特許第6561889号(P6561889)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6561889トランスリフタ及びトランスリフタの使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561889
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】トランスリフタ及びトランスリフタの使用方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/10 20060101AFI20190808BHJP
   B62D 55/32 20060101ALI20190808BHJP
   E02F 9/02 20060101ALI20190808BHJP
   B60S 13/00 20060101ALI20190808BHJP
   B66F 7/16 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   B62D55/10 Z
   B62D55/32
   E02F9/02 A
   B60S13/00
   B66F7/16
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-70534(P2016-70534)
(22)【出願日】2016年3月31日
(65)【公開番号】特開2017-178139(P2017-178139A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136250
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 博臣
(72)【発明者】
【氏名】宮野 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】山崎 隆典
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−100192(JP,A)
【文献】 特開2015−155229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/10
B60S 13/00
B62D 55/32
B66F 7/16
E02F 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械を持ち上げるトランスリフタであって、
前記作業機械のカーボディの両側に装着される一対のクローラの間に配置可能な第1幅を第1方向に有すると共に前記第1方向に直交する第2方向に第2幅を有する矩形状の台座と、
前記台座の四隅にそれぞれ設けられるアームであって前記第1方向に延びる姿勢と前記第2方向に延びる姿勢とを取り得るように前記台座に対して回動可能に接続されるアームと、
前記アームの先端に回動可能に接続されるシリンダであって軸方向が前記アームの長手方向に平行となる第1状態と前記軸方向が前記長手方向に直交する第2状態とを切り替え可能なシリンダと、
を備えることを特徴とするトランスリフタ。
【請求項2】
前記アームが前記第1方向に延びる姿勢を取る場合に、前記アームは前記第2幅に収まるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のトランスリフタ。
【請求項3】
前記アームが前記第2方向に延びる姿勢を取る場合に、前記アームは前記第1幅に収まるように構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のトランスリフタ。
【請求項4】
前記シリンダが前記第1状態の場合に、前記台座の下面は、前記シリンダ及び前記アームよりも低い位置にあることを特徴とする請求項1から3のうち何れかに記載のトランスリフタ。
【請求項5】
前記台座は、前記第2方向の一端側に設けられ第1の長さを有する第1ピンであって前記カーボディの一端側に設けられたガイド部に係合可能な第1ピンを有することを特徴とする請求項1から4のうち何れかに記載のトランスリフタ。
【請求項6】
前記台座は、前記第2方向の他端側に設けられ前記第1の長さよりも短い第2の長さを有する第2ピンであって前記カーボディの持ち上げに伴って前記カーボディの他端側に設けられた挿通穴に挿通する第2ピンを更に有することを特徴とする請求項5に記載のトランスリフタ。
【請求項7】
作業機械のカーボディの両側に装着される一対のクローラの間に配置可能な第1幅を第1方向に有すると共に前記第1幅より大きい第2幅を前記第1方向に直交する第2方向に有する矩形状の台座と、
前記台座の四隅にそれぞれ設けられるアームであって前記第1方向に延びる姿勢と前記第2方向に延びる姿勢とを取り得るように前記台座に対して回動可能に接続されるアームと、
前記アームの先端に回動可能に接続されるシリンダであって軸方向が前記アームの長手方向に平行となる第1状態と前記軸方向が前記長手方向に直交する第2状態とを切り替え可能なシリンダと、
を備えるトランスリフタの使用方法であって、
a)前記アームが前記第2方向に延びる姿勢を取り且つ前記シリンダが前記第1状態にある前記トランスリフタに前記作業機械を誘導し、前記クローラの間且つ前記カーボディの下側に前記台座を配置するステップと、
b)前記シリンダを回動して前記第2状態に移行させると共に、前記シリンダを動作させて前記カーボディを持ち上げるステップと、
c)前記カーボディを持ち上げた状態で前記クローラを前記カーボディから取り外すステップと、
を備えることを特徴とするトランスリフタの使用方法。
【請求項8】
d)トレーラの荷台が前記台座の下側に配置されるように前記トレーラを誘導するステップと、
e)前記シリンダを動作させて前記カーボディを前記台座とともに前記荷台に載置するステップと、
f)前記シリンダを回動して前記第1状態に移行させる共に、前記アームを回動して前記第1方向に延びる姿勢にするステップと、
を更に備えることを特徴とする請求項7に記載のトランスリフタの使用方法。
【請求項9】
前記台座は、前記第2方向の一端側に設けられ第1の長さを有する第1ピンを有し、
前記ステップa)において、前記第1ピンを前記カーボディの一端側に設けられたガイド部に係合させた状態で前記トランスリフタを引きずって前記トランスリフタの位置合わせを行うことを特徴とする請求項7又は8に記載のトランスリフタの使用方法。
【請求項10】
前記台座は、前記第2方向の他端側に設けられ前記第1の長さよりも短い第2の長さを有する第2ピンを有し、
前記ステップb)において、前記カーボディを持ち上げる際に前記カーボディの他端側に設けられた挿通穴に前記第2ピンを挿通させることを特徴とする請求項9に記載のトランスリフタの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械のカーボディを持ち上げるトランスリフタ及びそれに関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
クローラを備えた作業機械では、専用のトランスリフタによって機械本体を持ち上げた状態でクローラを取り外している。例えば、特許文献1の図2に示されるように、トラックフレーム(12)の前後両側には、トラックフレーム(12)を持ち上げるための前後一対のトランスリフタ装置(30)が配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−155229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、クレーンにより機械本体を吊った状態でトランスリフタ装置(30)を前後に装着しなければならず、トランスリフタ(30)の機械本体への装着が難しかった。
【0005】
そこで、本発明は、カーボディに対して容易に装着することが可能なトランスリフタ及びそれに関連する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、作業機械を持ち上げるトランスリフタであって、前記作業機械のカーボディの両側に装着される一対のクローラの間に配置可能な第1幅を第1方向に有すると共に前記第1方向に直交する第2方向に第2幅を有する矩形状の台座と、前記台座の四隅にそれぞれ設けられるアームであって前記第1方向に延びる姿勢と前記第2方向に延びる姿勢とを取り得るように前記台座に対して回動可能に接続されるアームと、前記アームの先端に回動可能に接続されるシリンダであって軸方向が前記アームの長手方向に平行となる第1状態と前記軸方向が前記長手方向に直交する第2状態とを切り替え可能なシリンダとを備えることを特徴とするトランスリフタを提供している。
【0007】
また、前記アームが前記第1方向に延びる姿勢を取る場合に、前記アームは前記第2幅に収まるように構成されるのが好ましい。
【0008】
また、前記アームが前記第2方向に延びる姿勢を取る場合に、前記アームは前記第1幅に収まるように構成されるのが好ましい。
【0009】
また、前記シリンダが前記第1状態の場合に、前記台座の下面は、前記シリンダ及び前記アームよりも低い位置にあるのが好ましい。
【0010】
前記台座は、前記第2方向の一端側に設けられ第1の長さを有する第1ピンであって前記カーボディの一端側に設けられたガイド部に係合可能な第1ピンを有するのが好ましい。
【0011】
前記台座は、前記第2方向の他端側に設けられ前記第1の長さよりも短い第2の長さを有する第2ピンであって前記カーボディの持ち上げに伴って前記カーボディの他端側に設けられた挿通穴に挿通する第2ピンを更に有するのが好ましい。
【0012】
また、本発明は、作業機械のカーボディの両側に装着される一対のクローラの間に配置可能な第1幅を第1方向に有すると共に前記第1幅より大きい第2幅を前記第1方向に直交する第2方向に有する矩形状の台座と、前記台座の四隅にそれぞれ設けられるアームであって前記第1方向に延びる姿勢と前記第2方向に延びる姿勢とを取り得るように前記台座に対して回動可能に接続されるアームと、前記アームの先端に回動可能に接続されるシリンダであって軸方向が前記アームの長手方向に平行となる第1状態と前記軸方向が前記長手方向に直交する第2状態とを切り替え可能なシリンダとを備えるトランスリフタの使用方法であって、a)前記アームが前記第2方向に延びる姿勢を取り且つ前記シリンダが前記第1状態にある前記トランスリフタに前記作業機械を誘導し、前記クローラの間且つ前記カーボディの下側に前記台座を配置するステップと、b)前記シリンダを回動して前記第2状態に移行させると共に、前記シリンダを動作させて前記カーボディを持ち上げるステップと、c)前記カーボディを持ち上げた状態で前記クローラを前記カーボディから取り外すステップとを備えることを特徴とするトランスリフタの使用方法を更に提供している。
【0013】
また、d)トレーラの荷台が前記台座の下側に配置されるように前記トレーラを誘導するステップと、e)前記シリンダを動作させて前記カーボディを前記台座とともに前記荷台に載置するステップと、f)前記シリンダを回動して前記第1状態に移行させる共に、前記アームを回動して前記第1方向に延びる姿勢にするステップとを更に備えるのが好ましい。
【0014】
また、前記台座は、前記第2方向の一端側に設けられ第1の長さを有する第1ピンを有し、前記ステップa)において、前記第1ピンを前記カーボディの一端側に設けられたガイド部に係合させた状態で前記トランスリフタを引きずって前記トランスリフタの位置合わせを行うのが好ましい。
【0015】
また、前記台座は、前記第2方向の他端側に設けられ前記第1の長さよりも短い第2の長さを有する第2ピンを有し、前記ステップb)において、前記カーボディを持ち上げる際に前記カーボディの他端側に設けられた挿通穴に前記第2ピンを挿通させるのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、クローラの間に配置可能な台座と、台座の四隅に設けられるアームと、アームの先端に回動可能に接続されるシリンダとが一体的に構成されている。そのため、カーボディをクレーンで吊ることなく、トランスリフタをカーボディに装着することが可能である。すなわち、カーボディに対してトランスリフタを容易に装着することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態によるトランスリフタを示す斜視図。
図2】クローラが装着されたカーボディを左側前方から見た斜視図。
図3】クローラが装着されたカーボディを左側後方から見た斜視図。
図4】アームが前後方向に延びる姿勢を取っている様子を示す斜視図。
図5】アームが左右方向に延びる姿勢を取っている様子を示す斜視図。
図6】アームに接続されるシリンダを説明するための側面図。
図7】作業機械をトランスリフタに誘導する様子を示す斜視図。
図8】垂直状態にあるシリンダを示す平面図(a)及び側面図(b)。
図9】トランスリフタを用いてカーボディを持ち上げている様子を示す斜視図。
図10】クローラが取り外されたカーボディを示す斜視図。
図11】台座の下側にトレーラの荷台を誘導する様子を示す斜視図。
図12】カーボディを台座とともにトレーラの荷台に載置した状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<1.実施形態>
本発明の実施形態によるトランスリフタ及びトランスリフタの使用方法について図1乃至図12に基づき説明する。トランスリフタは、作業機械のカーボディからクローラを取り外す際にカーボディを持ち上げるための装置である。なお、各図面では、必要に応じて前後方向、左右方向及び上下方向を定義している。
【0019】
以下、本発明に係るトランスリフタの一例として、図1に示すトランスリフタ1を例示する。また、トランスリフタ1を装着する作業機械の一例として、図2及び図3に示す作業機械10を例示する。作業機械10は、カーボディ2と、カーボディ2の左右両側に装着される一対のクローラ4と、不図示の上部旋回体とを備えている。なお、説明の都合上、その他の図面においても上部旋回体については不図示としている。
【0020】
図1に示すように、トランスリフタ1は、長方形状の台座3と、台座3の四隅から突出するように設けられるアーム5と、アーム5の先端に回動可能に接続されるシリンダ7とを備えて構成される。
【0021】
台座3は、一対のクローラ4(図2,3)の間に配置可能な幅W1を左右方向に有する。また、台座3は、クローラ4が取り外されたカーボディ2を載置するトレーラの荷台9(図11)の幅9Wよりも短い幅W2を前後方向に有する。なお、「左右方向」は本発明に係る「第1方向」の一例であり、「前後方向」は本発明に係る「第2方向」の一例である。また、幅W1は本発明に係る「第1幅」の一例であり、幅W2は本発明に係る「第2幅」の一例である。
【0022】
また、図1に示すように、台座3の上面には、2本の位置合わせ用ピン31が前後方向の一端側(図面前側)に設けられると共に、2本の固定用ピン33が前後方向の他端側(図面後側)に設けられている。位置合わせ用ピン31は本発明に係る「第1ピン」の一例であり、固定用ピン33は本発明に係る「第2ピン」の一例である。
【0023】
位置合わせ用ピン31は、トランスリフタ1をカーボディ2に装着する際に、カーボディ2の前側に設けられたガイド溝21(図2参照)に係合し、トランスリフタ1を位置合わせするためのピンである。なお、位置合わせ用ピン31によるトランスリフタ1の位置合わせ方法については後述する。
【0024】
固定用ピン33は、トランスリフタ1を用いてカーボディ2を持ち上げた際に、カーボディ2の後側に設けられた挿通穴23(図3参照)に挿通し、トランスリフタ1をカーボディ2に固定するためのピンである。この固定用ピン33は、位置合わせ用ピン31よりも短い。なお、固定用ピン33によるトランスリフタ1の固定方法については後述する。
【0025】
アーム5は、台座3に対して回動可能に接続されており、前後方向に延びる姿勢P1(図4参照)と左右方向に延びる姿勢P2(図5参照)とを取ることができる。すなわち、各アーム5は90度水平方向に回動可能に構成されている。
【0026】
図7に示すように、カーボディ2に装着されるクローラ4の間に台座3が配置される場合において、アーム5は前後方向に延びる姿勢P1を取る。アーム5が姿勢P1を取る場合に、アーム5は幅W1(図1)に収まるように構成されている。そのため、トランスリフタ1をクローラ4の間に確実に配置できる。一方、図12に示すように、トレーラの荷台9に載置される場合において、アーム5は左右方向に延びる姿勢P2を取る。アーム5が姿勢P2を取る場合に、アーム5は幅W2(図1)に収まるように構成されている。ここで、台座3の前後方向の幅W2は、トレーラの荷台9の幅9W(図11)よりも短いため、トランスリフタ1をトレーラの荷台9に確実に収めることが可能である。
【0027】
また、図6に示すように、アーム5のうち、台座3に接続される基端側の一部である部分51は、台座3の上下方向の厚さと略同じ厚さで構成されている。また、アーム5のうち、基端側とは反対側の先端側の一部である部分53は、台座3の上面3Uよりも上側に突出する凸部530を備えており、部分51の厚さよりも大きな厚さを有する。
【0028】
シリンダ7は、アーム5の先端に回動可能に接続され、水平状態ST1(実線)と垂直状態ST2(破線)とを切り替え可能に構成されている。水平状態ST1は、シリンダ7の軸方向7Aがアーム5の長手方向(前後方向)に平行となる状態であり、本発明に係る「第1状態」の一例である(図4,5)。垂直状態ST2(破線)は、シリンダ7の軸方向7Aがアーム5の長手方向と直交する状態であり、本発明に係る「第2状態」の一例である(図1)。シリンダ7の回動軸70は、アーム5の凸部530の先端部に配置される。
【0029】
図6に示すように、シリンダ7が水平状態ST1の場合に、台座3の下面3Lは、シリンダ7及びアーム5よりも低い位置にある。
【0030】
続いて、トランスリフタ1の使用方法について説明する。具体的には、トランスリフタ1を使用して作業機械を持ち上げ、カーボディ2からクローラ4を取り外す方法について説明する。また、クローラ4が取り外されたカーボディ2をトランスリフタ1とともにトレーラの荷台9に載置する方法について説明する。
【0031】
まず、トランスリフタ1を番木(不図示)の上に設置し、トランスリフタ1のアーム5を前後方向に延びる姿勢P1(図4)にすると共にシリンダ7を水平状態ST1(図6)にする。これにより、トランスリフタ1は、台座3の位置合わせ用ピン31(図1)をカーボディ2のガイド溝21(図2)に係合させることが可能な高さに配置される。また、トランスリフタ1は、位置合わせ用ピン31が前方に位置すると共に固定用ピン33が後方に位置するように配置される。
【0032】
次に、図7に示すように、作業機械10をトランスリフタ1に誘導する。そして、カーボディ2の前側に設けられたガイド溝21を台座3の上面前方の位置合わせ用ピン31に係合させる。
【0033】
ガイド溝21が位置合わせ用ピン31に係合すると、作業機械10をさらに前進させ、位置合わせ用ピン31がガイド溝21に係合した状態でトランスリフタ1を若干引きずる。これにより、トランスリフタ1がカーボディ2の下側の所定位置に配置される。すなわち、トランスリフタ1を引きずることによって、トランスリフタ1の位置合わせが行われる。
【0034】
その後、シリンダ7を回動させて垂直状態ST2に移行させ、アーム5を左右方向外側に若干回動させる(図8(a))。なお、図8では、説明の都合上、トランスリフタ1のみを図示しているが、実際にはトランスリフタ1の上側には作業機械10のカーボディ2が存在する。
【0035】
シリンダ7を垂直状態ST2に移行させた後、図9に示すように、シリンダ7を動作させ、クローラ4が装着されたカーボディ2を持ち上げる。このとき、台座3の上面後方に設けられた固定用ピン33(図1)がカーボディ2の後側に設けられた挿通穴23(図3)に挿通し、トランスリフタ1がカーボディ2に対して固定される。
【0036】
この後、クローラ4を不図示のクレーンで吊りながら、カーボディの左右両側に設置されている油圧シリンダ24(図10参照)によってクローラ4を外側へ押し出してカーボディ2から取り外す。図10では、クローラ4が取り外された直後の様子が示されている。
【0037】
続いて、図11に示すように、トレーラの荷台9が台座3の下側に配置されるようにトレーラを誘導する。そして、トレーラの荷台9が台座3の下側に配置されると、シリンダ7を動作させてカーボディ2を台座3とともに荷台9に載置する(図12)。さらに、シリンダ7を回動して水平状態に移行させると共に、アーム5を回動して左右方向に延びる姿勢にする。
【0038】
最後に、不図示の上部旋回体の前方が左方向(トレーラの前方)を向くように90度旋回させる。これにより、作業機械10は輸送可能な状態となる。
【0039】
以上、本実施形態によれば、クローラ4の間に配置可能な台座3と、台座3の四隅に設けられるアーム5と、アーム5の先端に回動可能に接続されるシリンダ7とが一体的に構成されている。そのため、カーボディ2をクレーンで吊ることなく、トランスリフタ1をカーボディ2に装着することが可能である。すなわち、カーボディ2に対してトランスリフタ1を容易に装着することが可能である。
【0040】
また、本実施形態によれば、トランスリフタ1は作業機械10に対して脱着可能に構成されているため、解体ガラや岩石の接触によって破損することがない。
【0041】
また、本実施形態によれば、トランスリフタ1の台座3によってカーボディ2が持ち上げられる構成を採用しているため、トランスリフタをクローラの下側に配置して持ち上げる構成を採用するものに比べ、カーボディ2の持ち上げ量を低減することが可能である。
【0042】
また、本実施形態によれば、作業機械10の輸送時において、作業機械10とともにトランスリフタ1も一緒に輸送できるので、トランスリフタ1を分解する手間を省ける。
【0043】
また、本実施形態によれば、トランスリフタ1がトレーラの荷台9に載置される際に、アーム5が左右方向に延びる姿勢P2を取るため、トランスリフタ1の前後方向の長さを台座3の前後方向の幅W2に抑えることができる。
【0044】
また、本実施形態では、図6に示すように、シリンダ7が水平状態ST1の場合に、台座3の下面は、シリンダ7及びアーム5よりも低い位置にあるため、トランスリフタ1及びその上に載置される作業機械10を台座3の下面で支持することが可能である。換言すれば、トランスリフタ1及びその上に載置される作業機械10をシリンダ7やアーム6で支持する必要がない。
【0045】
また、本実施形態によれば、シリンダ7の回動軸70がアーム5の凸部530の先端部(すなわち台座3の上面3Uよりも上側)に配置されるので、水平状態ST1においてシリンダ7をアーム5の内部に収めることができる。
【0046】
<2.変形例>
本発明によるトランスリフタは上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0047】
例えば、上記実施形態では、台座3の上面前方に位置合わせ用ピン31が設けられる場合を例示したが、当該位置合わせ用ピン31は必ずしも必須ではなく、トランスリフタ1を別の方法(目視等)で位置合わせするようにしてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、台座3の上面後方に固定用ピン33が設けられる場合を例示したが、当該固定用ピン33は必ずしも必須ではない。トランスリフタ1をカーボディ2に対して別の方法(外付けの固定部材)で固定するようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、位置合わせ用ピン31及び固定用ピン33をそれぞれ2本ずつ設ける場合を例示したが、位置合わせ用ピン31及び固定用ピン33の本数はこれらに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上のように本発明にかかるトランスリフタは、クローラが装着された作業機械を持ち上げるのに適している。
【符号の説明】
【0051】
1 トランスリフタ、2 カーボディ、3 台座、3U 上面、3L 下面、
4 クローラ、5 アーム、7 シリンダ、7A 軸方向、9 荷台、9W 幅、
10 作業機械、21 ガイド溝、23 挿通穴、24 油圧シリンダ、
31 位置合わせ用ピン、33 固定用ピン、51,53 部分、70 回動軸、
530 凸部、P1,P2 姿勢、ST1 水平状態、ST2 垂直状態、W1,W2 幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12