特許第6561783号(P6561783)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6561783-自動販売機の商品搬出装置 図000002
  • 特許6561783-自動販売機の商品搬出装置 図000003
  • 特許6561783-自動販売機の商品搬出装置 図000004
  • 特許6561783-自動販売機の商品搬出装置 図000005
  • 特許6561783-自動販売機の商品搬出装置 図000006
  • 特許6561783-自動販売機の商品搬出装置 図000007
  • 特許6561783-自動販売機の商品搬出装置 図000008
  • 特許6561783-自動販売機の商品搬出装置 図000009
  • 特許6561783-自動販売機の商品搬出装置 図000010
  • 特許6561783-自動販売機の商品搬出装置 図000011
  • 特許6561783-自動販売機の商品搬出装置 図000012
  • 特許6561783-自動販売機の商品搬出装置 図000013
  • 特許6561783-自動販売機の商品搬出装置 図000014
  • 特許6561783-自動販売機の商品搬出装置 図000015
  • 特許6561783-自動販売機の商品搬出装置 図000016
  • 特許6561783-自動販売機の商品搬出装置 図000017
  • 特許6561783-自動販売機の商品搬出装置 図000018
  • 特許6561783-自動販売機の商品搬出装置 図000019
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561783
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】自動販売機の商品搬出装置
(51)【国際特許分類】
   G07F 11/24 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
   G07F11/24 B
【請求項の数】2
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-219513(P2015-219513)
(22)【出願日】2015年11月9日
(65)【公開番号】特開2017-91153(P2017-91153A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161562
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 朗
(72)【発明者】
【氏名】岩子 努
(72)【発明者】
【氏名】竹中 堅吾
(72)【発明者】
【氏名】福田 勝彦
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−132961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 11/00−11/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する商品収納通路に横倒し姿勢で整列して収納された商品を販売指令に応じて対応する商品収納通路から一個ずつ搬出する自動販売機の商品搬出装置であって、前記商品搬出装置は、左右のラック側板に架設されてピン部材に係止固定される基板と、隣接する商品収納通路に対応して設けられるとともに販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で隣接する商品収納通路にそれぞれ突出する突出位置と前記販売商品の保持を解放する態様で隣接する商品収納通路からそれぞれ退避する退避位置との間を移動可能なように当該基板に保持された回動軸に回動自在に支持された第1搬出機構および第2搬出機構の下ペダル部材と、隣接する商品収納通路に選択的に出没して販売順位二番の商品(次販売商品)を保持する態様で前記隣接する商品収納通路に選択的に突出する突出位置と前記隣接する商品収納通路から退避する退避位置との間を移動可能なように当該基板に保持された回動軸に回動自在に支持された第1搬出機構および第2搬出機構に共通の上ペダル部材と、前記第1搬出機構および第2搬出機構の下ペダル部材に対応して設けられるとともにそれぞれの下ペダル部材を突出位置と退避位置とに移動させる第1搬出機構および第2搬出機構の下部リンクピンと、上ペダル部材を挟んで設けられるとともに上ペダル部材を隣接する商品収納通路のうちの選択された商品収納通路への突出位置と退避位置とに移動させる第1搬出機構および第2搬出機構の上部リンクピンとを支持する第1搬出機構および第2搬出機構のリンク機構と、販売指令に応じて前記第1搬出機構および第2搬出機構のリンク機構を選択的に駆動する駆動手段とを備え、前記駆動手段の駆動により第1搬出機構のリンク機構が駆動された際、第1搬出機構のリンク機構を介して第1搬出機構の下ペダル部材と上ペダル部材を一方の商品収納通路に交互に出没させ、また、前記駆動手段の駆動により第2搬出機構のリンク機構が駆動された際、第2搬出機構のリンク機構を介して第2搬出機構の下ペダル部材と上ペダル部材を他方の商品収納通路に交互に出没させてなることを特徴とする自動販売機の商品搬出装置。
【請求項2】
請求項1に記載した自動販売機の商品搬出装置において、前記商品搬出装置は、左右一対のラック側板に上下方向に複数段架設され、複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列する商品収容通路を形成し、かつ、その商品投入口側に対して商品搬出口側が低くなるように傾斜して配設された商品収容棚を有するスラントラックに装着されるものであって、上下方向に複数段架設された商品収納棚に対して一つおきの商品収納棚に対応して装着されてなることを特徴とする自動販売機の商品搬出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、本体キャビネットの商品収納庫内に収納した商品を販売する自動販売機の商品搬出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
缶入り飲料,ペットボトル入り飲料などの商品を販売する自動販売機は断熱筐体としてなる本体キャビネットの商品収納庫内に前記商品をコールド,ホット状態に区分して保存し、外扉のディスプレイ室内に複数の商品見本を左右に並べて展示し、前記商品見本に対応して設けられた商品選択ボタンの操作に基いて選択された商品を販売するように構成されている。この種の自動販売機について図15を用いて説明する。
【0003】
この自動販売機は、図15に示すように、前面が開口した本体キャビネット100と、本体キャビネット100の前面にヒンジにより開閉可能に支持された外扉160とを備え、前記本体キャビネット100は鋼板製の外箱の内側、すなわち、上壁,左右側壁,背壁および底壁110にウレタンフォームからなる断熱ボードを配設して断熱筐体として構成されている。前記本体キャビネット100の断熱ボードで囲まれた商品収納庫内は断熱仕切板120により左右方向に複数の商品収納室130,140,150に区画されている。前記各商品収納室130,140,150には、この例ではサーペンタイン方式と呼ばれる蛇行した商品収納通路を有する商品収納ラック180がそれぞれ収設されている。前記本体キャビネット100の前面に開閉可能に支持された外扉160と本体キャビネット100における商品収納庫の前面との間には内扉170が配設され、この例では内扉170が上下に分割されている。下部側の内扉170には各商品収納室130,140,150の商品収納ラック180から払い出された商品を送出するシュータ190と対峙する位置に搬出扉170aを有する商品搬出口が設けられている。前記搬出扉170aは上端入口を軸支されて垂下するとともに自重により商品搬出口を閉塞して冷気若しくは暖気の流出を防止しており、シュート190を介して搬出される商品により押し開かれ、当該商品を外扉160の商品取出口160aに送出するように形成されている。なお、前記外扉160の前面の上部域は商品見本を展示する透明板で覆われたディスプレイ室として形成され、前記透明板の前面には商品選択ボタンユニットが設けられ、商品選択ボタンユニットには展示された商品見本に対応して設けられた商品選択ボタンを有している。また、外扉160の前面には硬貨投入口、紙幣挿入口、硬貨返却口、返却レバー、商品取出口、ハンドルロックなどが設けられている。
【0004】
前記商品収納ラック180は、図16に示すように、平板状の薄板鋼板からなる左右一対のラック側板181,181、このラック側板181,181に上下方向に半ピッチずらして向かい合わせに架設した前後一対の湾曲状レールセグメント列182の間に画成された前後複数列(図では5列)の蛇行状の商品収納通路(商品コラム)183、本体キャビネット100の前面開口に形成された商品投入口SL(図15参照)と2列目以降の商品収納通路183の上端入口とを連係するトップトレイ184、前記それぞれの商品収納通路183の下端出口に配設された商品搬出装置200、この商品搬出装置200と商品収納通路を挟んで対向配置された出口調整板290とからなる。前記商品収納ラック180は、この例では2列の商品収納通路183を備えた前段側の商品収納ラック180a、および3列の商品収納通路183を備えた後段側の商品収納ラック180bからなるものであり、各商品収納ラック180a,108bの左右一対のラック側板181,181の上端に架設されたラック側フック金具811,811を商品収納庫の天井に敷設された本体側フック金具(不図示)に係止固定される。
【0005】
前記商品搬出装置200は、図17に示すように、薄い箱形の基板210に形成された矩形の開口部211に架設された回動軸300により商品収納通路183に出没自在に軸支され、販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路183に突出する突出位置と前記販売商品の保持を解放する態様で前記商品収納通路183から退避する退避位置との間を移動可能に設けた下ペダル部材220と、前記基板210の開口部211に架設された回動軸400により商品収納通路183に出没自在に軸支され、前記商品収納通路183から退避する退避位置に向けて付勢され、前記販売商品に続く販売順位二番の商品(次販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路183に突出する突出位置に移動可能に設けた上ペダル部材230と、前記下ペダル部材220および上ペダル部材230を突出位置と退避位置とに移動させる下部リンクピン261,上部リンクピン262を設けたリンク機構260と、前記リンク機構260を駆動する駆動手段としてのソレノイド250とを有し、前記ソレノイド250の励磁・釈放によりリンク機構260を介して下ペダル部材220および上ペダル部材230を商品収納通路183に交互に出没させて次販売商品を上ペダル部材230で保持したうえで販売商品を払い出すように構成されている。なお、240は、下ペダル部材220および上ペダル部材230の回動軸300,400の中央部を支持するとともに下部リンクピン261,上部リンクピン262を摺動自在に支持する軸受部材である。
【0006】
前記商品搬出装置200は、基板210の左右フランジ210a,210bの上下部位にラック側板181,181に架設されたピン部材P,Pと係合する係合部210aa,210bbを設け、また、基板210の上フランジ210cに上部側のピン部材Pに係合する係合部210ccを設ける一方、基板210の下フランジ210d側に合成樹脂製のホルダー280を設け、ホルダー280を下部側のピン部材Pに係合・離脱させることにより商品収納ラック180a,180bに着脱自在に装着されるとともに前後に隣接する商品収納通路183、図16の例では第1,2列および第3,4列の商品収納通路183,183に対して2個の商品搬出装置200,200を背中合わせに抱き合わせた状態で商品収納ラック180a,180bに取付けられる。このように2個の商品搬出装置200,200を背中合わせに抱き合わせた場合、基板210の上下左右のフランジ210a〜210dよりも背の高い部品である軸受部材240,ソレノイド250,リンク機構260が互いに干渉することがないようにそれぞれの部品を基板210の中央より左右のいずれか一方に片寄せて配設し、背中合わせに抱き合わせた際における商品搬出装置200,200の薄型化が図られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
ところで、図17に示した商品搬出装置200においては、単一の商品搬出装置200に一つの駆動手段としてのソレノイド250を必要とし、商品収納通路183の数に応じた数の駆動手段を必要とする。そこで、隣接する商品収納通路183,183に対して抱き合わせて用いられる2つの商品搬出装置200,200の一方のみに駆動手段を設けたもの、つまり、一つの駆動手段で隣接する商品収納通路183,183に収納した商品を選択して搬出できるようにしたものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−188956号公報
【特許文献2】特開2015−132961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記特許文献2に記載された発明は、一つの駆動手段で隣接する商品収納通路183,183に収納した商品を選択して搬出できることが可能であり、商品搬出装置のコストの低減を図ることができる点で優れている。ところで、2個の商品搬出装置200,200を背中合わせに抱き合わせて配設した場合、下ペダル部材220,220は待機状態で商品収納通路183に積み重ねて収納された商品を保持する必要があることから隣接する商品収納通路183,183に対応して個別に設けねばならない。一方、上ペダル部材230は販売時に次販売商品を保持するために商品収納通路183に突出して次販売商品を保持する必要がある一方、待機状態では商品収納通路から退避位置に退避して商品を保持する必要はないものである。したがって、隣接する商品収納通路183,183に対応して背中合わせに抱き合せ2個の商品搬出装置のうち、販売指令が与えられた一方の商品搬出装置の上ペダル部材が商品収納通路に出没して次販売商品を保持および保持解除するのに対し、他方の商品搬出装置の上ペダル部材は退避位置に退避した状態に維持されているものである。つまり、上ペダル部材は販売指令に応じて選択的に隣接する商品収納通路に出没すればよいものであり、隣接する商品収納通路に対してそれぞれ設ける必要はない点で改良すべき課題を有する。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、隣接する商品収納通路にそれぞれ出没して次販売商品を保持する上ペダル部材の個数を削減することが可能な自動販売機の商品搬出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために請求項1に係る発明は、隣接する商品収納通路の間に配設されて隣接する商品収納通路に横倒し姿勢で整列して収納された商品を販売指令に応じて対応する商品収納通路から一個ずつ搬出する自動販売機の商品搬出装置であって、前記商品搬出装置は、左右のラック側板に架設されてピン部材に係止固定される基板と、隣接する商品収納通路に対応して設けられるとともに販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で隣接する商品収納通路にそれぞれ突出する突出位置と前記販売商品の保持を解放する態様で隣接する商品収納通路からそれぞれ退避する退避位置との間を移動可能なように当該基板に保持された回動軸に回動自在に支持された第1搬出機構および第2搬出機構の下ペダル部材と、隣接する商品収納通路に選択的に出没して販売順位二番の商品(次販売商品)を保持する態様で前記隣接する商品収納通路に選択的に突出する突出位置と前記隣接する商品収納通路から退避する退避位置との間を移動可能なように当該基板に保持された回動軸に回動自在に支持された第1搬出機構および第2搬出機構に共通の上ペダル部材と、前記第1搬出機構および第2搬出機構の下ペダル部材に対応して設けられるとともにそれぞれの下ペダル部材を突出位置と退避位置とに移動させる第1搬出機構および第2搬出機構の下部リンクピンと、上ペダル部材を挟んで設けられるとともに上ペダル部材を隣接する商品収納通路のうちの選択された商品収納通路への突出位置と退避位置とに移動させる第1搬出機構および第2搬出機構の上部リンクピンとを支持する第1搬出機構および第2搬出機構のリンク機構と、販売指令に応じて前記第1搬出機構および第2搬出機構のリンク機構を選択的に駆動する駆動手段とを備え、前記駆動手段の駆動により第1搬出機構のリンク機構が駆動された際、第1搬出機構のリンク機構を介して第1搬出機構の下ペダル部材と上ペダル部材を一方の商品収納通路に交互に出没させ、また、前記駆動手段の駆動により第2搬出機構のリンク機構が駆動された際、第2搬出機構のリンク機構を介して第2搬出機構の下ペダル部材と上ペダル部材を他方の商品収納通路に交互に出没させてなることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る自動販売機の商品搬出装置において、前記商品搬出装置は、左右一対のラック側板に上下方向に複数段架設され、複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列する商品収容通路を形成し、かつ、その商品投入口側に対して商品搬出口側が低くなるように傾斜して配設された商品収容棚を有するスラントラックに装着されるものであって、上下方向に複数段架設された商品収納棚に対して一つおきの商品収納棚に対応して装着されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に係る自動販売機の商品搬出装置によれば、隣接する商品収納通路の間に配設されて隣接する商品収納通路に横倒し姿勢で整列して収納された商品を販売指令に応じて対応する商品収納通路から一個ずつ搬出する自動販売機の商品搬出装置であって、前記商品搬出装置は、左右のラック側板に架設されてピン部材に係止固定される基板と、隣接する商品収納通路に対応して設けられるとともに販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で隣接する商品収納通路にそれぞれ突出する突出位置と前記販売商品の保持を解放する態様で隣接する商品収納通路からそれぞれ退避する退避位置との間を移動可能なように当該基板に保持された回動軸に回動自在に支持された第1搬出機構および第2搬出機構の下ペダル部材と、隣接する商品収納通路に選択的に出没して販売順位二番の商品(次販売商品)を保持する態様で前記隣接する商品収納通路に選択的に突出する突出位置と前記隣接する商品収納通路から退避する退避位置との間を移動可能なように当該基板に保持された回動軸に回動自在に支持された第1搬出機構および第2搬出機構に共通の上ペダル部材と、前記第1搬出機構および第2搬出機構の下ペダル部材に対応して設けられるとともにそれぞれの下ペダル部材を突出位置と退避位置とに移動させる第1搬出機構および第2搬出機構の下部リンクピンと、上ペダル部材を挟んで設けられるとともに上ペダル部材を隣接する商品収納通路のうちの選択された商品収納通路への突出位置と退避位置とに移動させる第1搬出機構および第2搬出機構の上部リンクピンとを支持する第1搬出機構および第2搬出機構のリンク機構と、販売指令に応じて前記第1搬出機構および第2搬出機構のリンク機構を選択的に駆動する駆動手段とを備え、前記駆動手段の駆動により第1搬出機構のリンク機構が駆動された際、第1搬出機構のリンク機構を介して第1搬出機構の下ペダル部材と上ペダル部材を一方の商品収納通路に交互に出没させ、また、前記駆動手段の駆動により第2搬出機構のリンク機構が駆動された際、第2搬出機構のリンク機構を介して第2搬出機構の下ペダル部材と上ペダル部材を他方の商品収納通路に交互に出没させてなることにより、第1搬出機構と第2搬出機構とに共通の上ペダル部材を隣接する商品収納通路に選択的に出没させることにより、隣接する商品収納通路に横倒し姿勢で整列して収納された商品を販売指令に応じて対応する商品収納通路から一個ずつ搬出する自動販売機の商品搬出装置の部品点数を削減してコストの低減を図ることができるという効果を有するものである。
【0013】
また、本発明の請求項2に係る自動販売機の商品搬出装置によれば、請求項1に係る自動販売機の商品搬出装置において、前記商品搬出装置は、左右一対のラック側板に上下方向に複数段架設され、複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列する商品収容通路を形成し、かつ、その商品投入口側に対して商品搬出口側が低くなるように傾斜して配設された商品収容棚を有するスラントラックに装着されるものであって、上下方向に複数段架設された商品収納棚に対して一つおきの商品収納棚に対応して装着されてなることにより、商品収納棚の一部を、商品搬出装置を装備することなく、複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列する商品収容通路を形成するのみの構成とすることができるので、商品収納棚の棚構成を簡単にすることができるとともにスラントラックのコストの低減を図ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る自動販売機の商品搬出装置を示す正面斜視図である。
図2A図1の商品搬出装置の背面側を示し、カバー部材を外した状態の背面斜視図である。
図2B図1の商品搬出装置の背面側を示し、(a)はその背面斜視図、(b)はカバー部材を外した状態の分解図である。
図3図1および図2の商品搬出装置の分解斜視図である。
図4図1の商品搬出装置における基板を示す正面斜視図である。
図5図1の商品搬出装置における下ペダル部材の背面斜視図である。
図6図1の商品搬出装置における上ペダル部材の斜視図である。
図7図1の商品搬出装置におけるリンク機構を示す斜視図である。
図8図1の商品搬出装置におけるモータ駆動ユニットの要部構成と動作を示し、(a)は待機時の要部平面図、(b)は販売時の要部平面図である。
図9】本発明に係る自動販売機の商品搬出装置の商品ローディング前の状態を示す説明図である
図10】本発明に係る自動販売機の商品搬出装置の販売待機状態を示す動作説明図であり、(a)は商品搬出装置の側面断面図、(b)は下ペダル部材を省略した第1搬出機構および第2搬出機構の要部斜視図である。
図11】本発明に係る自動販売機の商品搬出装置の商品搬出時の動作説明図であり、(a)は商品搬出装置の側面断面図、(b)は下ペダル部材を省略した第1搬出機構および第2搬出機構の要部斜視図である。
図12】本発明に係る自動販売機の商品搬出装置を搭載したスラントラックの要部側面図である。
図13図12のスラントラックを斜め上方から見た斜視図である
図14】スラントラックに搭載した商品搬出装置の取付状態を示す要部拡大図である。
図15】本発明が対象とする商品搬出装置が搭載された自動販売機の外扉開放状態の斜視図である。
図16図15の自動販売機における商品収納ラックの斜視図である。
図17図16の商品収納ラックに搭載された従来の商品搬出装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態の自動販売機の商品搬出装置を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1図2Aに示すように、商品搬出装置10は、薄板鋼板製になる矩形平板状の基板1に、下ペダル部材2(2A),上ペダル部材3,下部リンクピン4(4A)および上部リンクピン5(5A)を支持するリンク機構6(6A),モータ駆動ユニット7などを備えている。
【0017】
前記基板1の左右フランジ1a,1b(図4参照)の上部には、ラック側板181,181(図16参照)に架設されたピン部材P,P(図17参照)と係合する係合部1aa,1bbを設けるとともに左右フランジ1a,1bの下端には下部側のピン部材Pと係合する半円状の係合溝1ddを設け、また、基板1の上フランジ1cに上部側のピン部材Pに係合する係合部1ccを設ける一方、基板1の下フランジ1dと開口部11の下フランジ11dとの間に後述するホルダー9を設け、ホルダー9を下部側のピン部材Pに係合・離脱させるように構成されている点は従来装置と同一である。なお、「左右」とは、基板1のフランジ1a〜1dが設けられた背面と反対側の面を正面として見た場合の「左右」を指す。
【0018】
前記基板1の背面には、隣接する商品収納通路183(図16参照)の一方の商品収納通路183(例えば、図16の場合には1列目,3列目の商品収納通路183)側の商品を搬出する第1搬出機構を構成する下ペダル部材2,上ペダル部材3,下部リンクピン4および上部リンクピン5を支持するリンク機構6,駆動手段としてのモータ駆動ユニット7が配設されるとともに隣接する商品収納通路183(図16参照)の一方の商品収納通路183(例えば、図16の場合には2列目,4列目の商品収納通路183)側の商品を搬出する第2搬出機構を構成する下ペダル部材2A,上ペダル部材3,下部リンクピン4Aおよび上部リンクピン5Aを支持するリンク機構6A,駆動手段としてのモータ駆動ユニット7が配設されている。ここで、上ペダル部材3は第1搬出機構および第2搬出機構に共通の単一部材からなり、また、モータ駆動ユニット7は単一のモータ71(図8参照)により第1搬出機構および第2搬出機構を選択的に駆動するものである。なお、第1搬出機構の下ペダル部材2,上ペダル部材3,下部リンクピン4および上部リンクピン5を支持するリンク機構6は、第2搬出機構の下ペダル部材2A,上ペダル部材3,下部リンクピン4Aおよび上部リンクピン5Aを支持するリンク機構6Aと同一の部材からなるものであり、第2搬出機構に対応する部材には参照符号の「A」を付している。
【0019】
前記基板1には、図4にも示すように、下半領域に比較的開口面積の大きな開口部11が穿設される一方、基板1の上半領域がモータ駆動ユニット7の配設位置として形成されている。前記基板1には開口部11に露出する態様の軸受部12(12A)が設けられている。この軸受部12(12A)は、開口部11の左右方向の略中央部に位置して左右に位置をずらして配設されている。
【0020】
前記軸受部12(12A)は、リンク機構6(6A)に支持された下部リンクピン4(4A)の一端を支持するとともに下ペダル部材2(2A),上ペダル部材3に関わる共通の回動軸20(後述)の中央部を支持し、下部リンクピン4(4A)の他端と回動軸の両端は基板1の開口部11の左右縁に基板1の背面側に突出して形成されたフランジ11a,11b(図4参照)により支持されている。なお、軸受部12(12A)とフランジ11a,11bとにおける上記下部リンクピン4(4A)と回動軸20を支持する構成はほぼ対称の構成であるので、以下の説明では、軸受部12(12A)について説明した後にフランジ11a,11bに係る構成について説明する。
【0021】
前記軸受部12(12A)は、図4に示すように、基板1に一体に形成された軸受保持部13(13A)と、この軸受保持部13(13A)に装着された合成樹脂製の軸受部材14(14A)とからなり、図3図4では軸受保持部13(13A)から軸受部材14(14A)を取り外した状態を示している。前記軸受保持部13Aは、基板1における開口部11を形成する際に、その開口部11を左右に分断するように基板1の板面の一部を残して基板1に一体に形成されたものであり、背面側への折り曲げにより横断面コ字状に形成されている。一方、軸受保持部13は、展開状態で基板1の左フランジ1aの上端に連続する態様で基板1に一体に設けられた背板101に設けられており、背板101を左フランジ1aの上端箇所で折り曲げることにより前記軸受保持部13Aの横に並ぶ態様で配置されるように構成され、前記軸受保持部13Aと同様に横断面コ字状に形成されている。
【0022】
前記軸受保持部13(13A)のコ字状の両脚片の上部には支軸穴15(15A)を設け、この支軸穴15(15A)の下方に上下方向に延在する長穴16(16A)を設けている。支軸穴15(15A)の穴周縁にはヘミング加工若しくはバーリング加工を施して回動軸との摩擦を低減するように構成されている。
【0023】
前記軸受部12(12A)を構成する軸受部材14(14A)は、合成樹脂の成形品になり、図3に示すように、軸受保持部13(13A)と同一の横断面コ字状を呈するものである。前記軸受部材14(14A)は、軸受保持部13(13A)よりも一回り小さい外郭寸法に形成されており、軸受保持部13(13A)の両脚片の間に嵌め込まれて係止されるように構成されている。前記軸受部材14(14A)のコ字状両脚片には上下方向に延在する長穴17(17A)を設けている。前記長穴17(17A)は、前記軸受保持部13(13A)のコ字状の両脚片に設けた長穴16(16A)に対応し、長穴16(16A)よりも一回り小さい大きさに形成されている。
【0024】
前記開口部11の左右縁に形成されたフランジ11a,11b(図4参照)には、前記軸受保持部13(13A)に設けた支軸穴15(15A)と長穴16(16A)に対応する支軸穴111,113と長穴112,114を設けている。また、前記フランジ11a,11bの支軸穴111,113の上方には、上下方向に延在する長穴115,116、117,118を設け、長穴117,118がフランジ11bに設けられる一方、長穴115がフランジ11aに設けられ、長穴116が背板101を折り曲げたフランジに設けられている。
【0025】
前記軸受保持部13(13A)に設けた支軸穴15(15A)と前記開口部11の左右縁に形成されたフランジ11a,11bに設けた支軸穴111,113は、下ペダル部材2(2A)と上ペダル3に共通の回動軸20を支持するものである。また、前記軸受保持部13(13A)に装着された軸受部材14(14A)に設けた長穴17(17A)と前記開口部11の左右縁に形成されたフランジ11a,11bに設けた長穴112,114は、リンク機構6に支持された下部リンクピン4(4A)を上下方向にスライド移動可能に支持する一方、前記開口部11の左右縁に形成されたフランジ11a,11bなどに設けた左右一対の長穴115,117(116,118)は、リンク機構6に支持された上部リンクピン5(5A)を上下方向にスライド移動可能に支持するものである。なお、前記フランジ11a,11bなどに設けた各穴の穴周縁はヘミング加工若しくはバーリング加工を施して、下部リンクピン4,上部リンクピン5や回動軸20との摩擦を低減するように構成されている。
【0026】
基板1の下フランジ1dと開口部11の下フランジ11dとの間に装着されたフック9aを備えたホルダー9は、商品収納ラック180に架設された下方のピン部材P(図17参照)に係合して商品搬出装置10を商品収納ラック180に装着する周知のものである。
【0027】
前記下ペダル部材2(2A)は、図2に示すように、基板1の開口部11の左右両縁に形成したフランジ11a,11bの間に介在してあり、回動軸20に回動可能に支持されている。下ペダル部材2(2A)は、回動軸20を中心として回動して、基板1の開口部11から隣接する商品収納通路183,183の一方(他方)にそれぞれ突出する突出位置と、開口部11を閉塞する態様で隣接する商品収納通路183,183から退く退避位置との間に移動可能である。回動軸20には、図3に示した捻りコイルばね30(30A)が巻装してある。下ペダル部材2(2A)は、捻りコイルばね30(30A)の弾性付勢力によって突出位置に向けて常に付勢されており、突出位置においてその表面(上面)が商品G(図10参照)を保持する保持部として形成されている。
【0028】
前記下ペダル部材2(2A)は、図5に示すように、平板状で周縁に裏面側に折り曲げたれた金属板21(21A)の背面に合成樹脂(たとえば、ポリアセタール)製の軸受台26(26A)を備えて構成されている。前記金属板21(21A)には軸挿通穴221(221A)を有する左右一対の軸支部22(22A)が突出形成されるとともに左右一対の軸支部22(22A)の外方寄りに売切れ検出片23(23A)が形成されている。この軸支部22(22A)の軸挿通穴221(221A)は、回動軸20を挿通するためのものである。また、金属板21の平板面には、図3に示すように基端側に開口した逃げ溝24,25(24A,25A)が形成され、この逃げ溝24,25(24A,25A)は軸受部12(12A)との干渉を避けるためのものである。
【0029】
前記合成樹脂製の軸受台26(26A)は、金属板21(21A)に形成した不図示の係止爪により金属板21に係止されている。この軸受台26(26A)の左右方向の幅は、基板1の開口部11の幅の1/2よりも小さい寸法に定められ、金属板21(21A)の中央より左右のいずれか一方に片寄せて配設している。これは、第1搬出機構の下ペダル部材2と第2搬出機構の下ペダル部材2Aが互いに干渉することがないようにするためである。軸受台26(26A)には、3個の円弧状の係止突起27(27A)がそれぞれ間隔を隔てて設けられており、中央側の係止突起27(27A)とこれに隣接する係止突起27(27A)との間の間隔は、金属板21に形成した逃げ溝24,25(24A,25A)の幅と一致し、軸受部12(12A)との干渉を避けるように構成されている。また、軸受台26(26A)にはそれぞれ軸挿通穴271(271A)が設けられている。これらの軸挿通穴271(271A)は、回動軸20を挿通するためのものであり、金属板21に形成した左右一対の軸支部22(22A)の軸挿通穴221(221A)と同一軸線上に位置している。なお、28(28A)は、下部リンクピン4(4A)を案内するガイド突起である。
【0030】
前記下ペダル部材2(2A)の軸受台26(26A)における係止突起27(27A)の先端は、下降した下部リンクピン4(4A)と当接して下ペダル部材2(2A)を隣接した商品収納通路183(83A)の一方(他方)に突出した突出位置にロックするものであり、下部リンクピン4(4A)が上昇するとロックを解除して下ペダル部材2(2A)の退避位置へ向けての回動を許容するものである。
【0031】
係る構成の下ペダル部材2(2A)は、2個の下ペダル部材2,2のうちの一方の下ペダル部材2を反転させて他方の下ペダル部材2の軸受台24が互い違いに噛み合う態様で基板1の開口部11に組み込まれ、第1の搬出機構の下ペダル部材2と第2の搬出機構の下ペダル部材2Aとなる。
【0032】
上記上ペダル部材3は、図2に示すように基板1の開口部11の左右側縁に形成したフランジ11a,11bの間に介在してあり、回動軸20に回動可能に支持してある。上ペダル部材3は、回動軸20を中心として回動して、基板1の開口部11から隣接する商品収納通路183,183に選択的に出没して隣接する商品収納通路183,183の内側に突出する突出位置と、開口部11を閉塞する態様で隣接する商品収納通路183,183から退く退避位置との間に移動可能である。
【0033】
前記上ペダル部材3は、図6に示すように合成樹脂(例えば、ポリアセタール)からなり、軸挿通孔311を備えた複数の軸支部31と、中央の空隙を隔てて左右に配置された商品の保持部32と、正面側および背面側に突出した複数の係合壁33が一体成形されている。正面側および背面側に突出した複数の係合壁33は、それぞれ第1搬出機構および第2搬出機構に係わるものであり、以下の説明では、第1搬出機構に係わる係合壁を参照符号「33」で示し、第2搬出機構に係わる係合壁を参照符号「33A」で示す。
【0034】
前記上ペダル部材3の軸挿通孔311は、回動軸20を挿通するためのものである。この軸挿通孔311を備えた複数の軸支部31は、下ペダル部材2(2A)における金属板21(21A)の左右一対の軸支部22(22A)および軸受台26(26A)の円弧状の係止突起27(27A)と位置をずらして分散して設けられている。また、両端の軸支部31には外方に突出する係止片34(34A)が形成されている。この係止片34(34A)は、下ペダル部材2(2A)の左右一対の軸支部22(22A)と協働して上ペダル部材3を退避位置に位置決めするものである。
【0035】
前記上ペダル部材3の複数の係合壁33(33A)は、傾斜面331(331A)に引き続いてストッパ面332(332A)を備えている。傾斜面331(331A)は、上部リンクピン5(5A)が摺動可能であり、上ペダル部材3が退避位置に退避した状態では上部リンクピン5(5A)とは離隔するように構成されている。前記係合壁33のストッパ面332(332A)は、上部リンクピン5(5A)の上昇により上部リンクピン5(5A)が傾斜面331(331A)に当接して上ペダル部材3が隣接する商品収納通路183,183一方(他方)に選択的に突出した際に上部リンクピン5(5A)と当接して上ペダル部材3を突出位置でロックするものである。この場合、上部リンクピン5(5A)の上昇により上部リンクピン5(5A)が傾斜面331(331A)に当接して上ペダル部材3が隣接する商品収納通路183,183一方(他方)に選択的に突出した際、上昇する上部リンクピン5(5A)とは反対側の下降位置に静止した上部リンクピン5(5A)と上ペダル部材3とが干渉しないように、前記傾斜面331(331A)の傾斜角度および前記傾斜面331(331A)と上部リンクピン5(5A)との離隔寸法が定められている(図9も参照)。
【0036】
前記回動軸20の基板1への組付けは、下ペダル部材2(2A)および上ペダル部材3を基板1の開口部11の所定位置に配設する。次いで、基板1の右フランジ1bの外側から当該右フランジ1bに形成した丸穴(参照符号省略)に回動軸20の先端を差し込む。そして、フランジ11bに形成した支軸穴113、軸受部12(12A)の軸受保持部13(13A)に設けた支軸穴15(15A)、フランジ11aに形成した支軸穴111の順に挿通させる。この場合、下ペダル部材2(2A)の金属板21(21A)に設けた左右一対の軸支部22(22A)軸挿通穴221(221A),下ペダル部材2(2A)の軸受台26(26A)に設けた軸挿通穴271(271A),上ペダル部材3の軸挿通孔311がフランジ11bに形成した支軸穴113、軸受部12(12A)の軸受保持部13(13A)に設けた支軸穴15(15A)、フランジ11aに形成した支軸穴111と一直線上に位置するように所定位置に配置されているので、下ペダル部材2(2A)と上ペダル部材3が回動軸20に軸支される。回動軸20の頭部には径外方向に張り出したストッパが設けられており、このストッパがフランジ11bに当接するまで回動軸20は差し込まれる。なお、回動軸20は、基板1の右フランジ1bとフランジ11bとの間に装着される配線カバーWC(図2参照)に頭部が当接することにより抜け止めが施される。
【0037】
前記リンク機構6(6A)は、モータ駆動ユニット7により選択的に駆動され、第1搬出機構および第2搬出機構の下ペダル部材2(2A)に対応して設けられるとともにそれぞれの下ペダル部材(3A)を隣接する商品収納通路183,183の一方(他方)へ突出した突出位置と商品収納通路183,183から退避した退避位置とに移動させる第1搬出機構および第2搬出機構の下部リンクピン4(4A)と、上ペダル部材3を挟んで設けられるとともに上ペダル部材3を隣接する商品収納通路183,183の一方(他方)へ突出した突出位置と商品収納通路183,183から退避した退避位置とに選択的に移動される第1搬出機構および第2搬出機構の上部リンクピン5(5A)とを支持する態様で基板1に組み込まれたものである。
【0038】
前記リンク機構6(6A)は、鋼板製のリンク部材60(60A)を備えている。リンク部材60(60A)は、図7に示すように、他の構成部材との干渉を避けるために図示形状に形成され、その上端に、図2に示す前記モータ駆動ユニット7のリンクレバー75(75A)に係合する連結部61(61A)が形成されている。また、リンク部材60(60A)には、左右方向に延在する上係合腕63と、下方に延在する下係合腕62を有している。前記上係合腕63の左右両端には連結部61(61A)と同一方向に折り曲げて形成された部位に上部リンクピン5(5A)が貫通する係合穴631(631A)を設けた左右一対の支持片630(630A)を有し、前記下係合腕62の下部両端には連結部61(61A)と同一方向に折り曲げて形成された部位に下部リンクピン4(4A)が貫通する係合穴621(621A)を設けた左右一対の支持片620(620A)を有する。前記上係合腕63(63A)の支持片630(630A)は、上部リンクピン5(5A)を支持してリンク部材60(60A)の上下動作に連動して当該上部リンクピン5(5A)を上下方向に移動させるものであり、前記下係合腕62(62A)の支持片620(620A)は、下部リンクピン4(4A)を支持してリンク部材60(60A)の上下動作に連動して当該下部リンクピン4(4A)を上下方向に移動させるものである。また、前記下係合腕62の下方には、図2A図3に示した捻りコイルばねなどからなる復帰ばね64(64A)が配設される。この復帰ばね64(64A)の一端(上端)は、下係合腕62の左右一対の係合穴621(621A)に挿通して支持される下部リンクピン4(4A)に係止され、前記復帰ばね64の他端(下端)は基板1の下フランジ1dに係止されている。なお、下部リンクピン4(4A)および上部リンクピン5(5A)の一端(頭部)には径外方向に張り出したストッパが設けられているものである。
【0039】
前記上部リンクピン5(5A)および下部リンクピン4(4A)の基板1への組付けは、リンク部材60(60A)の連結部61(61A)を、図2に示したモータ駆動ユニット7のリンクレバー75(75A)の上方に位置する態様でリンク部材60を、基板1の開口部11(図4参照)の左右縁に形成したフランジ11a,11bの間に配設する。この状態で、上部リンクピン5(5A)は、基板1の右フランジ1bの外側から当該右フランジ1bに形成した丸穴(参照符号省略)に上部リンクピン5(5A)の一端を差し込む。次いで、上部リンクピン5(5A)を基板1のフランジ11bに形成した長穴117(118)を介してリンク部材60(60A)に形成した上係合腕63(63A)の左右一対の支持片630(630A)に設けた係合穴631(631A)、フランジ11aに形成した長穴115(116)の順に挿通させる。そして、上部リンクピン5(5A)に設けた頭部のストッパが基板1のフランジ11bに当接するまで差し込むことにより、上部リンクピン5(5A)がリンク部材60に形成した上係合腕63の左右一対の支持片630(630A)に支持された状態で基板1に組付けられる。なお、上部リンクピン5(5A)は、基板1の右フランジ1bとフランジ11bとの間に装着される配線カバーWC(図2参照)により抜け止めが施される。
【0040】
第2搬出機構の下部リンクピン4Aの基板1への組付けは、基板1の右フランジ1bの外側から当該右フランジ1bに形成した丸穴(参照符号省略)に下部リンクピン4Aの一端を差し込む。次いで、下部リンクピン4Aを基板1のフランジ11bに形成した長穴114を介してリンク部材60Aに形成した下係合腕62Aの左右一対の支持片620Aに設けた係合穴621A、軸受保持部12Aに装着された軸受部材14Aの長穴16Aの順に挿通させる。そして、下部リンクピン4Aに設けた頭部のストッパが基板1に形成したフランジ11bに当接するまで差し込むことにより、下部リンクピン4Aがリンク部材60Aの下係合腕62の左右一対の支持片620Aに支持された状態で基板1に組付けられる。なお、下部リンクピン4Aの頭部のストッパは、基板1の右フランジ1bとフランジ11bとの間に装着される配線カバーWC(図2参照)により抜け止めが施される。
【0041】
一方、第1搬出機構の下部リンクピン4の基板1への組付けは、基板1の左フランジ1aの外側から、基板1のフランジ11aに形成した丸穴(不図示)を介してリンク部材60に形成した下係合腕62の左右一対の支持片620に設けた係合穴621、軸受保持部13に装着された軸受部材14の長穴16の順に挿通させることにより、下部リンクピン4がリンク部材60に形成した下係合腕63の左右一対の支持片620に支持された状態で基板1に組付けられる。
【0042】
前記モータ駆動ユニット7は、商品選択ボタンの操作に基づく販売指令によりユニットケース70(図3参照)に内蔵したモータ71(図8参照)が正転若しくは逆転駆動され、このモータ71の回転によりリンクレバー75(75A)介してリンク部材60(60A)を選択的に上昇させるものである。ユニットケース70はベース部材とカバー部材とからなり、その内部に、図8に示すような、モータ71,歯車伝達機構72,出力歯車73,キャリアスイッチ74,リンクレバー75(75A)などを内蔵している。このモータ駆動ユニット7は、ユニットケース70におけるベース部材の背面に突出形成した複数のボス(不図示)を基板1の平板面に穿設した穴に嵌合させることにより基板1に組付けられ、基板1の背板101の一部により脱落するのを防止するように構成されている。
【0043】
モータ駆動ユニット7のユニットケース70に内蔵したモータ71は、販売指令に応じて正転若しくは逆転する正逆回転可能な直流モータであり、ユニットケース70のベース部材に保持されている。
【0044】
歯車伝達機構72は、ウオーム721aとウオームホイール721bからなるウオーム歯車721および中間歯車722を備えて構成されている。ウオーム歯車721のウオーム721aは、モータ71の出力軸に取り付けられている。ウオームホイール721bは、ウオーム721aに噛み合う第1ホイールと、中間歯車722に噛み合う第2ホイールとが上下方向に段違いに設けられている。中間歯車722は、前記ウオームホイール721bの第2ホイールと噛み合う第1中間歯車と、出力歯車73に噛み合う第2中間歯車とが上下方向に段違いに設けられている。ウオーム歯車721および中間歯車722は、ユニットケース70のベース部材とカバー部材の軸受部により回転可能に配設される。
【0045】
前記出力歯車73は、中間歯車722の第2中間歯車と噛み合うホイールとして形成され、その一方の板面(上面)にカムと突起731が形成され、他方の板面(背面)にキャリアスイッチ74を制御する押圧片(図8では見えない)が形成されている。カムと突起731は、出力歯車73の板面から離隔する方向に突出する態様で円弧状に形成されている。このカムと突起731は、その円弧状の長さがリンク部材60(60A)を上昇させた後に所定時間の間その状態を保持するのに十分な長さとなるように形成されている。キャリアスイッチ74を制御する押圧片は、カムと突起731の反対側の板面に位置して板面から離隔する方向に突出する態様で略V字状に形成されており、図8の(a)の状態でキャリアスイッチ74の接触子を押圧するように形成されている。この出力歯車73は、ユニットケース70のベース部材とカバー部材の軸受部により回転可能に配設される。
【0046】
キャリアスイッチ74は、いわゆる押しボタンスイッチであり、接触子(不図示)を備えている。このキャリアスイッチ74は、出力歯車73よりも僅かに上方域にユニットケース70のベース部材に保持された状態で配設されている。このキャリアスイッチ74は、接触子が出力歯車73の押圧片に押圧されるとオン状態となる一方、出力歯車73の押圧片が離れて接触子が押圧されない場合にはオフ状態となるものであり、販売指令により駆動されたモータ71を、出力歯車73が一回転するように制御するためのものである。
【0047】
リンクレバー75(75A)は樹脂成型品になり、基部751(751A)を貫通するユニットケース70のカバー部材に設けたレバー軸700(700A)に回転可能に軸支されている。リンクレバー75(75A)の先端部752(752A)は、ユニットケース70のベース部材とカバー部材を切り欠いて形成した開口(不図示)から外部に突出する態様で上方に湾曲したフック状を成している。リンクレバー75(75A)の基部751(751A)に設けられた係止片753(753A)は、基部751(751A)の後方側より後方に向けて延在する弾性変形可能な板状の弾性部材である。係止片753(753A)は、その自由端がカバー部材に設けた突出片(不図示)に当接することにより常態におけるリンクレバー75(75A)の待機姿勢を、図8の(a)に示す位置に決めている。
【0048】
係る構成のモータ駆動ユニット7を備えた商品搬出装置は、本件出願人から特願2013−236105号(特開2015−95235号公報)として出願されている。
【0049】
前記売切検出スイッチ8(8A)は、基板1に装着される配線カバーWC(図2参照)に係止固定されたマイクロスイッチからなる。この売切検出スイッチ8(8A)は下ペダル部材2(2A)に設けた売切れ検出片23(23A)にマイクロスイッチの接触子が当接するように配設され、下ペダル部材2(2A)が隣接する商品収納通路183,183の一方(他方)に最大開度に突出した状態を検知するように構成されている。すなわち、下ペダル部材2(2A)は捻りコイルばね30(30A)の弾性付勢力によって突出位置に向けて常に付勢されており、商品を保持していない状態で商品収納通路183,183に突出した際に最大開度となり、最大開度に突出した下ペダル部材2(2A)に商品が落下すると商品収納通路183から退避する方向に回動した後、下ペダル部材2(2A)の軸受台26(26A)における係止突起27(27A)の先端が、下降した下部リンクピン4(4A)と当接して下ペダル部材2(2A)を商品収納通路183に突出した突出位置にロックし、ロック状態における下ペダル部材2(2A)の開度が最大開度よりも小さくなるように構成されている。そこで、売切検出スイッチ8(8A)は、下ペダル部材2(2A)が最大開度に突出した際、下ペダル部材2(2A)に設けた売切れ検出片23(23A)がマイクロスイッチの接触子に当接してオン状態となり、最大開度に突出した下ペダル部材2(2A)に商品が落下して当該下ペダル部材2(2A)が商品収納通路183,183から退避する方向に回動した後、ロックされるまでの間に下ペダル部材2(2A)に設けた売切れ検出片23(23A)がマイクロスイッチの接触子から離隔してオフ状態となるように構成されている。なお、売切検出スイッチ8(8A)からの信号を処理する制御部では、売切検出スイッチ8(8A)からのオン信号が所定時間継続した場合に「売切れ」として判断する処理が行われる。
【0050】
前記カバー部材90は、基板1に装着されたモータ駆動ユニット7を覆う態様で基板1の背面に装着され、カバー部材90の板面が基板1の板面と同様に商品収納通路183の一部を構成するものである。図2Bに示すように、カバー部材90の上端には基板1の上フランジ1cを覆う態様のフック状の係合片91が形成され、カバー部材90の下端には背板101のスリット101aに差し込まれる爪片92が形成されている。爪片92はカバー部材90の板面より一段下がるように段差が設けられている。このカバー部材90は、爪片92を背板101のスリット101aに差し込みつつ係合片91を基板1の上フランジ1cを抱え込むように係合させることにより装着される。
【0051】
かかる構成の自動販売機の商品搬出装置10の動作について図9図11に基づいて説明する。図9は商品をローディングする前の商品搬出装置10の側面断面図、図10および図11は商品搬出装置の動作を示し、図10および図11のそれぞれの(a)は商品搬出装置10の側面断面図、(b)は下ペダル部材2(2A)を省略した第1搬出機構および第2搬出機構の要部斜視図であり、図9図10の(a)および図11の(a)の断面は、基板1の開口部11のフランジ11bの開口部11側(図4におけるフランジ11bの右側)の断面である。なお、以下の説明では商品搬出装置10の第1搬出機構の下ペダル部材2が出没する前後に隣接する商品収納通路183,183のうちの一方の商品収納通路を参照符号「183」で示し、他方の商品収納通路を参照符号「183A」で示す。また、290は、商品搬出装置2(2A)と商品収納通路183(183A)を挟んで対向配置された出口調整板である。
【0052】
図9に示すように、商品搬出装置10は、商品がローディングされる前の状態では下ペダル部材2(2A)が隣接する商品収納通路183(183A)に突出し、上ペダル部材3が商品収納通路183(183A)から退避している。この場合、モータ駆動ユニット7の出力歯車73のカム突起731が最も上方に位置している(図8の(a)参照)。また、出力歯車73の背面に設けたキャリアスイッチ74用の押圧片が最も上方に位置してキャリアスイッチ74がオン状態にある。これにより、モータ71が停止しており、リンクレバー75(75A)の先端部752(752A)がリンク部材60(60A)の連結部61(61A)から下方に離隔した位置にある。このため、リンク部材60(60A)は復帰ばね64(64A)の付勢力により下降した状態にある。また、下ペダル部材2は、捻りコイルばね30の付勢力によって商品収納通路183(183A)に最大開度に開いた突出位置にある。そして、下降したリンク部材60(60A)に支持された下部リンクピン4(4A)が下ペダル部材2(2A)の係止突起27(27A)の先端の旋回軌跡線上に位置している。このように、下ペダル部材2(2A)が最大開度に開いた状態では売切検出スイッチ8(8A)がオン状態となる。一方、上ペダル部材3は、両端の軸支部31から外方に突出する係止片34が、最大開度に開いた下ペダル部材2(2A)の左右一対の軸支部22(22A)の縁部に当接することにより商品収納通路183(183A)から退避位置に位置決めされている(図9参照)。
【0053】
斯様な待機状態において、最初にローディングされた商品は、最大開度に開いて突出位置にある下ペダル部材2(2A)の上に落下する。商品が落下することにより下ペダル部材2(2A)は退避位置に向けて回動する。この回動により下ペダル部材2(2A)の係止突起27(27A)の先端が下部リンクピン4(4A)に当接すると下ペダル部材2が商品を保持して最大開度よりも小さな開度で商品収納通路183(183A)に突出した状態にロックされ、下ペダル部材2(2A)に保持された商品が販売順位一番の商品(販売商品G1)となる。このように、下ペダル部材2(2A)が最大開度よりも小さな開度で商品収納通路183(183A)に突出した状態にロックされると、売切検出スイッチ8(8A)がオフ状態となる。次にローディングされる商品は、下ペダル部材2(2A)により保持された販売商品G1の上に積み重ねられて次販売商品G2となり、引き続いてローディングされる商品(G3)は、次販売商品G2の上に順次積み重ねられる(図10参照)。
【0054】
商品選択ボタンの操作に基づく販売指令が与えられた場合(例えば、商品収納通路183に収納された商品が選択されて第1搬出機構が作動される場合)、モータ駆動ユニット7に内蔵されたモータ71が正転駆動され、歯車伝達機構72を介して出力歯車73が、図8において、反時計回りの方向に回転する。出力歯車73が反時計回りの方向に回転すると、出力歯車73の背面に設けた押圧片がキャリアスイッチ74の接触子から離脱してキャリアスイッチ74がオフ状態となり、次にキャリアスイッチ74がオン状態となるまで(すなわち、出力歯車73が一回転するまでの期間)モータ71を正転駆動させる。出力歯車73の反時計回りの方向への回転によりカム突起731がリンクレバー75の基端部751に上方より当接すると、リンクレバー75は、図8において時計回りの方向に回転する。このリンクレバー75の時計回りの方向への回転により、その先端部752がリンク部材60の連結部61に当接して復帰ばね64の付勢力に抗してリンク部材60が上昇する(図10の(b)も参照)。そして、カム突起731がリンクレバー75の基端部461aに摺接している間は、リンク部材60が上昇した状態に保持される。
【0055】
このリンク部材60の上昇に伴ってリンク部材60に結合された下部リンクピン4も上昇し、当該下部リンクピン4により商品収納通路183への突出位置にロックされた下ペダル部材2のロックが解除される。これにより、下ペダル部材2は、商品の荷重を受けて商品収納通路183から退避位置に向けて移動を開始する。下ペダル部材2が商品収納通路183から退避した退避位置へ移動すると販売商品G1は下ペダル部材2をすり抜けて下方に搬出される。販売商品G1が下ペダル部材2をすり抜けると、下ペダル部材2は捻りコイルばね30の付勢力によって突出位置に向けて移動を開始した後、最大開度に開いた状態で商品収納通路183にと突出した突出位置に復帰する。
【0056】
前記リンク部材60の上昇に伴って上昇する下部リンクピン4と同時に上部リンクピン5も上昇し、上昇する上部リンクピン5が上ペダル部材3の係合壁33における傾斜面331と当接すると上ペダル部材3は、待機位置から商品収納通路183へ突出する突出位置へ向けて押し出される。そして、上部リンクピン5が上ペダル部材3の係合壁33における傾斜面331に引き続いて形成されたストッパ面332に対峙する位置まで上昇すると当該ストッパ面332に当接して上ペダル部材3の商品収納通路183から退避する退避位置への移動を規制する。そして、商品収納通路183に突出した突出位置に移動した上ペダル部材3は、販売商品G1が搬出されることにより下方に移動する次販売商品G2の下部に当接して保持し、次販売商品G2が下方に向けて移動するのを規制する。
【0057】
前記リンク部材60の上昇により下部リンクピン5による下ペダル部材2のロックを解除させて下ペダル部材2の退避位置への移動を許容して販売商品G1を払い出す一方、上ペダル部材3を退避位置から突出位置に移動させて次販売商品G2を保持する動作は、出力歯車73のカム突起731がリンクレバー75の基端部751に摺接している所定時間の間に実行される。
【0058】
そして、出力歯車73の回転によりカム突起731とリンクレバー75の基端部751との当接が解除されると、復帰ばね64の付勢力によりリンク部材60は下降する。このリンク部材60の下降に伴ってリンク部材60に支持された上部リンクピン5および下部リンクピン4が下降する。上ペダル部材3におけるストッパ面332に当接した上部リンクピン5が下降すると上ペダル部材3は次販売商品G2により押圧されて商品収納通路183から退避する退避位置に向けて移動する。この上ペダル部材3の退避位置への移動により上ペダル部材3に保持された次販売商品G2が下方に移動を開始する。一方、下部リンクピン4は、突出位置に復帰している下ペダル部材2の円弧状の係止突起25の旋回軌跡線と交差する位置まで下降して待機する。この後、次販売商品G2が最大開度に開いた下ペダル部材2の上に落下すると下ペダル部材2は退避位置に向けて移動し、下ペダル部材2の円弧状の係止突起25が下降した下部リンクピン4に当接すると次販売商品G2を販売商品として保持した状態で突出位置にロックされる。その後、出力歯車73の回転によりカム突起731が待機状態の位置に戻ると、キャリアスイッチ74の接触子が押圧片により押圧されてキャリアスイッチ74がオン状態となる。これによりモータ71の駆動が停止されて待機状態に復帰する。
【0059】
なお、出力歯車73の反時計回りの方向への回転によりカム突起731とリンクレバー75の基端部751との当接が解除された後、出力歯車73のカム突起731が待機状態の位置に戻る途中において、カム突起731がリンクレバー75Aの基端部751Aに当接するが、弾性部材からなる係止片753Aが弾性変形してリンクレバー75Aの回動を許容することによりカム突起731は移動を阻止されることなく復帰位置に復帰する。リンクレバー75Aはカム突起731が通過することにより係止片753Aの作用により図8の(a)の待機姿勢に復帰する。
【0060】
商品選択ボタンの操作に基づく販売指令が与えられた場合(例えば、商品収納通路183Aに収納された商品が選択されて第2搬出機構が作動される場合)、モータ駆動ユニット7に内蔵されたモータ71が逆転駆動され、歯車伝達機構72を介して出力歯車73が、図8において、時計回りの方向に回転する。出力歯車73が時計回りの方向に回転すると、出力歯車73の背面に設けた押圧片がキャリアスイッチ74の接触子から離脱してキャリアスイッチ74がオフ状態となり、次にキャリアスイッチ74がオン状態となるまで(すなわち、出力歯車73が一回転するまでの期間)モータ71を逆転駆動させる。この後、第2搬出機構の下ペダル部材2A,上ペダル部材3,下部リンクピン4Aおよび上部リンクピン5Aを支持するリンク機構6Aの動作は、第1搬出機構の下ペダル部材2,上ペダル部材3,下部リンクピン4および上部リンクピン5を支持するリンク機構6の動作と同一であるので重複する説明は省略する。
【0061】
係る構成の商品搬出装置は、スラント方式の商品収納ラック(以下、スラントラックと称する)にも適用することができるものであり、これを図12乃至図14を用いて説明する。図12スラントラックの要部側面図、図13は、図12のスラントラックを斜め上方から見た斜視図、図14はスラントラックに搭載した商品搬出装置の取付状態を示す要部拡大図である。
【0062】
図12および図13に示すように、スラントラック300は、左右方向に複数配列されるとともに上下方向に多段に配設された商品収容棚320が架設される左右一対のラック側板310を備えている。前記この左右一対のラック側板310は、前方側ラック側板310Fと後方側ラック側板310Rからなる。この前方側ラック側板310Fおよび後方側ラック側板310Rに跨って商品収納棚320が、商品投入口SLとなる前方側が高く、商品搬出口となる後方側が低くなるように所定の勾配をもって傾斜する態様で前方側ラック側板310Fおよび後方側ラック側板310Rに架設されている。商品収容棚320は、前方側ラック側板310Fおよび後方側ラック側板310Rにそれぞれ架設された第1棚板321と第2棚板322とに跨って敷設された左右一対(図13に示した左側トップガイド323L、右側トップガイド323R)のトップガイド323からなる。この商品収容棚320は、サーペンタイン方式の商品収納ラックにおけるトップトレイとこのトップトレイに敷設されて通路幅を調整する左右一対のトップガイドに相当するものであり、左右一対のトップガイド323の上に複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容して商品収納通路(商品コラム)380を形成するように構成され、この商品収容棚320が上下多段に配設され、この例では10個の商品コラムが形成されている。
【0063】
そして、各段における商品収容棚320の後端部には、後方側ラック側板310Rに取付けられた通路形成部材350より形成された上下方向に延在する搬出通路340に突出する突出位置と、落下する商品により押し開かれて搬出通路340から退避する退避位置との間を回動可能であって搬出通路340に向けて突出するように付勢された姿勢制御板330が配備されている。この姿勢制御板330は、第2棚板322の後端に取付けられている。このように構成されたスラントラック300が、断熱筐体として形成された本体キャビネット100(図15参照)の商品収納庫内に左右方向に複数並設されている。このようなスラントラックの構成は、本件出願人から出願された特願2011−58381号(特開2012−194797号公報)により知られた自動販売機の商品収納ラックと同一のものである。
【0064】
図12乃至図14に示したスラントラック300が、従来装置と相違する点は、従来のスラントラックではそれぞれの商品収納棚に対応して個別の商品搬出装置が配設されていたのに対し、この実施の形態では前記上下多段に配設された商品収納棚320のうち、最上段から一つおきの商品収容棚320に対応して、図1乃至図8に示した商品搬出装置10が配設されている点、および第2棚板322に、商品搬出装置10の第1の搬出機構の下ペダル部材2と上ペダル部材3が出没可能なように開口部323(図13参照)が形成されている点である。この商品搬出装置10は、第1搬出機構の下ペダル部材2,第2搬出機構の下ペダル部材2Aが商品収納通路380の後方側に位置し、上ペダル部材3(この上ペダル部材3は、図12乃至図14では退避位置に退避した状態にあって第2棚板322のフランジに隠れて見えない)が商品収納通路380の前方側に位置する態様でスラントラック300に取付けられている。そして、第1搬出機構の下ペダル部材2と上ペダル部材3とが上下に隣接する商品収納通路380,380の一方の商品収納通路380(例えば、上方の商品収納通路380)に交互に出没し、第2搬出機構の下ペダル部材2Aと上ペダル部材3とが上下に隣接する商品収納通路380,380の他方の商品収納通路380(例えば、下方の商品収納通路380A)に交互に出没して上下に隣接する商品収納通路380,380Aに収納された商品を1個ずつ搬出するものである。
【0065】
前記商品搬出装置10のスラントラック300への取付けは、後方側ラック側板310Rに架設された前後のピン部材P,P(図14参照)に係合させることにより装着される。すなわち、図14に示すように、第2棚板322の下方から当該第2棚板322の板面に商品搬出装置10の基板1の平面が沿う態様に傾倒させた状態で前方のピン部材Pの後方から商品搬出装置10の基板1を接近させて基板1の左右フランジ1a,1bの上部に形成した係合部1aa,1bbと、基板1の上フランジ1cに設けたフック状の係合部1ccとの間に前方のピン部材Pを挟み込むように商品搬出装置10を前方に移動させる。商品搬出装置10の前方への移動によりフック状の係合部1ccの水平部(基板1の上フランジ1cの面と面一の部位)が前方のピン部材Pに当接すると基板1の下端が後方のピン部材Pよりも前方に位置するようになるので、前方のピン部材Pを支点として基板1を上方に回動させる。ここで、基板1の下端に設けたフック状のホルダー9を後方に開くように弾性変形させた状態で基板1を上方に回動させてホルダー9のフック9aを後方のピン部材Pを乗り越えさせたうえで基板1を後方にスライドさせる。この場合、基板1の左右フランジ1a,1bの下端に形成した半円状の係合溝1ddが後方のピン部材Pに嵌まり込むように基板1を後方にスライドさせる。基板1の後方へのスライドにより係合溝1ddの半円状部が後方のピン部材Pに嵌まり込むとホルダー9のフック9aが復元して係合溝1ddとの間に後方のピン部材Pを挟持する。この状態で基板1の左右フランジ1a,1bの上部に形成した係合部1aa,1bbと、基板1の上フランジ1cに設けたフック状の係合部1ccとの間に前方のピン部材Pを挟み込んで係止されている。つまり、基板1の左右フランジ1a,1bの上部に形成した係合部1aa,1bbと、基板1の上フランジ1cに設けたフック状の係合部1ccの寸法が前方のピン部材Pを挟み込んだ状態で基板1を後方にスライドさせて後方のピン部材Pに基板1の左右フランジ1a,1bの下端に形成した半円状の係合溝1ddに嵌め込んだ際にも前方のピン部材Pとの係合が外れない長さに定められているので、基板1の左右フランジ1a,1bの上部に形成した係合部1aa,1bbと基板1の上フランジ1cに設けたフック状の係合部1ccとが前方のピン部材Pから外れることなく当該前方のピン部材Pに係止される。
【0066】
このようにしてスラントラック300の上下多段に配設された商品収納棚320のうち、最上段から一つおきの各商品収容棚320に対応して前方および後方のピン部材P,Pに装着された商品搬出装置10の第1搬出機構を構成する下ペダル部材2と上ペダル部材3は、第2棚板322に設けた開口部323を介して上方の商品収納通路380に出没自在であり、また、第2搬出機構を構成する下ペダル部材2Aと上ペダル部材3は、基板1の背面側から下方の商品収納通路380に出没自在である。なお、商品搬出装置10による隣接する商品収納通路380,380Aに収納された商品の搬出動作は前述した図10および図12に示したものと同一であるので、ここではその説明を割愛する。
【0067】
前述したように、本発明の実施の形態に係る自動販売機の商品搬出装置によれば、隣接する商品収納通路183,183A(380,380A)に横倒し姿勢で整列して収納された商品を販売指令に応じて対応する商品収納通路183,183A(380,380A)から一個ずつ搬出する自動販売機の商品搬出装置10であって、前記商品搬出装置10は、左右のラック側板181(310)に架設されてピン部材P,Pに係止固定される基板1と、隣接する商品収納通路183,183A(380,380A)に対応して設けられるとともに販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で隣接する商品収納通路183,183A(380,380A)にそれぞれ突出する突出位置と前記販売商品の保持を解放する態様で隣接する商品収納通路183,183A(380,380A)からそれぞれ退避する退避位置との間を移動可能なように当該基板1に保持された回動軸20に回動自在に支持された第1搬出機構および第2搬出機構の下ペダル部材2と、隣接する商品収納通路183,183A(380,380A)に選択的に出没して販売順位二番の商品(次販売商品)を保持する態様で前記隣接する商品収納通路183,183A(380,380A)に選択的に突出する突出位置と前記隣接する商品収納通路183,183A(380,380A)から退避する退避位置との間を移動可能なように当該基板1に保持された回動軸20に回動自在に支持された第1搬出機構および第2搬出機構に共通の上ペダル部材3と、前記第1搬出機構および第2搬出機構の下ペダル部材2に対応して設けられるとともにそれぞれの下ペダル部材2を突出位置と退避位置とに移動させる第1搬出機構および第2搬出機構の下部リンクピン4(4A)と、上ペダル部材3を挟んで設けられるとともに上ペダル部材3を隣接する商品収納通路183,183A(380,380A)のうちの選択された商品収納通路183,183A(380,380A)への突出位置と退避位置とに移動させる第1搬出機構および第2搬出機構の上部リンクピン5(5A)とを支持する第1搬出機構および第2搬出機構のリンク機構6(6A)と、販売指令に応じて前記第1搬出機構および第2搬出機構のリンク機構6(6A)を選択的に駆動する駆動手段(モータ駆動ユニット7)とを備え、前記駆動手段(モータ駆動ユニット7)の駆動により第1搬出機構のリンク機構6が駆動された際、第1搬出機構のリンク機構6を介して第1搬出機構の下ペダル部材2と上ペダル部材3を一方の商品収納通路183(380)に交互に出没させ、また、前記駆動手段(モータ駆動ユニット7)の駆動により第2搬出機構のリンク機構6Aが駆動された際、第2搬出機構のリンク機構6Aを介して第2搬出機構の下ペダル部材2Aと上ペダル部材3を他方の商品収納通路183(380)に交互に出没させてなることにより、第1搬出機構と第2搬出機構とに共通の上ペダル部材3を隣接する商品収納通路183,183A(380,380A)に選択的に出没させることにより、隣接する商品収納通路183,183A(380,380A)に横倒し姿勢で整列して収納された商品を販売指令に応じて対応する商品収納通路183,183A(380,380A)から一個ずつ搬出する自動販売機の商品搬出装置10の部品点数を削減してコストの低減を図ることができるという効果を有するものである。
【0068】
なお、実施の形態に記載した商品搬出装置における上ペダル部材3を退避位置に位置決めするものとして、上ペダル部材3の両端の軸支部31には外方に突出する係止片34(34A)を形成し、この係止片34(34A)を下ペダル部材2の左右一対の軸支部22(22A)と当接させる構成について述べたが、互いに巻回方向が逆の2個のコイルばねを並設し、隣接するコイルばねの対向する側の一端を上ペダル部材3に連結し、隣接するコイルばねの他端を、上ペダル部材3が退避位置に退避した状態で無負荷状態とする態様で基板1に固定することもできるものである。したがって、本発明は実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0069】
1…基板、2,2A…下ペダル部材、3…上ペダル部材、4,4A…下部リンクピン、5,5A…上部リンクピン、6…リンク機構、7…モータ駆動ユニット(駆動手段)、10…商品搬出装置、20…回動軸、60,60A…リンク部材、300…スラントラック、320…商品収納棚。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17