特許第6561700号(P6561700)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561700
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】ガス注入装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-175192(P2015-175192)
(22)【出願日】2015年9月4日
(65)【公開番号】特開2017-50517(P2017-50517A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2018年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河合 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】谷山 育志
(72)【発明者】
【氏名】小宮 宗一
(72)【発明者】
【氏名】重田 貴司
【審査官】 山口 大志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−182747(JP,A)
【文献】 特開2002−170876(JP,A)
【文献】 特開2012−033702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不活性ガスを供給するガス供給口と、前記ガス供給口に連通するガス流路とを有するノズル本体と、
前記ガス供給口を開閉する開閉機構と、
前記開閉機構により閉止された前記ガス供給口を開放する開放手段と、
前記ガス流路に連通し、前記ガス供給口が閉止された状態で前記ガス流路内を排気する排気部と、
を備えたことを特徴とするガス注入装置。
【請求項2】
前記ノズル本体は、
前記ガス供給口を形成する胴部と、
前記胴部の上方に形成された上方空間と、
前記胴部の下方に形成された下方空間とを有し、
前記開閉機構は、
前記上方空間に位置して外周縁部で前記ガス供給口の周縁を閉止する蓋部と、
前記蓋部から前記胴部を貫通して前記下方空間まで延びる延伸部とを有し、
前記開放手段は、
前記下方空間に、前記胴部に対して上下動可能に取り付けられ、前記延伸部の下端を上方に移動させる支持部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のガス注入装置。
【請求項3】
前記胴部と前記開放手段との間に配設された付勢部材を有し、
前記付勢部材による付勢力に抗して、前記延伸部の下端に固定された前記開放手段が前記開閉機構を上方に移動することを特徴とする請求項2に記載のガス注入装置。
【請求項4】
前記ノズル本体は、
前記ガス供給口を形成する胴部と、
前記胴部の上方に形成された上方空間を有し、
前記開閉機構は、
前記上方空間に位置して前記ガス供給口を閉止する弾性閉止部材と、
前記弾性閉止部材を前記胴部に固定する固定部とを有し、
前記開放手段は、
前記弾性閉止部材を弾性変形させることで前記ガス供給口の閉止を解除する不活性ガスであることを特徴とする請求項1に記載のガス注入装置。
【請求項5】
前記排気部により排気を行い、
収容物を収容した容器に前記ノズル本体の上端が接触した後、
前記開放手段が、前記開閉機構により閉止された前記ガス供給口を開放し、
前記容器へのガス注入を開始することを特徴とする請求項に記載のガス注入装置。
【請求項6】
前記容器へのガス注入が終了した後、
前記開閉機構が、前記ガス供給口を閉止することを特徴とする請求項に記載のガス注入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送中のウェーハを収容する収容容器に窒素ガスを充填するガス注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板としてのウェーハに対し種々の処理工程が施されることにより半導体の製造がなされてきている。近年では素子の高集積化や回路の微細化がますます進められており、ウェーハ表面へのパーティクルや水分の付着が生じないように、ウェーハ周辺を高いクリーン度に維持することが求められている。さらに、ウェーハ表面が酸化するなど表面の性状が変化することがないよう、ウェーハ周辺を不活性ガスである窒素雰囲気としたり、真空状態としたりすることも行われている。
【0003】
こうしたウェーハ周辺の雰囲気を適切に維持するために、ウェーハは、FOUP(Front-Opening Unified Pod)と呼ばれる密閉式の格納ポッドの内部に入れて管理され、この内部には窒素が充填される。さらに、ウェーハに処理を行う処理装置と、FOUPとの間でウェーハの受け渡しを行うために、EFEM(Equipment Front End Module)が利用されている。EFEMは、筐体の内部で略閉止されたウェーハ搬送室を構成するとともに、その対向壁面の一方にFOUPとの間でのインターフェース部として機能するロードポート(Load Port)を備えるとともに、他方に処理装置の一部であるロードロック室が接続される。ウェーハ搬送室内には、ウェーハを搬送するためのウェーハ搬送装置が設けられており、このウェーハ搬送装置を用いて、ロードポートに接続されるFOUPとロードロック室との間でウェーハの出し入れが行われる。ウェーハ搬送室は、通常、搬送室上部に配置したファンフィルタユニットから清浄な大気であるダウンフローを常時流している。
【0004】
さらに、近年では、ウェーハの最先端プロセスにおいては、ダウンフローとして用いられる清浄な大気に含まれる酸素、水分などですら、ウェーハの性状を変化させるおそれがある。このため特許文献1のように、ウェーハ周辺を窒素雰囲気とするように不活性ガスをFOUP内に注入する技術の実用化が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011―187539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載のガス注入装置では、依然として注入ノズル内の流路に大気やパーティクルが残存してしまう。この結果、より低酸素濃度、低湿度が求められるFOUP内において、これらの残存する大気やパーティクルが混入していまい、ウェーハの性状が変化してしまう恐れがあるという問題がある。
【0007】
そこで、この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、FOUPに不活性ガスを充填する際、大気が侵入するのを防止するガス注入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係るガス注入装置は、
不活性ガスを供給するガス供給口と、前記ガス供給口に連通するガス流路とを有するノズル本体と、
前記ガス供給口を開閉する開閉機構と、
前記開閉機構により閉止された前記ガス供給口を開放する開放手段と、
を備えた。
【0009】
このガス注入装置では、ガス流路を排気した後に、開閉機構で閉止されたガス供給口を開放することで、ガス流路内に残留する大気が、不活性ガスの供給を受ける容器の内部に流入するのを防止できる。なお、ここで大気とは、容器に収容されるウェーハを酸化させるなど、酸素、水分、パーティクルのようにウェーハの性状を変化させる恐れのある物質、および、これらを含む気体を意味する。この大気が容器に流入するのを防止するので、容器に収容されたウェーハの性状変化を防止できる。また、開放手段が、開閉機構により閉止されたガス供給口を開放するので、ガス供給口から不活性ガスを容易に供給できる。
【0010】
第2の発明に係るガス注入装置は、
前記ノズル本体は、
前記ガス供給口を形成する胴部と、
前記胴部の上方に形成された上方空間と、
前記胴部の下方に形成された下方空間とを有し、
前記開閉機構は、
前記上方空間に位置して外周縁部で前記ガス供給口の周縁を閉止する蓋部と、
前記蓋部から前記胴部を貫通して前記下方空間まで延びる延伸部とを有し、
前記開放手段は、
前記下方空間に、前記胴部に対して上下動可能に取り付けられ、前記延伸部の下端を上方に移動させる支持部を有する。
【0011】
このガス注入装置では、開放手段を上方に移動させるだけで開閉機構も上方に移動し、蓋部によるガス供給口の閉止を解除できる。従って、ガス供給口から不活性ガスを容易に供給できる。
【0012】
第3の発明に係るガス注入装置は、
前記胴部と前記開放手段との間に配設された付勢部材を有し、
前記付勢部材による付勢力に抗して、前記延伸部の下端に固定された前記開放手段が前記開閉機構を上方に移動する。
【0013】
このガス注入装置では、付勢部材により開放手段が下方に付勢されているので、開放手段に固定された開閉機構の蓋部が確実にガス供給口を閉止できる。また開放手段を上方に移動させても、付勢部材が胴部を蓋部に向かって付勢するので蓋部によるガス供給口の閉止を確実に維持できる。
【0014】
第4の発明に係るガス注入装置は、
前記ノズル本体は、
前記ガス供給口を形成する胴部と、
前記胴部の上方に形成された上方空間を有し、
前記開閉機構は、
前記上方空間に位置して前記ガス供給口を閉止する弾性閉止部材と、
前記弾性閉止部材を前記胴部に固定する固定部とを有し、
前記開放手段は、
前記弾性閉止部材を弾性変形させることで前記ガス供給口の閉止を解除する不活性ガスである。
【0015】
このガス注入装置では、不活性ガスの圧力を所定値以上にすることで、不活性ガスが弾性閉止部材を押圧して弾性変形させ、ガス供給口の閉止を解除する。これにより、容易な構成で不活性ガスを供給できる。
【0016】
第5の発明に係るガス注入装置は、
前記ガス流路に連通し、前記ガス供給口が閉止された状態で前記ガス流路内を排気する排気部を備えた。
【0017】
このガス注入装置では、ノズル本体の上端を容器に当接させてガス供給口から不活性ガスを供給する前に、排気部によりガス流路内の大気を排気できる。従って、不活性ガスを供給する際にガス流路内の大気が、不活性ガスの供給を受ける容器の内部に流入するのを防止できる。
【0018】
第6の発明に係るガス注入装置は、
前記排気部により排気を行い、
収容物を収容した容器に前記ノズル本体の上端が接触した後、
前記開放手段が、前記開閉機構により閉止された前記ガス供給口を開放し、
前記容器へのガス注入を開始する。
【0019】
このガス注入装置では、排気部によりガス流路内の大気を排気し、ノズル本体の上端が容器に接触した後、ガス供給口を開放して容器への不活性ガス注入を開始する。従って、容器への不活性ガス注入を開始する際に、ガス流路内の大気が容器の内部に流入するのを防止できる。これにより、容器に収容されたウェーハの性状変化を防止できる。
【0020】
第7の発明に係るガス注入装置は、
前記容器への不活性ガス注入が終了した後、
前記開閉機構が、前記ガス供給口を閉止する。
【0021】
このガス注入装置では、容器への不活性ガス注入が終了した後、開閉機構がガス供給口を閉止する。従って、ガス注入の終了後にガス供給口から不活性ガスが漏出するのを防止できる。
【発明の効果】
【0022】
第1の発明では、ガス流路を排気した後に、開閉機構で閉止されたガス供給口を開放することで、ガス流路内に残留する大気が、不活性ガスの供給を受ける容器の内部に流入するのを防止できる。なお、ここで大気とは、容器に収容されるウェーハを酸化させるなど、ウェーハの性状を変化させる恐れのある酸素、水分、パーティクルなどを含む。この大気が容器に流入するのを防止するので、容器に収容されたウェーハの性状変化を防止できる。また、開放手段が、開閉機構により閉止されたガス供給口を開放するので、ガス供給口から不活性ガスを容易に供給できる。
【0023】
第2の発明では、開放手段を上方に移動させるだけで開閉機構も上方に移動し、蓋部によるガス供給口の閉止を解除できる。従って、ガス供給口から不活性ガスを容易に供給できる。
【0024】
第3の発明では、付勢部材により開放手段が下方に付勢されているので、開放手段に固定された開閉機構の蓋部が確実にガス供給口を閉止できる。また開放手段を上方に移動させても、付勢部材が胴部を蓋部に向かって付勢するので蓋部によるガス供給口の閉止を確実に維持できる。
【0025】
第4の発明では、不活性ガスの圧力を所定値以上にすることで、不活性ガスが弾性閉止部材を押圧して弾性変形させ、ガス供給口の閉止を解除する。これにより、容易な構成で不活性ガスを供給できる。
【0026】
第5の発明では、ノノズル本体の上端を容器に当接させてガス供給口から不活性ガスを供給する前に、排気部によりガス流路内の大気を排気できる。従って、不活性ガスを供給する際にガス流路内の大気が、不活性ガスの供給を受ける容器の内部に流入するのを防止できる。
【0027】
第6の発明では、排気部によりガス流路内の大気を排気し、ノズル本体の上端が容器に接触した後、ガス供給口を開放して容器への不活性ガス注入を開始する。従って、容器への不活性ガス注入を開始する際に、ガス流路内の大気が容器の内部に流入するのを防止できる。これにより、容器に収容されたウェーハの性状変化を防止できる。
【0028】
第7の発明では、容器への不活性ガス注入が終了した後、開閉機構がガス供給口を閉止する。従って、不活性ガス注入の終了後にガス供給口から不活性ガスが漏出するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】EFEMの側面壁を取り外した状態を示す側面図。
図2図1に示すロードポートの斜視図。
図3】FOUPとロードポートを示す側面断面図。
図4】EFEMを構成するウインドウユニットとドア部を拡大して示す要部拡大斜視図。
図5】位置決めセンサの部分拡大斜視図。
図6】本実施形態に係るガス注入装置の断面図。
図7図6のガス注入装置をFOUPに向かって移動させた断面図。
図8図6のガス注入装置をFOUPに向かって更に移動させた断面図。
図9図6のガス注入装置をFOUPに装着した状態を示す断面図。
図10】制御部の接続状態を示すブロック図。
図11】FOUPへのガス注入動作を示すフローチャート。
図12】ガス注入装置の変形例を示す断面図。
図13図12の変形例に係る弾性閉止部材を用いたガス注入装置をFOUPに装着した状態を示す断面図。
図14図12の変形例に係るガス注入装置をFOUPに装着し不活性ガスを注入する状態を示す断面図。
図15図13と異なる弾性閉止部材を用いたガス注入装置の断面図。
図16図15の弾性閉止部材が開放した状態を示す断面図。
図17】ばねに代えて圧力室を採用した変形例に係るガス注入装置の断面図。
図18】ガス供給口を開閉するレギュレータを採用した変形例に係るガス注入装置の断面図。
図19】開閉機構として逆止弁を用いた変形例の断面図。
図20】ガス置換機構を昇降させずに固定した変形例に係る載置台周辺の断面図。
図21】位置決めセンサとして加圧センサを用いた変形例に係る載置台周辺の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【0031】
図1は、EFEM1の側面の壁を取り除くことで内部が見えるようにした側面図である。図1に示すように、EFEM1は、所定の受け渡し位置間でウェーハWの搬送を行うウェーハ搬送装置2と、このウェーハ搬送装置2を囲むように設けられた箱型の筐体3と、筐体3の前面側の壁の外側に接続されるロードポート4と、制御手段5とから構成されている。ここで、本願においては筐体3より見てロードポート4が接続される側の向きを前方、筐体3より見てロードポート4が接続される側と反対側の向きを後方と定義する。
【0032】
制御手段5がウェーハ搬送装置2の動作を制御することによって、ロードポート4に載置されたFOUP(容器)7に収容されているウェーハ(収容物)Wを筐体3内部の搬送空間9へ搬送すること及び、各処理が行われた後のウェーハWをFOUP7内へ再び搬送することが可能となっている。
【0033】
ロードポート4はドア部51(図2参照)を備えており、このドア部51がFOUP7に設けられた蓋体32と連結してともに移動することで、FOUP7が搬送空間9に対して開放されるようになっている。FOUP7内には載置部が上下方向に多数設けられており、これによって多数のウェーハWを収容することができる。また、FOUP7内には通常窒素が充填されるとともに、制御手段5の制御によってロードポート4を介してFOUP7内の雰囲気を窒素置換することも可能となっている。
【0034】
制御手段5は、筐体3の上部空間に設けられたコントローラユニットとして構成されている。また制御手段5は、ウェーハ搬送装置2の駆動制御、ロードポート4によるFOUP7の窒素置換制御、ドア部51の開閉制御及び、筐体3内における窒素循環制御等を行っている。制御手段5は、CPU、メモリ及びインターフェースを備えた通常のマイクロプロセッサ等により構成されるもので、メモリには予め処理に必要なプログラムが格納してあり、CPUは逐次必要なプログラムを取り出して実行し、周辺ハードリソースと協働して所期の機能を実現するものとなっている。なお、窒素循環制御については後述する。
【0035】
筐体3の内部空間は、仕切り部材8によってウェーハ搬送装置2が駆動する空間である搬送空間9と、ガス帰還路10とに仕切られている。搬送空間9とガス帰還路10とは、搬送空間9の上部に幅方向に延在して設けられたガス送出口11と搬送空間9の下部に幅方向に延在して設けられたガス吸引口12とにおいてのみ連通している。そして、ガス送出口11とガス吸引口12とが搬送空間9内に下降気流を生じさせ、ガス帰還路10内に上昇気流を生じさせることで、不活性ガスが循環するようになっている。なお、本実施形態においては、不活性ガスとして窒素を用いることとするが、循環させるガスはこれに限られるものではなく、他のガスを用いることもできる。
【0036】
帰還路10の背面側上部には筐体3内に窒素を導入するガス供給手段16が接続されている。ガス供給手段16は、制御手段5からの命令に基づいて窒素の供給と供給の停止を制御することが可能となっている。そのため、窒素の一部が筐体3の外部に流出した場合には、ガス供給手段16が流出分の窒素を供給することによって、筐体3内の窒素雰囲気を一定に保つことができる。また、背面側下部には筐体3内の窒素ガスを排出するガス排出手段17が接続されている。ガス排出手段17は、制御手段5からの命令に基づいて動作して、図示しないシャッタを開放することによって筐体3の内部と外部に設けられた窒素ガス排出先とを連通させることが可能となっている。そして、上述したガス供給手段16による窒素の供給と併用することにより、筐体3内を窒素雰囲気に置換したり筐体3内の圧力を制御することが可能となっている。なお、本実施形態においては、循環させるガスを窒素とするため、ガス供給手段16は窒素を供給するが、他のガスを循環させる場合は、ガス供給手段16はその循環させるガスを供給する。
【0037】
また、ガス送出口11には第1の送風手段としてのファン13aとフィルタ13bとから構成されるファンフィルタユニット13(FFU13)が設けられている。ファンフィルタユニット13は、筐体3内を循環する窒素ガス内に含まれるパーティクルを除去するとともに、搬送空間9内へ下方に向けて送風することによって搬送空間9内に下降気流を生じさせている。なお、FFU13は、仕切り部材8に連結され水平方向に延びる支持部材18によって支持されている。
【0038】
そして、上述したFFU13のファン13a及びファン15によって、筐体3内の窒素ガスは搬送空間9内を下降し、ガス帰還路10内を上昇することで循環するようになっている。ガス送出口11は下方に向かって開口されていることから、FFU13によって窒素ガスが下方に向かって送り出される。ガス吸引口12は上方に向かって開口されていることから、FFU13によって生じさせた下降気流を乱すことなくそのまま下方に向かって窒素ガスを吸引させることができ、これらによって円滑な窒素ガスの流れを作り出すことができる。なお、搬送空間9内に下降気流が生じていることで、ウェーハW上部に付着したパーティクルや処理済みウェーハから一時的に放出される放出ガスを除去するとともに、搬送空間9内のウェーハ搬送装置2などの装置が移動することにより、それらの放出ガスやパーティクルが浮遊することを防止している。
【0039】
図2は、ロードポート4の斜視図を示す。以下、ロードポート4の構成を説明する。
【0040】
ロードポート4は、キャスタ及び設置脚の取り付けられる脚部25の後方よりベース21を垂直に起立させ、このベース21の約60%程度の高さ位置より前方に向けて水平基部23が設けられている。さらに、この水平基部23の上部には、FOUP7を載置するための載置台24が設けられている。
【0041】
FOUP7は、図3に模式的に示すように、ウェーハW(図1参照)を収容するための内部空間Sfを備えた本体31と、ウェーハWの搬出入口となるべく本体31の一面に設けられた開口31aを開閉する蓋体32とから構成されている。FOUP7は、載置台24に正しく載置された場合には蓋体32がベース21と対向するようになっている。
【0042】
図2に戻って、載置台24上には、FOUP7の位置決めを行うための位置決めピン24aが設けられるとともに、載置台24に対してFOUP7の固定を行うためのロック爪24bが設けられている。ロック爪24bは、載置台24上にFOUP7が適切に位置決めされた後、ロック動作を行うことでFOUP7を固定することができ、アンロック動作を行うことでFOUP7を載置台24より離間可能な状態とすることができる。なお、載置台24はFOUP7を載置した状態で、載置台駆動部(図示せず)により前後方向に移動することが可能となっている。ここで、適切に位置決めされるとは、載置台24に対するFOUP7の底面の高さが、載置台24の上面から所定範囲内にあることを意味する。
【0043】
FOUP7が適正な位置に位置決めされたか否かは、位置決めピン24aの近傍に配設された位置決めセンサ60(図5参照)により検知される。位置決めセンサ60は、板ばねによって形成されたセンサ61と、センサ61に下向きに突設されたフラグ62と、フラグ62の下方に配置された透過型のフォトセンサ63と、フォトセンサ63に接続されたセンサケーブル64と、を備えている。この位置決めセンサ60は、各位置決めピン24aの近傍に、それぞれ配置することが好ましい。
【0044】
FOUP7が載置台24に載置されると、FOUP7の位置決め溝(図示せず)が位置決めピン24aに挿入され、FOUP7の底部がセンサ61に接触する。するとFOUP7の重みでフラグ62が下がってフォトセンサ63を遮光するため、FOUP7を認識(検出)することができる。検出結果はセンサケーブル64によってコントローラに送信される。このように、フラグ62がフォトセンサ63を遮光した時に、FOUP7が載置台24に適切に位置決めされていることを検出できる。具体的にFOUP7が適切に位置決めされた状態であるかを検出するために、FOUP7が適切に位置決めされた状態にあるときに、フラグ62がフォトセンサ63を遮光するように設計しておけばよい。この他、フォトセンサ63が検知するフラグ62の遮光量と、所定の閾値とを比較して検知しておいても良い。
【0045】
また、載置台24には、FOUP7内に窒素ガスを供給するガス注入装置70と、FOUP7内より窒素ガスを排出する第2排気ノズル104がそれぞれ2箇所に設けられている。ガス注入装置70と第2排気ノズル104とは通常、適切に位置決めされた状態にあるFOUP7の底面より下方に位置し、使用の際に上方に進出してFOUP7の備えるガス供給弁33(図3参照)とガス排出弁34にそれぞれ連結するようになっている。
【0046】
使用時には、ガス注入装置70の上端がFOUP7のガス供給弁33に接触し、同様に、第2排気ノズル104の上端がFOUP7のガス排気弁34に接触する。そして、ガス供給弁33を介してガス注入装置70よりFOUP7の内部空間Sfに乾燥窒素ガス等のガスを供給し、ガス排出弁34を介して第2排気ノズル104より内部空間Sfの窒素ガスを排出可能となっている。また、窒素ガス供給量を窒素ガス排出量よりも多くすることで、外部や筐体3の搬送空間9の圧力に対して内部空間Sfの圧力を高めた陽圧設定とすることもできる。
【0047】
ここで、通常、ロードポート4に載置されるFOUP7のガス供給弁33が、いわゆるグロメットタイプと呼ばれる弾性部材である場合、対応するガス注入装置70の上端は、ガス供給弁33よりも剛性の高い、例えば、金属やプラスチックのような物質、あるいは、グロメットタイプと同様の弾性部材で構成される。本実施形態ではガス注入装置70の上端をプラスチックで構成している。
【0048】
ロードポート4を構成するベース21は、搬送空間9を外部空間から隔離する前面壁の一部を構成している。図2に示すようにベース21は、両側方に起立させた支柱21a,21aと、これらにより支持されたベース本体21bと、このベース本体21bに略矩形状に開放された窓部21cに取り付けられたウインドウユニット40とから構成されている。ここで、本願でいう略矩形とは、四辺を備える長方形を基本形状としながら四隅を円弧によって滑らかにつないだ形状をいう。
【0049】
ウインドウユニット40は、上述したFOUP7の蓋体32(図3参照)と対向する位置に設けられている。ウインドウユニット40は、後に詳述するように略矩形状の開口部42(図4参照)が設けられていることから、この開口部42を介して筐体3の搬送空間9を開放することができる。
【0050】
ウインドウユニット40は、窓枠部41と、これに取り付けられる弾性材としての第1Oリング43,第2Oリング44と、第1Oリング43を介してFOUP7を窓枠部41に対して密着させるための引き込み手段としてのクランプユニット45とから構成されている。
【0051】
窓枠部41は、内側に略矩形状の開口部42が形成された枠形状をなしている。窓枠部41は、ウインドウユニット40の構成要素として上述したベース21(図2参照)の一部を構成するものであることから、開口部42は筐体3の前面壁を開放するものということができる。窓枠部41の前面には、開口部42の周縁近傍を周回するように第1Oリング43が配設されている。窓枠部41の後面には、開口部42の周縁近傍を周回するように第2Oリング44が配設されている。
【0052】
開口部42はFOUP7の蓋体32の外周よりも僅かに大きく、この開口部42を通って蓋体32は移動可能となっている。また、FOUP7を載置台24に載置させた状態において、蓋体32の周囲をなす本体31の前面は当接面31bとして、第1Oリング43を介して窓枠部41の前面に当接する。これにより、FOUP7がウインドウユニット40に取付けられた際に、第1Oリング43は開口部42(ベース21)の周縁とFOUP7との間をシール(閉止)する。
【0053】
また、窓枠部41の後面には、上述したドア部51が第2Oリング44を介して当接するようになっている。これにより、第2Oリング44が開口部42の周縁とドア部51との間をシールする。
【0054】
クランプユニット45は、窓枠部41の両側部において上下方向に離間して配された合計4箇所に設けられている。各クランプユニット45は、概ね係合片46とこれを動作させるシリンダ47とから構成され、FOUP7がウインドウユニット40に取付けられた状態で、FOUP7をベース21側に押圧する。
【0055】
そして、係合片46が前方に飛び出した場合にはその先端が上方向を向き、後方に引き込まれた状態となった場合には先端が内側のFOUP7に向かう方向となる。クランプ操作により、係合片46は先端が内側を向くことで、FOUP7より側方に張り出した鍔部に係合することが可能となっている。
【0056】
また、ロードポート4は、FOUP7を取り付け可能に構成されたウインドウユニット40を開閉するための開閉機構50を備えている。
【0057】
図3に示すように開閉機構50は、開口部42を開閉するためのドア部51と、これを支持するための支持フレーム52と、この支持フレーム52がスライド支持手段53を介して前後方向に移動可能に支持する可動ブロック54と、この可動ブロック54をベース本体21bに対して上下方向に移動可能に支持するスライドレール55を備えている。
【0058】
さらに、ドア部51の前後方向への移動及び上下方向への移動を行わせるためのアクチュエータ(図示せず)が、各方向毎に設けられており、これらに制御部Cpからの駆動指令を与えることで、ドア部51を前後方向及び上下方向に移動させることができるようになっている。このようにロードポート4は制御部Cpによって、各部に駆動指令が与えられることで動作するようになっている。
【0059】
ドア部51は、FOUP7の蓋体32を吸着する吸着部56(図4参照)と、FOUP7の蓋体32を開閉するためのラッチ操作や、蓋体32の保持を行うための連結手段57とを備えている。ドア部51は蓋体32の固定および固定の解除を行って、FOUP7から蓋体32の取り外し、および取り付けが可能となっている。連結手段57では、蓋体32のアンラッチ動作を行うことで蓋体32を開放可能な状態とするとともに、蓋体32をドア部51に連結して一体化した状態とすることができる。また、これとは逆に、蓋体32とドア部51との連結を解除するとともに、蓋体32を本体31に取付けて閉止状態とすることもできる。
【0060】
図6を参照しながら、本発明のガス注入装置70について説明する。ガス注入装置70は、不活性ガスをFOUP7に供給するガス供給口72を有するノズル本体71と、ガス供給口72をシールする開閉機構92と、開閉機構92によりシールされたガス供給口72を開放する開放手段96とを備えている。
【0061】
ノズル本体71は、ガス供給口72を形成する胴部73と、胴部73の上端面の外周縁から上方に立ち上がる第1周壁74と、胴部73の下端面の外周縁から下方に垂下する第2周壁75とを有する。
【0062】
胴部73は、ノズル本体71の軸方向に沿って延びる円柱形状である。胴部73は、ガス供給口72に連通するガス流路77と、ガス供給口72の上側縁部に設けられた第1シール部85と、胴部73の外周面から径方向外方に向かって突出する円環状の係止部86とを包含する。
【0063】
ガス流路77は、ノズル本体71の軸方向と直交する水平方向に胴部73の内部を直線状に延び、中央部でガス供給口72に連通している。ガス流路77の一方の開口が供給ノズル78と接続され、供給流路79を形成している。供給ノズル78は、供給バルブ80(図3参照)を介して図示しない窒素供給源に接続され、FOUP7に窒素ガスを供給する。ガス流路77の他方の開口が、排気部である第1排気ノズル81に接続され、排気流路82を形成している。第1排気ノズル81は、排気バルブ83を介して図示しない真空ポンプに接続され、ガス供給口72がシールされた状態でガス流路77内の大気を排気する。
【0064】
第1周壁74と、胴部73の上端面との間には、胴部73より上方の上方空間87が形成されている。第1周壁74の先端部には、FOUP7に向かって突出する突出壁88が形成されている。
【0065】
第2周壁75と、胴部73の下端面との間には、胴部73より下方の下方空間89が形成されている。第2周壁75の下端が、載置台24に固定された台座90に支持されている。なお、本実施形態では第2周壁75を採用したが、第2周壁75に代えて胴部73の下端面の外周縁から下方に垂下するピンを採用してもよい。
【0066】
開閉機構92は断面T字形状であり、円板状の蓋部93と、蓋部93の下面中央部から下方に延びる円柱形状の延伸部94とを有する。蓋部93は上方空間87に位置し、下面の外周縁部が第1シール部85と当接してガス供給口72の周縁をシールする。延伸部94は、蓋部93から胴部73を貫通して下方空間89まで延びている。延伸部94と胴部73との間は、胴部73の下端に配設された第2シール部95によりシールされている。
【0067】
開放手段96は、延伸部94の下端に接続され、延伸部94を上方に押圧して開閉機構92を上方に移動させる。開放手段96は、円板状の支持部材(支持部)97と、支持部材97の上面から上方に立ち上がる円環状の立壁98とを有する。支持部材97の立壁98の内側には、支持部材97を厚さ方向に貫通する貫通孔99が形成されている。第2周壁75が貫通孔99に挿通することで、開放手段96が下方空間89に、胴部73に対して上下動可能に取り付けられている。
【0068】
支持部材97の径方向外側は、載置台24に配設されたエアシリンダ101の下端に接続されている。これにより、エアシリンダ101が支持部材97を昇降駆動させることで、ばね102を介してノズル本体71を昇降させるように駆動する。
【0069】
胴部73と支持部材97との間には付勢部材であるばね102が配設されている。開放手段96は、ばね102による弾性力に抗して開閉機構92を上方に押圧する。なお、開放手段96と開閉機構92とは一体に形成されている。
【0070】
また図10に示すように、制御部Ctの入力側は、FOUP7が適切に位置決めされたことを検知する位置決めセンサ60と、FOUP7とノズル本体71とが接触したことを検知する接触検知センサとに接続されている。制御部Ctの出力側は、供給バルブ80と排気バルブ83とエアシリンダ101とに接続されている。制御部CtはEFEM1に設置され、各種メモリや、ユーザによる操作入力を受け付けるコントローラが内蔵されている。
【0071】
以下、本実施形態のガス注入装置70を用いた場合の動作例を、図6図11を用いて説明する。
【0072】
図11に示すようにステップS1では、開閉機構92がガス供給口72をシールする(図6参照)。このとき、供給バルブ80および排気バルブ83は閉じられている。
【0073】
ステップS2では供給バルブ80と排気バルブ83とを開き、ガス流路77内の大気を窒素に置換する。窒素への置換が終了後、供給バルブ80および排気バルブ83を閉じる。ただし、このステップS2では、供給バルブ80を閉じたまま排気バルブ83を開き、ガス流路77内から大気を排気して真空状態にしておくだけでもよい。あるいは、真空状態にした後で供給バルブ80を開き、ガス流路77内に窒素ガスを充填しておいても良い。さらに、ガス流路77内の大気を窒素ガスに置換する際、供給バルブ80による窒素ガス充填と排気バルブ83による排気を交互に繰り返し行うことで、より一層、ガス流路77内の大気を排気できる。
【0074】
ステップS3では位置決めセンサ60が、FOUP7が載置台24に適切に位置決めされたことを検知し、ステップS4に進む。
【0075】
ステップS4では、FOUP7が載置台24に位置決めした後、エアシリンダ101が支持部材97を介してガス注入装置70をFOUP7に向かって上昇させる(図7参照)。このとき、ばね102が、胴部73に負荷する重力よりも大きい力で胴部73の下端面を上方に付勢しているため、第1シール部材85が蓋部93に向かって押圧される。従って、開閉機構92によるガス供給口72のシール状態が維持される。なお、第2周壁75の下端は台座90から離間する。
【0076】
ステップS5では、FOUP7とノズル本体71の突出壁88とが接触したことを接触検知センサで検知する。なお、接触検知センサを用いない場合、載置台24に適切に位置決めされた状態にあるFOUP7の底面を基準に、ノズル本体71の上昇位置を設定しておけばよい。これにより、エアシリンダ101のストローク量や、エアシリンダ101の圧力を検出することで間接的に、FOUP7とノズル本体71の突出壁88との接触を検知できる。
【0077】
エアシリンダ101が更に、ばね102の付勢力に抗して支持部材97を上方に移動させると、開閉機構92は上方に向かって移動する。このとき、ノズル本体71はFOUP7のガス供給弁33に接触して移動できないため、ばね102が圧縮され、ステップS6に示すように開閉機構92によるガス供給口72のシールが解除される(図9参照)。なお、開閉機構92の上昇は、立壁98の上端が係止部86に係止することで停止する。
【0078】
続くステップS7では供給バルブ80を開き、窒素ガス供給源から吐出された窒素ガスが供給ノズル78、供給流路79、ガス供給口72、および上方空間87を順に流動して、FOUP7に供給される。これによりFOUP7内が窒素ガスで充填される。
【0079】
ステップS8では、ロードポート4が窒素ガスの停止命令を受けると供給バルブ80を閉じ、FOUP7への窒素ガスの供給を停止する。この後、ステップS9では、開閉機構92がガス供給口72をシールする。具体的には、エアシリンダ101により支持部材97が下方に移動されると、開閉機構92も下方に移動してガス供給口72がシールされる(図8参照)。
【0080】
ステップS10では、更に支持部材97が下方に移動されると、ガス注入装置70が下方に移動してFOUP7から離間する(図7参照)。このとき、ばね102が伸長しているので、支持部材97に対してノズル本体71が蓋部93に向かって付勢され、ガス供給口72のシール状態が維持される。そして、第2周壁75の下端が台座90に当接すると、ガス注入装置70の下降が終了する(図6参照)。
【0081】
[本実施形態のガス供給装置の特徴]
本実施形態のガス注入装置70には以下の特徴がある。
【0082】
本実施形態のガス注入装置70では、ガス流路77を排気した後に、開閉機構82でシールされたガス供給口72を開放する。従って、ガス流路77内の大気が、窒素ガスの供給を受けるFOUP7の内部に流入するのを防止し、FOUP7に収容されたウェーハの性状変化を防止できる。また、開放手段96が、開閉機構92によりシールされたガス供給口72を開放するので、ガス供給口72から窒素ガスを容易に供給できる。
【0083】
本実施形態のガス注入装置70では、開放手段96を上方に移動させるだけで開閉機構92も上方に移動し、蓋部93によるガス供給口72のシールを解除できる。従って、ガス供給口72から窒素ガスを容易に供給できる。
【0084】
本実施形態のガス注入装置70では、ばね102により開放手段96が、ノズル本体71に対して下方に付勢されているので、開放手段96に接続された開閉機構92の蓋部93が確実にガス供給口72をシールできる。また開放手段96を上方に移動させても、ばね102が胴部73を蓋部93に向かって付勢するので蓋部93によるガス供給口72のシールを確実に維持できる。
【0085】
本実施形態のガス注入装置70では、ノズル本体71の上端をFOUP7に当接させてガス供給口72から窒素ガスを供給する前に、第1排気ノズル81によりガス流路77内の大気を排気できる。従って、窒素ガスを供給する際にガス流路77内の大気が、窒素ガスの供給を受けるFOUP7内部に流入するのを防止できる。
【0086】
本実施形態のガス注入装置70では、第1排気ノズル81によりガス流路77内の大気を排気し、ノズル本体71の上端がFOUP7に接触した後、ガス供給口72を開放してFOUP7へのガス注入を開始する。従って、FOUP7への窒素ガス注入を開始する際に、ガス流路77内の大気がFOUP7の内部に流入するのを防止できる。これにより、FOUP7に収容されたウェーハの性状変化を防止できる。ここで、ノズル本体71の上端がFOUP7に接触した後、ガス供給口72を開放する際にノズル内を排気しながら開放手段96を上方に移動させることで、上方空間87内の大気を排気することが好ましい。また、FOUP7への窒素ガス注入は、上述した上方空間87内の大気を排気した後に行なうことが好ましい。このようにすれば、上方空間87内の大気がFOUP7内に入ることを防止することができる。
【0087】
本実施形態のガス注入装置70では、FOUP7への窒素ガス注入が終了した後、開閉機構92がガス供給口72をシールする。そして、ノズル本体71をFOUP7から切離する。従って、窒素ガス注入の終了後にガス供給口72から窒素ガスが漏出するのを防止できる。このほか、FOUP7への窒素ガス注入が終了した後、ノズル本体71を所定値以下の陽圧状態に維持する。この状態でノズル本体71をFOUP7から切離させた後、または切離と同時に開閉機構92でガス供給口を閉止(シール)しても良い。なお、ここで言う所定値とは、ガス供給口72に設けられた逆止弁のような開閉弁(図示せず)が開放しない程度の圧力を意味する。この開閉弁は閉じられた状態でガス供給口72をシールして、FOUP7内のガスがFOUP7外へ流出することを阻止するとともに、FOUP7外の大気がFOUP7内へ流入することを防ぐ。しかし、この開閉弁は、所定の圧力を受けることで開放され、ガス供給口72を介するFOUP内7への窒素ガス流入を可能にする。
【0088】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0089】
前記実施形態では、開閉機構92を上下に移動させることでガス供給口72のシール、およびシールの解除を行った。しかしこれに限定されず図12に示すように、上方空間87に位置し、下面の外周縁部でガス供給口72の周縁をシールする弾性閉止部材111と、弾性閉止部材111を胴部73に固定する固定部112とを有する開閉機構110を採用してもよい。なお以下の変形例では図中、前記実施形態と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0090】
この開閉機構110では、図示しないエアシリンダが胴部73を上方に移動させて(図13参照)、突出壁88をFOUP7の切欠き36に嵌入させる。この状態で、供給ノズル78から上方空間87に向かって窒素ガスを流動させると、図14に示すように窒素ガスの圧力により弾性閉止部材111が弾性変形してガス供給口72のシールを解除する。このように、窒素ガスの圧力を所定値以上にすることで、窒素ガスが弾性閉止部材111を押圧して弾性変形させ、ガス供給口72のシールを解除する。ここで言う所定値とは、弾性閉止部材111を弾性変形させ、逆止弁によるガス供給口72のシールを解除し得る圧力値を意味する。これにより、容易な構成で、供給流路79から上方空間87を介してFOUP7に窒素ガスを供給できる。なお、この場合、上記実施形態のように排気流路82は必ずしも必要ない。例えば、FOUP7からノズル本体71を離間させる前に、窒素ガス供給を止めて弾性閉止部材111でガス供給口のシールを行う。これにより、FOUP7からノズル本体71が離間した後でも、実質的に供給流路79内に大気が残存するのを防ぐことができる。この弁機構110としては、逆止弁としての機能しており、既知の逆止弁を用いることができる。
【0091】
開閉機構110の更なる変形例として、図15に示すように、中央部が当接して密着することでガス供給口72をシールする弾性閉止部材113と、この弾性閉止部材113の径方向外側に形成され、弾性閉止部材113を胴部73に固定する固定部114とを有する開閉機構110を採用してもよい。
【0092】
この開閉機構110では、供給ノズル78から上方空間87に向かって窒素ガスを流動させると、図16に示すように窒素ガスの圧力により弾性閉止部材113が弾性変形して外方に折れ曲がり、ガス供給口72のシールを解除する。これにより、簡単な構成でFOUP7に窒素ガスを供給できる。
【0093】
前記実施形態では、ばね102が支持部材97に対してノズル本体71を上方に付勢することで、開閉機構92によるガス供給口72のシールが維持された。しかしこれに限定されず、付勢部材としてばね102に代えて圧力室115を用いることで、ガス供給口72のシールまたはシールの解除を行ってもよい。図17に示すように、圧力室115は、ノズル本体71に一体化された支持部材97と胴部73との間に形成されている。また圧力室115は、気体を供給または排気する圧力調整ノズル116に接続されている。
【0094】
圧力調整ノズル116は、圧力室115に気体を供給することで圧力を高くし、開閉機構92の下端部117を下方に押圧して開閉機構92を下方に付勢する。これにより、蓋部93がガス供給口72をシールする。一方、圧力調整ノズル116が圧力室115から気体を排気することで圧力を低くし、負圧により下端部117を上方に引き上げて開閉機構92を上方に移動させる。これにより、蓋部93によるガス供給口72のシールを解除する。
【0095】
前記実施形態では、FOUP7のガス供給弁33としてグロメットタイプと呼ばれる弾性部材を採用した。しかしガス供給弁33として、いわゆるリップタイプと呼ばれる、例えば、金属やプラスチックのような剛性の高い素材を採用してもよい。この場合、対応するガス注入装置70の上端は、グロメットタイプのような弾性部材37で構成される。このように、ガス供給弁33とガス注入装置80の上端とを、弾性部材と剛性部材、または弾性部材同士の関係に設定する。これにより、ガス供給弁33にガス注入装置70の上端が接触したとき、ガス供給弁33の突起33aと弾性部材37とが接触して密閉性をもたせることができる。従って,FOUP7内に供給される窒素ガスが外部に漏洩することを防ぐことができる。
【0096】
前記実施形態では、開放手段96と開閉機構92とを一体に形成した。しかし、組立を容易にするため、それぞれ別体とし、例えば開放手段96に対する開閉機構92の相対位置を規制する雄ねじ133および雌ねじ134の関係として着脱可能に構成しても良い。これにより、組立および弁機構92の交換が容易になる。
【0097】
また、ガス流路77内の窒素ガスの圧力を調整することで、ガス供給口72のシールまたはシールの解除を行ってもよい。具体的には図18に示すように、供給ノズル78に、流量コントローラ120に並列接続された第1レギュレータ121および第2レギュレータ122を連結する。これにより、高圧窒素ガスを吐出する第1レギュレータ121を駆動することで、供給ノズル78に高圧の窒素ガスが流れる。この窒素ガスの圧力により、開閉機構92を上方に移動させて蓋部93によるガス供給口72のシールを解除する。このとき、排気バルブ83は閉じられている。他方、低圧窒素ガスを吐出する第2レギュレータ122を駆動することで、供給ノズル78に低圧の窒素ガスが流れる。この低圧窒素ガスにより、開閉機構92を下方に移動させて蓋部93によりガス供給口72をシールする。
【0098】
開閉機構92として、図19に示すように逆止弁136を採用してもよい。この開閉機構92は、逆止弁136と、逆止弁136をガス供給口72に固定する固定部137とを有する。逆止弁136は、ガス供給口72と嵌合して窒素ガスが上方から下方に流れるのを防止するボール138と、ボール138が上方に押されて窒素ガスの経路ができるプランジャ139とからなる。
【0099】
前記実施形態では、エアシリンダ101によりガス注入装置70を昇降させた。しかしこれに限定されず、ガス注入装置70を昇降させない構成を採用してもよい。図20に示すように、気体置換機構125は、窒素ガスを充填した図示略のガス供給装置を有しており、載置台24に配置されたFOUP7内に窒素ガスを供給する。気体置換機構125には、ガス供給口126とガス排気口127とが設けられている。ガス供給口126は載置台24の取入用パージポート128に接続されており、ガス排出口127は、載置台24の取出用パージポート129に接続されている。これらにより、ガス供給口126とガス排気口127とは載置台24に対して固定され、昇降しない構成となっている。
【0100】
前記実施形態では、FOUP7が適正な位置に固定されたか否かは、位置決めセンサ60により検知した。しかしこれに限定されず、図21に示すように、FOUP7の底部に設けられた突出部130が載置台24の上部に設けられた加圧センサ131の押圧部131aを押圧したことを検出することで、FOUP7の適正な位置決めを検知してもよい。
【0101】
前記実施形態では不活性ガスとして窒素ガスを例にしたが、これに限定されず、乾燥ガス、アルゴンガスなど所望のガスを用いることができる。
【0102】
前記実施形態では、位置決めセンサは、光学式センサや圧力センサを例にしたが、これに限定されず、機械式センサや電気式センサなどを用いることができる。
【0103】
前記実施形態では、ロードポートに適用したがこれらに限定されない。例えば、FOUP内に不活性ガスを供給するためのパージステーション(パージ装置)装置、複数の載置台を備え、複数のFOUPを保管するためのFOUPストッカ、またはFOUPを仮置きするためバッファ装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0104】
70 ガス注入装置
71 ノズル本体
72 ガス供給口
73 胴部
77 ガス流路
81 第1排気ノズル(排気部)
87 上方空間
89 下方空間
92 開閉機構
93 蓋部
94 延伸部
96 開放手段
97 支持部材(支持部)
102 ばね(付勢部材)
111 弾性閉止部材
112 固定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21