(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
図1はスイッチング電源の構成例を示す図である。スイッチング電源1は、トランス10、ブリッジ回路11、スイッチング素子12、入力コンデンサC1、ダイオードDs、出力コンデンサC2、抵抗Rdおよび制御装置2を備える。
【0020】
ブリッジ回路11は、AC電圧源a1から出力された交流電圧を整流する。入力コンデンサC1は、整流電圧を平滑化して直流電圧に変換する。
トランス10は、1次巻線L1、2次巻線L2および補助巻線Lauxを含み、1次側で発生したエネルギーを2次側に伝達する。ダイオードDsは、2次巻線L2で発生した電圧を整流する。
【0021】
出力コンデンサC2は、整流電圧を平滑化する。平滑化された電圧は、スイッチング電源1の出力端子に接続されている負荷5に供給される。抵抗Rdは、無負荷時に出力電圧が上昇しすぎないように放電するための抵抗であって、ブリーダ抵抗などと呼ばれるものである。
【0022】
補助巻線Lauxは、2次巻線L2と同じ方向に巻かれた巻線であり、補助巻線Lauxで生じた補助巻線電圧Vauxは、制御装置2に送られる。Cs信号は、スイッチング素子12に流れる1次側電流に相当する電圧であって、同様に制御装置2に送られる。
【0023】
制御装置2は、出力電圧誤差検出部2a、補正量算出部2b、基準電圧生成部2c、制御部2dおよびPWM信号生成部2eを含む。
出力電圧誤差検出部2aは、トランス10の2次巻線L2と同じ巻数の補助巻線Lauxで発生する補助巻線電圧Vauxについて、トランス10の2次側導通期間の開始タイミングから一定時間経過したタイミングで補助巻線電圧をサンプルホールドして出力する。
【0024】
補正量算出部2bは、2次側導通期間に流れる2次側電流Isによって発生する2次側電圧V2から出力電圧端子までの電圧降下分を、2次側導通期間の開始タイミングにおける、1次側に位置するスイッチング素子12に流れる1次側電流Ipにもとづいて算出し、算出結果を出力電圧の目標値に対する補正量として出力する。
【0025】
基準電圧生成部2cは、出力電圧の目標電圧値に補正量に相当する電圧を加算した基準電圧Vrefを生成する。制御部2dは、出力電圧誤差検出部2aから出力された一定時間遅延後の補助巻線電圧と、基準電圧Vrefとの誤差が小さくなるように制御してフィードバック信号(電圧)を生成する。PWM信号生成部2eはフィードバック電圧に応じてPWM信号を生成し、スイッチング素子12のスイッチングを調整し、出力電圧を一定に制御する。
【0026】
次に本発明の技術の詳細を説明する前に、一般的な1次側制御フライバック電源の構成およびその課題について説明する。
図2は1次側制御フライバック電源の構成例を示す図である。1次側制御フライバック電源1aは、ブリッジ回路11、コンデンサC1〜C3、抵抗R1〜R5、Rd、ダイオードD1、Ds、トランス10、スイッチング素子M1および制御IC(Integrated Circuit)200aを備える。制御ICの電源の供給は図示しないが、ブリッジダイオードの高電位側出力端子や補助巻線電圧を整流した出力端子、または外部の電源装置などから電源を供給して使用する。
【0027】
制御ICの電源の供給は図示しないが、ブリッジダイオードの高電位側出力端子や補助巻線電圧を整流した出力端子、または外部の電源装置などから電源を供給して使用する。
なお、スイッチング素子M1には、NMOSトランジスタが使用されている(IGBTや、バイポーラトランジスタでも可)。
【0028】
また、トランス10は、1次巻線L1、2次巻線L2を含み、さらに補助巻線Lauxを有している。
回路素子の接続関係を記すと、ブリッジ回路11の2つの入力端子は、AC電圧入力端子100aに接続する。ブリッジ回路11の正極側出力端子は、コンデンサC1の正極側端子、抵抗R2の一方の端子、コンデンサC3の一端およびトランス10の1次巻線L1の一端に接続する。
【0029】
ブリッジ回路11の負極側出力端子は、コンデンサC1の負極側端子とグランド(以下、GNDと表記)に接続する。抵抗R2の他端は、コンデンサC3の他端および抵抗R1の一端に接続する。
【0030】
抵抗R1の他端は、ダイオードD1のカソードに接続し、ダイオードD1のアノードは、1次巻線L1の他端、スイッチング素子M1のドレインに接続する。なお、R1、R2、C3、D1で形成されるスナバ回路はこの構成に限定するものではない。
【0031】
トランス10の補助巻線Lauxの一端は、抵抗R3の一端に接続し、補助巻線Lauxの他端は、GNDに接続する。制御IC200aの端子Vsは、抵抗R3の他端と、抵抗R4の一端と接続し、抵抗R4の他端は、GNDに接続する。
【0032】
制御IC200aの端子Csは、スイッチング素子M1のソースおよび抵抗R5の一端に接続し、抵抗R5の他端は、GNDに接続する。制御IC200aの端子Vpwmは、スイッチング素子M1のゲートに接続し、制御IC200aのGND端子は、GNDに接続する。
【0033】
トランス10の2次巻線L2の一端は、ダイオードDsのアノードに接続し、ダイオードDsのカソードは、コンデンサC2の一端、抵抗Rdの一端およびDC電圧出力端子100bの一方の端子に接続する。
【0034】
2次巻線L2の他端は、コンデンサC2の他端、抵抗Rdの他端およびDC電圧出力端子100bの他方の端子およびGNDに接続する。なお、DC電圧出力端子100bの2つの端子には、接地された負荷5が接続される。
【0035】
ここで、ブリッジ回路11は、AC電圧入力端子100aから入力された交流電圧を整流する。コンデンサC1は、整流電圧を平滑化して直流電圧に変換し、1次巻線L1には電圧V1が生じる。
【0036】
2次側に配置されたダイオードDsは、2次巻線L2で発生した電圧V2を整流する。コンデンサC2は、整流電圧を平滑化し、平滑化後の電圧は、負荷5に供給される。抵抗Rdは、無負荷時に出力電圧が上昇しすぎないように放電するための抵抗であって、ブリーダ抵抗などと呼ばれるものである。
【0037】
また、1次巻線L1に発生する電圧V1と、2次巻線L2に発生する電圧V2とは逆極性であり、補助巻線Lauxに発生する電圧Vauxと、2次巻線L2に発生する電圧V2とは同極性である。
【0038】
動作について説明する。1次側制御フライバック電源1aでは、2次巻線L2と同じ方向に巻かれ、1次側のGNDに接地した補助巻線Lauxを有しており、補助巻線Lauxの両端電圧(またはその分圧電圧)が、制御IC200aの出力電圧検出端子Vsに送られる。
【0039】
制御IC200aは、出力電圧の設定値となる基準電圧の発生機能を内蔵しており、基準電圧と、補助巻線Lauxを通じて出力電圧検出端子Vsに入力された電圧との差分信号を検出する。
【0040】
そして、制御IC200aは、その差分信号と、電流検出端子Csに入力される電流情報とを用いて、PWM信号を生成し、端子VpwmからPWM信号を出力する。
PWM信号は、ゲート信号として、スイッチング素子M1のゲートに入力される。スイッチング素子M1は、PWM信号にもとづいてオン、オフする。このような動作により、出力電圧を目標値に整定させるPWM制御が行われる。
【0041】
図3は1次側制御フライバック電源の理想的な動作の波形を示す図である。なお、“Tsw”は、スイッチング素子M1のオン、オフのスイッチング周期である。
スイッチング素子M1のゲート信号Vgが高電位レベル(Hレベル)になると、スイッチング素子M1は、オン状態になって、
図2に示すような1次側電流Ipが流れる。
【0042】
なお、1次巻線L1は、インダクタンス成分を有しているから、1次側電流Ipは、スイッチング素子M1がオン状態の間は、時間経過と共に三角波状に上昇する。また、2次巻線L2は、1次巻線L1とは巻方向が逆なので、スイッチング素子M1がオン状態の間は、2次巻線L2には2次側電流Isは流れない。
【0043】
時間Ton経過後、ゲート信号Vgが低電位レベル(Lレベル)になると、スイッチング素子M1はオフ状態となって、1次側電流Ipは流れなくなる。すると、トランス10に溜めこまれたエネルギーが2次側へ移行して2次側が導通するので、2次側電流Isが流れる。2次側電流Isは、時間経過とともに下降する形状となる。
【0044】
2次側導通期間Tdにおいて、2次側のダイオードDsでの電圧降下をゼロとすると、2次巻線L2の両端にかかる2次側電圧は、出力電圧と等しくなり、
図3に示すようなフラットな波形となる(出力コンデンサC2の容量は十分大きいものとする)。
【0045】
一方、補助巻線Lauxには、2次巻線L2との巻数比に比例した電圧Vauxが生じる。時刻tにおける補助巻線Lauxの両端電圧Vaux(t)は、以下の式(1)で求められる。
【0046】
Vaux(t)=(Naux/N2)×V2(t)・・・(1)
ここで、N2は2次巻線L2の巻数、Nauxは補助巻線Lauxの巻数、V2(t)は2次巻線L2の両端電圧である。
【0047】
式(1)において、2次巻線L2の巻数N2と、補助巻線Lauxの巻数Nauxとを同じにすると(N2=Naux)、2次側導通期間Tdには、補助巻線Lauxにも出力電圧相当の電圧が現れることになる(Vaux=V2)。
【0048】
したがって、制御IC200aは、2次側導通期間Tdにおいて、補助巻線電圧Vauxを検出することで、2次側で発生する出力電圧情報を得ることができ、出力電圧情報に応じたPWM制御を行うことができる。
【0049】
次に1次側制御フライバック電源1aの課題について説明する。2次側電圧V2と、出力電圧との関係は、2次側の回路構成上、実際には2次側での電圧降下分が含まれるので、これらのパラメータを考慮しなければならない。
【0050】
2次側電圧降下分のパラメータを考慮した場合の、2次側電圧V2と、出力電圧Voutとの関係は、式(2)で表わされる。
V2(t)=Vout(t)+VF0+r×Is(t)・・・(2)
ここで、VF0は、Is=0AのときのダイオードDsの電圧降下分である。また、Is(t)は、
図2に示すような方向に流れる2次側電流であり、rは、ダイオードDsの抵抗および2次側の出力電圧経路における等価的な抵抗成分である。
【0051】
一方、2次側電圧V2(t)を出力電圧の目標出力値Vout
setとすると、式(2)は、式(3)のように書ける。
Vout(t)=Vout
set−VF0−r×Is(t)・・・(3)
式(3)中の、第2項のVF0と、第3項のr×Is(t)とが、誤差電圧(2次側電圧降下分)であり、目標出力値Vout
setから、これらの誤差電圧を減算した値が、出力電圧Voutになっていることがわかる。
【0052】
したがって、制御IC200aが、出力電圧Voutを正確に認識するためには、出力電圧検出端子Vsに入力される補助巻線電圧Vauxに対して、第2項のVF0と、第3項のr×Is(t)との誤差を補正することが重要となる。
【0053】
第2項のVF0の誤差分は、Is=0AのときのダイオードDsの電圧降下分であるから、固定値として扱うことができる。しかし、第3項のr×Is(t)の誤差分は、動作中の負荷電流等によりIs(t)が変化する。このため、第3項は、可変する電圧降下分であり、動的な補正を要することになる。
【0054】
第3項の誤差電圧を除去するために、従来では、例えば、2次側電流Isがゼロになったときの補助巻線電圧Vauxを用いて、出力電圧制御を行う対策が提案されている(例えば、上述の特許文献1)。
【0055】
この方法では、補助巻線電圧Vauxが急峻に低下する直前のタイミングを検知することで、2次側電流Isがゼロになったと判定する。そして、2次側電流Isがゼロのときの補助巻線電圧Vauxを用いて出力電圧制御を行うものである。
【0056】
図4は1次側制御フライバック電源の実動作の波形を示す図である。2次側電流Isがスイッチング周期Tsw中にゼロになる電流不連続モード(DCM:Discontinuous Current Mode)の動作波形を示している。
【0057】
制御IC200aは、Is=0Aになる2次側導通期間Tdが終了する直前の補助巻線電圧Vauxを検出し、出力電圧検出端子Vsに入力する。
タイミングt1のときの補助巻線電圧Vauxは、Is=0Aのため、式(2)はVout(t1)+VF0となるから、補正すべき誤差はVF0のみとなる。VF0は、上述のように固定値であり、容易に補正することが可能である。
【0058】
このようにして、2次側電流Isがゼロのときの補助巻線電圧Vauxを用いて、2次側電圧降下分の誤差を除去している。しかし、この方法は、DCMの動作時には有効ではあるが、電流連続モード(CCM:Continuous Current Mode)の動作時には、2次側電圧降下分を完全には除去できないという問題がある。
【0059】
図5は1次側制御フライバック電源の実動作の波形を示す図である。2次側電流Isがスイッチング周期Tsw中にゼロにはならないCCMの動作波形を示している。
なお、CCMでは、2次側電流Isが流れている途中で(2次側電流Isがゼロになっていない途中で)、1次側がオンして1次側電流Ipが流れるような動作になる。
【0060】
2次側導通期間Tdにおいて、制御IC200aは、2次側導通期間Tdの終了時刻であるタイミングt1のときに、出力電圧検出端子Vsに入力される補助巻線電圧Vauxを検出する。
【0061】
この場合、タイミングt1で、2次側電流Isは0Aにはなっていない。Is≠0Aであるので、このときのVaux(t1)は、式(2)からVout(t1)+VF0+r×Is(t1)であり、第3項の誤差電圧分が含まれていることになる。
【0062】
全動作範囲でDCM動作となる仕様のスイッチング電源もあるが、負荷電流が大きい条件ではCCM動作となる仕様のスイッチング電源もある。
したがって、後者のような仕様のスイッチング電源に適用する場合、2次側導通期間Tdの区間内で補助巻線電圧Vauxが最も低下したときのタイミングを検知して、出力電圧制御を行う方法では、CCM動作時には、2次側電流Isはゼロにはなっていないため、2次側電圧降下による誤差を除去しきれないという問題がある。
【0063】
本技術はこのような点に鑑みてなされたものであり、DCMおよびCCMのいずれのモードにおいても高精度な出力電圧を実現したスイッチング電源の制御装
置を提供するものである。
【0064】
次に本発明の技術であるスイッチング電源の制御装置の構成および動作原理について説明する。
図6はスイッチング電源の制御装置の構成例を示す図である。スイッチング電源の制御装置20は、PWM制御部210、補正制御部220、基準電圧生成部230およびドライバDrを備える。
【0065】
PWM制御部210は、遅延部211、出力電圧誤差検出部212、制御部213およびPWM生成部214を含む。補正制御部220は、1次側電流検出部221と補正量演算部222を含み、基準電圧生成部230は、演算器231を含む。
【0066】
なお、PWM制御部210は、
図1に示す出力電圧誤差検出部、制御部2d、PWM信号生成部の機能を実現する。補正制御部220は、
図1に示す補正量算出部2bの機能を実現する。基準電圧生成部230は、
図1に示す基準電圧生成部2cの機能を実現する。
【0067】
ここで、制御装置20は、2次側導通期間の開始タイミングから一定時間Tshの経過後に検出した補助巻線電圧Vauxを用いて出力電圧制御を行う。
なお、2次側導通期間の開始タイミング(1次側導通期間の終了タイミング)は、PWM生成部214から出力されるPWM信号Vpwm0が、Lレベルになる瞬間のタイミングに相当する。
【0068】
このため、遅延部211は、PWM生成部214から出力されるPWM信号Vpwm0を一定時間Tshだけ遅延して出力し、また、出力電圧誤差検出部212は、出力電圧検出端子Vsから入力される補助巻線電圧Vauxを、遅延部211からの出力信号でラッチしている。これにより、2次側導通期間の開始タイミングから一定時間Tsh経過後の補助巻線電圧Vauxの検出を行っている。
【0069】
また、制御装置20は、良好な出力電圧精度を得るために、上述した2次側電流Isによる2次側電圧降下分(r×Is(Tsh))の補正を行うものである。以下、2次側電圧降下分の補正制御について詳しく説明する。
【0070】
まず、1次側電流検出部221では、PWM信号Vpwm0がLレベルになるときの1次側電流Ip
pk(1次側電流のピーク値)を認識する。1次側電流Ip
pkから、以下の式(4)を用いて、2次側導通期間の開始時の2次側電流Is
pk(2次側電流のピーク値)が算出される。
【0071】
Is
pk=(N1/N2)×Ip
pk・・・(4)
また、トランス10の2次巻線L2のインダクタンスLsは、トランス10の1次巻線L1のインダクタンスLpと、巻数比(N2/N1)とから、以下の式(5)で算出される。
【0072】
Ls=(N2/N1)
2×Lp・・・(5)
さらに、2次側導通期間の開始から時間Tsh経過後の2次側電流Is(Tsh)は、以下の式(6)で算出される。
【0073】
Is(Tsh)=Is
pk−(Vout/Ls)×Tsh・・・(6)
そして、式(4)〜(6)を式(3)に代入することで、時間Tshにおける出力電圧Vout(Tsh)は、式(7)で表すことができる。
【0075】
式(7)の第2項は、2次側電圧降下による電圧降下分に相当し、第2項をVout
corrと置くと式(8)となる。
【0077】
式(7)の目標出力電圧値Vout
setに、式(8)に示す電圧降下分の補正量Vout
corrを加算することで、出力電圧値を目標出力値に補正することができる。
ここで、式(8)のうち、装置動作中に変化するパラメータは、1次側電流Ip
pkのみである。したがって、1次側電流検出部221が1次側電流Ip
pkを検出し、補正量演算部222が式(8)に相当する演算を行うことで、補正量を決定する。
【0078】
また、基準電圧生成部230は、演算器231を備えており、演算器231は、出力目標値Vout
setに、補正量演算部222で決定された補正量Vout
corrを加算し、加算結果を基準電圧Vrefとして出力する。なお、出力目標値Vout
setは、装置内部で固有の値としてあらかじめ設定してもよいし、外部から設定可能な値としてもよい。
【0079】
出力電圧誤差検出部212は、基準電圧Vrefと、時間Tshの出力電圧値(検出電圧としては補助巻線電圧値)とを比較して誤差電圧を出力する。このような構成により、DCMおよびCCMのいずれのモードにおいても、2次側電圧降下の影響を除去した高精度な出力電圧を得ることが可能になる。
【0080】
次にスイッチング電源の制御装置20の具体的な回路構成および動作について説明する。最初に、制御装置20を備えるフライバック方式のスイッチング電源の全体構成について示す。
【0081】
図7はフライバック方式スイッチング電源の構成例を示す図である。フライバック方式のスイッチング電源1−1は、ブリッジ回路11、コンデンサC1〜C3、抵抗R1〜R5、Rd、ダイオードD1、Ds、トランス10、スイッチング素子M1および制御装置20を備える(
図2に示した制御IC200aを、制御装置20に置き換えたものである)。
【0082】
制御装置20は、フライバック電源の1次側に配置されている。また、制御装置20は、補助巻線電圧Vauxの分圧出力を検出する出力電圧検出端子Vs、1次側電流を検出する電流検出端子Cs、PWM信号をゲート信号として出力するゲート出力端子Vpwmを有する。なお、制御装置20以外の構成要素については、
図2で上述したので説明は省略する。
【0083】
図8はスイッチング電源の制御装置の構成例を示す図である。制御装置20−1は、S/H(サンプルホールド)信号生成部21、出力電圧誤差検出部22、制御部23、PWM生成部24、補正制御部25、基準電圧生成部26およびドライバDrを備える。
【0084】
出力電圧誤差検出部22は、S/H回路22aと、ADC(A/Dコンバータ)22bを含む。制御部23は、デジタル制御器23a、電流制御用DAC(D/Aコンバータ)23bおよび周波数制御用DAC23cを含む。
【0085】
PWM生成部24は、コンパレータ24a、VCO(Voltage Controlled Oscillator:電圧制御発振器)24bおよびRSフリップフロップ24cを含む。補正制御部25は、1次側電流検出部25aと補正量演算部25bを含む。基準電圧生成部26は、演算器26aと基準電圧用DAC26bを含む。
【0086】
なお、
図6の構成要素との対応関係については、S/H信号生成部21は、
図6に示す遅延部211に対応し、出力電圧誤差検出部22は、
図6に示す出力電圧誤差検出部212に対応する。
【0087】
制御部23は、
図6に示す制御部213に対応し、PWM生成部24は、
図6に示すPWM生成部214に対応する。補正制御部25は、
図6に示す補正制御部220に対応し、基準電圧生成部26は、
図6に示す基準電圧生成部230に対応する。
【0088】
ここで、S/H回路22aは、出力電圧検出端子Vsからの入力電圧を、スイッチング素子M1のスイッチング周期毎に検出する。このときのS/H回路22aが行うサンプリングは、PWM信号Vpwm0がHレベルからLレベルに変化した瞬間(2次側導通が開始した瞬間)から時間Tsh後に行い、後段のデジタル制御器23aの演算が完了するまでの間、そのサンプリング値をホールドする。
【0089】
ADC22bは、S/H回路22aからの出力信号Vshにもとづいて、デジタル信号を出力する。例えば、ADC22bは、ウインドウ型ADCであって、S/H回路22aからの出力信号Vshと、基準電圧Vrefとの誤差分をデジタル値として出力する。なお、基準電圧Vrefは、S/H回路22aの出力の目標電圧であって、後述の基準電圧用DAC26bから出力される。
【0090】
デジタル制御器23aには、ADC22bからの出力信号ADC[m:0]とクロックckpiとが入力する。なお、[m:0]の表記は、最下位ビットが0ビットで、最上位ビットがmビットであり、0ビット目からmビット目までの全部でm+1ビットの信号であることを表す。
【0091】
デジタル制御器23aは、ADC22bから出力された信号ADC[m:0]をゼロにするための制御演算を行う。具体的には、S/H回路22aの出力信号Vshと、基準電圧Vrefとの誤差を例えば、1LSB(Least Significant Bit)以下にするための制御演算を行う。また、この場合の制御演算式としては、PI(Proportional Integral)制御の式や、PID(Proportional Integral Derivative)制御の式などを用いることができる。
【0092】
デジタル制御器23aからの出力信号DnIp[n:0]は、電流制御用DAC23b、周波数制御用DAC23cおよび1次側電流検出部25aに入力される。電流制御用DAC23bは、デジタル信号DnIp[n:0]をアナログ信号Vcsthに変換する。
【0093】
コンパレータ24aは、電流制御用DAC23bから出力された信号Vcsthと、電流検出端子Csから入力される入力電圧Vcsとを比較する。
入力電圧Vcsは、コンパレータ24aの正側入力端子に入力し、信号Vcsthは、コンパレータ24aの負側入力端子に入力している。したがって、入力電圧Vcsのレベルが信号Vcsthのレベル未満の場合は、コンパレータ24aからLレベルが出力され、入力電圧Vcsのレベルが信号Vcsthのレベル以上の場合は、コンパレータ24aからHレベルが出力される。
【0094】
コンパレータ24aの出力は、後段に位置する、PWM信号を生成するためのRSフリップフロップ24cのリセット端子(R)に入力しており、PWM信号のHレベルの出力期間を決定している。
【0095】
一方、周波数制御用DAC23cは、デジタル制御器23aの出力信号DnIp[n:0]をアナログ信号に変換し、VCO24bの発振周波数を制御するための電圧信号を出力する。VCO24bは、周波数制御用DAC23cから出力された電圧信号にもとづくスイッチング周波数を持つパルス信号を生成し、RSフリップフロップ24cのセット端子(S)に入力する。
【0096】
なお、負荷条件に応じてスイッチング周波数を変更させるため、
図8に示す構成では、周波数制御用DAC23cとVCO24bによって、内部制御量(デジタル制御器23aの出力値)に応じて、スイッチング周波数を変更させる構成としている。
【0097】
次に補正制御部25および基準電圧生成部26について説明する。1次側電流検出部25aは、PWM信号がHレベルからLレベルに変化する瞬間(1次側のスイッチング素子M1がオフする瞬間)における、デジタル制御器23aの出力信号DnIp[n:0]の値を取得する。
【0098】
このタイミングのデジタル制御器23aの出力信号DnIp[n:0]は、電流制御用DAC23bを介して、コンパレータ24aに接続されていることからもわかるとおり、1次側のスイッチング素子M1がオフする瞬間の1次側電流値Ip
pkに相当する。
【0099】
また、S/H回路22aにて、出力電圧検出端子Vsから入力される信号の検出は、PWM信号の立ち下りから時間Tsh後に固定することで既知としている。このため、式(4)〜(8)に示したとおり、1次側電流値Ip
pkの情報を得ることにより、補正量演算部25bでは、スイッチング周期毎に補正量Vout
corrに相当するデジタル値を算出することができる。
【0100】
補正量演算部25bが出力する補正量Vout
corrに相当するデジタル値の補正量Dn
corrは、以下のデジタル演算式(9)となる。
【0102】
なお、Rdivは、補助巻線両端に備えた分圧抵抗の抵抗比、N1、N2、Nauxはそれぞれ1次巻線、2次巻線、補助巻線の巻数、Lsは2次巻線のインダクタンス値、VF0は2次側ダイオードDsの電流ゼロでの電圧降下分、rはダイオードDsと2次側出力電圧経路との抵抗成分、Voutは出力電圧値、Tshは2次側導通開始からS/H回路22aでのサンプリング実施までの遅延設定時間に相当するデジタル値である。またKdac1は、電流制御用DAC23bの変換ゲインであり、DnIpは、デジタル制御器23aの出力値である。
【0103】
演算器26aは、目標電圧値Vout
setに相当するデジタル基準値Dnref0と、補正量Dn
corr[p:0]を加算して、演算結果Dnrefを出力する。基準電圧用DAC26bは、演算器26aから出力された演算結果Dnrefのデジタル値をアナログ値に変換し、出力電圧検出端子電圧Vsの目標値となる基準電圧Vrefを生成して、ADC22bへ入力する。
【0104】
以上説明したように、スイッチング電源の制御装置20−1では、スイッチング周期毎に2次側電圧降下分に相当する補正量を算出し、出力電圧値の目標値を決める基準電圧を変化させる構成とした。
【0105】
これにより、DCM、CCMのいずれの動作を問わず、負荷が変わって2次側電圧降下分が変わった場合に対しても、2次側電圧降下による誤差電圧を高精度に補正することができ、良好なロードレギュレーション特性(負荷電流の変動に対する出力電圧の変動の割合)を得ることが可能になる。
【0106】
次にスロープ補償機能について説明する。
図8に示したような、トランス10のインダクタ電流をフィードバックして定電圧制御を行うピーク電流制御の電流モードでは、デューティ比((パルスのHレベル期間/周期)×100%)が50%以上での動作条件において、サブハーモニック発振が発生する場合がある。このため、スロープ補償機能を備えることが好ましい。
【0107】
図8に示した制御装置20−1に対して、スロープ補償機能を備える場合、例えば、ランプ電圧と、電流検出端子電圧Csから入力された電圧とを重畳し、その重畳結果を、コンパレータ24aの正側入力端子に入力することでスロープ補償を行うことが考えられる。
【0108】
ただし、
図8に示した制御装置20−1では、1次側のスイッチング素子M1がオフする瞬間のデジタル制御量DnIpが1次側電流Ip
pkに相当するとして2次側電流を推定し、2次側電圧降下分の補正を行っている。
【0109】
そのため、上記のようなスロープ補償機能のみを備えた場合、1次側電流の検出電圧にランプ電圧が重畳されるため、デジタル制御量DnIpを含む式(9)の補正式では、ランプ電圧の分だけ補正量が大きくなってしまい、出力電圧は高い方に誤差を生じてしまう。
【0110】
したがって、このような誤差を抑制するため、例えば、デジタル制御器23aの出力にランプ電圧に相当するデジタル信号を加え、ランプ信号を加えたデジタル出力DnIpslopeを1次側電流検出部25aと、電流制御用DAC23bとにそれぞれ入力する方法が考えられる。これにより、上記のようなランプ電圧分の誤差を回避できる。
【0111】
次にスロープ補償を行うスイッチング電源の制御装置について説明する。
図9はスイッチング電源の制御装置の構成例を示す図であり、
図10は動作波形のタイミングチャートを示す図である。
【0112】
図8に示した回路構成に対し、制御装置20−2は新たな回路素子として、スロープ補償器31、演算器32、33およびスロープ補償模擬回路3を備えている。その他の構成は、
図8と同じである。
【0113】
また、
図10に示す動作波形について、“Vramp”は、スロープ補償器31の出力である。“Vcs”は、電流検出端子Csの入力電圧である。“Vcsslope”は、Vramp値とVcs値との加算値である。
【0114】
“Vpwm0”は、ドライバDrの入力である。“Dnslope”は、スロープ補償模擬回路3の出力である。“ckpi”は、デジタル制御器23aのクロック入力である。
【0115】
“DnIpslope”は、デジタル制御器23aから出力されるDnIp値からDnslope値を減算した減算値である。“Dncorr”は、補正量演算部25bの出力である。“Vref”は、基準電圧用DAC26bの出力である。“cksh”はS/H回路22aのクロック入力である。“Vsh”は、S/H回路22aの出力である。
【0116】
ここで、スロープ補償器31は、ランプ電圧を生成する。演算器32は、ランプ電圧と、電流検出端子電圧Csから入力された電圧とを重畳する。演算器32から出力された重畳結果は、コンパレータ24aの正側入力端子に入力される。
【0117】
スロープ補償模擬回路3は、発振器3a、カウンタ3bおよびレジスタ3cを含む。カウンタ3bは、PWM信号Vpwm0の立ち上り(1次側のスイッチング素子M1がオンするタイミング)でリセットして、発振器3aからの出力信号をクロックにしてカウントを開始する。
【0118】
また、カウンタ3bは、PWM信号Vpwm0の立ち下り(1次側のスイッチング素子M1がオフするタイミング)でカウントを停止する。レジスタ3cは、PWM信号Vpwm0の立ち下りでカウント出力値の保持をリセットし、PWM信号Vpwm0の立ち上りでカウント出力値を保持する。
【0119】
ここで、スロープ補償器31のランプ電圧の時間変化に対する電圧変化(ΔV/Δt)に相当するように、カウンタ3bの動作クロック周期Tcntを設定する(1/Tcnt)。
【0120】
なお、最大スイッチング周期Ts
maxよりも、カウンタ3bのクロック周期T
cntと最大カウント数N
cntとの積が大きくなるように、カウント範囲も併せて設定する別の手段として、カウンタ出力に対してはゲインを設定して出力するような構成にしても良い。
【0121】
演算器33は、PWM信号の立ち下りで、スロープ補償模擬回路3の出力Dnslope[n:0]と、デジタル制御器23aの出力DnIp[n:0]との演算処理を実行し、スロープ補償を行った1次側電流値Ipに相当するデジタル値DnIpslope[n:0]を生成して、1次側電流検出部25aに入力する。
【0122】
その後の動作は、
図8に示した制御装置20−1と同様である。すなわち、補正量演算部25bで補正量を演算し、演算器26aでデジタル基準値Dnref0と補正量に相当する電圧値を加算する。基準電圧用DAC26bは、加算結果から1スイッチング周期毎に補正した基準電圧Vrefを生成し、ADC22bで、基準電圧Vrefと、S/H回路22aの出力Vshとを比較することにより、所望のPWM制御が行われる。
【0123】
このような制御装置20−2の構成により、ランプ信号生成用のクロックよりも高速な応答特牲を有する電流制御用DAC23bを用いることなく、スロープ補償を行うことが可能になる。
【0124】
また、スロープ補償動作を要する動作条件下においても、2次側電圧降下分を高精度に補正することができ、良好なロードレギュレーション特性を得ることが可能になる。
次にスロープ補償の実行/停止を制御できるスイッチング電源の制御装置について説明する。スロープ補償は、装置動作中に常に実行しなくてもよく、入出力条件において、スロープ補償を不要とする場合もある。
【0125】
例えば、負荷電流が小さく、デューティ比が小さいような場合は、サブハーモニック発振は発生しないため、スロープ補償は不要である。したがって、
図9に示した制御装置20−2に対して、スロープ補償の実行/停止を制御できる機能を設けてもよい。
【0126】
図11、
図12はスイッチング電源の制御装置の構成例を示す図である。スイッチング電源の制御装置20−3は、デジタル制御器23aの出力信号DnIpにもとづいて、スロープ補償回路の実行/停止を決定する。
【0127】
図9に示した回路構成に対し、制御装置20−3は新たな回路素子として、スロープ補償用コンパレータ(比較器)34を備えている。また、スロープ補償器31−1およびスロープ補償模擬回路3−1は、スロープ補償用コンパレータ34からの出力信号Enslopeが入力するための新たな入力端子を有している。その他の基本構成は、
図9と同じである。
【0128】
スロープ補償用コンパレータ34の正側入力端子には、デジタル制御器23aの出力信号DnIPが入力し、負側入力端子には、スロープ補償の実行/停止を決定するための判定値Dnslopethが入力する。なお、判定値Dnslopethは、装置内部で固有の値としてあらかじめ設定してもよいし、外部から設定可能な値としてもよい。
【0129】
スロープ補償用コンパレータ34は、信号DnIpの値が判定値Dnslopeth以上の場合は、Hレベルのパルス信号Enslopeを出力する(スロープ補償の実行)。
また、スロープ補償用コンパレータ34は、信号DnIpの値が判定値Dnslopeth未満の場合は、Lレベルのパルス信号Enslopeを出力する(スロープ補償の停止)。
【0130】
スロープ補償器31−1およびスロープ補償模擬回路3−1には、パルス信号Enslopeを受ける入力端子が設けられ、スロープ補償器31−1は、パルス信号Enslopeに応じて出力を停止する。スロープ補償模擬回路3−1は、パルス信号Enslopeに応じて出力を停止する。このような構成により、入出力条件に応じて、スロープ補償の実行/停止を柔軟に制御することが可能になる。
【0131】
次に過電流保護について説明する。スイッチング電源では、多くの場合、誤動作による負荷やスイッチング素子の破壊を防止するため、過電流保護回路が設けられる。
ここで、電流検出端子Csの電圧で、1次側のスイッチング素子M1への過電流を検出し、過電流を検出時には、ゲート信号(PWM信号)をオフさせる過電流保護回路を想定する。
【0132】
このような過電流保護回路を有するスイッチング電源の場合、
図8の制御装置20−1の構成では、デジタル制御器23aの出力DnIpによって決まるゲート信号のHレベル期間よりも、短い期間で過電流保護によりゲート信号がLレベルになるおそれがある。すると、デジタル制御器23aの出力DnIpとPWM信号とがLレベルになる瞬間の1次側電流Ip
pkが不一致となってしまい、この場合、出力電圧を上げる方向に基準電圧を補正してしまうことになる。
【0133】
次に過電流保護に伴う上述の問題点を解決しつつ、高精度の過電流保護を行うスイッチング電源の制御装置について説明する。
図13はスイッチング電源の制御装置の構成例を示す図である。スイッチング電源の制御装置20−4は、過電流保護機能を有している。
【0134】
図8に示した回路構成に対し、制御装置20−4は新たな回路素子として、過電流保護用DAC41、過電流検出用コンパレータ(過電流検出部)42、フラグ生成部43およびセレクタ44を備える。また、ドライバDr1は、過電流検出用コンパレータ42から出力される過電流信号Enocpの値が“H”(過電流状態)の場合はドライバ出力を“L”とし、スイッチングを停止させる。
【0135】
過電流保護用DAC41は、あらかじめ設定したデジタル値の過電流基準値Dnocpthをアナログ信号に変換する。過電流基準値Dnocpthは、装置内部で固有の値としてあらかじめ設定してもよいし、外部から設定可能な値としてもよい。
【0136】
また、過電流検出用コンパレータ42の正側入力端子には、電流検出端子Csからの信号Vcsが入力し、負側入力端子には、過電流保護用DAC41からの出力信号が入力する。
【0137】
過電流検出用コンパレータ42は、入力電圧Vcsのレベルが過電流保護用DAC41からの出力信号のレベル以上の場合は、Hレベルの過電流信号Enocpを出力する(過電流が発生している状態)。
【0138】
また、過電流検出用コンパレータ42は、入力電圧Vcsのレベルが過電流保護用DAC41からの出力信号のレベル未満の場合は、Lレベルの過電流信号Enocpを出力する(過電流が発生していない状態)。
【0139】
フラグ生成部43は、過電流検出用コンパレータ42から出力される過電流検出信号Enocpのレベルを一定期間保持して過電流フラグとして出力する。
1次側電流検出部25aの前段に設けられたセレクタ44には、一方の入力端子には、デジタル制御器23aの出力信号DnIpが入力し、他方の入力端子には、デジタル値の過電流基準値Dnocpthが入力し、選択端子には、過電流フラグが入力する。
【0140】
セレクタ44は、過電流フラグがHレベルの場合は、過電流制限値に相当するデジタル値Dnocpthを出力し、過電流フラグがLレベルの場合は、デジタル制御器23aの出力信号DnIpを出力する。セレクタ44からの出力は、1次側電流検出部25aに入力される。なお、以降の動作は同様である。
【0141】
このような制御装置20−4の回路構成により、例えば、デジタル制御器23aの出力DnIpとPWM信号とがLレベルになる瞬間の1次側電流Ip
pkが不一致となるような現象を抑制しながら、良好な過電流保護を行うことが可能になる。
【0142】
以上説明したように、本発明では、電圧フィードバック制御回路内部の各制御量と1次側スイッチング素子に流れる電流とから、2次側電流による損失分を推定し、損失分を補正する構成とした。これにより、2次側における電圧降下分を高精度に補正して、スイッチング電源のロードレギュレーション特性を改善することが可能になる。
【0143】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。