(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。説明中、「上」、「下」等の方向を示す語は、図面に示された状態に基づいた便宜的な語である。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、一実施形態に係る電池パックが有する電池モジュール10の概略構成を示す斜視図である。
図1に示したように、電池モジュール10は、複数の電池セルユニット12を備える。複数の電池セルユニット12は所定方向に並設されている。複数の電池セルユニット12は、バスバーといった導電部材14により電気的に直列又は並列に接続されている。
図1に示した例では、複数の電池セルユニット12は、電気的に直列接続されている。
【0023】
並設された複数の電池セルユニット12は、一対の拘束部材16,16によって挟まれ拘束されている。拘束部材16の例は、エンドプレートである。拘束部材16は、鉄等の剛性が高い材料により形成されている。複数の電池セルユニット12は、一方の拘束部材16、複数の電池セルユニット12及び他方の拘束部材16にボルト18a〜18dを順次挿通し、他方の拘束部材16から突出したボルト18a〜18dにナットを螺合して固定されている。
【0024】
図2を参照して、電池セルユニット12について説明する。
図2は、電池セルユニット12の概略構成を示す分解斜視図である。
図2に示すように、電池セルユニット12は、電池セル20と、フォルダ22と、伝熱プレート24とを有する。
【0025】
電池セル20は、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池といった蓄電池である。ただし、電池セル20は、二次電池に限られず、例えば、電気二重層キャパシタなどでもよい。電池セル20は、例えば、
図2に示しているように、角形を呈する。電池セル20は、例えば、電解液が充填されたケース26内に負極とセパレータと正極とを積層してなる電極組立体28を収容することによって構成されている。電解液としては、例えば有機溶媒系又は非水系の電解液等が挙げられる。
【0026】
ケース26は、平面視形状が四角形(例えば、
図2に示したような矩形、又は正方形)の底面26aと、底面26aから立設された側面26b,26c,26d,26eと、底面26aと反対側に位置する上面26fとを含む。ケース26において、側面26b及び側面26cが対向し、側面26d及び26eが対向している。ケース26は、例えば、底面26aと、底面26aから立設された側面26b,26c,26d,26eとを含む有底筒状のケース本体の開口を、上面26fを構成する蓋体で塞ぐことで形成されている。
【0027】
ケース26に収容された電極組立体28の負極及び正極は、ケース26に絶縁された状態で固定された一対の電極端子30,30にそれぞれ電気的に接続されている。よって、一対の電極端子30,30の一方は、負極端子として機能し、他方は正極端子として機能する。一対の電極端子30,30それぞれは、その一端が上面26fからケース26の外側に突出している。
【0028】
以下の説明の便宜のため、底面26aの法線方向をz軸方向と称し、底面26aから立設されている側面26bの法線方向をx軸方向と称し、x軸及びz軸方向と直交する方向をy軸方向と称す場合もある。
【0029】
フォルダ22は、電池セル20を保持する部材であり、ケース26における側面26b及び側面26cが露出するように電池セル20を保持する。フォルダ22の材料の例は樹脂である。フォルダ22は、枠体32と、仕切部34と、一対の端子収容部36,36と、一対のボルトガイド部38,38と、一対のボルトガイド部40,40とを有する。
【0030】
枠体32は、底板42と、一対の側板44,44とを含む。底板42は、電池セル20が載置される平面視形状(底板42の板厚方向から見た形状)が四角形状の板状部材であり、フォルダ22に電池セル20が保持された状態で、ケース26の底面26aと対向する。一対の側板44,44は、底板42の一対の縁部から立設している。
図2の例では、矩形状の底板42において長手方向の両縁部から一対の側板44,44が立設されている。一対の側板44,44は、フォルダ22に電池セル20が保持された状態で、ケース26の側面26d及び側面26eと対向する。このような構成では、電池セル20は、一対の側板44,44の間において底板42上に載置されることより、フォルダ22で保持される。
【0031】
仕切部34は、底板42の板厚方向において、一対の側板44,44の中間部分に設けられており、一対の側板44,44を接続する板状部材である。仕切部34は、側板44において、側板44の幅方向(
図2においてx軸方向)に延在する一対の縁部のうちの一方の側に設けられている。底板42の上面(フォルダ22の内側の面)から仕切部34の上端までの距離は、例えば、電池セル20のケース26の高さ(底面26aから上面26fまでの距離)と実質的に等しくできる。仕切部34の上記板厚方向の長さは、ケース26の高さより短い。
【0032】
この構成では、フォルダ22のうち仕切部34が設けられている側において、仕切部34と、底板42との間には開口が形成されていることになる。よって、フォルダ22に電池セル20が保持された状態で、ケース26の側面26bが露出する。フォルダ22のうち仕切部34と反対側は開放されているので、フォルダ22に電池セル20が保持された状態で、ケース26における側面26cも露出する。
【0033】
一対の端子収容部36,36は、電池セル20が有する一対の電極端子30,30をそれぞれ収容する。一対の端子収容部36,36のそれぞれは、一対の側板44,44に対応して設けられており、互いに直交する第1周囲壁46及び第2周囲壁48を有する。第1周囲壁46は、仕切部34の上端に設けられている。第1周囲壁46の一端は、対応する側板44に接続されている。第2周囲壁48は、第1周囲壁46の他端に接続されており、対応する側板44と対向している。よって、第1周囲壁46及び第2周囲壁48により、より具体的には、第1周囲壁46、第2周囲壁48及び側板44によって電極端子30が収容される空間(収容空間)が形成されている。
【0034】
一対のボルトガイド部38,38は、一対の端子収容部36,36にそれぞれ隣接して設けられている。各ボルトガイド部38,38は、筒状部であり、側面26bの法線方向(
図2においてx軸方向)に延在する。一対のボルトガイド部38,38には、それぞれがガイドすべきボルト18a,18bが挿通されるガイド孔38aが形成されている。
【0035】
一対のボルトガイド部40,40は、フォルダ22の底板42の外面に設けられている筒状部である。一対のボルトガイド部40,40は、一実施形態において、底板42における一対の側板44,44が設けられている縁部近傍に設けられている。各ボルトガイド部40は、ボルトガイド部38と同様に筒状部であり、ボルトガイド部38と同じ方向に延在している。一対のボルトガイド部40,40には、それぞれがガイドすべきボルト18c,18dが挿通されるボルト孔40aが形成されている。
【0036】
伝熱プレート24は、電池セル20を放熱するための伝熱部材である。伝熱プレート24は例えば金属プレートであり、伝熱プレート24の材料の例は、アルミニウムである。伝熱プレート24は、板状の吸熱部50と、板状の放熱部52とを有する。
【0037】
吸熱部50は、伝熱プレート24においてケース26の側面26bと対向する部分である。放熱部52は、伝熱プレート24においてケース26の側面26dと対向する部分である。放熱部52は、吸熱部50の一縁部に設けられており、吸熱部50と略直交する。よって、伝熱プレート24は、
図2において、上側から見た場合、L字状を呈する。
【0038】
伝熱プレート24は、放熱部52が、ケース26の側面26d側の側板44を挟んで側面26dと対向するように電池セル20に対して配置されている。伝熱プレート24は、吸熱部50とケース26の側面26bとを接合することで、電池セル20に熱的に接続されている。吸熱部50と側面26bとの接合は、それらが熱的に接続されるような接合方法であればよい。例えば、それらは、両面接着テープを介して接続され得る。
【0039】
上記のように、各電池セルユニット12は電池セル20を有する。そのため、複数の電池セルユニット12が並設された電池モジュール10では、複数の電池セル20も並設されている。
【0040】
電池モジュール10において、複数の電池セル20(或いは、電池セルユニット12)は、ケース26の側面26bの法線方向(
図2においてx軸方向)に並設されている。よって、隣接する電池セル20間には、伝熱プレート24のうち吸熱部50が配置されている。伝熱プレート24のうち放熱部52は、吸熱部50の一縁部に立設されており、側面26d側に位置する側板44を挟んで、側面26dと対向している。そのため、放熱部52は、電池モジュール10において露出している。
【0041】
次に、
図1に示した電池モジュール10を備える電池パックの一実施形態について説明する。
【0042】
図3は、一実施形態に係る電池パックの斜視図である。
図4は、
図3のIV−IV線に沿った断面図である。
図5は、
図3に示した電池パックの分解斜視図である。
図6は、
図5のVI−VI線に沿った断面図である。
図3〜
図5では、電池モジュール10は模式的に図示されている。
【0043】
図3〜
図5に示すように、電池パック1Aは、ケース54と、2つのサブアセンブリ56,56と、を備える。2つのサブアセンブリ56,56を区別して説明する際には、サブアセンブリ56A及びサブアセンブリ56Bと称する場合もある。
【0044】
ケース54は、サブアセンブリ56を収容する箱状体である。ケース54は、ケース本体58と、ケース蓋60とを有する。ケース54の材料の例は、鉄である。ケース本体58は有底筒状を呈し、ケース本体58が有する底壁62と反対側が開放されている。ケース本体58の開放側の端面にケース蓋60が固定される。ケース蓋60の固定方法は特に限定されないが、例えば、
図3〜
図5に示したように、ボルト64により締結される。この場合、
図5に示したように、ケース本体58には、ボルト64が螺合するネジ孔66が形成され、ケース蓋60には、ボルト64を挿通する挿通孔68が形成されている。
【0045】
図3〜
図5に示したようにケース本体58は、底壁62と、一対の側壁(取付け壁)70,70と、一対の側壁72,72とを有する。底壁62の平面視形状は四角形状(矩形又は正方形)である。一対の側壁70,70は、底壁62の4つの縁部のうち対向する一対の縁部から立設されている。よって、側壁70と側壁70とは対向する。一対の側壁72,72は、底壁62のうち4つの縁部のうち残りの対向する一対の縁部から立設されている。よって、側壁72と側壁72とは対向する。底壁62と側壁70,72のなす角度は、例えば、実質的に90°である。
【0046】
図4及び
図5に示したように、一対の側壁70,70のそれぞれにはサブアセンブリ56が固定されており、側壁70には、サブアセンブリ56の一部を露出させるための窓部74が形成されている。窓部74は開口部であり、窓部74の平面視形状(側壁70の厚さ方向から見た形状)は特に限定されないが、
図5に示したように矩形又は正方形といった四角形状でもよいし、或いは、円形でもよい。サブアセンブリ56は、側壁70の外面70a側から挿入されるボルト76で締結される。そのため、側壁70には、ボルト挿通孔78が形成されている。ボルト挿通孔78は、例えば窓部74の周囲に形成されている。
【0047】
説明の便宜のため、
図3〜
図5に示したように、底壁62の上面(底壁62においてケース54の内側の面)の法線方向をZ軸方向とし、Z軸方向に直交する2つの方向をX軸方向及びY軸方向と称す。X軸方向及びY軸方向は互いに直交する。
【0048】
図4及び
図5に示したように、サブアセンブリ56は、複数の電池モジュール10と、放熱板80と、を含む。複数の電池モジュール10は、放熱板80の一表面である搭載面80aに固定される。
【0049】
各電池モジュール10は、
図6に例示したように、伝熱プレート24の放熱部52が放熱板80の搭載面80aに接するように、放熱板80に固定される。一実施形態において、各電池モジュール10は、一対の固定ブラケット82によって放熱板80に固定される。なお、固定ブラケット82と拘束部材16とを別部材として説明しているが、固定ブラケット82と拘束部材16とは一体に形成された一つの部材でもよい。
【0050】
図4及び
図5に示したように、放熱板80は板状部材であり、電池モジュール10が搭載される搭載板でもある。放熱板80は熱伝導性を有する材料から構成されていれば特に限定されないが、例えば、鉄及びアルミニウムである。放熱板80における電池モジュール10が搭載される搭載面80aと反対側の面(以下、「裏面」と称す)80bには、ボルト76と螺合するネジ孔84が形成されている。放熱板80は、裏面80bが側壁70に接した状態でボルト76により固定されている。具体的には、放熱板80は、ボルト76が側壁70の外側からボルト挿通孔78に挿通された後、ボルト76がネジ孔84に螺合することによって、側壁70に固定されている。
【0051】
放熱板80のX軸方向(
図5の例示では、放熱板80長手方向)の長さは、放熱板80がケース本体58に収容可能であれば特に限定されない。よって、放熱板80のX軸方向の長さは、一対の側壁72,72の間の長さより短くてもよいし又は同じでもよい。一実施形態において、放熱板80のX軸方向の長さは、一対の側壁72,72の間の長さより長くてもよい。この場合、側壁72の内面には、Z軸方向に延在しており放熱板80をガイドする凹部を形成し得る。このような凹部が側壁72に形成されていれば、放熱板80の位置合わせが容易になるため、電池パック1Aの組立てが容易になる。
【0052】
放熱板80のZ軸方向(底壁62の厚さ方向)の長さは、底壁62とケース蓋60との間の距離、すなわち、
図4において底壁62の上面とケース蓋60の下面との間の距離以下であればよい。放熱板80のZ軸方向の長さが、底壁62とケース蓋60との間の距離より短い場合、例えば、
図4に示したように、放熱板80を底壁62に接するように配置してもよいし、又は、放熱板80と底壁62との間に隙間を設けてもよい。放熱板80を底壁62に接するように配置している場合には、例えば、
図3及び
図5に示した4つのボルト76のうち、ケース蓋60側の2つのボルト76,76で放熱板80を側壁70に固定してもよい。
【0053】
図4に示したように、放熱板80と底壁62とが接している形態では、サブアセンブリ56は、より安定した状態でケース54内に収容されている。よって、例えば、電池パック1Aが自動車又はフォークリフトなどのバッテリとして使用された場合、自動車又はフォークリフトなどの振動の影響を受けにくい。同様に、
図3及び
図5に示したように、ケース蓋60側に加えて、底壁62側においても、ボルト76で放熱板80を側壁70に締結することで、サブアセンブリ56の安定性が更に向上している。
【0054】
2つのサブアセンブリ56の少なくとも一方が有する放熱板80には、リレー及びコネクタなどの電気部品を収容したジャンクションボックス86が搭載されていてもよい。第1の実施形態では、
図5に示したように、サブアセンブリ56Bにジャンクションボックス86が搭載されている。
【0055】
電池パック1Aにおいて、複数の電池モジュール10が有する各電池セル20及びジャンクションボックス86は、ハーネスなどの配線部材により適宜電気的に接続されている。複数の電池モジュール10は、例えば、電気的に直列接続される。図面においてハーネス(又はケーブル)などの配線部材の図示は省略されている。
【0056】
一実施形態において、ケース本体58が有する底壁62には、
図7に示したように、水抜き用の貫通孔88が形成されていてもよい。
図7は、ケース本体58を開口から側から見た平面図である。貫通孔88は、底壁62において、側壁70が設けられている縁部近傍に形成される。
【0057】
具体的には、貫通孔88は、放熱板80がケース54に収容された状態で、放熱板80を、底壁62に投影した場合に搭載面80aの投影位置(或いは対応位置)から放熱板80が取り付けられた側壁70までの間に形成されていればよい。したがって、貫通孔88は、側壁70が立設されている底壁62の縁部において、縁部に沿って放熱板80の幅で延びる領域内に形成されていることになる。上記放熱板80を底壁62に投影するとは、放熱板80をZ軸方向に投影することを意味している。或いは、貫通孔88は、
図7に示したように、放熱板80を底壁62に投影した領域である投影領域90に形成されていればよい。
図7では、上記投影領域90を二点鎖線で示している。
【0058】
上記のように、貫通孔88は、Y軸方向(側壁70の厚さ方向)においては、側壁70から搭載面80aの投影位置までに形成されていればよい。一方、X軸方向(側壁70が立設されている底壁62の縁部に沿った方向)においては特に限定されないが、例えば、X軸方向における窓部74の形成領域に対応する領域Aに形成されていてもよい。領域Aは、放熱板80のうち窓部74に対向する部分の底壁62への投影領域に対応する。
図7では、領域Aを図示するために領域Aにハッチングを付している。
【0059】
貫通孔88は、側壁70が立設されている底壁62の縁部側に少なくとも一つ形成されていればよい。投影領域90において、貫通孔88を複数設ける場合、例えば、
図7に示したように、投影領域90の延在方向に沿って複数の貫通孔88を離散的に配置し得る。
図3のIV−IV線の断面図である
図4では、貫通孔88を有する形態の電池パック1Aの断面図を示している。貫通孔88の数は、例えば、ケース54の強度及び水抜き機能を考慮して決定されていればよい。
【0060】
図3〜
図5に示した電池パック1Aは、例えば、次のようにして製造され得る。ここでは、サブアセンブリ56Bにジャンクションボックス86が搭載されている形態について説明する。
【0061】
まず、放熱板80にそれぞれ複数の電池モジュール10を固定して、サブアセンブリ56を作製する。この際、サブアセンブリ56Bにジャンクションボックス86も搭載する。次いで、サブアセンブリ56に搭載された複数の電池モジュール10及びジャンクションボックス86内の電気部品をハーネス(又はケーブル)などの配線部材で電気的に接続する。その後、サブアセンブリ56を、放熱板80の裏面80bが側壁70の内面に接するように配置した状態で、側壁70の外側からボルト76で締結することで、ケース本体58にサブアセンブリ56を収容する。続いて、ケース蓋60を、ケース本体58にボルト64で固定することで電池パック1Aが得られる。
【0062】
電池パック1Aの構成では、複数の電池モジュール10が放熱板80に搭載されることによって構成されたサブアセンブリ56を備えている。そのため、前述したように、サブアセンブリ56を予め組み立て及び配線した後、そのサブアセンブリ56をケース54に固定することで電池パック1Aを製造できる。よって、例えば、複数の電池モジュール10をケース54に個別に固定し、配線する場合に比べて、電池パック1Aの組立て(製造)が容易である。
【0063】
電池パック1Aでは、放熱板80は裏面80bが側壁70に接するように側壁70に固定されている。そのため、電池モジュール10(具体的には電池セル20)で生じた熱は、放熱板80を介して側壁70に伝わり、側壁70から外部に放出される。
【0064】
更に、側壁70には窓部74が形成されていることから、電池パック1Aでは、放熱板80の一部、より具体的には、裏面80bの一部が露出している。よって、電池パック1Aの放熱性が向上する。この点について、側壁70に窓部74が形成されていない場合と比較しながら、詳述する。
【0065】
前述したように、複数の電池モジュール10を放熱板80に予め搭載し、サブアセンブリ56を作製することで、電池パック1Aの組立てが容易になる。ただし、放熱板80を側壁70にボルト76で締結したとしても、放熱板80と側壁70との間に隙間(空気層)が生じる場合がある。このように隙間が生じた場合、仮に、側壁70に窓部74が形成されていないと、その隙間により、放熱板80から側壁70への熱伝導が阻害される場合が生じる恐れがある。
【0066】
これに対して、側壁70に窓部74が形成されていれば、放熱板80の裏面80bと側壁70との間に隙間が生じていても、窓部74から露出している裏面80bの露出領域を介して電池モジュール10を効率的に放熱できる。その結果、電池パック1Aの放熱性が向上する。
【0067】
次に、
図7に示したように、ケース54の底壁62に水抜き用の貫通孔88を設けている形態では、仮に、窓部74から水が浸入したとしても、その水を排水可能である。この点を具体的に説明する。
【0068】
通常、電池パック1Aを例えば自動車又はフォークリフトなどのバッテリとして使用する際には、底壁62が鉛直方向において下側に配置される。そのため、窓部74から浸入してきた水は、底壁62側に移動する。よって、底壁62に貫通孔88が形成されている形態では、窓部74から浸入してきた水を、貫通孔88からケース54から排出できる。
【0069】
貫通孔88は、放熱板80を、底壁62に投影した場合における搭載面80aの投影位置から放熱板80が取り付けられた側壁70のまでの間(或いは、投影領域90内)に形成されている。換言すれば、側壁70の内面から放熱板80の板厚分の領域に貫通孔88が形成されている。そのため、ケース54内に窓部74を介して入ってきた水は、電池モジュール10等が配置されている領域に達するまでに貫通孔88から排水される。これにより、電池モジュール10等の電気的な部品が配置されている領域まで水が到達し難い。
【0070】
また、貫通孔88が、
図7に示した領域Aに形成されていれば、窓部74から浸入してきた水を効率的に排水できるので、より一層、電池モジュール10等の電気的な部品が配置されている領域まで水は達し難い。前述したように、放熱板80が底壁62に接触している形態では、窓部74から浸入してきた水が、電池モジュール10等の電気的な部品が配置されている領域までより一層到達し難い。
【0071】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態に係る電池パックの斜視図である。
図9は、
図8のIX―IX線に沿った断面図である。
図10は、
図8に示した電池パックが有するサブアセンブリの斜視図である。
図8及び
図9に示した電池パック1Bの構成は、サブアセンブリ56の代わりにサブアセンブリ92を備える点で、主に、電池パック1Aの構成と相違する。この相違点を中心に電池パック1Bを説明する。第2の実施形態及び後述する変形例1,2の説明においても、電池パック1Aの説明の際に使用したX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向を使用する場合もある。
【0072】
電池パック1Bは、電池パック1Aと同様に、ケース54と2つのサブアセンブリ92とを備える。ケース54の構成は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0073】
図9及び
図10に示したように、サブアセンブリ92は、複数の電池モジュール10と、と放熱板94とを有する。
図9及び
図10において、電池モジュール10は、模式的に示されている。サブアセンブリ92は、放熱板80の代わりに放熱板94を有する点以外は、サブアセンブリ56の構成と同様である。放熱板94は、本体部(ベース部)96と、露出部98とを有する。
【0074】
本体部96は、複数の電池モジュール10が搭載される搭載面96aを有する板状部材である。本体部96の搭載面96aと反対側の面(以下、裏面と称す)96bには、露出部98が設けられている。本体部96と露出部98とは一体的に成形されていてもよい。本体部96の裏面96bにおいて、露出部98の周囲には、ボルト76が螺合されるネジ孔84(
図10参照)が形成されている。本体部96の大きさ及びケース54内での配置状態は、第1の実施形態で説明した放熱板80と同様とし得る。
【0075】
露出部98は、本体部96の裏面96bにおいて、第1実施形態の場合と同様に開口部である窓部74に対向する領域に設けられている。一実施形態において、露出部98は、
図10に示したように、板状を呈する。放熱板94の板厚方向から見た場合の露出部98の形状及び大きさは、窓部74の形状及び大きさと実質的に同じである。露出部98の厚さ(側壁70又は放熱板94の厚さ方向の長さ)は、側壁70の厚さより長い。よって、
図8及び
図9に示したように、露出部98の端部98aは、サブアセンブリ92がケース54に収容された際、窓部74からケース54の外側に突出する。換言すれば、端部98aは、側壁70の外面70aから外方に突出しており、外面70aの外側に位置する。
【0076】
図8に示したように、露出部98の端部98aと、ケース54の側壁70の外面70aとの間の最大長さをDとし、ボルト76のボルト頭(頭部)76aの長さをdとしたとき、Dはd以上である。一実施形態において、Dはdと同じである。ボルト頭76aの長さとは、ボルト76の軸方向におけるボルト頭76aの最大長さであり、ボルト頭76aの厚さを意味する。
【0077】
電池パック1Bでは、電池パック1Aと同様に、サブアセンブリ92を備えている。そして、サブアセンブリ92が有する放熱板94の一部、より具体的には、露出部98が、側壁70に形成された窓部74から突出している。よって、電池パック1Bは、少なくとも電池パック1Aと同じ作用効果を有する。すなわち、電池パック1Bは、電池パック1Aと同様に、組立て易い。更に、電池パック1Bは、電池パック1Aと同様に放熱性が向上している。
【0078】
電池パック1Bでは、
図9に示したように、ボルト頭76aが露出部98の端部98aから突出することが防止されている。従って、例えば、露出部98が設けられている部分での放熱板94の板厚(本体部96及び露出部98の厚さの合計)を、第1の実施形態における放熱板80の板厚と同じ厚さとすれば、電池パック1BのY軸方向の長さ(放熱板94の板厚方向の長さ)を小さくできる。よって、電池パック1Bの小型化を図れる。
【0079】
電池パック1Bでは、露出部98が窓部74から外側に突出していることから、放熱板94のうち露出している表面積が増えている。その結果、電池パック1Bでは、放熱性が更に向上する。前述したように、露出部98の形状及び大きさは、窓部74の形状及び大きさと実質的に同じである。そのため、露出部98を窓部74から突出させることで側壁70に対するサブアセンブリ92の位置決めができる。その結果、電池パック1Bの組立てがより容易になる。
【0080】
図8に示した電池パック1Bにおいても、ケース54の底壁62に貫通孔88が形成されていてもよい。この場合、電池パック1Aにおいて底壁62に貫通孔88が形成されている場合と同様の作用効果を有する。すなわち、窓部74から仮に水がケース54内に浸入しても貫通孔88から水が抜ける。その結果、電池モジュール10など電気部品が設けられている領域に水が浸入することが防止され得る。
【0081】
底壁62に貫通孔88が形成されている形態では、貫通孔88は、放熱板80の代わりに放熱板94を底壁62に投影した場合における搭載面96aの投影位置から放熱板94が取り付けられた側壁70までの間に形成されていればよい。貫通孔88が底壁62に形成されている電池パック1Bにおいて、
図7を利用して説明した投影領域90は、放熱板94の投影領域に対応する。ただし、放熱板94のうちケース54内には本体部96が配置されているので、投影領域90は、具体的には、本体部96の投影領域に対応する。
【0082】
(変形例1)
図11は、
図8に示した電池パックの変形例を示す図面である。
図12は、
図11に示した電池パックが有するサブアセンブリの斜視図である。
図11に示した電池パック1Cは、サブアセンブリ92の代わりに、
図12に示したサブアセンブリ100を使用している点以外は、電池パック1Bの構成と同様である。よって、サブアセンブリ100について説明し、他の構成要素の説明は省略する。
【0083】
サブアセンブリ100は、複数の電池モジュール10と、放熱板102とを有する。
図12において、電池モジュール10は模式的に示されている。放熱板102は、露出部98の代わりに、複数の凸部104を有する露出部106が本体部96の裏面96bに形成されている点で主に放熱板94の構成と相違する。
【0084】
複数の凸部104は、一方向(
図11及び
図12では、Z軸方向)に延在しており、各凸部104は例えばフィン状を呈する。複数の凸部104は、凸部104の延在方向に直交する方向に離散的に配置されている。この場合、
図11に示したように、電池パック1Cでは、複数の凸部104が窓部74から突出する。そのため、放熱板102において、外気に露出する表面積が増大するので、放熱性が一層向上し得る。
【0085】
露出部106において、ケース54の外側に位置する端部と、ケース54の側壁70の外面70aとの間の最大長さを第1の実施形態と同様にDとしたとき、最大長さDは、電池パック1Bの場合と同様に、ボルト76のボルト頭(頭部)76aの長さであるd以上であり得る。この場合、露出部98の場合と同様に、電池パック1Cにおいて、ボルト頭76aが凸部104の端部104aから突出することが防止される。従って、電池パック1Bの場合と同様に、電池パック1Cの小型化を図れる。
【0086】
上記露出部106は、複数の凸部104を有するので、上記最大長さ(D)は、複数の凸部104それぞれのケース54の外側に位置する端部104aと、外面70aとの間の距離のうちの最大長さに対応する。
図11及び
図12に示した形態では、各凸部104の形状及び大きさは同じとしているため、最大長さであるDは、端部104aと、外面70aとの間の距離に対応する。
【0087】
変形例1においてもケース54の底壁62に貫通孔88が形成されていてもよい。この場合、
図3〜
図5に示した電池パック1Aにおいて底壁62に貫通孔88が形成されている形態と同様の作用効果を有する。
【0088】
変形例1において、底壁62に貫通孔88を形成されている形態では、電池パック1Bの場合と同様に、貫通孔88は、搭載面96aの投影位置から放熱板102が取り付けられた側壁70のまでの間に形成されていればよい。この形態において、
図7を利用して説明した投影領域90は、放熱板102、より具体的には、本体部96の投影領域に対応する。
【0089】
(変形例2)
図12に示した放熱板102のように、本体部96の裏面96bに複数の凸部104が形成されている形態では、ケース本体58の代わりに、
図13に示したようなケース本体108を採用してもよい。ケース本体108では、窓部74の代わりに窓部110が側壁70に形成されている点で、ケース本体58の構成と相違する。
【0090】
窓部110は、複数の凸部104に対応する複数の窓112を有する。換言すれば、窓部110は、
図5に例示したような一つの窓部を、複数の領域(小窓或いは開口領域)に仕切ったものに対応する。各窓112は、対応する凸部104を通すための孔である。凸部104の延在方向と同じ方向(
図13ではZ軸方向)に延在している。よって、複数の窓112は、窓112の延在方向に直交する方向に離散的に配置されていることになる。窓112の延在方向の長さ及び延在方向と直交する方向の長さ(幅)は、凸部104の対応する長さと実質的に同じである。
【0091】
電池パック1Cにおいて、ケース本体58の代わりにケース本体108を使用した電池パック(以下、「変形例2の電池パック」とも称す)では、各窓112から対応する凸部104が、ケース本体108の外側に突出する。
【0092】
上記変形例2の電池パックの構成は、側壁70に窓部74の代わりに複数の窓部110が形成されている(具体的には、複数の窓112が形成されている)点以外は、実質的に変形例1の電池パック1Cと同様である。よって、変形例2の電池パックは、電池パック1Cと少なくとも同様の作用効果を有する。
【0093】
ケース本体108が有する複数の窓112と複数の凸部104とが対応していることから、このケース本体108を使用した電池パックでは、サブアセンブリ92の位置合わせが容易である。よって、電池パックの組立てが更に容易である。
【0094】
変形例2においてもケース本体108の底壁62に貫通孔88が形成されていてもよい。この場合、変形例2の電池パックは、
図3及び
図4に示した電池パック1Aの場合と同様の作用効果を有する。底壁62に貫通孔88が形成されている形態では、
図7を利用して説明した領域Aは、窓部74の代わりに窓部110に対応する領域とすればよい。
【0095】
以上、本発明の種々の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態及び実験例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0096】
例えば、電池パック1A,1Bにおいて、一つの側壁70に対して一つの窓部74が形成されている形態を例示したが、例えば、一つの側壁70に対して複数の窓部74を形成してもよい。この場合、隣接する2つの窓部74の間の領域においてもボルト76によって、側壁70と放熱板80,94とを締結できる。その結果、電池パック1A,1Bにおけるサブアセンブリ56,92の安定性が向上する。ここでは、電池パック1A,1Bについて説明したが、電池パック1Bの変形例1,2についても同様である。
【0097】
図11及び
図12を利用して説明した変形例1では、複数の凸部104は、実質的に一定間隔で配置されていたが、隣接する凸部104の間隔は異なっていてもよい。変形例1で説明したように、露出部が複数の凸部を有する形態では、凸部の形状は、凸部104のように一方向に延在したものに限定されない。例えば、凸部は、
図10に示した板状の露出部98を、
図10におけるX軸方向及びZ軸方向においてそれぞれ分割した形状であってもよい。
【0098】
このような複数の凸部の配置構成(例えば、凸部の数、隣接する凸部の間隔及び、凸部の大きさ)は放熱板による放熱性を向上させる観点から設計され得る。より詳細には、複数の凸部の配置構成は、電池パックの使用時に高温となる電池モジュールの放熱性(特に、電池モジュールの中央部近傍での放熱性)を向上させる観点から設計され得る。例えば、放熱板の平面視形状(放熱板の板厚方向からみた形状)において放熱板の中央部近傍における凸部の数を他の部分より多くしてもよい。同様に、放熱板の中央部近傍における凸部を他の部分の凸部より大きくしてもよい。一例としては、
図12に示したように、凸部が一方向に延在している場合、放熱板の中央部近傍における凸部の幅(凸部の延在方向に直交する方向の長さ)を、他の部分の凸部の幅より長くしていてもよい。或いは、電池モジュールの中央部近傍の温度が高くなり易いことから、放熱板に搭載された電池モジュールの中央部近傍に対応する領域に凸部をより多く設けてもよいし、その領域の凸部の大きさ(例えば、凸部の幅)をより大きくしてもよい。更に、
図12に示したように、
図12に示したZ軸方向(
図9に示した底壁62の法線方向)に電池モジュールを2段構成で設けている形態では、電池モジュールの配置に対応させて凸部もZ軸方向に2段構成で設けてもよい。更に、放熱板に搭載された複数の電池モジュールそれぞれに対応した領域に、それぞれ複数の凸部を設けてもよい。
【0099】
また、電池パック1Bの説明では、
図10に示したように、端部98aが平坦である露出部98を例示した。しかしながら、端部98aは平坦でなくてもよい。例えば、露出部において、電池モジュールに対応する部分の厚さが他の部分より厚くなっていてもよい。これにより、吸熱性(熱容量)が向上するので、放熱性が向上する。また、第2の実施形態では、露出部98の端部98aと、ケース54の側壁70の外面70aとの間の最大長さであるDは、ボルト76のボルト頭76aの長さであるd以上である場合を例示して説明した。しかしながら、Dは、d未満でもよい。例えば、前述したように、露出部において、電池モジュールに対応する部分の厚さが他の部分より厚くなっている形態では、Dはd未満であってもよい。また、変形例1,2においてもDはd未満でもよい。
【0100】
電池モジュールが搭載された放熱板は、ケースにおける壁(取付け壁)に取り付けられていれば、その取り付け方法は、例示したような、ボルトによる締結に限定されない。
【0101】
一実施形態として、
図7に示したように、ケース(より具体的にはケース本体)の底壁に貫通孔を設けた形態を例示した。しかしながら、底壁に貫通孔は形成されていなくてもよい。ただし、貫通孔を底壁に設けることで、仮に窓部から水が浸入した場合であっても、その浸入してきた水を貫通孔から排出可能であることは前述したとおりである。また、これまでの各種実施形態では、放熱板と窓部との間にシール部材(例えばOリング)を配置していない形態を例示したが、窓部と放熱板との間にシール部材を設けてもよい。そして、シール部材を設けている形態において、底壁には貫通孔が形成されていなくてもよいが、貫通孔を底壁に更に設けることで、ケース内において電池モジュール側への水の浸入の防止をより一層図れる。
【0102】
2つのサブアセンブリを有している電池パックの例を説明したが、サブアセンブリの数は、1個でもよいし、ケースに収容可能であれば3個以上でもよい。更に、複数の電池モジュール及び放熱板を収容するケースにおいて、底壁の法線方向(
図1のZ軸方向)に直交する断面形状は四角形(例えば矩形又は正方形)に限らず、例えば、五角形又は六角形でもよい。
【0103】
複数の電池モジュールを有する電池パックを例示して本発明を説明した。しかしながら、本発明に係る電池パックは、電池モジュールを少なくとも一つ備えていればよい。すなわち、電池パックが備える放熱板には、電池モジュールが一つ搭載されていればよい。
【0104】
また、電池モジュールを放熱板に搭載する際、電池モジュールと放熱板との間には、伝熱シートとしてのTIM(Thermal Interface Material)が配置されてもよい。すなわち、電池モジュールが有する伝熱部材のうち放熱板と対向する部分(
図6の例において放熱部52)と放熱板との間にはTIMが介在していてもよい。