特許第6561715号(P6561715)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6561715シース型測温センサ及びシース型測温センサの設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561715
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】シース型測温センサ及びシース型測温センサの設置方法
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/08 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
   G01K1/08 R
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-182627(P2015-182627)
(22)【出願日】2015年9月16日
(65)【公開番号】特開2017-58229(P2017-58229A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2018年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(73)【特許権者】
【識別番号】390007744
【氏名又は名称】山里産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】藤田 健司
(72)【発明者】
【氏名】冨田 勇二
(72)【発明者】
【氏名】野海 耕大
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−036105(JP,A)
【文献】 特開昭63−077311(JP,A)
【文献】 特開2009−000337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管体の内部に挿入されるシース型測温センサであって、
金属シース及びその内部に設けられる測温部よりなるセンサ本体と、
前記金属シースの外周側に、前記センサ本体の先端から所定長さだけ軸方向に突出した状態であって、当該突出している突出部位の内部にセンサ本体が存在しない状態に外装されるコイルばねよりなる屈曲案内手段と、
を備えてなるシース型測温センサ。
【請求項2】
前記屈曲案内手段が、前記コイルばねの基端部を金属シース外周面に対して少なくとも基端方向へ相対移動不能に支持する支持部よりなる請求項1記載のシース型測温センサ。
【請求項3】
前記コイルばねの先端部に、凸球面状の先端面を有するガイドピースが装着されてなる請求項1又は2記載のシース型測温センサ。
【請求項4】
前記コイルばねの内径が前記金属シースの外径よりも大きく、前記コイルばねが前記金属シース外周面に対して隙間を介して配置される請求項1〜3の何れか1項に記載のシース型測温センサ。
【請求項5】
前記センサ本体の少なくとも前記管体の内部に挿入されるほぼ全範囲にわたり前記コイルばねが外装される請求項1〜4の何れか1項に記載のシース型測温センサ。
【請求項6】
前記屈曲案内手段が、軸方向に連設される2つ以上のコイルばねよりなる請求項1〜5の何れか1項に記載のシース型測温センサ。
【請求項7】
前記コイルばねのうち最先端に位置するコイルばねが、所定長さに設定され、且つその基端部が金属シース外周面上に支持部材を介して固定されている請求項6記載のシース型測温センサ。
【請求項8】
前記センサ本体の先端から突出した状態に外装される前記コイルばねが2条以上の多条コイルよりなる請求項1〜7の何れか1項に記載のシース型測温センサ。
【請求項9】
シース型測温センサを管体の内部に挿入して設置する設置方法であって、
金属シース及びその内部に設けられる測温部よりなるセンサ本体の前記金属シースの外周側に、前記センサ本体の先端から所定長さだけ軸方向に突出した状態であって、当該突出している突出部位の内部にセンサ本体が存在しない状態に外装されるコイルばねよりなる屈曲案内手段を設け、
前記管体の内部に挿入する際、該管体の屈曲部分で前記コイルばねの突出した部位をその屈曲した内面に当接させることで屈曲させ、
このコイルばねの屈曲によって内部の金属シースもコイルばねに押されるようにして屈曲させて、前記コイルばねとともに金属シースを当該屈曲部分で引っかかることなく通過させることを可能とするシース型測温センサの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈曲した保護管や既設管であっても、その内部に容易に挿入し、設置することができるシース型測温センサ及びシース型測温センサの設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測温対象である空間が複雑な構造を有していたり、測温対象である壁面に他の部品が存在するような場合において、適正な測温位置にシース型の測温センサの測温部を位置させるべく、所定形状に屈曲させた保護管(ガイドパイプ)を設置し、この保護管の基端側から内面形状に沿って測温センサを屈曲させながら挿入し、所定の挿入位置で金属シース外周面を保護管の基端部に固定することが提案されている(特許文献1参照)。また、すでに設置した測温センサが故障して取り換えも困難な状況において、近くに延びている他の用途の既設管を利用し、その内部に新たな測温センサを挿入して設置することも考えられている。
【0003】
このような屈曲した保護管(ガイドパイプ)や既設管の内部にシース型の測温センサを挿入する場合、保護管や既設管の屈曲部分を2箇所くらい通過すると管内面と測温センサとの摩擦力が増大し、特に測温センサのシースが細径の場合などでは途中で挿入不可能となる。特に、測温センサの先端部が上記屈曲部分の内面に直角に近い角度で当接すると、頭突き状態となってその箇所と押し込み部の間で測温センサがたわむ方向に力が働き、挿入できなくなる。
【0004】
これに対し、シース型の測温センサ本体の外側にコイルばねを被せるとともに、該コイルばねの先端を金属シース外皮に溶着し、当該溶着側(先端側)から保護管(ガイドパイプ)内に挿入することも提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、このような構造でも、特に曲がりが急な屈曲部分の内面にセンサ先端が直角に近い角度で当たると、シース先端が極端な形に屈曲してしまったり、破損したりする虞がある。
【0005】
また、屈曲部分の挿入性については、特にセンサ先端が最初に内面に当接した際の屈曲性が重要となるが、コイルばねの先端が最初にあたって屈曲変形する際、中心部に温度センサが存在している分だけ曲がりが悪くなり、その曲がりの悪くなる程度は温度センサ本体(特に金属シース)の外径、肉厚、等の寸法、素材に左右され、当該温度センサ本体の寸法、素材に応じたコイルばねを各種設定する必要があり、コストが嵩む原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−128694号公報
【特許文献2】特開昭58−36105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、保護管や既設管などの屈曲した管体の内部に容易に挿入・設置できるシース型測温センサであって、挿入の際にセンサ先端が管体の曲がりの急な屈曲部分の内面に直角に近い角度で当たっても、測温センサの変形や破損が防止され、測温センサの寸法や素材の違いで挿入性が左右されず、コスト増大を防止できるシース型測温センサ、及びその設置方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前述の課題解決のために、鋭意検討した結果、コイルばねをセンサ本体先端から軸方向に突出した状態に外装することで、センサ本体の先端部の変形や破損を防止でき、さらに管体の屈曲部分の内面に当接するコイルばねの前記突出した先端側部位にセンサ本体が存在しないことから、その屈曲性がセンサ本体の寸法等に左右されず一定に保たれ、センサ本体の寸法等を変更しても同じく良好な屈曲案内性を実現することができ、部品共通化によるコスト低減を図ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、管体の内部に挿入されるシース型測温センサであって、金属シース及びその内部に設けられる測温部よりなるセンサ本体と、前記金属シースの外周側に、前記センサ本体の先端から所定長さだけ軸方向に突出した状態に外装されるコイルばねよりなる屈曲案内手段とを備えてなるシース型測温センサを構成した。
【0010】
ここで、前記屈曲案内手段が、前記コイルばねの基端部を金属シース外周面に対して少なくとも基端方向へ相対移動不能に支持する支持部よりなるものが好ましい。
【0011】
また、前記コイルばねの先端部に、凸球面状の先端面を有するガイドピースが装着されてなるものが好ましい。
【0012】
更に、前記コイルばねの内径が前記金属シースの外径よりも大きく、前記コイルばねが前記金属シース外周面に対して隙間を介して配置されるものが好ましい。
【0013】
また、前記センサ本体の少なくとも前記管体の内部に挿入されるほぼ全範囲にわたり前記コイルばねが外装されるものが好ましい。
【0014】
また、前記屈曲案内手段が、軸方向に連設される2つ以上のコイルばねよりなるものが好ましい。
【0015】
特に、前記コイルばねのうち最先端に位置するコイルばねが、所定長さに設定され、且つその基端部が金属シース外周面上に支持部材を介して固定されているものが好ましい。
【0016】
また、前記センサ本体の先端から突出した状態に外装される前記コイルばねが2条以上の多条コイルよりなるものが好ましい。
【0017】
また本発明は、シース型測温センサを管体の内部に挿入して設置する設置方法であって、金属シース及びその内部に設けられる測温部よりなるセンサ本体の前記金属シースの外周側に、前記センサ本体の先端から所定長さだけ軸方向に突出した状態に外装されるコイルばねよりなる屈曲案内手段を設け、前記管体の内部に挿入する際、該管体の屈曲部分で前記コイルばねの突出した部位をその屈曲した内面に当接させることで屈曲させ、これにより内部の金属シースも屈曲させて、前記コイルばねとともに金属シースを当該屈曲部分で引っかかることなく通過させることを可能とするシース型測温センサの設置方法をも提供する。
【発明の効果】
【0018】
以上にしてなる本願発明に係るシース型測温センサ、及びその設置方法は、金属シース及びその内部に設けられる測温部よりなるセンサ本体と、前記金属シースの外周側に、前記センサ本体の先端から所定長さだけ軸方向に突出した状態に外装されるコイルばねよりなる屈曲案内手段とを備えてなるので、管体への挿入時に曲がりが急な屈曲部分を通過する際、前記コイルばねのセンサ本体先端から突出している部位が、当該屈曲部分の内面に頭突きを起こして引っ掛かることなく当該内面に沿ってスムーズに屈曲し、このコイルばねの屈曲によって金属シースも先端側から当該屈曲したコイルばねに押されるようにして屈曲し、コイルばねとともに管体内にスムーズに挿入されてゆく。
【0019】
すなわち本発明は、管体内部に挿入する際、該管体の屈曲部分でコイルばねの突出した部位をその屈曲した内面に当接させることで屈曲させ、これにより内部の金属シースも屈曲させて、コイルばねとともに金属シースを当該屈曲部分で引っかかることなく通過させることを可能とする。
【0020】
また、管体の屈曲部分の内面に当接する初期のコイルばねの屈曲性は、管体内への挿入性に影響を与えるが、この初期に当接するコイルばねの突出部位の内部にはセンサ本体が存在せず、その屈曲性はセンサ本体の寸法や材質等の違いによって左右されない。したがって、センサの種類が変わっても同じコイルばねを用いることが可能となり、コスト高を回避することが可能となる。
【0021】
また、センサ本体の先端はコイルばねの内部に位置する構造であるため、センサ本体の先端部が直接、管体内面に当接して変形や破損することも防止される。センサ本体の先端部は、コイルばねが屈曲変形することに遅れてこれに押されて案内される形で屈曲変形を開始するため、挿入作業の反力を直接、管体内面から受けるものではなく、センサ本体は挿入作業中も保護され、優れた品質を維持することができる。
【0022】
更に、挿入時に管体の屈曲部分を通過した後は、コイルばねが弾性復元力で真っ直ぐな状態に戻り、これによりセンサ本体の先端部も真っ直ぐに戻される。したがって、センサ本体がコイルばねの内部で複雑に屈曲変形してしまうことも回避される。コイルばねの外面と管体内壁との接触は点接触となるため、抵抗が少なく、距離が長くても摩擦力で途中で挿入できなくなることが回避される。
【0023】
また、前記屈曲案内手段が、前記コイルばねの基端部を金属シース外周面に対して少なくとも基端方向へ相対移動不能に支持する支持部よりなるので、該支持部を挿入方向に押し出すことで、コイルばねと内部のセンサ本体とが一体となって挿入方向に移動し、管体内部に挿入させることができ、挿入途中でセンサ本体の先端部がコイルばねの先端から飛び出てしまうといった不測の事態もより確実に回避できる。また、このような支持部は簡易な構造で実現できる。
【0024】
また、前記コイルばねの先端部に、凸球面状の先端面を有するガイドピースが装着されてなるので、上記した頭突きによる引っ掛かりをより確実に防止できるとともに、管体の屈曲部分の内面に当接した際の初期の屈曲変形も、よりスムーズ且つ確実に生じさせることができる。また、管体の屈曲部分以外に、例えば内面に突起が存在しているような箇所であっても、コイルばねの先端が引っ掛かってしまうようなことも未然に回避でき、より確実に管体内に挿入させることが可能となる。
【0025】
また、前記コイルばねの内径が前記金属シースの外径よりも大きく、前記コイルばねが前記金属シース外周面に対して隙間を介して配置されるので、コイルばねが屈曲する際にばね内面が金属シース外面を締め付けて屈曲が阻害されてしまうことを防止でき、コイルばね及びセンサ本体の屈曲性の低下を回避できる。
【0026】
また、前記センサ本体の少なくとも前記管体の内部に挿入されるほぼ全範囲にわたり前記コイルばねが外装されるので、センサ本体の金属シースが小径で曲がり易い構造でも、途中で撓んでしまうことなく、コイルばねを通じて最後までセンサ本体を伸びた状態に挿入し、設置することが可能となる。
【0027】
前記屈曲案内手段が、軸方向に連設される2つ以上のコイルばねよりなるので、特に屈曲した管体に挿入した場合に、コイルばねと内部のセンサ本体の軸方向の位置のずれが分散され、特に先端側において、突出部位の長さを決まった長さに定めることや、センサ本体の測温部の位置をコイルばねの決まった位置に定めることが可能となる。
【0028】
これが一つのコイルばねから構成されると、管体の形態によってコイルばねの先端位置とセンサ本体の先端位置が当初と比べて大きくずれ、ばね先端からの測温部の位置も把握しにくくなるとともに、センサ本体の先端から突出するコイルばねの突出部位の長さも変化する。このように突出部位の長さが変化すると、管体内面への当接初期の屈曲性が変化してしまう。2つ以上のコイルばねで構成すれば、ばねの途中でセンサ本体と固定することが容易となり、上記した大きなずれ、突出部位の長さの変化を回避することができるのである。
【0029】
具体的には、例えば、前記コイルばねのうち最先端に位置するコイルばねが、所定長さに設定され、且つその基端部が金属シース外周面上に支持部材を介して固定されていれば、前記所定長さを全長に比べて短い寸法に設定することで、コイルばね先端からの測温部の位置をほぼ決まった位置に固定することができ、管体の形態にかかわらず、測温部を設定どおりの箇所に位置させることが可能となる。また、突出部位の屈曲性も挿入中、ほぼ一定に保たれ、優れた操作性が維持される。
【0030】
また、前記センサ本体の先端から突出した状態に外装される前記コイルばねが2条以上の多条コイルよりなるものでは、柔軟性、復元性が増し、管体の屈曲部分を通過する際の屈曲性、通過後の復元性が向上し、挿入性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の代表的実施形態に係るシース型測温センサを示す部分縦断面図。
図2】同じくシース型測温センサの要部を示す部分縦断面図。
図3】(a)は同じくシース型測温センサの要部を示す縦断面図、(b)は同じくシース型測温センサの変形例の要部を示す縦断面図、(c)は同じくシース型測温センサの他の変形例の要部を示す縦断面図、(d)は同じくシース型測温センサの更に他の変形例の要部を示す縦断面図。
図4】(a)は同じくシース型測温センサのガイドピースを示す斜視図、(b)は先端側のコイルばねを支持する支持部材を示す斜視図、(c)は同じく支持部材の変形例を示す斜視図。
図5】同じくシース型測温センサの基端側のコイルばねを支持する支持パイプを示す斜視図。
図6】同じくシース型測温センサが管体の屈曲部分を通過する様子を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0033】
本発明のシース型測温センサ1は、図1及び図2に示すように、金属シース20及びその内部に設けられる測温部21よりなるセンサ本体2と、金属シース20の外周側に、センサ本体2の先端から所定長さだけ軸方向に突出した状態に外装されるコイルばね30よりなる屈曲案内手段3とを備えている。
【0034】
そして、屈曲した保護管や既設管などの管体の内部に挿入する際には、コイルばね30を使用していることにより、挿入時の押し込み力が真っ直ぐに伝わり、屈曲部分は、図6に示すようにコイルばね30のセンサ本体先端から突出している突出部位33が当該管体9の屈曲部分90の内面91に沿ってスムーズに屈曲し、この屈曲するコイルばね30に押されるようにして、内側のセンサ本体2も先端側から屈曲し、スムーズに屈曲部分90を通過させることができるものである。
【0035】
センサ本体2は、可撓性を有する上記金属シース20を備える温度センサであれば広く公知のものを適用でき、例えば、シース熱電対やシース測温抵抗体などを用いることができる。本例では、LNGタンク内外槽間の低温検知用のシース熱電対であるがこれに限定されるものではない。取付用のフランジ4や基端側の端子箱5も特に限定されない。
【0036】
屈曲案内手段3は、本例では、軸方向に連設される2つのコイルばね30、30Aと、各コイルばねの基端部30b、30Abを金属シース外周面22に対して少なくとも基端方向へ相対移動不能に支持する支持部31、31Aとを備えている。これらコイルばね30、30Aのうち最先端に位置する(本例では2つのうちの先端側の)コイルばね30は、所定長さに設定されており、その基端部30bは支持部31としての支持部材50によって金属シース外周面22上に固定されている。
【0037】
コイルばね30の先端側は、上述の突出部位33としてセンサ本体先端より突出した状態とされている。コイルばね30の軸方向の全体長さや突出部位の突出長さ、線材太さ、ばね外径は、センサ本体2の種類、寸法等にもよるが、センサ本体2の金属シース外径が1.6mmのものであれば、例えば、コイルばね30の全体長さは500〜1500mm程度、突出長さは5〜200mm程度、線材太さは0.5〜1.5mm程度、外径は5〜10mm程度に設定される。勿論、本発明はこのような寸法に限定されるものではない。
【0038】
このコイルばね30の先端部30aには、図2図3(a)及び図4に示すように凸球面状の先端面32aを有するガイドピース32が装着されている。このようなガイドピース32は省略することも可能であるが、管体の屈曲部分の曲がりが急である場合にもガイドピース32が存在することでその先端面32aが屈曲部分の内面に沿ってスムーズに移動し、頭突きによる引っ掛かりを防止するように機能する。
【0039】
ガイドピースは、ステンレス等の金属製で、先端面32aが凸球面状であることが好ましいが、先細になる形状であれば他の形状でもよい。コイルばね30よりも大径の部分球体状のものでもよい。また、ガイドピースを設ける代わりに、図3(c)に示すようにコイルばね30の先端部30a自体を徐々に小径となるように絞った形状としてもよく、これにより、ガイドピース32と同様、先端部30aが屈曲部分の内面に沿ってスムーズに移動する作用を奏することができる。
【0040】
コイルばね30の基端部30bを支持する支持部31としての支持部材50は、ステンレス等の金属製で、図3(a)及び図4(b)に示すように、金属シース外周面22上に固定される筒状本体52とその外周側に一体的に突出した円環状の支持板53とより構成され、筒状本体52が金属シース外周面22に銀ろう又は溶接により固定され、コイルばね基端部30bが支持板53に溶接により固定されている。
【0041】
ここで、支持部材50は、図3(b)及び図4(c)に示すように筒状本体52の軸方向長さを3mm以上の所定の長さに設定し、金属シース外周面22に対して銀ろうや溶接により固定したもの以外に、かしめ止めにより固定したものもセンサ本体2に破損の可能性がある熱を加える必要がない点で好ましい。また、図3(d)に示すようにコイルばね30の突出部位33の途中部にばねの径が部分的に比較的小さく設定された小径部34を設け、該部位でばねが屈曲しやすくする構造、特に初期の屈曲を容易にすることができる構造も好ましい。
【0042】
基端側のコイルばね30Aは、基端部30Abを固定する支持部31Aと上記支持部材50との間に挟持されている。支持部31Aは、図2及び図5に示すように、金属シース外周面22上に基端側が溶接、銀ろう、カシメ等で固定され、先端側に前記コイルばね30Aの基端部30Abを受け入れる開口部51aを有するステンレス等の金属製の支持パイプ51より構成されている。開口部51aには、周方向に所定間隔をおいて基端側に所定長さ延びる複数のスリット部54が形成され、コイルばね基端部30Abをしっかりと保持できるように構成されている。
【0043】
コイルばね30、30Aの内径は、金属シース20の外径よりも大きく設定されており、コイルばね30,30Aは金属シース外周面22に対して隙間sを介して配置されている。したがって、コイルばね30、30Aがそれぞれ管体の屈曲部分を通過する際に屈曲することにより内径が若干小さく変形しても、ばね内面が金属シース外面を締め付けて屈曲が阻害されてしまうことが未然に防止され、コイルばね及びセンサ本体の屈曲性、すなわち挿入性が低下することを防止している。
【0044】
コイルばね30,30Aは、センサ本体2の少なくとも管体内部に挿入されるほぼ全範囲をカバーしている。したがって、金属シース20が小径で曲がり易いものでもコイルばね30、30Aと一緒に挿入されてゆくため、途中で撓んでしまうことなく、コイルばねを通じて最後まで押して挿入することができる。勿論、金属シース20のサイズ等によっては、このようにほぼ全範囲をコイルばねでカバーしなくても挿入可能な場合がある。その場合は、例えば先端側のコイルばね30のみとし、基端側の他のコイルばね30Aを省略することも勿論可能である。
【0045】
さらに、2つ以上(本例では2つ)のコイルばねを連設するのではなく、1つのコイルばねのみで、例えば上記のとおりほぼ範囲をカバーするように構成することもできる。ただし、その場合、コイルばねが長尺になり、管体の形態によってはセンサ本体2から突出する先端位置が大きくずれるため、途中部を金属シース本体外周面22に固定することが好ましい。
【0046】
本例では、このように1つのコイルばねの途中部を固定するのではなく、支持部を介して複数のコイルばね30、30Aを連設しており、特に、最先端に位置するコイルばね30を比較的短い所定長さに設定し、その基端部を支持部31で固定することにより、当該コイルばね30先端とセンサ本体2先端との相対位置をほぼ一定に維持でき、測温部をコイルばね30先端から設定どおりの定位置に固定させることが可能となる。また、当該コイルばね30の突出部位33の屈曲性も挿入中、ほぼ一定に保たれ、優れた操作性が維持されている。
【0047】
コイルばねを複数で構成する例としては、本例では縦方向に2つ以上のコイルばねを連設した例であるが、径の異なる複数のコイルばねを同軸に内外二重に重ねて設けることも可能である。さらに、互いに密着する2条、又は3条以上の多条コイルとして構成したものでもよい。特に、突出部位を含む最先端のコイルばねを多条コイルばねとして構成すれば柔軟性、復元性が増し、屈曲性を向上させることが可能となる。
【0048】
以下、図6に基づき、管体9の内部にシース型測温センサ1を挿入してゆく際の変形動作について説明する。
【0049】
図中(a)に示すように、先端が管体9の屈曲部分90に来ると、まずその内面91に対し、屈曲案内手段3を構成する先端側のコイルばね30の突出部位33先端に設けられたガイドピース32が当接し、その先端が凸球面であることから内面91に沿ってスムーズに移動し、図中(b)に示すように、突出部位33は内面91に沿って屈曲変形してゆく。コイルばね30の屈曲性は金属シースに比べて良好であり、容易に向きが変わる。
【0050】
そして、内部のセンサ本体2の先端が屈曲するコイルばね30の内面に当たると、図中(c)〜(d)に示すように、コイルばね30の屈曲変形にともない、該内面に押されるようにして同じ方向に屈曲変形を開始することとなる。したがって、センサ本体2が頭突きを起こして変形してしまうことなく、コイルばね30に案内されながらスムーズに屈曲変形し、挿入されてゆくことになる。
【0051】
センサ本体2の先端が管体9の屈曲部分90を通過すると、図中(d)〜(e)に示すようにコイルばね30の突出部位33はまっすぐに戻るため、センサ本体2の先端部も屈曲変形が戻る方向に再度押されて、次第にまっすぐに戻ることになる。
【0052】
このように管体9の屈曲部分90を通過する際、センサ本体2はコイルばね30の屈曲変形に案内されるように屈曲変形し、スムーズに進行する。また、屈曲部分90の内面にはコイルばね30が直接接触するので、点接触となり、抵抗は非常に小さく、このような屈曲部分90を複数回通過しても抵抗力が増大して挿入不能となることも回避される。コイルばね30と管体内面に大きなギャップがある場合は、別途のガイドパイプを挿入してギャップを抑え、コイルばねの座屈を予防することも挿入が容易になる点で好ましい。
【0053】
以上、説明したコイルばね30、30Aは、図面も含めて密着コイルばね(引張りコイルばね)であることを前提に説明したが、隙間のある圧縮コイルばねでも同様のことがいえ、本願発明の「コイルばね」は密着コイルばねでもよいし、圧縮コイルばねでもよいし、これらの組み合わせでもよい。密着コイルばねであると、挿入時の押し込み力が均等に作用し、コイルばねが管体の内面に接触しても容易に曲がってしまうことがなく直進安定性に優れ、管体の内面に突起等があっても隙間がないため引っかかってしまう等の虞も生じにくく、長さ方向の寸法安定性にも優れる。
【0054】
特に、センサ本体の先端から軸方向に突出した状態に外装されるコイルばね(上記実施形態ではコイルばね30)を密着コイルばねにした場合、屈曲時もセンサ本体の先端が引っ掛かりにくく長さ方向の寸法安定性にも優れ、設計自由度も高い。圧縮コイルばねにした場合は、屈曲時のみならず直進時もコイルばねの隙間にセンサ本体の先端が比較的引っ掛かりやすく、また管体の屈曲部分にばね先端が当たった際に縮みが生じ、センサ本体の先端からの突出寸法が変動するため、センサ本体が飛び出ない程度の長さとばねの隙間が必要になる等、設計的に制限を受けやすくなるが、反面、管体の屈曲部分の内面にばねの先端が当たった状態でさらに押し込むことでばねに反発エネルギーが蓄えられ、且つ突出したばね内側にセンサなどの芯がないことから、ばねが撓んで湾曲し、上記反発エネルギーで先端の軸角度が傾きやすく、さらに基端側の操作で前後、左右、回転させることで管内面に当たっているばね先端が管内面を滑りやすくなり、センサ本体の挿入が容易になる。なお支持部より後端側(上記実施形態ではコイルばね30A)については、押し込み力が均等な密着ばねであることが好ましい。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、材料、寸法等を含め、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0056】
1 シース型測温センサ
2 センサ本体
3 屈曲案内手段
4 フランジ
5 端子箱
9 管体
20 金属シース
21 測温部
22 外周面
30、30A コイルばね
30a 先端部
30b 基端部
30Ab 基端部
31 支持部
31A 支持部
32 ガイドピース
32a 先端面
33 突出部位
34 小径部
50 支持部材
51 支持パイプ
51a 開口部
52 筒状本体
53 支持板
54 スリット部
90 屈曲部分
91 内面
s 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6