(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記出口部から前記着地位置までの距離と、前記着地位置から前記第2の搬送面における前記ローラ本体に最も近接する位置までの距離とを合わせた長さは、前記第1の搬送方向における前記ワークの長さよりも短い、請求項1に記載の搬送装置。
前記第1の搬送部の前記第1の搬送面上には、前記第1の搬送方向に平行に延びる一対のガイド面を有するガイド部が設けられており、前記一対のガイド面は、矩形状の前記ワークの一対の側辺の間の長さに対応する間隔を有している、請求項1または2に記載の搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の搬送ベルトを介してワークを搬送する場合、ベルト間で搬送速度を変えることがある。例えば、製造工程の都合上、各ワークの間隔を広げたい場合、あるいは、次工程にワークの速度を上げて送り出したい場合などには、下流側の搬送ベルトの速度を上げればよい。そして、ワークが搬送ベルト間を乗り移る場合、ベルト間の速度差があると、一時的にワークに力が作用する。例えば、特許文献1に記載された装置では、正極板シート搬送ベルトは、負極板搬送ベルトに対して傾斜するように設けられている。よって、正極板シート搬送ベルトによって搬送される正極板シートは、負極板搬送ベルトに向けて、傾斜した姿勢で落下する。そのため、正極板シートの下端部が、負極板搬送ベルト上に先ず着地することになる。
【0005】
ここで、仮に負極板搬送ベルトが、正極板シート搬送ベルトよりも速い場合、着地した正極板シートの下端部には、摩擦により、負極板搬送ベルトの搬送方向への力が作用する。この力が正極板シートの下端部に一様に作用する場合はよいが、たとえば正極板シートに、正極板の反りやセパレータの周縁部のクセ等に起因する変形が生じていると、正極板シートの下端部が一様に着地しない場合がある。
図4に示されるように、矩形の正極板シートの一部分(たとえば下端の隅部)のみが先に着地した場合、速度差に起因し、負極板搬送ベルトによって当該一部分のみが引っ張られ、回転等が生じ得る。このように、速度差に起因し、搬送ベルト上に乗り移ったワークに回転等が生じると、ワークが位置ずれした状態で搬送されるため、次工程に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0006】
本発明は、搬送面に乗り移ったワークの位置ずれを低減できる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る搬送装置は、シート状のワークが載置される第1の搬送面を有し、ワークを第1の搬送方向に搬送して出口部から排出する第1の搬送部と、出口部から排出されたワークを受ける第2の搬送面を有し、ワークを受け取って第2の搬送方向に搬送する第2の搬送部と、を備え、第1の搬送方向は、第2の搬送方向に対して傾斜しており、
第2の搬送部の搬送速度は、第1の搬送部の搬送速度よりも大きく設定されており、第2の搬送面上には、第2の搬送面に対面するローラ本体を有し、ローラ本体の外周面と第2の搬送面との間でワークを挟み込むように構成された少なくとも1つの押さえローラが設けられており、押さえローラは、第2の搬送面におけるワークの着地位置よりも第2の搬送方向の下流側であって、第2の搬送方向におけるワークの後側が第2の搬送面に着地する前にローラ本体がワークに接触する位置に配置されている。
【0008】
この搬送装置によれば、シート状のワークは、第1の搬送部の第1の搬送面から、第2の搬送部の第2の搬送面に乗り移る。第1の搬送方向は第2の搬送方向に対して傾斜しているため、ワークの搬送方向の前側が、まず第2の搬送面に着地する。第2の搬送面上に設けられた押さえローラは、ワークの着地位置よりも第2の搬送方向の下流側に配置されているため、ワークは、第2の搬送面に着地した後に、ローラ本体の外周面と第2の搬送面との間に挟み込まれる。たとえばワークに反りやクセ等に起因する変形が生じる等により、ワークの偏った一部分のみが第2の搬送面にまず着地した場合でも、ワークの後側が第2の搬送面に着地する前に、ローラ本体がワークに接触し、ワークを挟み込む。ワークが挟み込まれることにより、ワークと第2の搬送面との接触は、すぐに面による接触に移行する。よって、ワークに回転を生じる偏った力が作用する時間は、極短時間に抑えられ、第2の搬送面に乗り移ったワークの位置ずれを低減できる。その結果として、位置ずれを生じない状態でワークを搬送でき、次工程に悪影響を及ぼすことが防止される。
【0009】
出口部から着地位置までの距離と、着地位置から第2の搬送面におけるローラ本体に最も近接する位置までの距離とを合わせた長さは、第1の搬送方向における前記ワークの長さよりも短くてもよい。この場合、ワークは、第1の搬送部の出口部に後側が乗った状態で、前側がローラ本体によって挟み込まれる。よって、ワークの前側の一部分のみが第2の搬送面に着地した場合でも、後側が第1の搬送面に支持されつつ、面接触への移行により偏った力が作用しなくなることで、ワークの回転が抑制される。
【0010】
第1の搬送部の第1の搬送面上には、第1の搬送方向に平行に延びる一対のガイド面を有するガイド部が設けられており、一対のガイド面は、矩形状のワークの一対の側辺の間の長さに対応する間隔を有してもよい。この場合、ガイド部によって、第1の搬送面上におけるワークの姿勢が整えられる。
【0011】
ワークは、矩形状の本体部と、本体部の一辺から突出する突出部とを有し、第1の搬送部は、突出部が第1の搬送方向の上流側に位置するようにワークを搬送するものであり、出口部から着地位置までの距離は、第1の搬送方向における本体部の長さより短くてもよい。この場合、ワークの矩形状の本体部は、第1の搬送部の出口部に後側が乗った状態で、前側が第2の搬送面に着地する。よって、ワークの前側の一部分のみが第2の搬送面に着地した場合でも、上端部が第1の搬送面に支持されることで、ワークの回転が抑制される。
【0012】
ワークは、種類の異なる第1の電極と第2の電極とを含み、第1の搬送部は、第2の搬送方向に少なくとも2つが並設されており、一方の第1の搬送部は第1の電極を搬送し、他方の第1の搬送部は第2の電極を搬送し、第2の搬送部は、2つの第1の搬送部から第1の電極および第2の電極を受け取って混載にて搬送し、第2の搬送部の搬送速度は、第1の搬送部のそれぞれの搬送速度より大きく設定されてもよい。この場合、第1の電極と第2の電極とを別々に搬送し、第2の搬送部によって、これらの電極を混載で高速搬送することができる。よって、電極の高速積層が可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第2の搬送面に乗り移ったワークの位置ずれを低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。本明細書において、ワークに関して用いられる「前」または「後」の語は、ワークの搬送方向すなわち移動方向を基準とする。たとえば、ワークの「前側」は、ワークの搬送方向で言えば下流側に相当し、ワークの「後側」は、ワークの搬送方向で言えば上流側に相当する。
【0016】
図1を参照して、一実施形態の積層装置1について説明する。積層装置1は、リチウムイオン二次電池などの蓄電装置の生産ラインにて用いられる装置である。蓄電装置の生産ラインは、概略として、正極製造ライン、負極製造ライン、及び、各電極製造ラインにて製造された電極(正極及び負極)を用いてケース等と共に蓄電装置を組立てる組立ライン、より構成される。積層装置1は、組立ライン上に配置され、正極及び負極を積層して、電極組立体の前駆体である積層体Xを形成する装置である。
【0017】
積層装置1は、蓄電装置の正極11、セパレータ13、および負極12を積層するための装置である。蓄電装置の電極組立体は、正極11と、負極12と、正極11と負極12との間に配置された袋状のセパレータ13とによって構成される。セパレータ13内には、正極11または負極12の内の一方の電極が収納され得る。本実施形態では、セパレータ13内には正極11が収納されている。セパレータ13内に正極11が収納された状態で、正極11と負極12とがセパレータ13を介して交互に積層される。すなわち、積層装置1は、シート状のワーク(シート状体)である負極12及びセパレータ付き正極10を交互に積層する。
【0018】
正極11は、例えばアルミニウム箔からなる矩形の金属箔の両面に正極活物質層が形成されてなる。正極活物質層は、正極活物質とバインダとを含んで形成されている。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウム、硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つと、リチウムとが含まれる。本実施形態の正極11は、一対の長辺と一対の短辺とを備える。長辺の一方には、正極端子との接続に用いられるタブ(突出部)11aが形成されている。
【0019】
正極11のタブ11aを除いた部分は、袋状のセパレータ13内に収容されている。セパレータ13の形成材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。正極11のタブ11aは、略矩形のセパレータ(本体部)13の長辺から外方向に突出している。このように、袋状のセパレータ13に正極11が収納されることで、セパレータ付き正極10が構成されている。なお、本実施形態に係る積層装置1に用いられる袋状のセパレータ13の左右方向の幅は、負極12の幅と同寸とされている。また、セパレータ13の高さは、負極12の高さと同寸とされている。セパレータ13は、袋状に限られず、シート状のものを用いてもよい。
【0020】
一方、負極12は、例えば銅箔からなる金属箔の両面に負極活物質層が形成されてなる。負極活物質層は、負極活物質とバインダとを含んで形成されている。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物、ホウ素添加炭素等が挙げられる。本実施形態の負極12は、一対の長辺と一対の短辺とを備える。長辺の一方には、負極端子との接続に用いられるタブ(突出部)12aが形成されている。負極12のタブ12aは、負極活物質層が形成された矩形状の本体部12bの長辺から、外方向に突出している。タブ11a及びタブ12aは、正極11(すなわちセパレータ付き正極10)と負極12とを重ねた場合に互いに重ならない位置に形成されている。
【0021】
バインダは、例えばポリアミドイミド、ポリイミド等の熱可塑性樹脂であってもよく、主鎖にイミド結合を有するポリマー樹脂であってもよい。
【0022】
積層装置1は、ワークであるセパレータ付き正極10および負極12を搬送するための搬送装置2と、搬送装置2の二次搬送部30から排出されるセパレータ付き正極10および負極12を交互に滑走させる滑走部3と、滑走部3により案内されて落下したセパレータ付き正極10および負極12を受け取り、電極の積層体Xを形成する積層部4とを備えている。
【0023】
図1および
図2を参照して、本実施形態の搬送装置2について説明する。搬送装置2は、第1の電極としてのセパレータ付き正極10を順次搬送する供給搬送部(第1の搬送部)20Aと、第2の電極としての負極12を順次搬送する供給搬送部(第1の搬送部)20Bとを備えている。搬送装置2は、さらに、供給搬送部20Aおよび供給搬送部20Bからセパレータ付き正極10および負極12をそれぞれ受け取って、これらを交互に搬送する二次搬送部(第2の搬送部)30を備えている。
【0024】
搬送装置2では、1つの二次搬送部30に対して、2つの供給搬送部20A,20Bが並設されている。2つの供給搬送部20A,20Bは、それぞれ、単一種類の電極を搬送する。これに対し、1つの二次搬送部30は、2種類の電極を混載にて搬送する。供給搬送部20Aは、二次搬送部30における搬送方向(第2の搬送方向)D2の下流側に配置されている。供給搬送部20Bは、供給搬送部20Aよりも、搬送方向D2の上流側に配置されている。
【0025】
供給搬送部20Aは、たとえばベルトコンベアである。供給搬送部20Aは、複数のローラによって支持されたベルト21Aと、ベルト21Aの表面の一部からなり、セパレータ付き正極10が載置される搬送面(第1の搬送面)22Aとを有する。搬送面22Aは、水平面に対して所定角度をなすように傾斜している。すなわち、供給搬送部20Aの搬送方向(第1の搬送方向)D1は、水平面に対して傾斜している。搬送方向D1の一端部には、駆動部23Aが設けられている。駆動部23Aは、ローラを回転させることによりベルト21Aを走行させる。駆動部23Aは、制御部としての機能も有しており、ベルト21Aの走行速度を変更・調整可能である。搬送面22Aの下端部は、搬送されたセパレータ付き正極10を排出する出口部25Aとされている。
【0026】
供給搬送部20Bは、たとえばベルトコンベアである。供給搬送部20Bは、複数のローラによって支持されたベルト21Bと、ベルト21Bの表面の一部からなり、負極12が載置される搬送面(第1の搬送面)22Bとを有する。搬送面22Bは、水平面に対して所定角度をなすように傾斜している。供給搬送部20Bの搬送方向(第1の搬送方向)D1は、水平面に対して傾斜しており、たとえば、供給搬送部20Aの搬送方向D1に平行である。搬送方向D1の一端部には、駆動部23Bが設けられている。駆動部23Bは、ローラを回転させることによりベルト21Bを走行させる。駆動部23Bは、制御部としての機能も有しており、ベルト21Bの走行速度を変更・調整可能である。搬送面22Bの下端部は、搬送された負極12を排出する出口部25Bとされている。
【0027】
供給搬送部20Aおよび供給搬送部20Bとしては、同じ搬送装置が用いられてもよい。搬送面22Aの傾斜角度と搬送面22Bの傾斜角度とは、異なってもよい。すなわち、供給搬送部20Aの搬送方向と供給搬送部20Bの搬送方向とは、平行でなくてもよい。ベルト21Aとベルト21Bは、異なる材質からなってもよい。
【0028】
供給搬送部20Aは、タブ11aが搬送方向D1の上流側に位置するように、セパレータ付き正極10を搬送する。言い換えれば、供給搬送部20Aは、タブ11aが形成されていない他方の長辺が前側となるように、セパレータ付き正極10を搬送する。供給搬送部20Bは、タブ12aが搬送方向D1の上流側に位置するように、負極12を搬送する。言い換えれば、供給搬送部20Bは、タブ12aが形成されていない他方の長辺が前側となるように、負極12を搬送する。なお、供給搬送部20Aおよび供給搬送部20Bの上流側には、図示しない正極供給部および負極供給部が配置される。正極供給部によって、搬送面22A上にセパレータ付き正極10が供給され、載置される。負極供給部によって、搬送面22B上に負極12が供給され、載置される。言い換えれば、正極供給部および負極供給部は、タブ11aおよびタブ12aがそれぞれ搬送方向D1の上流側に位置するように、搬送面22A,22B上にセパレータ付き正極10および負極12を載置する。正極供給部は、例えば、蓄電装置の生産ラインにおいて、上流側に位置する正極製造ラインであり、負極供給部は、負極製造ラインである。
【0029】
二次搬送部30は、供給搬送部20Aおよび供給搬送部20Bの下方に配置されている。二次搬送部30は、たとえばベルトコンベアである。二次搬送部30は、複数のローラによって支持されたベルト31と、ベルト31の表面の一部からなり、セパレータ付き正極10および負極12が載置される搬送面(第2の搬送面)32とを有する。搬送面32は、水平に延びている。すなわち、二次搬送部30の搬送方向D2は、水平方向である。搬送方向D2の一端部には、駆動部33が設けられている。駆動部33は、ローラを回転させることによりベルト31を走行させる。駆動部33は、制御部としての機能も有しており、ベルト31の走行速度を変更・調整可能である。搬送面32の先端部は、搬送されたセパレータ付き正極10および負極12を交互に排出する出口部35とされている。
【0030】
なお、二次搬送部30の搬送方向D2は、水平方向である場合に限られない。搬送方向D2は、水平面に対して傾斜していてもよい。二次搬送部30の搬送面32は、供給搬送部20Aの出口部25Aおよび供給搬送部20Bの出口部25Bよりも下方に配置され得るが、搬送面32の一部(受取部)が出口部25A,25Bの下方に配置され、搬送面32の当該一部よりも搬送方向D2下流側の部分(出口部35)が、出口部25A,25Bよりも高い位置に配置されてもよい。すなわち、搬送面32は、搬送方向D2の下流側に向かうにつれて高くなるように傾斜してもよい。搬送面32は、搬送方向D2の下流側に向かうにつれて低くなるように傾斜してもよい。
【0031】
搬送方向D1は、搬送方向D2に対して傾斜している。すなわち、供給搬送部20Aの搬送方向D1は、二次搬送部30の搬送方向D2と非平行であり、供給搬送部20Bの搬送方向D1は、二次搬送部30の搬送方向D2と非平行である。搬送装置2では、搬送方向D2に対して搬送方向D1がなす角度は、水平面に対する搬送方向D1の傾斜角度である。二次搬送部30の搬送面32が、搬送方向D2の下流側に向かうにつれて低くなるように傾斜する場合であっても、水平面に対する搬送方向D2の傾斜角度(鋭角)は、水平面に対する搬送方向D1の傾斜角度(鋭角)よりも小さい。平面視した場合、すなわち搬送方向D1および搬送方向D2を水平面に投影した場合、これらの方向は等しいか、または鋭角をなしている。したがって、搬送方向D1を基準とした場合と、搬送方向D2を基準とした場合とのいずれにおいても、セパレータ付き正極10および負極12の「前側」および「後側」は、同じ部分を意味する。
【0032】
図2を参照して、供給搬送部20Aについてより詳細に説明する。なお、以下の説明では、供給搬送部20Aについてのみ説明し、供給搬送部20Bに関する説明を省略する。供給搬送部20Bの構成は、供給搬送部20Aと同様とすることができる。
【0033】
図2に示されるように、供給搬送部20Aの出口部25Aを通り、搬送方向D1に延びる仮想線は、二次搬送部30の搬送面32に交わる。セパレータ付き正極10が搬送面22A上に載置されたままの姿勢を保って出口部25Aから排出される場合、セパレータ13の下端部13b(搬送方向D1における前側の端部)は、その交点に略一致する着地位置Pで着地する。なお、セパレータ付き正極10の着地位置Pは、上記の交点に一致せず、交点から多少違った位置となる場合もある。
【0034】
出口部25Aから着地位置Pまでの距離は、搬送方向D1におけるセパレータ13の長さ(高さ)より短くなっている。これにより、着地位置Pにセパレータ付き正極10の前側の長辺である下端部13bが着地したとき、後側の長辺である上端部13aは、搬送面22A(搬送面22Aの出口部25A)に載っている。負極12の本体部12bの高さに対する供給搬送部20Bと搬送面32との位置関係も、上記と同様である。
【0035】
供給搬送部20Aの搬送面22A上には、セパレータ付き正極10の姿勢を保持または修正するためのガイド部24Aが設けられている。ガイド部24Aは、たとえば、ベルトコンベアのフレーム部に取り付けられる。ガイド部24Aは、出口部25Aを含む位置、または出口部25Aの近傍に設けられることが望ましい。なお、ガイド部24Aは、搬送方向D1の中央部に設けられてもよい。ガイド部24Aは、ベルト21Aに沿って、搬送方向D1に延在するように設けられてもよい。
【0036】
ガイド部24Aは、搬送方向D1に平行に設けられた一対のガイド板を有しており、ガイド板の互いに対面する内側面は、所定の距離だけ離間している。これらの内側面は、一対のガイド面24aを構成しており、一対のガイド面24aの間隔は、セパレータ付き正極10の側辺13c,13cの間の長さ(すなわちセパレータ付き正極10の幅)に対応している。より詳細には、一対のガイド面24aの間隔は、セパレータ付き正極10の側辺13c,13cの間の長さよりも僅かに長く(広く)なっている。言い換えれば、一対のガイド面24aは、側辺13c,13cが搬送方向D1に沿った向きとなるようセパレータ付き正極10が載置されたときに、セパレータ付き正極10を通過させ得る間隔を有している。ガイド部24Aは、セパレータ付き正極10の側辺13c,13cに当接して、セパレータ付き正極10の回転を規制する。
【0037】
供給搬送部20Bに設けられたガイド部24Bも、ガイド部24Aと同様の構成を有する。ガイド部24Bは、負極12に対し、上記したガイド部24Aと同様の機能を発揮し得る。
【0038】
図1および
図2に示されるように、本実施形態の搬送装置2は、二次搬送部30の搬送面32上に設けられて、セパレータ付き正極10および負極12を押さえ付ける2つの押さえローラ40A,40Bを備えている。搬送方向D2の下流側に設けられた押さえローラ40Aは、搬送面32に着地したセパレータ付き正極10を、搬送面32との間に挟み込む。搬送方向D2の上流側に設けられた押さえローラ40Bは、搬送面32に着地した負極12を、搬送面32との間に挟み込む。
【0039】
押さえローラ40Aは、搬送方向D2に直交し、かつ搬送面32に平行な回転軸線Lを有する。押さえローラ40Aは、回転軸線Lを有する回転軸41と、回転軸41に連結された円筒状のローラ本体42とを有する。回転軸41は、たとえばベルトコンベアのフレーム部に対して回転可能に取り付けられている。回転軸41の高さは、固定されている。ローラ本体42は、搬送面32に対面するように設けられている。ローラ本体42は、たとえば多孔性のスポンジ状材料または発泡性材料からなってもよい。ローラ本体42は、たとえば樹脂製である。ローラ本体42は、柔らかい表面(すなわち変形可能な表面)を有してもよい。ローラ本体42の外周面は、摩擦係数が低くされてもよい。回転軸41は、ローラ本体42の外周面に作用する外力(たとえばセパレータ付き正極10から受ける摩擦力)によって回転する。押さえローラ40Aには、回転軸41を駆動する駆動源は設けられていない。
【0040】
ローラ本体42の外周面と搬送面32との間には、セパレータ付き正極10にローラ本体42が当接可能なように、セパレータ付き正極10の厚み、すなわちセパレータ13の厚みに応じた隙間gが設けられている。なお、押さえローラ40Aが設けられる位置に、ベルト31の裏面側のローラは設けられない。そのため、ベルト31は多少撓むことが可能になっている。
【0041】
押さえローラ40Aは、上記したセパレータ付き正極10の着地位置Pの近傍に配置されている。ここでいう近傍とは、たとえば、着地位置Pよりも搬送方向D2の下流側であって、セパレータ13の高さよりも小さい範囲である。押さえローラ40Aは、搬送方向D2におけるセパレータ付き正極10の後側が搬送面32に着地する前に、ローラ本体42がセパレータ付き正極10に接触するような位置に配置されている。なお、押さえローラ40Aの位置とは、たとえば、ローラ本体42の回転軸線Lから搬送面32に降ろした垂線と搬送面32との交点の位置である。すなわち、押さえローラ40Aの位置は、搬送面32におけるローラ本体42に最も近接する位置である。
【0042】
なお、出口部25Aから着地位置Pまでの距離と、着地位置Pから押さえローラ40Aの位置までの距離とを合わせた長さは、搬送方向D1におけるセパレータ13の長さ(高さ)より短くなっていてもよい。このように押さえローラ40Aを出口部25Aに非常に近接させて配置することにより、セパレータ付き正極10の上端部13aが出口部25Aに乗った状態で、搬送面32に着地したセパレータ付き正極10の下端部13bがローラ本体42によって挟み込まれる。
【0043】
押さえローラ40Bは、搬送方向D2に直交し、かつ搬送面32に平行な回転軸線を有する。押さえローラ40Bは、回転軸線を有する回転軸と、回転軸に連結された円筒状のローラ本体とを有する。回転軸は、たとえばベルトコンベアのフレーム部に対して回転可能に取り付けられている。回転軸の高さは、固定されている。ローラ本体は、搬送面32に対面するように設けられている。ローラ本体は、たとえば多孔性のスポンジ状の材料または発泡性材料からなってもよい。ローラ本体は、たとえばウレタンまたは四フッ化エチレン等の樹脂製である。ローラ本体は、柔らかい表面(すなわち変形可能な表面)を有してもよい。ローラ本体の外周面は、摩擦係数が低くされてもよい。回転軸は、ローラ本体の外周面に作用する外力(たとえば負極12から受ける摩擦力)によって回転する。押さえローラ40Bには、回転軸を駆動する駆動源は設けられていない。
【0044】
ローラ本体の外周面と搬送面32との間には、負極12にローラ本体が当接可能なように、負極12の厚みに応じた隙間が設けられている。なお、押さえローラ40Bが設けられる位置に、ベルト31の裏面側のローラは設けられない。そのため、ベルト31は多少撓むことが可能になっている。
【0045】
押さえローラ40Bは、負極12の着地位置の近傍に配置されている。ここでいう近傍とは、たとえば、負極12の着地位置よりも搬送方向D2の下流側であって、負極12の本体部12bの高さよりも小さい範囲である。押さえローラ40Bは、搬送方向D2における負極12の後側が搬送面32に着地する前に、ローラ本体が負極12に接触するような位置に配置されている。なお、押さえローラ40Bの位置とは、たとえば、ローラ本体の回転軸線から搬送面32に降ろした垂線と搬送面32との交点の位置である。押さえローラ40Bの位置は、搬送面32におけるローラ本体に最も近接する位置である。
【0046】
なお、出口部25Bから着地位置までの距離と、着地位置から押さえローラ40Bの位置までの距離とを合わせた長さは、搬送方向D1における本体部12bの長さ(高さ)より短くなっていてもよい。このように押さえローラ40Bを出口部25Bに非常に近接させて配置することにより、本体部12bの一方の長辺である上端部が出口部25Bに乗った状態で、搬送面32に着地した本体部12bの他方の長辺である下端部がローラ本体によって挟み込まれる。
【0047】
上記のように、変形可能な材料からなるローラ本体42と、ローラ本体42に対向する位置で撓むことのできるベルト31とが設けられている。よって、押さえローラ40A,40Bは、セパレータ付き正極10および負極12を押さえ付けるが、セパレータ付き正極10および負極12に対して強い押圧力を加えるものではない。押さえローラ40A,40Bおよび搬送面32の少なくとも一方は、一定以上の力がセパレータ付き正極10および負極12との間にはたらいたとき、変形可能になっている。押さえローラ40A,40Bまたは搬送面32が変形することで、これらとセパレータ付き正極10および負極12との間には、所定以上の圧力が作用しないようになっている。
【0048】
次に、積層装置1の動作について説明する。まず、上流側の正極供給部によって、供給搬送部20Aの搬送面22A上に、セパレータ付き正極10が供給され、載置される。上流側の負極供給部によって、供給搬送部20Bの搬送面22B上に、負極12が供給され、載置される。供給搬送部20Aは、駆動部23Aによってベルト21Aを走行させ、セパレータ付き正極10を搬送方向D1に搬送する。供給搬送部20Bは、駆動部23Bによってベルト21Bを走行させ、負極12を搬送方向D1に搬送する。このとき、二次搬送部30の駆動部33によって、ベルト31が走行させられる。なお、ベルト31の走行速度は、ベルト21Aおよびベルト21Bの各走行速度より大きく設定されている。
【0049】
セパレータ付き正極10は、供給搬送部20Aの搬送面22Aから、二次搬送部30の搬送面32に乗り移る。負極12は、供給搬送部20Bの搬送面22Bから、二次搬送部30の搬送面32に乗り移る。搬送面32上では、セパレータ付き正極10と負極12とが交互に載置されるように、搬送速度等が予め設定されている。ここで、搬送方向D1は搬送方向D2に対して傾斜しているため、搬送方向D1におけるセパレータ付き正極10および負極12の前側(タブ11a,12aが形成されない他方の長辺)が、まず搬送面32に着地する。搬送面32上に設けられた押さえローラ40A,40Bは、セパレータ付き正極10および負極12の着地位置Pよりも搬送方向D2の下流側に配置されているため、セパレータ付き正極10および負極12は、搬送面32に着地した後に、押さえローラ40A,40Bのローラ本体42の外周面と搬送面32との間に挟み込まれる。
【0050】
たとえば正極11や負極12にカール等の反りが生じたり、セパレータ13の周縁部にクセ等が生じたりすることで、セパレータ付き正極10や負極12に変形が生じていると、セパレータ付き正極10や負極12のうちでもっとも低い位置にある部分のみが搬送面32に着地する場合がある。たとえば、
図4に示されるように、セパレータ付き正極10の隅部13dのみが搬送面32に着地する場合がある(図中の太線参照)。この場合、搬送速度の差に起因し、たとえば隅部13dを中心にして、セパレータ付き正極10に回転等が生じ得る。このような場合でも、セパレータ付き正極10や負極12の搬送方向の後側が搬送面32に着地する前に、ローラ本体42がセパレータ付き正極10や負極12に接触し、セパレータ付き正極10や負極12を挟み込む。セパレータ付き正極10や負極12は、押さえローラ40A,40Bによって挟み込まれることにより、搬送面32に対する面による接触にすぐに移行する。よって、セパレータ付き正極10や負極12に回転を生じさせるような偏った力が作用する時間は極短時間に抑えられる。これにより、搬送面32に乗り移ったセパレータ付き正極10および負極12の位置ずれが低減される。(なお、
図4では、押さえローラ40A,40Bが設けられない従来の搬送装置において、偏った力がワーク10に作用し続けることによりワーク10が回転してしまう状態を仮想線で示している。)
【0051】
次に、位置ずれを生じない状態でセパレータ付き正極10および負極12を搬送し、滑走部3上を落下させた後、積層部4に積層する。よって、搬送の次工程に悪影響を及ぼすことが防止される。
【0052】
押さえローラ40A,40Bは、着地位置Pの近傍に配置されているため、セパレータ付き正極10および負極12が搬送面32に着地した直後に、セパレータ付き正極10および負極12は、押さえローラ40A,40Bのローラ本体42の外周面と搬送面32との間に挟み込まれる。よって、セパレータ付き正極10および負極12の一部分のみが搬送面32に着地した場合でも、搬送面32に対してセパレータ付き正極10および負極12を速やかに面状に接触させることができる。たとえば、
図3(a)および(b)に示されるように、セパレータ13の下端部13bを速やかに面状に接触させることができる(図中の太線参照)。これにより、セパレータ付き正極10について力が偏って作用する状態は極短時間で解消され、均等に力が作用することで、セパレータ付き正極10の回転が抑制される。その結果、
図3(c)に示されるように、搬送方向D2に対して下端部13bが直交していて側辺13c,13cが平行な状態で、セパレータ付き正極10を搬送することができる。負極12に関しても、これと同様の作用が得られ、負極12の回転が抑制される。
【0053】
しかも、ガイド部24Aによって、搬送面22A,22B上におけるセパレータ付き正極10および負極12の姿勢が整えられる。ガイド部24A,24Bが出口部25A,25Bに設けられていると、セパレータ付き正極10および負極12がガイド部24A,24Bから離れる前に押さえローラ40A,40Bによる押さえ付けを行うことができ、セパレータ付き正極10および負極12の回転防止効果が高い。よって、セパレータ付き正極10および負極12を面で接触させた状態で次工程へ送ることができる。
【0054】
また、セパレータ付き正極10および負極12の矩形状のセパレータ13および本体部12bは、出口部25A,25Bに一方の長辺である上端部(上端部13a等)が乗った状態で、他方の長辺である下端部(下端部13b等)が搬送面32に着地する。よって、セパレータ付き正極10および負極12の下端部の一部分のみが搬送面32に着地した場合でも、上端部が搬送面22A,22Bに支持される。よって、セパレータ付き正極10および負極12の回転が抑制される。また、正極11のタブ11aおよび負極12のタブ12aは最後に着地するため、タブ11a,12aの損傷を防止できる。さらには、タブ11a,12aは最後に押さえローラ40A,40Bを通過するため、タブ11a,12aの損傷を防止できる。
【0055】
上記したように、押さえローラ40A,40Bを出口部25A,25Bに非常に近接させて配置した場合には、以下の効果が奏される。すなわち、セパレータ付き正極10の上端部13aが出口部25Aに乗った状態で、搬送面32に着地したセパレータ付き正極10の下端部13bをローラ本体42によって挟み込むようにすることで、セパレータ付き正極10の回転がより確実に防止される。負極12の本体部12bの上端部が出口部25Bに乗った状態で、搬送面32に着地した本体部12bの下端部をローラ本体によって挟み込むようにすることで、負極12の回転がより確実に防止される。
【0056】
さらには、セパレータ付き正極10と負極12とを別々に搬送し、二次搬送部30によって、これらの電極が混載で高速搬送される。よって、電極の高速積層が可能になっている。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。たとえば、押さえローラは、供給搬送部20Aおよび供給搬送部20Bに対して複数設けてもよい。供給搬送部20Aに対して一または複数の押さえローラ40Aを設け、供給搬送部20Bに対して押さえローラを省略してもよい。
【0058】
供給搬送部20Aおよび供給搬送部20Bによって搬送されるワークは、上記した態様に限られない。たとえば、供給搬送部20Bは、第1のワークとしてのセパレータ付き正極10を搬送してもよく、供給搬送部20Aは、第2のワークとしての負極12を搬送してもよい。個片のセパレータである場合には、正極11、負極12および個片のセパレータのそれぞれを、供給搬送部20Aおよび供給搬送部20Bに適宜分配して搬送してもよい(その場合には一部の搬送部において混載搬送となる)。供給搬送部20Aおよび供給搬送部20Bのいずれか一方を用いて個片のセパレータを搬送し、いずれか他方を用いて正極11および負極12を混載で搬送してもよい。
【0059】
供給搬送部20Aおよび供給搬送部20Bの一方が省略され、第1の搬送部が1つであってもよい。第1の供給部が3つ以上設けられてもよい。
【0060】
押さえローラ40Aまたは押さえローラ40Bと搬送面32との間には、隙間gが設けられず、押さえローラ40Aまたは押さえローラ40Bのローラ本体42が搬送面32に当接してもよい。回転軸41の高さは固定されている場合に限られず、回転軸41が上下に可動であってもよい。回転軸41が上下に可動とされ、回転軸41およびローラ本体42の自重によりワークを押さえてもよい。押さえローラ40A,40Bの回転軸41の回転軸線Lは、搬送方向D2に直交していなくてもよく、搬送方向D2に90度以外の角度をなして交差していてもよい。押さえローラ40A,40Bには、回転軸41を駆動する駆動源が設けられてもよい。その場合、回転軸41の回転速度は、ローラ本体42の外周部の周速度がベルト31の搬送方向D2の速度と同期するように設定されればよい。
【0061】
出口部25Aから着地位置Pまでの距離と、着地位置Pから押さえローラ40Aの位置までの距離とを合わせた長さは、搬送方向D1におけるセパレータ付き正極10(ワーク全体)の長さより短くなっていてもよい。出口部25Bから着地位置までの距離と、着地位置から押さえローラ40Bの位置までの距離とを合わせた長さは、搬送方向D1における負極12(ワーク全体)の長さより短くなっていてもよい。
【0062】
供給搬送部20Aおよび供給搬送部20Bは、コンベアによって構成される場合に限られない。供給搬送部20Aおよび供給搬送部20Bは、たとえば、チェーン式の搬送部であってもよいし、超音波式の搬送部であってもよい。空気の圧力差を利用する超音波式の搬送部を採用することで、摺動部を無くすことができる。
【0063】
二次搬送部30は、上記実施形態ではベルトコンベアを例示したが、特に限定されるものではなく、例えば、タイミングベルトやチェーンにより循環路上を搬送されるパレット搬送方式でもよい。