特許第6561603号(P6561603)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561603
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04225 20160101AFI20190808BHJP
   H01M 8/0606 20160101ALI20190808BHJP
   H01M 8/06 20160101ALI20190808BHJP
   C01B 3/38 20060101ALI20190808BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20190808BHJP
【FI】
   H01M8/04225
   H01M8/0606
   H01M8/06
   C01B3/38
   !H01M8/12
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-117561(P2015-117561)
(22)【出願日】2015年6月10日
(65)【公開番号】特開2017-4763(P2017-4763A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】後藤 俊介
(72)【発明者】
【氏名】船津 義徳
(72)【発明者】
【氏名】市川 正樹
(72)【発明者】
【氏名】塚田 泰典
(72)【発明者】
【氏名】福島 彰
【審査官】 今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−009036(JP,A)
【文献】 特開2013−187118(JP,A)
【文献】 特開2008−243592(JP,A)
【文献】 特開2014−022232(JP,A)
【文献】 特開2013−239399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04−8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
改質ガスと酸化剤ガスとにより発電する燃料電池と、
改質水から水蒸気を生成する蒸発部と、
供給源から供給される改質用原料と、前記蒸発部から供給される前記水蒸気とから前記改質ガスを生成して前記燃料電池に供給する改質部と、
前記蒸発部および前記改質部と前記燃料電池との間にて、前記燃料電池の燃料極から導出される可燃性ガスを前記酸化剤ガスで燃焼させ、前記蒸発部および前記改質部を加熱する燃焼部と、
熱を発生する発熱部を有し、前記燃焼部に導入された前記可燃性ガスを前記発熱部により加熱することによって点火して、前記燃焼部を着火する加熱装置と、
前記燃焼部に配設され、配設された位置の温度を検出する第一温度センサと、
前記蒸発部および前記改質部の少なくともいずれか一方の内部に配設され、配設された位置の温度を検出する第二温度センサと、
前記燃料電池を少なくとも制御する制御装置と、を備えた燃料電池システムであって、
前記制御装置は、
前記燃料電池システムの起動運転中において、前記燃焼部に前記可燃性ガスを導入させないことにより前記燃焼部を着火せずに前記発熱部によって熱を発生させる非着火発熱部と、
前記非着火発熱部によって前記発熱部が熱を発生しているときに、前記第一温度センサの検出温度に基づいて、前記燃焼部が着火されていない場合における前記第一温度センサの検出温度が上昇する速度である温度上昇速度を算出する温度上昇速度算出部と、
前記燃料電池システムの起動運転中において、前記加熱装置によって前記可燃性ガスの点火が開始された場合、前記温度上昇速度算出部によって算出された前記温度上昇速度に基づいて、前記可燃性ガスの点火が開始された点火開始時点から所定時間経過した時点の前記燃焼部が着火されていない場合における前記第一温度センサの検出温度である非着火温度を推定する温度推定部と、
燃料電池システムの起動運転中において、前記燃焼部が着火されたか否かを判定する着火判定部と、を備え、
前記着火判定部は、
前記点火開始時点から前記所定時間以内に、前記第一温度センサの検出温度が、前記温度推定部によって推定された非着火温度に所定温度を加えた第一判定温度以上となり、前記第二温度センサの検出温度が、判定温度差以上上昇し、かつ、第二判定温度以上となった場合、前記燃焼部が着火されたと判定する燃料電池システム。
【請求項2】
前記蒸発部および前記改質部は、前記燃料電池の上方に配設され、
前記燃焼部は、前記蒸発部を加熱する第一燃焼部および前記改質部を加熱する第二燃焼部を備え、
前記第一温度センサは、前記第一燃焼部および前記第二燃焼部の一方に配設され、
前記第二温度センサは、前記第一燃焼部および前記第二燃焼部の他方によって加熱される前記蒸発部および前記改質部の一方の内部に配設されている請求項1記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記蒸発部および前記改質部は、前記燃料電池の上方に配設され、
前記燃料電池は、前記燃料極を有するセルが積層された二つのスタックを並列に配設させて、電気的に接続することにより形成され、
前記第一温度センサは、二つの前記スタックのうち一方の上方に位置する前記燃焼部に配設され、
前記第二温度センサは、二つの前記スタックのうち他方の上方に配設された前記蒸発部および前記改質部の一方の内部に配設されている請求項1記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムの一形式として、特許文献1に示されているものが知られている。燃料電池システムは、特許文献1の図1に示すように、燃料ガスおよび酸素含有ガスが供給されて発電する燃料電池4a、燃焼用燃料ガス(可燃性ガス)に着火するヒータ7および燃焼領域F(燃焼部)の温度を検知する温度センサ8を備えている。特許文献1の燃料電池システムは、起動運転中において可燃性ガスへのヒータ7による着火動作を行った後、所定の着火判定時間t0以内に、燃焼部の温度が着火前の燃焼部の温度T0から所定温度T1以上上昇した場合に燃焼部が着火されたと判定し、着火判定時間t0以内に燃焼部が着火されたと判定できなければ燃焼部が未着火と判定し、起動処理を継続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−135268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載されている燃料電池システムにおいては、ヒータ7が着火動作を行った場合、燃焼部が未着火である場合においても燃焼部の温度が上昇するため、燃焼部が未着火であるにもかかわらず、燃焼部が着火されたと誤判定するときがある。
【0005】
そこで、本発明は、上述した課題を解消するためになされたもので、燃料電池システムの起動運転中において、燃焼部が着火されたことを確実に判定することができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る燃料電池システムは、改質ガスと酸化剤ガスとにより発電する燃料電池と、改質水から水蒸気を生成する蒸発部と、供給源から供給される改質用原料と、蒸発部から供給される水蒸気とから改質ガスを生成して燃料電池に供給する改質部と、蒸発部および改質部と燃料電池との間にて、燃料電池の燃料極から導出される可燃性ガスを酸化剤ガスで燃焼させ、蒸発部および改質部を加熱する燃焼部と、熱を発生する発熱部を有し、燃焼部に導入された可燃性ガスを発熱部により加熱することによって点火して、燃焼部を着火する加熱装置と、燃焼部に配設され、配設された位置の温度を検出する第一温度センサと、蒸発部および改質部の少なくともいずれか一方の内部に配設され、配設された位置の温度を検出する第二温度センサと、燃料電池を少なくとも制御する制御装置と、を備えた燃料電池システムであって、制御装置は、燃料電池システムの起動運転中において、燃焼部に可燃性ガスを導入させないことにより燃焼部を着火せずに発熱部によって熱を発生させる非着火発熱部と、非着火発熱部によって発熱部が熱を発生しているときに、第一温度センサの検出温度に基づいて、燃焼部が着火されていない場合における第一温度センサの検出温度が上昇する速度である温度上昇速度を算出する温度上昇速度算出部と、燃料電池システムの起動運転中において、加熱装置によって可燃性ガスの点火が開始された場合、温度上昇速度算出部によって算出された温度上昇速度に基づいて、可燃性ガスの点火が開始された点火開始時点から所定時間経過した時点の燃焼部が着火されていない場合における第一温度センサの検出温度である非着火温度を推定する温度推定部と、燃料電池システムの起動運転中において、燃焼部が着火されたか否かを判定する着火判定部と、を備え、着火判定部は、点火開始時点から所定時間以内に、第一温度センサの検出温度が、温度推定部によって推定された非着火温度に所定温度を加えた第一判定温度以上となり、第二温度センサの検出温度が、判定温度差以上上昇し、かつ、第二判定温度以上となった場合、燃焼部が着火されたと判定する。
【発明の効果】
【0007】
これによれば、第一温度センサが燃焼部に配設され、第二温度センサが燃焼部によって加熱される蒸発部および改質部の少なくともいずれか一方の内部に配設され、各温度センサは、それぞれ配設された位置の温度を検出する。そして、着火判定部は、燃料電池システムの起動運転中において、異なる部位に配設された第一温度センサおよび第二温度センサの検出温度に基づいて、燃焼部が着火されたか否かを判定する。したがって、燃焼部が着火されたことを確実に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明による燃料電池システムの第一実施形態を示す概要図である。
図2図1に示す蒸発部および改質部の平面図である。
図3図1に示す燃料電池装置の平面図である。
図4図3に示すIV−IV線に沿った燃料電池装置の断面図である。
図5図1に示す燃料電池システムのブロック図である。
図6図1に示す制御装置で実行されるプログラムのフローチャートである。
図7図6に示すフローチャートにおける燃料電池システムの動作を示すタイムチャートである。
図8】本発明による第二実施形態に係る燃料電池モジュールの概要図である。
図9】本発明による第三実施形態に係る燃料電池モジュールの概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第一実施形態)
以下、本発明による燃料電池システムの第一実施形態について説明する。図1はこの燃料電池システム1の概要を示す概要図である。この燃料電池システム1は、発電ユニット10および貯湯槽21を備えている。
発電ユニット10は、筐体10a、燃料電池モジュール11(30)、熱交換器12、インバータ装置13、水タンク14、制御装置15を備えている。燃料電池モジュール11(30)、熱交換器12、インバータ装置13、水タンク14、制御装置15は、筐体10a内に収容されている。
【0010】
燃料電池モジュール11は、後述するように燃料電池装置34(50)を少なくとも含んで構成されるものである。燃料電池モジュール11は、改質用原料、改質水およびカソードエアが供給されている。具体的には、燃料電池モジュール11は、一端が供給源Gsに接続されて改質用原料が供給される改質用原料供給管11aの他端が接続されている。改質用原料供給管11aは、原料ポンプ11a1が設けられている。さらに、燃料電池モジュール11は、一端が水タンク14に接続されて改質水が供給される水供給管11bの他端が接続されている。水供給管11bは、改質水ポンプ11b1が設けられている。さらに、燃料電池モジュール11は、一端がカソードエアブロワ11c1に接続されてカソードエアが供給されるカソードエア供給管11cの他端が接続されている。
【0011】
熱交換器12は、燃料電池モジュール11から排気される燃焼排ガスが供給されるとともに貯湯槽21からの貯湯水が供給され、燃焼排ガスと貯湯水とが熱交換する熱交換器である。具体的には、貯湯槽21は、貯湯水を貯湯するものであり、貯湯水が循環する(図にて矢印の方向に循環する)貯湯水循環ライン22が接続されている。貯湯水循環ライン22上には、下端から上端に向かって順番に貯湯水循環ポンプ22aおよび熱交換器12が配設されている。
【0012】
熱交換器12は、燃料電池モジュール11からの排気管11dが接続(貫設)されている。熱交換器12は、水タンク14に接続されている凝縮水供給管12aが接続されている。熱交換器12において、燃料電池モジュール11からの燃焼排ガスは、排気管11dを通って熱交換器12内に導入され、貯湯水との間で熱交換が行われ凝縮されるとともに冷却される。凝縮後の燃焼排ガスは排気管11dを通って外部に排出される。また、凝縮された凝縮水は、凝縮水供給管12aを通って水タンク14に供給される。なお、水タンク14は、凝縮水をイオン交換樹脂によって純水化するようになっている。
【0013】
上述した熱交換器12、貯湯槽21および貯湯水循環ライン22から、排熱回収システム20が構成されている。排熱回収システム20は、燃料電池モジュール11の排熱を貯湯水に回収して蓄える。
【0014】
さらに、インバータ装置13は、燃料電池装置34から出力される直流電圧を入力し所定の交流電圧に変換して、交流の系統電源16aおよび外部電力負荷16c(例えば電化製品)に接続されている電源ライン16bに出力する。また、インバータ装置13は、系統電源16aからの交流電圧を電源ライン16bを介して入力し所定の直流電圧に変換して補機(各ポンプ、ブロワなど)や制御装置15に出力する。なお、制御装置15は、補機を駆動して燃料電池システム1の運転を制御する。
【0015】
燃料電池モジュール11(30)は、固体酸化物形の燃料電池モジュールである。燃料電池モジュール30は、ケーシング31、蒸発部32、改質部33、燃料電池装置34および燃焼部35を備えている。なお、本明細書においては説明の便宜上、図1における上側および下側をそれぞれ燃料電池モジュール30の上方および下方とし、同じく左側および右側をそれぞれ燃料電池モジュール30の前方および後方とし、同じく紙面手前側および紙面奥側を、それぞれ燃料電池モジュール30の左方および右方として説明する。また、図2乃至図4図8および図9には、各方向を示す矢印を示している。
【0016】
ケーシング31は、断熱性材料で箱状に形成されている。蒸発部32および改質部33は、燃料電池装置34の上方に位置するように配設されている。
蒸発部32には、改質用原料供給管11aの他端および水供給管11bの他端が接続されている。蒸発部32は、後述する燃焼ガスにより加熱されて、水タンク14から水供給管11bを介して改質水として供給される凝縮水を蒸発させて水蒸気(改質用水蒸気)を生成して導出するものである。また、蒸発部32は、改質用原料供給管11aを介して供給された改質用原料を予熱するものである。そして、蒸発部32は、改質水(凝縮水)を蒸発させて生成された水蒸気(改質用水蒸気)と予熱された改質用原料を混合して改質部33へ導出するものである。改質用原料としては天然ガス、LPGなどの改質用気体燃料、灯油、ガソリン、メタノールなどの改質用液体燃料があり、本実施形態においては天然ガスにて説明する。
【0017】
改質部33は、改質用原料と水蒸気(改質用水蒸気)とから改質ガスを生成するものである。具体的には、改質部33は、後述する燃焼ガスにより加熱されて水蒸気改質反応に必要な熱が供給されることで、蒸発部32から供給された混合ガス(改質用原料、改質用水蒸気)から改質ガスを生成して導出するものである。改質部33内には、触媒(例えば、RuまたはNi系の触媒)が充填されており、混合ガスが触媒によって反応し改質されて水素ガスと一酸化炭素ガスが生成されている(いわゆる水蒸気改質反応)。これと同時に、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水蒸気が反応して、水素ガスと二酸化炭素とに変成するいわゆる一酸化炭素シフト反応が生じている。これら生成されたガス(改質ガス)は燃料電池装置34に導出されるようになっている。改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の天然ガス(メタンガス)、改質に使用されなかった改質水(水蒸気)を含んでいる。なお、水蒸気改質反応は吸熱反応であり、一酸化炭素シフト反応は発熱反応である。
【0018】
上述した蒸発部32および改質部33は、図2に示すように、ハウジング40に形成されている。ハウジング40は、前後方向に沿って延びる第一直方体部40aおよび第二直方体部40b、並びに、直方体部40a,40bを後端部にて連結する連結部40cによって平面U字状に形成されている。ハウジング40は金属製である。金属は、例えば炭素鋼または合金鋼である。ハウジング40は、内部が空洞である断面方形状に形成されている。ハウジング40の内部は、第一直方体部40aの内部に形成された側壁40dにて、2つの部屋41,42に区画されている。2つの部屋41,42は、この順番に直列に配設されており、気体が流通可能に区画されている。第一の部屋41に蒸発部32が形成され、第二の部屋42に改質部33が形成されている。また、第一直方体部40aは、第一スタック51a(後述する)の上方に配設されている。第二直方体部40bは、第二スタック51b(後述する)の上方に配設されている(図2および図4参照)。
【0019】
燃料電池装置34(50)は、図1および図3に示すように、燃料電池51、マニホールド52および電極53を備えている。燃料電池装置50は、電極53を2つ備えている(図3参照)。燃料電池51は、改質ガスと酸化剤ガスとにより発電するものである。酸化剤ガスは、本実施形態において、空気である。本実施形態の燃料電池は、固体酸化物形燃料電池であり、電解質として固体酸化物の一種である酸化ジルコニウムを使用している。燃料電池51の燃料極には、燃料として水素、一酸化炭素、メタンガスなどが供給される。動作温度は400〜1000℃程度である。燃料電池51は、図3に示すように、二つのスタック51a,51b、支持部材51c、電流引出部材51dおよび連結部材51eを備えている。
【0020】
スタック51a,51bは、燃料極、空気極(酸化剤極)、及び両極の間に介装された電解質からなる複数のセル51a1,51b1が、前後方向に沿って積層されて構成されている。セル51a1,51b1の燃料極側には、燃料である改質ガスが流通する燃料流路51a2,51b2が形成されている。セル51a1,51b1の空気極側には、カソードガスである空気(カソードエア)が流通する空気流路51a3,51b3が形成されている。また、2つのスタック51a,51bは、セル51a1,51b1が積層された方向を前後方向とするよう並列に配設されている。
【0021】
支持部材51cは、スタック51a,51bの前端部および後端部にそれぞれ配設され、スタック51a,51bを支持するものである。支持部材51cは、導電性材料によって平板状に形成され、例えば導電性接着剤によってスタック51a,51bの端部に、それぞれ接合されている。
電流引出部材51dは、セル51a1,51b1の発電により生じる電流を引き出すものである。電流引出部材51dは、導電性材料にて、前後方向に延びる板状に形成されている。また、電流引出部材51dは、支持部材51cと一体的に形成されている。
連結部材51eは、導電性材料によって形成され、スタック51a,51bの前端部にそれぞれ設けられた電流引出部材51dを連結するものである。ここで、スタック51a,51bは、スタック51a,51bの同じ側の端部で、極性が逆となるように配設されている。これにより、連結部材51eは、スタック51a,51bを電気的に直列に連結する。
【0022】
燃料電池51は、マニホールド52上に設けられている。マニホールド52には、改質部33からの改質ガスが改質ガス供給管54を介して供給される。燃料流路51a2,51b2は、その下端(一端)がマニホールド52の燃料導出口に接続されており、その燃料導出口から導出される改質ガスが下端から導入され上端から導出されるようになっている。一方、カソードエアは、空気流路51a3,51b3の下端から導入され上端から導出されるようになっている。
【0023】
燃料電池51においては、燃料極に供給された改質ガスと空気極に供給されたカソードガスによって発電が行われる。すなわち、燃料極では、下記化1及び化2に示す反応が生じ、空気極では、下記化3に示す反応が生じている。すなわち、空気極で生成した酸化物イオン(O2−)が、電解質を透過し、燃料極で水素と反応することにより電気エネルギーを発生させている。したがって、燃料流路51a2,51b2及び空気流路51a3,51b3からは、発電に使用されなかった改質ガス及びカソードエアが導出する。燃料電池51によって発電された電力は、インバータ装置13に電極53を介して出力される。電極53は、スタック51a,51bの後端部にそれぞれ設けられた電流引出部材51dに接続されている。
(化1)
+O2−→HO+2e
(化2)
CO+O2−→CO+2e
(化3)
1/2O+2e→O2−
【0024】
燃焼部35は、図1および図4に示すように、蒸発部32および改質部33と燃料電池51との間にて、燃料電池51の燃焼極から導出される可燃性ガスを酸化剤ガスで燃焼させ、蒸発部32および改質部33を加熱するものである。燃焼部35は、可燃性ガスを酸化剤ガスで燃焼させる燃焼空間である。可燃性ガスは、燃えるガスであり、発電に使用されずに燃料流路51a2,51b2から導出した改質ガス(アノードオフガス)である。酸化剤ガスは、発電に使用されずに空気流路51a3,51b3から導出した空気(カソードエア(カソードオフガス))である。燃焼部35では、アノードオフガスが燃焼されて燃焼ガス(火炎36)が発生し、その燃焼ガスによって蒸発部32および改質部33が加熱される。
【0025】
燃焼部35は、第一燃焼部35aおよび第二燃焼部35bを備えている。第一燃焼部35aは、図4に示すように、蒸発部32を内部に有する第一直方体部40aと第一スタック51aとの間に配設されている。これにより、第一燃焼部35aが、改質部33の一部および蒸発部32を加熱する。第二燃焼部35bは、第二直方体部40bと第二スタック51bとの間に配設されている。これにより、第二燃焼部35bが、改質部33の一部を加熱する。さらに、燃焼ガスは、燃料電池モジュール30内を動作温度に加熱している。また、燃焼部35では、アノードオフガスが燃焼されてその燃焼排ガスが発生している。そして、その燃焼排ガスは排気管11dを介して燃料電池モジュール30から排気される。
【0026】
燃焼部35には、図3および図4に示すように、第一点火ヒータ35c(本発明の加熱装置に相当)および第二点火ヒータ35dが設けられている。第一点火ヒータ35cは、第一燃焼部35aに配設されている。具体的には、第一点火ヒータ35cは、第一スタック51aの前端部にて、第一スタック51aと蒸発部32との間に配設されている。また、第二点火ヒータ35dは、第二燃焼部35bに配設されている。具体的には、第二点火ヒータ35dは、第二スタック51bの前端部にて、第二スタック51bと改質部33との間に配設されている。
【0027】
点火ヒータ35c,35dは、熱を発生する発熱部35c1,35d1を有している(図1及び図3参照)。発熱部35c1,35d1は、制御装置15の指示によって交流電流により発熱する抵抗体である。点火ヒータ35c,35dは、燃焼部35に導入された可燃性ガスを発熱部35c1,35d1により加熱することによって点火して、燃焼部35を着火するものである。点火は、対象(アノードオフガス)に火をつけることである。着火は、火が継続してついている状態(燃焼状態)に、対象(燃焼部35)がなっていることである。
【0028】
また、燃料電池モジュール30は、図1乃至図4に示すように、第一温度センサ37および第二温度センサ38をさらに備えている。
第一温度センサ37は、第一燃焼部35aに配設され、配設された位置の温度を検出するものである。第一温度センサ37は、具体的には、第一燃焼部35aにおける第一スタック51aと蒸発部32との間に、燃焼ガス(火炎36)および第一点火ヒータ35cに接触しない位置に配設されている。また、第一温度センサ37は、第一点火ヒータ35cが熱を発生したときに、温度が上昇する位置に配設されている。第一温度センサ37は、その検出結果を制御装置15に送信する。
【0029】
第二温度センサ38は、改質部33の内部に配設され、配設された位置の温度を検出するものである。第二温度センサ38は、具体的には、第二スタック51b(および第二燃焼部35b)の上方に位置する第二直方体部40bに形成された改質部33の内部に配設されている。また、第二温度センサ38は、改質部33の内部において、第二スタック51bの前後方向における中央部の上方に位置するように配設されている。第二温度センサ38は、その検出結果を制御装置15に送信する。
【0030】
制御装置15は、燃料電池51を少なくとも制御するものである。制御装置15は、図5に示すように、上述した各温度センサ37,38、各ポンプ11a1,11b1,22a、カソードエアブロワ11c1、点火ヒータ35c,35dが接続されている。また、制御装置15は、記憶部15a、非着火発熱部15b、温度上昇速度算出部15c、温度推定部15dおよび着火判定部15eを備えている。
【0031】
記憶部15aは、制御プログラムを実行する際に用いられるデータ等を記憶するものである。
非着火発熱部15bは、燃料電池システム1の起動運転中において、燃焼部35に可燃性ガスを導入させないことにより燃焼部35を着火せずに発熱部35c1によって熱を発生させるものである。非着火発熱部15bは、具体的には、供給源Gsから改質用原料を燃料電池モジュール30に供給せずに、すなわち、原料ポンプ11a1をオフにして、第一点火ヒータ35cをオンにする。
【0032】
温度上昇速度算出部15cは、非着火発熱部15bによって発熱部35c1が熱を発生しているときに、第一温度センサ37の検出温度に基づいて、第一燃焼部35aが着火されていない場合における第一温度センサ37の検出温度が上昇する速度である温度上昇速度Vtを算出するものである。温度上昇速度Vtは、非着火発熱部15bによって第一点火ヒータ35cがオンされた時点における第一温度センサ37の検出温度と、その時点から第一所定時間Ts1(例えば1分)経過した時点の第一温度センサ37の検出温度との温度差Thd(図7参照)が、第一所定時間Ts1によって除算されることにより算出される(温度上昇速度Vt=温度差Thd/第一所定時間Ts1)。
【0033】
温度推定部15dは、燃料電池システム1の起動運転中において、点火ヒータ35c,35dによって可燃性ガスの点火が開始された場合、温度上昇速度算出部15cによって算出された温度上昇速度Vtに基づいて、可燃性ガスの点火が開始された点火開始時点Tkから第二所定時間Ts2(本発明の所定時間に相当)経過した時点の燃焼部35が着火されていない場合における第一温度センサ37の検出温度である非着火温度Thnを推定するものである。非着火温度Thnは、点火開始時点Tkの第一温度センサ37の検出温度である第一開始温度Thk1(図7参照)に、温度上昇速度算出部15cによって算出された温度上昇速度Vtと第二所定時間Ts2との積によって算出される温度を加えることにより推定(算出)される(非着火温度Thn=第一開始温度Thk1+(温度上昇速度Vt×第二所定時間Ts2))。第二所定時間Ts2は、例えば5分である。
着火判定部15eは、燃料電池システム1の起動運転中において、燃焼部35が着火されたか否かを判定するものである(後述する)。
【0034】
次に、上述した燃料電池システム1の系統電源16aから送電がある場合の基本的動作の一例について説明する。制御装置15は、スタートスイッチ(図示なし)が押されて運転が開始される場合、または計画運転にしたがって運転が開始される場合には、起動運転を開始する。
【0035】
起動運転が開始されるときは、制御装置15は、補機を作動させる。具体的には、制御装置15は、ポンプ11a1,11b1を作動させ、蒸発部32に改質用原料および改質水の供給を開始する。上述したように、蒸発部32では混合ガスが生成されて、混合ガスは改質部33に供給される。改質部33では、供給された混合ガスから改質ガスが生成されて、改質ガスが燃料電池51に供給される。そして、制御装置15が点火ヒータ35c,35dをオンすることにより、点火ヒータ35c,35dが加熱される。これにより、燃料電池51から導出されたアノードオフガスが点火されて、燃焼部35が着火される。改質部33内部の温度(第二温度センサ38の検出温度)が作動温度以上となれば、起動運転が終了し、発電運転を開始する。本実施形態において、作動温度は、例えば400℃である。
【0036】
発電運転中では、制御装置15は、燃料電池51の発電する電力が、外部電力負荷16cの消費電力となるように補機を制御して、改質用原料およびカソードエア(空気)を燃料電池モジュール30ひいては燃料電池51に供給する。燃料電池51の発電する電力より外部電力負荷16cの消費電力が上回った場合、その不足電力が系統電源16aから受電して補われるようになっている。
【0037】
次に、上述した燃料電池システム1の起動運転中において、燃焼部35が着火されたか否かを判定する着火判定制御について、図6に示すフローチャートに沿って説明する。
起動運転が開始された場合、制御装置15は、ステップS102にて、カウンタiを初期値ゼロに設定する。カウンタiは、点火ヒータ35c,35dがオンされた場合においても、可燃性ガスが点火されずに燃焼部35が着火されない回数をカウントするカウンタである。制御装置15は、ステップS104にて、カソードエアブロワ11c1をオンにする。これにより、燃料電池51への空気の供給が開始される。そして、制御装置15は、ステップS106にて、燃料電池51に改質用原料が供給されていない状態にて第一点火ヒータ35cをオンする(非着火発熱部15b)。
【0038】
制御装置15は、ステップS108にて、第一所定時間Ts1が経過したか否かを確認する。第一所定時間Ts1が経過していない場合、制御装置15は、ステップS108を繰り返し実行する。一方、第一所定時間Ts1が経過した場合、制御装置15は、プログラムをステップS110に進める。
【0039】
制御装置15は、ステップS110にて、温度上昇速度Vtを算出する(温度上昇速度算出部15c)。そして、制御装置15は、ステップS112にて、第一点火ヒータ35cをオンした状態にて、第二点火ヒータ35dをオンするとともに、原料ポンプ11a1をオンして改質用原料の供給を開始する。これにより、可燃性ガスの点火が開始される。さらに、制御装置15は、非着火温度Thnを推定し(ステップS114;温度推定部15d)、点火開始時点Tkの第二温度センサ38の検出温度である第二開始温度Thk2(図7参照)を記憶する(記憶部15a;ステップS116)。
【0040】
制御装置15は、点火開始時点Tkから第二所定時間Ts2以内に燃焼部35が着火されたか否かを判定する(着火判定部15e)。はじめに、制御装置15は、ステップS118にて、点火開始時点Tkから第二所定時間Ts2が経過したか否かを判定する。第二所定時間Ts2が経過していない場合、制御装置15は、ステップS118にて「NO」と判定し、プログラムをステップS120に進める。
【0041】
制御装置15は、ステップS120にて、第一温度センサ37の検出温度(以下、第一検出温度Th1とする。)が、第一判定温度Ht1以上であるか否かを確認する。第一判定温度Ht1は、非着火温度Thnに所定温度Thsを加えた温度(第一判定温度Ht1=非着火温度Thn+所定温度Ths)である。所定温度Thsは、第一判定温度Ht1が非着火温度Thnに対して十分大きい温度(例えば200℃)となるように、実験等により実測されて導出されている。第一スタック51aから第一燃焼部35aに導入される可燃性ガスが、第一点火ヒータ35cにより加熱されても点火されず、第一燃焼部35aが着火されない場合、第一検出温度Th1は、第一判定温度Ht1より低い。この場合、制御装置15は、ステップS120にて「NO」と判定して、プログラムをステップS118に戻し、第二所定時間Ts2が経過するまでステップS118、120を繰り返し実行する。
【0042】
一方、第一スタック51aから第一燃焼部35aに導入される可燃性ガスが、第一点火ヒータ35cによって点火して、第一燃焼部35aが着火された場合、第一検出温度Th1が上昇し、第一検出温度Th1が第一判定温度Ht1以上となる。これにより、制御装置15は、第一燃焼部35aが着火されたと判定する。よって、制御装置15は、ステップS120にて「YES」と判定し、プログラムをステップS122へ進める。
【0043】
制御装置15は、ステップS122にて、第二温度センサ38の検出温度(以下、第二検出温度Th2とする。)が、点火開始時点Tkから判定温度差Htd以上上昇したか否かを判定する。制御装置15は、具体的には、現時点の第二検出温度Th2と第二開始温度Thk2との差が判定温度差Htd以上であるか否かを判定する。判定温度差Htdは、実験等により実測されて導出されている。第二スタック51bから第二燃焼部35bに導入される可燃性ガスが、第二点火ヒータ35dにより加熱されても点火されず、第二燃焼部35bが着火されない場合、改質部33が加熱されないため、第二検出温度Th2の点火開始時点Tkからの上昇温度は、判定温度差Htdより小さい。この場合、制御装置15は、ステップS122にて「NO」と判定して、プログラムをステップS118に戻し、第二所定時間Ts2が経過するまでステップS118〜122を繰り返し実行する。
【0044】
一方、第二スタック51bから第二燃焼部35bに導入される可燃性ガスが、第二点火ヒータ35dによって点火され、第二燃焼部35bが着火された場合、改質部33が加熱される。そして、改質部33内部の温度が上昇して、第二検出温度Th2の点火開始時点Tkからの上昇温度が判定温度差Htd以上となった場合、制御装置15は、ステップS122にて「YES」と判定し、プログラムをステップS124に進める。
【0045】
制御装置15は、ステップS124にて、第二検出温度Th2が第二判定温度Ht2以上であるか否かを確認する。第二判定温度Ht2は、可燃性ガスの自然発火温度より高く、かつ、上述した改質部33の作動温度より低い温度であり、実験等により実測されて導出されている。第二検出温度Th2が点火開始時点Tkから判定温度差Htd以上上昇したときにおいても、例えば第二燃焼部35bの着火が部分的であるとき、第二検出温度Th2が第二判定温度Ht2より低い場合がある。よって、この場合、制御装置15は、ステップS124にて「NO」と判定して、プログラムをステップS118に戻し、第二所定時間Ts2が経過するまでステップS118〜124を繰り返し実行する。
【0046】
一方、例えば第二燃焼部35bが全体的に着火された場合、第二検出温度Th2が第二判定温度Ht2以上となる。これにより、制御装置15は、第二燃焼部35bが着火されたと判定する。よって、制御装置15は、ステップS124にて「YES」と判定する。そして、制御装置15は、第一燃焼部35aおよび第二燃焼部35bが着火されたため、ステップS126にて、点火ヒータ35c,35dをオフにして、起動運転を継続する。
【0047】
また、第一燃焼部35aおよび第二燃焼部35bの少なくともいずれか一方が着火されずに、第二所定時間Ts2経過した場合、制御装置15は、ステップS118にて「YES」と判定し、プログラムをステップS128に進める。制御装置15は、ステップS128にてカウンタiを1UPして、ステップS130にてカウンタiが所定回数nとなったか否かを判定する。所定回数nは、例えば3である。カウンタiが所定回数nでない場合、制御装置15は、ステップS130にて「NO」と判定し、プログラムをステップS114に戻し、可燃性ガスの点火を継続して行う。
【0048】
一方、燃料電池システム1に異常が発生して、燃焼部35が着火されずに、カウンタiが所定回数nとなった場合、制御装置15は、ステップS130にて「YES」と判定する。燃料電池システム1の異常は、例えば、点火ヒータ35c,35dの故障である。そして、制御装置15は、ステップS132にて起動運転を停止する。
【0049】
次に、燃料電池システム1が上述したフローチャートに沿って動作して燃焼部35が着火される場合について、図7に示すタイムチャートを用いて説明する。
燃料電池システム1の起動運転が開始され、第一点火ヒータ35cがオンされたとき(時刻t1;ステップS106)、第一点火ヒータ35cの熱の発生により第一検出温度Th1が上昇する。そして、第一所定時間Ts1が経過したとき(時刻t2;ステップS108)、その時点における温度差Thdに基づいて、温度上昇速度Vtを算出する(ステップS110)。さらに、このとき、制御装置15は、第二点火ヒータ35dおよび原料ポンプ11a1をオンにして可燃性ガスを燃焼部35に導出させることにより可燃性ガスの点火を開始し(時刻t2(点火開始時点Tk);ステップS112)、第一開始温度Thk1および温度上昇速度Vtから非着火温度Thnを推定するとともに(ステップS114)、第二開始温度Thk2を記憶する(ステップS116)。
【0050】
可燃性ガスの点火が開始されてから、燃焼部35が着火していないとき、第一検出温度Th1は、温度上昇速度Vtを維持したまま温度上昇し、第二検出温度Th2は、第二開始温度Thk2を維持する(時刻t2〜t3)。
燃焼部35が着火されたとき(時刻t3)、第一温度センサ37は、第一燃焼部35aに配設されていることにより火炎36と比較的近いため、第一検出温度Th1は、急激に上昇し、第一判定温度Ht1(=非着火温度Thn+所定温度Ths)より高くなる。また、この場合、第二燃焼部35bが改質部33を加熱しているが、第二温度センサ38が改質部33の内部に配設されているため、第二検出温度Th2は、徐々に上昇する。さらに、第二燃焼部35bが改質部33を加熱することにより、第二検出温度Th2と第二開始温度Thk2との温度差が判定温度差Htd以上となり(時刻t4)、第二検出温度Th2が第二判定温度Ht2以上となる(時刻t5)。このとき、点火開始時点Tkから第二所定時間Ts2が経過する時点(時刻t6)より前に、制御装置15は、燃焼部35が着火されたと判定するため(ステップS118〜126)、点火ヒータ35c,35dをオフにする(時刻t5;ステップS128)。
【0051】
一方、可燃性ガスの点火が開始されても、燃焼部35が着火されない場合、第一検出温度Th1は、温度上昇速度Vtを維持したまま温度上昇する(時刻t2以降(時刻t3以降は破線にて示す))。一方、第二検出温度Th2は、第二開始温度Thk2のままである(時刻t2以降(時刻t3以降は破線にて示す))。
【0052】
本第一実施形態によれば、燃料電池システム1は、改質ガスと酸化剤ガスとにより発電する燃料電池51と、改質水から水蒸気を生成する蒸発部32と、供給源Gsから供給される改質用原料と、蒸発部32から供給される水蒸気とから改質ガスを生成して燃料電池51に供給する改質部33と、蒸発部32および改質部33と燃料電池51との間にて、燃料電池51の燃料極から導出される可燃性ガスを酸化剤ガスで燃焼させ、蒸発部32および改質部33を加熱する燃焼部35と、熱を発生する発熱部35c1を有し、燃焼部35に導入された可燃性ガスを発熱部35c1により加熱することによって点火して、燃焼部35を着火する第一点火ヒータ35cと、燃焼部35に配設され、配設された位置の温度を検出する第一温度センサ37と、改質部33の少なくともいずれか一方の内部に配設され、配設された位置の温度を検出する第二温度センサ38と、燃料電池51を少なくとも制御する制御装置15と、を備えている。制御装置15は、燃料電池システム1の起動運転中において、燃焼部35に可燃性ガスを導入させないことにより燃焼部35を着火せずに発熱部35c1によって熱を発生させる非着火発熱部15bと、非着火発熱部15bによって発熱部35c1が熱を発生しているときに、第一温度センサ37の検出温度(第一検出温度Th1)に基づいて、燃焼部35が着火されていない場合における第一検出温度Th1が上昇する速度である温度上昇速度Vtを算出する温度上昇速度算出部15cと、燃料電池システム1の起動運転中において、第一点火ヒータ35cによって可燃性ガスの点火が開始された場合、温度上昇速度算出部15cによって算出された温度上昇速度Vtに基づいて、可燃性ガスの点火が開始された点火開始時点Tkから第二所定時間Ts2経過した時点の燃焼部35が着火されていない場合における第一検出温度Th1である非着火温度Thnを推定する温度推定部15dと、燃料電池システム1の起動運転中において、燃焼部35が着火されたか否かを判定する着火判定部15eと、を備え、着火判定部15eは、点火開始時点Tkから第二所定時間Ts2以内に、第一検出温度Th1が、温度推定部15dによって推定された非着火温度Thnに所定温度Thsを加えた第一判定温度Ht1以上となり、第二温度センサ38の検出温度(第二検出温度Th2)が、判定温度差Htd以上上昇し、かつ、第二判定温度Ht2以上となった場合、燃焼部35が着火されたと判定する。
これによれば、第一温度センサ37が燃焼部35に配設され、第二温度センサ38が燃焼部35によって加熱される改質部33の内部に配設され、各温度センサ37,38は、それぞれ配設された位置の温度を検出する。そして、着火判定部15eは、燃料電池システム1の起動運転中において、異なる部位に配設された第一温度センサ37および第二温度センサ38の検出温度に基づいて、燃焼部35が着火されたか否かを判定する。したがって、燃焼部35が着火されたことを確実に判定することができる。
【0053】
また、燃料電池システム1の起動運転中において、第一点火ヒータ35cによって可燃性ガスの点火が行われているとき、温度推定部15dが、点火開始時点Tkから第二所定時間Ts2経過した時点の燃焼部35が着火していない場合における非着火温度Thnを推定し、着火判定部15eは、温度推定部15dによって導出された非着火温度Thnに所定温度Thsを加えた第一判定温度Ht1に基づいて、第一温度センサ37の検出温度から、燃焼部35が着火されたか否かを判定する。よって、着火判定部15eは、燃焼部35が着火されていない場合における燃焼部35の温度上昇と、燃焼部35が着火されている場合における燃焼部35の温度上昇とを区別して、燃焼部35が着火されたか否かを判定することができる。
また、着火判定部15eは、燃焼部35によって加熱される改質部33の内部に配設された第二温度センサ38の検出温度(第二検出温度Th2)から、燃焼部35が着火されたか否かを判定する。蒸発部32および改質部33は、燃焼部35によって加熱されているため、燃焼部35が着火された場合、蒸発部32および改質部33の内部の温度が上昇する。よって、例えば、点火開始時点Tkから第二所定時間Ts2経過後に、第二検出温度Th2の上昇温度が比較的小さい場合、または、第二検出温度Th2が第二判定温度Ht2より低い場合、着火判定部15eは、燃焼部35が着火されていないと判定することができる。したがって、着火判定部15eは、第一検出温度Th1および第二検出温度Th2から燃焼部35が着火されたか否かを判定するため、燃焼部35の着火を確実に判定することができる。
【0054】
また、制御装置15は、着火判定制御において、第二燃焼部35bが着火されたか否かを判定するために、改質部33の内部に配設された第二温度センサ38の検出温度を用いている。この場合、第二燃焼部35bが部分的に着火していないときは、例えば第二検出温度Th2が第二判定温度Ht2より低くなる。よって、この場合、制御装置15は、第二燃焼部35bが着火していないと判定することができる。したがって、制御装置15は、一つの温度センサで、第二燃焼部35bが部分的に着火していない場合を、燃焼部35が着火していないと判定することができる。換言すれば、制御装置15は、第二燃焼部35bが全体的に着火しているか否かを、一つの温度センサにて判定することができる。さらに、第二温度センサ38は、そもそも改質部33の作動温度を検知するためのものである。すなわち、制御装置15は、着火判定制御において、第二温度センサ38の検出温度を流用している。よって、着火判定制御を行うための温度センサの個数を少なくすることができるため、着火判定制御を低コストにて行うことができる。
【0055】
また、蒸発部32および改質部33は、燃料電池51の上方に配設され、燃料電池51は、燃料極を有するセル51a1,51b1が積層された二つのスタック51a,51bを並列に配設させて、電気的に接続することにより形成され、第一温度センサ37は、二つのスタック51a,51bのうち一方の第一スタック51aの上方に位置する燃焼部35(第一燃焼部35a)に配設され、第二温度センサ38は、二つのスタック51a,51bのうち他方の第二スタック51bの上方に配設された改質部33の内部に配設されている。
これによれば、燃料電池51が二つのスタック51a,51bにより形成されている場合においても、本第一実施形態のように、第一温度センサ37が一方の第一スタック51aの上方に位置する第一燃焼部35aに、第二温度センサ38が他方の第二スタック51bの上方に位置する改質部33の内部に配設される。よって、着火判定部15eは、二つスタック51a,51bそれぞれの上方に位置する燃焼部35の上昇温度に基づいて、燃焼部35が着火されたか否かを判定する。したがって、着火判定部15eは、燃料電池51が二つのスタック51a,51bにより形成されている場合においても、燃焼部35の着火を確実に判定することができる。
【0056】
(第二実施形態)
次に、本発明による燃料電池システム1の第二実施形態について、主として上述した第一実施形態と異なる部分について説明する。上述した第一実施形態において、燃料電池51は、二つのスタック51a,51bにて構成されているが、本第二実施形態においては、図8に示すように、一つのスタック151cにて構成されている。スタック151cは、上述した第一実施形態におけるスタック51a,51bと同様に構成されている。また、本第二実施形態においては、上述した第一実施形態におけるハウジング40に代えて、ハウジング140を備えている。ハウジング140は、前後方向に延びる直方体状に形成され、スタック151cの上方に位置する。ハウジング140は、内部を空洞とする断面方形状に形成されている。ハウジング140の内部は、二つの部屋に流通可能に区画され、前側の第一の部屋141に蒸発部32が配設され、後側の第二の部屋142に改質部33が配設されている。改質ガス供給管154は、改質部33とマニホールド152とを後方にて接続している。
【0057】
また、本第二実施形態における燃焼部135において、第一燃焼部135aは、スタック151cと蒸発部32との間に形成され、蒸発部32のみを加熱する。本第二実施形態における第二燃焼部135bは、スタック151cと改質部33との間に配設され、改質部33のみを加熱する。さらに、燃料電池システム1は、第一点火ヒータ35cのみ備えている。第一点火ヒータ35cは、第一燃焼部135aに配設されている。第一温度センサ37は、第一燃焼部135aに配設されている。第二温度センサ38は、改質部33の内部において、第二燃焼部135bの前後方向における中央部の上方に配設されている。
【0058】
このように構成された燃料電池システム1において、可燃性ガスの点火が開始されて、例えば、第一燃焼部35aが着火されているが、第二燃焼部135bが着火されていない場合、第一検出温度Th1が第一判定温度以上であるが、第二検出温度Th2が例えば第二判定温度Ht2より低くなる。これにより、制御装置15は、燃焼部135が着火されていないと判定することができる(ステップS124)。よって、制御装置15は、燃焼部135の着火が部分的である場合、燃焼部135が着火されていないと判定することができる。したがって、制御装置15は、燃焼部135が全体的に着火されたことを確実に判定することができる。
【0059】
本第二実施形態によれば、第一燃焼部135aと第二燃焼部135bとがスタック151cの上方に形成されている。また、蒸発部32および改質部33は、燃料電池51の上方に配設され、燃焼部135は、蒸発部32を加熱する第一燃焼部135aおよび改質部33を加熱する第二燃焼部135bを備え、第一温度センサ37は、第一燃焼部135aに配設され、第二温度センサ38は、第二燃焼部135bによって加熱される改質部33の内部に配設されている。
これによれば、着火判定部15eは、燃焼部135における異なる部位に位置する第一燃焼部135aおよび第二燃焼部135bそれぞれの上昇温度に基づいて、燃焼部135が着火されたか否かを判定する。よって、制御装置15は、燃焼部135が部分的に着火された場合に、燃焼部135が全体的に着火されていないと判定することができる。したがって、着火判定部15eは、燃焼部135の着火をより確実に判定することができる。
【0060】
(第三実施形態)
次に、本発明による燃料電池システム1の第三実施形態について、主として上述した第一実施形態とことなる部分について説明する。上述した実施形態において、燃料電池モジュール30は、一つの改質部33を備えているが、本第三実施形態においては、図9に示すように、二つの改質部233a,233bを備えている。さらに、本第三実施形態においては、燃料電池モジュール30は、脱硫部239をさらに備えている。
【0061】
また、本第三実施形態においては、燃料電池モジュール30は、上述した第一実施形態のハウジング40に代えて、ハウジング240を備えている。ハウジング240は、上述した第一実施形態のハウジング40と同様に平面U字状形成されているが、連結部240cを平面視において燃料電池51の後方に位置するように形成されている点において、上述した第一実施形態のハウジング40と異なっている。また、ハウジング240の内部は、三つの側壁240d,240e,240fにて、四つの部屋241,242,243,244に区画されている。四つの部屋241,242,243,244は、この順番に直列に配設されており、気体が流通可能に区画されている。第一の部屋241に蒸発部32が形成され、第二の部屋242に第一改質部233aが形成され、第三の部屋に脱硫部239が形成され、第四の部屋に第二改質部233bが形成されている。また、第一の部屋241および第二の部屋242は、第一スタック51aの上方に配設されている。第三の部屋243は、平面視において燃料電池51の後方に位置する。第四の部屋244は、第二スタック51bの上方に配設されている。
【0062】
改質用原料供給管11aから燃料電池モジュール30に供給された改質用原料は、蒸発部32、第一改質部233a、脱硫部239および第二改質部233bを、この順に通って燃料電池51に供給される。なお、改質用原料には、例えば改質用原料が漏れたことを臭いによって感知しやすくするために、付臭剤が添加されている。付臭剤は、有機硫黄化合物であり、例えばターシャリーブチルメルカプタンやジメチルサルファイドである。
【0063】
第一改質部233aは、改質用原料と水蒸気(改質用水蒸気)とから水素を生成するものである。具体的には、第一改質部233aは、燃焼ガスにより加熱されて水蒸気改質反応に必要な熱が供給されることで、蒸発部32から供給された混合ガス(改質用原料、改質用水蒸気)から水素を生成して導出するものである。第一改質部233a内には、触媒(例えば、RuまたはNi系の触媒)が充填されており、混合ガスが触媒によって反応し改質されて水素ガスと一酸化炭素ガスが生成されている(いわゆる水蒸気改質反応)。これと同時に、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水蒸気が反応して、水素ガスと二酸化炭素とに変成するいわゆる一酸化炭素シフト反応が生じている。
【0064】
第一改質部233aの内部温度は、例えば100〜300℃が好ましい。改質触媒は温度が高くなるに従って改質反応率が高くなり生成される水素量が多くなるため、第一改質部233aの内部温度は、所定の改質反応率となるように設定される。所定の改質反応率は、脱硫部239で必要な水素量に相当する値に設定されるのが好ましい。
【0065】
脱硫部239は、改質用原料中の付臭剤(硫黄化合物)を除去して第二改質部233bに供給するものである。脱硫部239内には、脱硫触媒として水添脱硫剤および超高次脱硫剤が収容されている。水添脱硫剤においては、硫黄化合物と第一改質部233aからの水素とが反応して硫化水素が発生する。例えば、水添脱硫剤は、ニッケル−モリブデン系、コバルト−モリブデン系と酸化亜鉛等を組み合わせたものである。超高次脱硫剤としては、例えば銅−亜鉛系脱硫剤、銅−亜鉛−ニッケル系脱硫剤などを用いることができる。超高次脱硫剤は、水添脱硫剤にて硫黄化合物から変換された硫化水素を取り込んで除去する。このような超高次脱硫剤は、200〜300℃(例えば250〜300℃)の高温状態で優れた脱硫作用を発揮する。したがって、脱硫部239は、内部が200〜300℃(例えば250〜300℃)の高温状態となる箇所に配置されている。
【0066】
脱硫部239には、第一改質部233aから導出されるガスに含まれている水素、第一改質部233aから導出されるガスに含まれている未改質の改質用原料が少なくとも供給される。その結果、脱硫部239においては、改質用原料中の硫黄化合物が水素と反応して硫化水素が発生し、その硫化水素が超高次脱硫剤によって除去される。
【0067】
第二改質部233bは、脱硫部239を通過して供給される改質用原料と水蒸気(改質用水蒸気)とから、上述した各実施形態の改質部33と同様に、改質ガスを生成するものである。第二改質部233bの内部温度は、例えば300〜600℃が好ましい。
また、本第三実施形態において、第一温度センサ37は、上述した第一実施形態と同様に、第一燃焼部35aに配設されている。また、第二温度センサ38は、第二改質部233bの内部に配設されている。
【0068】
なお、上述した実施形態において、燃料電池システム1の一例を示したが、本発明はこれに限定されず、他の構成を採用することもできる。例えば上述した第一実施形態において、第二温度センサ38は、第二スタック51bの上方に位置する改質部33の内部に配設されているが、これに代えて、第一スタック51aの上方に位置する蒸発部32または改質部33の内部に配設するようにしても良い。この場合、第一温度センサ37は、二つのスタック51a,51bのうち一方の第二スタック51bの上方に位置する燃焼部35(第二燃焼部35b)に配設され、第二温度センサ38は、二つのスタック51a,51bのうち他方の第一スタック51aの上方に配設された蒸発部32または改質部33の内部に配設されている。すなわち、第一温度センサ37は、二つのスタック51a,51bのうち一方の上方に位置する燃焼部35に配設され、第二温度センサ38は、二つのスタック51a,51bのうち他方の上方に配設された蒸発部32および改質部33の一方の内部に配設されている。
【0069】
また、上述した第二実施形態において、第一温度センサ37が第一燃焼部35aに配設され、第二温度センサ38が改質部33の内部に配設されているが、これに代えて、第一温度センサ37を第二燃焼部35bに配設し、第二温度センサ38を蒸発部32の内部に配設するようにしても良い。このように、第一温度センサ37は、第一燃焼部35aおよび第二燃焼部35bの一方に配設され、第二温度センサ38は、第一燃焼部35aおよび第二燃焼部35bの他方によって加熱される蒸発部32および改質部33の一方の内部に配設されている。
【0070】
また、上述した第三実施形態において、第二温度センサ38が第二改質部233bの内部に配設されているが、これに代えて、第二温度センサ38を第一改質部233aまたは蒸発部32の内部に配設するようにしても良い。この場合、第一温度センサ37を第二燃焼部35bに配設すると良い。
また、上述した各実施形態において、燃料電池モジュール30は、各温度センサ37,38を複数備え、第一温度センサ37が各燃焼部35a,35bに、第二温度センサ38が蒸発部32および改質部33の内部にそれぞれ配設されるようにしても良い。すなわち、第二温度センサ38は、蒸発部32および改質部33の少なくともいずれか一方の内部に配設されている。
【0071】
また、上述した各実施形態の着火判定制御(図6参照)において、蒸発部32に改質水が供給されていないが、これに代えて、着火判定制御において、蒸発部32に改質水を供給するようにしても良い。例えば、図6に示すフローチャートにおいて、ステップS102〜116の間のいずれかの時点にて、蒸発部32に改質水を供給する。これにより、改質部33の内部におけるコーキングの発生を抑制することができる。
【0072】
また、上述した各実施形態において、制御装置15は、着火判定制御によって燃焼部35が着火されたか否かを判定しているが、燃焼部35が吹き消えたか否かを判定する吹き消え判定制御を行うようにしても良い。燃焼部35の吹き消えは、燃焼部35の燃焼状態が終了することである。吹き消え判定制御は、具体的には、燃料電池システム1の起動運転中および発電運転中において、第一検出温度Th1および第二検出温度Th2が第三所定時間継続して第三判定温度以下となった場合、燃焼部35が吹き消えたと判定する。第三所定時間は、例えば1分である。第三判定温度は、例えば50℃である。
【0073】
これによれば、燃料電池51が、二つのスタック51a,51bによって形成されている場合においても、それぞれのスタック51a,51bの上方に位置する燃焼部35が吹き消えたことを検知することができる。さらに、第二温度センサ38が配設されている蒸発部32または改質部33を加熱する燃焼部35については、その燃焼部35が部分的に吹き消えた場合、第二温度センサ38の検出温度(第二検出温度Th2)が低下する。そして、第二検出温度Th2が第三所定時間継続して第三判定温度以下となった場合、燃焼部35が吹き消えたと判定する。よって、燃焼部35が部分的に吹き消えた場合においても、制御装置15は、燃焼部35が吹き消えたことを検知することができる。したがって、制御装置15は、燃焼部35に温度センサを複数配設することなく、燃焼部35の吹き消えを検知することができる。
【0074】
また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各ハウジン部40,140,240の形状、各ハウジン部40,140,240と燃料電池51(スタック51a,51b,151c)との位置関係、蒸発部32および改質部33の配設位置、点火ヒータ35c,35dの配設位置、各温度センサ37,38の配設位置や個数等を変更しても良い。
【符号の説明】
【0075】
1…燃料電池システム、11(30)…燃料電池モジュール、15…制御装置、15b…非着火発熱部、15c…温度上昇速度算出部、15d…温度推定部、15e…着火判定部、32…蒸発部、33…改質部、34(50)…燃料電池装置、35…燃焼部、35a…第一燃焼部、35b…第二燃焼部、35c…第一点火ヒータ、35d…第二点火ヒータ、36…火炎、37…第一温度センサ、38…第二温度センサ、40…ハウジング、51…燃料電池、51a…第一スタック、51b…第二スタック、Ht1…第一判定温度、Ht2…第二判定温度、Htd…判定温度差、Thn…非着火温度、Ths…所定温度、Tk…点火開始時点、Ts1…第一所定時間、Ts2…第二所定時間(所定時間)、Vt…温度上昇速度。
図1
図2
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図9