(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シリコンよりもバンドギャップが広い半導体からなる第1導電型のワイドバンドギャップ半導体基板のおもて面に、前記ワイドバンドギャップ半導体基板よりも不純物濃度の低い第1導電型のワイドバンドギャップ半導体堆積層を形成する工程と、
前記ワイドバンドギャップ半導体堆積層の表面層に、第2導電型半導体領域を選択的に形成する工程と、
前記ワイドバンドギャップ半導体堆積層の表面に、シリコンよりもバンドギャップが広い半導体からなる、第2導電型のワイドバンドギャップ半導体層を形成する工程と、
前記ワイドバンドギャップ半導体層の内部、前記ワイドバンドギャップ半導体堆積層上に第1の第1導電型領域を選択的に形成する工程と、
前記ワイドバンドギャップ半導体層の内部に第2の第1導電型領域を選択的に形成する工程と、
前記ワイドバンドギャップ半導体層の、前記第2の第1導電型領域と前記第1の第1導電型領域とに挟まれた部分の表面上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、
前記ワイドバンドギャップ半導体層および前記第2の第1導電型領域に接するソース電極を形成する工程と、
前記ゲート電極を覆う層間絶縁膜を形成する工程と、
前記ワイドバンドギャップ半導体基板の裏面にドレイン電極を形成する工程と、
前記ソース電極上に、選択的にめっき膜を形成する工程と、
前記めっき膜に半田を介して接続された、外部信号をとり出すピン状電極を形成する工程と、
を含み、
前記めっき膜を形成する工程は、前記めっき膜の前記ワイドバンドギャップ半導体基板と平行な方向の幅を10μm以上で形成し、
前記第1の第1導電型領域を選択的に形成する工程は、前記めっき膜と対向する前記ワイドバンドギャップ半導体層内に、前記第1の第1導電型領域を形成せず、
前記第2の第1導電型領域を選択的に形成する工程は、前記めっき膜と対向する前記ワイドバンドギャップ半導体層内に、前記第2の第1導電型領域を形成しない、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【背景技術】
【0002】
従来、高電圧や大電流を制御するパワー半導体装置の構成材料として、シリコン(Si)が用いられている。パワー半導体装置は、バイポーラトランジスタやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)など複数種類あり、これらは用途に合わせて使い分けられている。
【0003】
例えば、バイポーラトランジスタやIGBTは、MOSFETに比べて電流密度は高く大電流化が可能であるが、高速にスイッチングさせることができない。具体的には、バイポーラトランジスタは数kHz程度のスイッチング周波数での使用が限界であり、IGBTは数十kHz程度のスイッチング周波数での使用が限界である。一方、パワーMOSFETは、バイポーラトランジスタやIGBTに比べて電流密度が低く大電流化が難しいが、数MHz程度までの高速スイッチング動作が可能である。
【0004】
しかしながら、市場では大電流と高速性とを兼ね備えたパワー半導体装置への要求が強く、IGBTやパワーMOSFETはその改良に力が注がれ、現在ではほぼ材料限界に近いところまで開発が進んでいる。パワー半導体装置の観点からシリコンに代わる半導体材料が検討されており、低オン電圧、高速特性、高温特性に優れた次世代のパワー半導体装置を作製(製造)可能な半導体材料として炭化珪素(SiC)が注目を集めている(下記、非特許文献1参照)。
【0005】
炭化珪素は、化学的に非常に安定した半導体材料であり、バンドギャップが3eVと広く、高温でも半導体として極めて安定的に使用することができる。また、炭化珪素は、最大電界強度もシリコンより1桁以上大きいため、オン抵抗を十分に小さくすることができる半導体材料として期待される。このような炭化珪素の特長は、他の、シリコンよりバンドギャップが広いワイドバンドギャップ半導体である、例えば窒化ガリウム(GaN)にもあてはまる。このため、ワイドバンドギャップ半導体を用いることにより、半導体装置の高耐圧化を図ることができる(例えば、下記非特許文献2参照)。
【0006】
このような炭化珪素を用いた高耐圧半導体装置では発生損失が少なくなった分、インバータで使われる際、キャリア周波数を従来のシリコンを用いた半導体装置よりも1桁高い周波数で適用される。半導体装置を高い周波数で適用するとチップへの発熱温度が高くなり、半導体装置への信頼性に影響する。特に、基板おもて面側のおもて面電極には、おもて面電極の電位を外部に取り出す配線材としてボンディングワイヤが接合されており、半導体装置を高温度で使用すると、おもて面電極とボンディングワイヤとの密着が低下し信頼性に影響を及ぼす。
【0007】
また、おもて面電極の電位を外部に取り出す別の配線材として、ワイヤボンディング以外の板状導体部材を用いた技術がある(例えば、下記特許文献1参照)。
【0008】
また、おもて面電極とボンディングワイヤとの密着性の低下を軽減するため、おもて面電極にピン電極を半田で接合する従来の炭化珪素半導体装置がある。
図5は、従来の炭化珪素半導体装置の構成を示す断面図である。n
+型炭化珪素基板1の表面にn型炭化珪素エピタキシャル層2が堆積され、n型炭化珪素エピタキシャル層2の表面に複数のp
+型領域10が設けられる。p
+型領域10の表面にp型炭化珪素エピタキシャル層11が設けられる。p
+型領域10が設けられていないn型炭化珪素エピタキシャル層2上のp型炭化珪素エピタキシャル層11にn型ウェル領域12が設けられる。p型炭化珪素エピタキシャル層11の表面には、n
+型ソース領域4とp
++型コンタクト領域5が設けられる。
【0009】
p型炭化珪素エピタキシャル層11の、n
+型ソース領域4とn型ウェル領域12とに挟まれた表面にゲート絶縁膜6を介して、ゲート電極7が設けられ、ゲート電極7の上部には層間絶縁膜14が選択的に設けられている。n
+型ソース領域4とp
++型コンタクト領域5との表面に、ソース電極8が設けられる。ソース電極8の上部には、保護膜15が選択的に設けられ、保護膜15が設けられていない部分にめっき膜16が設けられる。
【0010】
めっき膜16と保護膜15とが隣接する部分を覆うように第2の保護膜17が設けられる。めっき膜16部分に半田19を介して接続されたピン状電極18が設けられる。n
+型炭化珪素基板1の裏面側にはドレイン電極9が設けられる。
【0011】
図5の構造のMOSFETにおいて、ソース電極8に対しドレイン電極9に正の電圧が印加された状態でゲート電極7にゲート閾値以下の電圧が印加されている場合には、p型炭化珪素エピタキシャル層11とn型ウェル領域12とのpn接合が逆バイアスされた状態であり、活性領域の耐圧が確保されて電流は流れない。一方、ゲート電極7にゲート閾値以上の電圧を印加するとゲート電極7直下のp型炭化珪素エピタキシャル層11表面には反転層が形成されることにより電流が流れるため、ゲート電極7に印加する電圧によってMOSFETのスイッチング動作を行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来構造では、ソース電極8が、ゲート電極7を被覆する層間絶縁膜14の上部に設けられているため、ゲート電極7を覆っている部分とゲート電極7を覆っていない部分とでソース電極8の段差21が生じる。このため、ソース電極8にめっき膜16を介してピン状電極18を半田接合する際に、めっき膜16と保護膜15とソース電極8がお互いに接する3重点部分直下に存在するソース電極8の段差21の部分に応力が集中して掛かる。ここで、ソース電極8の段差21とは、段状になっている部分のn
+型炭化珪素基板1の表面からの高さの差である。具体的には、ソース電極8の段差21は、ソース電極8がゲート電極7を覆っている部分と、ゲート電極7を覆っていない部分との高さの差である。
【0015】
また、ピン状電極18の半田接合時や半導体装置のスイッチング時に、半田19と周囲との温度差が大きくなるため、半田19の端部付近、特にめっき膜16と保護膜15とソース電極8がお互いに接する3重点部分直下に存在するソース電極8の段差21の部分に熱膨張差により応力が集中する。
【0016】
このように、ソース電極8の段差21の部分に応力が集中することにより、亀裂が発生し、半導体装置の特性が劣化し、信頼性が低下する。亀裂が発生しなくても、応力によって微小電流のしきい値電圧が変動し電流が流れやすくなり局所的な部分での電流密度が高くなり、半導体装置の信頼性が低下する。
【0017】
この発明は、ピン状電極を半田で接合した半導体装置の信頼性を向上させる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、次の特徴を有する。シリコンよりもバンドギャップが広い半導体からなる第1導電型のワイドバンドギャップ半導体基板と、前記ワイドバンドギャップ半導体基板のおもて面に堆積された、前記ワイドバンドギャップ半導体基板よりも不純物濃度の低い第1導電型のワイドバンドギャップ半導体堆積層と、前記ワイドバンドギャップ半導体堆積層の、前記ワイドバンドギャップ半導体基板側に対して反対側の表面層に選択的に設けられた第2導電型半導体領域と、前記ワイドバンドギャップ半導体堆積層および前記第2導電型半導体領域の表面に設けられた、シリコンよりもバンドギャップが広い半導体からなる第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層と、前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層内の前記ワイドバンドギャップ半導体堆積層上に選択的に設けられた第1の第1導電型領域と、前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層内に選択的に設けられた第2の第1導電型領域と、前記第2の第1導電型領域および前記第1の第1導電型領域の上にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層および前記第2の第1導電型領域に接するソース電極と、前記ゲート電極を覆う層間絶縁膜と、前記ワイドバンドギャップ半導体基板の裏面に設けられたドレイン電極と、前記ソース電極上に、選択的に設けられためっき膜と、前記めっき膜に半田を介して接続された、外部信号をとり出すピン状電極と、を備え、前記めっき膜の前記ワイドバンドギャップ半導体基板と平行な方向の幅は、10μm以上であり、前記めっき膜と対向する前記ワイドバンドギャップ半導体層内に、前記第2の第1導電型領域および前記第1の第1導電型領域が設けられていない。
【0019】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記ソース電極の段状の部分の前記ワイドバンドギャップ半導体基板のおもて面からの高さの差は、2μm以下であることを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記層間絶縁膜は、窒化膜により覆われていることを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記ソース電極は、窒化膜により選択的に覆われていることを特徴とする。
【0022】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、次の特徴を有する。シリコンよりもバンドギャップが広い半導体からなる第1導電型のワイドバンドギャップ半導体基板のおもて面に、前記ワイドバンドギャップ半導体基板よりも不純物濃度の低い第1導電型のワイドバンドギャップ半導体堆積層を形成する工程と、前記ワイドバンドギャップ半導体堆積層の表面層に、第2導電型半導体領域を選択的に形成する工程と、前記ワイドバンドギャップ半導体堆積層の表面に、シリコンよりもバンドギャップが広い半導体からなる、第2導電型のワイドバンドギャップ半導体層を形成する工程と、前記ワイドバンドギャップ半導体層の内部、前記ワイドバンドギャップ半導体堆積層上に第1の第1導電型領域を選択的に形成する工程と、前記ワイドバンドギャップ半導体層の内部に第2の第1導電型領域を選択的に形成する工程と、前記第2の第1導電型領域および前記第1の第1導電型領域の上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、前記ワイドバンドギャップ半導体層および前記第2の第1導電型領域に接するソース電極を形成する工程と、前記ゲート電極を覆う層間絶縁膜を形成する工程と、前記ワイドバンドギャップ半導体基板の裏面にドレイン電極を形成する工程と、前記ソース電極上に、選択的にめっき膜を形成する工程と、前記めっき膜に半田を介して接続された、外部信号をとり出すピン状電極を形成する工程と、を含み、前記めっき膜を形成する工程は、前記めっき膜の前記ワイドバンドギャップ半導体基板と平行な方向の幅を10μm以上で形成し、前記第1の第1導電型領域を選択的に形成する工程は、前記めっき膜と対向する前記ワイドバンドギャップ半導体層内に、前記第1の第1導電型領域を形成せず、前記第2の第1導電型領域を選択的に形成する工程は、前記めっき膜と対向する前記ワイドバンドギャップ半導体層内に、前記第2の第1導電型領域を形成しない。
【0023】
上述した発明によれば、ソース電極の上部に設けられためっき膜の幅を10μm以上とし、めっき膜の下部には、第2の第1導電型領域および第1の第1導電型領域が設けられず、p
++型コンタクト領域のみが設けられる。これにより、めっき膜と対向する3重点部分の直下には、ゲート電極が存在しなくなるため、ソース電極の段差部が存在しない。このため、ピン状電極を半田接合時や半導体装置のスイッチング時に、応力が集中する部分が存在しないため、亀裂が発生せず、応力によって微小電流のしきい値電圧が変動せず、半導体装置の信頼性が低下することを抑制できる。
【0024】
また、3重点部分の直下には、p
++型コンタクト領域のみが設けられ、チャネルが形成されないため、応力が集中して亀裂が発生しても、半導体装置の特性が劣化することがない。また、チャネルが形成されないため、応力が集中しても、応力によって微小電流のしきい値電圧が変動しない。このため、半導体装置の信頼性が低下することを抑制できる。
【0025】
また、例えば、ソース電極の段差を2μm以下とすることができる。ソース電極の段差が小さいため、ソース電極の段差に集中する応力が小さくなる。このため、亀裂が発生せず、応力によって微小電流のしきい値電圧が変動せず、半導体装置の信頼性が低下することを抑制できる。
【0026】
また、窒化膜は、ポリイミドからなる保護膜よりも、吸水性が低いため、層間絶縁膜上に窒化膜を設けることにより、ゲート絶縁膜付近への水の侵入を抑制することができる。このため、半導体装置の特性が劣化し、信頼性が低下することを抑制できる。
【0027】
また、ソース電極は、アルミニウムからなるため腐食しやすいが、ソース電極上に部分的に窒化膜を設けることにより、ソース電極からゲート絶縁膜付近への水の侵入を抑制することができる。このため、半導体装置の特性が劣化し、信頼性が低下することを抑制できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法によれば、半導体装置の特性劣化が抑制され、良好な特性を有する半導体装置を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および−は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。+および−を含めたnやpの表記が同じ場合は近い濃度であることを示し濃度が同等とは限らない。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本明細書では、ミラー指数の表記において、“−”はその直後の指数につくバーを意味しており、指数の前に“−”を付けることで負の指数をあらわしている。
【0031】
(実施の形態1)
本発明にかかる半導体装置は、ワイドバンドギャップ半導体を用いて構成される。実施の形態1においては、ワイドバンドギャップ半導体として例えば炭化珪素(SiC)を用いて作製された炭化珪素半導体装置について、MOSFETを例に説明する。
図1は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構成を示す断面図である。
図1には、活性領域の状態を図示する。
【0032】
図1に示すように、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置は、n
+型炭化珪素基板(第1導電型のワイドバンドギャップ半導体基板)1の第1主面(おもて面)にn型炭化珪素エピタキシャル層(第1導電型のワイドバンドギャップ半導体堆積層)2が堆積されている。
【0033】
n
+型炭化珪素基板1は、例えば窒素(N)がドーピングされた炭化珪素単結晶基板である。n型炭化珪素エピタキシャル層2は、n
+型炭化珪素基板1よりも低い不純物濃度で、例えば窒素がドーピングされている低濃度n型ドリフト層である。以下、n
+型炭化珪素基板1とn型炭化珪素エピタキシャル層2とを併せて炭化珪素半導体基体とする。
【0034】
炭化珪素半導体基体のおもて面側には、MOSゲート(金属−酸化膜−半導体からなる絶縁ゲート)構造(素子構造)が形成されている。具体的には、n型炭化珪素エピタキシャル層2のn
+型炭化珪素基板1に対して反対側(炭化珪素半導体基体のおもて面側)の表面層には、pベース層として機能するp
+型領域(第2導電型半導体領域)10が選択的に設けられている。p
+型領域10は、例えばアルミニウム(Al)がドーピングされている。
【0035】
n型炭化珪素エピタキシャル層2およびp
+型領域10の表面には、p型炭化珪素エピタキシャル層(第2導電型のワイドバンドギャップ半導体層)11が堆積されている。p型炭化珪素エピタキシャル層11は、活性領域から、耐圧構造部(不図示)へ延在し、耐圧構造部上部にも堆積されている。p型炭化珪素エピタキシャル層11は、例えばアルミニウムがドーピングされている。
【0036】
また、p型炭化珪素エピタキシャル層11の、n型炭化珪素エピタキシャル層2上の部分には、深さ方向にp型炭化珪素エピタキシャル層11を貫通しn型炭化珪素エピタキシャル層2に達するn型ウェル領域(第1の第1導電型領域)12が設けられている。n型ウェル領域12は、n型炭化珪素エピタキシャル層2とともにドリフト領域を構成する。
【0037】
p型炭化珪素エピタキシャル層11の内部の、深さ方向にp
+型領域10に対向する部分に、n型ウェル領域12と離して、n
+型ソース領域(第2の第1導電型領域)4が選択的に設けられている。また、p型炭化珪素エピタキシャル層11内のn
+型ソース領域4の間にp
++型コンタクト領域5が選択的に設けられている。
【0038】
p型炭化珪素エピタキシャル層11の、n
+型ソース領域4とn型ウェル領域12とに挟まれた部分の表面には、ゲート絶縁膜6を介してゲート電極7が設けられている。ゲート電極7は、ゲート絶縁膜6を介して、n型ウェル領域12の表面に設けられていてもよい。
【0039】
層間絶縁膜14は、炭化珪素半導体基体のおもて面側に、ゲート電極7を覆うように設けられている。ソース電極8は、層間絶縁膜14に開口されたコンタクトホールを介して、n
+型ソース領域4およびp
++型コンタクト領域5に接し、n
+型ソース領域4およびp
++型コンタクト領域5と電気的に接続される。
【0040】
ソース電極8は、層間絶縁膜14によって、ゲート電極7と電気的に絶縁されている。ソース電極8上には、選択的に例えばポリイミドからなるパッシベーション膜などの保護膜15が設けられている。
【0041】
保護膜15が設けられていないソース電極8上にめっき膜16が設けられる。保護膜15は、半導体装置のおもて面を保護する機能を有する。また、保護膜15は、めっき膜16を形成する際、めっき膜16のめっきが所定箇所に流れ出ないようにする機能を有する。ここで、所定箇所とは、後で説明される応力緩和領域100より外の領域である。また、保護膜15は、活性領域の周囲を囲むエッジ終端構造部(不図示)を保護する機能を有する。また、保護膜15は、放電防止の機能を有する。また、炭化珪素半導体基体の裏面には、ドレイン電極9が設けられている。ここで、活性領域とは、半導体装置がオン状態のときに電流が流れる領域である。また、エッジ終端構造部とは、活性領域の周囲を囲むように設けられ、ドリフト層の基板おもて面側の電界を緩和し耐圧を保持する領域である。
【0042】
めっき膜16の幅wは、例えば、10μm以上であることが好ましい。めっき膜16は、ピン状電極18を立てる領域であるため、ワイヤボンディングでボンディングワイヤを接合する領域より小さい幅となる。ここで、めっき膜16の幅wとは、n
+型炭化珪素基板1の表面と平行な方向のめっき膜16の幅である。具体的には、めっき膜16の幅wは、めっき膜16と保護膜15とソース電極8がお互いに接する3重点部分間のめっき膜16の長さである。なお、めっき膜16の下部の領域は、半田接合時や半導体装置のスイッチング時に集中する応力を緩和するための領域であるため、これ以降、応力緩和領域100と称する。ここで、めっき膜16の下部とは、めっき膜16からn
+型炭化珪素基板1に向かう方向を下とする場合のめっき膜16より下にある部分である。
【0043】
この応力緩和領域100では、n型炭化珪素エピタキシャル層2の表面にp
+型領域10が設けられ、p
+型領域10上のp型炭化珪素エピタキシャル層11内にp
++型コンタクト領域5のみが設けられている。言い換えれば、応力緩和領域100では、n
+型ソース領域4とn型ウェル領域12が設けられていなく、ゲート電極7も設けられていない。このため、応力緩和領域100では、ソース電極8がゲート電極7を覆うことがなくなり、ソース電極8の段差21(
図2または
図5参照)が存在しなくなる。このため、保護膜15とめっき膜16の境界が、応力緩和領域100のソース電極8の平坦面上に載っている。
【0044】
また、応力緩和領域100では、n
+型ソース領域4とn型ウェル領域12が設けられていないため、チャネルが形成されずドリフト電流が流れることがなくなる。このように、応力緩和領域100は、半導体装置として機能しない無効領域となる。しかしながら、応力緩和領域100は、ピン状電極18のコンタクト領域である。ピン状電極18を立てるための領域は、ワイヤボンディングでボンディングワイヤを接合するための領域より少ない面積であるため、無効領域となる応力緩和領域100は、ボンディングワイヤを接合するための領域より少ない面積である。また、半導体装置のチップサイズが大きくなるほどめっき領域は大きくなり、ソース電極8の段差21に集中して掛かる応力は大きくなる。このため、本発明は半導体装置のチップサイズが大きいほど効果がある。
【0045】
また、めっき膜16と保護膜15が接する部分を選択的に覆うように第2の保護膜17が設けられる。第2の保護膜17は、めっき膜16と保護膜15との隙間を覆い、例えば半田19などが基体側へ侵入することを防止する機能を有する。第2の保護膜17は、半田19を形成する際のマスクとして機能する。また、第2の保護膜17は、保護膜15の全面を覆ってもよい。また、めっき膜16部分に半田19を介して接続されたピン状電極18が設けられる。ピン状電極18は、ソース電極8の電位を外部に取り出す配線材である。ピン状電極18は、針状の形状を有し、ソース電極8に直立した状態で接合される。
【0046】
(実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法)
次に、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法について、例えば、1200Vの耐圧クラスのMOSFETを作成する場合を例に説明する。まず、例えば2×10
19cm
-3程度の不純物濃度で窒素がドーピングされたn
+型炭化珪素基板1を用意する。n
+型炭化珪素基板1は、主面が例えば、<11−20>方向に4度程度のオフ角を有する(000−1)面であってもよい。
【0047】
次に、n
+型炭化珪素基板1の(000−1)面上に、1.0×10
16cm
-3の不純物濃度で窒素がドーピングされた厚さ10μmのn型炭化珪素エピタキシャル層2をエピタキシャル成長させる。
【0048】
次に、n型炭化珪素エピタキシャル層2の表面上に、フォトリソグラフィ技術によって所望の開口部を有するマスクを、例えばレジストで形成する。ここで、後に形成されるめっき膜16の下部の応力緩和領域100に開口部を有するマスクを利用する。そして、このレジストマスクをマスクとしてイオン注入法によってp型の不純物、例えばアルミニウム原子をイオン注入する。それによって、n型炭化珪素エピタキシャル層2の表面領域の一部に、p
+型領域10が形成される。次に、p
+型領域10を形成するためのイオン注入時に用いたマスクを除去する。
【0049】
次に、n型炭化珪素エピタキシャル層2の表面に、p型炭化珪素エピタキシャル層11を、例えば0.5μmの厚さでエピタキシャル成長させる。このとき、例えば、p型炭化珪素エピタキシャル層11の不純物濃度が2.0×10
16cm
-3となるようにアルミニウムをドーピングさせてエピタキシャル成長させてもよい。
【0050】
次に、p型炭化珪素エピタキシャル層11の表面上に、フォトリソグラフィ技術によって所望の開口部を有するマスクを、例えばレジストで形成する。ここで、後に形成されるめっき膜16の下部の応力緩和領域100に開口部を有しないマスクを利用する。そして、このレジストマスクをマスクとしてイオン注入法によってn型の不純物、例えば窒素をイオン注入する。それによって、p型炭化珪素エピタキシャル層11の表面領域の一部に、n
+型ソース領域4が形成される。次に、n
+型ソース領域4を形成するためのイオン注入時に用いたマスクを除去する。
【0051】
次に、p型炭化珪素エピタキシャル層11の表面上に、フォトリソグラフィ技術によって所望の開口部を有するマスクを、例えばレジストで形成する。ここで、後に形成されるめっき膜16の下部の応力緩和領域100に開口部を有するマスクを利用する。そして、このレジストマスクをマスクとしてイオン注入法によってp型の不純物、例えばアルミニウムをイオン注入する。それによって、p型炭化珪素エピタキシャル層11の表面領域の一部に、p
++型コンタクト領域5が形成される。次に、p
++型コンタクト領域5を形成するためのイオン注入時に用いたマスクを除去する。
【0052】
次に、p型炭化珪素エピタキシャル層11の表面上に、フォトリソグラフィ技術によって所望の開口部を有するマスクを、例えばレジストで形成する。ここで、後に形成されるめっき膜16の下部の応力緩和領域100に開口部を有しないマスクを利用する。そして、このレジストマスクをマスクとしてイオン注入法によってn型の不純物、例えば窒素をイオン注入する。それによって、p型炭化珪素エピタキシャル層11の表面領域の一部に、n型ウェル領域12が形成される。次に、n型ウェル領域12を形成するためのイオン注入時に用いたマスクを除去する。
【0053】
次に、n
+型ソース領域4、p
++型コンタクト領域5およびn型ウェル領域12を活性化させるための熱処理(アニール)を行う。このときの熱処理温度および熱処理時間は、それぞれ1620℃および2分間であってもよい。
【0054】
n
+型ソース領域4、p
++型コンタクト領域5およびn型ウェル領域12を形成する順序は種々変更可能である。
【0055】
次に、炭化珪素半導体基体のおもて面側を熱酸化し、ゲート絶縁膜6を100nmの厚さで形成する。この熱酸化は、酸素(O
2)と水素(H
2)の混合雰囲気中において1000℃程度の温度の熱処理によって行ってもよい。これにより、p型炭化珪素エピタキシャル層11およびn型炭化珪素エピタキシャル層2の表面に形成された各領域がゲート絶縁膜6で覆われる。
【0056】
次に、ゲート絶縁膜6上に、ゲート電極7として、例えばリン(P)がドープされた多結晶シリコン層を形成する。次に、多結晶シリコン層をパターニングして選択的に除去し、p型炭化珪素エピタキシャル層11のn
+型ソース領域4とn型ウェル領域12に挟まれた部分上に多結晶シリコン層を残す。このとき、n型ウェル領域12上に多結晶シリコン層を残してもよい。
【0057】
次に、ゲート電極7を覆うように、層間絶縁膜14として、例えば、リンガラス(PSG:Phospho Silicate Glass)を1.0μmの厚さで成膜する。次に、層間絶縁膜14およびゲート絶縁膜6をパターニングして選択的に除去する。例えば、n
+型ソース領域4およびp
++型コンタクト領域5上の層間絶縁膜14およびゲート絶縁膜6を除去することによって、コンタクトホールを形成し、n
+型ソース領域4およびp
++型コンタクト領域5を露出させる。また、コンタクトホールを形成する際、同時に応力緩和領域100の層間絶縁膜14およびゲート絶縁膜6も除去してp
++型コンタクト領域5を露出させる。次に、層間絶縁膜14の平担化を行うために熱処理(リフロー)を行う。
【0058】
次に、スパッタによりソース電極8を成膜し、フォトリソグラフィおよびエッチングによりソース電極8をパターニングする。このとき、コンタクトホール内にソース電極8を埋め込み、n
+型ソース領域4およびp
++型コンタクト領域5とソース電極8とを接触させる。応力緩和領域100では、ゲート電極7が形成されていないため、ソース電極8の段差21は生じない。ソース電極8の層間絶縁膜14の部分の厚さは、例えば5μmであってもよい。ソース電極8は、例えば、1%の割合でシリコンを含んだアルミニウム(Al−Si)で形成してもよい。
【0059】
次に、n
+型炭化珪素基板1の表面(炭化珪素半導体基体の裏面)に、ドレイン電極9として、例えばニッケル膜を成膜する。そして、例えば970℃の温度で熱処理し、n
+型炭化珪素基板1とドレイン電極9とのオーミック接合を形成する。
【0060】
次に、ニッケル膜の表面に、ドレイン電極9として例えばチタン(Ti)、ニッケル(Ni)および金(Au)をこの順に成膜する。次に、炭化珪素半導体基体のおもて面側の、ソース電極8上に選択的にポリイミドからなるパッシベーション膜などの保護膜15を形成する。
【0061】
次に、保護膜15をマスクとして用いて、ソース電極8上の保護膜15がない部分に、選択的にめっき膜16を形成する。これにより、めっき膜16は、めっきが所定箇所に流れることなくソース電極8上に形成される。ここで、所定箇所とは、応力緩和領域100より外の領域である。次に、例えば、イミド結合を含む高分子樹脂であるポリイミド膜等を用いて、めっき膜16と保護膜15とが隣接する部分を覆うように第2の保護膜17を選択的に形成する。
【0062】
次に、保護膜15および第2の保護膜17を半田付け時のマスクとして用いて、めっき膜16に半田19を介して接続されたピン状電極18を形成する。これにより、
図1に示したMOSFETが完成する。
【0063】
以上、説明したように、実施の形態1によれば、ソース電極の上部に設けられためっき膜の幅を10μm以上とし、めっき膜の下部には、第2の第1導電型領域および第1の第1導電型領域が設けられず、p
++型コンタクト領域のみが設けられる。これにより、めっき膜と保護膜とソース電極がお互いに接する3重点部分の直下には、ゲート電極が存在しなくなるため、ソース電極の段差部が存在しない。このため、ピン状電極の半田接合時や半導体装置のスイッチング時に、応力が集中する部分が存在しないため、亀裂が発生せず、また、応力によって微小電流のしきい値電圧が変動せず、半導体装置の信頼性が低下することを抑制できる。ここで、微小電流とは、ドレイン−ソース間電圧を0から増加させ、ドレイン−ソース間電圧に比例してドレイン電流が増加する線形領域の状態で、ドレイン電流が小さいときの電流である。
【0064】
また、3重点部分の直下には、p
++型コンタクト領域のみが設けられ、チャネルが形成されないため、応力が集中して亀裂が発生しても、微小電流のしきい値電圧が変動しない。また、チャネルが形成されないため、応力が集中しても、応力によって微小電流のしきい値電圧が変動しない。このため、半導体装置の信頼性が低下することを抑制できる。
【0065】
(実施の形態2)
図2は、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の構成を示す断面図である。実施の形態2にかかる半導体装置が実施の形態1にかかる半導体装置と異なるのは、応力緩和領域100に、p
++型コンタクト領域5とソース電極8との間に、絶縁膜13と層間絶縁膜14とが絶縁膜13、層間絶縁膜14の順で設けられていることである。
【0066】
絶縁膜13と層間絶縁膜14とを設けることで、ソース電極8の段差21を2μm以内(好ましくはほぼゼロ)にして、ソース電極8の表面全体の平坦化を図る。例えば、絶縁膜13と層間絶縁膜14の厚さの和を2μm以内とすることで、ソース電極8の段差21を2μm以内とすることができる。
【0067】
また、
図2では、絶縁膜13と層間絶縁膜14とが設けられているが、層間絶縁膜14のみが設けられていてもよい。この場合、層間絶縁膜14の厚さを2μm以内とすることで、ソース電極8の段差21を2μm以内とすることができる。このように、絶縁膜13と層間絶縁膜14の厚さの和を2μm以内、または、層間絶縁膜14の厚さを2μm以内とすることで、保護膜15とめっき膜16の境界が、応力緩和領域100のソース電極8の平坦面上に載っている。
【0068】
(実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法)
次に、実施の形態2にかかる半導体装置の製造方法について説明する。まず、実施の形態1と同様に、n型炭化珪素エピタキシャル層2を形成する工程から、層間絶縁膜14を成膜する工程までを順に行う。ここで、炭化珪素半導体基体のおもて面側を熱酸化し形成されたゲート絶縁膜6のうち、応力緩和領域100に存在する膜が絶縁膜13となる。
【0069】
次に、層間絶縁膜14およびゲート絶縁膜6をパターニングして選択的に除去することによって、コンタクトホールを形成し、n
+型ソース領域4およびp
++型コンタクト領域5を露出させる。この際、応力緩和領域100の層間絶縁膜14およびゲート絶縁膜6をパターニングして除去しない。
【0070】
その後、実施の形態1と同様に、熱処理(リフロー)を行う工程以降の工程を順に行うことで、
図2に示したMOSFETが完成する。
【0071】
以上、説明したように、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法によれば、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法と同様の効果を得ることができる。
【0072】
また、実施の形態2にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法によれば、絶縁膜と層間絶縁膜とを設けることで、ソース電極の段差を2μm以下とすることができる。ソース電極の段差が小さいため、ソース電極の段差に集中する応力が小さくなる。このため、亀裂が発生せず、応力によって微小電流のしきい値電圧が変動せず、半導体装置の信頼性が低下することを抑制できる。
【0073】
(実施の形態3)
図3は、実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の構成を示す断面図である。実施の形態3にかかる半導体装置が実施の形態2にかかる半導体装置と異なるのは、層間絶縁膜14を覆う窒化膜20(Si
3N
4)が設けられていることである。
【0074】
窒化膜20は、保護膜15に使用されるポリイミドより吸水性が低い保護膜であり、窒化膜20で、層間絶縁膜14を覆うことにより、ゲート絶縁膜付近への水の侵入を防ぐことができる。
【0075】
(実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法)
次に、実施の形態3にかかる半導体装置の製造方法について説明する。まず、実施の形態2と同様に、n型炭化珪素エピタキシャル層2を形成する工程から、層間絶縁膜14の平担化を行うために熱処理(リフロー)を行う工程までを順に行う。
【0076】
次に、ゲート電極6を覆っている層間絶縁膜14を覆うように、窒化膜20を成膜する。この際、応力緩和領域100には、ゲート電極7が存在しないため、応力緩和領域100の層間絶縁膜14を窒化膜20で覆わなくてもよい。
【0077】
その後、実施の形態2と同様に、ソース電極8を成膜する工程以降の工程を順に行うことで、
図3に示したMOSFETが完成する。
【0078】
以上、説明したように、実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法によれば、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法と同様の効果を得ることができる。
【0079】
また、実施の形態3にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法によれば、窒化膜は、ポリイミドからなる保護膜よりも、吸水性が低いため、層間絶縁膜上に窒化膜を設けることにより、ゲート絶縁膜付近への水の侵入を抑制することができる。このため、半導体装置の特性が劣化し、信頼性が低下することを抑制できる。
【0080】
また、実施の形態3では、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の層間絶縁膜14を窒化膜20で覆っているが、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の層間絶縁膜14を窒化膜20で覆うこともできる。この場合、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法と同様の効果を得ることができる。
【0081】
(実施の形態4)
図4は、実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置の構成を示す断面図である。実施の形態4にかかる半導体装置が実施の形態2にかかる半導体装置と異なるのは、ソース電極8を覆う窒化膜20が選択的に設けられていることである。
【0082】
アルミニウムを含むため腐食しやすいソース電極8を窒化膜20で覆うことにより、ゲート絶縁膜6付近への水の侵入を防ぐことができる。また、めっき膜16はアルミニウムより腐食しにくいため、めっき膜16で覆われているソース電極8の部分は、窒化膜20で覆わなくてもよい。
【0083】
(実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法)
次に、実施の形態4にかかる半導体装置の製造方法について説明する。まず、実施の形態2と同様に、n型炭化珪素エピタキシャル層2を形成する工程から、ソース電極8を成膜する工程までを順に行う。
【0084】
次に、炭化珪素半導体基体のおもて面側の、ソース電極8上に選択的に窒化膜20を形成し、窒化膜20上に選択的に保護膜15を形成する。窒化膜20は、保護膜15からはみ出て、めっき膜16と接するように形成する。
【0085】
その後、実施の形態2と同様に、ドレイン電極9を成膜する工程を行い、その後、第2の保護膜17を選択的に形成する工程以降の工程を順に行うことで、
図4に示したMOSFETが完成する。
【0086】
以上、説明したように、実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法によれば、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法と同様の効果を得ることができる。
【0087】
また、実施の形態4にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法によれば、ソース電極上に部分的に窒化膜を設けることにより、ソース電極からゲート絶縁膜付近への水の侵入を抑制することができる。このため、半導体装置の特性が劣化し、信頼性が低下することを抑制できる。
【0088】
また、実施の形態4では、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置のソース電極を窒化膜で覆っているが、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置のソース電極を窒化膜で覆うこともできる。この場合、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法と同様の効果を得ることができる。
【0089】
また、本発明の実施の形態では、MOSFETを例に説明したが、これに限らず、IGBTなどのMOS型半導体装置や、ソース電極の段差により素子構造に応力集中が生じる構成の半導体装置など様々な構成の半導体装置に適用可能である。また、上述した各実施の形態では、ワイドバンドギャップ半導体として炭化珪素を用いた場合を例に説明したが、窒化ガリウム(GaN)など炭化珪素以外のワイドバンドギャップ半導体を用いた場合においても同様の効果が得られる。また、各実施の形態では第1導電型をn型とし、第2導電型をp型としたが、本発明は第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としても同様に成り立つ。