刺部位91の下方に相当する部位96は、試験片10を介して間接的に押圧される。
【0098】
ここで、
図14(A)に示したように繰り返し押圧する途中であっても、穿刺部位91からの出血の様子を見るために、被験者が親指90Tで針ホルダ部材80に力を加えるのを止める(または力を緩める)と、針ホルダ部材80は特定位置P1から離れた位置(初期位置)に復帰して、人指し指90Iの穿刺部位91およびその近傍は解放される。したがって、穿刺部位91から血液99が出るのを、針ホルダ部材80が阻害することはない。また、穿刺後には、
図14(A)、
図14(B)に示すように、針21はガイド枠部材27内に引き込まれ、針ホルダ部材80に対して穿刺部位91(特定位置P1)から遠ざかる向きに後退した状態になっている。したがって、繰り返し押圧する際に、穿刺を繰り返さず、押圧だけを繰り返することができる。これにより、被験者に対して無用な痛みを与えることなく、穿刺部位91から血液99を確実に出させることができる。
【0099】
穿刺部位91から出てきた血液99は、既述のように、試験片10の体液導入口17を通して試験片10(のセンサ部15)に付着される。したがって、測定を円滑に精度良く行える。
【0100】
このようにして、測定が完了すると(
図8のステップS15でYES)、被験者は、本体50の裏部50Bに配置されたLCD55Bを見て、血糖値を確認する(
図8のステップS17)。この後、被験者は、ランセットデバイス20を針ホルダ部材80から取り外し、また、試験片10を本体50から取り外して、それぞれ廃棄する(
図8のステップS18)。
【0101】
上述のように、この体液成分分析装置1では、被験者は、本体50を片手で握り、その片手の親指90Tによって針ホルダ部材80を本体50に対して一定の移動経路に沿って移動させることによって、穿刺部位91を穿刺して血液採取を行うことができる。つまり、血液採取のための操作を片手で済ませることができる。また、一般的に手の親指90Tは他の指に比して力が強いので、被験者は血液採取のための操作を容易に行うことができる。特に、この例では、本体50の周りの特定位置P1に、片手の親指90T以外の特定の指として人指し指90Iが配置されるようになっており、その人指し指90Iの穿刺部位91から血液99が採取される。つまり、被験者は、血液採取を全部片手で済ませることができる。
【0102】
また、万一、針ホルダ部材80により繰り返し押圧しても、どうしても穿刺部位91から血液99が出難いときは、本体50の周りの特定位置P1から穿刺部位91を一旦取り外して、穿刺部位91の周りを手で揉み、出てきた血液99を試験片10の体液導入口17に付けることができる(ただし、そのようにした場合、採取した血液99が汚染されたり、血液99中の水分が蒸発して成分が変化したりする可能性が生じる。)。
【0103】
(変形例1)
上述の例では、
図15(A)中に示すように、表示器55として、本体50の表部50AにLED55Aを配置するとともに、裏部50BにLCD55Bを配置したが、これに限られるものではない。
図15(B)に示すように、LED55Aを省略して、本体50の表部50AにLCD55Bのみを配置してもよい。この場合、LCD55Bは、
図20に例示したような測定進度、および、
図15(B)中に示すような測定結果(この例では、血糖値120mg/dL)、その他の情報を表示する。
【0104】
(変形例2)
上述の例では、本体50の周りの特定位置P1に穿刺部位91を位置決めするための位置決め要素として突起110を設けたが、これに限られるものではない。例えば
図16(A)、
図16(B)中に示すような位置決め機構120を設けてもよい(
図16(A)、
図16(B)はそれぞれ
図1、
図2に対応して表側、裏側を示す図である。)。この位置決め機構120は、本体50の裏部50Bの窪み50Wに沿って配置された固定部材121と、この固定部材121から互いに平行に裏側(−Z方向)へ突出する一対のガイド棒123,124と、これらのガイド棒123,124に沿ってZ方向に摺動可能に取り付けられた背面部材122と、固定部材121と背面部材122とのZ方向に関する間隔を設定するための設定ねじ125とを含んでいる。この位置決め機構120は、固定部材121の一対の突起(図示せず)が
図2中に示した穴W1,W2に嵌合することによって、本体50の裏部50Bに対して着脱可能に取り付けられている。
【0105】
固定部材121の上部には、被験者の手(左手または右手)の人指し指90Iの腹に接すべき2つの半円板状の山121a,121bが形成されている。これらの山121a,121bによって、人指し指90Iの下方向(+X方向)への位置ずれが規制される。人指し指90Iの上方向(−X方向)への位置ずれは、指の構造のおかげで、通常は生じない。この結果、人指し指90IがX方向に関して位置決めされる。
【0106】
背面部材122の上部のうち本体50の裏部50Bに面する側(+Z側)には、+Z方向に隆起するとともに、想定される人指し指90Iの側面(穿刺部位91を含む側面と反対側の側面)に沿って湾曲したエッジ122a,122bが形成されている。
【0107】
設定ねじ125は、背面部材122をZ方向に貫通して、固定部材121の裏側(−Z方向)に切られた雌ねじ(図示せず)に螺合されている。被験者が設定ねじ125を回転させることによって、背面部材122がガイド棒123,124に沿ってZ方向に摺動して、Z方向に関して、背面部材122のエッジ122a,122bの位置(特定位置P1との距離)が設定される。この設定されたエッジ122a,122bが人指し指90Iの穿刺部位91を含む側面と反対側の側面に接することにより、人指し指90Iの−Z方向への位置ずれが規制される。人指し指90Iの+Z方向への位置ずれは、既述の突起110によって規制される。この結果、人指し指90IがZ方向に関して位置決めされる。
【0108】
このように、この位置決め機構120によって、人指し指90IがX方向およびZ方向に関して位置決めされる(なお、Y方向の位置ずれは、あまり問題にならない。)。したがって、被験者は、本体50の周りの特定位置P1に人指し指90Iの穿刺部位91を正しく配置することができる。
【0109】
しかも、この位置決め機構120では、人指し指90Iに接する固定部材121の山121a,121b、背面部材122のエッジ122a,122bは、被験者の心臓と穿刺部位91との間の血液流路以外の部位(人指し指90Iの腹、穿刺部位91を含む側面と反対側の側面)に対応して配置されている。しかも、人指し指90Iに接する面積も比較的少ない。したがって、穿刺部位91から血液99が出るのを、位置決め機構120が阻害することはない。
【0110】
(変形例3)
上述の位置決め機構120に代えて、
図17(A)、
図17(B)中に示すような位置決め機構130を設けてもよい(
図17(A)、
図17(B)はそれぞれ
図1、
図2に対応して表側、裏側を示す図である。)。
【0111】
この位置決め機構130は、本体50の裏部50Bの窪み50Wに沿って配置された固定部材131と、この固定部材131の裏側(−Z側)に取り付けられた背面部材132とを含んでいる。この位置決め機構130は、固定部材131の一対の突起(図示せず)が
図2中に示した穴W1,W2に嵌合することによって、本体50の裏部50Bに対して着脱可能に取り付けられている。
【0112】
固定部材131の上部には、被験者の手(左手または右手)の人指し指90Iの腹に接すべき2つの半円板状の山131a,131bが形成されている。上の例と同様に、これらの山131a,131bによって、人指し指90IがX方向に関して位置決めされる。
【0113】
背面部材132は、円筒部132bと、この円筒部132bの裏側(−Z側)に連なって一体に形成された螺旋部132aとを有している。円筒部132bは、固定部材131の裏側(−Z側)に設けられた丸棒(図示せず)に嵌合して、Z方向に沿った軸133の周りに矢印R1で示すように回動可能に取り付けられている。螺旋部132aがなす斜面(螺旋面)は、軸133に対して略45°の角度で傾斜している。これにより、被験者が背面部材132を軸133の周りに回転させることによって、Z方向に関して、背面部材132の螺旋部132aのうち円筒部132bの上方に来た部分132xの位置(特定位置P1との距離)が設定される。この設定された部分132xが人指し指90Iの穿刺部位91を含む側面と反対側の側面に接することにより、人指し指90Iの−Z方向への位置ずれが規制される。人指し指90Iの+Z方向への位置ずれは、既述の突起110によって規制される。この結果、人指し指90IがZ方向に関して位置決めされる。
【0114】
このように、この位置決め機構130によれば、既述の位置決め機構120と同様に、人指し指90IがX方向およびZ方向に関して位置決めされる(なお、Y方向の位置ずれは、あまり問題にならない。)。したがって、被験者は、本体50の周りの特定位置P1に人指し指90Iの穿刺部位91を正しく配置することができる。
【0115】
しかも、この位置決め機構130を構成する部材131,132の数は2つであるから、位置決め機構130を簡単に構成することができる。
【0116】
(変形例4)
また、人指し指90Iの−Z方向への位置ずれの規制が不要であれば、
図18(A)、
図18(B)中に示すような位置決め部材140を採用してもよい(
図18(A)、
図18(B)はそれぞれ
図1、
図2に対応して表側、裏側を示す図である。)。
【0117】
この位置決め部材140は、上述の位置決め機構120,130における固定部材121,131に相当する部材であり、この位置決め部材140の一対の突起(図示せず)が
図2中に示した穴W1,W2に嵌合することによって、本体50の裏部50Bに対して着脱可能に取り付けられている。
【0118】
位置決め部材140の上部には、被験者の手(左手または右手)の人指し指90Iの腹に接すべき2つの半円板状の山141a,141bが形成されている。上の2つの例と同様に、これらの山141a,141bによって、人指し指90IがX方向に関して位置決めされる。人指し指90Iの+Z方向への位置ずれは、既述の突起110によって規制される。
【0119】
この位置決め部材140によれば、上の2つの例に比して、構成を簡素化できる。
【0120】
(変形例5)
上述の
図9の例では、本体50は片手(のみ)で握って支持される態様について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、例えば、
図19(A)、
図19(B)に示すように、本体50に対して、この本体50を台200上に載置するための底部要素150を設けて、本体50が台200によって支持されるようにしてもよい。
【0121】
この底部要素150は、本体50の裏部50Bに沿って湾曲した受け面150aと、台200に沿った平坦な底面150bとを有している。この底部要素150は、受け面150aに設けられた突起(図示せず)が本体50の裏部50Bに配置されたLCD55B(
図2参照)の窪みに嵌合することによって、本体50に対して着脱可能に取り付けられている。
【0122】
この例では、使用に際して、本体50は、この底部要素150を介して台200上に載置される。本体50の周りで穿刺部位91が配置されるべき特定位置P1は、台200から、この台200に置かれた手の人指し指90Iの高さレベルにある。したがって、被験者は、台200上に手を置き、その手を本体50の周りに沿わせれば、その手の人指し指90Iの側面(穿刺部位91)を特定位置P1に配置することができる。この場合、本体50と手がいずれも台200によって安定して支持される。したがって、被験者は血液99採取のための操作を容易に行うことができる。
【0123】
なお、本体50の表部50AにLCD55Bを配置し、本体50に対して底部要素150を一体に取り付けてもよい。
【0124】
上の例では、押圧部としての針ホルダ部材80の特定位置P1側の端面81Eを、上方に開いたコの字状に構成した。しかしながら、これに限られるものではない。押圧部としての針ホルダ部材80の特定位置P1側の端面81Eを例えば矩形の枠状に構成して、穿刺部位91の四方から穿刺部位91へ生体内の血液99を押しやるようにしてもよい。これにより、穿刺部位91から血液99をさらに確実に出させることができる。
【0125】
また、上の例では、血液中の特定成分として血糖(グルコース)を測定する場合に着目して説明したが、これに限られるものではない。センサ部15の試薬層を公知材料から適切に選択することによって、血液中のコレステロール、乳酸の濃度を測定することもできる。測定対象は、血液以外の体液であってもよい。
【0126】
また、穿刺部位は、手の人指し指の側面としたが、これに限られるものではない。穿刺部位は、人指し指以外の他の指であってもよいし、手のひら、腕などであってもよい。
【0127】
また、メモリ54に記憶されている生体成分測定プログラムを、メモリその他の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(メモリ、ハードデイスクドライブ、光ディスクなど)にエンコードしておき、汎用コンピュータに上述の測定方法を実行させても良い。
【0128】
また、上の例では、体液成分分析装置1をスタンドアローンの装置として構成したが、これに限られるものではない。本体50は、通信部を有していても良い。この通信部は、CPU53による測定結果(血液中の血糖値など)を表す情報を、ネットワークを介して外部の装置に送信したり、外部の装置からの情報を、ネットワークを介して受信して制御部に受け渡したりする。これにより、例えば被験者がネットワークを介して医師のアドバイス等を受けることが可能になる。このネットワークを介した通信は、無線、有線のいずれでも良い。
【0129】
以上の実施形態は例示であり、この発明の範囲から離れることなく様々な変形が可能である。上述した複数の実施の形態は、それぞれ単独で成立し得るものであるが、実施の形態同士の組みあわせも可能である。また、異なる実施の形態の中の種々の特徴も、それぞれ単独で成立し得るものであるが、異なる実施の形態の中の特徴同士の組みあわせも可能である。