特許第6561703号(P6561703)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561703
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】放射線透視撮影装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
   A61B6/00 320Z
   A61B6/00 300G
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-177468(P2015-177468)
(22)【出願日】2015年9月9日
(65)【公開番号】特開2017-51409(P2017-51409A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2018年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100101753
【弁理士】
【氏名又は名称】大坪 隆司
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅大
【審査官】 安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−128585(JP,A)
【文献】 特開平05−161629(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0156154(US,A1)
【文献】 特開平04−072880(JP,A)
【文献】 特開2015−009097(JP,A)
【文献】 特開平11−244282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者に向けて放射線を照射する放射線照射部と、前記放射線照射部から照射され前記被検者を通過した放射線を検出する放射線検出器と、前記放射線照射部と前記被検者との間に配設された複数のコリメータリーフを備え、前記放射線照射部から前記被検者に向けて照射される放射線の範囲のサイズを変更するコリメータと、を検査室内に配設した放射線透視撮影装置において、
操作室内に配設され、前記放射線検出器により取得された画像を表示するための表示部と、
操作室内に配設され、前記コリメータリーフの開度を変更するための開度変更スイッチと、をさらに備え、
放射線透視を実行中に前記開度変更スイッチが操作されたときに、放射線透視を停止せずに前記コリメータリーフの開度を放射線撮影時の開度に変更し、前記コリメータリーフの開度を放射線撮影時の開度に変更した後における放射線透視における前記画像を前記表示部に表示する制御部を備えたことを特徴とする放射線透視撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線透視撮影装置において、
前記制御部は、前記開度変更スイッチが操作されて前記コリメータリーフの開度が放射線撮影時の開度に変更された後において、一定の時間が経過したとき、または、再度前記開度変更スイッチが操作されたときに、前記コリメータリーフの開度を再度放射線透視時の開度に変更する放射線透視撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被検者に対して放射線透視および放射線撮影を実行する放射線透視撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、被検者に対してX線透視およびX線撮影を実行するためのX線透視撮影装置は、被検者に向けてX線を照射するX線管と、このX線管から照射され被検者を通過したX線を検出するフラットパネルディテクタやイメージインテンシファイア(I.I.)等のX線検出器と、X線管と被検者との間に配設された複数のコリメータリーフを備え、X線管から被検者に向けて照射されるX線の範囲のサイズを変更するコリメータとを備えたX線撮影部を有する。このX線撮影部は、検査室内に配設されている。また、このようなX線透視撮影装置は、X線検出器により取得された画像を表示するための表示部と、コリメータリーフの開度動作を含む各種のX線撮影動作を実行するための操作部を備えたコントローラとを有する。この表示部およびコントローラは、操作室内に設置される。
【0003】
このようなX線透視撮影装置においては、X線透視時のX線照射野とX線撮影時のX線照射野とは、一般的に、互いに異なっている。このため、X線透視中にX線撮影に切り換えを行った場合、オペレータはどの範囲までが撮影されるのか確認することができない。従って、X線撮影に切り換えを行った後、再び、X線透視により撮影範囲の調整を行う必要がある場合がある。
【0004】
一方、このようなX線透視撮影装置においては、X線照射野の範囲を確認するために、コリメータランプが使用されている。このコリメータランプは、ハーフミラー等を介してX線管の焦点と共役な位置に配置され、このコリメータランプから照射されコリメータリーフにより照射範囲が規制された光の照射野を確認することにより、X線照射野を確認することが可能となる。
【0005】
また、特許文献1には、コリメータランプのスイッチを押すと、コリメータランプが点灯するとともに、コリメータリーフがフィルムによる撮影サイズに対応する位置まで移動し、コリメータランプが消灯すると、コリメータリーフがI.I.による撮影サイズに対応する位置まで移動するX線透視撮影台が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−8482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1に記載されたX線透視撮影台のように、コリメータランプによりX線透視時とX線撮影時におけるX線照射野を確認する手法によれば、オペレータが検査室内にいる場合であればX線照射野の確認は可能ではあるが、オペレータが操作室にいる場合にはX線照射野を正確に確認することはできない。このため、オペレータが操作室で検査を実行する場合に、X線透視中にX線撮影に切り換えを行ったときには、オペレータはどの範囲までが撮影されるのか確認することが困難となる。従って、X線撮影に切り換えを行った後、再び、X線透視により撮影範囲の調整を行う必要がある場合がある。
【0008】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、オペレータが操作室で検査を行う場合に、放射線透視中に、放射線撮影時における放射線の照射野を容易に確認することが可能な放射線透視撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、被検者に向けて放射線を照射する放射線照射部と、前記放射線照射部から照射され前記被検者を通過した放射線を検出する放射線検出器と、前記放射線照射部と前記被検者との間に配設された複数のコリメータリーフを備え、前記放射線照射部から前記被検者に向けて照射される放射線の範囲のサイズを変更するコリメータと、を検査室内に配設した放射線透視撮影装置において、操作室内に配設され、前記放射線検出器により取得された画像を表示するための表示部と、操作室内に配設され、前記コリメータリーフの開度を変更するための開度変更スイッチと、をさらに備え、放射線透視を実行中に前記開度変更スイッチが操作されたときに、放射線透視を停止せずに前記コリメータリーフの開度を放射線撮影時の開度に変更し、前記コリメータリーフの開度を放射線撮影時の開度に変更した後における放射線透視における前記画像を前記表示部に表示する制御部を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御部は、前記開度変更スイッチが操作されて前記コリメータリーフの開度が放射線撮影時の開度に変更された後において、一定の時間が経過したとき、または、再度前記開度変更スイッチが操作されたときに、前記コリメータリーフの開度を再度放射線透視時の開度に変更する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、オペレータが操作室内において放射線透視および放射線撮影を実行する場合においても、放射線透視中に、放射線撮影時における放射線の照射野を、表示部に表示される画像に基づいて容易に確認することが可能となる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、放射線撮影時における放射線の照射野を確認した後に、継続して放射線透視を実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明に係る放射線透視撮影装置としてのX線透視撮影装置の概要図である。
図2】検査室R2内に配設された透視撮影台の斜視図である。
図3】コリメータ12の斜視図である。
図4】コリメータ12の内部構造をX線管11と共に示す概要図である。
図5】操作室R1に設置されたコントローラ42における操作パネル43の概要図である。
図6】この発明に係るX線透視撮影装置の主要な制御系を示すブロック図である。
図7】コリメータ12によるX線照射野の変更状態を示す概要図である。
図8】X線透視時のX線照射野E1とX線撮影時のX線照射野E2とを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明に係る放射線透視撮影装置としてのX線透視撮影装置の概要図である。また、図2は、検査室R2内に配設された透視撮影台の斜視図である。
【0015】
このX線撮影装置は、被検者Mに対してX線撮影およびX線透視を実行するためのものであり、操作室R1内に設置された操作パネル43を備えるコントローラ42および表示部41と、検査室R2内に設置された透視撮影台とを備える。操作室R1と検査室R2とは、隔壁21により隔てられている。この隔壁21には、X線を遮断可能な鉛ガラス窓22が設けられており、オペレータDは、この鉛ガラス窓22を介して検査室R2内の状態を確認することが可能となっている。
【0016】
操作室R1に設置されたコントローラ42は、後述するように、装置全体を制御する制御部40を備える。このコントローラ42には、後述する各種の動作を実行させるための操作パネル43が付設されている。また、操作室R1に設置された表示部41は、液晶パネル等から構成され、X線検出器14により取得するX線画像を表示する。
【0017】
検査室R2に設置されたX線透視撮影台は、図2に示すように、基台19上に立設された主支柱15と、この主支柱15に対して昇降可能に配設された保持部16と、この保持部16に回転可能に連結された天板13と、X線管11およびコリメータ12を支持する支柱17と、天板13の表面の下方におけるX線管11と対向する位置に配設されたフラットパネルディテクタ等のX線検出器14とを備える。なお、図1においては、主支柱15および保持部16の図示を省略している。
【0018】
保持部16は、図2に示すZ方向に昇降する。また、天板13は、天板13の長手方向と直交し、かつ、水平方向を向く軸(図2に示すY方向を向く軸)を中心として回転する。また、支柱17とX線検出器14とは、天板13の長手方向に互いに同期して往復移動する。さらに、X線管11およびコリメータ12は、支柱17とともに、図2に示すZ方向に昇降する。なお、X線管11およびコリメータ12は、支柱17に支持された状態で揺動可能となっている。
【0019】
図3は、コリメータ12の斜視図である。また、図4は、コリメータ12の内部構造をX線管11と共に示す概要図である。
【0020】
図3に示すように、このコリメータ12は、図4に示すコリメータランプ66を点灯させるための照射野ランプボタン51と、図4に示す4個の移動部材63のうち互いに対向する移動部材63を揺動させてX線照射野を調整するための一対の絞り調節器52と、後述するコリメータリーフ61の開度を変更する動作を含む各種の操作を行うための多目的スイッチ53と、液晶表示部54と、を有する操作パネル50を備える。また、このコリメータ12には、付加フィルターを挿入するための付加フィルター挿入口55が形成されている。
【0021】
図4に示すように、コリメータ12は、軸65と連結部材64を介して連結され、この軸65を中心に揺動可能な4個の移動部材63(図4においては対向する2個のみを図示)を備える。この移動部材63の上端には遮蔽内板62が付設されており、移動部材63の下端にはコリメータリーフ61が付設されている。これらの移動部材63は、対向配置された一対が互いに直交する方向に配置され、コリメータリーフ61により矩形状の領域が形成される状態で配置される。
【0022】
X線管11から照射されたX線は、遮蔽内板62によりその照射領域を制限された後、さらに、コリメータリーフ61によりその照射領域を制限され、被検者Mに照射されるときには、矩形状のX線照射野を形成する。このように、遮蔽内板62とコリメータリーフ61との両方でX線を遮蔽してX線照射野を形成することから、X線の漏洩を確実に防止して、X線照射野を適正に形成することが可能となる。
【0023】
また、X線の照射領域には、ミラー67が配設されており、このミラー67に対向する位置にはコリメータランプ66が配設されている。コリメータランプ66を点灯させた場合には、コリメータランプ66からの光がミラー67を介してコリメータリーフ61方向に照射され、X線照射野に相当する光照射野が形成される。この光照射野を利用して、X線照射野が適切に形成されているか否かを検査室R2において確認することが可能となる。
【0024】
図5は、操作室R1に設置されたコントローラ42における操作パネル43の概要図である。
【0025】
この操作パネル43は、液晶表示部44と、図4に示す4個の移動部材63のうち互いに対向する移動部材63を揺動させてX線照射野を調整するための絞り調節器45と、図4に示すコリメータランプ66を点灯させるための照射野ランプボタン46と、X線透視を実行中にコリメータリーフ61の開度をX線撮影時の開度に変更するための開度変更スイッチ47とを備える。
【0026】
図6は、この発明に係るX線透視撮影装置の主要な制御系を示すブロック図である。
【0027】
操作室R1に設置されたコントローラ42は、装置全体を制御する制御部40を備える。また、検査室R2に設置されたコリメータ12は、上述した移動部材63に揺動によりコリメータリーフ61を開閉するためのコリメータリーフ駆動部69を備える。コリメータリーフ61の開閉動作や、コリメータランプ66の点灯動作は、コントローラ42における操作パネル43と、コリメータ12における操作パネル50の両方から実行することが可能となっている。
【0028】
以上のような構成を有するX線透視撮影装置においてX線透視を実行するときには、オペレータDが操作室R1内に設置されたコントローラ42における操作パネル43を操作してコリメータリーフ61の開度等を調整する。そして、X線検出器14により検出されたX線透視画像は、表示部41に表示される。
【0029】
このX線透視の実行中に、X線撮影を行う場合がある。このときには、X線透視時のX線照射野とX線撮影時のX線照射野とは、一般的に、互いに異なっていることから、X線透視中にX線撮影に切り換えを行った場合、検査室R1にいるオペレータDはどの範囲までが撮影されるのか確認することができない。このため、この発明に係るX線透視撮影装置においては、X線透視を実行中に操作パネル43における開度変更スイッチ47が操作されたときに、制御部40の制御によりコリメータリーフ61の開度をX線撮影時の開度に変更する構成を採用している。
【0030】
図7は、コリメータ12によるX線照射野の変更状態を示す概要図であり、図8は、X線透視時のX線照射野E1とX線撮影時のX線照射野E2とを示す説明図である。
【0031】
X線透視を実行しているときには、図7(a)に示すように、コリメータ12におけるコリメータリーフ61は、X線透視時におけるX線照射野E1が形成される位置に配置されている。この状態において、操作室R1で操作を行っているオペレータDが、X線撮影時のX線照射野を確認するために開度変更スイッチ47を操作したときには、制御部40の制御により、図7(b)に示すように、コリメータリーフ61は、X線撮影時におけるX線照射野E2が形成される位置まで移動する。オペレータDは、操作室R1に設置された表示部41に表示されるX線画像を確認することにより、X線撮影時のX線照射野E2を認識することが可能となる。この状態で、必要に応じ、X線撮影が実行される。
【0032】
しかる後、オペレータDが、再度、開度変更スイッチ47を操作したときには、制御部40の制御により、図7(a)に示すように、コリメータ12におけるコリメータリーフ61は、X線照射野E1が形成される位置に移動する。また、オペレータDがX線撮影時のX線照射野を確認するために開度変更スイッチ47を操作した後、一定の時間が経過した場合においても、制御部40の制御により、コリメータ12におけるコリメータリーフ61は、X線照射野E1が形成される位置に移動する。これにより、X線撮影時におけるX線の照射野を確認した後に、継続してX線透視を実行することが可能となる。
【0033】
以上のように、この発明に係るX線透視撮影装置によれば、X線透視を実行中においても、X線撮影時のX線照射野を、操作室R1内において、表示部41により確認することが可能となる。
【符号の説明】
【0034】
11 X線管
12 コリメータ
13 天板
14 X線検出器
40 制御部
41 表示部
42 コントローラ
43 操作パネル
47 開度変更スイッチ
50 操作パネル
61 コリメータリーフ
62 遮蔽内板
66 コリメータランプ
67 ミラー
69 コリメータリーフ駆動部
E1 X線透視時の照射野
E2 X線撮影時の照射野
D オペレータ
M 被検者
R1 操作室
R2 検査室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8