【文献】
河村 憲一,無線LANの通信品質向上を実現するQoS制御技術,NTT技術ジャーナル,社団法人電気通信協会,2007年 8月 1日,第19巻 第8号,p.45-48
【文献】
Amin Jafarian,EDCA Parameters, IEEE 802.11-12/0861r0,2012年 7月16日,URL,https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/12/11-12-0861-00-00ah-edca-parameters-for-11ah.pptx
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線端末装置は、LANケーブルによる設置場所の制約を受けないため様々な場所に設置され得る。そのため、無線LAN内には、通信状態の良い無線端末装置だけでなく、通信状態の悪い無線端末装置も混在する場合がある。しかし、通信状態の悪い無線端末装置であっても、その装置の使用頻度が高い場合や、その装置がサーバとして利用されている場合がある。よって、通信状態の悪い無線端末装置と、無線通信装置との間の通信の実効速度(スループット)を向上可能な技術が求められている。そのほか、従来のネットワーク中継装置においては、処理負担の軽減や使い勝手の向上などが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本発明の第1の形態によれば、無線通信装置が提供される。この無線通信装置は、無線端末装置と無線通信を行う無線通信部と;前記無線端末装置の通信状態を検出する通信状態検出部と;通信状態が悪い無線端末装置に対して優先的に通信を行うための制御を行う優先制御部と、を備える。このような形態の無線通信装置であれば、通信状態が悪い無線端末装置に対して優先的に通信を行うことができるので、通信状態の悪い無線端末装置と無線通信装置との間の実効速度を向上させることができる。
【0007】
(2)上記形態の無線通信装置において、前記優先制御部は、通信状態の悪い無線端末装置に対して送信するフレームを、IEEE802.11規格における優先制御に使用されるアクセスカテゴリ中、優先度の高いアクセスカテゴリに分類してもよい。このような形態であれば、IEEE802.11規格に従って優先制御を行うことができるので、実効速度を向上させるための特別なハードウェアを用意する必要がなく、装置構成を簡略化することができる。
【0008】
(3)上記形態の無線通信装置において、前記通信状態検出部は、前記無線端末装置から単位時間中に受信したフレームのうちの再送フレームの割合に基づいて、前記通信状態を検出してもよい。このような形態であれば、再送フレームの割合を算出することで、通信状態の良否を容易に判断することができる。
【0009】
(4)上記形態の無線通信装置において、前記通信状態検出部は、前記無線端末装置と前記無線通信装置との間のリンク速度に基づいて、前記通信状態を検出してよい。このような形態であれば、リンク速度を検出することで、通信状態の良否を容易に判断することができる。
【0010】
(5)上記形態の無線通信装置において、前記通信状態検出部は、前記無線端末装置から受信した無線信号の受信信号強度に基づいて、前記通信状態を検出してもよい。このような形態であれば、受信信号強度を検出することで、通信状態の良否を容易に判断することができる。
【0011】
(6)上記形態の無線通信装置において、前記通信状態検出部は、前記無線端末装置から単位時間中に受信したフレームのうちの同じシーケンス番号が付されたフレームの割合に基づいて、前記通信状態を検出してもよい。このような形態であれば、同一のシーケンス番号が付されたフレームの割合を求めることで、通信状態の良否を用意に判断することができる。
【0012】
(7)上記形態の無線通信装置において、前記通信状態検出部は、アプリケーション層における通信のセッションタイムアウトの発生割合、または、同一コンテンツの再送信を要求する割合に基づいて、前記通信状態を検出してもよい。このような形態であれば、アプリケーション層における通信に基づいて、通信状態の良否を容易に判断することができる。
【0013】
(8)上記形態の無線通信装置において、前記優先制御部は、前記無線端末装置の通信状態が悪い状態であっても、前記無線端末装置との間の通信の停滞が解消した場合には、前記無線端末装置に対して優先的な通信を行わなくてもよい。このような形態であれば、通信状態の悪い状態が解消しない場合であっても、通信の停滞が解消すれば、その無線端末装置に対する通信の優先度を、高めた状態から元に戻すことができる。
【0014】
(9)上記形態の無線通信装置において、前記優先制御部は、通信の優先度の変更の頻度が、予め定められた頻度よりも高い無線通信端末に対して、優先度を高くして通信を行ってもよい。このような態様であれば、優先度の設定が適切ではない無線通信端末に対する通信の安定性を高めることができる。
【0015】
(10)本発明の第2の形態によれば、無線端末装置が提供される。この無線端末装置は、無線通信装置と無線通信を行う無線通信部と;前記無線通信装置の通信状態を検出する通信状態検出部と;前記無線通信装置との無線通信における優先度を検出する優先度検出部と;前記検出された通信状態と前記検出された優先度とに応じて、前記無線通信装置に対して、前記優先度を変更する要求を行う要求部と、を備える。このような形態の無線端末装置であれば、通信状態と優先度とに応じて、優先度の変更を要求することができるので、通信状態の悪い無線端末装置と無線通信装置との間の実効速度を向上させることができる。
【0016】
(11)本発明の第3の形態によれば、無線通信装置と無線端末装置とを含む無線通信システムが提供される。この無線通信システムにおいて、前記無線端末装置は、前記無線通信装置と無線通信を行う第1無線通信部と;前記無線通信装置の通信状態を検出する第1通信状態検出部と;前記無線通信装置との無線通信における優先度を検出する優先度検出部と;前記検出された通信状態と前記検出された優先度とに応じて、前記無線通信装置に対して、前記優先度を変更する要求を行う要求部と、を備える。また、前記無線通信装置は、前記無線端末装置と無線通信を行う第2無線通信部と;前記無線端末装置の通信状態を検出する第2通信状態検出部と;通信状態が悪い無線端末装置に対して優先的に通信を行うための制御を行う優先制御部と、を備える。そして、前記優先制御部は、前記要求に応じて前記無線端末装置との通信の優先度を変更する。このような形態の無線通信システムによっても、第1の形態および第2の形態と同様に、通信状態の悪い無線端末装置と無線通信装置との間の実効速度を向上させることができる。
【0017】
上述した本発明の各形態の有する複数の構成要素はすべてが必須のものではなく、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、適宜、前記複数の構成要素の一部の構成要素について、その変更、削除、新たな他の構成要素との差し替え、限定内容の一部削除を行うことが可能である。また、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、上述した本発明の一形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部を上述した本発明の他の形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部と組み合わせて、本発明の独立した一形態とすることも可能である。
【0018】
例えば、本発明の一形態は、通信部と、検出部と、制御部と、の3つ要素の内の一つ以上の要素を備えた装置として実現可能である。通信部は、例えば、無線端末装置と無線通信を行う無線通信部として構成されてもよい。検出部は、例えば、無線端末装置の通信状態を検出する通信状態検出部として構成されてもよい。制御部は、例えば、通信状態が悪い無線端末装置に対して優先的に通信を行うための制御を行う優先制御部として構成されてもよい。こうした装置は、例えば無線通信装置として実現できるが、無線通信装置以外の他の装置としても実現可能である。このような形態によれば、処理負担の軽減や、通信量の削減、使い勝手の向上等の種々の課題の少なくとも1つを解決することができる。前述した無線通信装置の各形態の技術的特徴の一部又は全部は、いずれもこの装置に適用することが可能である。
【0019】
本発明は、無線通信装置、無線端末装置、無線通信システム以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、無線通信装置、無線端末装置、あるいは、無線通信システムによって実行される方法や、その方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における無線通信システムの概略構成図である。無線通信システム10は、無線通信装置100と無線端末装置200とを含んでいる。無線通信装置100は、ルータ機能を備えるアクセスポイントとして構成されている。無線端末装置200は、無線通信装置100に対して、インフラストラクチャモードで接続されるステーションとして構成されている。無線端末装置200は、無線通信装置100を介して、インターネットINTにアクセスすることができる。
図1には、無線端末装置200を複数台示しているが、無線端末装置200は1台であっても構わない。無線端末装置200としては無線LAN機能を備えるパーソナルコンピュータや、タブレット端末、スマートフォン、ゲーム機、などを適用することができる。無線通信装置100は、以下に説明するように、通信状態の悪い無線端末装置200ほど、優先的に通信を行う機能を備えている。
【0022】
図2は、無線通信装置100の概略構成を示す説明図である。無線通信装置100は、無線通信部110と、WANインタフェース120と、CPU130と、RAM140と、記憶部150とを備えている。
【0023】
無線通信部110は、無線端末装置200との間で、IEEE802.11に基づく無線通信を行う。このIEEE802.11では、CSMA/CA(搬送波感知多重アクセス/衝突回避方式)に基づき通信制御が行われる。また、無線通信部110は、IEEE802.11eに基づく優先制御(QoS(Quality of Service)制御)が可能である。さらに、無線通信部110は、各無線端末装置200から受信する無線信号の受信信号強度(RSSI)を検出する。
【0024】
WANインタフェース120は、インターネット回線が接続される物理インタフェースである。
【0025】
CPU130は、無線通信装置100の各部を制御する。また、CPU130は、WANインタフェース120に接続されたインターネット回線と、無線通信部110によって無線接続された無線端末装置200との間の通信を中継する。さらに、CPU130は、記憶部150に記憶されたコンピュータプログラムをRAM140にロードして実行することで、通信状態検出部131および優先制御部132として機能する。
【0026】
通信状態検出部131は、無線端末装置200の通信状態を検出する。第1実施形態では、無線端末装置200から無線通信部110を通じて単位時間中に受信したフレーム(より詳しくは、IEEE802.11フレーム)のうち、再送されたフレームの割合に基づいて、通信状態の検出を行う。
【0027】
優先制御部132は、通信状態が悪い無線端末装置200に対して優先的に通信を行うための制御を行う。本実施形態では、通信状態が悪い無線端末装置200に対して送信するフレームを、IEEE802.11e規格における優先制御に使用されるアクセスカテゴリの中で、優先度の高いアクセスカテゴリに分類することで、その無線端末装置200に対する通信の優先度を高める。
【0028】
図3は、無線通信装置100によって繰り返し実行される優先制御処理のフローチャートである。この優先制御処理では、まず、無線通信装置100の無線通信部110が、無線端末装置200からフレームを受信する(ステップS100)。フレームを受信すると、通信状態検出部131は、受信したフレームの中の再送フラグを解析し(ステップS110)、無線端末装置200毎の再送フラグ率を算出する(ステップS120)。再送フラグ率とは、その無線端末装置200から単位時間中に受信したフレームのうち、再送されたフレームの割合をいう。
【0029】
図4は、IEEE802.11フレームのフォーマットを示す説明図である。
図4に示すように、IEEE802.11フレームには、PLCP(物理層コンバージェンスプロトコル)プリアンブルと、PLCPヘッダと、MAC(Media Access Control)ヘッダと、ペイロードと、FCS(フレームチェックシーケンス)とが含まれる。MACヘッダには、フレーム制御と、送信期間と、アドレス1と、アドレス2と、アドレス3と、シーケンスコントロールと、アドレス4と、QoS制御、の各フィールドが含まれる。上記ステップS110で解析を行う再送フラグの情報は、このうち、フレーム制御フィールド内に記録されている。再送フラグとして、「1」が記録されていれば、そのフレームは、再送されたフレームであることを示し、「0」であれば、再送されたフレームではないことを示す。
【0030】
続いて、無線通信装置100の優先制御部132は、ステップS120で算出された無線端末装置200毎の再送フラグ率に応じて、無線端末装置200毎に、フレームを送信する際のアクセスカテゴリを設定する(ステップS130)。
【0031】
図5は、再送フラグ率に応じたアクセスカテゴリを示す説明図である。本実施形態では、
図5に示すように、優先制御部132は、再送フラグ率が80%以上であれば、その無線端末装置200に送信するフレームのアクセスカテゴリをIEEE802.11eで定められた「AC_VO」に設定する。また、再送フラグ率が50%以上80%未満であれば、アクセスカテゴリを「AC_VI」に設定する。また、再送フラグ率が10%以上50%未満であれば、アクセスカテゴリを「AC_BE」に設定する。また、再送フラグ率が10%未満であれば、アクセスカテゴリを「AC_BK」に設定する。このようにアクセスカテゴリの設定を行うことにより、優先制御部132は、再送フラグ率が大きい無線端末装置200ほど、つまり、通信環境の悪い無線端末装置200ほど、その無線端末装置200に対して行う通信の優先度を高くすることができる。
【0032】
上記ステップS130において無線端末装置200毎にアクセスカテゴリが設定されると、無線通信部110は、各無線端末装置200に対して設定されたアクセスカテゴリに従って、各無線端末装置200に対してフレームの送信を行う(ステップS140)。具体的には、例えば、無線通信部110は、高い優先度のアクセスカテゴリほど、CSMA/CAにおけるコンテンションウインドウを小さくする。そうすると、チャネルの空き状態後の待機時間であるバックオフタイムが短くなり、優先的にフレームを送信することが可能になる。なお、IEEE802.11eでは、コンテンションウインドウだけではなく、「AIFS(Arbitration Inter Frame Space)」や、「TXOP(Transmission Opportunity) Limit」の各値がアクセスカテゴリ毎に設定されて優先制御が行われる。「AIFS」とは、コンテンションウインドウで設定される時間の前に、待つ時間である。つまり、フレームの送信間隔を表す。このAIFSを短くすることでも、優先的にフレームを送信することが可能である。また、「TXOP Limit」とは、チャネルの占有時間である。この値が設定されていれば、チャンネルを占有してフレームを送信した後、TXOP分の時間が余っていれば、続けてフレームを送信することが可能となり、フレームを送信しやすくなる。
【0033】
以上で説明した第1実施形態における無線通信装置100によれば、通信状態が悪い無線端末装置200へ通信する場合ほど、優先度の高いアクセスカテゴリを設定するので、その無線端末装置200に対して優先的に通信を行うことができる。そのため、例えば、使用頻度が高い無線端末装置200や、種々のサーバ装置が接続された無線端末装置200を、電波状態の悪い環境に設置せざるを得ない場合でも、そのような無線端末装置200と、無線通信装置100との間の通信の実効速度を向上させることができる。なお、無線通信装置100に対して無線接続される無線端末装置200が1台の場合であっても、その無線端末装置200に対する優先度を高くすれば、それだけ、CSMA/CAにおけるコンテンションウインドウが小さくなりバックオフタイムが短くなるため、その無線通信装置100と無線通信装置100との間の実効速度を向上させることが可能である。
【0034】
また、本実施形態では、IEEE802.11eに規定されたアクセスカテゴリを利用することによって、それぞれの無線端末装置200に対する優先度を設定する。そのため、実効速度を向上させるための特別なハードウェアを用意する必要がなく、装置構成を簡略化することができる。なお、IEEE802.11eでは、「AC_VO」は、音声トラフィック用、「AC_VI」は、ビデオトラフィック用、「AC_BE」はベストエフォート用、「AC_BK」はバックグランド用にそれぞれのアクセスカテゴリが用いられることが想定されているが、送信するフレームの種別がこれらの区分に従っていない場合でも、規格上、問題なくフレームを送信することが可能である。
【0035】
さらに、本実施形態では、無線通信装置100は、無線端末装置200から受信したフレームのうちの再送フレームの割合に基づいて通信状態の検出を行う。そのため、無線通信装置100と無線端末装置200との間の通信状態の良否を容易に判断することができる。
【0036】
B.第2実施形態:
第1実施形態では、無線端末装置200から無線通信装置100に送信されたフレームの再送フラグ率に応じて、優先度(アクセスカテゴリ)の設定を行った。これに対して、第2実施形態では、無線端末装置200と無線通信装置100との間のリンク速度に応じて、優先度の設定を行う。第2実施形態における無線通信装置100および無線端末装置200の構成は、第1実施形態と同様である。
【0037】
図6は、第2実施形態において無線通信装置100により繰り返し実行される優先制御処理のフローチャートである。この優先制御処理では、まず、無線通信装置100の通信状態検出部131は、無線端末装置200との間の現在のリンク速度を検出する(ステップS200)。リンク速度が検出されると、優先制御部132は、検出されたリンク速度に応じて、その無線端末装置200に対応するアクセスカテゴリを設定する(ステップS210)。アクセスカテゴリの設定が行われると、無線通信部110は、設定されたアクセスカテゴリに従って、各無線端末装置200に対してフレームの送信を行う(ステップS220)。
【0038】
図7は、リンク速度に応じたアクセスカテゴリを示す説明図である。本実施形態では、最大リンク速度を150Mbpsとした場合に、
図7に示すように、優先制御部132は、現在のリンク速度が30Mbps未満であれば、その無線端末装置200に送信するフレームのアクセスカテゴリをIEEE802.11eで定められた「AC_VO」に設定する。また、リンク速度が30M以上90Mbps未満であれば、アクセスカテゴリを「AC_VI」に設定する。また、リンク速度が90M以上120Mbps未満であれば、アクセスカテゴリを「AC_BE」に設定する。また、リンク速度が120Mbps以上であれば、アクセスカテゴリを「AC_BK」に設定する。このようにアクセスカテゴリの設定を行うことにより、無線通信装置100は、リンク速度が低い無線端末装置200ほど、高い優先度で通信を行うことができる。
【0039】
以上で説明した第2実施形態の無線通信装置100は、リンク速度の低い無線端末装置200、すなわち、通信状態が悪い無線端末装置200に対して、優先度の高いアクセスカテゴリを設定するので、その無線端末装置200に対して優先的に通信を行うことができる。そのほか、第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態では、通信状態検出部131は、無線通信装置100と無線端末装置200との間のリンク速度に応じて通信状態を検出するため、無線通信装置100と無線端末装置200との間の通信状態の良否を容易に判断することができる。
【0040】
C.第3実施形態:
第1実施形態では、無線端末装置200から無線通信装置100に送信されたフレームの再送フラグ率に応じて、優先度(アクセスカテゴリ)の設定を行った。また、第2実施形態では、無線端末装置200と無線通信装置100との間のリンク速度に応じて、優先度の設定を行った。これらに対して、第3実施形態では、再送フラグ率およびリンク速度に応じて、優先度の設定を行う。第3実施形態における無線通信装置100の構成は、第1実施形態と同様である。
【0041】
図8は、第3実施形態において無線通信装置100によって繰り返し実行される優先制御処理のフローチャートである。この優先制御処理では、まず、無線通信装置100の無線通信部110が、無線端末装置200からフレームを受信する(ステップS300)。フレームを受信すると、通信状態検出部131は、受信したフレームの中の再送フラグを解析し(ステップS310)、無線端末装置200毎の再送フラグ率を算出する(ステップS320)。
【0042】
再送フラグ率を算出すると、通信状態検出部131は、無線端末装置200との間の現在のリンク速度を検出する(ステップS330)。リンク速度を検出すると、優先制御部132は、検出されたリンク速度とステップS320において算出された再送フラグ率とに応じてその無線端末装置200に対応するアクセスカテゴリを設定する(ステップS340)。アクセスカテゴリの設定が行われると、無線通信部110は、設定されたアクセスカテゴリに従って、各無線端末装置200に対してフレームの送信を行う(ステップS350)。
【0043】
図9は、リンク速度および再送フラグ率に応じたアクセスカテゴリを示す説明図である。本実施形態では、リンク速度が低くて再送フラグ率が高い場合、すなわち、最も通信環境が悪い場合に、最も優先度の高い「AC_VO」にアクセスカテゴリが設定される。また、リンク速度が低くて再送フラグ率が低い場合には、それよりもアクセスカテゴリの低い、「AC_VI」にアクセスカテゴリが設定される。また、リンク速度が高くて、再送フラグ率が高い場合には、「AC_BE」にアクセスカテゴリが設定される。また、リンク速度が高くて、再送フラグ率が低い場合には、最も低い優先度のアクセスカテゴリである「AC_BK」にアクセスカテゴリが設定される。
【0044】
以上で説明した第3実施形態の無線通信装置100は、リンク速度が低く、再送フラグ率が高い無線端末装置200に対して、優先度の高いアクセスカテゴリを設定するので、通信環境の悪い無線端末装置200に対して優先的に通信を行うことができる。そのほか、この第3実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0045】
D.第4実施形態:
第1実施形態では、無線端末装置200から無線通信装置100に送信されたフレームの再送フラグ率に応じて、優先度(アクセスカテゴリ)の設定を行った。また、第2実施形態では、無線端末装置200と無線通信装置100との間のリンク速度に応じて、優先度の設定を行った。これらに対して、第4実施形態では、無線端末装置200からフレームを受信した時の受信信号強度(RSSI)に応じて、無線通信装置100が優先度の設定を行う。第4実施形態における無線通信装置100の構成は、第1実施形態と同様である。
【0046】
図10は、第4実施形態において無線通信装置100により繰り返し実行される優先制御処理のフローチャートである。この優先制御処理では、まず、無線通信装置100の通信状態検出部131は、無線通信部110を用いて、無線端末装置200から受信した無線信号の受信信号強度(RSSI)を検出する(ステップS400)。受信信号強度を検出すると、優先制御部132は、検出された受信信号強度に応じてその無線端末装置200に対応するアクセスカテゴリを設定する(ステップS410)。アクセスカテゴリの設定が行われると、無線通信部110は、設定されたアクセスカテゴリに従って、各無線端末装置200に対してフレームの送信を行う(ステップS420)。
【0047】
図11は、受信信号強度に応じたアクセスカテゴリを示す説明図である。本実施形態では、最大の受信信号強度を100とした場合に、
図11に示すように、優先制御部132は、現在の受信信号強度が25未満であれば、その無線端末装置200に送信するフレームのアクセスカテゴリを「AC_VO」に設定する。また、受信信号強度が25以上50未満であれば、アクセスカテゴリを「AC_VI」に設定する。また、受信信号強度が50以上75bps未満であれば、アクセスカテゴリを「AC_BE」に設定する。また、受信信号強度が75以上であれば、アクセスカテゴリを「AC_BK」に設定する。このようにアクセスカテゴリの設定を行うことにより、無線通信装置100は、受信信号強度が低い無線端末装置200ほど、優先的に通信を行うことができる。
【0048】
以上で説明した第4実施形態の無線通信装置100は、受信信号強度の低い無線端末装置200に対して、優先度の高いアクセスカテゴリを設定するので、通信環境の悪い無線端末装置200に対して優先的に通信を行うことができる。そのほか、この第4実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態では、通信状態検出部131は、無線端末装置200から受信する無線信号の受信信号強度に応じて通信状態を検出するため、無線通信装置100と無線端末装置200との間の通信状態の良否を容易に判断することができる。
【0049】
E.第5実施形態:
第1実施形態では、無線端末装置200から無線通信装置100に送信されたフレームの再送フラグ率に応じて、優先度(アクセスカテゴリ)の設定を行った。また、第2実施形態では、無線端末装置200と無線通信装置100との間のリンク速度に応じて、優先度の設定を行った。これらに対して、第5実施形態では、IEEE802.11フレームのシーケンス番号が同一となる割合に応じて、優先度の設定を行う。第5実施形態における無線通信装置100の構成は、第1実施形態と同様である。
【0050】
図12は、第5実施形態において無線通信装置100によって繰り返し実行される優先制御処理のフローチャートである。この優先制御処理では、まず、無線通信装置100の無線通信部110が、無線端末装置200からフレームを受信する(ステップS500)。フレームを受信すると、通信状態検出部131は、受信したフレームのMACヘッダに記録されたシーケンス番号を解析する(ステップS510)。そして、通信状態検出部131は、このシーケンス番号の解析結果に基づいて、単位時間中に受信したフレームのうち、同一のシーケンス番号が付されたフレームの割合(以下、「同一番号発生率」という)を算出する(ステップS520)。同一番号発生率の算出が行われると、優先制御部132は、算出された同一番号発生率に応じて、無線端末装置200毎に、フレームを送信する際のアクセスカテゴリを設定する(ステップS530)。アクセスカテゴリの設定が行われると、無線通信部110は、設定されたアクセスカテゴリに従って、各無線端末装置200に対してフレームの送信を行う(ステップS540)。
【0051】
図13は、同一番号発生率に応じたアクセスカテゴリを示す説明図である。本実施形態では、
図13に示すように、優先制御部132は、同一番号発生率が80%以上であれば、その無線端末装置200に送信するフレームのアクセスカテゴリを「AC_VO」に設定する。また、同一番号発生率が50%以上80%未満であれば、アクセスカテゴリを「AC_VI」に設定する。また、同一番号発生率が10%以上50%未満であれば、アクセスカテゴリを「AC_BE」に設定する。また、同一番号発生率が10%未満であれば、アクセスカテゴリを「AC_BK」に設定する。このようにアクセスカテゴリの設定を行うことにより、無線通信装置100は、同一番号発生率が高い無線端末装置200ほど、優先的に通信を行うことができる。
【0052】
以上で説明した第5実施形態の無線通信装置100は、同一のシーケンス番号が付されたフレームを多く送信する無線端末装置200に対して、優先度の高いアクセスカテゴリを設定する。つまり、通信環境が悪いために、同一内容のフレームを多く再送する無線端末装置200に対して優先的に通信を行うことができる。そのほか、この第5実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態では、通信状態検出部131は、同一番号発生率に応じて通信状態を検出するため、無線通信装置100と無線端末装置200との間の通信状態の良否を容易に判断することができる。
【0053】
F.第6実施形態:
第1実施形態では、無線端末装置200から無線通信装置100に送信されたフレームの再送フラグ率に応じて、優先度(アクセスカテゴリ)の設定を行った。また、第2実施形態では、無線端末装置200と無線通信装置100との間のリンク速度に応じて、優先度の設定を行った。これらに対して、第6実施形態では、OSI参照モデルのアプリケーション層における通信においてタイムアウトが発生する割合に応じて、優先度の設定を行う。第2実施形態における無線通信装置100および無線端末装置200の構成は、第1実施形態と同様である。
【0054】
図14は、第6実施形態において無線通信装置100により繰り返し実行される優先制御処理のフローチャートである。この優先制御処理では、まず、無線通信装置100の通信状態検出部131は、無線端末装置200に対してHTTP(Hypertext Transfer Protocol)レスポンスを転送する際にセッションタイムアウトとなる通信の割合(以下、「タイムアウト率」という)を、無線端末装置200毎に解析する(ステップS600)。タイムアウト率を解析すると、優先制御部132は、その解析結果に応じて、無線端末装置200毎にアクセスカテゴリを設定する(ステップS610)。アクセスカテゴリの設定が行われると、無線通信部110は、設定されたアクセスカテゴリに従って、各無線端末装置200に対してフレームの送信を行う(ステップS620)。
【0055】
図15は、タイムアウト率に応じたアクセスカテゴリを示す説明図である。本実施形態では、
図15に示すように、優先制御部132は、タイムアウト率が75%以上であれば、その無線端末装置200に送信するフレームのアクセスカテゴリを「AC_VO」に設定する。また、タイムアウト率が50%以上75%未満であれば、アクセスカテゴリを「AC_VI」に設定する。また、タイムアウト率が25%以上50%未満であれば、アクセスカテゴリを「AC_BE」に設定する。また、タイムアウト率が25%未満であれば、アクセスカテゴリを「AC_BK」に設定する。このようにアクセスカテゴリの設定を行うことにより、無線通信装置100、タイムアウト率が高い無線端末装置200ほど、優先的に通信を行うことができる。
【0056】
以上で説明した第6実施形態の無線通信装置100は、タイムアウト率の高い無線端末装置200、すなわち、通信状態が悪い無線端末装置200に対して、優先度の高いアクセスカテゴリを設定するので、その無線端末装置200に対して優先的に通信を行うことができる。そのほか、この第6実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態では、タイムアウト率に応じて通信状態を検出するため、無線通信装置100と無線端末装置200との間の通信状態の良否を容易に判断することができる。
【0057】
なお、本実施形態では、HTTP通信においてセッションタイムアウトとなる割合に基づいてアクセスカテゴリを設定したが、アプリケーション層におけるその他の通信プロトコル、例えば、FTP(File Transfer Protocol)やIMAP(Internet Message Access Protocol)、POP(Post Office Protocol)、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)などの通信がセッションタイムアウトとなる割合に基づいてアクセスカテゴリを設定してもよい。また、セッションタイムアウトに伴って、無線端末装置200からの同一データの再送要求が発生する割合に基づいてアクセスカテゴリを設定してもよい。
【0058】
G.第7実施形態:
上述した第1〜6実施形態では、通信状態を示す値(再送フラグ率、リンク速度、受信信号強度、同一番号発生率、タイムアウト率)の範囲が複数の区分に区切られ、その各区分に対してアクセスカテゴリが予め対応付けられている(
図5,7,9,11,13,15参照)。これに対して本実施形態では、通信状態を示す値と予め定められた閾値とを対比してアクセスカテゴリの設定を行う。第7実施形態における無線通信装置100の構成は、第1実施形態と同様である。
【0059】
図16は、第7実施形態において無線通信装置100により繰り返し実行される優先制御処理のフローチャートである。この優先制御処理では、まず、無線通信装置100の通信状態検出部131は、各無線端末装置200との間の通信状態(例えば、再送フラグ率、同一番号発生率、タイムアウト率)を検出する(ステップS700)。
【0060】
通信状態を検出すると、優先制御部132は、各無線端末装置200について、通信状態を示す値が、予め定められた閾値(例えば、50%)を超えたか否か(すなわち、通信状態が悪化したか否か)を判断する(ステップS710)。通信状態を示す値が閾値を超えた無線端末装置200に対しては、優先制御部132は、その無線端末装置200に対して、優先度の高いアクセスカテゴリ(例えば、AC_VOまたはAC_VI)を設定する。これに対して、通信状態を示す値が閾値以下の無線端末装置200に対しては、優先制御部132は、通常の優先度(例えば、AC_BEまたはAC_BK)のアクセスカテゴリを設定する(ステップS730)。
【0061】
以上で説明した第7実施形態によっても、第1実施形態等と同様の効果を奏することができる。なお、本実施形態では、検出を行う通信状態として、再送フラグ率、同一番号発生率、タイムアウト率の例を挙げたが、通信状態としてリンク速度または受信信号強度を検出してもよい。この場合、優先制御部132は、リンク速度または受信信号強度が、予め定められた閾値(例えば、リンク速度であれば90Mbps、受信信号強度であれば50)より小さいか否かを判断する。そして、閾値よりもそれらの値が小さい場合には、優先度の高いアクセスカテゴリを設定し、それらの値が閾値以上であれば、通常の優先度のアクセスカテゴリを設定する。
【0062】
H.第8実施形態:
本実施形態では、第7実施形態と同様に、通信状態を示す値と予め定められた閾値とを対比してアクセスカテゴリの設定を行う。ただし、本実施形態では、通信状態が悪化した状態のままで、通信の停滞が解消された場合についての処理内容が第7実施形態と異なる。
【0063】
図17は、第8実施形態において無線通信装置100により繰り返し実行される優先制御処理のフローチャートである。第8実施形態における無線通信装置100の構成は、第1実施形態と同様である。この優先制御処理では、まず、無線通信装置100の通信状態検出部131は、各無線端末装置200との間の通信状態(リンク速度または受信信号強度)を検出する(ステップS800)。
【0064】
通信状態を検出すると、優先制御部132は、各無線端末装置200について、通信状態を示す値が、予め定められた閾値よりも小さいか否か(すなわち、通信状態が悪化したか否か)を判断する(ステップS810)。通信状態を示す値が閾値よりも小さい無線端末装置200に対しては、更に、優先制御部132は、その無線端末装置200との通信において、通信の停滞が解消したか否かを判断する(ステップS820)。通信の停滞が解消したか否かは、例えば、無線端末装置200から受信するフレームについて上述した再送フラグ率を求め、その再送フラグ率が予め定められた閾値(例えば、10%)よりも小さければ、その無線端末装置200との間の通信の停滞が解消したと判断することができる。また、一定時間(例えば、1秒)、無線端末装置200からフレームを受信しなかった場合に、その無線端末装置200との間の通信の停滞が解消したと判断することもできる。
【0065】
通信状態を示す値が閾値よりも小さく(ステップS810:YES)、かつ、通信の停滞が解消していない場合には(ステップS820:NO)、優先制御部132は、その無線端末装置200に対して、優先度の高いアクセスカテゴリ(例えば、AC_VOまたはAC_VI)を設定する(ステップS830)。これに対して、通信状態を示す値が閾値以上の無線端末装置200(ステップS810:NO)、または、通信状態を示す値が閾値よりも小さいものの通信の停滞が解消された無線端末装置200(ステップS820:YES)に対しては、優先制御部132は、通常の優先度(例えば、AC_BEまたはAC_BK)のアクセスカテゴリを設定する(ステップS840)。
【0066】
以上で説明した第8実施形態によっても、第1実施形態等と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態によれば、無線端末装置200のリンク速度や受信信号強度が低下し(つまり、通信状態が悪化し)、それにより、その無線端末装置200に対するアクセスカテゴリが優先度の高いアクセスカテゴリに設定された後であっても、通信の停滞が解消された場合には、その無線端末装置200に対するアクセスカテゴリを通常の優先度に戻すことができる。そのため、無線端末装置200の設置場所が変更され、無線通信装置100との間の距離が離れてしまった場合など、リンク速度や受信信号強度の改善が期待できない場合であっても、一旦高くしたアクセスカテゴリの優先度を通常の優先度に戻すことができる。よって、リンク速度や受信信号強度が低下してしまった無線端末装置200と、他の無線端末装置200とのアクセスカテゴリ(優先度)のバランスを適切に調整することができる。
【0067】
なお、本実施形態では、上述した優先制御処理のステップS800において、通信状態としてリンク速度または受信信号強度の検出を行うこととしたが、通信状態として再送フラグ率、同一番号発生率、あるいは、タイムアウト率を検出してもよい。この場合、ステップS810では、通信状態を示す値が閾値以上となるか否かを判断する。
【0068】
I.第9実施形態:
上述した各実施形態では、優先制御処理と同時に、以下に説明する優先度調整処理が無線通信装置100において繰り返し実行されてもよい。第9実施形態における無線通信装置100の構成は、第1実施形態と同様である。
【0069】
図18は、優先度調整処理のフローチャートである。この優先度調整処理では、無線通信装置100の優先制御部132は、各無線端末装置200に対して現在設定されているアクセスカテゴリを判別する(ステップS900)。そして、各無線端末装置200に対して、アクセスカテゴリが頻繁に変更されているか否かを判断する(ステップS910)。例えば、優先制御部132は、1時間に2回以上、アクセスカテゴリが変更されている場合に、アクセスカテゴリの変更が頻繁に行われていると判断することができる。アクセスカテゴリの変更が頻繁に行われている無線端末装置200が存在する場合には(ステップS910:YES)、優先制御部132は、その無線端末装置200に対して設定されているアクセスカテゴリが適切ではないと判断し、その無線端末装置200に対するアクセスカテゴリの優先度を、上述した各実施形態における優先制御処理において設定された優先度よりも一段階引き上げる(ステップS920)。これに対して、アクセスカテゴリの変更が頻繁ではないと判断されれば(ステップS910:NO)、優先制御部132は、アクセスカテゴリの優先度が引き上げられている場合に、その優先度を元に戻す(ステップS930)。
【0070】
以上で説明した第9実施形態によれば、無線端末装置200に対して設定されたアクセスカテゴリが適切ではない場合に、その無線端末装置200に対するアクセスカテゴリを1段階高い優先度に引き上げるため、通信状態が悪い無線端末装置200に対する通信の安定性をより高めることができる。
【0071】
なお、ある無線端末装置200のアクセスカテゴリが頻繁に変更されている場合であっても、他の無線端末装置200に対して、当該優先度調整処理によって既に優先度が引き上げられている場合には、その無線端末装置200に対する優先度を引き上げないように制御することが好ましい。このような制御を行えば、異なる無線端末装置200に対して重複した優先度が設定されてしまうことが抑制されるので、既に優先度を引き上げた無線端末装置200の通信状態が改善されなくなることを防止することができる。
【0072】
J.第10実施形態:
上述した第1〜9実施形態では、無線通信装置100において実行される優先制御処理および優先度調整処理について説明した。これに対して、第10実施形態では、無線端末装置200が、無線通信装置100に対して優先度の変更を要求する優先度変更処理について説明する。
【0073】
本実施形態において、無線通信装置100の構成および処理内容は第1実施形態と同様である。ただし、無線通信装置100の無線通信部110(
図2参照)は、フレームの送信時に、フレーム内のMACヘッダのQoS制御フィールド(
図4参照)に、
図3のステップS130で設定されたアクセスカテゴリに対応する値を記録する。こうすることで、無線通信装置100は、無線端末装置200に対して、その無線端末装置200に設定したアクセスカテゴリをフレーム毎に通知することができる。また、本実施形態では、無線通信装置100の優先制御部132は、無線端末装置200から優先度の変更の要求を受けた場合に、その無線端末装置200に対する優先度を変更する処理を行う。
【0074】
図19は、本実施形態における無線端末装置200の概略構成を示す説明図である。無線端末装置200は、無線通信部210と、CPU230と、RAM240と、記憶部250とを備えている。
【0075】
無線通信部210は、無線通信装置100との間で、IEEE802.11に基づく無線通信を行う。
【0076】
CPU230は、無線端末装置200の各部を制御する。また、CPU230は、記憶部250に記憶されたコンピュータプログラムをRAM240にロードして実行することで、通信状態検出部231および要求部233として機能する。
【0077】
通信状態検出部231は、無線端末装置200の通信状態を検出する。本実施形態では、無線通信部110を通じて送信するフレームのスループット、すなわち、単位時間当たりに正常に送信されたフレームの送信量に基づいて、通信状態の検出を行う。
【0078】
優先度検出部232は、無線通信装置100との無線通信における優先度(アクセスカテゴリ)を検出する。
【0079】
要求部233は、通信状態検出部231によって検出された通信状態と、優先度検出部232によって検出された優先度(アクセスカテゴリ)とに応じて、無線通信装置100に対して優先度(アクセスカテゴリ)を変更する要求を行う。この要求は、例えば、OSI参照モデルのアプリケーション層において通信を行う専用プログラムを無線通信装置100と無線端末装置200とに実行させ、その専用プログラム同士で通信を行うことで実現することができる。
【0080】
図20は、無線端末装置200によって繰り返し実行される優先度変更要求処理のフローチャートである。この優先度変更要求処理では、まず、無線端末装置200の無線通信部210は、無線通信装置100からフレームを受信する(ステップS1000)。フレームを受信すると、無線端末装置200の優先度検出部232は、受信したフレームのQoS制御フィールドに記録されたアクセスカテゴリを取得する(ステップS1010)。
【0081】
アクセスカテゴリを取得すると、無線端末装置200の通信状態検出部は、無線端末装置200が送信するフレームのスループット、すなわち、単位時間当たりに正常に送信されたフレームの送信量を算出する(ステップS1020)。
【0082】
スループットを算出すると、要求部233は、そのスループットと、ステップS1010で取得されたアクセスカテゴリとが整合しているか否かを判断する(ステップS1030)。スループットとアクセスカテゴリとが整合していない場合には、要求部233は、無線通信装置100に対して、アクセスカテゴリの変更を要求する(ステップS1040)。例えば、取得されたアクセスカテゴリが、優先度の高いアクセスカテゴリにもかかわらず、スループットが基準の値(例えば、規格上の最大速度の20%の値など)まで達していない場合には、要求部233は、スループットとアクセスカテゴリとが整合していないと判断し、より優先度の高いアクセスカテゴリに変更するよう要求を行う。ステップS1030において、スループットとステップS1010で取得されたアクセスカテゴリとが整合している場合には、要求部233は、アクセスカテゴリの変更要求は行わない。アクセスカテゴリの変更要求を受けた無線通信装置100の優先制御部132は、その要求に従って、その無線端末装置200に対して設定されたアクセスカテゴリの変更を行う。
【0083】
本実施形態の無線端末装置200によれば、無線端末装置200から送信されるフレームのスループットと、その無線端末装置200に対して設定されたアクセスカテゴリとが整合していない場合には、無線端末装置200から無線通信装置100に対して、アクセスカテゴリの変更を要求する。そのため、無線通信装置100と無線端末装置200との間の通信状態をよりよい状態に改善することができる。なお、本実施形態の無線端末装置200は、第1実施形態の無線通信装置100に限らず、第1〜9実施形態の任意の無線通信装置100と組み合わせて、無線通信システム10を構成することが可能である。
【0084】
K.変形例:
上述した各実施形態は、2以上の形態を任意に組み合わせることが可能である。例えば、第1実施形態と第4実施形態とを組み合わせれば、再送フラグ率と受信信号強度とに応じてアクセスカテゴリを設定することが可能である。また、第2実施形態と第5実施形態とを組み合わせれば、リンク速度と同一シーケンス番号の発生率とに応じてアクセスカテゴリを設定することが可能である。
【0085】
上述した各実施形態では、IEEE802.11eに規定されたアクセスカテゴリを各無線端末装置200に対して設定することで、優先度の設定を行っている。これに対して、優先度は、アクセスカテゴリに限らず、他の手法により設定してもよい。例えば、コンテンションウインドウのサイズや、フレーム送信間隔(AIFS)を、通信状態に応じて切り替えることによっても、通信状態に応じた優先度を設定することが可能である。
【0086】
上記各実施形態において、ソフトウェアによって実現した機能は、ハードウェアによって実現しても良い。また、ハードウェアによって実現した機能を、ソフトウェアによって実現しても良い。
【0087】
本発明は、上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。