特許第6561726号(P6561726)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本製紙株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561726
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】ハードコートフィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20190808BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   B32B27/00 B
   B32B27/30 A
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-189146(P2015-189146)
(22)【出願日】2015年9月28日
(65)【公開番号】特開2017-64912(P2017-64912A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130812
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100164161
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 彩
(72)【発明者】
【氏名】阪後 公善
(72)【発明者】
【氏名】多賀谷 雄一
【審査官】 増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−072283(JP,A)
【文献】 特開2011−152681(JP,A)
【文献】 特開2012−133079(JP,A)
【文献】 特開2005−288286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
C08J 7/04
B05D 1/00−7/26
G02B 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムの少なくとも片面に、電離放射線硬化型樹脂からなるハードコート層A及びハードコート層Bとをこの順に積層してなるハードコートフィルムであって、該ハードコート層Aのハードコート層Bを積層する面の水の接触角が70度以下、且つヘキサデカンの接触角が20度以下であることを特徴とするハードコートフィルム。
【請求項2】
前記ハードコート層Aがフッ素系レベリング剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
【請求項3】
前記フッ素系レベリング剤が、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対し0.03重量部以上3.0重量部以下含有することを特徴とする請求項2に記載のハードコートフィルム。
【請求項4】
前記電離放射線硬化型樹脂が、多官能アクリレート及び/又はウレタン(メタ)アクリレートを含有することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のハードコートフィルム。
【請求項5】
前記ハードコート層Bが、一次粒径5〜100nm以下のシリカ微粒子を含有することを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のハードコートフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードコートフィルムに関する。より詳しくは、液晶表示装置、CRT表示
装置、プラズマ表示装置、EL表示装置、タッチパネルなどの保護フィルムとして使用することができるハードコートフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルディスプレイはカバーガラス、タッチパネル、液晶パネルの3枚構成でされている。近年においては、タッチパネルディスプレイの薄型化、軽量化に伴い、タッチパネルを偏光板と液晶パネルの間に組み込んだオンセル型や、タッチパネルの機能を液晶パネルに組み込んだインセル型の普及が進んでおり、さらに薄型及び軽量化のために、タッチパネルの最表面をカバーガラスでなく、ガラスに比べて薄くて軽いプラスチックフィルムを基材としたハードコートフィルムが検討されはじめている。
【0003】
しかし、これらハードコートフィルムはガラスに比べて硬度に劣るため傷つきやすい。ガラス並の硬さを得るためにハードコート層を厚くする方法を用いることができるが、ハードコート層形成時の硬化収縮が大きいためハードコートフィルムにカール(端部からのハードコート層面方向へのフィルムの浮き上がり)が発生し、適する硬度とカールを両立することが困難であった。
【0004】
また、特許文献1には、硬度とカールを両立するためにシリカ微粒子をハードコート層中に含有させたハードコートフィルムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−082860
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ナノシリカ微粒子がハードコート層に多量に含有されると透明性や視認性(干渉縞)に劣るという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、カールが低く、且つ良好な硬度と視認性を有するハードコートフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意検討した結果、基材フィルムの少なくとも片面に、電離放射線硬化型樹脂からなるハードコート層A及びハードコート層Bとをこの順に積層してなるハードコートフィルムであって、該ハードコート層Aのハードコート層Bを積層する面の水の接触角が70度以下、且つヘキサデカンの接触角が20度以下であることを特徴とするハードコートフィルムを用いることで、前記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カールが低く、且つ良好な硬度と視認性を有するハードコートフィルムを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討の結果、基材フィルム上に水及びヘキサデカンの接触角が特定の範囲にあるハードコート層Aを設け、さらにハードコート層A上にハードコート層Bを積層してなるハードコートフィルムを用いることで、上記課題を解決することができることを見出し、本発明に至った。
【0011】
すなわち、本発明は以下の(1)〜(5)である。
(1)基材フィルムの少なくとも片面に、電離放射線硬化型樹脂からなるハードコート層A及びハードコート層Bとをこの順に積層してなるハードコートフィルムであって、該ハードコート層Aのハードコート層Bを積層する面の水の接触角が70度以下、且つヘキサデカンの接触角が20度以下であることを特徴とするハードコートフィルム。
(2)前記ハードコート層Aがフッ素系レベリング剤を含むことを特徴とする(1)に記載のハードコートフィルム。
(3)前記フッ素系レベリング剤が、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対し0.03重量部以上3.0重量部以下含有することを特徴とする(2)に記載のハードコートフィルム。
(4)前記電離放射線硬化型樹脂が、多官能アクリレート及び/又はウレタン(メタ)アクリレートを含有することを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載のハードコートフィルム。
(5)前記ハードコート層Bが、一次粒径5〜100nm以下のシリカ微粒子を含有することを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載のハードコートフィルム。
【0012】
本発明において、カールの発生を抑えつつ、優れた硬度を得ることができるのは、ハードコート層Aとハードコート層Bが良好な密着性を有しつつ積層されることにより、ハードコート層Bの硬化収縮によるカールはハードコート層Aのハードコート層で抑制されることによるものと推測される。その様な物を得るためには、ハードコート層Aがレベリング剤を含有し、且つ水接触角70度以下、ヘキサデカン接触角20度以下に設計されることにより、良好な視認性を有しつつ、ハードコート層Aに積層されるハードコート層Bを形成するためのハードコート塗料が十分に塗れ広がるため、積層界面での3次元的な架橋構造が形成されやすくなり、良好な密着性が得られ、本発明に至ると考えられる。
【0013】
本発明において、基材フィルムとは特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリイミド、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、ポリスチレン、セルロースアセテート、ポリ塩化ビニルのフィルムないしシート等が挙げられる。これらの中でセルロース系フィルムは、複屈折が少なく、透明性、屈折率、分散等の光学特性、さらには耐衝撃性、耐熱性、耐久性等の諸物性に優れており、基材フィルムとしてより好ましい。
【0014】
本発明の基材フィルムの厚みについては特に制限がないが、10〜250μmが好ましく、40〜200μmがより好ましく、60〜150μmが更に好ましい。基材フィルム厚みが250μmを超えると、小型化が要望されているタッチパネル用途等に適さず、また基材フィルム厚みが10μm未満であると、基材が薄くなりすぎるため硬度やカールの両立が難しくなる。
【0015】
本発明において、ハードコート層A及びハードコート層Bに用いられる電離放射線硬化型樹脂は、電子線または紫外線等を照射することによって硬化する透明な樹脂であれば、特に限定されるものではなく、例えば、ウレタンアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、及びエポキシアクリレート系樹脂等の中から適宜選択することができる。これらの中で電離放射線硬化型樹脂として好ましいものは、透明フィルム基材との良好な密着性を得るために分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する紫外線硬化可能な多官能アクリレートからなるものが挙げられる。分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する紫外線硬化可能な多官能アクリレートの具体例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールポリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルのジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレートなどのエポキシ(メタ)アクリレート、多価アルコールと多価カルボン酸及び/またはその無水物とアクリル酸とをエステル化することによって得ることができるポリエステル(メタ)アクリレート、多価アルコール、多価イソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させることによって得られるウレタン(メタ)アクリレート、ポリシロキサンポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの中で、ハードコート層を形成した際のハード性と柔軟性の両方に優れる、ウレタン(メタ)アクリレートを用いることが望ましい。
【0016】
これらハードコート層の電離放射線硬化型樹脂は、単独でも2種以上を混合し使用しても良い。
【0017】
本発明において、ハードコート層A及びハードコート層Bの厚さは、特に制約されるわけではないが、例えば1.0μmから30.0μmの範囲であることが好適である。塗膜厚さが1.0μm未満では必要な表面硬度が得られ難くなる。また、塗膜厚さが30.0μm超の場合はカールが強く筒カールとなり易く製造工程などで取扱い性が低下するため好ましくない。なお、ハードコート層の厚さは、マイクロメーターで実測することにより測定可能である。
【0018】
本発明において、ハードコード層Aに含有されるレベリング剤は、フッ素系、アクリル系、シロキサン系のレベリング剤を挙げることができ、特にレベリング調整機能に優れる分子内にパーフルオロアルキル基等のフッ素基を有するフッ素系レベリング剤を用いることが好ましい。これらの中では、レベリング剤にハードコート層表面の水接触角を低くするため水酸基を含有したタイプが更に好ましく、具体的にはフタージェント681((株)ネオス製)を例示することができる。
【0019】
本発明において、ハードコート層Bにレベリング剤を含有することが好ましい。そのような物としてはレベリング調整機能を有する物であれば特に制限されるものではなく、フッ素系、アクリル系、シロキサン系などのレベリング剤から適宜選択できる。
【0020】
本発明において、ハードコート層Aおよびハードコート層Bに含有されるレベリング剤の好ましい配合量は、電離線硬化樹脂100重量部に対し0.03重量部以上3.0重量部以下である。レベリング剤の配合量が0.03重量部未満であると、十分な表面調整作用が得られずに干渉縞の改善に劣る。レベリング剤の配合量が3.0重量部を超えると、ハードコート層に含まれる未硬化性成分の含有率が多い為に、十分なハードコート性を得られがたく、またハードコート表面のレベリング剤存在率が高くなりすぎるために、本発明を満たす表面性が得られない場合がある。
【0021】
本発明において、ハードコート層A及びハードコート層Bには、電離放射線硬化型樹脂及びレベリング剤の他に、必要に応じて重合開始剤、消泡剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、湿潤分散剤、レオロジーコントロール剤、酸化防止剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤、その他の添加剤等を、本発明の効果を阻害しない範囲で配合することができ、これらを適当な溶媒に溶解、分散したハードコート塗料を基材フィルム上に塗工、乾燥、硬化して形成される。
【0022】
本発明のハードコート層A及びハードコート層Bを形成するためのハードコート塗料に用いることができる溶媒としては、配合される前記樹脂の溶解性に応じて適宜選択でき、少なくとも固形分(樹脂、重合開始剤、その他添加剤)を均一に溶解あるいは分散できる溶媒であればよい。そのような溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、n−ヘプタンなどの芳香族系溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、乳酸メチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール系等のアルコール系溶剤等の公知の有機溶剤を単独或いは適宜数種類組み合わせて使用することもできる。
【0023】
本発明のハードコート層A及びハードコート層Bの塗工方法については、特に限定はないが、グラビア塗工、マイクログラビア塗工、ファウンテンバー塗工、スライドダイ塗工、スロットダイ塗工、スクリーン印刷法、スプレーコート法等の公知の塗工方式で塗設した後、通常50〜120℃程度の温度で乾燥し、溶媒が除去される。
【0024】
基材フィルム上に塗工し、溶媒を除去されたハードコート塗料を硬化させる方法としては、電子線又は紫外線を照射させる方法を用いることができる。その照射条件などは、使用する電子線硬化型樹脂、その他添加する各種薬品にあわせて適宜調整すればよい。なお、硬化反応時に窒素ガス雰囲気下など、酸素濃度を低下させ実施することができる。
【0025】
ハードコートフィルムに形成されたハードコート層の塗工厚みは、マイクロメーターを用いて測定するなどの既知の方法によって測定することができる。
【0026】
本発明において、ハードコート層Aのハードコート層Bを積層する面(積層面)の水接触角は70度以下である。ハードコート層Aの積層面の水接触角が70度以下であると、親水性の高い樹脂に対する濡れ広がりが良好であり、好ましい。
【0027】
また本発明において、ハードコート層Aのハードコート層Bを積層する面(積層面)のヘキサデカン接触角は20度以下である。ハードコート層Aの積層面のヘキサデカン接触角が20度以下であると、親油性の高い樹脂に対する濡れ広がりが良好であり、好ましい。
【0028】
前記記載の水及びヘキサデカンの接触角を示す積層面であるハードコート層Aを用いれば、積層されるハードコート層Bを形成するハードコート塗料に良好な濡れ性を有するため、濡れハジキがなく、そのため優れた層間密着性を示すことができる。
【0029】
本発明のハードコート層Bには、シリカ微粒子を混合することができる。シリカ微粒子としては、ハードコート層Bに混合することにより、硬度を向上するものであれば特に制限されるものではないが、一次粒径5〜100nm以下のシリカ微粒子を用いることが好ましい。シリカ微粒子の一次粒径が5nm未満であると、硬度が得られない。一次粒子が100nmを超えると、透明性が低下するため、一次粒径が10nm以上100nm以下のシリカ微粒子が好ましい。この様な物としては、IPA−ST−L(日産化学工業社株式会社製)を挙げることができる。
【0030】
上記ハードコート層Bに含有されるシリカ微粒子は、ハードコート層Bに含有される電離放射線硬化型樹脂100重量部に対し、10〜200重量部が好ましく、30〜150重量部がより好ましく、50〜120重量部が更に好ましい。シリカ微粒子が電離放射線硬化型樹脂に対し200重量部を超えて含有されるとハードコート層の視認性が悪化する。また電離放射線硬化型樹脂に対し10重量部以下であると、期待される硬度が得られない。
【0031】
<実施例>
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
<実施例1>
(ハードコート層Aを形成したハードコートフィルム)
トリアセチルセルロール(TAC)フィルム(商品名:KC8UAW、コニカミノルタ(株)製、厚み:80μm)の片面の一方の面に、ウレタンアクリレート100重量部(商品名:DIC−17−806、DIC(株)製)、光重合開始剤(商品名:イルガキュア184、BASF(株)製) 5重量部、フッ素系レベリング剤(商品名:フタージェント681、(株)ネオス製)0.1重量部、>N−CHタイプヒンダードアミン系光安定化剤(商品名:チヌビン292、BASF(株)製)3.2重量部を撹拌し、揮発分が50%となるように酢酸エチルで希釈し、攪拌混合して得られたハードコート層用塗料Aを、バーコーターを用いて塗布し、80℃の乾燥炉で乾燥させ塗工量が5.0g/m2のハードコート層を形成した。これを塗布面より60mmの高さにセットしたUV照射装置を用いUV照射量を150mJ/cm2にて硬化させてハードコート層Aを形成したハードコートフィルムを作製した。
【0033】
(ハードコート層Bを積層したハードコートフィルム)
上記ハードコート層Aを形成したハードコートフィルムのハードコート層Aに、多官能アクリレート(商品名;NKエステル A-9550;新中村化学社製)32.0重量部、ナノシリカ分散体(商品名;IPA-ST-L 日産化学工業株式会社製)28.0重量部、光重合剤1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(商品名;イルガキュア184、社製)を1.5重量部、アクリル系表面調整剤(商品名;ポリフローNo.75、共栄社化学株式会社、SP値:10.3、重量平均分子量;3000)を0.5重量部、ケトン系有機溶剤はメチルエチルケトン23重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル15重量部とし、攪拌混合して得られたハードコート層用塗料Bを、バーコーターを用いて塗布し、80℃の乾燥炉で乾燥させ塗工量が7.0g/m2のハードコート層を形成した。これを塗布面より60mmの高さにセットしたUV照射装置を用いUV照射量を150mJ/cm2にて硬化させてハードコート層Bを積層した実施例1のハードコートフィルムを作製した。
【0034】
<実施例2>
実施例1のハードコート層Aのハードコート層用塗料A中のフッ素系レベリング剤の配合部数を0.25部としたこと以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0035】
<実施例3>
実施例1のハードコート層Aのハードコート層用塗料A中のフッ素系レベリング剤の配合部数を0.5部としたこと以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0036】
<実施例4>
実施例1のハードコート層Aのハードコート層用塗料A中のフッ素系レベリング剤の配合部数を1.0部としたこと以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0037】
<実施例5>
実施例1のハードコート層Aのハードコート層用塗料A中のフッ素系レベリング剤の配合部数を3.0部としたこと以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0038】
<比較例1>
実施例1のハードコート層Aのハードコート層用塗料A中のフッ素系レベリング剤の配合部数を5.0部としたこと以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0039】
<比較例2>
実施例1のハードコート層Aの塗工量を12g/m2とし、ハードコート層Bを形成せずに、ハードコート層Aのみとしたこと以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0040】
<比較例3>
実施例1のハードコート層Aを形成せずに、基材フィルムに直接ハードコート層用塗料Bを用いハードコート層Bを形成したこと以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0041】
実施例及び比較例で得られたハードコートフィルムは、下記の方法で評価を行った。
【0042】
<接触角の測定>
協和界面科学株式会社製全自動接触角計DM−701を用いて、実施例及び比較例で得られた積層する前のハードコート層Aの積層面に、水又はヘキサデカンを1μL滴下し、30秒後の接触角を測定した。測定は各液にてそれぞれ10回行い、その平均値をハードコート層A積層面の接触角として算出した。
【0043】
<鉛筆硬度の評価>
JIS−K5600−5−4に基づき、実施例及び比較例のハードコート層の鉛筆硬度を実施した。
◎:鉛筆硬度4H以上
○:鉛筆硬度3H
△:鉛筆硬度2H
×:鉛筆硬度2H未満
【0044】
<密着性>
JIS−K5600―5―6に基づき、実施例及び比較例で得られたハードコート層の密着性をクロスカット法で評価した。ハードコート層の剥がれがみられた場合、積層したハードコートフィルムでは剥がれ方としては基材とハードコート層A、又はハードコート層Aとハードコート層Bの界面剥離の両方を含む。
◎:クロスカット法での密着性が100%
○:クロスカット法での密着性が99%
△:クロスカット法での密着性が95%以上99%未満
×:クロスカット法での密着性が95%未満
【0045】
<干渉縞(虹彩状色彩)の評価>
実施例及び比較例で得られたハードコートフィルムを10cm×15cmの面積に切り出し、試料フィルムを作製した。この試料フィルムのハードコート層とは反対面に、黒色光沢テープを貼り合わせ、ハードコート面を上面にして、3波長形昼白色蛍光灯(ナショナル パルック、F.L 15EX−N 15W)を光源として、斜め上方より反射光を目視で観察した。
○:干渉縞が見られず、外観が良好。
△:干渉縞がわずかにみられるが、実用上問題のないレベルの外観。
×:干渉縞が非常に目立ち、外観に不良。
【0046】
<カール>
実施例及び比較例で得られたハードコートフィルムを20cm×25cmの面積に切り出し、水平な接地面から浮き上がった四隅の高さを測定し、その平均値をカールとして算出した。カールが強くフィルムが筒状となった場合には筒の径(数値前にφ表記)を測定した。
【0047】
【表1】
【0048】
本発明によれば、表1に示される実施例1〜5で明らかにされるように、ハードコート層Aがハードコート層A積層面の水の接触角70度以下、且つヘキサデカンの接触角20度以下のハードコートフィルムであれば、積層されるハードコート層Bとハードコート層Aとの相関密着性と硬度が良好でカールが低く、またレベリング剤により干渉縞がなく視認性が良好なハードコートフィルムを得ることができる。しかし、比較例1で示されるようにハードコート層Aの接触角が本発明の数値を外れる場合には、ハードコート層表面の濡れ性が劣るため、本発明のハードコートフィルムには不適である。また、比較例2〜3で示される通り、ハードコート層A又はハードコート層Bのみのハードコート層の形成では、本発明の効果を得られない。