特許第6561959号(P6561959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6561959
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20190808BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20190808BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   H02J7/00 S
   H02J7/00 Y
   H02J7/00 X
   H01M10/44 Q
   H01M10/48 P
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-200772(P2016-200772)
(22)【出願日】2016年10月12日
(65)【公開番号】特開2018-64350(P2018-64350A)
(43)【公開日】2018年4月19日
【審査請求日】2018年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】710014351
【氏名又は名称】オンキヨー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大森 直樹
(72)【発明者】
【氏名】仲江川 弘毅
【審査官】 大手 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−005593(JP,A)
【文献】 特開2013−156202(JP,A)
【文献】 特開2005−253147(JP,A)
【文献】 特開2013−096798(JP,A)
【文献】 特開2016−032190(JP,A)
【文献】 特開2012−100438(JP,A)
【文献】 特開2014−200057(JP,A)
【文献】 特開平04−038126(JP,A)
【文献】 特開2013−102478(JP,A)
【文献】 特開2008−182872(JP,A)
【文献】 特開2015−171305(JP,A)
【文献】 特開2002−315200(JP,A)
【文献】 特開2012−188101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 10/44
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源と二次電池との間に接続された、第1スイッチ、及び、第2スイッチと、
前記第1スイッチ、及び、前記第2スイッチのオン、又は、オフを制御する充電制御部と、
前記外部電源からの電圧が入力されるポートを有し、前記充電制御部が、前記第1スイッチ、及び、前記第2スイッチをオンとし、且つ、自機器が前記外部電源に接続されているときに、前記ポートに入力される電圧が所定の第1閾値よりも小さい場合、前記第1スイッチが故障していると判断する制御部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記制御部の前記ポートには、前記二次電池からの電圧も入力され、
前記制御部は、自機器が前記外部電源に接続されていない場合、前記二次電池から入力される電圧の電位に基づいて、前記二次電池の残量を検出することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部の前記ポートには、分圧回路により分圧された前記外部電源、及び、前記二次電池からの電圧が入力されることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記分圧回路の有効、又は、無効を制御する制御回路をさらに備え、
前記制御部は、スタンバイ状態で、前記制御回路により、前記分圧回路を無効とすることを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御回路は、
ベースが、前記制御部に接続され、
エミッタが、グラウンドに接続され、
コレクタが、抵抗を介して、前記外部電源に接続された、npn型のバイポーラトランジスタと、
ゲートが、前記バイポーラトランジスのコレクタに接続され、
ソースが、前記外部電源に接続され、
ドレインが、前記分圧回路に接続された、pチャンネルのMOSFETと、を有することを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
報知部をさらに備え、
前記制御部は、前記第1スイッチが故障していると判断した場合、前記報知部により、前記第1スイッチが故障している旨を報知することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記報知部は、表示部であり、
前記制御部は、前記第1スイッチが故障していると判断した場合、前記表示部により、前記第1スイッチが故障している旨を表示することを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
操作を受け付けるための操作部をさらに備え、
前記制御部は、
前記操作部を介して、故障診断モードの指示を受け付け、
前記操作部を介して、前記故障診断モードの指示を受け付けた場合、前記第1スイッチが故障しているか否かを判断することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記制御部は、前記故障診断モードの指示を受け付けていないときに、前記ポートに入力される電圧が、所定の第2閾値よりも小さい場合、自機器が前記外部電源に接続されていないと判断することを特徴とする請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記制御部は、スタンバイ状態から電源がオンの状態になった場合に、前記制御回路により、前記分圧回路を有効とし、前記第1スイッチが故障しているか否かを判断することを特徴とする請求項4又は5に記載の電子機器。
【請求項11】
前記第1スイッチ、及び、前記第2スイッチは、それぞれ、MOSFETであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池が用いられる電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池(以下、「バッテリー」という。)が用いられる電子機器には、バッテリーの充放電を制御する充電回路が搭載されている。バッテリーは、外部給電機器(例えば、ACアダプター、USBバスパワー等)により充電される。充電回路には、専用の充電制御ICが用いられることが多い(例えば、特許文献1参照。)。充電制御ICは、以下のような機能を有する。
・バッテリーの特性に即した定電流・定電圧充電制御
・外部給電機器とバッテリーのパワーパス自動切り替え
・安全保護
過充電防止(Over Charge Protection)
過放電防止(Over Discharge Protection)
過電流防止(Over Current Protection)
充電用電源良否判定(Under Voltage Lockout,Over Voltage Lockout)
加熱保護・充電不可周囲温度検出(Over Temp)
【0003】
図7は、充電制御IC、及び、その周辺回路を示す図である。MOSトランジスタ(MOSFET)Q101は、ACFETと呼ばれている。MOSトランジスタQ101は、ACアダプターがACコンセントに刺されていない状態において、ACアダプターからバッテリーを分離する。MOSトランジスタQ102は、RBFET(Reverse Blocking FET)と呼ばれている。MOSトランジスタQ101のみでは、寄生ダイオードによる逆流を阻止できない。このため、MOSトランジスタQ102をMOSトランジスタQ101と背中合わせ(Back to Back)に接続することで、バッテリーからACアダプターへの逆放電を防止している。充電制御IC101は、MOSトランジスタQ101、Q102を制御する。例えば、MOSトランジスタQ101、Q102は、バッテリーパック内部の保護基板に配置される。充電制御IC101は、バッテリーの過放電、過充電を検出した場合、MOSトランジスタQ101、Q102のオン/オフを個別にコントロールする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−005209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ESDサージ等の外的要因により、MOSトランジスタQ101が故障するという問題がある。そうすると、MOSトランジスタQ101、Q102をオンするためのドライブ電圧が規定値に届かず、MOSトランジスタQ101が正常にオンしない。例えば、正常時のドライブ電圧は、約20Vであるが、故障発生時のドライブ電圧は、約15.5Vである。MOSトランジスタQ101が中途半端にオンしてしまうことで、ソース−ドレイン間に電位差が生じ、MOSトランジスタQ101内部損失が増大し、発熱する。充電制御IC101内部の保護回路は、これを検出することができず、電子機器が通常動作を継続してしまう。電圧がACアダプターの電圧異常検出閾値まで落ちないため、充電制御IC101内部の保護回路は、異常を検出できない。なお、ドライブ電圧は、外部給電機器の電圧、バッテリーの種類、セル数等に依存するため、製品構成により変動する。
【0006】
本発明の目的は、外部電源と二次電池との間に接続されるスイッチ(例えば、MOSトランジスタ)の故障を検出可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明の電子機器は、外部電源と二次電池との間に接続された、第1スイッチ、及び、第2スイッチと、前記第1スイッチ、及び、前記第2スイッチのオン、又は、オフを制御する充電制御部と、前記外部電源からの電圧が入力されるポートを有し、前記充電制御部が、前記第1スイッチ、及び、前記第2スイッチをオンとしたときに、前記ポートに入力される電圧が所定の第1閾値よりも小さい場合、前記第1スイッチが故障していると判断する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
第1スイッチが故障している場合、第1スイッチが中途半端にオンし、制御部のポートに入力される電圧が所定の第1閾値よりも小さくなる。本発明では、制御部は、充電制御部が、第1スイッチ、及び、第2スイッチをオンとしたときに、ポートに入力される電圧が所定の第1閾値よりも小さい場合、第1スイッチが故障していると判断する。これにより、外部電源と二次電池との間に接続されたスイッチの故障を検出することができる。
【0009】
第2の発明の電子機器は、第1の発明の電子機器において、前記制御部の前記ポートには、前記二次電池からの電圧も入力され、前記制御部は、自機器が前記外部電源に接続されていない場合、前記二次電池から入力される電圧の電位に基づいて、前記二次電池の残量を検出することを特徴とする。
【0010】
本発明では、制御部は、自機器が外部電源に接続されていない場合、二次電池から入力される電圧の電位に基づいて、二次電池の残量を検出する。これにより、第1スイッチの故障検出と、二次電池の残量検出と、を同じ構成で実現することができる。
【0011】
第3の発明の電子機器は、第2の発明の電子機器において、前記制御部の前記ポートには、分圧回路により分圧された前記外部電源、及び、前記二次電池からの電圧が入力されることを特徴とする。
【0012】
本発明では、制御部のポートには、分圧回路により分圧された外部電源、及び、二次電池からの電圧が入力される。これにより、外部電源、及び、二次電池からの電圧が、制御部が扱えない大きさであっても、制御部は、残量検出等を行うことができる。
【0013】
第4の発明の電子機器は、第3の発明の電子機器において、前記分圧回路の有効、又は、無効を制御する制御回路をさらに備え、前記制御部は、スタンバイ状態で、前記制御回路により、前記分圧回路を無効とすることを特徴とする。
【0014】
本発明では、制御部は、スタンバイ状態で、制御回路により、分圧回路を無効とする。これにより、スタンバイ時の二次電池負荷電流を低減させることができるため、長期保管される場合の負荷電流が抑えられ、二次電池の過放電を防止することができる。
【0015】
第5の発明の電子機器は、第4の発明の電子機器において、前記制御回路は、ベースが、前記制御部に接続され、エミッタが、グラウンドに接続され、コレクタが、抵抗を介して、前記外部電源に接続された、npn型のバイポーラトランジスタと、ゲートが、前記バイポーラトランジスのコレクタに接続され、ソースが、前記外部電源に接続され、ドレインが、前記分圧回路に接続された、pチャンネルのMOSFETと、を有することを特徴とする。
【0016】
第6の発明の電子機器は、第1〜第5のいずれかの発明の電子機器において、報知部をさらに備え、前記制御部は、前記第1スイッチが故障していると判断した場合、前記報知部により、前記第1スイッチが故障している旨を報知することを特徴とする。
【0017】
本発明では、制御部は、第1スイッチが故障していると判断した場合、報知部により、第1スイッチが故障している旨を報知する。これにより、工場のスタッフ等は、第1スイッチが故障していることを理解することができる。
【0018】
第7の発明の電子機器は、第6の発明の電子機器において、前記報知部は、表示部であり、前記制御部は、前記第1スイッチが故障していると判断した場合、前記表示部により、前記第1スイッチが故障している旨を表示することを特徴とする。
【0019】
本発明では、制御部は、第1スイッチが故障していると判断した場合、表示部により、第1スイッチが故障している旨を表示する。これにより、工場のスタッフ等は、目視により、第1スイッチが故障していることを理解することができる。
【0020】
第8の発明の電子機器は、第1〜第7のいずれかの発明の電子機器において、操作を受け付けるための操作部をさらに備え、前記制御部は、前記操作部を介して、故障診断モードの指示を受け付け、前記操作部を介して、前記故障診断モードの指示を受け付けた場合、前記第1スイッチが故障しているか否かを判断することを特徴とする。
【0021】
第9の発明の電子機器は、第8の発明の電子機器において、前記制御部は、前記故障診断モードの指示を受け付けていないときに、前記ポートに入力される電圧が、所定の第2閾値よりも小さい場合、自機器が前記外部電源に接続されていないと判断することを特徴とする。
【0022】
第10の発明の電子機器は、第4又は第5の発明の電子機器において、前記制御部は、スタンバイ状態から電源がオンの状態になった場合に、前記制御回路により、前記分圧回路を有効とし、前記第1スイッチが故障しているか否かを判断することを特徴とする。
【0023】
本発明では、制御部は、スタンバイ状態から電源がオンの状態になった場合に、制御回路により、分圧回路を有効とし、第1スイッチが故障しているか否かを判断する。これにより、負荷電流が低く、安定している状態において、ポートに入力される電圧が所定の第1閾値よりも小さいか否かを判断することができるため、高精度に第1スイッチの故障を判断することができる。
【0024】
第11の発明の電子機器は、第1〜第10のいずれかの発明の電子機器において、前記第1スイッチ、及び、前記第2スイッチは、それぞれ、MOSFETであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、外部電源と二次電池との間に接続されたスイッチの故障を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態に係るワイヤレススピーカーの構成を示すブロック図である。
図2】マイクロコンピューター、充電制御IC、及び、それらの周辺回路を示す図である。
図3】ACアダプターの接続の有無、バッテリーの残量を検出するための閾値を示す図である。
図4】分圧に対応した閾値を示す図である。
図5】故障診断モード時に用いる閾値を示す図である。
図6】分圧に対応した閾値を示す図である。
図7】充電制御IC、及び、その周辺回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るワイヤレススピーカーの構成を示すブロック図である。ワイヤレススピーカー1(電子機器)は、マイクロコンピューター2、表示部3、操作部4、無線通信部5、増幅部6、スピーカー7、バッテリー8、充電制御IC9、を備える。
【0028】
マイクロコンピューター2(制御部)は、ワイヤレススピーカー1を構成する各部を制御する。表示部3(報知部)は、後述するMOSトランジスタ(MOSFET)が故障しているか否かを示すLED、電源のオン/オフを表示するLED等である。操作部4は、ユーザー操作を受け付けるためのものである。操作部4は、ワイヤレススピーカー1の筐体に設けられた、電源のオン/オフの操作を受け付けるための電源ボタン、音量の増減の操作を受け付けるための音量ボタン等である。
【0029】
無線通信部5は、他の装置と無線通信を行うためのものである。マイクロコンピューター2は、無線通信部5により、音声信号を受信する。増幅部6は、無線通信部5により受信した音声信号を増幅する。増幅部6により増幅された音声信号は、スピーカー7に出力される。スピーカー7は、音声信号に基づいて、音声を再生する。バッテリー8(二次電池)は、ワイヤレススピーカー1を構成する各部に電源電圧を供給する。バッテリー8は、図示しないACアダプターからの電圧により、充電される。充電制御IC9(充電制御部)は、バッテリー8の充放電を制御する。
【0030】
図2は、マイクロコンピューター、充電制御IC、及び、それらの周辺回路を示す図である。図2に示すように、ワイヤレスピーカー1は、MOSトランジスタQ1、Q2等をさらに備える。MOSトランジスタQ1(第1スイッチ)、MOSトランジスタQ2(第2スイッチ)は、ACアダプター(外部電源)とバッテリー8との間に接続されている。MOSトランジスタQ1は、いわゆるACFETである。MOSトランジスタQ2は、いわゆるRBFETである。MOSトランジスタQ1、Q2の機能は、図7に示したMOSトランジスタQ101、Q102と同様である。MOSトランジスタQ1、Q2は、nチャンネルのMOSトランジスタである。
【0031】
MOSトランジスタQ1のゲートは、充電制御IC9のACDRV端子に接続されている。MOSトランジスタQ1のドレインは、ACアダプター側に接続されている。MOSトランジスタQ1のソースは、MOSトランジスタQ2のソースに接続されている。MOSトランジスタQ2のゲートは、充電制御IC9のACDRV端子に接続されている。MOSトランジスタQ2のドレインは、マイクロコンピューター2側に接続されている。MOSトランジスタQ2のソースは、MOSトランジスタQ1のソースに接続されている。充電制御IC9は、ACDRV端子にドライブ電圧を与えることで、MOSトランジスタQ1、Q2をオンとする。
【0032】
マイクロコンピューター2のA/Dポートには、ACアダプターからの電圧V+Bが入力される。また、ワイヤレススピーカー1にACアダプターが接続されていない場合、マイクロコンピューター2のA/Dポートには、バッテリー8からの電圧V+Bが入力される。具体的には、マイクロコンピューター2のA/Dポートには、抵抗R1、R2による分圧回路10により分圧されたACアダプター、及び、バッテリー8からの電圧が入力される。ワイヤレススピーカー1にACアダプターが接続されている場合、V+Bの電位は、15Vである。ワイヤレススピーカー1にACアダプターが接続されておらず、ワイヤレススピーカー1がバッテリー8により駆動される場合、V+Bの電位は、9V〜12.6Vであり、バッテリー8の残量に応じて変動する。
【0033】
マイクロコンピューター2は、V+Bに基づいて、ACアダプターの接続の有無、バッテリー8の残量を検出する。図3は、ACアダプターの接続の有無、バッテリー8の残量を検出するための閾値を示す図である。マイクロコンピューター2は、V+Bが13.5V(所定の第2閾値)以上である場合、ACアダプターが接続されていると判断する(ACアダプター接続)。マイクロコンピューター2は、V+Bが11V〜12.6Vである場合、バッテリー駆動であり、バッテリー8の残量が十分であると判断する(バッテリー:高)。マイクロコンピューター2は、V+Bが10.1V〜11Vである場合、バッテリー駆動であり、バッテリー8の残量が中程度であると判断する(バッテリー:中)。マイクロコンピューター2は、V+Bが9.1V〜10.1Vである場合、バッテリー駆動であり、バッテリー8の残量が少ないと判断する(バッテリー:低)。マイクロコンピューター2は、表示部3により、バッテリー8の残量を表示する。
【0034】
マイクロコンピューター2は、V+Bが9.1V以下である場合、バッテリー残量0と判断し、電源をオフする(オフ)。マイクロコンピューター2は、V+Bが8.6V以下である場合、バッテリー8の過放電を防止するため、緊急シャットダウンする(プロテクト)。マイクロコンピューター2は、ACアダプターが接続されている場合、バッテリー8の充電を行うと同時に、ACアダプターからワイヤレススピーカー1を構成する各部に電力供給を行う。ここで、充電制御IC9は、ACアダプターによる電力供給と、バッテリー8による電力供給と、の電源経路の切り替えを行う。
【0035】
上述したように、マイクロコンピューター2のA/Dポートには、抵抗R1、R2により分圧されたACアダプター、及び、バッテリー8からの電圧が入力される。従って、各閾値も、分圧に対応した値が用いられる。図4は、分圧に対応した閾値を示す図である。例えば、ACアダプターが接続されているかを判断するためのV+Bの閾値13.5Vの分圧に対応した値は、2.76Vである。2.76Vに対応したA/D値は、213である。なお、例えば、抵抗R1の抵抗値が、39kΩ、抵抗R2の抵抗値が、10kΩであるとする。この場合、13.5Vの分圧に対応した値は、13.5×(R1)/(R1+R2)=13.5×10/49≒2.76となる。マイクロコンピューター2は、所定の間隔で、所定の回数、V+Bが所定の閾値の範囲内であるか否かを検出する。例えば、ACアダプターが接続されているか否かを判断する場合、マイクロコンピューター2は、10ms間隔で、6回、V+Bが13.5V以上であるか否かを検出する。検出時間は、最大で60ms、最小で50msである。
【0036】
ワイヤレススピーカー1は、通常、図3、及び、図4に示した閾値に基づいて、ACアダプターの接続の有無、バッテリー8の残量を検出する。また、ワイヤレススピーカー1は、MOSトランジスタQ1の故障診断モードを有する。マイクロコンピューター2は、操作部4を介して、故障診断モードの指示を受け付ける。マイクロコンピューター2は、操作部4の所定のボタンが二重押しされた場合、故障診断モードの指示を受け付ける。マイクロコンピューター2は、故障診断モードの指示を受け付けた場合、MOSトランジスタQ1が故障しているか否かを判断する。
【0037】
図5は、故障診断モード時に用いる閾値を示す図である。図5に示すように、マイクロコンピューター2は、V+Bが14.7V(所定の第1閾値)より小さい場合、MOSトランジスタQ1が故障していると判断する。マイクロコンピューター2は、MOSトランジスタQ1が故障していると判断した場合、MOSトランジスタQ1が故障している旨を報知する。具体的には、マイクロコンピューター2は、表示部3のLEDを点灯することにより、MOSトランジスタQ1が故障している旨を報知する。マイクロコンピューター2は、V+Bが14.7V以上である場合、MOSトランジスタQ1が故障していないと判断する。
【0038】
図6は、分圧に対応した閾値を示す図である。例えば、MOSトランジスタQ1が故障しているか否かを判断するためのV+Bの閾値14.7Vの分圧に対応した値は、3.00Vである。3.00Vに対応したA/D値は、232である。マイクロコンピューター2は、10ms間隔で、6回、V+Bが14.7V以上であるか否かを検出する。検出時間は、最大で60ms、最小で50msである。
【0039】
ワイヤレススピーカー1は、分圧回路10の有効、又は、無効を制御する制御回路11をさらに備える。制御回路11は、バイポーラトランジスタQ3、MOSトランジスタQ4(MOSFET)を有する。バイポーラトランジスタQ3は、npn型のバイポーラトランジスタである。バイポーラトランジスタQ3のベースは、抵抗R4を介して、マイクロコンピューター2に接続されている。バイポーラトランジスタQ4のエミッタは、グラウンドに接続されている。バイポーラトランジスタQ3のコレクタは、抵抗R3を介して、V+Bに接続されている。バイポーラトランジスタQ3のベースとエミッタとには、抵抗R5が接続されている。
【0040】
MOSトランジスタQ4は、pチャンネルのMOSトランジスタである。MOSトランジスタQ4のゲートは、バイポーラトランジスタQ3のコレクタに接続されている。MOSトランジスタQ4のソースは、V+Bに接続されている。MOSトランジスタQ4のドレインは、分圧回路10に接続されている。
【0041】
マイクロコンピューター2は、スタンバイ状態で、制御回路11により、分圧回路10を無効とする。具体的には、マイクロコンピューター2は、バイポーラトランジスタQ3のベースをローとする。バイポーラトランジスタQ3は、オフの状態となる。バイポーラトランジスタQ3がオフの状態となると、MOSトランジスタQ4において、ゲート−ソース間の電位差がなくなる。MOSトランジスタQ4は、ゲート−ソース間の電位差がなくなると、オフの状態となる。これにより、分圧回路10は、無効となる。
【0042】
マイクロコンピューター2は、分圧回路10を有効とする場合、バイポーラトランジスタQ3のベースをハイとする。バイポーラトランジスタQ4は、オンの状態となる。バイポーラトランジスタQ3がオンの状態となると、MOSトランジスタQ4において、ゲート−ソース間に電位差が生じる。MOSトランジスタQ4は、ゲート−ソース間に電位差が生じると、オンの状態となる。これにより、分圧回路10は、有効となる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態では、MOSトランジスタQ1が故障している場合、MOSトランジスタQ1が中途半端にオンし、マイクロコンピューター2のA/Dポートに入力される電圧が、14.7V(所定の第1閾値)よりも小さくなる(例えば、約14.5V)。マイクロコンピューター2は、充電制御IC9が、MOSトランジスタQ1、Q2をオンとしたときに、A/Dポートに入力される電圧V+Bが14.7Vよりも小さい場合、MOSトランジスタQ1が故障していると判断する。これにより、ACアダプターとバッテリー8との間に接続されたMOSトランジスタQ1の故障を検出することができる。
【0044】
また、本実施形態では、マイクロコンピューター2は、ワイヤレススピーカー1がACアダプターに接続されていない場合、バッテリー8から入力される電圧V+Bの電位に基づいて、バッテリー8の残量を検出する。これにより、MOSトランジスタQ1の故障検出と、バッテリー8の残量検出と、を同じ構成で実現することができる。
【0045】
また、本実施形態では、マイクロコンピューター2のA/Dポートには、抵抗R1、R2により分圧されたACアダプター、及び、バッテリー8からの電圧V+Bが入力される。これにより、ACアダプター、及び、バッテリー8からの電圧V+Bが、マイクロコンピューター2が扱えない大きさであっても、マイクロコンピューター2は、残量検出等を行うことができる。
【0046】
また、本実施形態では、マイクロコンピューター2は、MOSトランジスタQ1が故障していると判断した場合、表示部3により、MOSトランジスタQ1が故障している旨を表示する。これにより、工場のスタッフ等は、目視により、MOSトランジスタQ1が故障していることを理解することができる。
【0047】
また、本実施形態では、マイクロコンピューター2は、スタンバイ状態で、制御回路11により、分圧回路10を無効とする。これにより、スタンバイ時のバッテリー負荷電流を低減させることができるため、倉庫、店舗等で長期保管される場合の負荷電流が抑えられ、バッテリー8の過放電を防止することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明を適用可能な形態は、上述の実施形態には限られるものではなく、以下に例示するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
【0049】
上述の実施形態においては、マイクロコンピューター2は、故障診断モード時に、MOSトランジスタQ1が故障しているか否かを判断する。これは、MOSトランジスタQ1故障時の電圧の低下が比較的微小なため、正常動作時に、大音量で音楽再生した場合の電圧降下との判別が困難だからである。通常動作時も常時、故障検出を有効とすると、誤判別してしまう可能性がある。
【0050】
変形例では、マイクロコンピューター2は、スタンバイ状態から電源がオンになった場合に、MOSトランジスタQ1が故障しているか否かを判断する。まず、マイクロコンピューター2は、他の回路等よりも先に、バイポーラトランジスタQ3のベースをハイとし、制御回路11、分圧回路10を有効にする。この状況において、マイクロコンピューター2は、MOSトランジスタQ1が故障しているか否かを判断する。マイクロコンピューター2は、MOSトランジスタQ1が故障していると判断した場合、表示部3により、MOSトランジスタQ1が故障している旨を表示する。マイクロコンピューター2は、MOSトランジスタQ1が故障していないと判断した場合、通常どおり、ワイヤレススピーカー1を起動する。これにより、工場出荷時以降に生じた故障に対しても検出が可能となる。
【0051】
マイクロコンピューター2は、他の回路等よりも先に、制御回路11、分圧回路10を有効にした状況、すなわち、負荷電流が低い安定している状況で、マイクロコンピューター2のA/Dポートに入力される電圧が、14.7V(所定の第1閾値)よりも小さいか否かを判断する。このため、V+Bの電圧が負荷変動により変動することがないため、高精度に故障を検出することができる。
【0052】
上述の実施形態においては、マイクロコンピューター2は、表示部3により、MOSトランジスタQ1が故障している旨を表示する。これに限らず、マイクロコンピューター2は、音声により、MOSトランジスタQ1が故障している旨を報知するようになっていてもよい。
【0053】
上述の実施形態においては、バッテリーを備える電子機器として、ワイヤレススピーカーを例示した。これに限らず、ノートPC、タブレット等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、二次電池が用いられる電子機器に好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0055】
1 ワイヤレススピーカー(電子機器)
2 マイクロコンピューター(制御部)
3 表示部(報知部)
4 操作部
5 無線通信部
6 増幅部
7 スピーカー
8 バッテリー(二次電池)
9 充電制御IC(充電制御部)
10 分圧回路
11 制御回路
Q1 MOSトランジスタ(第1スイッチ)
Q2 MOSトランジスタ(第2スイッチ)
Q3 バイポーラトランジスタ
Q4 MOSトランジスタ
R1〜R5 抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7