特許第6561792号(P6561792)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561792
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】残燃料検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/30 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
   G01F23/30 B
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-227672(P2015-227672)
(22)【出願日】2015年11月20日
(65)【公開番号】特開2017-96705(P2017-96705A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 慎也
【審査官】 北川 創
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−254015(JP,A)
【文献】 特開2010−204010(JP,A)
【文献】 特開2015−017925(JP,A)
【文献】 特開2004−028893(JP,A)
【文献】 特開2013−061245(JP,A)
【文献】 特開2002−362187(JP,A)
【文献】 特開2005−005861(JP,A)
【文献】 特開2004−271489(JP,A)
【文献】 特開平10−153471(JP,A)
【文献】 特開昭59−160718(JP,A)
【文献】 特開昭60−018711(JP,A)
【文献】 米国特許第4250750(US,A)
【文献】 特開2002−116078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/00 − 23/76
G01F 25/00
G01D 7/00 − 7/12
G01D 3/00 − 4/18
B60K 15/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料の残量に応じた検出値を検出する検出部と、
前記燃料の残量に応じた理論的な前記検出値に予め設定される基準値、及び前記燃料の残量の判断に利用される閾値が記憶される記憶部と、
前記検出値と前記閾値との比較を通じて前記燃料の残量を判断する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記基準値と前記検出値との差分に応じて前記閾値を補正する、
ことを特徴とする残燃料検出装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記燃料の残量が複数の範囲のうち何れかの範囲内に位置し、位置する前記範囲毎に異なる前記検出値を検出し、前記燃料の残量が前記複数の範囲のうち第1範囲内に位置するときに前記検出値である第1検出値を検出し、前記燃料の残量が前記複数の範囲のうち前記第1範囲に隣接して位置する第2範囲内に位置するときに前記第1検出値より低い第2検出値を検出し、
前記記憶部には、前記燃料の残量に応じた理論的な前記第1検出値に予め設定される第1基準値と、前記燃料の残量に応じた理論的な前記第2検出値に予め設定される第2基準値と、前記第1基準値及び前記第2基準値の間に設定される前記閾値とが記憶され、
前記制御部は、前記第1基準値及び前記第1検出値の差分である第1差分と、前記第2基準値及び前記第2検出値の差分である第2差分とに基づき前記閾値を補正する、
ことを特徴とする請求項1に記載の残燃料検出装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1基準値を前記第1検出値に合わせた値に補正し、前記第2基準値を前記第2検出値に合わせた値に補正するとともに、前記閾値を前記第1差分と前記第2差分との平均を前記閾値に加算した値に補正する、
ことを特徴とする請求項2に記載の残燃料検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、残燃料検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、燃料タンク内の燃料の残量を検出する残燃料検出装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の残燃料検出装置は、燃料タンク内の燃料の液面に応じて移動するフロートと、複数の導体電極(固定接点)と、そのフロートとともに移動し、複数の固定接点の何れかに接触する可動接点と、を備える。また、複数の固定接点間には、それぞれ抵抗が設けられている。可動接点が接する固定接点により、これら抵抗による合計の抵抗値、ひいては残燃料検出装置に生じる電圧値が変化する。よって、残燃料検出装置は、この電圧値を通じて燃料タンク内の燃料の残量を検出することができる。
【0003】
さらに、特許文献1に記載の残燃料検出装置においては、F(Full)点に対応する固定接点とそれに隣接する固定接点との間の抵抗の抵抗値が、他の抵抗に比べて大きく設定される。これにより、可動接点がF点に対応する固定接点に接したときに検出される電圧値と、可動接点が上記隣接する固定接点に接したときに検出される電圧値との差分を大きく設定することができる。この差分は、固定接点又は可動接点が例えば燃料中の硫黄、水分又はアルコール等により腐食することで、検出される電圧値に加わる電圧変動(例えば、0.4V)よりも大きく設定される。これにより、上記のように腐食が生じた場合においても、残燃料検出装置は、燃料の満タン時にF点を示すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−116078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の残燃料検出装置は、F点付近での検出精度のみに着目した構成であり、E(Empty)点からF点までの全体の検出精度については考慮されていない。よって、特許文献1に記載の残燃料検出装置においては、例えば燃料の残量がE点付近にあるときに、上記のような腐食により正確な燃料の残量を示すことができないおそれがある。
【0006】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、燃料の残量に係る検出精度をより向上させた残燃料検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の残燃料検出装置は、燃料の残量に応じた検出値を検出する検出部と、前記燃料の残量に応じた理論的な前記検出値に予め設定される基準値、及び前記燃料の残量の判断に利用される閾値が記憶される記憶部と、前記検出値と前記閾値との比較を通じて前記燃料の残量を判断する制御部と、を備え、前記制御部は、前記基準値と前記検出値との差分に応じて前記閾値を補正する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、燃料の残量に係る検出精度をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る残燃料検出装置の電気的構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る表示部により表示される5つのバーセグメントを示す概略図である。
図3】本発明の一実施形態に係る燃料残量及び電圧値の関係を示すグラフである。
図4】本発明の一実施形態に係る燃料残量及び電圧値の関係を示すグラフである。
図5図3の一部を拡大した拡大図である。
図6】本発明の一実施形態に係る制御部によって実行される処理手順を示すフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態に係る制御部によって実行されるオフセット補正処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る残燃料検出装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
残燃料検出装置1は、図1に示すように、燃料タンク内の燃料の残量を検出するフューエルセンサー2と、フューエルセンサー2によって検出された燃料の残量を表示するメータ3と、を備える。
【0012】
(フューエルセンサー2の構成)
フューエルセンサー2は、出力端子2aと、複数の抵抗10〜14と、複数の固定接点20〜24と、可動接点30と、を備える。抵抗10〜14は、出力端子2aに直列接続される。具体的には、抵抗10〜14は、出力端子2a側から抵抗10、抵抗11、抵抗12、抵抗13及び抵抗14の順で接続されている。本例では、抵抗10〜14は、抵抗10=10Ω、抵抗11=30Ω、抵抗12=60Ω、抵抗13=150Ω、抵抗14=750Ωの抵抗値をもった抵抗である。これら抵抗値は、一例であって、残燃料の表示精度やフューエルセンサー2への通電電流などを考慮したうえで適宜変更可能である。
【0013】
固定接点20には燃料の満タンを示すF点が割り当てられ、固定接点21には燃料の残量が満タン時の3/4を示す3/4点が割り当てられ、固定接点22には燃料の残量が満タン時の1/2を示す中点が割り当てられ、固定接点23には燃料の残量が満タン時の1/4を示す1/4点が割り当てられ、固定接点24には燃料がない状態を示すE点が割り当てられている。
【0014】
固定接点20〜24は、それぞれ抵抗10〜14の接続点に接続される。具体的には、固定接点20は、一対の抵抗10,11の間に接続され、固定接点21は、一対の抵抗11,12の間に接続される。また、固定接点22は、一対の抵抗12,13の間に接続され、固定接点23は、一対の抵抗13,14の間に接続され、固定接点24は、抵抗14における抵抗13と反対側の端部に接続される。
【0015】
可動接点30は、その一端が常にグランドに接続されるとともに、その他端が燃料の液面位置に応じて固定接点20〜24の何れかに接続される。可動接点30がE点に対応する固定接点24に接続されたとき、抵抗値20〜24の合成抵抗値は最大となる。可動接点30が固定接点24から固定接点20に近づくにつれて合成抵抗値が小さくなる。そして、可動接点30がF点に対応する固定接点20に接続されたとき、合成抵抗値は最小となる。このように、フューエルセンサー2は、燃料の残量に応じて合成抵抗値が変化するように構成されている。
【0016】
(メータ3の構成)
メータ3は、マイコン(マイクロコンピュータ)4と、電源50と、検出抵抗51と、表示部54と、記憶部55とを備える。また、マイコン4は、電圧監視部52と、制御部53とを備える。
【0017】
検出抵抗51は、その一端が電源50に接続され、その他端がフューエルセンサー2の出力端子2aに接続される。また、検出抵抗51の両端には、電圧監視部52が接続されている。検出抵抗51は、例えば、100Ωの抵抗値をもった抵抗である。検出抵抗51には、電源50からの電流に基づきフューエルセンサー2の合成抵抗値に応じた電圧値Vaが発生する。この電圧値Vaは、燃料の残量がE点にあるときに最大値をとり、E点からF点に近づくにつれて階段状に減少していく。検出抵抗51は、フューエルセンサー2の合成抵抗値に応じた電圧値Vaを発生させるだけでなく、フューエルセンサー2へ流れる電流を制限し、特に可動接点30がF点に対応する固定接点20に位置するときの抵抗10の発熱を抑制する機能も有する。
【0018】
電圧監視部52は、検出抵抗51の電圧値Vaを測定可能な構成からなり、例えば、A/Dコンバータ、又はオペアンプやコンパレータのような半導体からなる。電圧監視部52は、検出抵抗51の両端に接続され、検出抵抗51に印加される電圧値Va及び電源50の電圧値を測定し、その測定結果を制御部53に出力する。
ここで、燃料の残量に応じてフューエルセンサー2の合成抵抗値が変化することで、検出抵抗51に印加される電圧値Vaも変化する。このため、制御部53は、電圧監視部52を通じて検出抵抗51に印加される電圧値Vaを測定することで燃料の残量を認識することができる。
なお、電圧監視部52は、検出部の一例であって、電圧監視部52によって測定される検出抵抗51の電圧値Va又はそれが平均化された電圧値Vnavが検出値に相当する。
【0019】
電源50は、車両のバッテリーからメータ3の電源としての一定電圧(例えば5V)を生成するレギュレータである。また、電源50は、電圧監視部52に基準電位を供給する。
電源50は、イグニッションオフ時の暗電流を抑制するためオンオフされるものであってもよく、その場合は電源電圧がオンオフ素子により電圧降下するため、電圧降下後の電圧をA/Dコンバータ等で制御部53へ送り、検出抵抗51から得られる電圧値Vaを補正してもよい。なお、電源50はイグニッション電源やバッテリー電源などを用いてもよい。
【0020】
表示部54は、本例では、液晶パネルにより構成される。表示部54は、制御部53による制御のもと、図2に示すように、燃料の残量を5つのバーセグメント54a〜54eにて表す。具体的なバーセグメント54a〜54eの表示態様については後述する。
【0021】
記憶部55は不揮発性メモリから構成される。記憶部55には、燃料の残量に応じた検出抵抗51の理論的な電圧値Vaである基準値Vn(本例では、n=1〜5、以下同様)と、燃料の残量を判断するための閾値Sm(本例では、m=1〜4、以下同様)とが記憶されている。基準値Vn及び閾値Smは、後述するように、制御部53によって補正されるものであって、図3の実線には補正前の基準値Vn及び閾値Smが示され、図3の破線には補正後の基準値Vn及び閾値Sm’が示されている。
【0022】
F点基準値V1は、可動接点30がF点に対応する固定接点20に接するときの検出抵抗51の理論的な電圧値Vaに基づき設定されている。3/4点基準値V2は、可動接点30が3/4点に対応する固定接点21に接するときの検出抵抗51の理論的な電圧値Vaに基づき設定されている。中点基準値V3は、可動接点30が中点に対応する固定接点22に接するときの検出抵抗51の理論的な電圧値Vaに基づき設定されている。1/4点基準値V4は、可動接点30が1/4点に対応する固定接点23に接するときの検出抵抗51の理論的な電圧値Vaに基づき設定されている。E点基準値V5は、可動接点30がE点に対応する固定接点24に接するときの検出抵抗51の理論的な電圧値Vaに基づき設定されている。基準値V1〜V5は、残燃料検出装置1の出荷時においては、固定接点20〜24及び可動接点30に腐食がない場合の検出抵抗51の理論的な電圧値Vaに設定されている。基準値V1〜V5は、固定接点20〜24又は可動接点30に腐食による電圧値Vaの変動に合わせて補正される。
【0023】
本例では、基準値Vnは、以下の式(1)から算出される。
Vn=Vb×Rt/(51R+Rt)…(1)
Vbは電源50の電源電圧であって、Rtはフューエルセンサー2の合成抵抗値であって、51Rは検出抵抗51の抵抗値である。
抵抗10〜14及び検出抵抗51が上述したような抵抗値を有する場合、基準値Vnはそれぞれ以下の値に設定される。
V1=5V×10Ω/(100Ω+10Ω)=0.45V
V2=5V×40Ω/(100Ω+40Ω)=1.43V
V3=5V×100Ω/(100Ω+100Ω)=2.50V
V4=5V×250Ω/(100Ω+250Ω)=3.57V
V5=5V×1000Ω/(100Ω+1000Ω)=4.55V
基準値V1〜V5は、図3にも示すように、V1、V2、V3、V4及びV5の順で大きくなるように設定されている。
【0024】
図3に示すように、閾値S1は、F点基準値V1及び3/4点基準値V2の間に設定され、閾値S2は、3/4点基準値V2及び中点基準値V3の間に設定され、閾値S3は、中点基準値V3及び1/4点基準値V4の間に設定され、閾値S4は、1/4点基準値V4及びE点基準値V5の間に設定される。例えば、閾値S1〜S4は、閾値S1=1V、閾値S2=2V、閾値S3=3V、閾値S4=4Vに設定されている。
【0025】
(制御部53の処理手順)
次に、図6のフローチャートに沿って、制御部53により実行される処理手順について説明する。制御部53は、イグニッションスイッチがオン状態に切り替えられたときに当該フローチャートに係る処理を開始する。
【0026】
まず、制御部53は、電圧監視部52を通じて測定された電圧値Vaを一定の時間間隔(例えば100ms間隔)毎に取得する(S101)。制御部53は、複数の電圧値Vaの平均化処理を行うことで、平均化された電圧値Vnavを算出する(S102)。一例として、制御部53は、電圧値Vaを12個取得し、突発的なノイズを除去するため、12個の電圧値Vaから最大値と最小値を取り除いた10個の電圧値Vaを平均してもよい。このステップS102に係る平均化処理により、燃料の液面の一時的な変化により電圧値Vaが変化した場合であっても、表示部54におけるバーセグメント54a〜54eの点灯数が変化することが抑制される。
【0027】
次に、制御部53は、平均化された電圧値Vnavと各閾値S1〜S4とを比較したうえで、その比較結果に基づき表示部54の表示内容を設定する(S103)。なお、平均化された電圧値Vnavは、平均化された電圧値V1av〜V5avの何れかである。
具体的には、図2及び図3に示すように、制御部53は、平均化された電圧値V1avが閾値S1未満であれば、表示部54を通じて5つのバーセグメント54a〜54eを表示することで燃料残量がF点状態であることを示す。
制御部53は、平均化された電圧値V2avが閾値S1以上、かつ閾値S2未満であれば、表示部54を通じて4つのバーセグメント54a〜54dを表示することで燃料残量が3/4点状態であることを示す。
制御部53は、平均化された電圧値V3avが閾値S2以上、かつ閾値S3未満であれば、表示部54を通じて3つのバーセグメント54a〜54cを表示することで燃料残量が中点状態であることを示す。
制御部53は、平均化された電圧値V4avが閾値S3以上、かつ閾値S4未満であれば、表示部54を通じて2つのバーセグメント54a,54bを表示することで燃料残量が1/4点状態であることを示す。
制御部53は、平均化された電圧値V5avが閾値S4以上であれば、表示部54を通じて1つのバーセグメント54aを点滅表示することで燃料残量がE点状態であることを示す。また、制御部53は、1つのバーセグメント54aを点滅表示すると同時に、例えばLED(Light Emitting Diode)からなる残燃料警告灯(図示略)を点灯させてもよい。
【0028】
次に、図6に示すように、制御部53は、後述するオフセット補正処理を行った(S104)後、イグニッションスイッチがオフ状態であるか否かを判断する(S105)。制御部53は、イグニッションスイッチがオフ状態でない、すなわちオン状態が維持されている旨判断すると(S105でNO)、ステップS101の処理に戻る。すなわち、イグニッションスイッチがオン状態においては、図6のフローチャートが繰り返し実行される。一方、制御部53は、イグニッションスイッチがオフ状態である旨判断すると(S105でYES)、当該フローチャートに係る処理を終了する。
【0029】
(制御部53のオフセット補正処理手順)
制御部53は、図7のフローチャートに沿ってオフセット補正処理を行うことで、閾値Sm、基準値Vnを補正する。
制御部53は、オフセット補正処理に移行すると、まず平均化された電圧値Vnavに最も近い基準値V1〜V5を認識する(S201)。例えば、図4の例では、制御部53は、平均化された電圧値V2avに最も近い基準値V2を認識する。
【0030】
そして、制御部53は、平均化された電圧値Vnavから各基準値V1〜V5を差し引くことで複数の差分△V1〜△V5を算出し、複数の差分△V1〜△V5のうち最小の差分△Vnが想定誤差範囲L内か否かを判断する(S202)。想定誤差範囲Lは、フューエルセンサー2にショート又は断線等の異常がない正常時において、取り得る差分△Vnに基づき設定されている。一例として、図4に示すように、制御部53は、平均化された電圧値V2avと各基準値V1〜V5と差し引いて複数の差分△V1〜△V5を算出し、それら複数の差分△V1〜△V5のうち最小の差分△V2が想定誤差範囲Lである旨判断する。なお、差分△V1〜△V5は、マイナスの値も取り得る。
【0031】
制御部53は、最小の差分△Vnが想定誤差範囲L外である旨判断したとき(S202でNO)、フューエルセンサー2にショート又は断線等の異常がある旨判断して(S203)、オフセット補正処理を終了する。なお、制御部53は、異常がある旨判断したとき、LEDからなる警告灯を点灯させてもよい。
一例として、図4の右上に示すように、制御部53は、平均化された電圧値V5avがE点基準値V5よりも十分に大きい場合、最小の差分△V5が想定誤差範囲L外となり、異常である旨判断する。
【0032】
制御部53は、最小の差分△Vnが想定誤差範囲L内である旨判断したとき(S202でYES)、差分△Vn及び差分△Vn+1について平均化処理を行う(S204)。
具体的には、図5に示すように、制御部53は、燃料の残量が位置P1から位置P2までの第1範囲T1にあるとき、平均化された電圧値Vn+1avと基準値Vn+1との差分△Vn+1を一定の時間間隔毎に算出し、その算出した複数(例えば10個)の差分△Vn+1を記憶部55に記憶させる。その後、制御部53は、燃料の残量が位置P2から位置P3までの第2範囲T2にあるとき、平均化された電圧値Vnavと基準値Vnとの差分△Vnを一定の時間間隔毎に算出し、その算出した10個の差分△Vnを記憶部55に記憶させる。制御部53は、ステップS204において、記憶部55に記憶される複数(例えば10個)の差分△Vnを平均化された差分△Vnav及び複数(例えば10個)の差分△Vn+1を平均化された差分△Vn+1avを算出する。制御部53は、差分△Vn及び差分△Vn+1に係るデータが10個に満たない場合は、サンプル量不足のため当該オフセット補正処理を終了してもよい。
【0033】
なお、燃料の残量が第1範囲T1にあるときの電圧値Va又は平均化された電圧値Vn+1avが第1検出値に相当し、燃料の残量が第2範囲T2にあるときの電圧値Va又は平均化された電圧値Vnavが第2検出値に相当する。また、基準値Vn+1は、第1基準値に相当し、また、基準値Vnは、第2基準値に相当し、差分△Vn+1は第1差分に相当し、差分△Vnは第2差分に相当する。
【0034】
次に、制御部53は、新閾値Sm´を算出する(S205)。新閾値Sm´は以下の式(2)から算出される。
Sm´=Sm+(△Vnav+△Vn+1av)/2…(2)
すなわち、新閾値Sm´は、補正前の閾値Smに、2つの差分△Vnav,△Vn+1avの平均値を加算することで算出される。
【0035】
次に、制御部53は、記憶部55に記憶される基準値Vnを平均化された電圧値Vnavと同一値に補正し、記憶部55に記憶される基準値Vn+1を平均化された電圧値Vn+1avと同一値に補正し、記憶部55に記憶される閾値Smを算出された新閾値Sm´に補正した(S206)後、図7のフローチャートを終了して図6のフローチャートのステップS105に移行する。以後、補正後の基準値Vn,Vn+1及び閾値Smを利用して制御部53の処理が実行される。
【0036】
制御部53は、このオフセット補正処理を繰り返し実行することで各閾値S1〜S4、各基準値V1〜V5を、可動接点30又は固定接点20〜24の腐食による検出抵抗51の電圧値Vaの変動に追従させることができる。この電圧値Vaの変動について、特許文献1では経年劣化により0.4V〜0.6Vだけ電圧値Vaが変動すると記載されている。この電圧値Vaの変動は経年劣化に伴うものであるため、この電圧値Vaは長い期間をかけて序々に変動するため、上記補正により基準値Vn及び閾値Smもそれに合わせて変動する。
【0037】
仮に、電圧値Vaが0.6V増加した場合、図3に示すように、0.45Vであった基準値V1は1.05Vにシフトし、1.43Vであった基準値V2は2.03Vへシフトし、2.50Vであった基準値V3は3.10Vにシフトすることになる。この場合、1Vであった閾値S1は1.6Vへシフトし、2Vであった閾値S2は2.6Vへシフトし、3Vであった閾値S3は3.6Vへシフトし、4Vであった閾値S4は4.6Vへシフトする。これにより、電圧値Vaが仮に0.6V増加した場合であっても、F点〜E点に対応する電圧値Vaが補正後の閾値S1〜S4を跨がないため、残燃料検出装置1は、燃料の残量を正しく示すことができる。
【0038】
(効果)
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0039】
(1)残燃料検出装置1は、燃料の残量に応じた検出抵抗51の電圧値Vaを測定する電圧監視部52と、燃料の残量に応じた理論的な検出抵抗51の電圧値Va(平均化された電圧値Vnavであってもよい、以下同様)に予め設定される基準値Vn、及び燃料の残量の判断に利用される閾値Smが記憶される記憶部55と、電圧値Vaと閾値Snとの比較を通じて燃料の残量を判断する制御部53と、を備える。制御部53は、基準値Vnと電圧値Vaとの差分△Vnに応じて閾値Smを補正する。
この構成によれば、固定接点20〜24又は可動接点30の腐食による検出抵抗51の電圧値Vaの変動に合わせて閾値Smが補正される。よって、残燃料検出装置1において、E点からF点までの全体の検出精度を向上させることができる。
【0040】
(2)電圧監視部52は、燃料の残量がE点、1/4点、中点、3/4点及びF点に対応する複数の範囲のうち何れかの範囲内に位置し、位置する範囲毎に異なる電圧値Vaを測定し、燃料の残量が複数の範囲のうち第1範囲T1内に位置するときに第1電圧値(平均化された第1電圧値Vn+1avであってもよい、以下同様)を測定し、燃料の残量が複数の範囲のうち第1範囲T1に隣接して位置する第2範囲T2内に位置するときに第1電圧値より低い第2電圧値(平均化された第2電圧値Vnavであってもよい、以下同様)を測定する。記憶部55には、燃料の残量に応じた理論的な第1電圧値に予め設定される第1基準値Vn+1と、燃料の残量に応じた理論的な第2電圧値に予め設定される第2基準値Vnと、第1基準値Vn+1及び第2基準値Vnの間に設定される閾値Smとが記憶される。制御部53は、第1基準値Vn+1及び第1電圧値の差分である第1差分△Vn+1(平均化された第1差分△Vn+1avであってもよい、以下同様)と、第2基準値Vn及び第2電圧値の差分である第2差分△Vn(平均化された第2差分△Vnavであってもよい、以下同様)とに基づき閾値Smを補正する。
この構成によれば、第1差分△Vn+1及び第2差分△Vnにより、閾値Smが補正されるため、何れか一方の差分のみで補正した場合に比べて、閾値Smをより正確に補正することができる。閾値Smが正確に補正されることで、残燃料検出装置1における検出精度を向上させることができる。
【0041】
(3)制御部53は、第1基準値Vn+1を第1電圧値に合わせた値に補正し、第2基準値Vnを第2電圧値に合わせた値に補正するとともに、第1差分△Vnと第2差分△Vn+1との平均を閾値Smに加算することで閾値Smを補正する。
この構成によれば、第1基準値Vn+1及び第2基準値Vnを補正することで、次回以降の補正処理において、平均化された電圧値Vnavが基準値Vnと同一であれば、平均化された電圧値Vnavと基準値Vnとの差分を求める必要がないため補正処理が簡単になる。
また、閾値Smは、第1差分△Vnと第2差分△Vn+1との平均を閾値Smに加算した値に補正される。このように、簡単な計算により、2つの差分を加味して閾値Smを補正することが可能となる。
【0042】
(4)制御部53は、閾値S1〜S4を別個に補正していくことができる。この構成によれば、例えば、固定接点20〜24毎に腐食具合が異なることで固定接点20〜24毎に電圧値Vaの変動量が異なる場合であっても、それぞれの電圧値Vaの変動量に合わせて閾値S1〜S4それぞれが別個に補正される。よって、残燃料検出装置1における検出精度をより向上させることができる。
【0043】
(変形例)
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
【0044】
上記実施形態においては、表示部54は、液晶パネルにより構成されていたが、指針式表示装置であってもよい。また、表示部54は、燃料の残量だけでなく、走行距離、エンジン回転数、車両速度、ギアポジション、エンジン冷却水温及び時刻などを表示してもよい。
【0045】
上記実施形態における検出抵抗51に代えて定電流回路を設けてもよい。
【0046】
上記実施形態においては、記憶部55には、閾値S1〜S4それぞれが記憶されていたが、基準値V1〜V5から閾値S1〜S4を算出することで、記憶部55の記憶領域を節約することもできる。具体的には、S1=(V1+V2)/2、S2=(V2+V3)/2、S3=(V3+V4)/2、S4=(V4+V5)/2のように算出される。
【0047】
上記実施形態においては、残燃料検出装置1は、5つの固定接点20〜24を備えていたが、固定接点の数は複数であれば5つに限定されない。固定接点の数に応じて基準値Vn及び閾値Smの数も変更となる。
また、上記実施形態においては、各基準値V1〜V5間の電位差は同一であったが異なっていてもよい。具体的には、E点に近い位置においては、F点に近い位置に比べて、各基準値間の電位差を小さく設定してもよい。この構成によれば、残燃料検出装置1は、燃料の残量がE点に近い場合における、燃料の残量を細かく表示することができる。
【0048】
上記実施形態においては、制御部53は、電圧監視部52を通じて測定された電圧値Vaを平均化した後、平均化された電圧値Vnavと各閾値S1〜S4とを比較していたが、平均化されなくてもよい。この場合、制御部53は、電圧監視部52を通じて測定された平均化されない電圧値Vaと各閾値S1〜S4とを比較する。また、制御部53は、電圧監視部52を通じて測定された平均化されない電圧値Vaから差分△Vn,△Vn+1を求めてもよい。
さらに、上記実施形態においては、制御部53は、ステップS204において、差分△Vn,△Vn+1について平均化処理を行っていたが、平均化処理を行わなくてもよい。この場合、制御部53は、平均化されない差分△Vn,△Vn+1から新閾値Sm´を算出する。
【0049】
上記実施形態においては、制御部53は、基準値Vn及び閾値Smを補正する際、基準値Vn及び閾値Smの初期値(製品出荷時の値)を記憶部55に保持しておいてもよい。また、制御部53はOBD(On-board diagnostics)やCAN(Controller Area Network)などの図示しない通信部を介して外部に基準値Vn及び閾値Smの補正がどの程度実行されているかを送信するように構成してもよい。これにより、ディーラー又はユーザーは、基準値Vn及び閾値Smの補正がどの程度実行されているかを自己診断機能などを用いて知ることができる。これにより、フューエルセンサー2の経年劣化の程度を把握可能となり、フューエルセンサー2の交換時期を精度よく知ることができる。
【0050】
上記実施形態においては、制御部53は、2つの平均化された差分△Vn+1av,△Vnavに基づき閾値Smを補正していたが、1つの差分△Vnavに基づき閾値Smを補正してもよい。この場合、制御部53は、閾値Smに1つの差分△Vnavを加算することで閾値Smを補正する。
【0051】
上記実施形態においては、記憶部55は、マイコン4の外部に設けられていたが、マイコン4に内蔵されていてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…残燃料検出装置
2…フューエルセンサー
3…メータ
4…マイコン
10〜14…抵抗
20〜24…固定接点
30…可動接点
50…電源
51…検出抵抗
52…電圧監視部
53…制御部
54…表示部
55…記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7