特許第6561721号(P6561721)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561721
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】精米設備
(51)【国際特許分類】
   B02B 7/00 20060101AFI20190808BHJP
   B02B 7/02 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   B02B7/00 Z
   B02B7/02 102
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-185538(P2015-185538)
(22)【出願日】2015年9月18日
(65)【公開番号】特開2017-56444(P2017-56444A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2018年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高橋 努
(72)【発明者】
【氏名】川端 英臣
(72)【発明者】
【氏名】越智 輝久
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 佑介
(72)【発明者】
【氏名】村上 修三
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−149378(JP,A)
【文献】 実開昭62−124917(JP,U)
【文献】 特開2012−081398(JP,A)
【文献】 実開平01−116197(JP,U)
【文献】 実公昭49−041897(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 1/00 − 7/02
B65G 19/00 −21/22
B65G 33/00 −33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋内を仕切壁で客室と機械室に仕切る精米設備において、
玄米を搬送する搬送装置を備える投入ホッパを仕切壁より客室に延長して設け、投入ホッパの左右一側の第一傾斜板の上端位置を左右他側の第二傾斜板の上端位置より低く形成し、
投入ホッパは客室の左右一側に設け、
左右外側の第二傾斜板の上端を建屋の側壁と接続し、
左右内側の第一傾斜板の上端部から客室の床面に向かって下がり傾斜姿勢の袋載置板を設けることを特徴とする精米設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建屋内に利用者が出入りする客室と、精米運転のための装置各部を配置する機械室を備える精米設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、非精米運転時には投入ホッパの正面を覆い、精米運転時に上方にスライドして開放し、利用者が持参玄米を投入ホッパに投入する建屋T式の精米設備が記載されている。
【0003】
特許文献2には、投入ホッパが客室3の左右一側に突出して設ける籾摺精米設備が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4393309号公報
【特許文献2】特公平8−2421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2いずれの投入ホッパは、玄米の収容量を確保するために、設定高さが必要としていた。そのため、利用者は持参した玄米入りの袋を持ち上げて投入ホッパに投入する必要があった。料金式の精米設備においては、通常、20kgや30kgの玄米を処理することが多く、かなりの重量である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、請求項1記載の発明は、
建屋内を仕切壁で客室と機械室に仕切る精米設備において、
玄米を搬送する搬送装置を備える投入ホッパを仕切壁より客室に延長して設け、投入ホッパの左右一側の第一傾斜板の上端位置を左右他側の第二傾斜板の上端位置より低く形成し、
投入ホッパは客室の左右一側に設け、
左右外側の第二傾斜板の上端を建屋の側壁と接続し、
左右内側の第一傾斜板の上端部から客室の床面に向かって下がり傾斜姿勢の袋載置板を設けることを特徴とする
【0007】
【発明の効果】
【0008】
本発明により、投入室内に収容できる玄米量を確保しながら、投入高さを低くすることができる。また、第二傾斜板を建屋の側壁に接続することで、側壁を利用して玄米を収容できるので、投入ホッパの玄米収容量を確保できる。
【0009】
また、床面に向かって下がり傾斜姿勢の袋載置板を設けることで、袋を床面に置いて寝かせながら玄米を投入ホッパに投入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】平面から見た精米設備の内部を説明する図
図2】正面から見た客室を説明する図
図3】精米設備の作業工程図
図4】正面側から見た投入室内を説明する図
図5】ブロック図
図6】正面及び側面から見た建屋の外観図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態の精米設備について以下、説明する。
【0012】
建屋Tを仕切壁1で利用者が出入りする客室3と、精米運転を行う装置各部を設ける機械室2とに仕切る。
【0013】
客室3の正面側には、利用者が客室3に出入りするための利用者用出入り扉4を設け、機械室2側の側壁34には、精米設備の管理者が出入りするための管理者用出入り扉5を設ける。
【0014】
客室3の左右一側に利用者が持参した玄米を投入する投入室6を設ける。投入室6内に設ける投入ホッパPに投入した玄米を機械室2側に搬送する搬送ラセン7を設ける。機械室2の左右一側に搬送ラセン7で搬送した玄米を揚穀する第一昇降機8を設ける。機械室2の左右中間部には、玄米に混じる石を除去する石抜機9を設ける。機械室2の左右他側には石抜機9で石抜き処理して第二昇降機10で揚穀した石を精米処理する精米機11を設ける。精米機11で処理した精白米を収容する精白米ホッパ12を客室3の左右他側に設ける。
【0015】
機械室2の後部には精米機11の精米処理で発生した糠を収容する糠収容部13を設ける。
【0016】
仕切壁1の客室3側には利用者が料金を投入する料金投入口14と、精白度を選択する精白度選択スイッチ15を設ける。
【0017】
図5に示すように、精米設備は制御部Sにより、制御されている。
【0018】
次に、投入室6について説明する。
【0019】
投入室6は客室3の左右一側に区画される。正面側には投入室前仕切壁16を設け、側面側には投入室横仕切壁17を設ける。投入室前仕切壁16は精米設備の管理者が開閉するメンテナンス用開閉扉16aに構成し、投入室横仕切壁17は、上下方向に開閉する利用者の投入用開閉扉18を構成する。
【0020】
投入用開閉扉18が閉時にその下端部を受ける開閉扉受け体19を設け、開閉扉受け体19から搬送ラセン7に向かって傾斜面を備える第一傾斜板20を形成する。開閉扉受け体19から客室3側に向かって傾斜面を備える袋載置板21を設ける。
【0021】
搬送ラセン7を挟んで第一傾斜板20の反対側には第二傾斜板22を設け、第二傾斜板22の上端から上方は建屋Tの側壁34部内側面となっている。第一傾斜板20及び第二傾斜板22の前側には後下がり傾斜姿勢の第三傾斜板23を設ける。第三傾斜板23の上端から上方は、メンテナンス用開閉扉16aの内側面となっている。
【0022】
すなわち、第一傾斜板20と第二傾斜板22と第三傾斜板23は投入ホッパPを形成するものである。
【0023】
第一傾斜板20の上部から第二傾斜板22の上部にわたって異物選別網24を設ける。第二傾斜板22の内側面には、穀物有無検出センサ25及び籾・玄米判別センサ26を設ける。第二傾斜板22と建屋Tの側壁34との間と第三傾斜板23とメンテナンス用開閉扉16aとの間には空間部Kが形成されており、該空間部Kには穀物有無検出センサ25及び籾・玄米判別センサ26のハーネス25a、26aや搬送ラセン7の搬送駆動モータ27を設けている。また、異物選別網24の着脱具であるピン29等を設けている。
【0024】
仕切壁1を貫通する玄米戻し筒28を投入室6横仕切壁17に沿って前下がり姿勢に設け、その排出口28aを投入用開閉扉18と対向する位置に設ける。
【0025】
次に、利用者による精米運転について説明する。
【0026】
利用者は、料金を料金投入口14に投入すると、投入用開閉扉18が閉状態から開動作する。利用者は、持参した袋Hを建屋Tの床面Yに載置し、袋載置板21に沿って横倒しする。すると、袋H内の大半の玄米が投入室6内に流れ込み一部は側壁34で支持される玄米層Gの状態となる。そして、利用者は、袋H内の残りの玄米を投入室6に投入する。玄米の投入が終了し、精白度選択スイッチ15で所望の精白度を選択すると搬送ラセン7が駆動を開始し、玄米が第一昇降機8、石抜機9、第二昇降機10を経て精米機11で精米処理され、精白米ホッパ12に収容される。利用者は精白米ホッパ12から持参の袋Hに白米を収容する。投入室6に玄米を残したまま、料金切れにより精米運転が停止し、利用者が残留玄米を持ち帰る場合には、利用者は持ち帰りスイッチ30を操作する。すると、搬送ラセン7と第一昇降機8が駆動し、切換弁31が玄米戻し筒28側に切り換り、玄米が玄米戻し筒28から排出される。利用者は袋Hを玄米戻し筒28の排出口にセットし、玄米を受けて持ち帰る。
【0027】
精米運転の終了後に、所定の時間の経過、又は利用者が不在であることを人検知センサ43が検出すると投入用開閉扉18が自動的に閉じる構成である。
【0028】
次に、管理者による投入室6内のメンテナンスについて説明する。
【0029】
管理者はメンテナンス用開閉扉16aを開けると投入室6前側が開放状態となり、空間部Kが露出する。管理者は、穀物有無検出センサ25及び籾・玄米判別センサ26のハーネス25a、26aや搬送ラセン7の搬送駆動モータ27のメンテナンスが可能となる。
【0030】
また、異物選別網24を外すときにはピン29を外す。
【0031】
次に、本実施の形態の精米設備の効果について説明する。
【0032】
本実施の投入室6においては、前側を投入壁仕切壁1、側面を建屋Tの側壁34内側を投入室6の一部として利用することで、一定量の玄米を収容することができるため、第一傾斜板20、第二傾斜板22、第三傾斜板23の高さを低くすることができる。そのため、利用者は持参した袋Hを高く持ち上げなくても、客室3の床面Yに載置した状態で投入室6側に向かって横倒しにすることで持参玄米の大半の玄米を投入室6に投入できる。利用者は重量物である持参した袋Hを持ち上げる高さを低くすることができ、投入がし易い。
【0033】
また、袋載置板21に沿って、持参した袋Hを横倒しして載置できるので、載置し易い。
【0034】
また、穀物有無検出センサ25や籾・玄米判別センサ26のハーネス25a、26aや搬送ラセン7の搬送駆動モータ27は客室3から離れた場所に設けることで、故障がし難いと共に、管理者がメンテナンスをし易い。
【0035】
本実施の形態の投入室6は、客室3のスペースの一部に区画して設けることで、投入容量を確保しつつ、非精米運転時は、投入室6内を客室3と隔離する構成を特徴としている。そして、投入室6を客室3の左右一側に設け、建屋Tの側壁34を投入室6の一部として利用する点に特徴があるが、客室3の中央部に投入室6を区画して設け、その左右一側の投入用開閉扉18を設けることも可能である。また、投入室6前仕切壁16を投入用開閉扉18とする構成も可能である。
【0036】
また、本実施の形態の投入室6は、前後方向の長さを左右方向の長さよりも長く構成し、前後方向に沿う姿勢の投入用開閉扉18を設ける構成にするため、投入用開閉扉18を大きく構成することができ、利用者が玄米を投入し易いという点にも特徴がある。
【0037】
次に、建屋Tの外観について説明する。
【0038】
建屋Tの前側には屋根35から上方に突出する前看板36を取り付ける。建屋Tの屋根35は後側に向かって下がり傾斜に形成し、後壁37より後方に突出する。屋根35の後端部から設定距離離間した位置に後看板38を設ける。後看板38は後壁37側に取り付ける後看板取付部39に取り付ける。すなわち、後看板取付部39は平面視でコ型に構成することで、屋根35の後端部と離間する構成とすることで、屋根35の雨水が円滑に後側に流すことができる。また、屋根35柱の上面に精米設備をクレーン等で釣り上げる上フック40を設け、屋根35柱の前端部と後端部の下面にトラック等で精米設備を輸送する際のロープ掛け用の下フック41を設けている。なお、前看板36は夜間でも営業できるように電飾看板の構成である。
【0039】
次に、客室3内の照明44の点灯の制御について説明する。
【0040】
夜間において、利用者が客室3に近づいたこと、または、客室3に入ることを人検知センサ43が検出すると、客室3の照明44が点灯する。そして、利用者が客室3から離れたことを人検知センサ43が検出すると照明44が消灯する。しかしながら、精米運転中においては、利用者が客室3から離れたことを人検知センサ43が検出しても、照明44は点灯し続けるように制御部Sで制御する。これにより、精米運転中に利用者が一時的に所用で客室3から離れても、照明44が点灯し続けることで利用者が不審感を抱かない。また、建屋Tから離れた位置にいる利用者に精米運転中であることを示すことができる。また、夜間において、精米運転をしない時には客室3の照明44を消灯することで省エネとなり、管理者のランニングコストを低減することができる。また、客室3の照明44を消灯しても、前看板36を電飾看板として、夜間でも点灯を継続することで、周辺の人に営業中であることを示すことができる。なお、精米運転中とは、利用者が料金を投入してから、料金分の時間精米運転をして、精米運転が停止してから設定時間(例えば1分)が経過するまでの時間である。もちろん、精米運転の終了後、利用者が不在の際に客室3の照明44が消灯しても、利用者が客室3に戻ったことを検出すると、照明44が点灯するのは言うまでもない。
【0041】
一般的に人検知センサ43で人を検知すると照明44が点灯し、人検知センサ43が人を検知しなくなると消灯するのはトイレ等で公知であるが、本実施の形態の特徴は、精米運転中の場合には、人検知センサ43が利用者の不在を検出しても、客室3の照明44が消灯しないことにある。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本実施の形態は、玄米専用の料金式の精米設備について記載しているが、籾を籾摺精米して精白米にする建屋式の籾摺精米設備についても実施できる。
【符号の説明】
【0043】
1 仕切壁
2 機械室
3 客室
6 投入室
7 搬送装置(搬送ラセン)
16 投入室前仕切壁
16a メンテナンス用開閉扉
17 投入室横仕切壁
18 投入用開閉扉
20 第一傾斜板
21 袋載置板
22 第二傾斜板
34 (建屋の)側壁
T 建屋
P 投入ホッパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6