特許第6561698号(P6561698)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561698
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】ワーク検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/89 20060101AFI20190808BHJP
   B65G 47/252 20060101ALI20190808BHJP
   B65G 47/248 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   G01N21/89 T
   B65G47/252
   B65G47/248 G
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-172130(P2015-172130)
(22)【出願日】2015年9月1日
(65)【公開番号】特開2017-49096(P2017-49096A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2018年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100183081
【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 大志
(72)【発明者】
【氏名】浅井 真也
(72)【発明者】
【氏名】合田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】西原 寛恭
【審査官】 嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−340330(JP,A)
【文献】 特開平09−024909(JP,A)
【文献】 特開平09−025028(JP,A)
【文献】 特開2007−118978(JP,A)
【文献】 特開2008−259530(JP,A)
【文献】 特開昭61−178604(JP,A)
【文献】 実開昭59−133525(JP,U)
【文献】 特開平11−326235(JP,A)
【文献】 特開平01−105142(JP,A)
【文献】 米国特許第05412220(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
B65G 47/22−47/32
B65H 9/00− 9/20
B65H 13/00
B65H 15/00−15/02
B65B 35/00−35/58
B65B 57/00−57/20
B65B 1/00− 1/48
B65B 3/00− 3/36
A61J 1/00−19/06
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状又は板状のワークを搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部から前記ワークを受け取り、前記ワークの主面が搬送路に対して立った状態になるように前記ワークを支持することにより、前記第1搬送部の搬送密度よりも大きい搬送密度で前記ワークを搬送し、前記搬送路における所定位置で前記ワークの一方の主面が露出する第1の状態から前記ワークの他方の主面が露出する第2の状態に変化するように前記ワークを反転させる第2搬送部と、
前記第2搬送部において前記ワークが反転させられる位置に対向するように配置され、前記第1の状態の前記ワークの一方の主面及び前記第2の状態の前記ワークの他方の主面を撮像する撮像部と、を備え
前記第2搬送部は、
ループ状の搬送部材と、前記搬送部材の外周面に沿って所定間隔で立設され、前記搬送部材とともに移動する複数の支持壁部と、を有し、
前記支持壁部に前記ワークの主面を当接させることにより前記ワークを支持し、
前記搬送部材が折り返される屈曲部において、一の前記支持壁部に前記ワークの他方の主面が当接して支持される前記第1の状態から、当該支持壁部よりも前段に位置する前記支持壁部に前記ワークの一方の主面が当接して支持される前記第2の状態に変化するように、前記ワークを反転させる、
ワーク検査装置。
【請求項2】
前記第2搬送部により搬送される前記ワークに光を照射する照明部と、
前記撮像部及び前記照明部の動作を制御する制御部と、を更に備え、
前記制御部は、
前記照明部に、前記第1の状態のワークの一方の主面に対して正面から光を照射させるとともに、前記撮像部に、前記第1の状態の前記ワークの一方の主面を撮像させる第1の撮像処理と、
前記照明部に、前記第1の状態の前記ワークの一方の主面に対して斜めに光を照射させるとともに、前記撮像部に、前記第1の状態の前記ワークの一方の主面を撮像させる第2の撮像処理と、
前記照明部に、前記第2の状態の前記ワークの他方の主面に対して正面から光を照射させるとともに、前記撮像部に、前記第2の状態の前記ワークの他方の主面を撮像させる第3の撮像処理と、
前記照明部に、前記第2の状態の前記ワークの他方の主面に対して斜めに光を照射させるとともに、前記撮像部に、前記第2の状態の前記ワークの他方の主面を撮像させる第4の撮像処理と、を実行する、
請求項1に記載のワーク検査装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2搬送部において前記ワークを強制的に反転させる反転制御手段を有し、前記第1の撮像処理及び前記第2の撮像処理を完了した後に、前記反転制御手段によって前記ワークを反転させる反転処理を更に実行し、前記反転処理の実行を完了した後に、前記第3の撮像処理及び前記第4の撮像処理を実行する、
請求項に記載のワーク検査装置。
【請求項4】
前記第1搬送部は、前記ワークの主面が搬送方向と平行になるように前記ワークを載置して搬送する、
請求項1〜のいずれか一項に記載のワーク検査装置。
【請求項5】
前記第1搬送部は、ベルトコンベアである、
請求項に記載のワーク検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されるように、電子部品等のワークを搬送ベルトで搬送しながら、当該ワークの外観を検査する検査装置が知られている。上記検査装置は、搬送ベルトの長手方向中央部に設けた反転ガイドレールによって搬送ベルトを反転させることにより、ワークを反転させる機構を備えている。上記検査装置は、ワークを反転させる位置(反転ポイント)よりも搬送方向上流側に設けられた第1CCDカメラ及び反転ポイントよりも搬送方向下流側に設けられた第2CCDカメラによって、反転前及び反転後のワーク表面を撮像する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−21308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記検査装置では、ワークの搬送方向に直交する方向から撮像を行うため、ワークが高速に移動する場合には、予め設定した撮像ポイントを通過するワークをカメラで正確に捉えることが困難となるおそれがある。また、高速に移動するワークをカメラで捉えることができたとしても、撮像された画像にブレが発生し、当該画像に対する画像処理による検査精度が低下するおそれがある。一方、画像処理による検査精度を担保するために搬送ベルト全体の搬送速度を一定速度以下に制限した場合には、ワークの搬送効率が低下してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、搬送効率の低下を抑制しつつ、ワークの検査を適切に実行することができるワーク検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るワーク検査装置は、シート状又は板状のワークを搬送する第1搬送部と、第1搬送部からワークを受け取り、ワークの主面が搬送路に対して立った状態になるようにワークを支持することにより、第1搬送部の搬送密度よりも大きい搬送密度でワークを搬送し、搬送路における所定位置でワークの一方の主面が露出する第1の状態からワークの他方の主面が露出する第2の状態に変化するようにワークを反転させる第2搬送部と、第2搬送部におけるワークの反転位置に対向するように配置され、第1の状態のワークの一方の主面及び第2の状態のワークの他方の主面を撮像する撮像部と、を備える。
【0007】
このワーク検査装置では、第1搬送部の後段に設けられる第2搬送部は、ワークの主面が搬送路に対して立った状態になるようにワークを支持することにより、第1搬送部の搬送密度よりも大きい搬送密度でワークを搬送する。これにより、第2搬送部は、第1搬送部よりも低速にワークを搬送する低速区間として機能する。そして、第2搬送部によってワークが反転させられる位置に対向するように配置された撮像部が、反転の前後におけるワークの主面を撮像することにより、検査対象となるワークの検査用画像を効率良く取得することができる。また、低速区間である第2搬送部においてワークの検査用画像を取得することにより、個々のワークの検査用画像の品質を向上させることができる。また、ワークの検査のために、搬送部全体(すなわち第1搬送部、第2搬送部、及び第2搬送部の後段に設けられ得る搬送部)の搬送速度を低速化させる必要がない。従って、上記ワーク検査装置によれば、搬送効率の低下を抑制しつつ、ワークの検査を適切に実行することができる。
【0008】
上記ワーク検査装置では、第2搬送部は、ループ状の搬送部材と、搬送部材の外周面に沿って所定間隔で立設され、搬送部材とともに移動する複数の支持壁部と、を有し、支持壁部にワークの主面を当接させることによりワークを支持し、搬送部材が折り返される屈曲部において、一の支持壁部にワークの他方の主面が当接して支持される第1の状態から、当該支持壁部よりも前段に位置する支持壁部にワークの一方の主面が当接して支持される第2の状態に変化するように、ワークを反転させてもよい。
【0009】
上記ワーク検査装置によれば、ワークの主面が搬送部材に対して直交するように支持壁部がワークを支持することにより、ワークの主面が搬送路に対して立った状態になるようにワークが支持される構成を簡易な構成で実現できる。また、搬送部材が折り返される屈曲部を利用することで、互いに隣接する支持壁部のうち搬送方向後方側の支持壁部に支持されるワークが搬送方向前方側の支持壁部に支持されるように、ワークをスムーズに移動(反転)させることができる。また、屈曲部では、互いに隣接する支持壁部の先端間の間隔が広がるため、屈曲部でワークを反転させることにより、互いに隣接する反転後のワークと反転前のワークとの間隔を広げることができる。これにより、ワークの反転位置に対向する方向から、ワークの露出面(反転前のワークの一方の主面及び反転後のワークの他方の主面)を視認し易くなる。従って、ワークの反転位置に対向するように配置された撮像部によってワークの検査用画像を適切に撮像することができる。
【0010】
上記ワーク検査装置では、第2搬送部は、水平方向に平行な軸線周りに回転する回転体と、回転体の外周に沿って所定間隔で放射状に設けられ、回転体とともに移動する複数の支持壁部と、を有し、第2搬送部は、支持壁部にワークの主面を当接させることによりワークを支持し、支持壁部が回転体の頂部で鉛直方向に延在する位置において、当該支持壁部に支持されるワークを回転体の回転方向における前方に倒すことにより、ワークを反転させてもよい。
【0011】
上記ワーク検査装置によれば、回転体と回転体の外周に放射状に設けられた複数の支持壁部とによる簡易な構成により第2搬送部を構成することができる。また、支持壁部が回転体の頂部で鉛直方向に延在する位置において、当該支持壁部に支持されるワークを重力等によって回転方向前方に倒すことにより、ワークの反転を容易に実現することができる。
【0012】
上記ワーク検査装置は、第2搬送部により搬送されるワークに光を照射する照明部と、撮像部及び照明部の動作を制御する制御部と、を更に備え、制御部は、照明部に、第1の状態のワークの一方の主面に対して正面から光を照射させるとともに、撮像部に、第1の状態のワークの一方の主面を撮像させる第1の撮像処理と、照明部に、第1の状態のワークの一方の主面に対して斜めに光を照射させるとともに、撮像部に、第1の状態のワークの一方の主面を撮像させる第2の撮像処理と、照明部に、第2の状態のワークの他方の主面に対して正面から光を照射させるとともに、撮像部に、第2の状態のワークの他方の主面を撮像させる第3の撮像処理と、照明部に、第2の状態のワークの他方の主面に対して斜めに光を照射させるとともに、撮像部に、第2の状態のワークの他方の主面を撮像させる第4の撮像処理と、を実行してもよい。
【0013】
ワーク主面に対して正面から光を照射することで、ワーク主面の表面に付着した異物を撮像画像において適切に捉えることができる。また、ワーク主面に対して斜めに光を照射することで、ワーク主面の表面の傷を撮像画像において浮かび上がらせることができる。従って、上記ワーク検査装置によれば、制御部が撮像部及び照明部の動作を切替制御し、第1〜第4の撮像処理を実行することにより、ワークの一方の主面における異物検査(異物の有無の判定)及び傷検査(傷の有無の判定等の外観検査)を行うための画像(第1及び第2の撮像処理により撮像される画像)、並びにワークの他方の主面における異物検査及び傷検査を行うための画像(第3及び第4の撮像処理により撮像される画像)を自動で取得することができる。これにより、ワーク主面の検査を効率良く実施することができる。
【0014】
上記ワーク検査装置では、制御部は、第2搬送部においてワークを強制的に反転させる反転制御手段を有し、第1の撮像処理及び第2の撮像処理を完了した後に、反転制御手段によってワークを反転させる反転処理を更に実行し、反転処理の実行を完了した後に、第3の撮像処理及び第4の撮像処理を実行してもよい。
【0015】
上記ワーク検査装置によれば、制御部は、反転制御手段によりワークが反転するタイミングを自ら制御することができるので、ワーク反転後の処理(第3及び第4の撮像処理)を適切なタイミングで実行することが可能となる。
【0016】
上記ワーク検査装置では、第1搬送部は、ワークの主面が搬送方向と平行になるようにワークを載置して搬送してもよい。この場合、第1搬送部から第2搬送部にワークが受け渡されて、ワークの主面が搬送方向に平行な状態から搬送方向(搬送路)に対して立った状態に変化させることにより、第2搬送部の搬送密度を第1搬送部の搬送密度よりも大きくすることができる。また、第1搬送部は、ベルトコンベアであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、搬送効率の低下を抑制しつつ、ワークの検査を適切に実行することができるワーク検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態のワーク検査装置の全体構成を示す図である。
図2】制御部の制御手順の一例を示すフローチャートである。
図3】第1実施形態のワーク検査装置の変形例を示す図である。
図4】第1実施形態のワーク検査装置の変形例を示す図である。
図5】第2実施形態のワーク検査装置の全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
[第1実施形態]
図1を参照して、第1実施形態のワーク検査装置1について説明する。本実施形態では一例として、ワーク検査装置1は、リチウムイオン二次電池などの蓄電装置の製造システムに組み込まれる装置である。具体的には、ワーク検査装置1は、蓄電装置に用いられる電極組立体の製造工程の一部を実施するものであり、電極組立体を構成するシート状の電極を搬送しながら、当該電極の表面の検査を実行する装置として構成される。ワーク検査装置1で扱われるワーク10は、上記電極組立体を構成する正極又は負極である。ただし、ワーク10は、シート状又は板状のものであればよく、上記例に限られない。
【0021】
正極は、例えばアルミニウム箔からなる矩形の金属箔の両面に正極活物質層が形成されてなる。正極活物質層は、正極活物質とバインダとを含んで形成されている。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウム、硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つと、リチウムとが含まれる。正極の一縁部には、正極端子との接続に用いられるタブが形成されている。
【0022】
また、正極は、タブを除いた部分が袋状のセパレータ内に収容された状態となっていてもよい。セパレータの形成材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。なお、セパレータは、袋状に限られず、シート状のものを用いてもよい。
【0023】
一方、負極は、例えば銅箔からなる金属箔の両面に負極活物質層が形成されてなる。負極活物質層は、負極活物質とバインダとを含んで形成されている。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物、ホウ素添加炭素等が挙げられる。
【0024】
バインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、又はアルコキシシリル基含有樹脂であってよい。負極の一縁部には、負極端子の位置に対応してタブが形成されている。正極のタブと負極のタブとは、正極と負極とを重ねた場合に互いに重ならない位置に形成されている。
【0025】
図1に示すように、ワーク検査装置1は、ワーク10を搬送する構成要素として、第1搬送部2と、第1搬送部2の後段に設けられる第2搬送部3と、第2搬送部3の後段に設けられる第3搬送部4と、を備える。
【0026】
第1搬送部2は、ベルトコンベアであり、ワーク10を水平方向に所定の搬送速度V1で搬送する。第1搬送部2は、ワーク10(正極又は負極)のタブが搬送方向の上流側に向き、且つワーク10の一方の主面10aが上を向いて露出するようにして、複数のワーク10を搬送する。第1搬送部2により搬送されるワーク10は、第1搬送部2の搬送方向下流側の端部2aから、第2搬送部3の支持壁部32に受け渡される。なお、本実施形態では、第1搬送部2はベルトコンベアであるが、第1搬送部2は、ワーク10の主面10aが搬送方向と平行になるようにワーク10を載置し、安定した状態でワーク10を搬送する手段であれば何でもよい。例えば、第1搬送部2は、ローラコンベア等であってもよい。
【0027】
第2搬送部3は、第1搬送部2の搬送方向下流側に配置され、鉛直方向に延在するループ状の搬送部材31と、搬送部材31の外周面31aに沿って所定間隔で立設され、搬送部材31とともに移動する複数の支持壁部32と、を有する。
【0028】
搬送部材31は、例えば無端状のベルトから構成されている。搬送部材31は、鉛直方向に離れて対向するローラ対33,33に券架されている。ローラ対33,33が回転すると、搬送部材31は連れ回りする。図1の例では、ローラ対33,33が図示しない駆動部によって回転駆動力を付与され、時計回りに回転することによって、搬送部材31は時計回りに循環する。搬送部材31が循環する経路のうちワーク10が通過する部分が、ワーク10を搬送する搬送路となる。搬送部材31の鉛直方向における上端部は、搬送部材31が折り返される屈曲部34をなしている。すなわち、屈曲部34の前後において、搬送部材31の循環方向は、鉛直上向きの方向から水平方向となった後に鉛直下向きの方向に変化する。
【0029】
支持壁部32は、搬送部材31の外周面31aに沿って所定間隔で立設された部材であり、例えば矩形板状部材である。支持壁部32は、上述した搬送部材31の循環とともに時計回りに移動する。ここで、複数の支持壁部32が設けられるピッチ(すなわち、第2搬送部3において搬送されるワーク10のピッチp2)は、第1搬送部2において搬送されるワーク10のピッチp1よりも小さい。これは、ワーク10の配置によるものである。すなわち、第1搬送部2のベルト上にワーク10を寝かした状態では、ピッチp1は少なくともワーク10の搬送方向における幅(長さ)以上必要となるが、第2搬送部3において主面10aに垂直な方向に各ワーク10を並べることにより、ピッチp2をピッチp1よりも狭くすることができる。第1搬送部2及び第2搬送部3において、上述したようにワーク10が配置されることにより、支持壁部32の設置間隔は、ピッチp2がピッチp1よりも小さくなるように調整されている。これにより、第2搬送部3の搬送密度は、第1搬送部2の搬送密度よりも大きくなっている。すなわち、第1搬送部2から第2搬送部3にワーク10が受け渡されて、ワーク10の主面10aが搬送方向に平行な状態から搬送方向(搬送路)に対して立った状態に変化させることにより、第2搬送部3の搬送密度を第1搬送部2の搬送密度よりも大きくすることができる。ここで、搬送密度とは、ワーク10の搬送方向における単位区間当たりに含まれるワーク10の個数を意味する。従って、第2搬送部3の搬送速度V2(すなわち、搬送部材31の循環速度)を、第1搬送部2の搬送速度V1よりも低速に設定することができる。ここで、搬送速度とは、単位時間当たりにワーク10が移動する搬送方向に沿った距離を意味する。すなわち、第2搬送部3を、第1搬送部2よりも低速にワーク10を搬送する低速区間として機能させることができる。なお、本実施形態では一例として、搬送部材31が折り返される屈曲部34付近において互いに隣接する支持壁部32同士がなす角度は、72度に設定されている。
【0030】
続いて、第2搬送部3によるワーク10の搬送動作について説明する。まず、第1搬送部2の搬送方向下流側の端部2aから排出されるワーク10を、当該端部2aよりも下方から上昇してくる支持壁部32が掬い上げることにより、第1搬送部2から第2搬送部3へのワーク10の受け渡しがなされる。
【0031】
支持壁部32に掬い上げられたワーク10は、第2搬送部3における搬送路の上流側(図1における搬送部材31の左側)において、ワーク10の主面10bが支持壁部32に当接して支持され、主面10aが露出する状態(第1の状態)で、支持壁部32とともに上昇する。ワーク10を支持する支持壁部32は、屈曲部34に差し掛かると、搬送部材31の外周面31aに対して立設された姿勢を維持したまま、搬送部材31の上側のローラ33の回転軸を中心として回動する。支持壁部32が搬送部材31の頂部で鉛直方向に延在する位置に到達するまでは、ワーク10は、支持壁部32に当該ワーク10の主面10bが当接して支持される状態となっている。
【0032】
支持壁部32が搬送部材31の頂部で鉛直方向に延在する位置に到達すると、支持壁部32に支持されていたワーク10は、当該支持壁部32に沿って鉛直方向に延在し、倒立状態(図1における破線Rが示す状態)となる。そこからさらに支持壁部32が時計回りに循環すると、倒立状態のワーク10の主面10bが支持壁部32によって水平方向に押し出され、ワーク10は反転する。具体的には、ワーク10は、重力によって前方に倒れ、それまでワーク10を支持していた支持壁部32よりも前段(搬送方向前方)に位置する支持壁部32に主面10aが当接して支持される状態に変化する。すなわち、ワーク10は、主面10bが露出する状態(第2の状態)に変化する。
【0033】
反転して第2の状態となったワーク10は、第2搬送部3における搬送路の下流側(図1における搬送部材31の右側)において、ワーク10の主面10aが支持壁部32に当接して支持され、主面10bが露出する状態(第2の状態)で、支持壁部32とともに下降する。支持壁部32が第3搬送部4に対してワーク10を受け渡す位置まで下降すると、支持壁部32からはみ出したワーク10の主面10aの一部が第3搬送部4の搬送方向上流側の端部4aに乗り上げることにより、ワーク10は、第3搬送部4に受け渡される。ワーク10を第3搬送部4に受け渡した支持壁部32は、搬送部材31の循環によって、搬送部材31の鉛直方向における下端部の周りを循環し、第1搬送部2から排出されるワーク10を搬送するために再度用いられる。
【0034】
第3搬送部4は、ワーク10を次工程(例えばワーク10を積層する工程等)に搬送するためのベルトコンベアであり、ワーク10を水平方向に第1搬送部2と同じ搬送速度V1で搬送する。第3搬送部4は、ワーク10(正極又は負極)のタブが搬送方向の下流側に向き、且つワーク10の他方の主面10bが上を向いて露出するようにして、複数のワーク10を搬送する。
【0035】
図1に示すように、ワーク検査装置1は、第2搬送部3によって搬送されるワーク10の検査を行うための構成として、ワーク10を撮像する撮像部5と、撮像部5による撮像の際にワーク10に光を照射する照明部6と、ワーク10を反転させるための送風部(反転制御手段)7と、撮像部5、照明部6、及び送風部7の動作を制御する制御部8と、を備える。
【0036】
撮像部5は、第2搬送部3におけるワーク10の反転位置(本実施形態では屈曲部34)に対向するように配置され、反転前のワーク10(第1の状態のワーク)の主面10a及び反転後のワーク10(第2の状態のワーク)の主面10bを撮像する。本実施形態では一例として、撮像部5は、反転前のワーク10の主面10aを撮像する第1カメラ5Aと、反転後のワーク10の主面10bを撮像する第2カメラ5Bと、を有する。第1カメラ5A及び第2カメラ5Bの撮像のタイミングは、制御部8によって制御される。
【0037】
第1カメラ5Aは、搬送部材31の頂部において鉛直方向に延在する支持壁部32よりも後段(搬送方向後方)に位置する支持壁部32に支持されるワーク10(図1におけるワーク10A)の主面10aに対向する位置に配置されている。第2カメラ5Bは、搬送部材31の頂部において鉛直方向に延在する支持壁部32よりも前段(搬送方向前方)に位置する支持壁部32に支持されるワーク10(図1におけるワーク10B)の主面10bに対向する位置に配置されている。
【0038】
照明部6は、撮像部5による撮像のためにワーク10の表面に光を照射する装置である。本実施形態では一例として、照明部6は、反転前のワーク10Aの主面10aに対して当該主面10aに直交する方向D1に光を照射する第1照明6Aと、反転後のワーク10Bの主面10bに対して当該主面10bに直交する方向D2に光を照射する第2照明6Bと、反転前のワーク10Aの主面10a及び反転後のワーク10Bの主面10bに対して鉛直下向きの方向D3に光を照射する第3照明6Cと、を有する。第1照明6A、第2照明6B、及び第3照明6CのON/OFFの切替は、制御部8によって制御される。
【0039】
図1に示すように、反転前のワーク10Aの主面10aに直交する方向D1と反転後のワーク10Bの主面10bに直交する方向D2とは、同じ角度の大きさだけ鉛直方向から傾斜している。すなわち、方向D1と方向D3とがなす角度θ1は、方向D2と方向D3とがなす角度θ2と等しくなっている。これにより、反転前のワーク10Aに対して第3照明6Cによる光を照射した状態で当該ワーク10Aの主面10aを第1カメラ5Aで撮像する場合と、反転前のワーク10Bに対して第3照明6Cによる光を照射した状態で当該ワーク10Bの主面10bを第2カメラ5Bで撮像する場合との間で、撮像条件(光の照射角度)を揃えることができる。
【0040】
送風部7は、第2搬送部3においてワーク10を強制的に反転させるためにエアーを噴射する装置である。本実施形態では一例として、送風部7は、倒立状態(図1における破線Rが示す状態)となったワーク10(或いは倒立状態となる手前のワーク10)の主面10bに対して、図1の図示左側からエアーを噴射する。エアーを噴射されたワーク10は、前方に倒されることにより、強制的に反転させられる。送風部7によるエアーの噴射のタイミングは、制御部8によって制御される。
【0041】
制御部8は、上述した撮像部5、照明部6、及び送風部7の動作を制御する部分であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び入出力インタフェース等を有するコンピュータから構成される。制御部8は、有線又は無線の通信インタフェースを介して、撮像部5、照明部6、及び送風部7と相互に通信可能に構成されている。制御部8は、撮像部5、照明部6、及び送風部7に対して、各々の動作を制御するための制御信号を送信する。制御信号を受信した撮像部5、照明部6、及び送風部7は、当該制御信号によって指示される動作を実行する。また、制御部8は、撮像部5によって撮像された画像のデータを撮像部5から受信する。
【0042】
制御部8は、撮像部5によって撮像された画像に対する画像処理を実行することにより、ワーク10の両面(主面10a,10b)の異物検査(異物の有無の判定)及び傷検査(傷の有無の判定等の外観検査)を実行する。画像処理を実行するためのプログラムは、予め制御部8のROM等に記憶されており、制御部8は、RAM上に当該プログラムを読み出し実行することにより、上述の画像処理を実行する。ここで、ワーク主面に対して正面から光を照射することで、ワーク主面の表面に付着した異物を撮像画像において適切に捉えることができる。また、ワーク主面に対して斜めに光を照射することで、ワーク主面の表面の傷を撮像画像において浮かび上がらせることができる。そこで、制御部8は、ワーク10の主面10a,10bに対して正面から光を照射して撮像した画像に対する画像処理を実行することにより、ワーク10の主面10a,10bの異物検査を実行する。また、制御部8は、ワーク10の主面10a,10bに対して斜めに光を照射して撮像した画像に対する画像処理を実行することにより、ワーク10の主面10a,10bの傷検査を実行する。なお、画像処理による各種検査の手法については公知の種々の手法を用いることができる。制御部8は、例えば上記各検査について良否判定を行うことにより欠陥のあるワーク10を抽出し、抽出されたワーク10を特定するための情報を、ワーク検査装置1の後段に位置する除去装置(不図示)に通知してもよい。これにより、除去装置において、欠陥のあるワーク10を適切に除去することができる。
【0043】
制御部8は、上記各検査を実行するために、第2搬送部3によって搬送される個々のワーク10の主面10a,10bのそれぞれについて、主面に対して正面から光を照射する場合及び主面に対して斜めに光を照射する場合の2種類の画像を取得するように、撮像部5、照明部6、及び送風部7の動作を制御する。
【0044】
図2を参照して、1つのワーク10の主面10a,10bのそれぞれについて2種類の画像(計4つの画像)を取得する場合に着目して、制御部8の制御手順の一例について説明する。ここでは、図1に示される第2搬送部3の状態が初期状態であるものとする。
【0045】
まず、ステップS1において、制御部8は、初期状態において、第1照明6AをONにして第1カメラ5Aに撮像処理を実行させる。すなわち、制御部8は、第1照明6Aに、反転前のワーク10Aの主面10aに対して方向D1に光を照射させるとともに、第1カメラ5Aに、反転前のワーク10Aの主面10aを撮像させる処理(第1の撮像処理)を実行する。これにより、制御部8は、第1カメラ5Aから、反転前のワーク10Aの主面10aに対して正面から光を照射した場合の画像を取得する。制御部8は、当該画像に対する画像処理を実行することにより、反転前のワーク10Aの主面10aの異物検査を実行する。
【0046】
続いて、ステップS2において、制御部8は、第1照明6AをOFFにするとともに第3照明6CをONにして第1カメラ5Aに撮像処理を実行させる。すなわち、制御部8は、第3照明6Cに、反転前のワーク10Aの主面10aに対して方向D3に光を照射させるとともに、第1カメラ5Aに、反転前のワーク10Aの主面10aを撮像させる処理(第2の撮像処理)を実行する。これにより、制御部8は、第1カメラ5Aから、反転前のワーク10Aの主面10aに対して斜めに光を照射した場合の画像を取得する。制御部8は、当該画像に対する画像処理を実行することにより、反転前のワーク10Aの主面10aの傷検査を実行する。
【0047】
続いて、制御部8は、第1の撮像処理及び第2の撮像処理を完了した後、第1の撮像処理及び第2の撮像処理による撮像対象とされたワーク10が搬送部材31の循環によって倒立状態となる位置(図1における破線Rが示す位置)付近に到達したことを検知する。このような検知を行うための手法は、特に限定されないが、例えばセンサ等を用いて行われてもよいし、初期状態からの経過時間と予め設定された第2搬送部3の搬送速度V2とに基づく予測によって行われてもよい。制御部8は、上記検知を行ったことをトリガとして、送風部7にエアーの噴射(反転処理)を実行させる(ステップS3)。これにより、制御部8は、倒立状態となる位置付近に到達したワーク10を強制的に反転させることができる。
【0048】
続いて、制御部8は、ステップS3において送風部7によるエアーの噴射が実行されたことをトリガとして、ステップS4の処理を開始する。制御部8は、第3照明6CをOFFにするとともに第2照明6BをONにして第2カメラ5Bに撮像処理を実行させる。すなわち、制御部8は、第2照明6Bに、反転後のワーク10Bの主面10bに対して方向D2に光を照射させるとともに、第2カメラ5Bに、反転後のワーク10Bの主面10bを撮像させる処理(第3の撮像処理)を実行する。これにより、制御部8は、第2カメラ5Bから、反転後のワーク10Bの主面10bに対して正面から光を照射した場合の画像を取得する。制御部8は、当該画像に対する画像処理を実行することにより、反転後のワーク10Bの主面10bの異物検査を実行する。
【0049】
続いて、ステップS5において、制御部8は、第2照明6BをOFFにするとともに第3照明6CをONにして第2カメラ5Bに撮像処理を実行させる。すなわち、制御部8は、第3照明6Cに、反転後のワーク10Bの主面10bに対して方向D3に光を照射させるとともに、第2カメラ5Bに、反転後のワーク10Bの主面10bを撮像させる処理(第4の撮像処理)を実行する。これにより、制御部8は、第2カメラ5Bから、反転後のワーク10Bの主面10bに対して斜めに光を照射した場合の画像を取得する。制御部8は、当該画像に対する画像処理を実行することにより、反転後のワーク10Bの主面10bの傷検査を実行する。
【0050】
ステップS1〜S5の処理により、搬送部材31が折り返される屈曲部34でワーク10が反転する前後において、ワーク10の主面10a,10bの画像が取得され、ワーク10の主面10a,10bの異物検査及び傷検査が実行される。なお、ステップS1及びステップS2の処理順序は入れ替えてもよい。同様に、ステップS3及びステップS4の処理順序は入れ替えてもよい。例えば、上記ステップS1〜S5の処理のうちステップS4とステップS5との処理順序を入れ替えることにより、ステップS4よりも先に実行されるステップS5において、照明の切替を不要とすることができる。すなわち、ステップS2において第3照明6CがONにされているため、ステップS5において改めて照明の切替を行う必要がない。また、各ステップにおいて画像を取得するための撮像処理と、撮像処理により取得された画像に対する画像処理とは、それぞれ独立且つ並行して実行されてもよい。この場合、例えば、ステップS1において第1の撮像処理が完了した後、制御部8は、第1の撮像処理により取得された画像に対する画像処理を実行するとともに、当該画像処理の完了を待つことなく直ちにステップS2における第2の撮像処理を実行することができる。
【0051】
なお、図1に示すように、ステップS4及びS5における第3及び第4の撮像処理が行われる際には、後続のワーク10が第1カメラ5Aによる撮像位置(図1におけるワーク10Aの位置)に到達している。従って、制御部8は、一のワーク10に対する第3及び第4の撮像処理が完了したら、直ちに当該一のワーク10の後続のワーク10に対する第1及び第2の撮像処理を実行するように動作する。このように、制御部8は、ステップS1〜S5の処理を繰り返し実行することにより、第2搬送部3において順次搬送される個々のワーク10の両面(主面10a,10b)の異物検査及び傷検査を実行することができる。
【0052】
以上述べたように、本実施形態に係るワーク検査装置1では、第1搬送部2の後段に設けられる第2搬送部3は、ワーク10の主面10a,10bが搬送路に対して立った状態(本実施形態では一例として搬送路に直交する状態)となるようにワーク10を支持することにより、第1搬送部2の搬送密度よりも大きい搬送密度でワーク10を搬送する。これにより、第2搬送部3は、第1搬送部2よりも低速にワーク10を搬送する低速区間として機能する。そして、第2搬送部3によってワーク10が反転させられる位置に対向するように配置された第1カメラ5A及び第2カメラ5Bが、反転の前後におけるワーク10の主面10a,10bを撮像することにより、検査対象となるワーク10の検査用画像を効率良く取得することができる。
【0053】
なお、「搬送路に対して立った状態」とは、本実施形態のように搬送路に直交する状態だけでなく、搬送路に対して傾斜する状態も含む。すなわち、本実施形態では、ワーク10が搬送路に直交するように支持される構成を例示したが、例えば支持壁部32が搬送部材31に対して傾斜するように設けられることにより、ワーク10は、搬送路に対して傾斜するように支持されてもよい。このようにしても、互いに隣接するワーク10同士が互いに対向するように配置することができ、その結果、搬送密度を大きくすることができる。
【0054】
また、低速区間である第2搬送部3においてワーク10の検査用画像を取得することにより、個々のワーク10の検査用画像の品質を向上させることができる。具体的には、第2搬送部3では、第2搬送部3以外の区間(第1搬送部2及び第3搬送部4)よりも低速にワーク10を搬送する低速区間となっているため、第1カメラ4A及び第2カメラ5Bによる撮像品質(画像のブレの少なさ等)を向上させることができる。また、例えば第1搬送部2又は第3搬送部4上を移動するワーク10の主面を撮像しようとすると、撮像方向とワーク10の移動方向とが直交するため、撮像された画像にブレが生じ易い。一方、ワーク検査装置1では、屈曲部34においてワーク10が搬送部材31の上側のローラ33の回転軸を中心として回動する際におけるワーク10の主面を撮像するため、撮像方向とワーク10の移動方向とが略一致し、撮像された画像にブレが生じ難い。
【0055】
また、ワーク10の検査のために、搬送部全体(すなわち第1搬送部2、第2搬送部3、及び第3搬送部4)の搬送速度を低速化させる必要がない。具体的には、検査用の区間として設けられる第2搬送部3は、通常の高速区間である第1搬送部2及び第3搬送部4よりも搬送密度を高めることによって低速化を実現した区間であるため、隣接する第1搬送部2及び第3搬送部4の搬送速度V1に影響を与えない。言い換えれば、検査のために搬送速度V1を低速化させる必要がない。このため、搬送部全体の搬送効率(単位時間当たりに排出されるワークの個数)を低下させずに、上述した制御部8による検査を実行することができる。従って、上記ワーク検査装置1によれば、搬送効率の低下を抑制しつつ、ワーク10の検査を適切に実行することができる。
【0056】
また、ワーク検査装置1によれば、ワーク10の主面10a,10bが搬送部材31に対して直交するように支持壁部32がワーク10を支持することにより、ワーク10の主面が搬送路に対して立った状態になるようにワーク10が支持される構成を簡易な構成で実現できる。また、搬送部材31が折り返される屈曲部34を利用することで、互いに隣接する支持壁部32のうち搬送方向後方側の支持壁部32に支持されるワーク10が搬送方向前方側の支持壁部32に支持されるように、ワーク10をスムーズに移動(反転)させることができる。また、図1に示すように、屈曲部34では、互いに隣接する支持壁部32の先端間の間隔が広がるため、屈曲部34でワーク10を反転させることにより、互いに隣接する反転後のワーク10Bと反転前のワーク10Aとの間隔を広げることができる。これにより、ワーク10の反転位置に対向する方向から、ワーク10の露出面(反転前のワーク10Aの主面10a及び反転後のワーク10Bの主面10b)を視認し易くなる。従って、図1に示すように、ワーク10の反転位置に対向するように配置された第1カメラ5A及び第2カメラ5Bによってワーク10の検査用画像を適切に撮像することができる。
【0057】
また、ワーク検査装置1によれば、制御部8が撮像部5及び照明部6の動作を切替制御し、第1〜第4の撮像処理を実行することにより、ワーク10の一方の主面10aにおける異物検査及び傷検査を行うための画像(第1及び第2の撮像処理により撮像される画像)、並びにワーク10の他方の主面10bにおける異物検査及び傷検査を行うための画像(第3及び第4の撮像処理により撮像される画像)を自動で取得することができる。これにより、ワーク主面の検査を効率良く実施することができる。
【0058】
また、ワーク検査装置1によれば、制御部8は、送風部7によりワーク10が反転するタイミングを自ら制御することができるので、ワーク反転後の処理(第3及び第4の撮像処理)を適切なタイミングで実行することが可能となる。
【0059】
なお、本実施形態においては、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。例えば、ワーク10を強制的に反転させる反転制御手段は、エアーを噴射させる送風部7ではなく、エアシリンダー等の接触によりワーク10を反転させる装置であってもよい。また、上述の通り、ワーク10は、倒立状態(図1における破線Rで示す状態)となった後に、搬送部材31の循環及び重力によって自然に倒れて反転するため、ワーク検査装置1は、必ずしも反転制御手段を備えていなくともよい。
【0060】
また、撮像部5は、第1カメラ5A及び第2カメラ5Bの代わりに、反転前のワーク10を撮像位置にあるワーク10(図1におけるワーク10Aの位置)及び反転後のワーク10の撮像位置にあるワーク10(図1におけるワーク10B)の両方を撮像可能な範囲に収めることができる広角の1台のカメラによって構成されてもよい。或いは、撮像部5は、反転前のワーク10を撮像するためのカメラ位置(図1における第1カメラ5Aの位置)と反転後のワーク10を撮像するためのカメラ位置(図1における第2カメラ5Bの位置)との間で移動可能に構成された1台のカメラによって構成されてもよい。ワーク検査装置1では、反転前後のワーク10の主面10a,10bを撮像する構成となっており、被写体となる反転前のワーク10と反転後のワーク10とが近くにあるので、上述のように1台のカメラで撮像部5を構成することが容易となっている。
【0061】
また、例えば、ワーク検査装置1の後段の装置(不図示)に対して、ワーク10を連続的に供給することが要求される場合がある。このような場合において、第1搬送部2からのワーク10の供給が一時的に途絶えた場合、第2搬送部3がそのまま搬送部材31の循環動作を継続すると、ワーク10を搬送しない空の支持壁部32がワーク10を搬送する支持壁部32の間に混ざることになるため、第3搬送部4に対して連続的にワーク10を供給することができない。そこで、第2搬送部3は、搬送部材31全体が鉛直方向に上下移動可能であり搬送部材31の循環速度を調整可能なバッファ装置として構成されてもよい。
【0062】
例えば、第1搬送部2からのワーク10の供給の抜けが1枚発生した場合には、図示しない制御装置によって、搬送部材31の循環移動の速度を半分に落とすとともに、半分に落とした後の循環移動の速度と同じ速度で搬送部材31全体を下降されればよい。このような動作によって、空の支持壁部32が第3搬送部4に流れていくことを防止するとともに、第2搬送部3から第3搬送部4に対して一定の間隔でワーク10を供給することができる。
【0063】
また、上記例とは逆に、下流の製造工程において何らかの不具合が発生し、第3搬送部4の動作を停止する必要がある一方で、第1搬送部2の動作を停止させたくない場合も考えられる。このような場合には、搬送部材31の循環移動の速度を半分に落とすとともに、半分に落とした後の循環移動の速度と同じ速度で搬送部材31全体を上昇させればよい。このような動作によって、第2搬送部3は、第3搬送部4に対するワーク10の供給を停止するとともに、第1搬送部2から供給されるワーク10を受け取ることができる。
【0064】
第2搬送部3が上述したようなバッファ装置として機能する場合、例えば撮像部5、照明部6、及び送風部7については、搬送部材31と一体として移動するように構成すればよい。この場合、ワーク10の撮像位置に対する撮像部5、照明部6、及び送風部7の相対的な位置が変化しないため、第2搬送部3がバッファ装置として機能して上下移動しても、ワーク10の主面10a,10bを常に同じ撮像条件(被写体とカメラとの距離及び角度、並びに被写体に光を照射する角度等の条件)で撮像することができる。
【0065】
図3及び図4は、第1実施形態のワーク検査装置1の変形例を示す図である。図3及び図4に示すように、変形例に係るワーク検査装置1A,1Bでは、第2搬送部3A,3Bが、互いに高さ位置の異なる第1搬送部2及び第3搬送部4を接続するための搬送区間として、水平方向及び鉛直方向の両方に対して傾斜する搬送部材31を有する。それ以外の点では、ワーク検査装置1A,1Bは、ワーク検査装置1とほぼ同様の構成を備える。なお、図3及び図4においては、制御部及び送風部の図示を省略している。
【0066】
図3に示すワーク検査装置1Aでは、第2搬送部3Aは、搬送部材31の両端部のうち下方に位置する端部を図示時計回りに通過する支持壁部(図3における支持壁部32A)によって、第1搬送部2からワーク10を受け取る。また、第2搬送部3Aは、搬送部材31の両端部のうち上方に位置する端部を図示時計回りに通過する支持壁部(図3における支持壁部32B)から、第3搬送部4にワーク10を受け渡す。第2搬送部3Aにおいては、搬送路が折り返される屈曲部34は、ワーク10が第3搬送部4に受け渡される出口付近に形成される。このため、ワーク10が反転する位置及びワーク10の主面10a,10bの撮像位置は、当該出口付近に設けられる。ワーク検査装置1Aにおけるワーク10の主面10a,10bの撮像は、ワーク検査装置1と同様に2台のカメラ5A,5Bによって行われてもよいし、広角のカメラ5cのみによって行われてもよい。
【0067】
図4に示すワーク検査装置1Bでは、第2搬送部3Bは、搬送部材31の両端部のうち上方に位置する端部を図示時計回りに通過する支持壁部(図4における支持壁部32A)によって、第1搬送部2からワーク10を受け取る。また、第2搬送部3Bは、搬送部材31の両端部のうち下方に位置する端部を図示時計回りに通過する支持壁部(図4における支持壁部32B)から、第3搬送部4にワーク10を受け渡す。第2搬送部3Aにおいては、搬送路が折り返される屈曲部34は、ワーク10を第1搬送部2から受け取る入口付近に形成される。このため、ワーク10が反転する位置及びワーク10の主面10a,10bの撮像位置は、当該入口付近に設けられる。ワーク検査装置1Bにおけるワーク10の主面10a,10bの撮像は、ワーク検査装置1と同様に2台のカメラ5A,5Bによって行われてもよいし、広角のカメラ5cのみによって行われてもよい。
【0068】
ワーク検査装置1B,1Cによっても、上述したワーク検査装置1と同様の効果が得られる。また、ワーク検査装置1B,1Cによれば、互いに高さ位置に異なる第1搬送部2及び第3搬送部4を接続するために必要となる搬送区間を搬送部3A,3Bのように構成することで、ワーク10の検査を実行するための低速区間として利用することが可能になる。
【0069】
[第2実施形態]
図5を参照して、第2実施形態のワーク検査装置100について説明する。なお、図5においては、制御部及び送風部の図示を省略している。ワーク検査装置100は、第2搬送部3の代わりに、回転体51と複数の支持壁部52とを有する第2搬送部50を備える点で、ワーク検査装置1と主に相違する。回転体51は、水平方向に平行な軸線周りに回転する。複数の支持壁部52は、回転体51の外周に沿って所定間隔で放射状に設けられ、回転体51とともに回転移動する。
【0070】
ここで、複数の支持壁部52が設けられるピッチ(本実施形態では一例として90度間隔)は、第1実施形態と同様に、第2搬送部50が第1搬送部2の搬送密度よりも大きい搬送密度でワーク10を搬送するように調整されている。これにより、第2搬送部50は、第1搬送部2よりも低速にワーク10を搬送する低速区間として機能する。なお、複数の支持壁部52が設けられるピッチを小さくする(支持壁部52の個数を増やす)ことにより、搬送密度を大きくすることができ、第2搬送部50の搬送速度V3(回転体51の回転方向に沿ったワーク10の移動速度)を小さくすることができる。このように、支持壁部52が設けられるピッチを調整することで搬送密度及び搬送速度V3を調整することができる。
【0071】
続いて、第2搬送部50によるワーク10の搬送について説明する。まず、第1搬送部2の搬送方向下流側の端部2aから排出されるワーク10を、当該端部2aよりも下方から上昇してくる支持壁部52が掬い上げることにより、第1搬送部2から第2搬送部50へのワーク10の受け渡しがなされる。
【0072】
支持壁部52に掬い上げられたワーク10は、第2搬送部50における搬送路の上流側において、ワーク10の主面10bが支持壁部52に当接して支持され、主面10aが露出する状態(第1の状態)で、支持壁部32とともに回転体51の回転方向に移動する。ワーク10を支持する支持壁部52が回転体51の頂部51aで鉛直方向に延在する位置に到達するまでは、ワーク10は、支持壁部52に主面10bが当接して支持される状態となっている。
【0073】
支持壁部52が回転体51の頂部51aで鉛直方向に延在する位置に到達すると、支持壁部52に支持されていたワーク10は、当該支持壁部52に沿って鉛直方向に延在し、倒立状態(図5における破線Rが示す状態)となる。支持壁部52は、そこからさらに時計回りに循環し、倒立状態のワーク10を回転体51の回転方向における前方に倒すことにより、ワーク10を反転させる。具体的には、ワーク10は、重力によって前方に倒れ、それまでワーク10を支持していた支持壁部52よりも前段に位置する支持壁部52にワーク10の主面10aが当接して支持される状態に変化する。すなわち、ワーク10は、ワーク10の主面10bが露出する状態(第2の状態)に変化する。
【0074】
本実施形態では一例として、ワーク検査装置100は、撮像部15として、1台の広角なカメラ15Aを備え、照明部16として、鉛直下向きに光を照射する第1照明16Aを備える。この構成によれば、図5に示すように、カメラ15Aは、第1搬送部2から第2搬送部50に受け渡された直後の反転前のワーク10A(すなわち、主面10aが鉛直上向きに向いた状態のワーク10A)の主面10aを撮像することができる。それと同時に、カメラ15Aは、反転直後のワーク10B(すなわち、主面10bが鉛直上向きに向いた状態のワーク10B)の主面10bを撮像することができる。
【0075】
図5に示すように照明部16が第1照明16Aのみを備える場合には、ワーク10の主面10a,10bに対して正面から光を照射した場合の画像しか取得できない。ただし、ワーク検査装置100は、照明部16として、鉛直下向きの方向に対して傾斜する方向に光を照射する照明を更に備えることにより、ワーク検査装置1と同様に、ワーク10の主面10a,10bに対して斜めから光を照射した場合の画像も取得することが可能となる。なお、ワーク検査装置100において、ワーク検査装置1と同様の撮像部及び照明部の構成(すなわち、2台のカメラ及び3つの照明を備える構成)を採用することができることは言うまでもない。
【0076】
本実施形態に係るワーク検査装置100によれば、回転体51と回転体51の外周に放射状に設けられた複数の支持壁部52とによる簡易な構成により、第1搬送部2よりも低速にワーク10を搬送する低速区間として機能する第2搬送部50を構成することができる。また、支持壁部52が回転体51の頂部51aで鉛直方向に延在する位置において、当該支持壁部52に支持されるワーク10を重力等によって回転方向前方に倒すことにより、ワーク10の反転を容易に実現することができる。
【符号の説明】
【0077】
1,1A,1B,100…ワーク検査装置、2…第1搬送部、3,3A,3B,50…第2搬送部、4…第3搬送部、5,15…撮像部、6,16…照明部、7…送風部(反転制御手段)、8…制御部、10,10A,10B…ワーク、10a…主面(一方の主面)、10b…主面(他方の主面)、31…搬送部材、32,32A,32B…支持壁部、34…屈曲部、51…回転体、52…支持壁部。
図1
図2
図3
図4
図5