特許第6562078号(P6562078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6562078パージ装置、パージストッカ、及びパージ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562078
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】パージ装置、パージストッカ、及びパージ方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20190808BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20190808BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   H01L21/68 T
   H01L21/68 A
   B65G1/00 521D
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-537636(P2017-537636)
(86)(22)【出願日】2016年7月14日
(86)【国際出願番号】JP2016070855
(87)【国際公開番号】WO2017038269
(87)【国際公開日】20170309
【審査請求日】2018年2月23日
(31)【優先権主張番号】特願2015-170174(P2015-170174)
(32)【優先日】2015年8月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】村田 正直
(72)【発明者】
【氏名】山路 孝
【審査官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/141563(WO,A1)
【文献】 特開2010−072624(JP,A)
【文献】 特開2010−182747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
B65G 1/00
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パージ対象の容器にパージガスを供給する第1のパージノズルと、
前記第1のパージノズルでのパージ処理が開始されるよりも前に、前記第1のパージノズルとは異なる位置で前記容器の内部状態を検出する内部状態検出部と、
前記内部状態検出部の検出結果に基づいて、前記容器に対して前記第1のパージノズルからパージガスを供給するパージ条件を決定するパージ決定部と、を備え、
前記内部状態検出部から前記第1のパージノズルに搬送された容器に、前記パージ条件に基づいてパージガスを供給するパージ装置。
【請求項2】
前記内部状態検出部は、前記容器にパージガスが供給された際に前記容器から排気される排気ガスの組成に基づいて、前記容器の内部状態を検出する、請求項1に記載のパージ装置。
【請求項3】
前記内部状態検出部は、前記排気ガスにおける水分または酸素の濃度を検出し、その検出結果に基づいて、前記容器の内部状態を検出する、請求項2に記載のパージ装置。
【請求項4】
前記容器と前記第1のパージノズルとが接続されるパージ位置への前記容器の搬送経路に設けられ、前記容器にパージガスを供給する第2のパージノズルを備え、
前記内部状態検出部は、前記第2のパージノズルから前記容器にパージガスが供給された際の前記排気ガスの組成に基づいて、前記容器の内部状態を検出する、請求項2または請求項3に記載のパージ装置。
【請求項5】
前記第1のパージノズルから前記容器に供給されるパージガスの流量を制御する流量制御装置を備え、
前記パージ決定部は、決定した前記パージ条件に基づいて、前記流量制御装置を制御する、請求項4に記載のパージ装置。
【請求項6】
前記パージ条件は、前記第1のパージノズルから前記容器に供給されるパージガスの流量および供給時間を含む、請求項5に記載のパージ装置。
【請求項7】
パージ対象の容器が搬入される入庫ポートに設けられ、前記容器の内部状態を検出する内部状態検出部と、
前記内部状態検出部とは異なる位置で前記容器にパージガスを供給する第1のパージノズルと、
前記内部状態検出部の検出結果に基づいて、前記容器に対して前記第1のパージノズルからパージガスを供給するパージ条件を決定するパージ決定部と、
前記パージ条件に基づいてパージされた前記容器を保持する棚と、を備え
前記内部状態検出部から前記第1のパージノズルに搬送された容器に、前記パージ条件に基づいてパージガスを供給するパージストッカ。
【請求項8】
パージ対象の容器にパージガスを供給する第1のパージノズルから供給することと、
前記第1のパージノズルでのパージ処理が開始されるよりも前に、前記第1のパージノズルとは異なる位置で前記容器の内部状態を検出することと、
前記容器の内部状態の検出結果に基づいて、前記容器に対して前記第1のパージノズルからパージガスを供給するパージ条件を決定することと、を含み、
前記内部状態検出部から前記第1のパージノズルに搬送された容器に、前記パージ条件に基づいてパージガスを供給するパージ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パージ装置、パージストッカ、及びパージ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パージストッカは、ウェハ、レチクルなどの各種物品を収容する容器を保管する。この容器は、FOUP、SMIF Pod、レチクルPodなどである。パージストッカは、保管に際してパージ装置により容器内に清浄乾燥空気や窒素ガスなどのパージガスを充填し、収容物の汚染や酸化などを抑制している。パージ装置においては、パージガスを節約可能なことが期待される(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、酸素ガスあるいは埃が容器内に再流入するおそれのない安全期間に、パージガスを容器に供給しないで容器を放置する放置工程を設け、急速パージを行うパージ工程と放置工程とを交互に行うことが開示されている。上記の安全期間は、FOUPの種類、クリーンルームの条件に応じて経験的に設定され、あるいはFOUP内に設けたセンサにより酸素ガス分圧を測定した結果に基づいて制御装置により判別される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−182747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パージ装置へ搬入される段階の容器においては、例えば前回のパージが行われてから経過した時間等に応じた量のパージガスが漏れていることがある。従って、パージガスの充填が十分な状態の場合もあるし、不十分な状態の場合もある。パージガスの充填が十分な状態で搬入される容器を基準に、今回のパージにおけるパージガスの供給量を少なく設定すると、パージガスの充填が不十分な状態で搬入される容器に対してパージの効果が不足する。また、パージガスの充填が不十分な状態で搬入される容器を基準に、今回のパージにおけるパージガスの供給量を多く設定すると、パージガスの充填が十分な状態で搬入される容器に対してパージガスの無駄が多い。このように、従来の技術では、パージガスを節約しつつ適切なパージを行うことが容易でない。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑み、パージガスを節約しつつ適切なパージを行うことが可能なパージ装置、パージストッカ、及びパージ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のパージ装置は、パージ対象の容器にパージガスを供給する第1のパージノズルと、第1のパージノズルでのパージ処理が開始されるよりも前に、第1のパージノズルとは異なる位置で容器の内部状態を検出する内部状態検出部と、内部状態検出部の検出結果に基づいて、容器に対して第1のパージノズルからパージガスを供給するパージ条件を決定するパージ決定部と、を備え、内部状態検出部から第1のパージノズルに搬送された容器に、パージ条件に基づいてパージガスを供給する
【0007】
また、内部状態検出部が、容器にパージガスが供給された際に容器から排気される排気ガスの組成に基づいて、容器の内部状態を検出するパージ装置でもよい。また、内部状態検出部が、排気ガスにおける水分または酸素の濃度を検出し、その検出結果に基づいて、容器の内部状態を検出するパージ装置でもよい。また、容器と第1のパージノズルとが接続されるパージ位置への容器の搬送経路に設けられ、容器にパージガスを供給する第2のパージノズルを備え、内部状態検出部は、第2のパージノズルから容器にパージガスが供給された際の排気ガスの組成に基づいて、容器の内部状態を検出してもよい。また、第1のパージノズルから容器に供給されるパージガスの流量を制御する流量制御装置を備え、パージ決定部が、決定したパージ条件に基づいて、流量制御装置を制御するパージ装置でもよい。また、パージ条件が、第1のパージノズルから容器に供給されるパージガスの流量および供給時間を含むパージ装置でもよい。
【0008】
本発明のパージストッカは、パージ対象の容器が搬入される入庫ポートに設けられ、容器の内部状態を検出する内部状態検出部と、内部状態検出部とは異なる位置で容器にパージガスを供給する第1のパージノズルと、内部状態検出部の検出結果に基づいて、容器に対して前記第1のパージノズルからパージガスを供給するパージ条件を決定するパージ決定部と、パージ条件に基づいてパージされた容器を保持する棚と、を備え、内部状態検出部から第1のパージノズルに搬送された容器に、パージ条件に基づいてパージガスを供給する
【0009】
本発明のパージ方法は、パージ対象の容器にパージガス第1のパージノズルから供給することと、第1のパージノズルでのパージ処理が開始されるよりも前に、第1のパージノズルとは異なる位置で容器の内部状態を検出することと、容器の内部状態の検出結果に基づいて、容器に対して第1のパージノズルからパージガスを供給するパージ条件を決定することと、を含み、内部状態検出部から第1のパージノズルに搬送された容器に、パージ条件に基づいてパージガスを供給する
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1のパージノズルでのパージ処理が開始されるよりも前に、第1のパージノズルとは異なる位置で容器の内部状態を検出し、その検出の結果に基づいて容器に対して第1のパージノズルからパージガスを供給するパージ条件を決定する。これにより、容器の内部状態に応じたパージ条件でパージを行うことが可能になり、パージガスを節約しつつ適切なパージを行うことができる。
【0011】
また、内部状態検出部が、容器にパージガスが供給された際に容器から排気される排気ガスの組成に基づいて、容器の内部状態を検出するパージ装置では、容器の外部から内部状態を検出することができるので、例えば容器ごとにセンサを設ける必要がなく、コストを下げることができる。また、内部状態検出部が、排気ガスにおける水分または酸素の濃度を検出し、その検出結果に基づいて、容器の内部状態を検出するパージ装置では、例えば排気ガスにおける水分または酸素の濃度によって、容器に供給すべきパージガスの量を判別することができるので、適切なパージを行う上で無駄なパージガスを格段に減らすことができる。また、容器と第1のパージノズルとが接続されるパージ位置への容器の搬送経路に設けられ、容器にパージガスを供給する第2のパージノズルを備え、内部状態検出部が、第2のパージノズルから容器にパージガスが供給された際の排気ガスの組成に基づいて、容器の内部状態を検出するパージ装置では、パージ位置へ搬送される複数の容器に対して第2のパージノズルを共用することができるので、例えば装置コストを下げることができる。
【0012】
また、第1のパージノズルから容器に供給されるパージガスの流量を制御する流量制御装置を備え、パージ決定部が、決定したパージ条件に基づいて、流量制御装置を制御するパージ装置では、流量制御装置によりパージガスの供給量を高精度に制御することができるので、容器内のパージの状態を高精度に制御することができる。また、パージ条件が、第1のパージノズルから容器に供給されるパージガスの流量および供給時間を含むパージ装置では、パージガスの供給量の時間履歴を制御することができるので、容器内のパージの状態を高精度に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係るパージストッカを示す図である。
図2】第1実施形態に係るパージ装置を示す図である。
図3】内部状態検出部の動作を示す図である。
図4】(A)から(C)は、パージ条件の説明図である。
図5】(A)及び(B)は、パージ条件の決定方法の説明図である。
図6】(A)及び(B)は、実施形態に係るパージ方法を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態に係るパージ装置を示す図である。
図8】第3実施形態に係るパージストッカを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、鉛直方向をZ方向とし、水平方向をX、Y方向とする。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係るパージストッカ1Aの一例を示す図である。パージストッカ1Aは、例えば、半導体素子の製造に用いられるウェハあるいはレチクルなどの物品を収容する容器Fを保管する自動倉庫である。容器Fは、例えば、FOUP、SMIF Pod、レチクルPodなどである。レチクルは、液浸露光装置に用いられてもよいし、EUV露光装置に用いられてもよい。
【0016】
図1に示すように、パージストッカ1Aは、筐体2、複数の保管棚3、複数のパージ装置4、スタッカクレーン(搬送装置)5、及びストッカ制御装置6を備える。筐体2は、外部に対して隔離可能な内部空間2aを有する。筐体2は、天井搬送車OHVから容器Fが受け渡される入出庫ポート(入庫ポートPi、出庫ポートPo)を備える。天井搬送車OHVは、パージストッカ1Aに保管する容器Fを入庫ポートPiに渡し、また、パージストッカ1Aから搬出予定の容器Fを出庫ポートPoから受け取る。天井搬送車OHVは、例えば露光装置などの処理装置とパージストッカ1Aとの間で容器Fを搬送する。
【0017】
複数の保管棚3、複数のパージ装置4、及びスタッカクレーン5は、筐体2の内部空間2aに配置される。ストッカ制御装置6は、筐体2の内部または外部のいずれに配置されてもよい。ストッカ制御装置6は、パージ装置4およびスタッカクレーン5を制御する。なお、パージ装置4を制御する制御装置と、スタッカクレーン5を制御する制御装置とが別々に設けられていてもよい。
【0018】
スタッカクレーン5は、X方向、Y方向、及びZ方向の各方向に容器Fを搬送可能であり、例えば、入庫ポートPiと保管棚3との間、保管棚3と他の保管棚3との間、保管棚3と出庫ポートPoとの間などで容器Fを搬送可能である。スタッカクレーン5は、例えば、走行台車10、支持柱11、支持台12、及び移載装置13を備える。走行台車10は、複数の車輪14を有し、筐体2の底面に設けられたレール15に沿って水平方向(X方向)に移動する。
【0019】
支持柱11は、走行台車10の上面から鉛直方向(Z方向)に延びて設けられる。支持台12は、支持柱11に支持され、支持柱11に沿ってZ方向にスライド可能に設けられる。移載装置13は、例えば、伸縮可能なアーム部と、上面に容器Fを載置可能な載置部と、備える。なお、スタッカクレーン5は、容器Fを載置する構成に代えて、例えば容器Fの上部に備えるフランジ部23(図1(B)参照)を把持して、容器Fを吊り下げて搬送してもよく、また、容器Fの側面を把持して搬送してもよい。また、図1には1台のスタッカクレーン5を図示したが、筐体2内に配置されるスタッカクレーン5は2台以上であってもよい。
【0020】
保管棚3は、高さ方向(Z方向)に複数段並んで配置され、水平方向(X方向)に複数列並んで配置されている。複数の保管棚3には、それぞれ、容器Fを載置可能である。複数の保管棚3は、それぞれ、パージ装置4によりパージされた容器Fを保持可能な棚である。なお、容器Fの保管状況によっては、一部の保管棚3に容器Fが載置されていない場合がある。
【0021】
パージ装置4は、入庫ポートPiに設けられた内部状態検出部8と、保管棚3に設けられたパージ本体部9とを備える(後の図2等でも示す)。内部状態検出部8は、パージ処理の前に容器Fの内部状態を検出する。パージ本体部9は、内部状態検出部8の検出結果に基づいて容器Fにパージ処理を行う。パージ本体部9は、パージ装置4ごとに設けられ、複数の保管棚3のそれぞれに設けられる。内部状態検出部8は、複数のパージ装置4で共通に使用される(共用である)。
【0022】
図2は、本実施形態に係るパージ装置4を示す図である。図2では容器Fの一例としてFOUPを示しており、容器Fは、前面に開口(図示せず)を有する箱状の本体部21と、この開口を塞ぐ蓋部(図示せず)とを備える。ウェハなどの物品は、本体部21の開口を介して容器Fの内部Fa(内部空間、収容スペース)に収容される。本体部21の上部にはフランジ部23が設けられる。本体部21は、その底面側に位置決め用の凹部22を備える。凹部22は、例えば、本体部21の底面の中心から放射状に延びる溝状である。容器Fを移載装置13により搬送する際に、凹部22には移載装置13の載置台に設けられる位置決め用のピン(図示せず)が入り込み、容器Fが移載装置13の載置台に対して位置決めされる。
【0023】
容器Fの本体部21は、底面側に、ガス導入ポート24およびガス排気ポート25を備える。ガス導入ポート24には、例えば、導入口、フィルタ、及び逆止弁が設けられる。導入口は、本体部21の内部Faと外部とに連通する。導入口の内側は、容器Fの内部Faに供給されるパージガスG1の流路であり、フィルタはこの流路に設けられる。フィルタは、例えばパーティクルフィルタであり、導入口を通るガスに含まれる埃を除去する。ガス導入ポート24の逆止弁は、容器Fの内部Faから導入口を介して外部へガスが流出することを抑制する。
【0024】
ガス排気ポート25には、例えば、排気口、逆止弁、及びフィルタが設けられる。排気口は、本体部21の内部Faと外部とに連通する。容器Fの内部Faのガスは、容器Fの外部へ排気口を介して排気される。ガス排気ポート25の逆止弁は、容器Fの外部から排気口を介して内部Faへガスが流入することを抑制する。フィルタは、例えばパーティクルフィルタであり、排気口を通るガスに含まれる埃を除去する。排気口から排気される排気ガスG2は、パージの開始直後において、パージ前の容器Fにおける内部Faの雰囲気ガスの比率が高く、パージの開始から時間が経過するにつれてパージガスG1の比率が高くなる。
【0025】
内部状態検出部8は、入庫ポートPiに載置された容器Fの内部状態を検出する。入庫ポートPiにおいて、内部状態検出部8の位置には位置決め用のピン26が設けられる。容器Fが内部状態検出部8の位置(入庫ポートPi)に搬入される際に、凹部22にはピン26が入り込み、容器Fが内部状態検出部8に対して位置決めされる。内部状態検出部8は、パージノズル31(第2のパージノズル)、排気ノズル32、流量制御装置33、及びセンサ34を備える。内部状態検出部8に容器Fが配置される際に、容器Fの凹部22にはピン26が入り込み、容器Fが内部状態検出部8に対して位置決めされる。
【0026】
パージノズル31及び排気ノズル32は、入庫ポートPiにおいて容器Fが載置される面に設けられる。パージノズル31及び排気ノズル32は、入庫ポートPiに容器Fを載置した際に、それぞれ容器Fの導入口、排気口と接続するように配置される。容器Fの導入口は、入庫ポートPiに容器Fを載置した際に、パージノズル31を介して配管35に接続され、さらに流量制御装置33を介してガス源36と接続される。排気ノズル32は、配管37を介してパージガスの排気経路(ガス排気38)に接続される。センサ34は、配管37に接続され、配管37を流れる排気ガスG2に含まれる除去対象物質の濃度を検出する。除去対象物質は、パージ処理により容器Fの内部から除去する対象の物質であり、例えば酸素、水分などである。
【0027】
ガス源36は、パージガスG1を供給する。パージガスG1の種類は、容器Fに収容される収容物に応じて選択される。例えば、収容物に対する酸化を抑制するガス、分子汚染等を抑制するガス、容器Fの内部の水分を減少させるガスなどが用いられる。例えば、収容物がシリコンウエハである場合、パージガスG1として窒素ガスなどの不活性化ガスが用いられる。窒素ガスが容器Fの内部Faに供給されることによって、酸素を含む雰囲気ガスが容器Fの内部から外部へ排気(除去)され、シリコンウエハが酸化されることが抑制(防止)される。
【0028】
また、収容物がレチクルである場合、パージガスG1として清浄乾燥空気(CDA)などの乾燥ガスが用いられる。清浄乾燥空気が容器Fの内部Faに供給されることによって、水分を含む雰囲気ガスが容器Fの内部から外部へ排気(除去)され、レチクルに水分が付着することが抑制(防止)される。ガス源36は、パージストッカ1Aの一部でもよいし、パージストッカ1Aの外部の装置でもよく、例えば、パージストッカ1Aが設けられる工場の設備でもよい。
【0029】
流量制御装置33は、容器Fに接続される配管35(容器Fの導入口とガス源36との間の流路)におけるパージガスG1の流量を制御する。流量制御装置33は、例えばマスフローコントローラであり、その内部にパージガスG1が流れる流路を有する。流量制御装置33の内部の流路には、例えば、自己発熱型抵抗体を利用した流量計、電磁弁などの流量制御バルブが設けられる。流量制御装置33は、流量計の測定結果をもとに電磁弁をフィードバック制御し、その内部におけるパージガスG1の流量を目標値に近づける。流量制御装置33が配管35におけるパージガスの流量を制御することにより、ガス源36からパージノズル31へ供給されるパージガスG1の流量が制御される。
【0030】
流量制御装置33は、パージ制御部40と通信可能に接続され、パージ制御部40から供給される制御信号に基づいて、パージガスG1の流量(オンオフを含む)を制御する。なお、内部状態検出部8は、流量制御装置33を備えなくてもよく、例えば、流量制御装置33の代わりに、予め定められた流量のパージガスを流すか否かを切り替える弁を備えてもよい。この弁は、パージ制御部40に制御され、配管35にパージガスG1を流すか否かを切り替える。
【0031】
容器Fは、内部状態検出部8によって内部状態が検出された後、スタッカクレーン5(図1参照)によって保管棚3に搬送される。パージ本体部9は、保管棚3に載置された容器Fに対してパージ処理を行う。保管棚3は、移載装置13の載置台が鉛直方向に通行可能な切り欠き(図示せず)を有する。移載装置13は、載置台を保管棚3の上方から下方に、切り欠き部を通って移動することにより、保管棚3の上面に容器Fを移載する。保管棚3の上面には位置決め用のピン39が設けられる。容器Fを保管棚3に載置する際に、容器Fの凹部22には保管棚3の上面のピン39が入り込み、容器Fが保管棚3に対して位置決めされる。
【0032】
パージ本体部9は、パージ制御部40、パージノズル41、排気ノズル42、及び流量制御装置43を備える。パージノズル41及び排気ノズル42は、保管棚3の上面に設けられる。パージノズル41及び排気ノズル42は、保管棚3に容器Fを載置した際に、それぞれ導入口、排気口と接続するように配置される。容器Fの導入口は、保管棚3に容器Fを載置した際に、パージノズル41を介して配管44に接続され、さらに流量制御装置43を介してガス源45と接続される。
【0033】
ガス源45は、ガス源36と同様に、パージガスG1を供給する。ガス源45は、ガス源36と共通でもよいし、ガス源36と別に設けられてもよい。流量制御装置43は、容器Fに接続される配管44(容器Fの導入口とガス源45との間の流路)におけるパージガスG1の流量を制御する。流量制御装置43は、例えばマスフローコントローラであり、上記の流量制御装置33と同様でもよい。流量制御装置43は、パージ制御部40と通信可能に接続され、パージ制御部40から供給される制御信号に基づいて、パージガスG1の流量を制御する。排気ノズル42は、配管46を介してパージガスの排気経路(ガス排気47)に接続される。
【0034】
パージ制御部40は、ストッカ制御装置6と通信可能に接続される。パージ制御部40は、ストッカ制御装置6から、入庫ポートPiへの容器Fの搬送情報を取得する。パージ制御部40は、入庫ポートPiにおいて内部状態検出部8の位置に容器Fが載置された際に、内部状態検出部8の流量制御装置33を制御し、容器Fに対するパージガスG1の供給を開始させる。また、パージ制御部40は、内部状態検出部8のセンサ34と通信可能に接続され、センサ34から容器Fの内部状態の検出結果(例、排気ガスG2の水分濃度あるいは酸素濃度)を取得する。
【0035】
パージ制御部40は、パージ決定部48を備える。パージ決定部48は、内部状態検出部8の検出結果に基づいて、容器Fに対するパージ条件を決定する。また、パージ制御部40は、ストッカ制御装置6から、パージ本体部9への容器Fの搬送情報を取得する。パージ制御部40は、保管棚3において、パージ本体部9の位置に容器Fが載置された際に、パージ決定部48が決定したパージ条件に基づいてパージ本体部9の流量制御装置43を制御し、パージ処理を実行させる。このように、内部状態検出部8は、パージノズル41(第1のパージノズル)でのパージ処理が開始されるよりも前に、容器Fの内部状態を検出する。
【0036】
次に、図2および図3を参照しつつ、内部状態検出部8の動作について説明する。図3は、内部状態検出部8の動作を示す図である。流量制御装置33は、内部状態検出部8のパージノズル31と容器Fとが接続された後、時刻t1においてパージガスG1の流量をQ1からQ2へ切り替える。Q1は最少の供給流量(例、0)であり、Q2は、Q1よりも多い量に予め定められた流量である。時刻t1の後、容器Fの内圧が閾値以上になると、ガス排気ポート25を介して排気ガスG2が排気され、センサ34は、排気ガスG2に含まれる除去対象物質の濃度を検出する。
【0037】
さらに時間が経過すると、容器Fの内部Faにおける除去対象物質の量が減少し、排気ガスG2における除去対象物質の濃度が低下する。時刻t1から所定の時間が経過した時刻t2において、流量制御装置33は、パージガスの流量をQ2からQ1へ切り替える。時刻t1から時刻t2までの期間に、容器Fに供給されるパージガスG1の供給量は、時刻t1から時刻t2までの時間とQ2との積である。この供給量は、センサ34により排気ガスG2の組成を検出可能な範囲内で、任意に設定される。すなわち、この供給量は、容器Fから配管37に排気ガスG2が排気され、かつ、排気ガスG2がセンサ34に到達するレベルに設定される。内部状態を検出する際のパージガスG1の供給量は、パージ本体部9によるパージ処理におけるパージガスG1の供給量よりも少なく設定される。
【0038】
次に、図2図4、及び図5を参照しつつ、パージ本体部9の動作について説明する。図4は、パージ本体部9におけるパージ条件の説明図である。図4(A)には、除去対象物質の濃度の時間履歴を概念的に示した。図4(A)において、横軸はパージガスG1の供給を開始してからの時刻であり、縦軸は容器Fの内部における除去対象物質の濃度である。ここでは、パージガスG1の供給を開始した後、時刻t3においてパージガスG1の供給を停止したとする。除去対象物質の濃度は、パージガスG1の供給開始から時刻t3まで減少し、時刻t3の後に、容器FからのパージガスG1の漏れ、容器Fへの除去対象物質の侵入により、時間経過とともに緩やかに増加する。ここでは、除去対象物質の濃度が所定値以下となるまでパージガスを所定の流量で供給して初期パージを行い、続いて、除去対象物質の濃度を所定値(目標値)以下に維持するように、パージガスの流量を変更して維持パージを行うとする。
【0039】
図4(B)は、パージ本体部9におけるパージガスG1の流量の時間履歴を示す図であり、図4(C)は、図4(B)に対応する除去対象物質の濃度の時間履歴を示す図である。図4(B)および図4(C)の横軸は、パージ本体部9がパージガスG1の供給を開始してからの時刻である。流量制御装置43は、パージガスG1の供給開始時に流量をQ3に設定し、時刻t3において流量をQ4に切り替える。Q4は、0よりも大きい任意の量であり、例えば、単位時間に容器FからパージガスG1が漏れる量と同じレベルである。これにより、容器Fの内部Faにおけるパージガスの量が維持され、図4(C)に示すように、除去対象物質の濃度は、時刻t3以降において所定値に徐々に近づく。本実施形態において、パージ制御部40は、内部状態検出部8の検出結果に基づき、パージ条件として図4(B)のQ3(流量)とt3(供給時間)の少なくとも一方を調整する。
【0040】
図5は、パージ条件の決定方法の説明図である。図5(A)において、縦軸は、除去対象物質(例、水分)の濃度(例、湿度)であり、横軸は、パージガスG1の供給時間である。符号Q10、Q20、Q40は、それぞれ、パージガスG1の流量(図4(B)のQ3に相当)が10リットル毎分(l/m)、20リットル毎分(l/m)、40リットル毎分(l/m)である。ここでは、説明の便宜上、内部状態検出部8のセンサ34が検出した除去対象物質の濃度が10%であり、除去対象物質の濃度の目標値(図4(C)の所定値)が5%であるとする。また、事前にパージ処理が行われていない場合、除去対象物質の濃度が約22%であるとする。
【0041】
パージ処理を開始する際の容器Fの内部状態が不明である場合、除去対象物質の濃度が約22%であるとしてパージ条件が設定され、流量を10リットル毎分とすると、除去対象物質の濃度が所定値以下となるまでの供給時間T0は、約330秒である。一方、内部状態検出部8により容器Fの内部状態が既知(例、センサ34の検出結果が10%)である場合、流量を10リットル毎分とすると、除去対象物質の濃度が所定値以下となるまでの供給時間T1は、約180秒であり、供給時間T0よりも短くなる。ここでは、供給時間T0、T1に対応する流量が同じであり、パージガスG1の供給時間を短縮することで、パージガスG1の供給量を節約することができる。
【0042】
このような観点で、パージ決定部48は、例えば、パージガスの流量を予め定められた値(例、10リットル毎分)に設定し、パージガスG1の供給時間をT1以上T0未満に設定する。これにより、パージ処理の効果を維持しつつ、パージガスG1の供給量を節約することができる。パージガスG1の供給時間をT1に設定すると、パージ処理の効果を維持しつつパージガスG1の供給量を最小化することができるが、適宜マージンをとってパージガスG1の供給時間を、T0未満の範囲内でT1よりも長く設定してもよい。
【0043】
なお、パージ決定部48は、パージガスG1の流量および供給時間を調整してもよい。例えば、流量が20リットル毎分である場合(符号Q20参照)、除去対象物質の濃度が所定値以下となるまでの供給時間T2は、約80秒である。流量が10リットル毎分で供給時間T0(例、330秒)である場合、パージガスG1の供給量が約55リットルであるのに対して、流量が20リットル毎分であり供給時間T2(例、80秒)である場合、パージガスG1の供給量は、約27リットルであり、供給量を節約することができる。
【0044】
パージ決定部48は、図5(A)のように、パージガスG1の供給時間と除去対象物質の濃度との関係を示す情報に基づいて、パージ条件を決定する。パージ決定部48は、例えば、パージガスG1の供給時間と除去対象物質の濃度との関係を表した数式を用いて、供給時間T1あるいはT2を算出してもよい。また、パージ決定部48は、センサ34の測定値と、パージガスG1の流量と、パージガスG1の供給時間を関連付けた参照情報を参照して、パージ条件を決定してもよい。
【0045】
図5(B)は、上記の参照情報の一例を示す概念図である。この参照情報は、テーブル形式のデータである。「センサの測定値」は、例えば、センサ34の測定値を整数に切り上げた値であり、TA0〜TA4、TB0〜TB4、TC0〜TC4は、「センサの測定値」と「流量」とに対応するセルに収納されるパージガスG1の供給時間である。例えば、図5(A)の供給時間T1は、「センサの測定値」が10%であり、「流量」が10リットル毎分であることから、「TA4」に相当する。例えば、TA4に180秒というデータを格納しておくとよい。また、図5(B)の供給時間T2は、「センサの測定値」が10%であり、「流量」が20リットル毎分であることから、「TB4」に相当する。例えば、TB4に80秒というデータを格納しておくとよい。このようにすると、供給時間を簡易に得ることができる。なお、流量の初期設定値、パージ決定部48が決定する流量は、10リットル毎分、20リットル毎分、40リットル毎分のいずれでもよいし、その他の値でもよい。
【0046】
図1の説明に戻り、ストッカ制御装置6は、パージ制御部40に制御指令を供給することにより、パージ装置4を制御する。ストッカ制御装置6は、スタッカクレーン5を制御してパージ対象の容器Fをパージ装置4に搬送させ、このパージ装置4を制御して容器Fに対するパージを実行させる。保管棚3には、容器Fが載置されたことを検出するセンサ(図示せず)が設けられ、パージ制御部40は、このセンサの検出結果に基づいてパージを開始する。このセンサは、ボタンセンサなどの接触型センサであり、容器Fの底面によって押し下げられることで、容器Fが保管棚3に載置されたことを検出する。このセンサは、パージ制御部40と通信可能に接続され、その検出結果をパージ制御部40に供給する。なお、容器Fが載置されたことを検出するセンサを設けることなく、ストッカ制御装置6が自らスタッカクレーン5に与える制御指令によって、パージ装置4に容器Fが載置されたと判断し、パージを開始するようにしてもよい。
【0047】
ストッカ制御装置6には、入力部および表示部が接続される。この入力部は、例えば、操作パネル、タッチパネル、キーボード、マウス、トラックボールなどである。入力部は、オペレータからの入力を検出し、入力された情報をストッカ制御装置に供給する。また、上記の表示部は、例えば液晶ディスプレイなどであり、ストッカ制御装置6から供給される画像を表示する。例えば、ストッカ制御装置6は、パージストッカ1Aの動作状況、各種設定、パージの状態を示す画像などを表示部に表示させる。
【0048】
次に、上述のパージ装置4の動作に基づき、実施形態に係るパージ方法について説明する。図6(A)は、実施形態に係るパージ方法を示すフローチャートであり、図6(B)は図6(A)のステップS1の処理の一例を示すフローチャートである。ステップS1において、内部状態検出部8は、容器Fの内部状態を検出する。内部状態検出部8は、パージノズル41(第1のパージノズル)でのパージ処理(後述のステップS4)が開始されるよりも前に、容器Fの内部状態を検出する。例えば、図6(B)に示すステップS1のステップS11において、容器Fは、天井搬送車OHVによって入庫ポートPiに搬入され、パージノズル31(第2のパージノズル)と接続される。ステップS12において、パージ制御部40は、内部状態検出部8の流量制御装置33を制御し、パージノズル31からパージガスG1を供給させる。ステップS13において、内部状態検出部8のセンサ34は、容器Fから排出される排気ガスG2を検出する。センサ34は、その検出結果をパージ制御部40(パージ決定部48)に供給する。
【0049】
図6(A)に戻り、ステップS2において、パージ決定部48は、センサ34の検出結果に基づいて、パージ条件を決定する(図5参照)。ステップS3において、スタッカクレーン5は、容器Fを入庫ポートPiから保管棚3(パージ本体部9)に搬送し、容器Fは、パージノズル41(第1のパージノズル)と接続される。なお、ステップS3の処理は、ステップS1よりも後、かつステップS2よりも前に行われてもよいし、ステップS2と並行して行われてもよい。ステップS4において、パージ制御部40は、パージ決定部48が決定したパージ条件に基づいてパージ本体部9の流量制御装置43を制御し、パージノズル41からパージガスG1を供給させることで、パージ処理を実行させる。このように、本実施形態に係るパージ方法では、パージノズル41に接続される前の容器Fの内部状態を検出し、その検出結果を用いてパージノズル41を用いるパージ処理のパージ条件を決定する。
【0050】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、適宜、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図7は、本実施形態に係るパージ装置50を示す図である。このパージ装置50は、図2のパージ装置4と内部状態検出部8が同じであり、パージ本体部51が異なる。パージ本体部51は、配管46に接続されたセンサ52を備える。センサ52は、センサ34と同様に、容器Fから排気される排気ガスG3の組成(例、除去対象物質の濃度)を検出する。
【0051】
センサ52は、パージ制御部40と通信可能に接続され、その検出結果をパージ制御部40に供給する。パージ制御部40は、センサ52により検出される除去対象物質の濃度が目標値(図4(C)の所定値に相当)以下となるように、センサ52の検出結果をもとに流量制御装置43をフィードバック制御する。例えば、パージ決定部48は、内部状態検出部8のセンサ34の検出結果をもとに、パージ条件として、パージ本体部9がパージ処理を開始する際のパージガスの流量の初期値を決定し、パージ制御部40は、パージ本体部51のセンサ52の検出結果を用いて、パージガスの流量と供給時間の少なくとも一方を調整する。このようなパージ装置50は、センサ52の検出結果(パージ処理中の容器Fの内部状態)に基づいて、パージ条件をフィードバック制御するので、パージ処理の効果を維持しつつパージガスG1を節約することができる。
【0052】
なお、パージ制御部40の代わりに流量制御装置43がフィードバック制御を行ってもよい。この場合、センサ52は、その検出結果を示す信号を流量制御装置43に供給する(図7に一点鎖線で示す)。流量制御装置43は、この信号を用いて、除去対象物質の濃度が所定値になるように、流量をフィードバック制御する。
【0053】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、適宜、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図8は、本実施形態に係るパージストッカ1Bを示す図である。本実施形態において、パージ装置60の内部状態検出部8は、保管棚3に配置される。スタッカクレーン5は、天井搬送車OHVによって入庫ポートPiに搬入された容器Fを、入庫ポートPiから、内部状態検出部8が設けられた保管棚3(符号3aで示す)へ搬送する。
【0054】
内部状態検出部8は、図2などと同様であり、容器Fの内部状態を検出する。内部状態検出部8が容器Fの内部状態を検出した後、スタッカクレーン5は、ストッカ制御装置6に制御され、容器Fをパージ本体部9(符号9aで示す)が設けられた保管棚3(符号3bで表す)に搬送する。パージ本体部9は、内部状態検出部8の検出結果に基づいて、第1実施形態で説明したように容器Fにパージ処理を行う。このように、内部状態検出部8は、入庫ポートPi以外の場所に設けられてもよく、パージ本体部9によりパージ処理が行われるパージ位置への容器Fの搬送経路のいずれの位置に設けられてもよい。例えば、容器Fがパージ本体部51に搬入される前に仮置き場(バッファ)におかれる場合、この仮置き場に内部状態検出部8を設けてもよい。なお、図7のパージ本体部51を用いる場合、複数のパージ本体部51のいずれかを内部状態検出部8として用いてもよい。
【0055】
なお、上述の実施形態においては、パージ装置をパージストッカに適用した例を説明したが、本実施形態に係るパージ装置は、パージストッカ以外の装置にも適用可能である。複数のパージ装置に設けられる内部状態検出部8の数は、1つでもよいし、2以上の任意の数でもよい。例えば、図8において、内部状態検出部8は、保管棚3の各段に設けられてもよい。また、上述の実施形態において、パージ決定部48は、パージ制御部40に設けられるが、その他の部分に設けられてもよい。
【0056】
また、上述の実施形態において、内部状態検出部8は、排気ガスG2の水分濃度あるいは酸素濃度を検出しているが、これに限定されない。例えば、パージガスG1が窒素ガス等の場合、内部状態検出部8によってパージガスG1の濃度を検出することにより容器Fの内部状態を検出してもよい。
【0057】
また、上述の実施形態において、パージ制御部40は、例えばコンピュータシステムを含む。パージ制御部40は、記憶部(図示せず)に記憶されているプログラムを読み出し、このプログラムに従って各種の処理を実行する。このプログラムは、例えば、コンピュータに、パージ対象の容器FにパージガスG1をパージノズル41(第1のパージノズル)から供給する制御と、第1のパージノズルでのパージ処理が開始されるよりも前に容器Fの内部状態を検出する制御と、容器Fの内部状態の検出結果に基づいて、容器Fに対するパージ条件を決定する制御と、を実行させる。このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、法令で許容される限りにおいて、日本特許出願である特願2015−170174、及び上述の実施形態などで引用した全ての文献、の内容を援用して本文の記載の一部とする。
【符号の説明】
【0058】
F・・・容器
1A、1B・・・パージストッカ
3・・・保管棚
4、50、60・・・パージ装置
8・・・内部状態検出部
31・・・パージノズル(第2のパージノズル)
34・・・センサ
41・・・パージノズル(第1のパージノズル)
43・・・流量制御装置
48・・・パージ決定部
G1・・・パージガス
G2・・・排気ガス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8