(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)を含有する主剤と、1分子中に2個以上の活性水素含有基を有する化合物(B)を含有する硬化剤と、を有する2液ウレタン系接着剤組成物であって、
前記主剤および前記硬化剤の少なくとも一方に、イソシアヌレート環を有する化合物(C)、および、有機物を含む平均粒子径が0.1〜10μmの微粒子(D)を含有し、
前記化合物(C)が、ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を含む、2液ウレタン系接着剤組成物。
前記微粒子(D)が、ポリオキシアルキレンポリオール中に分散した重合性不飽和基含有モノマーの重合体(D1)である、請求項1に記載の2液ウレタン系接着剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の2液ウレタン系接着剤組成物(以下、単に「本発明の接着剤組成物」とも略す。)は、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)を含有する主剤と、1分子中に2個以上の活性水素含有基を有する化合物(B)を含有する硬化剤と、を有する2液ウレタン系接着剤組成物であって、上記主剤および上記硬化剤の少なくとも一方に、イソシアヌレート環を有する化合物(C)、および、有機物を含む平均粒子径が0.1〜10μmの微粒子(D)を含有し、上記化合物(C)が、ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を含む、2液ウレタン系接着剤組成物である。
【0012】
本発明においては、上述した通り、主剤および硬化剤の少なくとも一方に、イソシアヌレート環を有する化合物(C)、および、有機物を含む平均粒子径が0.1〜10μmの微粒子(D)を配合することにより、2液としての優れた硬化速度を保持し、かつ、接着性および耐熱性が良好となる。
これは、詳細には明らかではないが、耐熱性の高い樹脂骨格(化合物(C)に由来するイソシアヌレート環)が、硬化反応後の架橋ネットワークに組み込まれ、また、この架橋ネットワーク間に微粒子(D)が存在することにより、高温環境での熱運動性を適度に拘束することができ、化合物(C)や微粒子(D)がない場合と比べて、接着界面にかかるストレスが軽減できたためと考えられる。
そのため、本発明の接着剤組成物は、オレフィン基材に対する接着剤組成物としても有用である。
また、本発明においては、上述した通り、イソシアヌレート環を有する化合物(C)がペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を含むことにより、ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を含む主剤または硬化剤の粘度の上昇を抑制できる。ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体は、他のイソシアヌレート化合物(特に、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)よりも分子量が小さく、粘度も低いことから、イソアヌレート化合物が添加された配合物系の中でも粘度を抑える効果が高いものと推測される。このことは、後述する実施例欄でも示されており、具体的には、ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を用いた実施例1の主剤の粘度は、ヘキサメチレンジイソシネートのイソシアヌレート体を用いた比較例2の主剤の粘度と比べて、著しく低減されていることがわかる。このように主剤または硬化剤の粘度の上昇を抑制できることで、接着剤組成物の調製時や使用時において作業性が良好になるという利点がある。
【0013】
〔主剤〕
本発明の接着剤組成物の主剤は、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)を含有する。
【0014】
<ウレタンプレポリマー(A)>
本発明の接着剤組成物の主剤に含有するウレタンプレポリマー(A)は、分子内に複数のイソシアネート基を分子末端に含有するポリマーである。
このようなウレタンプレポリマー(A)としては、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリイソシアネート化合物と1分子中に2個以上の活性水素基を有する化合物(以下、「活性水素化合物」と略す。)とを、活性水素基に対してイソシアネート基が過剰となるように反応させることにより得られる反応生成物等を用いることができる。
【0015】
(ポリイソシアネート化合物)
ウレタンプレポリマー(A)の製造の際に使用されるポリイソシアネート化合物は、分子内にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に限定されない。
ポリイソシアネート化合物に使用されるイソシアネートとしては、具体的には、例えば、TDI(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI))、MDI(例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI))、1,4−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)のような脂肪族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H
6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H
12MDI)のような脂環式ポリイソシアネート;これらのカルボジイミド変性ポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート;等が挙げられる。
【0016】
このようなポリイソシアネート化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、硬化性に優れる理由から、MDIであるのが好ましい。
【0017】
(活性水素化合物)
ウレタンプレポリマー(A)の製造の際に使用される1分子中に2個以上の活性水素基を有する活性水素化合物は特に限定されない。
【0018】
上記活性水素化合物としては、例えば、1分子中に2個以上の水酸(OH)基を有するポリオール化合物、1分子中に2個以上のアミノ基および/またはイミノ基を有するポリアミン化合物等が好適に挙げられ、中でも、ポリオール化合物であるのが好ましい。
【0019】
上記ポリオール化合物は、OH基を2個以上有する化合物であれば、その分子量および骨格などは特に限定されず、その具体例としては、低分子多価アルコール類、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール、およびこれらの混合ポリオール等が挙げられる。
【0020】
低分子多価アルコール類としては、具体的には、例えば、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール、(1,3−または1,4−)ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン(TMP)、1,2,5−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどの低分子ポリオール;ソルビトールなどの糖類;等が挙げられる。
【0021】
次に、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールとしては、通常、上記低分子多価アルコール類から導かれるものが用いられるが、本発明においては、更に以下に示す芳香族ジオール類、アミン類、アルカノールアミン類から導かれるものも好適に用いることができる。
ここで、芳香族ジオール類としては、具体的には、例えば、レゾルシン(m−ジヒドロキシベンゼン)、キシリレングリコール、1,4−ベンゼンジメタノール、スチレングリコール、4,4′−ジヒドロキシエチルフェノール;下記に示すようなビスフェノールA構造(4,4′−ジヒドロキシフェニルプロパン)、ビスフェノールF構造(4,4′−ジヒドロキシフェニルメタン)、臭素化ビスフェノールA構造、水添ビスフェノールA構造、ビスフェノールS構造、ビスフェノールAF構造のビスフェノール骨格を有するもの;等が挙げられる。
【0023】
また、アミン類としては、具体的には、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられ、アルカノールアミン類としては、具体的には、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミン等が挙げられる。
【0024】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、上記低分子多価アルコール類、上記芳香族ジオール類、上記アミン類および上記アルカノールアミン類として例示した化合物から選ばれる少なくとも1種に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド(テトラメチレンオキサイド)、テトラヒドロフランなどのアルキレンオキサイドおよびスチレンオキサイド等から選ばれる少なくとも1種を付加させて得られるポリオール等が挙げられる。
このようなポリエーテルポリオールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリプロピレントリオール、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリテトラエチレングリコール、ソルビトール系ポリオール等が挙げられる。
【0025】
同様に、ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記低分子多価アルコール類、上記芳香族ジオール類、上記アミン類および上記アルカノールアミン類のいずれかと、多塩基性カルボン酸との縮合物(縮合系ポリエステルポリオール);ラクトン系ポリオール;ポリカーボネートポリオール;等が挙げられる。
ここで、上記縮合系ポリエステルポリオールを形成する多塩基性カルボン酸としては、具体的には、例えば、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、ピロメリット酸、他の低分子カルボン酸、オリゴマー酸、ヒマシ油、ヒマシ油とエチレングリコール(もしくはプロピレングリコール)との反応生成物などのヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。
また、上記ラクトン系ポリオールとしては、具体的には、例えば、ε−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、ε−メチル−ε−カプロラクトン等のラクトンを適当な重合開始剤で開環重合させたもので両末端に水酸基を有するものが挙げられる。
【0026】
その他のポリオールとしては、具体的には、例えば、アクリルポリオール;ポリブタジエンジオール;水素添加されたポリブタジエンポリオールなどの炭素−炭素結合を主鎖骨格に有するポリマーポリオール;等が挙げられる。
【0027】
本発明においては、以上で例示した種々のポリオール化合物を1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらのうち、ポリプロピレングリコールであるのが、得られるウレタンプレポリマーを主剤に含有する本発明の接着剤組成物の硬度と破断伸びのバランスおよびコストに優れる理由から好ましい。
【0028】
上記ポリアミン化合物としては、具体的には、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン(MPMD、デュポン・ジャパン社製)などの脂肪族ポリアミン;メタフェニレンジアミン、オルトフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン(MXDA)、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジアミノジエチルジフェニルメタンなどの芳香族ポリアミン;N−アミノエチルピペラジン;3−ブトキシイソプロピルアミンなどの主鎖にエーテル結合を有するモノアミン;サンテクノケミカル社製のジェファーミンEDR148に代表されるポリエーテル骨格のジアミン;イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3BAC、三菱ガス化学社製)、1−シクロヘキシルアミノ−3−アミノプロパン、3−アミノメチル−3,3,5−トリメチル−シクロヘキシルアミンなどの脂環式ポリアミン;ノルボルナンジアミン(NBDA、三井化学社製)などのノルボルナン骨格のジアミン;ポリアミドの分子末端にアミノ基を有するポリアミドアミン;2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メンセンジアミン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、ポリプロピレングリコール(PPG)を骨格に持つサンテクノケミカル社製のジェファーミンD230、ジェファーミンD400;等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらのうち、ポリエーテル骨格のジアミン(ジェファーミン)、ヘキサメチレンジアミンであるのが好ましい。
【0029】
本発明においては、上記ウレタンプレポリマー(A)は、ポリイソシアネート化合物として芳香族ポリイソシアネートを用い、活性水素化合物として分子量500〜20000のポリエーテルポリオールを用い、これらをポリエーテルポリオールの水酸基1モルに対して、芳香族ポリイソシアネートのイソシアネート基が1.5〜2.5モルとなるように反応させたウレタンプレポリマーであるのが好ましい。
【0030】
〔硬化剤〕
本発明の接着剤組成物の硬化剤は、1分子中に2個以上の活性水素基を有する化合物(B)を含有する。
【0031】
<化合物(B)>
本発明の接着剤組成物の硬化剤に含有する化合物(B)は、上述した主剤に含有する上記ウレタンプレポリマーを硬化させる成分(狭義の硬化剤成分)である。
本発明においては、上記化合物(B)としては、上記ウレタンプレポリマー(A)の生成に用いる活性水素化合物と同様の化合物が挙げられる。なかでも、ポリオール化合物であるのが好ましい。
ポリオール化合物としては、樹脂基材との接着性や耐熱性がより良好となる観点から、3官能以下のポリエーテルポリオール(B1)(以下、単に「ポリエーテルポリオール(B1)」ともいう。)、疎水骨格を有するポリオール化合物(B2)、ロジンジオール(B3)、および、4官能以上のポリエーテルポリオール(B4)(以下、単に「ポリエーテルポリオール(B4)」ともいう。)などを用いることが好ましい。
【0032】
ポリエーテルポリオール(B1)は、上述したように3官能以下であるが、2〜3官能であることが好ましく、3官能であることが好ましい。ここで、2官能以上のポリエーテルポリオールは、これに限定されないが、例えば、塩基性触媒の存在下、開始剤として2価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパンなど)に、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加重合させることで製造できる。
ポリエーテルポリオール(B1)を構成するポリエーテルポリオールとしては、例えば上述した〔主剤〕の項で挙げたポリエーテルポリオールを用いることができ、これらの中でもポリプロピレングリコールを好ましく用いることができる。
ポリエーテルポリオール(B1)としては、市販品も用いることができ、例えば、エクセノール1030(旭硝子社製、3官能ポリプロピレングリコール)などが挙げられる。
【0033】
疎水骨格を有するポリオール化合物(B2)としては、ポリブタジエンジオール、水素添加されたポリブタジエンジオールなどの主骨格が疎水性であるジオール化合物が挙げられ、ポリブタジエンジオールが好ましく用いられる。
ポリブタジエンジオールとしては、例えば、ブタジエンホモポリマー、イソプレンホモポリマー、ブタジエン−スチレンコポリマー、ブタジエン−イソプレンコポリマー、ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、ブタジエン−2−エチルヘキシルアクリレートコポリマー、ブタジエン−n−オクタデシルアクリレートコポリマー等のブタンジエン系ポリマーの末端をヒドロキシ基に変性したものなどが挙げられる。
疎水骨格を有するポリオール化合物(B2)は、市販品も用いることができ、例えば、Poly bd R−45 HT(出光興産社製、ポリブタジエンジオール)などが挙げられる。
【0034】
ロジンジオール(B3)は、分子内にロジン骨格と2個のヒドロキシ基とを有する化合物である。ロジンジオール(B3)としては、例えば、ロジンと多価アルコールとを反応させて得られるロジンエステル、およびロジンとビスフェノールAジグリシジルエーテル等との反応物等が挙げられる。
上記ロジンジオールの市販品の例としては、例えば、パインクリスタルD−6011、(荒川化学工業社製)等が挙げられる。
【0035】
ポリエーテルポリオール(B4)は、上述したように4官能以上であるが、4〜6官能であることが好ましく、4官能であることが好ましい。
ポリエーテルポリオール(B4)を構成するポリエーテルポリオールとしては、例えば上述した〔主剤〕の項で挙げたポリエーテルポリオールを用いることができる。
ポリエーテルポリオール(B4)としては、市販品も用いることができ、例えば、ポリオール4800(パーストープ社製、4官能ポリエーテルポリオール)などが挙げられる。
【0036】
化合物(B)は、少なくとも上記ポリエーテルポリオール(B1)を含有することが好ましい。さらに、上記ポリエーテルポリオール(B1)に加えて、疎水骨格を有するポリオール化合物(B2)、ロジンジオール(B3)およびポリエーテルポリオール(B4)の少なくとも1種を含有することがより好ましい。
【0037】
本発明においては、本発明の接着剤組成物における上記主剤と上記硬化剤との配合比は、上記主剤中のイソシアネート基と上記硬化剤中の活性水素基とのモル比(NCO/OH)が0.5〜10.0となる量が好ましく、1.0〜4.0となる量がより好ましい。
【0038】
〔イソシアヌレート環を有する化合物(C)〕
本発明の接着剤組成物は、上述した主剤および硬化剤の少なくとも一方に、イソシアヌレート環を有する化合物(C)を含有する。
ここで、上記化合物(C)は、後述する微粒子(D)とは独立して、上述した主剤および硬化剤の少なくとも一方に含有しており、上述した主剤および硬化剤の両方に含有していてもよい。
【0039】
本発明においては、上記化合物(C)は、少なくともペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を含む。
また、上記化合物(C)は、本発明の効果が十分に発揮される限り、ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体以外の化合物をさらに含有してもよい。このような化合物としては、脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート化合物(C1)(ただし、ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を除く)、脂肪族イソシアネートシランのイソシアヌレート化合物(C2)、イソシアヌレート環を有する(メタ)アクリレート化合物(C3)、イソシアヌレート環を有するチオール化合物(C4)、および、イソシアヌレート環を有するグリシジル化合物(C5)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物が挙げられる。
ここで、「(メタ)アクリレート化合物」とは、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を有する化合物のことをいい、後述する「(メタ)アクリロイルオキシ基」とは、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基をいう。
【0040】
<ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体>
ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(以下、「化合物(C1−2)」ともいう。)は、下記式(C1−2)で表される化合物である。化合物(C1−2)を用いることで、これを含有する主剤または硬化剤の粘度の上昇を抑制できる。化合物(C1−2)は、主剤に含まれることが好ましい。
【0042】
本発明においては、上記化合物(C1−2)の含有量は、上述した主剤に配合する場合は、主剤の総質量に対して0.1〜10質量%であるのが好ましく、0.3〜2.5質量%であるのがより好ましい。また、上述した硬化剤に配合する場合は、硬化剤の総質量に対して0.3〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜5質量%であるのがより好ましい。
【0043】
<イソシアヌレート化合物(C1)>
上記イソシアヌレート化合物(C1)は、ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を除く化合物であり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)等の脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート体が挙げられる。
HDIのイソシアヌレート体は、具体的には、下記式(C1−1)で表される化合物である。
【0045】
<イソシアヌレート化合物(C2)>
上記イソシアヌレート化合物(C2)は、脂肪族イソシアネートシランのイソシアヌレート化合物である。
ここで、脂肪族イソシアネートシランは、脂肪族化合物に由来するイソシアネート基と加水分解性ケイ素含有基とを有する化合物であり、例えば、イソシアネート基含有脂肪族化合物と、イソシアネート基と反応し得る官能基と加水分解性ケイ素含有基とを有する化合物とを反応させて得ることができる。
上記イソシアヌレート化合物(C2)としては、具体的には、例えば、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等の脂肪族イソシアネートシランをイソシアヌレート化した化合物等が好適に挙げられる。
【0046】
<(メタ)アクリレート化合物(C3)>
上記(メタ)アクリレート化合物(C3)は、イソシアヌレート環と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する化合物であれば特に限定されない。
上記(メタ)アクリレート化合物(C3)としては、具体的には、例えば、エトキシキ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)等の脂肪族ジイソシアネートと、ヒドロキシエチルアクリルアミド等の水酸基含有アクリルアミドモノマーや4ヒドロキシブチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートと、を反応させて得られる化合物;等が挙げられる。
【0047】
<チオール化合物(C4)>
上記チオール化合物(C4)は、イソシアヌレート環とメルカプト基とを有する化合物であれば特に限定されない。
上記チオール化合物(C4)としては、具体的には、例えば、トリス(エチル−3−メルカプトプロピオネート)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられる。
【0048】
<グリシジル化合物(C5)>
上記グリシジル化合物(C5)は、イソシアヌレート環とエポキシ基とを有する化合物であれば特に限定されない。
上記グリシジル化合物(C5)としては、具体的には、例えば、1,3,5−トリス(2,3−エポキシプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられる。
【0049】
本発明においては、上記化合物(C)の含有量は、上述した主剤に配合する場合は、主剤の総質量に対して0.1〜10質量%であるのが好ましく、0.3〜2.5質量%であるのがより好ましい。また、上述した硬化剤に配合する場合は、硬化剤の総質量に対して0.3〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜5質量%であるのがより好ましい。
【0050】
〔有機物を含む平均粒子径が0.1〜10μmの微粒子(D)〕
本発明の接着剤組成物は、上述した主剤および硬化剤の少なくとも一方に、有機物を含む平均粒子径が0.1〜10μmの微粒子(D)を含有する。
ここで、上記微粒子(D)は、上述した化合物(C)とは独立して、上述した主剤および硬化剤の少なくとも一方に含有しており、上述した主剤および硬化剤の両方に含有していてもよい。
また、平均粒子径とは、微粒子(D)の粒子径の平均値をいい、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定された50%体積累積径(D50)をいう。なお、平均値を算出する基になる粒子径は、微粒子(D)の断面が楕円形である場合はその長径と短径の合計値を2で割った平均値をいい、正円形である場合はその直径をいう。
【0051】
上記微粒子(D)平均粒子径は、0.2〜7μmであるのが好ましく、0.3〜5μmであるのがより好ましい。
【0052】
<重合体(D1)>
本発明においては、上述したウレタンプレポリマー(A)や化合物(B)を含む樹脂マトリクスへの分散性の観点から、上記微粒子(D)を構成する有機物が、重合性不飽和基含有モノマーの重合体(D1)であるのが好ましく、ポリオキシアルキレンポリオール中に分散した上記重合体(D1)であるのがより好ましい。
ここで、重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基、スチリル基等の重合性官能基が挙げられる。
このような重合性不飽和基を有するモノマーとしては、従来公知の架橋性モノマーを用いることができ、例えば、メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレートなどのアルキルメタクリレート;エチルアクリレート、ブチルアクリレートなどのアルキルアクリレート;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニルや芳香族ビニリデン;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニルやシアン化ビニリデン;等が挙げられ、上記重合体(D1)としては、これらのモノマーの単独重合体(ホモポリマー)であってもよく、これらのモノマーの共重合体であってもよい。
これらのうち、上記重合体(D1)としては、MMAの単独重合体、アクリロニトリルとスチレンとの共重合体、スチレンの単独重合体であるのが好ましい。
【0053】
上記重合体(D1)の調製方法としては、例えば、懸濁重合を利用する方法等が挙げられる。具体的には、水などの溶媒中でモノマーを重合して粒子化した後に、溶媒を除去し、粒子のみを取り出す手法等が挙げられ、より具体的には、特開2014−198797号公報、特開2014−198804号公報などに記載された方法が挙げられる。
【0054】
また、ポリオキシアルキレンポリオール中に分散した上記重合体(D1)の調製方法としては、例えば、いわゆるポリマーポリオールを利用する方法等が挙げられる。具体的には、揮発性の低いポリプロピレングリコール(PPG)を溶媒として用い、その溶媒(ポリマー溶液)中でモノマーを重合させることにより、ポリマー溶液中に微粒子化した重合体(D1)を調製する方法が挙げられる。より具体的には、特開2012−241182号公報や特開2012−46613号公報の実施例に記載された方法が挙げられる。
【0055】
本発明においては、上記微粒子(D)として、ポリオキシアルキレンポリオール中に分散した上記重合体(D1)を用い、これを主剤側に配合する場合は、ポリオキシアルキレンポリオールは、上述したウレタンプレポリマー(A)を生成するための活性水素化合物の一部として使用してもよい。
同様に、上記微粒子(D)として、ポリオキシアルキレンポリオール中に分散した上記重合体(D1)を用い、これを硬化剤側に配合する場合は、ポリオキシアルキレンポリオールは、1分子中に2個以上の活性水素含有基を有する化合物(B)の一部として使用(流用)してもよい。
【0056】
本発明においては、耐熱性がより良好となり、耐薬品性も向上する理由から、上記重合体(D1)のガラス転移温度が60℃以上であるのが好ましく、80〜250℃であるのがより好ましい。
ここで、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて20℃/分の昇温速度で測定し、中点法にて算出したものである。
【0057】
本発明においては、上記微粒子(D)を構成する有機物は、上述した重合体(D1)以外に、メラミン系樹脂であってもよい。
有機物としてメラミン系樹脂を有する微粒子(D)としては、例えば、特開2002−327036号公報や特開2005−171033号公報などに記載された球状複合硬化メラミン樹脂等が挙げられる。
【0058】
本発明においては、上記微粒子(D)の含有量は、上述した主剤に配合する場合は、主剤の総質量に対して0.1〜30質量%であるのが好ましく、0.5〜20質量%であるのがより好ましい。また、上述した硬化剤に配合する場合は、硬化剤の総質量に対して0.5〜50質量%であるのが好ましく、1〜15質量%であるのがより好ましい。
【0059】
〔テルペン化合物〕
本発明の接着剤組成物は、上述した主剤および硬化剤の少なくとも一方に、テルペン化合物を含有するのが好ましい。
【0060】
上記テルペン化合物としては、例えば、モノテルペン、水添モノテルペン、上記モノテルペンまたは上記水添モノテルペンを水酸基変性した変性モノテルペン、および、上記モノテルペンまたは上記変性モノテルペンに由来する繰り返し単位を2〜6個有するオリゴマーからなる群から選択される少なくとも1種のテルペン化合物が挙げられる。
ここで、テルペンとは、イソプレン則に基づく一連の化合物、すなわち、分子式(C
5H
8)
nで表される化合物の総称であり、このうち、モノテルペンとは、分子式(C
5H
8)
2で表される化合物をいう。また、モノテルペンまたは変性モノテルペンに由来する繰り返し単位を2〜6個有するオリゴマーとは、モノテルペンの骨格、分子式(C
5H
8)
2で表される繰り返し単位を2〜6個有する化合物をいい、単独重合体(ホモオリゴマー)であってもよく、共重合体(コオリゴマー)であってもよい。
【0061】
<モノテルペン>
上記モノテルペンとしては、例えば、下記式(1)で表される化合物(α−ピネン)、下記式(2)で表される化合物(β−ピネン)、下記式(3)で表される化合物(リモネン)、ミルセン、カルボン、カンファー等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、下記式(1)〜(3)で表される化合物であるのが好ましい。
【0063】
<水添モノテルペン>
上記水添モノテルペンは、上記モノテルペンを水素化したテルペン化合物である。
上記水添モノテルペンとしては、例えば、下記式(4)で表される化合物(p−メンタン)等が挙げられる。
【0065】
<変性モノテルペン>
上記変性モノテルペンは、上記モノテルペンまたは上記水添モノテルペンを水酸基変性したモノテルペンである。
上記変性モノテルペンとしては、例えば、下記式(5)で表される化合物(α−ターピネオール)、下記式(6)で表される化合物(β−ターピネオール)、下記式(7)で表される化合物(γ−ターピネオール)等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0067】
<オリゴマー>
上記オリゴマーは、上記モノテルペンまたは上記変性モノテルペン(ただし、上記水添モノテルペンを水酸基変性した変性モノテルペンは除く。)に由来する繰り返し単位を2〜6個有する化合物である。
上記オリゴマーとしては、例えば、下記式(8)で表される化合物(テルペン樹脂)、下記式(9)で表される化合物(芳香族変性テルペン樹脂)、下記式(10)で表される化合物(テルペンフェノール樹脂)等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0069】
ここで、上記式(8)〜(10)中、mは2〜6の数を表し、nは1〜3の数を表し、m×nは2〜6の数を表す。
また、mおよびm×nは、2〜5の数であるのが好ましく、2〜3の数であるのがより好ましい。
一方、上記式(9)中、Rは、水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を表す。
また、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であるのが好ましく、水素原子であるのがより好ましい。
【0070】
本発明においては、上記テルペン化合物を含有する場合の含有量は、上述した主剤に配合する場合は、主剤の総質量に対して0.05〜25質量%であるのが好ましく、0.2〜10質量%であるのがより好ましい。また、上述した硬化剤に配合する場合は、硬化剤の総質量に対して0.05〜30質量%であるのが好ましく、1〜20質量%であるのがより好ましい。
【0071】
〔カーボンブラック〕
本発明の接着剤組成物は、上述した主剤および硬化剤の少なくとも一方に、カーボンブラックを含有するのが好ましい。
カーボンブラックは、通常の1液型のポリウレタン組成物と同様、従来公知のものを用いることができる。
カーボンブラックとしては、例えば、SAF(Super Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate Super Abrasion Furnace)、HAF(High Abrasion Furnace)、FEF(Fast Extruding Furnace)、GPF(General Purpose Furnace)、SRF(Semi−Reinforcing Furnace)、FT(Fine Thermal)、MT(Medium Thermal)等が挙げられる。
具体的には、上記SAFとしてはシースト9(東海カーボン社製)、ISAFとしてはショウワブラックN220(昭和キャボット社製)、HAFとしてはシースト3(東海カーボン社製)、FEFとしてはHTC#100(中部カーボン社製)等が例示される。また、GPFとしては旭#55(旭カーボン社製)、シースト5(東海カーボン社製)、SRFとしては旭#50(旭カーボン社製)、三菱#5(三菱化学社製)、FTとしては旭サーマル(旭カーボン社製)、HTC#20(中部カーボン社製)、MTとしては旭#15(旭カーボン社製)等が例示される。
【0072】
本発明においては、上記カーボンブラックを含有する場合の含有量は、上述した主剤に配合する場合は、主剤の総質量に対して5〜70質量%であるのが好ましく、10〜50質量%であるのがより好ましい。また、上述した硬化剤に配合する場合は、硬化剤の総質量に対して3〜80質量%であるのが好ましく、10〜50質量%であるのがより好ましい。
【0073】
〔炭酸カルシウム〕
本発明の接着剤組成物は、上述した主剤および硬化剤の少なくとも一方に、炭酸カルシウムを含有するのが好ましい。
炭酸カルシウムは、通常の1液型のポリウレタン組成物と同様、従来公知のものを用いることができ、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム)、コロイダル炭酸カルシウム等であってもよい。
【0074】
本発明においては、上記炭酸カルシウムを含有する場合の含有量は、上述した主剤に配合する場合は、主剤の総質量に対して3〜80質量%であるのが好ましく、5〜50質量%であるのがより好ましい。また、上述した硬化剤に配合する場合は、硬化剤の総質量に対して3〜90質量%であるのが好ましく、10〜70質量%であるのがより好ましい。
【0075】
〔他の任意成分〕
本発明の接着剤組成物は、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、カーボンブラックおよび炭酸カルシウム以外の充填剤、硬化触媒、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、接着付与剤、帯電防止剤などの各種添加剤等を含有することができる。
【0076】
上記充填剤としては、各種形状の有機または無機の充填剤が挙げられる。具体的には、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ;ケイソウ土;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム;炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛;ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー;カーボンブラック;これらの脂肪酸処理物、樹脂酸処理物、ウレタン化合物処理物、脂肪酸エステル処理物;等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0077】
上記硬化触媒は、特に限定されないが、具体的には、例えば、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸などカルボン酸類;ポリリン酸、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェートなどのリン酸類;オクチル酸ビスマスなどのビスマス触媒;ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレートなどのスズ触媒;1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(例えば、DMP−30)などの第三級アミン触媒;等が挙げられる。
【0078】
上記可塑剤としては、具体的には、例えば、ジイソノニルフタレート(DINP);アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル;アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0079】
上記老化防止剤としては、具体的には、例えば、ヒンダードフェノール系等の化合物が挙げられる。
上記酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
【0080】
上記顔料としては、具体的には、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩などの無機顔料;アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノナフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、イソインドリン顔料、カーボンブラックなどの有機顔料;等が挙げられる。
【0081】
上記揺変性付与剤としては、具体的には、例えば、エアロジル(日本エアロジル社製)、ディスパロン(楠本化成社製)等が挙げられる。
上記接着付与剤としては、具体的には、例えば、フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
【0082】
上記難燃剤としては、具体的には、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチル・メチルホスホネート、臭素・リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ネオペンチルブロマイド−ポリエーテル、臭素化ポリエーテル等が挙げられる。
帯電防止剤としては、具体的には、例えば、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物等が挙げられる。
【0083】
本発明の接着剤組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、ウレタンプレポリマー(A)等を含有する主剤と、1分子中に2個以上の活性水素基を有する化合物(B)等を含有する硬化剤とを、別々に窒素ガス雰囲気下で十分に混合する方法により調製することができる。
また、本発明においては、調製された主剤を窒素ガス等で置換された容器に、調製された硬化剤を別の容器にそれぞれ充填し保存することができ、使用時に主剤と硬化剤とを十分に混合して調製することもできる。
【実施例】
【0084】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0085】
<ウレタンプレポリマーA−1の合成>
ポリオキシプロピレンジオール(平均分子量2000)700g、ポリオキシプロピレントリオール(平均分子量3000)300g、および4,4′−ジイソシアネートフェニルメタン(分子量250)499gを混合し(この時NCO/OH=2.0)、更にフタル酸ジイソノニル500gを加えて、窒素気流中、80℃で12時間撹拌を行い、反応させて、イソシアネート基を2.10%含有するウレタンプレポリマーA−1を合成した。
【0086】
〔実施例1〜7および比較例1〜17〕
下記第1表の各成分を、同表に示す組成(質量部)で撹拌機を用いて混合し、同表上段に示す主剤と同表下段に示す硬化剤とを調製した。
次いで、調製した主剤100gと、硬化剤10gとを混合し、接着剤組成物を得た。
得られた各接着剤組成物について、下記の方法により接着性を評価した。結果を第1表に示す。
【0087】
〔作業性(粘度)〕
上記のようにして調製した主剤について、SOD粘度は、JASO M338−89に準拠して、圧力粘度計(ASTM D 1092)を用いて測定した。粘度は、主剤の温度を20℃として、20sec
−1の条件で行った。
粘度の評価基準は、320Pa・s未満のものを「◎」、320Pa・s以上360Pa・s未満を「○」、360Pa・s以上のものを「△」と評価して、「○」以上の評価を合格とした。結果を下記第1表に示す。
【0088】
〔接着性〕
<剪断強度>
オレフィン樹脂からなる基板(幅:25mm、長さ:120mm、厚さ:3mm、短繊維GFPP K7000、プライムポリマー社製)の片面にフレーム処理を施した被着体を2枚用意した。
フレーム処理後、ぬれ張力試験用混合液(和光純薬工業社製)を用いて樹脂表面の濡れ性が45.0mN/m以上であることを確認した。
次いで、一方の被着体の表面(フレーム処理を施した面)に、調製(混合)直後の各接着剤組成物を厚み3mmとなるように塗布した後、他方の被着体の表面(フレーム処理を施した面)と張り合わせ、圧着させることで試験体を作製した。
作製した試験体を23℃、相対湿度50%の環境下に3日間放置した後に、23℃下でJIS K6850:1999に準じた引張試験を行い、引っ張り速度50mm/minで剪断強度(MPa)を測定した。
測定の結果、剪断強度3.1MPa以上のものを「◎」と評価し、剪断強度が2.0MPa以上3.1MPa未満のものを「○」と評価し、剪断強度が2.0MPa未満のものを「×」と評価した。結果を下記第1表に示す。
【0089】
<破壊状態>
剪断強度を測定した試験体について、破壊状態を目視で確認した。
接着剤により接着している面積のうち、接着剤が凝集破壊(CF)している割合が90%以上のものを「◎」と評価し、凝集破壊している割合が75%以上90%未満のものを「○」と評価し、凝集破壊している割合が60%以上75%未満のものを「△」と評価し、凝集破壊している割合が60%未満のものを「×」と評価した。結果を下記第1表に示す。
なお、下記第1表中、「CF数値」は、凝集破壊の割合を示し、「AF数値」は接着破壊(界面剥離)の割合を示し、例えば、「CF80AF20」は、凝集破壊が80%で接着破壊が20%であることを示す。
【0090】
〔耐熱性〕
接着性の評価と同様の試験体を作製し、作製した試験体を23℃、相対湿度50%の環境下に3日間放置した後、更に、100℃のオーブン内に200時間放置した後に、上述した接着性と同様の評価を行った。結果を下記第1表に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
上記第1表に示されている各成分の詳細は以下のとおりである。
・ウレタンプレポリマーA−1:上記で合成したウレタンプレポリマー
・微粒子D−2:シリカメラミン複合微粒子(品番:オプトビーズ500SL、日産化学社製、微粒子の濃度:100質量%、微粒子の平均粒子径:0.6μm、微粒子のガラス転移温度:210℃、)15質量部とポリオキシプロピレントリオール(分子量5100)100質量部をペイントミル(S−43/4X11、井上製作所)を用いて均一化したもの
・微粒子D−3:ポリメタクリル酸粒子(品番:XX−2851Z、積水化成品工業製、微粒子の濃度:100質量%、微粒子の平均粒子径:0.3μm、微粒子のガラス転移温度:100℃、)15質量部とポリオキシプロピレントリオール(分子量5100)100質量部をペイントミル(S−43/4X11、井上製作所)を用いて均一化したもの
・微粒子D−4:アクリロニトリルとスチレンとの共重合体からなる微粒子が分散したPPG溶液(品番:FL−557、微粒子の濃度:40質量%、微粒子の平均粒子径:1.0μm、微粒子のガラス転移温度:100℃、三洋化成工業社製)
・微粒子D−5:スチレンの単独重合体からなる微粒子が分散したPPG溶液(品番:エクセノール910、微粒子の濃度:20質量%、微粒子の平均粒子径:1μm、微粒子のガラス転移温度:110℃、旭硝子社製)
【0093】
・イソシアヌレート化合物C1−1:ヘキサメチレンジイソシネートのイソシアヌレート体(Tolonate HDT、パーストープ社製)
・イソシアヌレート化合物C1−2:ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体
・イソシアヌレート化合物C2−1:イソシアネートプロピルトリメトキシシランのイソシアヌレート体(Y−19020、モメンティブ社製)
・イソシアヌレート化合物C2−2:イソシアネートプロピルトリエトキシシランのイソシアヌレート体(A−1310、モメンティブ社製)
・(メタ)アクリレート化合物C3−1:エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート体(A−9300、新中村化学社製)
・(メタ)アクリレート化合物C3−2:ε−カプロラクトン変性トリス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート体(A−9300−1CL、新中村化学社製)
【0094】
・化合物B1−1:3官能ポリプロピレンポリオール(エクセノール1030、旭硝子社製)
・化合物B2−1:ポリブタジエンジオール(Poly bd R−45HT、出光興産社製、水酸基価:45)
・化合物B3−1:ロジンジオール(D−6011、荒川化学工業社製、水酸基価118)
・化合物B4−1:4官能ポリエーテルポリオール(ポリオール4800、パーストープ社製、水酸基価:800、分子量282)
・テルペン化合物1:YSレジンCP(ヤスハラケミカル社製)
・テルペン化合物2:ターピネオール(ヤスハラケミカル社製)
・カーボンブラック:#200MP(新日化カーボン社製)
・炭酸カルシウム1:スーパーS(丸尾カルシウム社製)
・炭酸カルシウム2:カルファイン200(丸尾カルシウム社製)
・可塑剤:フタル酸ジイソノニル(ジェイプラス社製)
・触媒:ジモルホリノジエチルエーテル(サンアプロ社製)
【0095】
上記第1表に示す結果から、イソシアヌレート環を有する化合物(C)、および、有機物を含む平均粒子径が0.1〜10μmの微粒子(D)をいずれも配合せずに調製した接着剤組成物は、接着性および耐熱性が劣ることが分かった(比較例1)。
また、イソシアヌレート環を有する化合物(C)、および、有機物を含む平均粒子径が0.1〜10μmの微粒子(D)のいずれか一方を配合せずに調製した接着剤組成物は、接着性が不十分となり、耐熱性が劣ることが分かった(比較例2〜3)。
ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体以外のイソシアヌレート環を有する化合物(C)を用いて得られた主剤は、粘度が高くなりすぎてしまって、接着剤組成物の作業性が劣ることが分かった(比較例2、4〜17)。
これに対し、イソシアヌレート環を有する化合物(C)としてペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、および、有機物を含む平均粒子径が0.1〜10μmの微粒子(D)を配合して調製した接着剤組成物は、接着性および耐熱性が良好であることが分かった(実施例1〜7)。また、ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体以外のイソシアヌレート環を有する化合物(C)を用いて得られた主剤は、粘度の上昇が抑制され、接着剤組成物の作業性が良好になることがわかった。なお、第1表中には記載していないが、硬化速度に関し、主剤/硬化剤混合後の接着剤を室温下にてビード(直径1cm)塗布して12時間経過後にカッターナイフにて切断したところ、実施例の全てがビードの表層から内部に至るまで硬化していることを確認でき、2液としての優れた硬化速度を十分に保持できていることが分かった。
また、実施例同士の対比から、テルペン化合物を配合して調製した接着剤組成物は、テルペン化合物を配合しない例と比較して接着性および耐熱性がより良好となることが分かった。