(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
遊技機にて使用される遊技球をクリーニング(研磨)する様々なクリーニング装置が実用化されている。また、遊技機内部に循環経路を形成して、遊技球を遊技機内部に封入し、封入した遊技球を遊技機の遊技領域に繰り返し発射することで遊技を行うようにした封入式遊技機が提案されている。
【0003】
特許文献1には、封入式遊技機の内部における球循環経路の一部に配置され、循環する遊技球を研磨する球研磨装置が開示されている。特許文献1に開示された球研磨装置は、螺旋体が回転することにより遊技球を搬送すると共に、搬送されている遊技球に研磨布が接触することにより遊技球を研磨し、汚れを除去している。
【0004】
研磨布により遊技球を研磨した場合、遊技球の汚れが研磨布に付着し、堆積するため、研磨布における遊技球の接触面が適宜新しい面となるように変更する必要が生じる。特許文献1では、研磨布を複数の送りローラ間に架け渡し、送りローラを回転させる研磨布送り機構を設け、研磨布送り機構の送りローラが回転して、遊技球の接触面を変更することにより、この問題に対応している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に提案されている球研磨装置では、研磨布送り機構が大きい、機構が複雑である等の問題が有り、これらの問題は全体としてのコストアップにも繋がる。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、遊技球を移送する移送ローラにより移送される遊技球に外周部にて当接し、軸を中心に回転することで遊技球をクリーニングするクリーニングローラを設け、遊技球が当接するクリーニングローラ上の軌道が、遊技球毎に異なるように設計したクリーニングユニットを開示する。これにより、クリーニングローラにおける遊技球の当接部位を変更していくことが可能であり、大型化等の問題の抑制も期待することができるクリーニングユニットの提供を主たる目的とする。
【0008】
また、本発明は、本発明に係るクリーニングユニットを備えた遊技機の提供を他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本願記載のクリーニングユニットは、遊技機に収容可能で、遊技機にて使用される遊技球をクリーニングするクリーニングユニットであって、軸を中心に回転することで軸方向へ遊技球を移送する螺旋体を外周部に有する移送ローラと、前記移送ローラにより移送される遊技球に外周部にて当接し、軸を中心に回転することで遊技球をクリーニングするクリーニングローラとを備え、
前記クリーニングローラの軸方向は、前記移送ローラの螺旋体の軸方向と略平行であり、前記クリーニングローラのクリーニングする部分の軸方向の長さは、前記移送ローラの螺旋体の軸方向の長さと略同様であり、それぞれ単位時間当たりの回転数が異なるように前記移送ローラ及びクリーニングローラが回転することを特徴とする。
【0011】
また、クリーニングユニットは、前記移送ローラ及びクリーニングローラのうち単位時間当たりの回転数が小さい一方の回転数に対する他方の回転数の比の値は、整数ではないことを特徴とする。
【0012】
また、クリーニングユニットは、前記移送ローラ及びクリーニングローラをギア駆動する駆動部を備え、前記移送ローラ及びクリーニングローラに対するギア比はそれぞれ異なることを特徴とする。
【0013】
また、クリーニングユニットは、前記移送ローラの回転方向に沿って、前記移送ローラへ、移送すべき遊技球を供給する供給部を備え、前記移送ローラ及びクリーニングローラは、それぞれ反対方向へ回転することを特徴とする。
【0014】
また、クリーニングユニットは、前記移送ローラ及びクリーニングローラの少なくとも一方は、手動にて回転操作するための操作部を有することを特徴とする。
【0015】
また、クリーニングユニットは、前記クリーニングローラは、円筒状又は円柱状をなすローラ本体と、前記ローラ本体の外周部に巻装された巻装体とを備えることを特徴とする。
【0016】
更に、
本願記載の遊技機は、前記クリーニングユニットと、前記クリーニングユニットを収容する収容部と、前記クリーニングユニットにてクリーニングされた遊技球を発射する発射部と、前記発射部にて発射された遊技球を回収する回収部とを備え、前記回収部により回収された遊技球は、前記クリーニングユニットへ供給されることを特徴とする。
【0017】
本願記載のクリーニングユニット及び遊技機は、クリーニングローラにおける遊技球の当接部位を変更していくことが可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、移送ローラと、移送ローラにより移送される遊技球に外周部にて当接し、軸を中心に回転することで遊技球をクリーニングするクリーニングローラとを備え、遊技球が当接するクリーニングローラ上の起動を遊技球毎に変更する。これにより、本発明は、クリーニングローラにおける遊技球の当接部位を変更していくことが可能である等の優れた効果を奏する。また、クリーニングユニットの大型化、複雑化等の問題を抑制するように設計した場合には、全体としてのコストアップを抑制することにも繋がる等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】本発明のクリーニングユニットを収容した遊技機の内部構造の一例を示す概略図である。
【
図1B】本発明のクリーニングユニットを収容した遊技機の内部構造の一例を示す概略図である。
【
図2】本発明のクリーニングユニットを収容した遊技機の内部構造の一例を示す概略図である。
【
図3A】本発明に係るクリーニングユニットの外観を概略的に示す概略外観図である。
【
図3B】本発明に係るクリーニングユニットの外観を概略的に示す概略外観図である。
【
図3C】本発明に係るクリーニングユニットの外観を概略的に示す概略外観図である。
【
図4A】本発明に係るクリーニングユニットの外観を概略的に示す概略外観図である。
【
図4B】本発明に係るクリーニングユニットの外観を概略的に示す概略外観図である。
【
図5A】本発明に係るクリーニングユニットの外観を概略的に示す概略外観図である。
【
図5B】本発明に係るクリーニングユニットの外観を概略的に示す概略外観図である。
【
図6】本発明に係るクリーニングユニットの外観を概略的に示す概略外観図である。
【
図7】本発明に係るクリーニングユニットの内部構造を概略的に示す概略構造図である。
【
図8A】本発明に係るクリーニングユニットの内部構造を概略的に示す概略構造図である。
【
図8B】本発明に係るクリーニングユニットの内部構造を概略的に示す概略構造図である。
【
図9】本発明に係るクリーニングユニットが備えるクリーニングローラに用いられる巻装体の外観を概略的に示す概略外観図である。
【
図10A】本発明に係るクリーニングユニットが備えるクリーニングローラに用いられる巻装体及び遊技球の軌道を概略的に示す模式図である。
【
図10B】本発明に係るクリーニングユニットが備えるクリーニングローラに用いられる巻装体及び遊技球の軌道を概略的に示す模式図である。
【
図10C】本発明に係るクリーニングユニットが備えるクリーニングローラに用いられる巻装体及び遊技球の軌道を概略的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具現化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0021】
<遊技機全体>
図1A及び
図1B、並びに
図2は、本発明のクリーニングユニットを収容した遊技機の内部構造の一例を示す概略図である。
図1A及び
図1B、並びに
図2は、パチンコ台として用いられる封入式遊技機に適用した遊技機1を示している。
図1Aは遊技領域11を有する前方から視た正面図であり、
図1Bは、後方から視た背面図である。そして、
図2は、遊技面側を斜め上方から視た斜視図である。
図1A及び
図1B、並びに
図2は、遊技機1の外側の筐体を外し、内部の構成の概略が視認できるように示している。また、
図2は、遊技機1の内部の前面下部に設けられた前扉10を開いた状態で示している。
【0022】
遊技機1の前面は上部2/3程度が遊技領域11となっており、パチンコ玉等の遊技球を遊技領域11へ発射することにより遊技が行われる。遊技領域11には、遊技球の進路を変更させる多数の釘が打設されており、更に、画像の表示、羽根部材の動作等の演出を行う演出部12が配設されている。また、遊技領域11には、「セーフ球」として遊技球を回収する入賞口13及び「アウト球」として遊技球を回収するアウト口14が開設されている。
【0023】
入賞口13及びアウト口14から回収された遊技球は、回収部2にて回収され、回収部2に回収された遊技球は、遊技球を研磨によりクリーニングするクリーニングユニット3へ供給される。クリーニングユニット3は、遊技球をクリーニングし、クリーニングした遊技球を発射部4へ供給する。
【0024】
回収部2は、裏面に配設されており、セーフ球返却通路20、アウト球返却通路21、球循環通路22等の遊技球の通路となる構成を備えている。そして、入賞口13から回収された遊技球は、セーフ球返却通路20から球循環通路22を通ってクリーニングユニット3へ送られる。また、アウト口14から回収された遊技球は、アウト球返却通路21から球循環通路22でセーフ球と合流し、クリーニングユニット3へ送られる。
【0025】
クリーニングユニット3は、遊技機1内において、遊技領域11の下方に設けられた収容部15に、着脱可能に収容されている。クリーニングユニット3は、回収部2から供給される遊技球を下部から取り込み、取り込んだ遊技球をクリーニングしながら上方へ移送し、上部から遊技球を排出する。クリーニングユニット3から排出された遊技球は、前扉10の前面に設けられた発射球供給通路16を通って発射部4へ送られる。
【0026】
発射部4は、遊技機1の前面に配設されており、遊技者の操作をハンドルにて受け付け、受け付けた操作に基づいて、遊技球を遊技領域11へ発射する。
【0027】
このように、封入式遊技機である遊技機1では、機内で遊技球が循環するため、遊技中に遊技球が外部へ排出されることがない。このため、例えば、数十発等の少量の遊技球で遊技をすることができるので経済的であり、また、不正な遊技を抑制することができる等の効果が期待される。
【0028】
<クリーニングユニット>
図3A、
図3B及び
図3C、並びに
図4A及び
図4Bは、本発明に係るクリーニングユニット3の外観を概略的に示す概略外観図である。
図3Aは正面図、
図3Bは背面図、
図3Cは平面図、
図4Aは前方右上側からの視点で示した概略斜視図、そして
図4Bは後方右上側からの視点で示した概略斜視図である。また、
図5A及び
図5B、並びに
図6は、本発明に係るクリーニングユニット3の外観を概略的に示す概略外観図である。
図5Aは正面図、
図5Bは平面図、そして
図6は前方右上からの視点で示した概略斜視図である。
図5A及び
図5B並びに
図6は、クリーニングユニット3が備える筐体30に設けられた蓋部300を開けた状態を示している。
図7、並びに
図8A及び
図8Bは、本発明に係るクリーニングユニット3の内部構造を概略的に示す概略構造図である。
図7は正面図、
図8Aは前方右下側からの視点で示した概略斜視図、そして
図8Bは前方右上側からの視点で示した概略斜視図である。
図7並びに
図8A及び
図8Bは、筐体30の一部を構成する前方の部材を外し、内部構造が視認できるようにしたものである。これらの図を参照し、遊技機1に収容されたクリーニングユニット3について更に詳述する。
【0029】
クリーニングユニット3は、遊技球を移送する移送ローラ31と、移送ローラ31により移送される遊技球を研磨によりクリーニングするクリーニングローラ32と、移送ローラ31及びクリーニングローラ32をギア駆動する駆動部33とを備えている。移送ローラ31、クリーニングローラ32及び駆動部33は、筐体30内に収容されており、筐体30ごとクリーニングユニット3として収容部15に収容される。収容部15に収容されたクリーニングユニット3は、収容部15に対して着脱可能であり、作業者は、必要に応じて収容部15からクリーニングユニット3を取り出し、クリーニングユニット3自体、又はクリーニングユニット3が備える各種部材の修理、交換等の補修作業を行うことができる。特に、クリーニングローラ32は消耗品であるため、筐体30にはクリーニングローラ32を交換するために開閉可能な蓋部300が設けられている。
【0030】
移送ローラ31は、長手方向が80mm程度の棒状をなし、中心軸が回転軸となる軸体310と、軸体310の外周部に螺旋状に形成された螺旋体311とを備えている。螺旋体311は、外周側を薄く回転軸側を厚く形成した平板状の羽が所定のピッチで螺旋を描くように形成されており、螺旋に係るピッチは、遊技球の直径より若干大きく一つの遊技球が抵抗なく通れる程度の間隔となっている。また、筐体30において、移送ローラ31とクリーニングローラ32との間には、螺旋体311の回転により移送される遊技球の移送路として、軸方向が移送ローラ31と平行で一部が破断した筒状をなす球通路303が形成されている。球通路303の内径は、遊技球の直径より若干大きく一つの遊技球が抵抗なく通れる程度の大きさとなっている。このため、遊技球は、球通路303を通って、クリーニングローラ32の外周部に当接した状態を維持しながら移送される。そして、移送ローラ31は、回転軸となる軸体310を中心に回転することで、遊技球を軸方向へ移送するスクリューコンベアとして機能する。
【0031】
クリーニングローラ32は、円柱状又は中空の円筒状をなし、中心軸が回転軸となるローラ本体320と、ローラ本体320の外周部に巻装された巻装体321とを備えている。クリーニングローラ32の長手方向及び周方向の外形は移送ローラ31と同程度の長さとなるように形成されている。巻装体321は、遊技球を研磨によりクリーニングするための不織布、樹脂シート、シリコンゴム等の弾性を有する布状体にて形成されており、ローラ本体320から取り外し、交換することが可能である。また、クリーニングローラ32自体もクリーニングユニット3から取り外し、交換することが可能である。クリーニングローラ32は、移送ローラ31により移送される遊技球に外周部となる巻装体321にて当接し、回転軸となるローラ本体320を中心に回転することで遊技球をクリーニングする。なお、クリーニングローラ32は、分離可能なローラ本体320及び巻装体321にて形成するのではなく、一体型として形成することも可能であり、その場合、例えば、シリコンゴム製のローラとして形成するようにしても良く、更には金属、樹脂等の材質の起毛を有する回転ブラシとして形成する等、様々な形態に形成することが可能である。
【0032】
移送ローラ31及びクリーニングローラ32は、軸方向が平行となるように配設されており、それぞれ反対方向へ回転するように、駆動モータ330を用いた駆動部33にて駆動される。ここでは移送ローラ31及びクリーニングローラ32の軸方向が鉛直方向となるように配設された形態を示しているが、軸方向が水平方向であっても、水平に対して斜め方向であっても良い。
【0033】
筐体30の下部後面には、回収部2から供給される遊技球を取り込む球取込口301が開設されており、上面には遊技球を排出する球排出口302が開設されている。球取込口301から筐体30内に取り込まれた遊技球は、それぞれ反対方向に回転する移送ローラ31及びクリーニングローラ32の狭間へ、移送ローラ31及びクリーニングローラ32の回転により挟み込まれるようにして取り込まれる。移送ローラ31及びクリーニングローラ32に取り込まれた遊技球は、クリーニングローラ32によりクリーニングされながら、移送ローラ31により上方へ移送される。そして、遊技球は、移送ローラ31の上端に近接する球排出口302から筐体30外へ排出され、発射部4へ供給される。移送ローラ31及びクリーニングローラ32は、球取込口301から筐体30内に取り込まれる遊技球を挟み込むように回転しているため、遊技球を効率的に取り込むことができる。
【0034】
駆動部33は、図示しない電源から受電して回転動作する駆動モータ330と、駆動モータ330の軸芯に軸支され、駆動モータ330の回転動作に伴い回転する平歯車を用いたモータギア331とを備えている。モータギア331は、移送ローラ31の軸体310と回転軸を一にする平歯車を用いた第1移送ギア312と歯合しており、モータギア331の回転に伴い第1移送ギア312が回転し、第1移送ギア312と共に移送ローラ31が回転する。また、移送ローラ31の軸体310の回転軸には、第1移送ギア312とは別に、平歯車を用いた第2移送ギア313が軸支されており、移送ローラ31の回転に伴い第2移送ギア313が回転する。更に、第2移送ギア313は、クリーニングローラ32のローラ本体320と回転軸を一にする平歯車を用いたクリーニングギア322と歯合しており、第2移送ギア313の回転に伴いクリーニングギア322が回転し、クリーニングギア322と共にクリーニングローラ32が回転する。即ち、駆動モータ330が回転することにより、4枚のギアにて連動する移送ローラ31及びクリーニングローラ32が回転する。移送ローラ31及びクリーニングローラ32を一の駆動モータ330にて回転駆動することにより、例えば、複数のモータを必要とする特許文献1に開示された球研磨装置と比べて、大型化、複雑化、コストアップ等の問題点の発生を抑制することが可能となる。
【0035】
更に、クリーニングローラ32の回転軸には、円板状をなす操作部323が軸支されており、操作者は操作部323を回転操作することにより、手動にてクリーニングローラ32を回転させることが可能である。なお、必要に応じて移送ローラ31を回転操作する操作部を設けるようにしても良い。
【0036】
モータギア331、第1移送ギア312、第2移送ギア313、クリーニングギア322の歯数は、23、23、17、28となっている。従って、移送ローラ31とクリーニングローラ32とのギア比(減速比)は、17:28となる。ギア比の値が1ではないため、移送ローラ31とクリーニングローラ32との単位時間当たりの回転数(rpm)は異なっており、連続して遊技球を研磨する場合、それぞれの遊技球が当接するクリーニングローラ32上の軌道が異なることになる。即ち、第1の遊技球が当接するクリーニングローラ32上の軌道と、第1の遊技球の次に移送する第2の遊技球の軌道とが異なるように、クリーニングローラ32及び移送ローラ31が回転する。
【0037】
図9は、本発明に係るクリーニングユニット3が備えるクリーニングローラ32に用いられる巻装体321の外観を概略的に示す概略外観図である。巻装体321は、不織布等の研磨布にて形成されており、広げると
図9に示すように長方形状をなしている。
図9に例示する広げられた巻装体321は、長辺80mm×短辺54.7mmの大きさであり、長辺が軸方向となるようにして、直径17.4mmφのローラ本体320に巻回することでクリーニングローラ32を形成する。
【0038】
図10A、
図10B及び
図10Cは、本発明に係るクリーニングユニット3が備えるクリーニングローラ32に用いられる巻装体321及び遊技球の軌道を概略的に示す模式図である。
図10A乃至
図10Cは、移送ローラ31により移送されながらクリーニングローラ32に当接する遊技球が、クリーニングローラ32に巻回された巻装体321の表面上に当接する位置の軌道を、広げた状態の巻装体321に重畳して示した模式図である。
【0039】
図10Aは、移送ローラ31とクリーニングローラ32とのギア比が1であり、単位時間当たりの回転数が一致する場合の軌道を例示している。ギア比が1である場合、連続して移送される遊技球は毎回同じ軌道を辿る。
図10Bは、移送ローラ31とクリーニングローラ32とのギア比が1:3=1/3となり、360°×1/3=120°の位相差を生じる場合の軌道を例示している。ギア比が1/3である場合、1球目の遊技球が辿る軌道と、次に移送される2球目の遊技球が辿る軌道とは異なるが、1球目の遊技球が辿る軌道と4球目の遊技球が辿る軌道とは一致することになる。即ち、3本の軌道が描かれることになる。ギア比を3:1=3とした場合も同様である。
図10cは、移送ローラ31とクリーニングローラ32とのギア比が17:28=17/28となり、360°×(17/28)=218.57…°の位相差を生じる場合の軌道を例示しており、より多くの軌道が描かれている。なお、実際には、巻装体321上の軌道は、軸方向の長さ、螺旋体311の螺旋のピッチ等の他の要因をも含めて決定されるため、ギア比が1であっても
図10Aに示すように巻装体321上で一本の軌道となる訳ではない。ここでは、理解を容易にするため
図10Aに示すようにギア比が1の場合に軌道が1本となる例を示し、
図10Aを基準としてギア比に応じて軌道が異なる例を
図10B及び
図10Cに示した。
【0040】
このように遊技球の軌道が毎回異なるように移送ローラ31及びクリーニングローラ32の回転数を調整することにより、遊技球の当接部位を変更することができるため、巻装体321上に付着し、堆積する遊技球の汚れが局在化することを防止し、消耗品である巻装体321を効率的に使用することが可能となる。従って、移送ローラ31及びクリーニングローラ32のうち単位時間当たりの回転数が小さい一方の回転数に対する他方の回転数の比の値は、1ではないようにすることが好ましく、また整数ではないようにすることがより好ましく、そして回転数の整数比が互いに素となるようなギアを用いることが更に好ましい。ギアの歯数は整数であるため、数学上は、それぞれの歯数の最小公倍数の周期で同じ軌道を通ることになる。この最小公倍数が大きいほど周期が長くなり、巻装体321上の同じ箇所に汚れが堆積することを防止することが可能となる。
【0041】
また、移送ローラ31及びクリーニングローラ32の回転速度が異なるようにすることで、移送される遊技球に対し、移送ローラ31における周方向の回転が生じ易くなるため、遊技球の全体を効率的にクリーニングすることが可能となる。
【0042】
以上詳述した形態で実施した場合の本発明に係るクリーニングユニット3は、遊技球が当接するクリーニングローラ32上の当接部位を変更していくことができるので、巻装体321を効率的に使用することが可能となる。しかも、一つの駆動モータ330で移送ローラ31及びクリーニングローラ32をギア駆動するように実施した場合、クリーニングユニット3の大型化及び複雑化を防止することが可能である。
【0043】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形態で実施することが可能である。そのため、上述した実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。更に、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0044】
例えば、前記実施形態では、移送ローラ31とクリーニングローラ32との回転方向が反対方向となる形態を示したが、本発明はこれに限らず、回転方向が同方向となるようにする等、様々な形態に展開することが可能である。
【0045】
また、前記実施形態では、一つの駆動モータ330で移送ローラ31及びクリーニングローラ32をギア駆動する形態を示したが、本発明はこれに限らず、それぞれ異なる駆動モータ330で駆動するようにする等、様々な形態に展開することが可能である。
【0046】
更に、前記実施形態では、移送ローラ31及びクリーニングローラ32が、それぞれ円柱状又は円筒状をなす形態を示したが、本発明はこれに限らず、円錐状のローラを用いる等、様々な形態に展開することが可能である。
【0047】
また、本願に開示したクリーニングユニットは、遊技機に係る遊技球を回収する回収装置、遊技球を計数する計数装置、遊技球を搬送する搬送路等の他の装置へも転用することが可能である。