(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記端縁部における前記一端は、前記列設状態で取り付けられた前記複数の手摺デッキの内、一端側に設置された端部手摺デッキの端縁部における、これに隣接する手摺デッキから遠い方の一端であることを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベア。
前記列設状態で取り付けられた前記複数の手摺デッキの内、両端部に設置された手摺デッキを除く中間に設置された中間手摺デッキの端縁部の一部が切除されていて、残余の端縁部の一端が、前記端縁カバーが挿通される前記一端であることを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベア。
前記端縁カバーに外力が加わって、前記溝の深さ方向、前記欄干パネルに向かってスライドされた際、当該端縁カバーにおいて前記主面に対向する部分が当該主面に当接してそれ以上のスライドが制限されることにより、当該端縁カバーの前記手摺デッキからの前記深さ方向への抜け防止が図られていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の乗客コンベア。
前記端縁カバーは、前記溝に対して前記取付部材と反対側に、前記主面に対して傾斜した斜面を有し、当該斜面の前記主面と成す角度が45度以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の乗客コンベア。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るエスカレータの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、
図2、
図10、および
図12においては、煩雑さを避けるため、断面であることを示すハッチングは省略している。
【0022】
図1に示すように、実施形態に係るエスカレータ10は、環状に連結されて循環走行し、乗客を搬送する無端搬送体である複数の踏段12を有する。踏段12の走行路および上下の昇降口を含む乗客の通路PWの両側には、欄干14,16が設置されている。なお、
図1において、欄干14,16に設けられた後述の照明器具32は省略している。
【0023】
欄干14,16の各々は、通路PWに沿って列設された複数の欄干パネル11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31を有する(
図1において、欄干パネルは、片側の欄干14を構成する欄干パネルのみに符号を付している。)。欄干パネル11,…,31の各々は、例えば、ガラス製であり、強化板ガラスの片面に飛散防止フィルムが貼着されてなるものである。ここで、複数の欄干パネル11,…,31の内、列設方向において両端部に設けられた端部欄干パネルを特に区別する必要がある場合、当該端部欄干パネルを「ニューエルパネル11,31」と称し、ニューエルパネル11,31以外の欄干パネルを「中間パネル13,…,29」と称することとする。
【0024】
欄干パネル11,…,31の外周には、ガイドレール(
図1では不図示)に案内され、踏段12と同じ向きに同じ速度で循環走行する無端ベルト状をした移動手摺20,22がそれぞれ設けられている。前記ガイドレールに案内される移動手摺20,22は、欄干パネル11,…,31の上部縁辺部に沿って走行する区間(乗客が掴む区間)では、水平方向に走行した後、カーブして直線的に斜行し、またカーブして再び水平方向に走行する。
【0025】
エスカレータ10は、例えば、建築物内の階下のフロアDSと階上のフロアUSとの間に架け渡されて設置されている。エスカレータ10は、踏段12の走行の向きが切り替えられて、昇り用あるいは下り用として用いられ、踏段12に乗った乗客が、階下のフロアDSから階上のフロアUS、あるいは階上のフロアUSから階下のフロアDSへと搬送される。
【0026】
次に、欄干14,16について説明する。欄干14と欄干16とは、通路PWを挟んで対称的に設置されていて、基本的には、同じ構成を有している。よって、欄干14を代表に説明し、欄干16についての説明は省略することとする。
【0027】
欄干14を構成する複数枚の欄干パネル11,…,31の各々は、その下部縁辺部が、通路PWに沿って設置された、複数台の、
図2に示す固定器具26によってトラス28に固定されている。欄干パネル11,…,31の1枚当り、そのサイズに応じた台数(2台〜4台)の固定器具26が用いられる。
【0028】
一方、複数枚の欄干パネル11,…,31の上部縁辺部には、被固定部材である取付部材30が複数本、列を成して固定され、取付部材30を介して照明器具32が取り付けられている。取付部材30は、アルミニウムの押出形材のブロック体からなり、欄干パネル13の縁辺部に沿って、その複数本が間隔を空けて列設されている。取付部材30は、移動手摺20が斜行する区間においては、直線状をしたものが、カーブする区間では、当該カーブに合わせた湾曲部分を有するものが用いられるが、いずれも横断面は略同じ形状をしている。
【0029】
ここではニューエルパネル11に隣接する欄干パネル13を代表に、これを支持する固定器具26等の構成について説明する。
【0030】
照明器具32は、取付部材30にL字アングル部材34を介して取り付けられたホルダ36を有し、ホルダ36には、蛍光ランプ38が嵌め込まれている。
【0031】
取付部材30には、また、手摺デッキ40が設置されている。手摺デッキ40は、
図3に示すように、角筒体の一側壁の一部が全長に亘って開口されてなる金属製の板体であって、横断面が略「コ」字状をした長尺部材である。手摺デッキ40は、金属板体を板金加工したものであり、当該金属には、例えば、鉄鋼材料(例えば、ステンレス鋼)が用いられる。
【0032】
手摺デッキ40は、その開口部401を、
図2に示すように、欄干パネル13の縁辺部(図示例では、上部縁辺部)に向けて取付部材30に被せられて、取付部材30に取付られている。
【0033】
取り付けられた状態で、手摺デッキ40は、欄干パネル13に対して通路PWと反対側に大きく張り出しており、当該張り出した部分に照明器具32が組み込まれている。すなわち、このように大きく張り出させることによって、照明器具32を組み込み可能にしている。
【0034】
手摺デッキ40の通路PW側とは反対側の端部と取付部材30との間には、蛍光ランプ38を覆うように、合成樹脂からなる半透明のランプカバー42が設けられている。
【0035】
手摺デッキ40の通路PW側の端縁部402は、取付部材30の一部(通路PW側端部)を取り囲むように欄干パネル13の通路PW側の主面13Bに向かって屈曲されている。端縁部402には、
図3に示すように、厚み方向に貫通し、長さ方向に長い長孔403が開設されている。長孔403は、後述する締付ねじ60(
図4、
図4(a)、
図7(a))を締め付けたり弛めたりするための六角レンチ(不図示)や、弛めねじ64(
図8)を手摺デッキ40内側へ通すための貫通孔である。
【0036】
手摺デッキ40の端縁部402には、
図2に示すように、端縁カバー24が装着されているが、端縁カバー24については後述する。
【0037】
一本の手摺デッキ40は、一本の取付部材30よりも長く、複数本の取付部材30に亘って、一本の手摺デッキ40が取り付けられている。これにより、隣接する取付部材30は、両者に取り付けられた手摺デッキ40によって連結されていることになる。
【0038】
手摺デッキ40は、移動手摺20が斜行する区間では、
図3に示すストレートのものが、移動手摺20がカーブする区間では、当該カーブに合わせて湾曲されたものが用いられる。手摺デッキ40は、複数本が長手方向における端面同士を突き合わせた形で列設されている。このように列設された手摺デッキ列の両端部の手摺デッキは、ニューエルパネル11,31(
図1)の下部縁辺部に設置されている。ここで、ニューエルパネル11の下部縁辺部に設置された手摺デッキを「上端部手摺デッキ」と称し、ニューエルパネル31の下部縁辺部に設置された手摺デッキを「下端部手摺デッキ」と称し、上端部手摺デッキおよび下端部手摺デッキを除く中間に設置された手摺デッキを「中間手摺デッキ」と称することとする。
【0039】
なお、列設された手摺デッキの各々は、いずれも同様の横断面形状をしている。また、列設された手摺デッキにおいて、照明器具32は、ニューエルパネル11の上部縁辺部からニューエルパネル31の上部縁辺部に至る区間に設置されている。
【0040】
取付部材30上部には、
図2に示すように、手摺デッキ40を介してガイドレール44が固定されている。ガイドレール44は、例えば、ステンレス鋼板を板金加工して作製されたものである。ガイドレール44は、取付部材30上面に対応する底板部44Aを有し、底板部44Aがスポット溶接(不図示)等により手摺デッキ40に接合されている。ガイドレール44は、また、底板部44Aの両端縁から上方へ立ち上がった縦板部44B,44Cと、縦板部44B,44Cの上端から外方へ張り出したフランジ部44D,44Eとを有する。
【0041】
ガイドレール44において、両フランジ部44D,44Eに移動手摺20が取り付けられている。
【0042】
上記のようにして、照明器具32やガイドレール44が設けられた取付部材30の欄干パネル13上部縁辺部への固定構造について、
図4を参照しながら説明する。なお、
図4(a)は、後述する締付ねじ60の軸心を含む平面で切断した図であり、
図4(b)は、後述する六角穴付ボルト62の軸心を含む平面で切断した図である。
【0043】
図4に示すように、取付部材30は、欄干パネル13の縁辺部に沿った溝部46を有し、溝部46に欄干パネル13の縁辺部(本例では、上部縁辺部)が嵌め込まれている。
【0044】
溝部46の第1壁面46Aは、欄干パネル13の第1主面13Aに平行に形成されている。第1壁面46Aに対向する第2壁面46Bは、溝部46の底部46Cからの高さが高くなる程(本例では、下方へ行くほど)欄干パネル13の第2主面13Bとの間隔が広くなるよう第2主面13Bに対し傾斜した面に形成されている。ここで、第2主面13Bが通路PWに面している側の主面である(
図2)。
【0045】
欄干パネル13の上部縁辺部には、欄干パネル13を保護する保護部材48が被せられている。保護部材48は、横断面が略「コ」字状をした、ゴム製の押出成形材からなるクッションゴム50とこれよりも一回り大きな略「コ」字状の横断面を有する薄板状の金属カバー52とからなる。金属カバー52には、例えば、ステンレス鋼が用いられる。
【0046】
欄干パネル13の第2主面13Bと溝部46の第2壁面46Bとの間には、くさび部材54が設けられている。くさび部材54は、金属材料(例えば、ステンレス鋼)、または硬質の合成樹脂からなる。
【0047】
図5に示すように、くさび部材54は、全体的に直角三角形状をした横断面を有する棒状をしている。くさび部材54は、一つの取付部材30に対し、複数本が間隔を空けて用いられる。
【0048】
くさび部材54は、
図4に示す状態で、欄干パネル13の第2主面13Bと対向する押圧面54Aと、溝部46の第2壁面46Bに沿った斜面54Bとを含む。略直角三角形状をした両側面以外の残りの面を下面54Cと称することとする。
【0049】
図5に示すように、くさび部材54の長さ方向中央部には、溝部46(
図4)の深さ方向(本例では、上下方向)に貫通するねじ挿通孔54Dが開設されている。ねじ挿通孔54Dは、
図4に示す状態において、平面視で、欄干パネル13の厚み方向に長い長孔である。
【0050】
くさび部材54の長さ方向において、ねじ挿通孔54Dの両側には、前記深さ方向(本例では、上下方向)に貫通する雌ねじ54E、54Fが形成されている。
【0051】
両雌ねじ54E,54Fのさらに両側には、後述する六角穴付ボルト62が挿入される挿通孔54G、54Hが開設されている。両挿通孔54G,54Hは、ねじ挿通孔54Dと同様の長孔である。
【0052】
上記の構成からなるくさび部材54が設けられる取付部材30部分について、
図6を参照しながら説明する。
【0053】
取付部材30には、くさび部材54のねじ挿通孔54D(
図4(a)、
図5)に対応させて、前記深さ方向(本例では、上下方向)に雌ねじ301が形成されている。
【0054】
取付部材30の長さ方向において、雌ねじ301の両側には、くさび部材54の挿通孔54G,54H(
図4(b)、
図5)に対応させて、前記深さ方向(本例では、上下方向)に雌ねじ302、303が形成されている。雌ねじ302,303の上側の開口側には、
図6(a)、(c)に示すように、深ざぐりがなされている。
【0055】
取付部材30の、くさび部材54が設けられる部分において、雌ねじ301,302,303が形成されている箇所以外は、V-V線断面図に代表されるように、第2壁面46Bは平坦な面になっている。なお、V-V線断面図は、くさび部材54の雌ねじ54E,54F(
図5(a))に対応する位置で切断した断面図である。
【0056】
図4に戻り、欄干パネル13上部縁辺部への取付部材30の固定態様について説明する。
図4(a)に示すように、平座金56、ばね座金58が嵌められた締付ねじ60が、くさび部材54のねじ挿通孔54Dに、溝部46の開口側(本例では、下側)から挿入され、取付部材30の雌ねじ301に螺合している。締付ねじ60には、例えば、低頭六角穴付ボルトが用いられる。
【0057】
図4(a)、(b)は、締付ねじ60の締め付けにより、取付部材30が欄干パネル13に固定されている状態を示している。不図示の六角レンチが用いられて締付ねじ60が締め付けられると、くさび部材54は、その斜面54Bが取付部材30の第2壁面46Bに案内されて斜行し、欄干パネル13の第2主面13Bに向かって押圧される。これにより、くさび部材54の押圧面54Aと取付部材30の第1壁面46Aとで欄干パネル13の上部縁辺部が締め付けられて(挟持されて)、取付部材30が欄干パネル13に固定されることとなる。なお、締付ねじ60を締め付けたり、弛めたりするときは、予め、端縁カバー24は、後述のようにして手摺デッキ40から取り外される(脱着される)。
【0058】
取付部材30の雌ねじ302,303(
図6(a),(b),(c))の各々には、バー部材として六角穴付ボルト62(以下、単に「ボルト62」と言う。)がねじ込まれており、その頭部とは反対側のねじ部部分は、くさび部材54の挿通孔54G,54Hに挿入されている。
【0059】
取付部材30に設けたボルト62とくさび部材54に開設された挿通孔54G,54Hとは、締付ねじ60を締め付ける際および後述するように弛める際に、くさび部材54が締付ねじ60の軸心周りに回転するのを規制する規制手段として機能する。
【0060】
締付ねじ60を回すと、締付ねじ60が螺入されているくさび部材54は、締付ねじ60との間に生じる摩擦力によって、締付ねじ60の軸心周りに回転しようとする。この場合、何らの手当てをしないと、くさび部材54両端が周囲の部材にぶつかって、当該部材を損傷するおそれがある。
【0061】
そこで、周囲の部材にぶつかる迄回転する手前で、挿通孔54G,54Hの内壁にボルト62を当接させて、それ以上回転するのを規制しているのである。
【0062】
なお、当該規制手段として用いるバー部材は、ボルト62に限らず、例えば、ピンを用いても構わない。
【0063】
取付部材30の欄干パネル13に対する固定は、締付ねじ60を弛めることによって解除される。六角レンチ(不図示)を用いて締付ねじ60を弛めると、締付ねじ60は下方へ螺進する。その結果、締付ねじ60(の頭部)が、くさび部材54を第2壁面46Bに押圧する押圧力が解消され、ひいては、くさび部材54が欄干パネル13の第2主面13Bに向かって押圧される押圧力が解消される。
【0064】
これにより、くさび部材54は、自重によって、
図7(a)に示すように、その下面54Cが平座金56と当接するまで落下する。
【0065】
ところで、くさび部材54の保護部材48に対する食い込みの態様によっては、締付ねじ60を弛めても、くさび部材54が落下しない可能性がある。
【0066】
そこで、このような場合に、本実施形態では、弛めねじ64を用いる。弛めねじ64を用いた方法について、
図8を参照しながら説明する。
図8は、くさび部材54の雌ねじ54E(
図5)の軸心を含む平面で切断したくさび部材54の横断面を含む断面図である。
【0067】
締付ねじ60(
図4(a))を弛めた状態で、弛めねじ64を手摺デッキ40の長孔403に挿入して、雌ねじ54Eの下側の開口部から螺合させる。弛めねじ64には、例えば、図示のような、比較的長めの六角穴付ボルトが用いられる。
【0068】
弛めねじ64をねじ込んで行くと、弛めねじ64は上向きに螺進し、その先端が取付部材30の第2壁面46Bに当接する。当接後も弛めねじ64をねじ込むと、弛めねじ64はこれ以上螺進できないため、くさび部材54に対し相対的に下向きに螺進させようとする力が作用する。その結果、くさび部材54は、下向きに移動し、これによってくさび部材54が弛むこととなる。
【0069】
なお、弛めねじ64は、くさび部材54に常時螺合されているものではなく、欄干パネル13を取り外すときだけに用いられるものである。
【0070】
また、上記実施形態では、締付ねじ60と弛めねじ64として六角穴付ボルトを用いたが、これに限らず、六角ボルトを用いても構わない。あるいは、十字穴付ねじを用いても構わない。
【0071】
以上説明したように、欄干パネル13の上部縁辺部に嵌め込まれた溝部46の第2壁面46Bと欄干パネル13の第2主面13Bとの間に設けられたくさび部材54において、溝部46の深さ方向(本例では、上下方向)に貫通するねじ挿通孔54Dに、溝部46の開口側(本例では、下方側)から挿入され、取付部材30に形成された雌ねじ301に螺合された締付ねじ60を弛めると、取付部材30の欄干パネル13の上部縁辺部に対する固定が解除される。すなわち、取付部材30に対し、その下方から取付部材30の固定の解除ができるため、取付部材30に対し、その上方に取り付けられている部材(本例では、ガイドレール44)を取り外す必要が無い。
【0072】
取付部材30の固定が解除されると、欄干パネル13の上部縁辺部が取付部材30の溝部46に欄干パネル13の厚み方向に遊びを持って嵌った状態となる。このようになると、後述するように、欄干パネル13の下端部の固定が解除された状態で欄干パネル13下端部の、踏段12の通路PW側前方が開放されていれば、欄干パネル13を取り外すことができる。
【0073】
そのような固定構造とした固定器具26について説明する。
図9に示すように、固定器具26は、固定ブラケット66と可動ブラケット68とを有する。
【0074】
固定ブラケット66は、受け部材70と後述する複数の(本例では、4個の)規制部材92,94,96,98とを含む
【0075】
受け部材70には、本例ではZ形鋼が用いられる。受け部材70には支持板74が溶接(例えば、隅肉溶接)により接合されている(溶接ビードについては不図示)。
【0076】
図2に示すように、トラス28には、L形アングル材76がボルト78・ナット80によって固定されている。L形アングル材76には、
図9に示すように、長孔76Aが開設されており、ボルト78は長孔76Aおよびトラス28に開設された貫通孔(不図示)に挿入されて、ナット80とでL形アングル材76をトラス28に固定している。なお、
図9において、トラス28とボルト78・ナット80は図示していない。
【0077】
トラス28に固定されたL形アングル材76のトラス28から垂直に立ち上がった壁部76Bと支持板74とがボルト82・ナット(ナットは、図には現れていない)によって締結されている。
【0078】
これにより、受け部材70(固定ブラケット66)は支持板74とL形アングル材76を介してトラス28に取り付けられている(固定されている。)。
【0079】
図9に戻り、受け部材70には、複数の(本例では、4個の)軸支部材84,86,88,90が溶接(例えば、隅肉溶接)により接合されている(溶接ビードについては不図示)。軸支部材84は、
図2に示すように、L字状をした板体からなり、縦板部84Aにおいて受け部材70に接合されている。また、軸支部材84の横板部84Bの先端部分には、
図9に示すように、その厚み方向に軸孔84Cが開設されている。
【0080】
他の3個の軸支部材86,88,90は受け部材70の長手方向に間隔を空けて配されている。軸支部材86,88,90の各々は軸支部材84と略同様の形状をし、受け部材70に軸支部材84と同様に接合されている。すなわち、軸支部材86,88,90は、その縦板部(軸支部材86,88,90の縦板部は図に現れていない)において受け部材70に接合されており、横板部86B,88B,90Bの先端部分には、その厚み方向に軸孔86C,88C,90Cが開設されている。なお、4個の軸孔84C,86C,88C,90Cは同軸上に開設されている。
【0081】
軸支部材84,86,88,90の各々に隣接して、規制部材92,94,96,98がそれぞれ設けられている。規制部材92は、
図10に示すように、軸支部材84(
図2)において、その横板部84B(
図2)を短縮したような形状をしている。
図9に戻り、規制部材92,94,96,98の各々は、その縦板部92A,94A,96A,98Aが受け部材70に対し、軸支部材84と同様に接合されている。
【0082】
規制部材92,94,96,98各々の横板部92B,94B,96B,98Bにおける先端面の各々は、後述する回動アーム132,134,136,138各々の回動を規制する規制面92C,94C,96C,98Cとなる(
図9(b))。
【0083】
図11に示すように、受け部材70の下端部70Aの下面の長さ方向における両端部には、雌ねじ(不図示)が形成されたブロック部材100,102が接合されている。下端部70Aには、当該雌ねじに対応する貫通孔70B,70Cが開設されている。前記雌ねじには、下方から高さ調整ボルト104,106が螺入されていて、その先端が貫通孔70B,70Cから僅かに突出している。高さ調整ボルト104,106には、弛み止めナット108,110が螺合されている。
【0084】
受け部材70の下端部70Aの上面の両端部には、平板状をしたゴムなどの弾性部材からなるクッション部材であるクッションパッド112,114が貼着されている。
【0085】
図9に戻り、可動ブラケット68は、対向部材72と後述する複数の(本例では、4個の)回動アーム132,134,136,138とを含む。
【0086】
対向部材72には、本例ではL形鋼(不等辺山形鋼)が用いられる。
【0087】
対向部材72の長辺部72Aには、その厚み方向に貫通する雌ねじ(不図示)が複数個、形成されており、当該雌ねじの各々には、圧接部材である圧接ボルト116,118,120,122が螺入されている。また、圧接ボルト116,118,120,122の各々には、弛み止めナット124,126,128,130がそれぞれ螺合されている。
【0088】
対向部材72には、また、規制部材92,94,96,98の各々に対応させて回動アーム132,134,136,138が接合されている。回動アーム132,134,136,138の各々は、略角棒状をしていて、全長の半分程度を対向部材72の長辺部72Aに重ねた状態で対向部材72に溶接(例えば、隅肉溶接)により接合されている(溶接ビードについては不図示)。
【0089】
回動アーム132,134,136,138の対向部材72との接合部とは反対側の端部部分には軸孔132A,134A,136A,138Aが開設されている。4個の軸孔132A,134A,136A,138Aは、同軸上に開設されている。また、軸孔132A,134A,136A,138Aは、軸支部材84,86,88,90の軸孔84C,86C,88C,90Cと同じ径を有している。
【0090】
回動アーム132,134,136,138の各々において、軸孔132A,134A,136A,138Aの近傍には、後述するように、規制面92C,94C,96C,98Cと当接する当接面132B,134B,136B,138Bが形成されている。
【0091】
軸支部材84,86の軸孔84C,86Cと回動アーム132,134の軸孔132A,134Aには、第1シャフト140が遊挿されており、軸支部材88,90の軸孔88C,90Cと回動アーム136,138の軸孔136A,138Aには、第2シャフト142が遊挿されている。第1シャフト140と第2シャフト142の両端部には、抜け止め用のE形止め輪144,146が嵌め込まれている(いずれも、一方の端部側のE形止め輪は、図に現れていない。)。第1シャフト140と第2シャフト142とは、
図10に示すように、欄干パネル13の下端よりも下方において、
図9(a)に示すように、当該下端と平行に設けられている。
【0092】
上記の構成により、可動ブラケット68は、固定ブラケット66に対し、第1および第2のシャフト140,142によって、その軸心を中心として回動自在、かつ、当該軸心の方向にスライド自在に連結されている。なお、本例では、可動ブラケット68と固定ブラケット66を2本のシャフト(第1および第2のシャフト140,142)で連結したが、これに限らず、1本のシャフトで連結しても構わない。すなわち、軸支部材84,86,88,90に開設された軸孔84C,86C,88C,90Cと回動アーム132,134,136,138に開設された軸孔132A,134A,136A,138Aの全てに1本のシャフトを遊挿して、可動ブラケット68と固定ブラケット66を連結しても構わない。
【0093】
可動ブラケット68は、固定ブラケット66に対し、少なくとも、
図9(a)に示す第1の位置と
図9(b)に示す第2の位置との間でスライド自在とされている。
【0094】
第1の位置は、受け部材70に接合された規制部材92,94,96,98の規制面92C,94C,96C,98Cの各々に対向部材72に接合された回動アーム132,134,136,138の当接面132B,134B,136B,138B(
図11)の各々が対向する位置である。
【0095】
第2の位置は、固定ブラケット66に対し、第1の位置(
図9(a))から可動ブラケット68が第1および第2のシャフト140,142の軸心方向、矢印Cの向きにスライドして、
図9(b)に示すように、当接面132B,134B,136B,138Bの各々が規制面92C,94C,96C,98Cの各々に非対向となる位置である。
【0096】
第1の位置では、
図10に示すように、可動ブラケット68の一部である当接面132Bが、第1シャフト140の軸心と直交する仮想平面(不図示)内で固定ブラケット66の一部である規制面92Cに当接していて、可動ブラケット68の第1シャフト140を中心とする時計方向の回動が規制される。残りの当接面134B,136B,138Bも同様に対応する規制面134B,136B,138Bに当接していて、これによっても、可動ブラケット68の回動が規制されている。
【0097】
固定器具26は、可動ブラケット68が第1の位置にある状態で、欄干パネル13をトラス28に固定する。
【0098】
図2、
図10に示すように、欄干パネル13の下端部と固定ブラケット66の受け部材70における受け面70Dとの間には、長方形状をしたゴムなどからなる弾性部材であるクッションシート148が挟まれている。クッションシート148は、主面が受け面70Dと同じ形状をしており、受け面70Dに重ねた状態で、受け面70Dに貼着されている。
【0099】
欄干パネル13の下端部と圧接ボルト116,118,120,122(
図2、
図10には、2本のみが現れている)の先端と間には、圧接板150が挟まれている。圧接板150は、長方形をした鋼板と同じ長方形をしたゴムシートとが貼り合わされてなる2層構造をした板体(図には、当該2層構造を表していない)であり、欄干パネル13側にゴムシートがあてがわれる形で、挟みこまれている。
【0100】
欄干パネル13の下端面の一部は、クッションパッド112,114(
図2、
図10では、クッションパッド112のみが現れている)上面または高さ調整ボルト104,106の先端と当接していて(本例では、高さ調整ボルト104,106の先端と当接している。)、前記下端面はクッションパッド112,114または高さ調整ボルト104,106を介して可動ブラケット68の受け部材70における支持部である下端部70Aに支持されている。
【0101】
なお、高さ調整ボルト104,106は、以下の場合に用いられる。欄干パネル13をクッションパッド112,114に載せた状態で、欄干パネル13の高さが不足する場合には、高さ調整ボルト104,106を上向きに螺進させ、その先端を欄干パネル13の下端面に当接させて持ち上げることにより、欄干パネル13の高さを調整するのである。
【0102】
図2、
図10に示す状態で、受け面70Dと対向する対向部材72の雌ねじ(不図示)に螺入された(取り付けられた)圧接ボルト116,118,120,122(
図9(a))は、強く締め付けられていて、その先端が圧接板150を介して欄干パネル13の下端部を受け面70Dに向かって圧接することにより、欄干パネル13は、その下端部でトラス28に固定保持されている。圧接ボルト116,118,120,122の締め付けにより、可動ブラケット68は固定ブラケット66に対して、スライド不能となっている。そして、圧接ボルト116,118,120,122の弛みを防止するため、弛み止めナット124,126,128,130(
図9(a))が締め付けられている。
【0103】
上記のように欄干パネル13を支持する固定器具26と踏段12との間には、踏段12と僅かな隙間をあけてスカートガード152が立設されており、スカートガード152の上端部と欄干パネル13の下部との間には、当該下部や固定器具26を覆う内デッキ(不図示)が設けられている。また、欄干パネル13を挟んで通路PWとは反対側には、外デッキが設けられているのであるが、当該外デッキの図示についても省略する。内デッキと外デッキ(いずれも不図示)は、例えば、ステンレス鋼の板体からなり、通路PWに沿って複数枚が連設されている。
【0104】
欄干パネル13の固定器具26による固定は、以下のようにして解除される。
先ず、弛み止めナット124,126,128,130(
図9(a))を弛めた後、圧接ボルト116,118,120,122(
図9(a))を弛める。これにより、可動ブラケット68は、第1および第2シャフト140,142の軸心方向にスライド可能となる。
【0105】
可動ブラケット68を、矢印Cの向きに、
図9(b)に示す第2の位置までスライドさせる。次に、対向部材72が受け面70Dから遠ざかる向きに回動させ、
図11、
図12に示す状態とする。すなわち、欄干パネル13の下端部の通路PW側前方(
図12に矢印Fで示す方向)が開放される状態とする。
【0106】
欄干パネル13の上部縁辺部の取付部材30の固定が解除され、欄干パネル13の上部縁辺部が、取付部材30の溝部46に欄干パネル13の厚み方向に遊びを持って嵌った状態となっていれば、上述した通り、
図12に一点鎖線で示すように、欄干パネル13は、その下部を通路PW側へ振ることができる(全体を矢印Sの向きに傾けて斜めの姿勢にすることができる。)。下部を通路PW側に振った状態で、欄干パネル13をその主面に平行に下方へ移動させることにより、その上部縁辺部が取付部材30からも完全に外れて、欄干パネル13が固定器具26と取付部材30から取り外されることとなる。なお、欄干パネル13の取付けおよび取り外しの際には、取付け・取り外し対象の欄干パネル13に対応する内デッキ(不図示)とスカートガード152(
図2、
図10)は、予め取り外される。
【0107】
以上の説明から明らかなように、実施形態に係るエスカレータ10によれば、欄干パネル13上部縁辺部の被固定部材である取付部材30を欄干パネル13の上方へ抜き取ることなく、欄干パネル13を取付部材30と固定器具26から取り外すことができる。
【0108】
欄干パネル13が取り外された取付部材30は、上述した通り、これに隣接する取付部材に手摺デッキ40によって連結されており、当該隣接する取付部材は対応する欄干パネルに支えられている。よって、欄干パネル13が取り外された取付部材30は、脱落することはない。
【0109】
取付部材30と固定器具26から欄干パネル13を取り外すに際して、欄干パネル13は、上述した通り、
図12に一点鎖線で示すように、全体を矢印Sの向きに傾けて斜めの姿勢とされる。当該姿勢を可能とするため、手摺デッキ40の端縁部402先端と取付状態の欄干パネル13の第2主面13Bとの間の隙間は、比較的大きくなる。また、端縁部402には、長孔403(
図3等)が開設されている。
【0110】
よって、端縁部402を露出したままにしておくと、踏段12で搬送される乗客の指が不用意に前記隙間や長孔403に進入し、進入した指が、金属板体である手摺デッキ40の端縁部402の先端や長孔403の周縁で擦られてしまうおそれがある。
【0111】
そこで、端縁部402に端縁カバー24を装着している。端縁カバー24は、
図13に示すように、全体的に長尺のバー状をしていて、合成樹脂製の押出材からなる。なお。
図13(b)において、ハッチングは省略している。合成樹脂には、潤滑剤(例えば、二硫化モリブデン)が添加されたもの(例えば、6ナイロン)が用いられる。端縁カバー24の全長は、例えば、2m〜3mであり、端縁カバー24は、可撓性を有している。当該可撓性の程度は、少なくとも、ニューエルパネル11,31の円弧状縁辺部に沿って湾曲できる程度である。
【0112】
端縁カバー24は、その長さ方向に形成された一条の溝241を有する。なお、矢印242で指し示す三角領域は空洞(中空部242)である。
【0113】
端縁カバー24は、
図4(a)、
図4(b)に示すように、溝241に端縁部402が嵌り込む形で、手摺デッキ40に装着されている。溝241の幅Dc(
図13(b))は、端縁部402の厚みTd(
図7(a))よりも大きく設定されている(Dc>Td)。このような寸法関係に設定されている理由については後述する。
【0114】
装着状態で、端縁カバー24は、溝241に対して取付部材30と反対側(
図4では、下側)、欄干パネル13の第2主面13Bに対して傾斜した斜面243を有する。端縁カバー24にこのような斜面243を設けることで、例えば、傘を手にした乗客が、傘の下端(石突)を踏段12に載せて搬送されている場合、傘の上端(ハンドル)を不用意に端縁カバー24に当接させてしまったとしても、前記上端が斜面243に案内されて通路PW側へ逃がされる。これにより、傘が踏段12と端縁カバー24との間で突っ張ってしまう事態が防止される。傘等の上端を通路PW側へ逃がすといった観点から、斜面243の第2主面13Bと成す角度θ(
図4(a))は、45度以下が好ましい(θ≦45度)。
【0115】
Dc>Tdの関係になっているため、乗客が不用意に押し込んだり、上述したように、傘の上端が当接したりした場合、端縁カバー24は、溝241の深さ方向にスライドする。この場合に、端縁カバー24において欄干パネル13の第2主面13Bに対向する部分が、第2主面13Bに当接してそれ以上のスライドが制限される。これによって、端縁カバー24の端縁部402からの溝241の深さ方向への抜け防止が図られている。すなわち、欄干パネル13(の第2主面13B)が、端縁カバー24の抜け止めのためのストッパとして機能する。
【0116】
欄干パネル13がストッパとして機能するように、すなわち、端縁カバー24において欄干パネル13の第2主面13Bに対向する部分(以下、「対向部分」と言う。)が第2主面13Bに当接したときに、溝241に端縁部402の一部が嵌っていて、溝241から端縁部402が完全には抜け出ない状態となるように、溝241の深さ、端縁部402の先端が溝241の底部に当接しているとき(溝241いっぱいに端縁部402が嵌っているとき)の前記対向部分と第2主面13Bとの間の最短距離(隙間の大きさ)等が設定されている。
【0117】
端縁カバー24は、列設された手摺デッキ40の端縁部402の略全長に亘って、複数本(例えば、5本〜6本)が装着されている。複数本の端縁カバー24は、その各々が、後述する交換口154(
図14)に対応する部分を除いて、隣接する端縁カバー24の長さ方向における端面同士を突き合わせた形で列設されている。
【0118】
上記のように装着されている端縁カバー24の交換のために、
図14に示すように、交換口154が設けられている。
図14は、欄干14の上端部の一部を、通路PW側において下から見上げた斜視図である。
図15、
図16も同様である。
図14以降、手摺デッキ40各々を他の手摺デッキ40と区別する場合は、アルファベットを添えることとする。端縁カバー24においても同様とする。
【0119】
手摺デッキ40Aの端縁部402Aの一部が切除されていて、当該切除部分が交換口154となっている。手摺デッキ40Aには、端縁カバー24Aが装着されており、手摺デッキ40Aに隣接する手摺デッキ40Bには、端縁カバー24Bが装着されている。
【0120】
端縁カバー24Aと端縁カバー24Bの対向する端面同士は、突き合わされておらず、間隔が空けられている。端縁カバー24Aの一端部と端縁カバー24Bの一端部の各々が、少し、交換口154に進入した形で、両端縁カバー24A,24Bが装着されている。
【0121】
交換口154を塞ぎ、両端縁カバー24A,24Bの前記一端部を覆うキャップ156が、
図15に示すように、設けられている。また、キャップ156は、端縁カバー24Aと端縁カバー24Bとが、相互に近づく向き(前記端面同士が近づく向き)に移動しないように規制するストッパとしても機能する。キャップ156は、合成樹脂からなる。符号1561で指し示すのは、取付部材30(
図15には現れていない)に、次に述べる小ねじによって取り付けるための取付孔である。
【0122】
交換口154に対応させて、取付部材30にねじ孔(不図示)が形成されており、取付孔1561に挿通され、当該ねじ孔に螺入された小ねじ(不図示)によって、キャップ156が取付部材30に固定されている。
【0123】
交換口154(キャップ156)は、以下の理由により、ニューエルパネル11,31の両方またはいずれか一方の上部縁辺部に対応する位置、すなわち昇降口近傍に設けるのが、踏段12の走行路に対応する位置に設けるよりも好ましい。キャップ156は、手摺デッキ40、端縁カバー24の表面から僅かながら突出している。また、取付孔1561も開設されている。このため、エスカレータ10を利用する乗客の手がキャップ156に意図せず、キャップ156の端縁や取付孔1561の開口周縁に触れる場合があるが、踏段12による搬送中に触れてしまう場合よりも、自ら歩行中に触れてしまう場合の方が、不快感が少ないと考えられるからである。
【0124】
次に、上記のように構成されたエスカレータ10における端縁カバー24の交換方法について説明する。
【0125】
不図示の小ねじを弛めて、キャップ156(
図15)を取付部材30から取り外す。
端縁カバー24Aを
図14に示す矢印Eの向きに引っ張る。すると、(溝241の幅Dc)>(端縁部402の厚みTd)の関係にあり、また、前記対向部と欄干パネル13の第2主面13Bとの間には隙間が設けられているため、端縁カバー24Aは、長さ方向に引き抜くことができる。また、端縁カバー24Aは、潤滑剤(本例では、二硫化モリブデン)が添加された合成樹脂(本例では、6ナイロン)で形成されているため、端縁部402に対する摺動性が向上し、これによっても、長さ方向に容易に引き抜ける。
【0126】
端縁カバー24Aを引き抜いて手摺デッキ40から取り外す(脱着する)と、交換口154に対し、端縁カバー24Aと同じ側に装着されている他の端縁カバー24(
図14に現れていない)の全てを順次、端縁カバー24Aと同様に取り外す。
【0127】
また、端縁カバー24B、および、交換口154に対し端縁カバー24Bと同じ側に装着されている他の端縁カバー24(
図14に現れていない)も、端縁カバー24Aと同様に(引き抜く向きは、矢印Eの向きとは反対であるが)取り外す。
【0128】
端縁カバー24が取り外された状態の交換口154を
図16に示す。手摺デッキ40への端縁カバー24の取り付け(装着)は、上記した取り外しとは逆の手順で行われる。
【0129】
すなわち、手摺デッキ40Bに対しては、端縁部402Bの長手方向における交換口154側の一端404Bから、端縁カバー24の溝241を端縁部402Bに挿通する。端縁部402Bの一端404Bから最初に挿通される端縁カバー24は、ニューエルパネル31の下部縁辺部に設置された前記下端部手摺デッキまでスライドされて移動される。端縁部402Bの一端404Bから、最後の端縁カバー24Bまで、順次、端縁カバー24が挿通されて、手摺デッキ40に装着される。
【0130】
手摺デッキ40Aに対しても、同様に、端縁部402Aの一端404Aから、最後の端縁カバー24Aまで、順次、挿通されて、手摺デッキ40に装着される。なお、端縁部402Aの一端404Aから最初に挿通される端縁カバー24は、ニューエルパネル11の下部縁辺部に設置された前記上端部手摺デッキまでスライドされて移動される。
【0131】
全ての端縁カバー24の装着が終了すると、キャップ156が取り付けられて、端縁カバー24の交換が完了する。なお、交換の際のみならず、エスカレータ10の新設にあたって、初めて、端縁カバー24を手摺デッキ40に装着する際も、設置現場において、上記と同様にして端縁カバー24が装着される。
【0132】
以上説明したように、実施形態に係るエスカレータ10によれば、手摺デッキ40の端縁部402に装着された端縁カバー24は、長さ方向に形成された一条の溝241が端縁部402の長手方向の一端から挿通されて装着されており、溝241の幅Dcが端縁部402の厚みTdよりも大きいため、端縁カバー24は、前記一端から長さ方向に引き抜いて端縁部402(手摺デッキ40)から取り外す(脱着する)ことができる。また、端縁カバー24は、溝241を端縁部402に、端縁部402の長手方向の一端から挿通することにより装着することができる。これにより、取付部材30から手摺デッキ40を取り外すことなく、手摺デッキ40に装着された端縁カバー24の交換をすることができる。
【0133】
なお、端縁カバー24を交換する場合だけでなく、例えば、破損した欄干パネルの交換のときにも、端縁カバー24は取り外し(脱着)、取り付け(装着)がなされる。欄干パネルの交換に際しては、上述したように、六角レンチ(不図示)や弛めねじ64(
図8)を手摺デッキ40の内側へ進入させるため、端縁部402に開設された長孔403を露出させる必要があるからである。
【0134】
以上、本発明に係る乗客コンベアを実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記した形態に限らないことは、勿論であり、例えば、以下の形態としても構わない。
【0135】
(1)上記実施形態では、一つの欄干に交換口154(
図14、
図16)を1箇所設けたが、交換口は、1箇所でなく2箇所設けることとしても構わない。この場合、上下の昇降口にそれぞれ1箇所ずつ設けるのが好ましい。また、交換口は、3箇所以上設けても構わない。
【0136】
(2)上記実施形態では、一の手摺デッキ40における端縁部402の長手方向における一端部分を切除して、交換口154を創出したが、これに限らず、端縁部402の長手方向における中間部の一部を切除して交換口を創出することとしても構わない。
【0137】
(3)上記実施形態では、交換口154(
図14、
図16)を設け、交換口154(端縁部402の一端404)から、端縁カバー24を取り付けたり、取り外したりしたが、交換口を設けることなく、前記下端部手摺デッキおよび前記上端部手摺デッキの一方または両方の端縁部の一端から、端縁カバー24を取り付けたり、取り外したりしても構わない。
【0138】
図17は、下端部手摺デッキ40Cの一端404Cおよびその近傍の拡大斜視図であり、欄干14を通路PW側において上から見下ろした図である。
図17において、符号158を付したものは、内デッキであり、
図17は、内デッキ158に対応して設けられているスカートガード152(
図1)を省略した図である。スカートガード152が取り外された状態では、図示以外に、エスカレータ10を構成する種々の部材が現れるのであるが、煩雑さを避けるため、主として本願の主眼に関わるものを図示し、その他の部材については省略する。
【0139】
スカートガード152を取り外すと、下端部手摺デッキ40Cにおける端縁部402の一端404Cが現れる。一端404Cは、下端部手摺デッキ40Cに隣接する手摺デッキ(不図示)から遠い方の一端であり、列設された手摺デッキ40列の列設方向における一端でもある。下端部手摺デッキ40Cは、取付部材30Cに固定されている。取付部材30Cは、ニューエルパネル31の円弧状縁辺部に合わせて一部が湾曲しており、下端部手摺デッキ40Cは、取付部材30Cの湾曲部に合わせて湾曲されている。
【0140】
複数本の端縁カバー24の各々を順次、下端部手摺デッキ40Cの一端404Cから、溝241を端縁部402Cに挿通し、端縁部402Cおよびこれに続く端縁部402(
図17には現れていない)に沿ってスライドさせることにより、手摺デッキ40列の全長に亘って、当該複数本の端縁カバー24を装着することができる。
【0141】
また、端縁カバー24を、手摺デッキ40Cから脱着する際は、端縁カバー24において手摺デッキ40の一端404Cに近い側の端部をその長さ方向に引っ張ることによって、手摺デッキ40Cから引き抜くことができる。残りの端縁カバー24は、複数の端縁部402に沿ってスライドさせ、下端部手摺デッキ40Cまで移動させた後、上記と同様にして引っ張ることにより脱着することができる。
【0142】
端縁カバー24の手摺デッキ40列への着脱(取り付け、取り外し)は、下端部手摺デッキ40Cからではなく、上端部手摺デッキ(不図示)から行っても構わない。あるいは、下端部手摺デッキ40Cと上端部手摺デッキの両側から行っても良い。いずれにしても、スカートガード152を取り外せば、端縁カバー24の着脱が可能となるため、取付部材30から手摺デッキ40を取り外す必要は無い。
【0143】
(4)端縁カバーは、上記実施形態の形状に限らず、例えば、
図18に示すような形状としても構わない。
図18(a)、
図18(b)にそれぞれ示す端縁カバー160,162は、端縁カバー24(
図13)と同様、長尺のバー状をしており、横断面形状は全長に亘って一様なので、横断面図だけを用いて説明する。なお、
図18においてハッチングは省略している。
【0144】
(i)
図18(a)に示す端縁カバー160は、端縁カバー24(
図13(b))において中空部242を形成する側壁の一部を全長に亘って切除した形状をしている。すなわち、端縁カバー160は、端縁カバー24の中空部を開放した形状をしている。このようにすりことで、端縁カバー160は、端縁カバー24よりも可撓性が高くなる。このため、着脱に際し、ニューエルパネル11,31の円弧状縁辺部に対応する手摺デッキ(不図示)を通すときに端縁カバー160をスライドさせ易くなる。端縁カバー160の溝1601の幅およびその深さ、並びに、手摺デッキ40に装着された状態における斜面1603が欄干パネル13の第2主面13Bと成す角度などは、端縁カバー24と同様である。
【0145】
(ii)端縁カバー24は、手摺デッキ40に装着された状態で、欄干パネル13の第2主面13Bに対し傾斜した斜面243を有する形状をしているが、この斜面243は、必ずしも設ける必要はない。例えば、
図18(b)に示すような形状としても構わない。
図18(b)に示す端縁カバー162は、端縁カバー24において中空部242(筒状部)を除いた形状であり、横断面が横長の「コ」字状をしている。端縁カバー162における溝1621の幅およびその深さは、端縁カバー24と同様である。
【0146】
(5)上記実施形態では、六角レンチ(不図示)および弛めねじ64(
図8)を手摺デッキ40の内側へ通すため長孔403(
図3)を設けたが、長孔403に代えて、前記六角レンチと弛めねじ64各々を通すための円形の貫通孔を個別に設けることとしても構わない。
【0147】
(6)上記実施形態では、本発明に係る乗客コンベアエスカレータを、エスカレータに適用した例に基づいて説明したが、これに限らず、本発明は、環状に連結された複数のパレットからなる無端搬送体やゴムベルトからなる無端搬送体を循環走行させて乗客を搬送する移動歩道にも適用可能である。