(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561637
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】超音波画像生成システムおよび超音波ワイヤレスプローブ
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
A61B8/14
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-137618(P2015-137618)
(22)【出願日】2015年7月9日
(65)【公開番号】特開2017-18238(P2017-18238A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2018年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100119987
【弁理士】
【氏名又は名称】伊坪 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100135976
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】高木 裕朗
(72)【発明者】
【氏名】米田 直人
(72)【発明者】
【氏名】足立 直人
(72)【発明者】
【氏名】玉村 雅也
(72)【発明者】
【氏名】井上 あまね
【審査官】
宮川 哲伸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−275088(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/041448(WO,A1)
【文献】
特開2014−150936(JP,A)
【文献】
特開2013−172959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波信号を送受信する超音波部、前記超音波部に供給する駆動信号を生成すると共に前記超音波部の受信信号を処理して超音波画像信号を生成する駆動制御・信号処理部およびプローブ側無線通信部を有するプローブ部と、
前記プローブ側無線通信部と相互に無線通信する端末側無線通信部、前記超音波画像信号に基づいた超音波画像の表示を行う表示部および一般測定情報を入力する操作部を有する端末と、を有し、
前記プローブ部は、前記端末から送信された前記一般測定情報から前記駆動信号の生成および前記受信信号の処理に必要な制御情報を決定する制御情報決定部を有し、
前記制御情報決定部は、前記一般測定情報と前記制御情報とを対応づけた表を有することを特徴とする超音波画像生成システム。
【請求項2】
超音波信号を送受信する超音波部、前記超音波部に供給する駆動信号を生成すると共に前記超音波部の受信信号を処理して超音波画像信号を生成する駆動制御・信号処理部およびプローブ側無線通信部を有するプローブ部と、
前記プローブ側無線通信部と相互に無線通信する端末側無線通信部、前記超音波画像信号に基づいた超音波画像の表示を行う表示部および一般測定情報を入力する操作部を有する端末と、を有し、
前記プローブ部は、前記端末から送信された前記一般測定情報から前記駆動信号の生成および前記受信信号の処理に必要な制御情報を決定する制御情報決定部を有し、
前記一般測定情報は、測定対象部位、性別、およびBMIを含み、
前記制御情報は、ゲイン、フォーカス位置、フォーカス点数、および画像処理パターンを含むことを特徴とする超音波画像生成システム。
【請求項3】
超音波信号を送受信する超音波部と、
前記超音波部に供給する駆動信号を生成すると共に前記超音波部の受信信号を処理して超音波画像信号を生成する駆動制御・信号処理部と、
無線通信部と、
前記無線通信部が受信した一般測定情報から前記駆動信号の生成および前記受信信号の処理に必要な制御情報を決定する制御情報決定部と、を有し、
前記無線通信部から前記超音波画像信号を送信し、
前記制御情報決定部は、前記一般測定情報と前記制御情報とを対応づけた表を有することを特徴とする超音波ワイヤレスプローブ。
【請求項4】
超音波信号を送受信する超音波部と、
前記超音波部に供給する駆動信号を生成すると共に前記超音波部の受信信号を処理して超音波画像信号を生成する駆動制御・信号処理部と、
無線通信部と、
前記無線通信部が受信した一般測定情報から前記駆動信号の生成および前記受信信号の処理に必要な制御情報を決定する制御情報決定部と、を有し、
前記無線通信部から前記超音波画像信号を送信し、
前記一般測定情報は、測定対象部位、性別、およびBMIを含み、
前記制御情報は、ゲイン、フォーカス位置、フォーカス点数、および画像処理パターンを含むことを特徴とする超音波ワイヤレスプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波画像生成システムおよび超音波ワイヤレスプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
生体に超音波を照射し、その反射を検出して生体内部の状態を示す超音波画像を生成する超音波画像生成システムが広く使用されている。一般的な超音波画像生成システムは、本体部と、本体部にケーブルで接続された超音波トランスデューサ(以下、超音波部と称す)と、を有する。本体部は、超音波部の駆動信号を生成し、生成した駆動信号をケーブルを介して超音波部に送信する。超音波部は、駆動信号にしたがって超音波を出力し、反射した超音波を捕えて反射超音波信号を生成し、本体部に送信する。本体部は、受信した反射超音波信号を処理して超音波画像を生成し、ディスプレイに表示する。
【0003】
近年、超音波画像生成システムは、モバイル機器化が期待されており、小型化、低コスト化、操作性向上等が望まれている。手で把持して生体部に接触させる超音波部がケーブルで本体部に接続されているために操作が制約される。そこで、ケーブルを無くし、無線通信でデータ通信を行うこと、すなわちワイヤレス化することで操作性を向上することが提案されている。しかし、超音波部と本体部間の通信は、データ転送量が多いため、無線通信では大量のデータを短時間に通信するのが難しく、超音波画像生成システムの小型化および操作性の向上を阻害する要因の1つとなっている。
【0004】
また、一般に超音波画像生成システムは専用装置となっており、高価格である。そこで、PC、PCタブレット、スマートフォン等の汎用端末を利用することで、低価格化することが望まれる。しかし、専用装置は機械式のつまみやスイッチを多く備えることで操作性の向上を図っていることもあり、汎用端末で同様の操作性を実現するのが難しいとう問題があった。さらに、ケーブルが特別なI/Fに対応したものであることも、超音波画像生成システムが専用端末となる原因になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−187244号公報
【特許文献2】特開2010−57562号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0139664号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実施形態によれば、操作性を改善した超音波診断装置が実現される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様の超音波画像生成システムは、プローブ部と、端末と、を有する。プローブ部は、超音波信号を送受信する超音波部、超音波部に供給する駆動信号を生成すると共に超音波部の受信信号を処理して超音波画像信号を生成する駆動制御・信号処理部およびプローブ側無線通信部を有する。端末は、プローブ側無線通信部と相互に無線通信する端末側無線通信部、超音波画像信号に基づいた超音波画像の表示を行う表示部および一般測定情報を入力する操作部を有する。プローブ部は、端末から送信された一般測定情報から駆動信号の生成および受信信号の処理に必要な制御情報を決定する制御情報決定部を有する。
制御情報決定部は、一般測定情報と制御情報とを対応づけた表を有する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態によれば、超音波画像生成システムの操作性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一般的な超音波画像生成システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態の超音波画像生成システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、汎用端末の表示部の表示例を示す図である。
【
図4】
図4は、一般測定情報と制御情報のパラメータ設定テーブル(表)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態の超音波画像生成システムを説明する前に、一般的な超音波画像生成システムについて説明する。
図1は、一般的な超音波画像生成システムの構成を示すブロック図である。
一般的な超音波画像生成システムは、プローブ10と、本体部20と、プローブ10と本体部20とを接続するケーブル15と、を有する。プローブ10と本体部20は、ケーブル15で接続され、本体部20とプローブ10の間で通信すると共に、本体部20からプローブ10へ電源が供給される。
【0011】
プローブ10は、超音波画像生成システムの測定者が保持し、測定対象である生体1の表面に接触され、生体1の内部を超音波により測定する。プローブ10は、ケーブルを介して受信した高電圧パルス信号を音波に変換し、音波を生体1に出力し、生体1内で筋肉や脂肪など音響インピーダンスが異なる境界において反射された音波を電気信号に変換するトランスデューサ11を有する。
【0012】
本体部20は、パルサ&スイッチ21と、AMP&ADC22と、デジタル信号処理部23と、制御部24と、表示制御部25と、表示部26と、操作部27と、を有する。パルサ&スイッチ21は、トランスデューサ11に供給する高電圧パルス信号を生成すると共に、スイッチ回路により反射音波の電気信号を選択し、AMP&ADC22に出力する。パルサ&スイッチ回路21は、制御部24からの制御信号に応じて、生体内で複数チャネル同時送信した信号のフォーカスを合わせるため、チャネルごとに遅延量を変えてフォーカスを合わせる処理を実施する。AMP&ADC22は、制御部24からの制御信号に応じて、アンプ(AM)により電気信号を増幅した後、ADC(Analog-to-Digital Converter)によりデジタル信号に変換し、デジタル信号処理部23に出力する。ここでは、トランスデューサ11の入出力のチャネル数が64、およびAMP&ADC22のチャネル数が8の例を示しているが、これらは任意であり、トランスデューサ11のチャネル間隔及びチャネル数により得られる超音波画像の幅及び分解能が決まる。パルサ&スイッチ21は、ADCのチャネル数分だけ同時にパルサ送信する。
【0013】
デジタル信号処理部23では、制御部24からの制御信号を利用して、AMP&ADC22からのデジタル信号の輝度情報への変換を行い、生体内での減衰を加味したゲイン補正などを実施し、超音波画像信号を生成する。以上の処理は、64チャネル分を1チャネルずつシフトして送受信し、その受信信号を処理することにより超音波画像信号を得ることができる。表示制御部25は、デジタル信号処理部23から超音波画像信号を受け、表示部26に超音波画像を表示するように制御する。
【0014】
制御部24は、測定者が操作部27を利用して入力した一般測定情報、例えば測定部位、測定対象者の性別、年齢、身長および体重(BMIでも可)等を受ける。制御部24は、パラメータテーブル(表)を有しており、テーブルを利用して一般測定情報に適した制御情報を決定する。制御情報には、ゲイン、フォーカス位置、フォーカス点数、使用する画像処理パターン等が含まれる。制御部24は、これらの制御情報に基づいて、パルサ&スイッチ回路21、AMP&ADC22、デジタル信号処理部23および表示制御部25を制御する。前述のように、パルサ&スイッチ回路21は、生体内で複数チャネル同時送信した信号のフォーカスを合わせるため、チャネルごとに遅延量を変えてフォーカスを合わせる処理を実施するが、フォーカス位置およびフォーカス点数はこれらの制御に利用される。また、ゲインは、AMP&ADC22におけるゲイン調整に利用され、画像処理パターンは、デジタル信号処理部23において使用する画像処理方法の決定に利用される。また、これらの制御情報は、表示部26で良好な超音波画像を表示するために、表示制御部25により利用される。さらに、一般測定情報は表示制御部25に供給され、測定対象者の確認のために、表示部26に表示される。
【0015】
上記の一般的な超音波画像生成システムの構成は、広く知られているので、これ以上の説明は省略する。
図2は、実施形態の超音波画像生成システムの構成を示すブロック図である。
【0016】
実施形態の超音波画像生成システムは、本体部20の代わりに汎用端末40を採用したこと、本体部20の構成要素の一部をプローブ側に移動したこと、汎用端末40とプローブの間をケーブルでなく無線通信で接続したことが、
図1の一般的な装置と異なる。そこで、
図1と
図2で共通の構成要素については同一の参照符号を付して表し、説明を省略する。
【0017】
実施形態の超音波画像生成システムは、プローブ30と、汎用端末40と、を有する。プローブ30と汎用端末40は、無線通信により通信可能である。ケーブルが設けられないため、プローブ30へ電源を供給することはできないので、プローブ30は、電池を有し、各部は電池駆動される。電池は、一次電池でも、充電可能な二次電池でもよい。
【0018】
プローブ30は、トランスデューサ11、パルサ&スイッチ21、AMP&ADC22およびデジタル信号処理部23に加えて、プローブ制御部31と、無線通信部32と、を有する。汎用端末40は、表示制御部25、表示部26および操作部27に加えて、端末制御部41と、無線通信部42と、を有する。
図1の制御部24の機能は、プローブ制御部31および端末制御部41により実現される。一般測定情報に適した制御情報を決定するためのパラメータテーブル(表)は、プローブ制御部31に設けられる。端末制御部41は、一般測定情報の入力に関係する簡便な処理を行うだけである。
【0019】
無線通信部32および無線通信部42は、それぞれ近距離無線通信機能(例えば、BLUETOOTH(登録商標))を有し、相互に無線通信(ワイヤレス通信)可能である。このように、プローブにケーブルが接続されないため、操作性が向上する。
【0020】
汎用端末40は、表示機能、入力機能および無線通信機能を有する端末であれば、どのようなものでも使用可能であり、例えばPCタブレット、PC、スマートフォン等に、超音波画像生成システム用アプリケーションソフトをインストールして使用する。
【0021】
以上の通り、実施形態の超音波画像生成システムは、まずワイヤレス化を実現するため、これまで本体側にあった機能のパルサ&スイッチ21をプローブ30側に配置する。これによりこれまでケーブルで転送していたトランスデューサとパルサ&スイッチ間の高電圧パルス信号および生体からの反射波のデータが同一基板上で転送されることになりケーブルを無くすことができる。また、プローブ30側にAMP&ADC22およびデジタル信号処理部23を配置することにより、プローブ30側で反射波のデータをデジタル信号処理で画像データ化することが可能となる。これに伴い、通信するデータサイズが圧縮されるため、無線で容易に汎用端末40に転送することが可能となる。
【0022】
汎用端末40は、パルサ&スイッチ21、AMP&ADC22、デジタル信号処理部23がプローブ30側に配置され、汎用端末の表示機能、入力機能、無線通信機能等の汎用端末の既存の機能を利用するだけであるから、汎用品で実現される。これにより、コストを低減し、装置を小型化できる。
【0023】
図3は、汎用端末の表示部の表示例を示す図である。
汎用端末40の表示部26には、取得した超音波画像50と、対象者の氏名、年齢、性別、身長、体重、BMI(Body Mass Index)、腹囲等の対象者情報51と、測定対象部位52(腹部52A、胸部52B、上腕部52C、大腿部52D等)が表示される。対象者情報51および測定対象部位52は、測定者が操作部27を利用して表示部26の表示内容を確認しながら入力される。しかし、これに限定されるものではなく、測定者に対応した汎用端末の場合には、汎用端末にあらかじめ記憶されている情報を利用することも可能である。また、表示部26がタッチスクリーン機能を有する者であれば、操作部27は不要で、表示部26をタッチすることによりこれらの情報の入力が可能である。
【0024】
端末制御部41は、入力された測定部位および対象者情報(測定に必要な情報のみでよい)を、無線通信部42および無線通信部32を介して、プローブ制御部31に送信する。プローブ制御部31は、受信した情報を元に、パラメータテーブルに従って制御情報を決定し、パルサ&スイッチ21、AMP&ADC22およびデジタル信号処理部23を制御する。これにより汎用端末40でパラメータを設定することが削減され操作性を維持することができる。
【0025】
図4は、一般測定情報と制御情報のパラメータ設定テーブル(表)を示す図である。
一般測定情報は、測定部位(腹部、胸部、上腕部、大腿部等)、生物、BMI(体重/(身長)
2)、年齢を含み、制御情報は、ゲイン、フォーカス位置、フォーカス点数、画像処理パターンを含む。
【0026】
例えば、腹囲が大きい対象者の場合には腹部の測定深度は深くなるため、体内での減衰を加味して深部の反射波データのゲインをより引き上げて画像輝度を適切にする必要であり、適切なゲインをテーブルに設定する。また、測定深度に応じてフォーカス点位置が変わるためにパルサ&スイッチ回路21の遅延量を変更する必要であり、さらに深度に応じてフォーカス点を複数持たせることで画質を向上させたりすることが想定される。そこで、適切なフォーカス位置およびフォーカス点数をテーブルに設定する。その他にも、測定部位ごとに測定範囲の変更や、特徴のある画像に合わせたフィルタ処理などの画像処理パターンの変更することが考えられるので、測定部位ごと適切な画像処理パターンをテーブルに設定する。
【0027】
実施形態では、汎用端末40側ではなくプローブ30側に画像最適化パラメータのテーブルを持たせるので、テーブル情報更新の際にはプローブのテーブル情報を更新するだけでよく、汎用端末40側は作業を要しない。これにより異なる汎用端末使用時にも同じパラメータで測定することが可能となる。
【0028】
以上、実施形態を説明したが、ここに記載したすべての例や条件は、発明および技術に適用する発明の概念の理解を助ける目的で記載されたものである。特に記載された例や条件は発明の範囲を制限することを意図するものではなく、明細書のそのような例の構成は発明の利点および欠点を示すものではない。発明の実施形態を詳細に記載したが、各種の変更、置き換え、変形が発明の精神および範囲を逸脱することなく行えることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0029】
11 トランスデューサ
21 パルサ&スイッチ
22 AMP&ADC
23 デジタル信号処理部
25 表示制御部
26 表示部
27 操作部
30 プローブ
31 プローブ制御部
32 無線通信部
40 汎用端末
41 端末制御部
42 無線通信部