(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一領域には、前記タッチセンサの操作面よりも外側に向けて突出する第一突出部が設けられ、前記第二領域には、前記第一突出部とは異なる高さの第二突出部が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
[構成]
図1は、本発明の電子機器の一実施形態としてのリスト端末1の外観構成を示す模式図である。なお、
図1においては、リスト端末1の斜視図を示している。
図1に示すように、リスト端末1は、ディスプレイ10と、タッチセンサ20と、枠状部材30と、ケース40と、ベルト保持部材50と、ベルト60とを備えている。
【0011】
ディスプレイ10は、不図示のCPU(Central Processing Unit)の制御に従って、時刻、地図あるいは設定画面等の各種情報を表示する。ディスプレイ10は、液晶表示装置やLED(Light Emitting Diode)表示装置等、各種表示装置によって構成することができる。
タッチセンサ20は、静電容量方式あるいは抵抗膜方式等のタッチセンサによって構成され、ユーザの指等、接触物の接触位置を検出する。本実施形態において、タッチセンサ20はディスプレイ10に重ねて配置され、ディスプレイ10における表示位置とタッチセンサにおける接触位置とが対応付けられている。即ち、ディスプレイ10とタッチセンサ20とによって、タッチパネルが構成されている。
【0012】
枠状部材30は、ディスプレイ10及びタッチセンサ20を囲う枠体を構成し、ディスプレイ10及びタッチセンサ20を保持する。また、枠状部材30は、タッチセンサ20の操作面よりも前面側(法線方向の外側)に突出しており、タッチセンサ20の操作面及びディスプレイ10の表示面を保護する。また、枠状部材30は、タッチセンサ20に対する操作性を高めるため、後述するように、内周面の傾斜角が周方向において領域毎に異なる構成となっている。なお、枠状部材30は、ベゼルあるいはプロテクション等の部品として構成することができる。
ケース40は、ディスプレイ10、タッチセンサ20及び枠状部材30を保持すると共に、内部に不図示のCPU等、リスト端末1の電子部品を収容している。
ベルト保持部材50は、ケース40外周の上下端(上面視における0時及び6時の位置)に設置され、ユーザの腕にリスト端末1を装着するためのベルト60を保持する。
ベルト60は、ベルト保持部材50に端部を保持され、多段階に長さの調整を可能とするバックルを備えている。そして、ベルト60は、バックルによって長さを調整しつつ、ユーザの腕に巻き掛けられる。これにより、リスト端末1がユーザの腕に装着される。
【0013】
[枠状部材30の具体的構成]
次に、リスト端末1の枠状部材30の具体的な構成について説明する。
図2は、リスト端末1の操作面の上面図である。
また、
図3は、リスト端末1の断面を示す模式図であり、
図3(A)は
図2におけるA−A’断面図、
図3(B)は
図2におけるB−B’断面図、
図3(C)は
図2におけるC−C’断面図を示している。なお、
図3において、リスト端末1の内部には、不図示のCPU等、電子部品が収容されているが、説明の便宜のため、リスト端末1の内部構造を適宜省略または模式化して示している。
【0014】
図2に示すように、リスト端末1の枠状部材30は、タッチセンサ20を円形に囲う開口部31を有している。開口部31の内周面は、タッチセンサ20の表面(操作面)に接触する位置から高さ方向(操作面から突出する方向)に立ち上がる傾斜部を備え、傾斜部の傾斜角が、周方向において領域毎に異なっている。
具体的には、枠状部材30の開口部31は、0時と6時とを結ぶ方向及び3時と9時とを結ぶ方向に位置する領域A1において、内周面の傾斜角が小さい傾斜部G1を備え、傾斜部G1は、タッチセンサ20の表面から緩やかに立ち上がる形状に形成(加工)されている。一方、枠状部材30の開口部31は、0時から3時の略中間と6時から9時の略中間とを結ぶ方向、及び、3時から6時の略中間と9時から0時の略中間とを結ぶ方向に位置する領域A2において、内周面の傾斜角が大きい傾斜部G2を備え、傾斜部G2は、タッチセンサ20の表面から急峻に立ち上がる形状に形成(加工)されている。なお、本実施形態において、枠状部材30のタッチセンサ20表面からの高さは、領域A1及び領域A2のいずれも同等となっている。また、本実施形態において、開口部31は、領域A1から領域A2にかけて形状が連続的に変化している。
【0015】
即ち、
図3(A)及び
図3(B)に示すように、枠状部材30の開口部31は、領域A1を通るA−A’断面及びB−B’断面において、タッチセンサ20の表面から枠状部材30の頂部T1まで傾斜部G1が緩やかな角度θ1で立ち上がっている。
一方、
図3(C)に示すように、枠状部材30の開口部31は、領域A2を通るC−C’断面において、タッチセンサ20の表面から枠状部材30の頂部T2まで傾斜部G2が急峻な角度θ2(θ2>θ1)で立ち上がっている。
したがって、タッチセンサ20をユーザが操作する場合、A−A’線の方向及びB−B’線の方向に指を移動させる際には、枠状部材30に指が当接し難く、C−C’線の方向等、A−A’線の方向及びB−B’線の方向以外の方向に指を移動させる際には、枠状部材30に指が当接し易い状態となる。
また、領域A1の頂部T1及び領域A2の頂部T2のタッチセンサ20表面からの高さは同等であるため、枠状部材30によってタッチセンサ20の表面にタッチ操作を目的としない異物が接触し難い状態となっている。
【0016】
[作用]
次に、リスト端末1における作用を説明する。
図4は、リスト端末1のタッチセンサ20を操作する際の操作方向を模式的に示す図である。
リスト端末1においては、タッチセンサ20を操作する際の操作方向、所謂タッチセンサ20に対するフリック操作やスワイプ操作をする際の操作方向が予め設定されており、本実施形態においては、0時と6時とを結ぶ方向及び3時と9時とを結ぶ方向で操作する設定となっている。
【0017】
即ち、リスト端末1は、ディスプレイ10に表示を行い、その表示に対して操作を受け付ける場合には、0時と6時とを結ぶ方向及び3時と9時とを結ぶ方向のいずれかに沿う操作(
図4中の実線の矢線に沿う操作)を許容し、それ以外の方向の操作(
図4中の破線の矢線に沿う操作等)は許容しない設定となっている。なお、以下、タッチセンサ20への操作が許容される方向を操作許容方向、タッチセンサ20への操作が許容されない方向を操作非許容方向と呼ぶ。
このような設定の下、ユーザがタッチセンサ20に対する操作を行う際、ユーザは枠状部材30の形状、即ち、開口部31における傾斜部の傾斜角を視認することにより、いずれの方向への操作が許容されるのかを容易に把握することができる。
【0018】
図5は、タッチセンサ20を操作する際の操作方向による操作性の相違を示す模式図であり、
図5(A)は操作許容方向への操作を行った場合を示す模式図、
図5(B)は操作非許容方向への操作を行った場合を示す模式図である。なお、
図5においては、説明の便宜のため、リスト端末1とユーザの手を実際とは異なる大きさの比で示している。
ユーザがタッチセンサ20に対する操作を行った場合、操作許容方向に操作したときには、
図5(A)に示すように、領域A1を結ぶ方向にユーザの指が移動することから、ユーザの指は、枠状部材30の内周面(傾斜部G1)に当接することによって操作を妨げられることはない。一方、操作非許容方向に操作したときには、
図5(B)に示すように、領域A2を結ぶ方向にユーザの指が移動することから、ユーザの指は、枠状部材30の内周面(傾斜部G2)に当接することによって操作を妨げられることとなる。
【0019】
そのため、ユーザは、自らの行った操作が、適切な方向への操作であるか否かを指先の感触によって、直感的に認識することができる。
これにより、ユーザは、リスト端末1を視認できない状況(例えば、ランニング中等)においても、リスト端末1の操作をより適切に行うことが可能となる。
また、本実施形態において、枠状部材30のタッチセンサ20表面からの高さは、操作許容方向及び操作非許容方向のいずれの部分においても、同等となっている。
そのため、リスト端末1においては、操作性を高めつつ、タッチセンサ20の表面を、タッチ操作を目的としない異物による接触から保護する機能を実現することができる。
【0020】
[変形例1]
上述の実施形態において、枠状部材30の開口部31の内周面に傾斜部を形成するものとして説明した。これに対し、枠状部材30の開口部31の内周面に凹凸形状を形成する表面加工を施すこととしてもよい。
具体的には、枠状部材30の開口部31の内周面において、領域A1の部分に微小なドットあるいは特定のパターンを連続して形成する等により粗面化する加工を施し、領域A1の部分を領域A1以外の部分よりも粗い感触を与える形状とすることができる。
このような構成とすることにより、ユーザは、自らの行った操作が、適切な方向への操作であるか否かを指先の感触によって、直感的に認識することができる。
また、微小なドットあるいは特定のパターンを連続して形成する以外にも、矢印や三角形等の凹凸形状を形成することにより、自らの行った操作が、適切な方向への操作であるか否かを感触で示すと同時に、視覚によって操作許容方向を示すこととしてもよい。
【0021】
以上のように構成されるリスト端末1は、タッチセンサ20と、枠状部材30とを備える。
タッチセンサ20は、所定の操作方向へ操作することで、リスト端末1に対して所定の指示を入力する。
枠状部材30は、タッチセンサ20を囲うように設けられる。
所定の操作方向に対応した枠状部材30の領域A1には、所定の第一加工が施されており、枠状部材30の領域A1以外の領域である領域A2には、第一加工とは異なる第二加工が施されている。
これにより、ユーザは、自らの行った操作の方向を指先の感触によって、直感的に認識することができる。
したがって、画面を視認することなく、タッチパネルの操作をガイドすることが可能となる。
【0022】
また、領域A1には、タッチセンサ20の操作面に対して角度θ1で傾けられた傾斜部G1が設けられ、領域A2には、タッチセンサ20の操作面に対して角度θ1とは異なる角度θ2で傾けられた傾斜部G2が設けられている。
これにより、ユーザは、自らの行った操作の方向を枠状部材30の傾斜角の感触によって、直感的に認識することができる。
【0023】
また、角度θ1の傾斜部G1は、角度θ2の傾斜部G2よりもタッチセンサ20の操作面に対して傾斜角が小さい。
これにより、傾斜部G2の部分では、ユーザの指が当接し易く、傾斜部G1の部分ではユーザの指が当接し難いものとなるため、傾斜部G1の部分を操作するようユーザをガイドすることができる。
【0024】
また、領域A1及び領域A2は、タッチセンサ20の操作面よりも外側に向けて突出している。
これにより、タッチセンサ20の表面を、タッチ操作を目的としない異物による接触から保護する機能を実現することができる。
【0025】
また、領域A1には、タッチセンサ20の操作面よりも外側に向けて突出する頂部T1が設けられ、領域A2には、頂部T1とは異なる高さの頂部T2が設けられている。
これにより、頂部T1及び頂部T2の高さによって、視覚的に、また、指の感触によって、ユーザの操作をガイドすることができる。
【0026】
また、頂部T2は、頂部T1よりもタッチセンサ20の操作面の外側に向けて突出している。
これにより、ユーザは、頂部T1を有する領域A1の位置が操作許容方向であることを直感的に認識することができる。
【0027】
また、所定の操作方向は、第一の操作方向とそれに直行する第二の操作方向とからなり、領域A1は、第一及び第二の操作方向に対応した領域に設けられている。
これにより、第一の操作方向及び第二の操作方向にユーザの操作をガイドすることができる。
【0028】
また、リスト端末1は、ベルト60を備える。
ベルト60は、リスト端末1の一端及び他端に連結されている。
第一の操作方向とは、ベルト60が連結された一端と他端とを結ぶ方向である。
これにより、ベルト60の連結部分を結ぶ方向にユーザの操作をガイドすることができる。
【0029】
また、タッチセンサ20の操作面に対するリスト端末1の内側には、ディスプレイ10が配置されている。
これにより、ディスプレイ10の表示に対するユーザの操作をガイドすることができる。
【0030】
また、ディスプレイ10における操作入力のための表示と、枠状部材30の領域A1及び領域A2との位置関係が対応付けられている。
これにより、ディスプレイ10に表示された操作入力のための表示に対して許容される操作の方向を、枠状部材30の形状によってガイドすることが可能となる。
【0031】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
即ち、本発明を実現する場合、所定の操作方向に対応した枠状部材30の領域A1には、所定の第一加工が施されており、枠状部材30の領域A1以外の領域である領域A2には第一加工とは異なる第二加工が施されていれば、種々の形態とすることができ、このような構成によってユーザの操作をガイドすることが可能となる。
例えば、上述の実施形態において、枠状部材30のタッチセンサ20表面からの高さは、領域A1の頂部T1及び領域A2の頂部T2のいずれも同等であるものとして説明したが、これに限られない。即ち、枠状部材30のタッチセンサ20表面からの高さは、領域A2の頂部T2までの高さを領域A1の頂部T1までの高さより高く形成(加工)することとしてもよい。これにより、頂部T1及び頂部T2の高さによって、視覚的に、また、指の感触によって、ユーザの操作をガイドすることができる。また、頂部T1の高さが頂部T2の高さよりも低いことから、ユーザは、頂部T1を有する領域A1の位置が操作許容方向であることを直感的に認識することができる。
【0032】
また、上述の実施形態において、傾斜部G1の傾斜角はタッチセンサ20の表面(操作面)から突出する方向に立ち上がるものとして説明したが、これに限られない。即ち、傾斜部G1がタッチセンサ20の表面に接触する位置からタッチセンサ20の表面より裏面方向に下降する形状に枠状部材30を構成することとしてもよい。
このような構成とした場合にも、視覚的に、また、指の感触によって、ユーザの操作をガイドすることができる。
【0033】
また、上述の実施形態では、本発明が適用される電子機器は、リスト端末1を例として説明したが、特にこれに限定されない。
例えば、本発明は、身体に装着されるタッチパネル機能を有する電子機器一般に適用することができる。具体的には、例えば、本発明は、歩数計、活動量計等の計測機器、血圧計、脈拍計等の生体情報センサ等に適用可能である。
【0034】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0035】
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
ウェアラブルな電子機器であって、
所定の操作方向へ操作することで、前記電子機器に対して所定の指示を入力するタッチセンサと、
前記タッチセンサを囲うように設けられた枠状部材とを有し、
前記所定の操作方向に対応した前記枠状部材の第一領域には、所定の第一加工が施されており、前記枠状部材の第一領域以外の領域である第二領域には、前記第一加工とは異なる第二加工が施されていることを特徴とする電子機器。
[付記2]
前記第一領域には、前記タッチセンサの操作面に対して第一角度で傾けられた傾斜部が設けられ、前記第二領域には、前記タッチセンサの操作面に対して前記第一角度とは異なる第二角度で傾けられた傾斜部が設けられていることを特徴とする付記1に記載の電子機器。
[付記3]
前記第一角度の傾斜部は、前記第二角度の傾斜部よりも前記タッチセンサの操作面に対して傾斜角が小さいことを特徴とする付記2に記載の電子機器。
[付記4]
前記第一領域及び前記第二領域は、前記タッチセンサの操作面よりも外側に向けて突出していることを特徴とする付記1から3のいずれか1つに記載の電子機器。
[付記5]
前記第一領域には、前記タッチセンサの操作面よりも外側に向けて突出する第一突出部が設けられ、前記第二領域には、前記第一突出部とは異なる高さの第二突出部が設けられていることを特徴とする付記4に記載の電子機器。
[付記6]
前記第二突出部は、前記第一突出部よりも前記タッチセンサの操作面の外側に向けて突出していることを特徴とする付記5に記載の電子機器。
[付記7]
前記所定の操作方向は、第一の操作方向とそれに直行する第二の操作方向とからなり、
前記第一領域は、前記第一及び第二の操作方向に対応した領域に設けられていることを特徴とする付記1から6のいずれか1つに記載の電子機器。
[付記8]
前記電子機器の一端及び他端に連結されたベルト部をさらに備え、
前記第一の操作方向とは、前記ベルト部が連結された前記一端と前記他端とを結ぶ方向であることを特徴とする付記7に記載の電子機器。
[付記9]
前記タッチセンサの操作面に対する前記電子機器の内側には、表示装置が配置されていることを特徴とする付記1から8のいずれか1つに記載の電子機器。
[付記10]
前記表示装置における操作入力のための表示と、前記枠状部材の前記第一領域及び前記第二領域との位置関係が対応付けられていることを特徴とする付記9に記載の電子機器。