(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持部材は、前記挿入孔の内周面によって支持される第1部分と、前記深さ方向の奥側で前記第1部分に隣接し、前記キャップが前記筐体に装着されたときに前記突起によって押圧される第2部分と、を含み、
前記保持部材は、前記突起が前記第1部分に沿って移動する間に前記突起に加わる圧力の最大値が、前記突起が前記第2部分に沿って移動する間に前記突起に加わる圧力の最大値よりも大きくなるように形成される、請求項1または2に記載の電子機器。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話端末やスマートフォン等の電子機器の防水性能に対する使用者の要求が高まっている。
図1Aは、関連技術の電子機器Eを示す斜視図である。
図1Aに示すように、電子機器Eは、筐体Hの長手方向の側壁部H1に形成された挿入孔H2を有しており、挿入孔H2の内側には、外部機器の接続プラグと結合可能なコネクタ(不図示)が設置されている。また、電子機器Eは、筐体Hの挿入孔H2を水密に塞ぐように形成された着脱可能なキャップCPを有している。
図1Aでは、筐体Hの長手方向及び幅方向をそれぞれ矢印A11及び矢印A12で表しており、筐体Hの長手方向及び幅方向の両方に垂直な高さ方向を矢印A13で表している(他の図面においても同様である)。
【0003】
図1Bは、
図1Aと同様の斜視図であり、キャップCPが筐体Hに装着された状態、すなわち、挿入孔H2がキャップCPで塞がれた状態を示している。キャップCPによる挿入孔H2の防水構造は、例えば、弾性材料で形成された環状のパッキンPAをキャップCPの所定箇所に取り付けるか、又は上記のパッキンPAをキャップCPと一体に形成することによって実現されている(
図1Aを参照)。筐体H及びキャップCPは、樹脂材料又は金属材料で作られており、パッキンPAは、筐体H及びキャップCPよりも硬度が小さい弾性材料で作られている。パッキンPAは、例えば、シリコンゴム又はニトリルゴム等のエラストマーで作られている。キャップCPが筐体Hに装着されると、環状のパッキンPAが挿入孔H2の内周面に密着することによってキャップCPと挿入孔H2の内周面との間を密閉するようになる。
【0004】
図2A〜
図2Cは、キャップCPを筐体Hに装着する動作を時系列で示す概略図である。この動作を以下では単にキャップCPの装着動作と称している。
図2A〜
図2Cは、
図1A中の矢印A12で表される筐体Hの幅方向に垂直な断面を示している。
図2Aは、装着動作が開始される前の電子機器Eを示しており、
図2Cは、装着動作が完了した後の電子機器Eを示している。また、
図2Bは、装着動作の途中の電子機器Eを示している。
図2A〜
図2Cに示す装着動作では、使用者が矢印A20で表される挿入孔H2の深さ方向にキャップCPを押し込むことによってキャップCPを筐体Hの所定位置に装着している。挿入孔H2の深さ方向は、
図1A中の矢印A11で表される筐体Hの長手方向と平行である。
図2A〜
図2Cに示すように、挿入孔H2は筐体Hの内側に設けられた筒状部H3によって形成されており、挿入孔H3の深さ方向の奥側に位置する筒状部H3の端部には、筒状部H3の内周面から内向きに突出する環状のリブH4が設けられている。環状のリブH4の内側には、コネクタCNが挿通されている。
【0005】
図2A〜
図2Cに示すように、キャップCPは、挿入孔H2の入口部分を覆うように形成された蓋部CP1と、蓋部CP1の底面から突出した筒状の挿入部CP2と、を含んでいる。上記のパッキンPAは挿入部CP2の外周面に取り付けられている。特に、上記のパッキンPAは、挿入部CP2の外周面に設けられた環状溝CP3に係止されている。
図2Aに示す状態では、キャップCPの全体が挿入孔H2の外側に位置している。続いて、
図2Bに示す状態では、挿入部CP2の先端部分のみが挿入孔H2の内側に位置している。特に、
図2Bの状態では、キャップCPのパッキンPAが挿入孔H2の内周面Iに接触している。続いて、
図2Cに示す状態では、挿入部CP2の大部分が挿入孔H2の内側に挿入されている。
図2Cに示すキャップCPの位置を以下ではキャップCPの装着位置と称することがある。
【0006】
ここで、
図2Bから
図2Cに遷移する間に、キャップCPのパッキンPAは、挿入孔H2の内周面Iによって圧縮された状態で挿入孔H2の深さ方向に押し込まれている。そのため、
図2Cに示す状態では、キャップCPの全体がパッキンPAの弾性力によって挿入孔H2の深さ方向の反対向きに押圧されている。この押圧作用が原因でキャップCPが装着位置から離脱するのを防止するために、電子機器EはパッキンPAの弾性力に対抗してキャップCPを装着位置に保持する外れ防止構造を有している。この外れ防止構造について
図3A及び
図3Bを参照して説明する。
【0007】
図3Aは、
図1Aに対応する電子機器Eの断面図であり、
図3Bは、
図1Bに対応する電子機器Eの断面図である。つまり、
図3Aは、キャップCPが筐体Hから取り外された状態を示しており、
図3Bは、キャップCPが筐体Hに装着された状態を示している。
図3A及び
図3Bは、
図1A中の矢印A13で表される筐体Hの高さ方向に垂直な断面を示している。
図3A及び
図3Bに示すように、キャップCPは、蓋部CP1の底面から突出した長い棒状の連結部CP0を有しており、この連結部CP0を介して筐体Hに移動可能に取り付けられている。
【0008】
図3A及び
図3Bに示すように、キャップCPは、蓋部CP1の底面の連結部CP0とは別の箇所から突出した短い棒状の保持部CP4をさらに有している。保持部CP4の突出方向の先端には、上述したパッキンPAの復元力に対抗してキャップCPを装着位置に保持するためのツメ構造部CP5が設けられている。つまり、
図3Bに示す装着位置では、保持部CP4のツメ構造部CP5が筐体H側の係合受け部H5と係合することによって、キャップCPが挿入方向の反対向きに移動するのを阻止している。
【0009】
ところが、本例の電子機器Eによると、上記のツメ構造部CP5が原因でキャップCPが大型化するとともに、キャップCPのデザイン自由度が低下するおそれがある。同時に、上記のツメ構造部CP5が原因でキャップCPの金型構造が複雑化するので、キャップCP全体の製造コストが上昇してしまう。また、キャップCPの防水性能及び外観品位と、キャップCPの着脱の操作性とを両立するためには、キャップCP側のツメ構造部CP5及び筐体H側の係合受け部H5の寸法及び形状の公差を微小な値に設定しなければならない。このような微小な公差は量産時の品質安定性を低下させるおそれがある。なお、上記の外観品位とは、例えば、キャップCPの蓋部CP1が筐体Hの側壁部H1の外側に浮き上がらない状態を意味する。さらに、キャップCP側のツメ構造部CP5又は筐体H側の係合受け部H5が摩耗すると保持部CP4によるキャップCPの保持機能が低下するので、キャップCP全体の耐久性不足を引き起こすおそれがある。
【0010】
図4は、
図2A〜
図2Cと同様の概略図であり、キャップCPの取り外し後に、外部機器の接続プラグPLが挿入孔H2内のコネクタCNに結合された状態を示している。一般に、コネクタCNへの接続プラグPLの結合中又は結合後には、接続プラグPLの軸線R周りの捩り力が使用者の指先から接続プラグPLに加わることがある。このような捩り力が接続プラグPL及びコネクタCNに加わると、コネクタCNが筐体Hの内部構造(例えばリブH4)に突き当たるおそれがある。その結果、コネクタCNの端子(不図示)を内蔵する本体CN1が破損したり、端子のハンダ接続部CN3が基板CN2から剥離したりするおそれがある。同様に、電子機器Eが落下等により外部から衝撃を受けると、筐体Hの内部構造(例えばリブH4)がコネクタCNに突き当たることによって上記の破損や剥離等を引き起こすおそれがある。また、上記の破損や剥離等を回避するためにコネクタCNと筐体HのリブH4との間の隙間を大きくした場合には、その隙間を通って粉塵や水滴等の異物が筐体Hの内側に容易に侵入するので、電子機器Eの故障が生じやすくなる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本出願に係る電子機器の実施の形態を、具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。以下に説明する実施例では、本出願に係る電子機器として、携帯電話端末、スマートフォン、又はウェアラブル端末のような小型かつ携帯式の電子機器を例示している。ただし、本出願に係る電子機器は、タブレット端末又はモバイルPCのような中型ないし大型の電子機器であってもよいし、デスクトップPC又はサーバ等のような非携帯式の電子機器であってもよい。
【0017】
先ず、本出願の第1実施例の電子機器1について説明する。
図5Aは、第1実施例の電子機器1の斜視図である。
図5Aのように、電子機器1は、角部が丸く面取りされた薄い直方体形状を有する筐体10と、筐体10の長手方向の側壁部11に着脱自在に装着されたキャップ2と、を有している。
図5Aでは、筐体10の長手方向及び幅方向をそれぞれ矢印A51及び矢印A52で表しており、筐体10の長手方向及び幅方向の両方に垂直な高さ方向を矢印A53で表している(他の図面においても同様である)。
図5Aのように、筐体10の側壁部11には、電子機器1と外部機器の電気的接続のための挿入孔12が設けられている。挿入孔12は、筐体10の長手方向に沿って筐体10の内側に延びている。以下では、挿入孔12の深さ方向を単に深さ方向と称することがある。
【0018】
本実施例の電子機器1において、キャップ2は、筐体10の側壁部11に装着されることによって筐体10の挿入孔12を塞ぐように形成されている。
図5Aに示すように、キャップ2は棒状の連結部20を介して筐体10の側壁部11に移動可能に取り付けられている。連結部20の一方の端部は筐体10に対向するキャップ2の面に固定されており、筐体10の内側には連結部20が挿通される筒状の案内部材(不図示)が設置されている。
図5Aに示す状態では、キャップ2が深さ方向に押されると、連結部20が案内部材によって案内されて筐体10の内側に格納される。これによりキャップ2が筐体10の側壁部11に装着される。
図5Bは、
図5Aと同様の斜視図であり、キャップ2が筐体10に装着された状態の電子機器1を示している。
【0019】
図6は、
図5Aに示される筐体10の部分拡大図である。特に、
図6は、筐体10の側壁部11における挿入孔12の入口部分を斜め上方から見た図である。便宜上、
図6ではキャップ2を省略している。
図6に示すように、筐体10の挿入孔12の内側には、外部機器の接続プラグ(不図示)と結合可能なコネクタ4が配置されている。上記の外部機器には、筐体10に内蔵された二次電池を充電するための充電器、及び筐体10に内蔵されたメモリに対してデータを送受信可能なストレージ装置等が含まれる。上記のコネクタ4に加えて、或いは上記のコネクタ4の代わりに、メモリカード又はSIMカードのような小型(特に薄型)のデバイスが直接接続されるスロットが挿入孔12の内側に配置されていてもよい。
【0020】
図6に示すように、本実施例の電子機器1は、挿入孔12の内側に取り付けられた筒状の保持部材3を有している。本実施例の電子機器1において、保持部材3は、キャップ2と協働して挿入孔12における筐体10の防水性を確保する機能、及びキャップ2を筐体10の所定の位置に保持する機能を有している。保持部材3は、キャップ2よりも硬度が小さい弾性材料で作られており、例えば、シリコンゴム又はニトリルゴム等のエラストマーで作られている。保持部材3は筐体10と一体に形成されてもよいし、筐体10とは別に形成されてもよい。後者の場合には、例えば、保持部材3の外周面の一部が挿入孔12の内周面に接着されることによって、保持部材3が筐体10内に固定される。保持部材3の構造については
図8A〜
図8C等を参照してさらに後述する。
【0021】
図5Aを参照すると、キャップ2は、挿入孔12の入口部分を覆うように形成された蓋部21と、挿入孔12に対向する蓋部21の底面から隆起した挿入部22と、を有している。キャップ2の挿入部22は、キャップ2が筐体10に装着されたときに筒状の保持部材3の内側に挿入されるようになっている。そのため、キャップ2の挿入部22は、キャップ2が筐体10に装着されたときに保持部材3の内周面に対向する外周面を有している。
図7Aは、
図5Aに示されるキャップ2の斜視図である。また、
図7Bは、
図7Aに示されるキャップ2の正面図である。
図7A及び
図7Bに示すように、キャップ2は、挿入部22の外周面22eに形成された突起23をさらに有している。
【0022】
本実施例の電子機器1において、キャップ2の突起23は、挿入部22が保持部材3の内側に挿入されたときに保持部材3の内周面を押圧するように形成されている。
図7Aに示すように、キャップ2の突起23は、挿入部22の外周面22eの周方向に延在する環状突起の形態を有している。これにより突起23の先端23tを周方向の全長にわたって保持部材3の内周面に密着させることができるので、キャップ2と保持部材3との間の密閉構造(特に、防水構造)を実現することができる。キャップ2の蓋部21、挿入部22、及び突起23は、種々の樹脂材料の一体成型によって形成することができる。キャップ2は、例えば、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリアセタール等の樹脂材料、又は金属材料で形成されている。なお、キャップ2の連結部20は他の部分と一体に形成されてもよいし、他の部分とは別に形成されてもよい。後者の場合、連結部20は挿入部22に設けられた取り付け穴に嵌め込まれる。
【0023】
図8A〜
図8Cは、本実施例の電子機器1のキャップ2を筐体10に装着する動作を時系列で示す概略図である。特に、
図8A〜
図8Cは、キャップ2が使用者の指先等で押されることにより深さ方向に沿って移動する間のキャップ2と筐体10内の保持部材3との間の位置関係を示している。
図8A〜
図8Cは、
図5A中の矢印A52で表される筐体10の幅方向に垂直な断面を示している。
図8A〜
図8Cに示すように、保持部材3は、筐体10の挿入孔12の内周面12iによって支持される第1部分31と、深さ方向の奥側で第1部分31に隣接する第2部分32と、を含んでいる。保持部材3の第2部分32は、第1部分31の内周面31iと連続した内周面32iを形成し、かつ第1部分31よりも小さい肉厚を有している。また、第1部分31の外周面31eが挿入孔12の内周面12iに密着する一方で、第2部分32の外周面32eは筐体10の内面10iから離間している。つまり、第2部分32の外周面32eと筐体10の内面10iとの間には、環状の空隙13が設けられている。
【0024】
図8A〜
図8Cのように、保持部材3は、深さ方向の奥側で第2部分32に隣接する第3部分33をさらに有している。第3部分33は、深さ方向における保持部材3の最深部分である。第3部分33は、第2部分32の外周面32eと連続した外周面33eを形成し、かつ第2部分32よりも大きい肉厚を有している。
図8A〜
図8Cに示すように、上述した外部機器との接続用のコネクタ4は、外部機器の接続プラグと結合される本体41と、本体41を支持する基板42と、を含んでいる。コネクタ4の本体41は端子(不図示)を内蔵しており、本体41内の端子はハンダ接続部43によって基板42と電気的に接続されている。コネクタ4の基板42は、筐体10内の不図示の箇所で筐体10に対して固定されている。
図8A〜
図8Cに示すように、コネクタ4は保持部材3の内側に部分的に配置されている。
【0025】
図8Aを参照すると、深さ方向に垂直な挿入部22の外寸は第1部分31及び第2部分32の内寸よりも小さいが、深さ方向に垂直な突起23の外寸は第1部分31及び第2部分32の内寸よりも大きい。そのため、挿入部22が保持部材3の内側に挿入されると、突起23の先端23tが保持部材3の内周面を外向きに押圧するようになる(
図8B及び
図8Cを参照)。
図8Aに示す状態では、キャップ2の全体が挿入孔12及び保持部材3の外側に位置している。続いて、
図8Bに示す状態では、挿入部22の先端部分のみが保持部材3の内側に挿入されており、突起23の先端23tが第1部分31の内周面31iを外向きに押圧している。上述した通り、保持部材3はキャップ2よりも硬度が小さい弾性材料で作られているので、突起23の先端は第1部分31の内周面31iにめり込んでいる。その結果、第1部分31が挿入孔12の内周面12iと突起23との間で圧縮されるので、保持部材3は比較的大きい弾性力を発生させる。保持部材3の弾性力については
図10Aを参照して後述する。
【0026】
続いて、
図8Cに示す状態では、挿入部22の大部分が保持部材3の内側に挿入されており、突起23の先端23tが第2部分32の内周面32iを外向きに押圧している。そのため、
図8Cに示す状態では、第2部分32の内周面32iの被押圧部が外向きに移動することによって外周面32eの対応する箇所に隆起部32bを形成している。そして、第2部分32の外周面32eの隆起部32bは、外周面32eの外側に設けられた上記の空隙13に収容されている。このように、
図8Cに示す状態では、第2部分32が突起23の押圧力によって圧縮されることはないので、保持部材3は比較的小さい弾性力を発生させるにすぎない。なお、
図8Cに示す状態では、保持部材3が突起23と協働してキャップ2を筐体10に対して安定的に保持している。
図8Cに示すキャップ2の位置を以下ではキャップ2の装着位置と称することがある。キャップ2の装着位置は、突起23の先端23tが第2部分32の内周面32iに接触する範囲内で使用者が任意に設定することができる。保持部材3がキャップ2を装着位置に保持する原理については
図10Aを参照して後述する。
【0027】
図9は、
図8A〜
図8Cと同様の概略図であり、キャップ2を筐体10から取り外した後に、外部機器の接続プラグPLを筐体10内のコネクタ4に結合した状態を示している。
図9に示すように、筒状の保持部材3の第3部分33は、コネクタ4の外周面に近接した内周面33iを有している。
図4を参照して説明した通り、接続プラグPLとコネクタ4の結合中及び結合後には、接続プラグPLの軸線R周りの捩り力がプラグPL及びコネクタ4に作用することがある。ところが、第3部分33は保持部材3の他の部分と同様にエラストマー等の軟質材料で形成されているので、上記の捩り力が原因でコネクタ4が第3部分33の内周面33iに接触しても、コネクタ4が内周面33iから受ける衝撃によって破損する可能性は低い。
【0028】
図10Aは、本実施例の電子機器1における、キャップ2の深さ方向の位置と保持部材3の弾性力との間の関係を示すグラフである。
図10Aでは、保持部材3の弾性力の大きさを、保持部材3の内周面から突起23に加わる圧力値で表している。
図10Aに示すグラフの横軸は、深さ方向の手前側で保持部材3に近接する所定の基準位置からの、突起23の先端23tの深さ方向における移動距離を表している。
図10A中の実線で表される第1の曲線C1は、
図8A〜
図8Cに示される電子機器1に対応している。
図10A中の破線で表される第2の曲線C2は、
図8A〜
図8Cに示される保持部材3の材質を変更した電子機器1の変形例に対応している。グラフ中の領域31は保持部材3の第1部分31に対応しており、領域32は保持部材3の第2部分32に対応している。また、グラフ中の点Bは、
図8Bに示した突起23の位置に対応しており、グラフ中の点Cは、
図8Cに示した突起23の位置に対応している。
【0029】
グラフ中の曲線C1を参照すると、保持部材3から突起23に作用する圧力は、領域31内で最大になり、領域32内では単調に減少している。つまり、保持部材3から突起23に作用する圧力は、突起23の先端23tが第1部分31の内周面31iに沿って移動する間に最大になり、先端23tが第2部分32の内周面32iに沿って移動する間には単調に減少している。このような圧力変化が得られるのは、領域31では保持部材3が肉厚方向に圧縮されるので比較的大きい弾性力を発生させ(
図8B参照)、領域32では保持部材3が圧縮状態から解放されるので比較的小さい弾性力を発生させるからである(
図8B参照)。このように、本実施例の電子機器1の保持部材3は、その内周面から突起23に作用する弾性力(圧力)が、キャップ2が装着位置から深さ方向の反対向きに移動される間に増加するように形成されている。特に、保持部材3は、突起23の先端23tが第1部分31に沿って移動する間に突起23に加わる圧力の最大値が、先端23tが第2部分32に沿って移動する間に突起23に加わる圧力の最大値よりも大きくなるように形成されている。
【0030】
従って、一旦筐体10に装着されたキャップ2を取り外すためには、
図10Aに示した領域31内の圧力の最大値に対抗して、キャップ2を深さ方向の反対向きに移動させる必要がある。換言すると、領域31内の圧力の最大値(点B)と装着位置における圧力値(点C)との間の圧力差ΔPに相当する力をキャップ2に加えない限り、キャップ2を装着位置から取り外すことはできない。このように、キャップ2が装着位置に在るときには、深さ方向の反対向きの外力がキャップ2に加えられても、上記の圧力差ΔPが原因で、キャップ2を装着位置に保持しようとする力が突起23に作用することになる。従って、本実施形態の電子機器1によれば、突起23の先端23tが第2部分32の内周面32iを押圧する位置(すなわち、
図8Cに示す装着位置)においてキャップ2を安定的に保持することができる。
【0031】
これに対して、上述した関連技術の電子機器Eでは、深さ方向の反対向きの外力がキャップCPに加わったときに、キャップCPを所定の装着位置に保持しようとする力が発生することはない。この点について
図10Bを参照して詳細に説明する。
図10Bは、上述した関連技術の電子機器Eにおける、キャップCAの深さ方向の位置とパッキンPAの弾性力との間の関係を示すグラフである。
図10Aでは、パッキンPAの弾性力の大きさを、パッキンPAから筐体Hの筒状部H3の内周面に加わる圧力値で表している。
図10Bに示すグラフの横軸は、深さ方向の手前側で筒状部H3に近接する所定の基準位置からの、パッキンPAの深さ方向の移動距離を表している。グラフ中の点bは、
図2Bに示したパッキンPAの位置に対応しており、グラフ中の点cは、
図2Cに示したパッキンPAの位置に対応している。
【0032】
図10Bに示すように、パッキンPAから筒状部H3に作用する圧力は、点bに対応するパッキンPAの位置で最大になり、その後はパッキンPAの位置によらず一定になっている。つまり、関連技術の電子機器Eでは、
図10Aに示した圧力差ΔPが発生することはないので、深さ方向の反対向きの外力がキャップCPに加わったときに、キャップCPを所定の装着位置に保持しようとする力が発生することはない。このような理由から、関連技術の電子機器Eでは、キャップCP側に付加的な外れ防止構造(保持部CP4及びツメ構造部CP5)を設けることによってキャップCPを所定の装着位置に保持している。
【0033】
他方、本実施例の電子機器1では、筐体10内に配置された保持部材3がキャップ2を装着位置に保持する役割を果たすので、キャップ2を保持するための付加的な外れ防止構造をキャップ2側に設ける必要がない。従って、本実施例の電子機器1によれば、関連技術の電子機器EにおけるキャップCPの保持部CP4及びツメ構造部CP5が原因で発生しうる種々の問題点を解消することができる。特に、本実施例の電子機器1によれば、上記のツメ構造部CP5が原因で発生しうるキャップCPの大型化、キャップCPのデザイン自由度の低下、及びキャップCPの金型構造の複雑化等を防止することができる。さらに、本実施例の電子機器1によれば、上記のツメ構造部CP5が原因で発生しうるキャップCPの量産時の品質安定性の低下、及びキャップCP全体の耐久性不足等を防止することができる。
【0034】
ところで、装着位置に在るキャップ2を筐体10から取り外すのに必要な荷重は、
図10Aに示した点Bと点Cとの間の圧力差ΔPに比例している。圧力差ΔPが大きすぎるとキャップ2の取り外しが困難になり、圧力差ΔPが小さすぎるとキャップ2の装着後の安定性が損なわれるので、圧力差ΔPは適正な範囲内に設定されることが好ましい。また、
図10Aに示した圧力変化の曲線C1の全体的な形状は、キャップ2の装着動作及び取り外し動作中に使用者がキャップ2から受ける感触に影響を及ぼしうる。本実施例の電子機器1によれば、保持部材3の硬度、形状、及び寸法の少なくとも1つを変更することによって圧力変化の曲線C1の全体的な形状、及び上記の圧力差ΔPを変化させることができる。特に、本実施例の電子機器1によれば、保持部材3の形状及び寸法を変更せずに、保持部材3の硬度のみを変更することによって、圧力変化の曲線C1の全体的な形状、及び上記の圧力差ΔPを変化させることができる。その結果、保持部材3の形状及び寸法を変更せずに、キャップ2の装着動作及び取り外し動作中に使用者が受ける感触、並びにキャップ2の取り外しに要する荷重の大きさを変化させることができる。
【0035】
図10Aに示される他の曲線C2は、
図8A〜
図8Cに示した保持部材3を、形状及び寸法が同じで硬度のみが異なる他の保持部材3と交換した場合に得られる圧力変化の一例を示している。具体的に言うと、
図10A中の曲線C1に対応する保持部材3の硬度は60であり、曲線C2に対応する保持部材3の硬度は50である。上記の硬度の値は、デュロメータ硬さ試験の計測値である。
図10A中の2つの曲線C1,C2を比較すると、両曲線C1,C2は、点Bと点Cとの間の圧力差ΔPが幾分異なっている。具体的に言うと、曲線C1に対応する圧力差ΔPは約0.20MPaであり、曲線C2に対応する圧力差ΔPは約0.16MPaである。そのため、曲線C2に対応する保持部材3を使用した場合には、曲線C1に対応する保持部材3を使用した場合と比較して、キャップ2の取り外しに要する荷重が小さくなる。また、
図10A中の2つの曲線C1,C2は全体的な形状も幾分異なっている。特に、曲線C2上の圧力値の多くが曲線C1上の対応する圧力値よりも小さいので、曲線C2に対応する保持部材3(硬度:50)によれば、曲線C1に対応する保持部材3(硬度:60)と比較して、よりソフトな感触を使用者に与えることができる。同様に、キャップ2の突起23の硬度、形状、及び寸法の少なくとも1つを変更することによっても、圧力変化の曲線C1の全体的な形状を変化させることができる。
【0036】
さらに、本実施例の電子機器1では、保持部材3の第1部分31と第2部分32を、硬度が異なる別々の軟質材料で形成することもできる。例えば、保持部材3の第1部分31を硬度が60の軟質材料で形成し、第2部分32を硬度が40の軟質材料で形成することができる。これにより、
図10Aに示した圧力変化の曲線C1の形状及び圧力差ΔPを任意に変化させることができる。その結果、キャップ2の装着動作及び取り外し動作中の感触、並びにキャップ2の取り外しに必要な荷重を任意に変化させることができる。同様に、保持部材3の第1部分31及び第2部分32の各々の形状や寸法等を変更することによっても、圧力変化の曲線C1の形状及び圧力差ΔPを任意に変化させることができる。
【0037】
続いて、本出願の第2実施例の電子機器1について説明する。
図11は、本実施例の電子機器1の筐体10の内部構造を示す断面図である。
図11は、
図8Cと同様に、キャップ2が筐体10に装着されたときのキャップ2と筐体10内の保持部材3との間の位置関係を示している。本実施例の電子機器1は、保持部材3の第2部分32及び第3部分33の構造のみが上記の第1実施例とは異なっている。具体的に言うと、本実施例の電子機器1では、保持部材3の第2部分32が第1部分31よりも大きい肉厚を有しており、第2部分32及び第3部分33の外周面32e,33eが筐体10の内面10iに接触している。本実施例の電子機器1において、保持部材3は筐体10と一体に形成されてもよいし、筐体10とは別に形成されてもよい。後者の場合には、例えば、第1部分31の外周面31eが挿入孔12の内周面12iに接着され、かつ第2部分32及び第3部分33の外周面32e,33eが筐体10の内面10iに接着されることによって、保持部材3が筐体10内に固定される。
【0038】
図11に示す状態では、第2部分32の外周面32eが筐体10の内面10iによって支持されているので、第2部分32が突起23と筐体10の内面10iとの間で圧縮されている。しかし、
図11に示す状態では、第2部分32が第1部分31よりも大きい肉厚を有するので、第2部分32が突起23で押圧されるときの単位体積当たりの圧縮量は、第1部分31が突起23で押圧されるときの単位体積当たりの圧縮量よりも小さい。そのため、本実施例の電子機器1の保持部材3は、突起23が第1部分31を押圧するときに比較的大きい弾性力を発生させ、突起23が第2部分32を押圧するときに比較的小さい弾性力を発生させる。
【0039】
つまり、本実施例の電子機器1の保持部材3は、その内周面から突起23に作用する弾性力が、キャップ2が装着位置から深さ方向の反対向きに移動する間に増加するように形成されている。特に、保持部材3は、突起23の先端23tが第1部分31に沿って移動する間に突起23に加わる圧力の最大値が、先端23tが第2部分32に沿って移動する間に突起23に加わる圧力の最大値よりも大きくなるように形成されている。そのため、本実施例の電子機器1では、
図10Aに示した圧力差ΔPが原因で、キャップ2を装着位置に保持しようとする力が突起23に作用することになる。従って、本実施例の電子機器1によれば、突起23の先端23tが保持部材3の第2部分32の内周面32iを押圧する位置(すなわち、
図11に示す装着位置)においてキャップ2を安定的に保持することができる。さらに、本実施例の電子機器1では、筒状の保持部材3の外周面の全体が筐体10に接触しているので、保持部材3を筐体10に強固に固定することができる。
【0040】
続いて、本出願の第3実施例の電子機器1について説明する。
図12は、本実施例の電子機器1の筐体10の内部構造を示す断面図である。
図12は、
図8C及び
図11と同様に、キャップ2が筐体10に装着されたときのキャップ2と筐体10内の保持部材3との間の位置関係を示している。本実施例の電子機器1は、保持部材3の第2部分32の構造のみが上記の第2実施例とは異なっている。具体的に言うと、本実施例の電子機器1では、保持部材3の第2部分32が、周方向に延在する環状の空洞32cを有している。第2部分32の空洞32cは、内周面32iの被押圧部が外向きに移動することによって形成される隆起部32bを収容できるように形成されている。本実施例の電子機器1において、保持部材3は筐体10と一体に形成されてもよいし、筐体10とは別に形成されてもよい。後者の場合には、例えば、第1部分31の外周面31eが挿入孔12の内周面12iに接着され、かつ第2部分32及び第3部分33の外周面32e,33eが筐体10の内面10iに接着されることによって、保持部材3が筐体10内に固定される。
【0041】
図12に示す状態では、上記の隆起部32bが空洞32cに収容されているので、第2部分32が突起23と筐体10の内面10iとの間で圧縮されることはない。そのため、本実施例の電子機器1の保持部材3は、突起23が第1部分31を押圧するときに比較的大きい弾性力を発生させ、突起23が第2部分32を押圧するときに比較的小さい弾性力を発生させる。つまり、本実施例の電子機器1の保持部材3は、その内周面から突起23に加わる弾性力が、キャップ2が装着位置から深さ方向の反対向きに移動する間に増加するように形成されている。特に、保持部材3は、突起23の先端23tが第1部分31に沿って移動する間に突起23に加わる圧力の最大値が、先端23tが第2部分32に沿って移動する間に突起23に加わる圧力の最大値よりも大きくなるように形成されている。そのため、本実施例の電子機器1では、
図10Aに示した圧力差ΔPが原因で、キャップ2を装着位置に保持しようとする力が突起23に作用することになる。従って、本実施例の電子機器1によれば、突起23の先端23tが保持部材3の第2部分32の内周面32iを押圧する位置(すなわち、
図12に示す装着位置)においてキャップ2を安定的に保持することができる。また、本実施例の電子機器1では、筒状の保持部材3の外周面の全体が筐体10に接触しているので、保持部材3を筐体10に強固に固定することができる。
【0042】
上述した通り、
図12に示す状態では、保持部材3の第2部分32が突起23と筐体10の内面10iとの間で圧縮されることはない。そのため、本実施例の電子機器1では、キャップ2が装着位置に在るときに保持部材3から突起23に作用する圧力値(すなわち、
図10A中の点Bの圧力値)が、第2実施例における圧力値よりも小さくなる。その結果、
図10Aに示した圧力差ΔPが第2実施例における圧力差ΔPよりも大きくなるので、キャップ2の取り外しに要する荷重が第2実施例における荷重よりも大きくなる。従って、本実施例の電子機器1によれば、キャップ2が
図12に示す装着位置に在るときのキャップ2の安定性を向上させることができる。
【0043】
続いて、本出願の第4実施例の電子機器1について説明する。
図13は、本実施例の電子機器1の筐体10の内部構造を示す断面図である。
図13は、
図8C、
図11、及び
図12と同様に、キャップ2が筐体10に装着されたときのキャップ2と筐体10内の保持部材3との間の位置関係を示している。本実施例の電子機器1は、保持部材3の第3部分33、及び筐体10の第3部分33に対向する部分の構造のみが上記の第1実施例とは異なっている。具体的に言うと、本実施例の電子機器1では、保持部材3の第3部分33の内周面33iがコネクタ4の外周面に接触している。また、筐体10の内面10iの第3部分33に対向する箇所には、第3部分33に向かって内向きに突出する環状のリブ10rが設けられており、リブ10r突出方向の先端面は第3部分33の外周面33eに接触している。
【0044】
図13に示す状態では、第2部分32の内周面32iの被押圧部が外向きに移動することによって外周面32eの対応する箇所に隆起部32bを形成している。そして、第2部分32の外周面32eの隆起部32bは、外周面32eの外側に設けられた環状の空隙13内に収容されているので、第2部分32が突起23と筐体10の内面10iとの間で圧縮されることはない。そのため、本実施例の電子機器1の保持部材3は、突起23が第1部分31を押圧するときに比較的大きい弾性力を発生させ、突起23が第2部分32を押圧するときに比較的小さい弾性力を発生させる。つまり、本実施例の電子機器1の保持部材は、その内周面から突起23に作用する弾性力が、キャップ2が装着位置から深さ方向の反対向きに移動する間に増加するように形成されている。特に、保持部材3は、突起23の先端23tが第1部分31に沿って移動する間に突起に加わる圧力の最大値が、先端23tが第2部分32に沿って移動する間に突起23に加わる圧力の最大値よりも大きくなるように形成されている。そのため、本実施例の電子機器1では、
図10Aに示した圧力差ΔPが原因で、キャップ2を装着位置に保持しようとする力が突起23に作用することになる。従って、本実施例の電子機器1によれば、突起23の先端23tが保持部材3の第2部分32の内周面32iを押圧する位置(すなわち、
図13に示す装着位置)においてキャップ2を安定的に保持することができる。
【0045】
図14は、
図13と同様の断面図であり、外部機器の接続プラグPLを筐体10内のコネクタ4に結合した状態を示している。
図15は、
図14中のXV−XV線に沿った断面図である。
図14及び
図15に示すように、コネクタ4と筐体10のリブ10rとの間には、軟質の弾性材料で作られた保持部材3の第3部分33が介在している。そのため、コネクタ4への接続プラグPLの結合中又は結合後に、接続プラグPLの軸線R周りの捩り力が接続プラグPL及びコネクタ4に作用しても、その捩り力が原因で発生するコネクタ4の応力は第3部分33の弾性変形によって拡散されかつ緩和される。上記の捩り力の方向が
図15中の矢印A150で表されている。従って、本実施例の電子機器1によれば、上記の捩り力が原因でコネクタ4が破損するのを防止することができる。
【0046】
さらに、本実施例の電子機器1では、落下等により筐体10が外部から衝撃を受けても、その衝撃がコネクタ4に直接伝達されることはなく、その衝撃の少なくとも一部が保持部材3の第3部分33によって吸収されることになる。従って、本実施例の電子機器1によれば、筐体10が外部から受けた衝撃によるコネクタ4の破損を防止することができる。さらに、本実施例の電子機器1では、保持部材3の第3部分33の内周面33iがコネクタ4の外周面に接触しているので、粉塵又は水滴等の異物が挿入孔12内に侵入しても、その異物が保持部材3を通り越して筐体10のさらに内側に侵入することはない。従って、本実施例の電子機器1によれば、キャップ2が筐体10から取り外されている間も、種々の異物が保持部材3を通り越して筐体10のさらに内側に侵入するのを防止することができる。
【0047】
上述した通り、本出願の各実施例の電子機器1によれば、突起23に作用する保持部材3の弾性力が、キャップ2が所定の装着位置から取り外される間に増加することになる。従って、各実施例の電子機器1によれば、
図10Aに示した圧力差ΔPが原因で、キャップ2を装着位置に保持しようとする力が発生することになる。ここで、上記の圧力差ΔPは、キャップ2の取り外し中に突起23に加わる圧力の最大値と、キャップ2の装着位置で突起23に加わる圧力値と、の間の圧力差である。具体的に言うと、上記の圧力差ΔPは、突起23の先端23tが第1部分31に沿って移動する間に突起23に加わる圧力の最大値と、先端23tが第2部分32の所定の箇所を押圧するときに突起23に加わる圧力値と、の間の圧力差である。従って、各実施例の電子機器1によれば、
図3A及び
図3Bに例示した保持部CP4及びツメ構造部CP5のような付加的な外れ防止構造をキャップ2に設けなくても、キャップ2を筐体10の所定位置に安定的に保持することができる。
【0048】
以上、本出願を特にその好ましい実施の形態を参照して詳細に説明した。本出願の容易な理解のために、本出願の具体的な形態を以下に付記する。
【0049】
(付記1) 挿入孔を有する筐体と、
前記挿入孔を塞ぐように前記筐体に装着されており、前記挿入孔の深さ方向の反対向きに移動されることによって前記筐体から取り外し可能なキャップと、
前記キャップよりも低い硬度を有する弾性材料で作られ、前記挿入孔の内側に取り付けられた筒形状の保持部材と、を備え、
前記キャップは、前記保持部材の内側に挿入された挿入部と、前記挿入部の外周面から突出して前記保持部材の内周面を押圧する突起と、を有し、
前記保持部材は、前記保持部材の内周面から突起に加わる弾性力が、前記キャップが前記深さ方向の反対向きに移動される間に増加するように形成される、電子機器。
【0050】
(付記2) 前記突起は、前記挿入部の外周面の周方向に延在する環状突起である、付記1に記載の電子機器。
(付記3) 前記保持部材は、前記挿入孔の内周面によって支持される第1部分と、前記深さ方向の奥側で前記第1部分に隣接し、前記キャップが前記筐体に装着されたときに前記突起によって押圧される第2部分と、を含み、
前記保持部材は、前記突起が前記第1部分に沿って移動する間に前記突起に加わる圧力の最大値が、前記突起が前記第2部分に沿って移動する間に前記突起に加わる圧力の最大値よりも大きくなるように形成される、付記1または2に記載の電子機器。
(付記4) 前記第2部分は、前記突起による前記第2部分の被押圧部が外向きに移動することによって隆起部を形成するように変形可能である、付記3に記載の電子機器。
【0051】
(付記5) 前記隆起部は、前記第2部分の外周面に形成され、
前記筐体は、前記隆起部を収容するように前記第2部分の外周面と前記筐体の内面との間に設けられた環状の空隙をさらに有する、付記4に記載の電子機器。
(付記6) 前記第2部分は、前記保持部材の周方向に延在する環状の空洞を含み、
前記隆起部は、前記空洞内に収容される、付記4に記載の電子機器。
(付記7) 前記第2部分は、前記第1部分よりも大きい肉厚を有し、
前記第2部分の外周面は、前記筐体の内面によって支持される、付記3に記載の電子機器。
【0052】
(付記8) 前記挿入孔の内側に配置された、外部機器との接続のためのコネクタをさらに備え、
前記コネクタが前記保持部材によって支持される、付記1〜7のいずれかに記載の電子機器。
(付記9) 前記保持部材は、前記挿入部よりも前記深さ方向の奥側に位置する最深部分を含み、
前記コネクタの外周面は、前記最深部分の内周面によって支持される、付記8に記載の電子機器。
(付記10) 前記筐体は、前記筐体の内面から内向きに突出して、前記最深部分の外周面を支持するリブをさらに有する、付記9に記載の電子機器。
【0053】
(付記11) 前記第1部分及び前記第2部分は、硬度が異なる材料で作られている、付記1〜10のいずれかに記載の電子機器。
(付記12)
前記保持部材がエラストマーで作られている、付記1〜11のいずれかに記載の電子機器。