(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連発打ちにおいて、前記トリガが操作されると前記圧縮空気を前記制御バルブに供給し、前記所定時間内に前記プッシュレバーが操作されると、前記制御バルブに供給された前記圧縮空気を前記ハウジング外に放出する切替バルブを有する、請求項1記載の打込機。
前記切替バルブは、前記蓄圧室と前記第1通路とが接続され、かつ、前記第1通路と前記第2通路とが遮断されると、前記第1通路の空気圧で作動して、前記第2切替状態から前記第1切替状態になる、請求項5または6記載の打込機。
前記切替バルブは、前記蓄圧室と前記第1通路とが接続され、かつ、前記第1通路と前記第2通路とが接続され、かつ、前記第2通路と前記第3通路とが接続されると、前記第1切替状態から前記第2切替状態になる、請求項5記載の打込機。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、打込機の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
図1に示す打込機10は、中空のハウジング11を有し、ハウジング11は、シリンダケース12と、シリンダケース12に固定したハンドル13と、シリンダケース12の開口部を閉じたカバー14と、シリンダケース12に固定したノーズ部15と、ノーズ部15に取り付けたプッシュレバー16と、を有する。また、マガジン17がノーズ部15に取り付けられている。プラグ18がハンドル13に取り付けられ、エアホースがプラグ18に着脱される。
【0016】
エアホースは空気圧縮機に接続されている。蓄圧室19がハウジング11内に設けられ、蓄圧室19はエアホースにつながっている空気圧縮機で圧縮された空気は、エアホースを介して蓄圧室19に注入される。蓄圧室19の符号は、
図1に複数箇所示されているが、蓄圧室19は全体としてつながっており、蓄圧室19が独立して複数ある訳ではない。
【0017】
シリンダ20、シリンダ上室21、トリガバルブ22、セーフティバルブ23、遮断バルブ24、メインバルブ25、ディレイバルブ26、切替バルブ27、エキゾーストバルブ28及び打撃室29が、ハウジング11に設けられている。通路31及び大気ポート33がハウジング11に設けられている。トリガ34が支持軸35を支点としてハウジング11に取り付けられ、弾性部材36がトリガ34を回動する方向に付勢している。トリガ34は作業者の操作力が加わるレバーである。弾性部材36は、金属製のねじりコイルバネである。
【0018】
作業者が操作力をトリガ34に加えると、トリガ34は弾性部材36の力に抗して
図2で反時計回りに回動する。作業者が操作力を解除すると、トリガ34は弾性部材36の力で時計回りに回動し、トリガ34はストッパに接触して停止する。トリガバルブ22は、ハウジング11に固定した筒部材30と、筒部材30に設けた大気ポート33と、筒部材30内で移動可能なバルブステム37と、弁体としてのボール38と、ポート45を備えた弁座46と、バルブステム37に取り付けたシール部材39と、を有する。バルブステム37は、大気ポート33内で弾性部材36により支持されている。
【0019】
トリガ34の回動力がバルブステム37に伝達され、トリガバルブ22は動作する。トリガバルブ22の作動状態は、オン状態とオフ状態とに切り替えられる。オフ状態のトリガバルブ22は、蓄圧室19の空気圧でボール38が押され、ボール38が弁座46に押し付けられる。つまり、ポート45が閉じて蓄圧室19と通路31とを遮断する。また、オフ状態のトリガバルブ22は、通路31と大気ポート33とを接続する。オン状態のトリガバルブ22は、バルブステム37がボール38を押してポート45を開き、蓄圧室19と通路31とが接続される。また、オン状態のトリガバルブ22は、シール部材39が大気ポート33を遮断する。
【0020】
セーフティバルブ23は、バルブステム91と、バルブステム91に取り付けたシール部材40と、バルブステム91を付勢する弾性部材41と、ポート47を有する弁座48と、移動可能な中間シャフト42と、を有する。弾性部材41は、金属製の圧縮コイルばねである。プッシュレバー16は筒形状であり、プッシュレバー16は、シリンダ20の中心線A1方向に移動可能である。
【0021】
プッシュレバー16の移動力は、中間シャフト42を介してバルブステム91に伝達される。プッシュレバー16はストッパにより待機位置で停止する。プッシュレバー16が、被打込部材としての対象物に押し付けられると、プッシュレバー16の移動力は中間シャフト42を介してバルブステム91に伝達され、バルブステム91は弾性部材41の力に抗して移動する。また、通路43及び大気ポート44がハウジング11に設けられている。
【0022】
セーフティバルブ23の作動状態は、プッシュレバー16の動作状態に応じて切り替わる。セーフティバルブ23は、通路43を、通路31または大気ポート44のいずれか一方に接続する。プッシュレバー16が待機位置で停止していると、セーフティバルブ23の作動状態はオフ状態になる。プッシュレバー16が対象物に当接されて、プッシュレバー16が待機位置から移動すると、セーフティバルブ23の作動状態はオン状態になる。
【0023】
オフ状態のセーフティバルブ23は、通路43と大気ポート44とを接続し、シール部材40が弁座48に押し付けられてポート47を閉じる。つまり、セーフティバルブ23は、通路31と通路43とを遮断する。オン状態のセーフティバルブ23は、シール部材40が弁座48から離れてポート47が開き、通路31と通路43とを接続する。オフ状態のセーフティバルブ23は、中間シャフト42が通路43と大気ポート33とを遮断する。
【0024】
ハウジング11内にバルブボディ49が収容されている。バルブボディ49は、金属製のブロックであり、遮断バルブ24はバルブボディ49に設けられている。遮断バルブ24は、移動可能なスプール50と、制御ポート51と、スプール50を付勢する弾性部材52と、を有する。スプール50は、3個のランド部53,54,55を有し、空気室56がランド部53とランド部54との間に形成されている。弾性部材52は金属製の圧縮コイルバネであり、ランド部53は、弾性部材52の力を受ける。ランド部54は空気室56と通路43とを接続及び遮断し、ランド部55は制御ポート51の空気圧を受ける。空気室56は、通路57に常に接続される。
【0025】
制御ポート51は空気圧が供給され、スプール50は、制御ポート51の空気圧で弾性部材52の力とは逆向きに付勢される。遮断バルブ24は、制御ポート51の空気圧に応じて作動状態が切り替わる。制御ポート51の空気圧が第1制御圧であると、遮断バルブ24は第1作動状態になり、制御ポート51の空気圧が第2制御圧であると、遮断バルブ24は第2作動状態になる。第2制御圧は第1制御圧よりも高い。第1作動状態の遮断バルブ24は、通路43と通路57とを接続する。第2作動状態の遮断バルブは、通路43と通路57とを遮断する。
【0026】
シリンダ20は、
図3のように、シリンダケース12内に中心線A1方向に移動可能に配置されている。弾性部材58がハウジング11内に設けられ、弾性部材58は金属製の圧縮コイルバネである。弾性部材58はシリンダ20をノーズ部15から離れる向きで付勢する。ストッパ59がハウジング11内に設けられ、かつ、ストッパ59はマウント71を介してハウジング11に固定されている。弾性部材58の力で付勢されたシリンダ20は、ストッパ59に接触して停止する。ピストン60がシリンダ20内に配置され、ピストン60は中心線A1方向に移動可能である。ピストン60の外周面にシール部材61が取り付けられている。シリンダ下室62は、シリンダ20の内部において、ノーズ部15とピストン60との間に形成されている。環状のダンパ63がシリンダ下室62に設けられている。ダンパ63は、ノーズ部15に接触した状態で固定されている。ダンパ63は合成ゴム製である。
【0027】
戻し空気室64がハウジング11内に形成されている。戻し空気室64は、シリンダ20の径方向でシリンダ20の外にある。シリンダ20は、2つの通路65,66を有する。2つの通路65,66は、中心線A1方向で異なる位置に配置されている。2つの通路65,66は、シリンダ20を径方向に貫通している。通路65は、シリンダ下室62と戻し空気室64とを接続する。シリンダ20に逆止弁67が設けられ、逆止弁67は、シリンダ下室62の空気圧が戻し空気室64の空気圧よりも高いと、通路65を開く。逆止弁67は、戻し空気室64の空気圧がシリンダ下室62の空気圧よりも高いと、通路65を閉じる。
【0028】
打撃子68がピストン60に固定されている。射出路69がノーズ部15に設けられている。複数の止具S1がマガジン17内に収容されており、止具S1はマガジン17内から射出路69に向けて順次供給される。止具S1は、釘である打撃子68は、ピストン60と共に中心線A1方向に移動可能であり、打撃子68は、射出路69に供給された止具S1を打撃する。
【0029】
フランジ70がシリンダ20の外周面から突出して設けられ、シリンダ上室21がフランジ70とストッパ59との間に形成されている。シリンダ上室21は通路57に接続されている。打撃室29は、ストッパ59、シリンダ20及びマウント71により形成されている。ピストン60は、シリンダ上室21から打撃室29に供給される圧縮空気の空気圧を受ける。フランジ70はシリンダ上室21の空気圧を受け、シリンダ20は弾性部材58の力に抗して中心線A1方向に移動する。
【0030】
シリンダ20がストッパ59に接触していると、
蓄圧室19と打撃室29とが遮断され、シリンダ20がストッパ59から離れると、
蓄圧室19と打撃室29とが接続される。本明細書において、打撃室29はピストン上室として把握することもできる。シリンダ20及びストッパ59はメインバルブ25を構成する要素である。打撃室29の圧力が上昇すると、ピストン60は打撃室29の圧力で打撃され、ダンパ63に近づく向きで移動する。
【0031】
大気ポート72がマウント71に設けられている。エキゾーストバルブ28は、ポート73を有する弁座74と、ポート73を開閉する弁体75と、を有する。エキゾーストバルブ28は、通路57の圧力と打撃室29の圧力との差により弁体75が動作し、ポート73を開閉する。通路57の圧力の方が打撃室29の圧力よりも高いと、弁体75が弁座74に押し付けられ、ポート73を閉じる。つまり、打撃室29と大気ポート72とが遮断される。通路57の圧力の方が打撃室29の圧力よりも低いと、弁体75が弁座74から離れ、ポート73が開く、つまり、打撃室29は大気ポート72に接続される。
【0032】
図2のように、通路76が制御ポート51に接続され、通路77がハウジング11内に設けられている。ディレイバルブ26は、通路76と通路77とを接続及び遮断する。ディレイバルブ26は、
図4のように、ハンドル13内に固定して設けたバルブボディ78と、バルブボディ78に対して移動可能な弁体79と、弁体79に形成した通路80と、弁体79を付勢する弾性部材81と、弁体79に取り付けたピストン82と、弁体79により開閉されるポート83と、通路80につながった加圧室84と、通路80における加圧室84とは反対の開口部を塞ぐプラグ85と、を有する。
【0033】
通路80の流通面積は、通路77の流通面積よりも小さく、かつ、加圧室84の流通面積よりも狭い。つまり、通路80の流通面積は、他の箇所の流通面積よりも狭く、通路80はオリフィスとして機能する。弾性部材81は弁体79を付勢し、ピストン82は加圧室84の圧力で弁体79を弾性部材81の力とは逆向きに付勢する。
【0034】
切替バルブ27は、スプール86と、スプール86に設けたランド部87,88と、大気ポート89に接続された空気室90と、を有する。空気室90は、ランド部87とランド部88との間に設けられている。ランド部87は通路57の空気圧を受け、ランド部88は通路31の空気圧を受ける。ランド部87の受圧面積は、ランド部88の受圧面積よりも広い。
【0035】
スプール86は、ランド部87が受ける圧力で第1の向きに付勢され、ランド部88が受ける圧力で第2の向きに付勢される。第1の向きと第2の向きとは、は互いに逆である。スプール86は、第1の向きの付勢力と第2の向きの付勢力との差により軸線方向に動作する。切替バルブ27は、軸線方向におけるスプール86の位置により、第1切替状態と第2切替状態とに切り替わる。
【0036】
第1作動状態の切替バルブ27は、通路77と空気室90とを接続し、かつ、通路31と通路77とを遮断する。つまり、通路77と大気ポート89とが接続される。第2作動状態の切替バルブは、通路31と通路77とを接続し、かつ、通路77と空気室90とを遮断する。なお、全ての大気ポート33,44,89の圧力は大気圧であり、大気ポート33,44,89の圧力は、蓄圧室19の圧力よりも低い。
【0037】
ディレイバルブ26は、切替バルブ27の状態に応じて作動する。切替バルブ27が第2切替状態であると、通路31と通路77とが遮断されており、通路31の空気は通路77に流れ込まない。通路77に圧縮空気が流れ込まないと、加圧室84の空気圧は低圧である。このため、弁体79は弾性部材81の力で付勢されてポート83を閉じ、通路77と通路76とが遮断される。したがって、制御ポート51は第1制御圧であり、遮断バルブ24は第1動作状態にある。
【0038】
切替バルブ27が第1切替状態であると、通路31と通路77とが接続され、通路31の圧縮空気が通路77に圧縮空気が流れ込む。通路77の圧縮空気は通路80を通り加圧室84に流れ込み、加圧室84の圧力が上昇する。通路77に空気が流れ込んだ時点から所定時間が経過すると、弁体79は加圧室84の圧力で弾性部材81の力に抗して動作する。弁体79が弾性部材81の力に抗して動作するとポート83が開き、通路77は通路76に接続される。通路77の空気は通路76に流れ込み、制御ポート51の圧力は、第1制御圧から第2制御圧に上昇する。このため、遮断バルブ24は第1動作状態から第2動作状態になる。
【0039】
作業者は、打込機10を使用して連発打ちまたは単発打ちのいずれかを選択可能である。先に連発打ちから説明する。
【0040】
(A)連発打ち 連発打ちは、トリガ34に操作力を加えた状態で、プッシュレバー16を対象物に押し付ける動作と、プッシュレバー16を対象物から離す動作とを、交互に繰り返すことで、止具S1を連続して打撃することである。
【0041】
トリガ34に操作力が加えられていることを、トリガ34のオン状態と記載し、トリガ34の操作力が解除されることを、トリガ34のオフ状態と記載する。また、トリガ34のオン状態に対応するトリガバルブ22の作動状態を、トリガバルブ22のオン状態と記載し、トリガ34のオフ状態に対応するトリガバルブ22の作動状態を、トリガバルブ22のオフ状態と記載する。
【0042】
プッシュレバー16が対象物から離れている状態を、プッシュレバー16のオフ状態と記載し、プッシュレバー16が対象物に押し付けられている状態を、プッシュレバー16のオン状態と記載する。プッシュレバー16のオフ状態に対応するセーフティバルブ23の状態は、セーフティバルブ23のオフ状態と記載する。プッシュレバー16のオン状態に対応するセーフティバルブ23の状態は、セーフティバルブ23のオン状態と記載する。
【0043】
(1−1) トリガ34がオフ状態であり、かつ、プッシュレバー16がオフ状態である場合について説明する。オフ状態であるトリガバルブ22は、
図2のように、蓄圧室19と通路31とを遮断し、通路31を大気ポート33に接続している。
図5のように、蓄圧室19の空気は通路31に供給されない。オフ状態であるセーフティバルブ23は、
図2のように通路31と通路43とを遮断し、通路43と大気ポート33とを接続している。
【0044】
遮断バルブ24は、
図2及び
図5のように第1動作状態にあり、通路43と通路57とを接続する。シリンダ上室21の空気は、遮断バルブ24の空気室56、通路43、セーフティバルブ23の大気ポート33を介して大気中に排出されている。
【0045】
メインバルブ25を構成するシリンダ20は、
図3のように、弾性部材58の力でストッパ59に接触して停止している。つまり、メインバルブ25は
蓄圧室19と打撃室29とを遮断している。また、ピストン60及び打撃子68はシリンダ下室62の空気圧で付勢され、ピストン60はストッパ59に接触して上死点で停止している。
【0046】
なお、トリガ34がオフ状態であり、かつ、プッシュレバー16がオフ状態であると、切替バルブ27は第1切替状態または第2切替状態のいずれであっても、打込機10の動作に無関係であるため、切替バルブ27の動作説明は省略する。
【0047】
(1−2) 次に、プッシュレバー16がオフ状態に維持され、トリガ34がオフ状態からオン状態に切り替わった場合の作用は、
図4〜
図7を参照して説明する。
【0048】
プッシュレバー16がオフ状態に維持され、トリガ34がオフ状態からオン状態に切り替わると、トリガバルブ22は蓄圧室19を通路31に接続する。蓄圧室19の空気が
図6のように通路31に流れ込むと、切替バルブ27は、通路31の空気圧に応じた付勢力と、通路57の空気圧に応じた付勢力との差でスプール86が動作し、切替バルブ27は、
図7に示す第1切替状態になる。
【0049】
第1切替状態の切替バルブ27は、通路31と通路77とを接続し、通路77と大気ポート89とを遮断する。通路31と通路77とが接続されると、蓄圧室19の空気が通路31及び通路77を経由してディレイバルブ26に供給され、加圧室84の空気圧が上昇を開始する。切替バルブ27が第1切替状態になり、蓄圧室19の空気が、通路31から通路77に供給された時点で、所定時間がスタートする。
【0050】
ディレイバルブ26は、所定時間がスタートした時点から、所定時間が経過するまでの間、ポート83を閉じており、制御ポート51の空気圧は第1制御圧である。制御ポート51の空気圧が第1制御圧であると、遮断バルブ24は第1動作状態に維持される。また、プッシュレバー16はオフ状態に維持されるため、セーフティバルブ23もオフ状態に維持される。
【0051】
(1−3) トリガ34がオン状態となり、かつ、所定時間がスタートした時点から、プッシュレバー16がオフ状態に維持されたまま、所定時間が経過した場合の作用を、
図8〜
図10を参照して説明する。トリガ34がオン状態となり、かつ、プッシュレバー16がオフ状態に維持されたまま所定時間が経過すると、加圧室84の空気圧で弁体79が作動し、ディレイバルブ26のポート83が開く。すると、
図8のように、通路77の空気が通路76を介して制御ポート51に流れ込み、制御ポート51の空気圧が、第1制御圧から第2制御圧に上昇する。
【0052】
遮断バルブ24は、制御ポート51の空気圧が第2制御圧になると、スプール50が弾性部材52の力に抗して動作し、第2作動状態になる。第2作動状態の遮断バルブ24は、通路43と通路57とを遮断する。遮断バルブ24が第2作動状態であると、作業者が歩行中にプッシュレバー16が不用意に物体に接触して、セーフティバルブ23がオン状態になり、通路31と通路43とが接続されても、
図9のように、蓄圧室19の空気は通路57に伝達されない。このため、メインバルブ25は閉じられた状態に維持され、打撃子68は止具S1を打撃しない。
【0053】
このように、トリガ34がオン状態に維持され、かつ、所定時間がスタートした時点から所定時間が経過した後、不用意にプッシュレバー16が物体に接触した場合に、止具S1の打ち込みを回避できる。
【0054】
その後、プッシュレバー16が物体から離れてセーフティバルブ23がオフ状態になると、蓄圧室19から通路43に流れ込んだ空気は、
図10のように、セーフティバルブ23の大気ポート33から排出される。
【0055】
(1−4) トリガ34のオン状態及びプッシュレバー16がオフ状態から、トリガ34のオフ状態及びプッシュレバー16のオフ状態に移行する場合の作用を、
図2及び
図11を参照して説明する。オフ状態のトリガバルブ22は、蓄圧室19と通路31とを遮断し、通路31と大気ポート33とを接続する。このため、通路77の空気は、通路31を介して大気ポート33から排出され、ディレイバルブ26のポート83が閉じられる。このため、制御ポート51の空気圧は第2制御圧から第1制御圧に低下し、遮断バルブ24の動作状態は、第2動作状態から第1動作状態に切り替わる。
【0056】
(2−1) 次に、所定時間がスタートした時点から、所定時間が経過する前にプッシュレバー16がオン状態となる場合の作用を説明する。所定時間がスタートした時点から、所定時間が経過する前にプッシュレバー16がオン状態になると、セーフティバルブ23がオフ状態からオン状態に切り替わり、
図12のように、セーフティバルブ23は、通路31と通路43とを接続する。すると、蓄圧室19の空気は、
図13のように、通路31,43を通り遮断バルブの空気室56に流れ込む。
【0057】
さらに、空気室56の空気は、
図14のように、エキゾーストバルブ28及びシリンダ上室21に流れ込む。エキゾーストバルブ28は、
図15のように通路57の空気圧で閉じられ、また、シリンダ20は、シリンダ上室21の空気圧で弾性部材58の力に抗して下降する。すると、蓄圧室19の空気がピストン60とストッパ59との隙間を通って打撃室29に流れ込み、打撃室29の空気圧が上昇する。ピストン60は、打撃室29の空気圧で打撃され、ピストン60及び打撃子68が中心線A1方向に動作し、打撃子68が止具S1を打撃する。
【0058】
また、通路57の空気圧は切替バルブ27のランド部87に加わり、切替バルブ27のスプール86は、ランド部87の受圧面積に応じた力と、ランド部88の受圧面積に応じた力との差により動作する。このため、切替バルブ27は、
図16のように第2切替状態になり、通路31と通路77とを遮断し、通路77と大気ポート89とを接続する。したがって、ディレイバルブ26に流れ込んでいた空気は、通路77及び大気ポート89を介して排出され、弁体79が弾性部材81の力で移動し、ポート83が閉じられる。
【0059】
ピストン60の下降中、シリンダ下室62の空気が戻し空気室64に流入し、戻し空気室64の空気圧が上昇する。また、打撃子68が止具S1を打撃後、打撃室29の空気圧の一部は、通路65を通り戻し空気室64に流入する。そして、ピストン60が
図15のようにダンパ63に衝突してダンパ63が弾性変形し、ダンパ63は打撃の衝撃を緩和する。
【0060】
次いで、作業者がトリガ34をオン状態に維持したまま、プッシュレバー16をオン状態からオフ状態に変更すると、通路57の空気は遮断バルブ24及び通路43を経て大気ポート33から排出される。すると、シリンダ上室21の空気圧が低下して、シリンダ20は弾性部材58の力で上昇し、ストッパ59に接触して上死点で停止する。つまり、メインバルブ25は、打撃室29と
蓄圧室19とを遮断する。
【0061】
すると、打撃室29の空気圧が低下し、戻し空気室64の空気圧でピストン60及び打撃子68が上昇してポート73が開き、打撃室29の空気が大気ポート72から大気中へ放出される。また、ピストン60はストッパ59に押し付けられて上死点で停止する。
【0062】
上記のように、通路57の空気圧が低下すると、切替バルブ27は通路31の空気圧で動作し、通路31と通路77とが接続されて、蓄圧室19の空気が通路31,77をディレイバルブ26に流れ込み、かつ、大気ポート89が遮断される。つまり、各バルブは
図7の状態に戻り、次回の打撃に備える。
【0063】
このように、切替バルブ27が第1切替状態になり、蓄圧室19の空気が通路に流れ込んだ時点から、所定時間が経過する前の間に、プッシュレバー16がオフ状態からオン状態に変更されて止具S1の打撃を行うと、切替バルブ27は第1切替状態から第2切替状態になり、通路31と通路77とを遮断し、かつ、通路77と大気ポート89とを接続する。このため、ディレイバルブ26のポート83が遮断され、制御ポート51は第1制御圧に維持される。つまり、遮断バルブ24は第1動作状態に維持される。
【0064】
このため、打撃後にプッシュレバー16をオフ状態にし、再度、プッシュレバー16をオン状態にすると、蓄圧室19の空気が通路31,43を経由してシリンダ上室21に流れ込み、メインバルブ25が動作して打撃室29の空気圧が上昇し、打撃子68が下降して止具S1を打撃する。したがって、連発打ちを円滑に行える。つまり、連発打ちを行う際に、トリガ34を一旦オン状態からオフ状態に変更し、再度、オン状態に戻す作業を行う必要が無い。
【0065】
(3−1) 次に、トリガ34がオン状態となり、所定時間がスタートした後、プッシュレバー16がオフ状態に維持されたまま、トリガ34がオン状態からオフ状態に変更される場合の作用を、
図7及び
図11を参照して説明する。
【0066】
トリガ34がオン状態になると、
図7のように切替バルブ27が第1切替状態になる。つまり、蓄圧室19の空気が通路31から通路77に流れ込む。蓄圧室19の空気が通路31から通路77に流れ込んだ時点から、所定時間が経過する前に、プッシュレバー16をオフ状態に維持し、トリガ34をオン状態からオフ状態に変更すると、トリガバルブ22は、蓄圧室19と通路31とを遮断し、かつ、通路31と大気ポート33とを接続する。このため、通路77の空気は、
図11のように通路31を経由して大気ポート33から排出される。このため、制御ポート51の空気圧は第1制御圧に維持される。
【0067】
(B)単発打ち 打込機10で単発打ちを行う使用例を、
図3、
図12、
図15、
図17、
図18を参照して説明する。作業者はトリガ34のオフ状態、かつ、プッシュレバー16のオフ状態から、トリガ34のオン状態、かつ、プッシュレバー16のオン状態に移行して止具S1を打撃する第1動作を行う。次いで、トリガ34のオフ状態、かつ、プッシュレバー16のオフ状態に移行する第2動作を行う。単発打ちは、作業者が第1動作及び第2動作を繰り返すことで、止具S1を対象物に1本ずつ打ち込むことである。
【0068】
作業者が単発打ちを行う場合、まず、トリガ34をオフ状態とし、かつ、プッシュレバー16をオン状態とする。プッシュレバー16がオン状態であると、セーフティバルブ23は、通路31と通路43とを接続する。しかし、トリガ34がオフ状態であると、
図17のように蓄圧室19の空気は、通路31に供給されない。
【0069】
図12のように、プッシュレバー16のオン状態で、トリガ34がオン状態になると、トリガバルブ22は蓄圧室19と通路31とを接続する。このため、蓄圧室19の空気は、
図18のように通路31,43,57を通り、シリンダ上室21及びエキゾーストバルブ28に供給される。そして、シリンダ20がシリンダ上室21の空気圧で下降し、かつ、ポート73が閉じられて打撃室29の空気圧が上昇し、
図15のように打撃子68が止具S1を打撃する。シリンダ20は、打撃子68が止具S1を打撃した後、弾性部材58の力で上昇し、ストッパ59に接触して停止する。また、ピストン60はシリンダ下室62の空気圧で上昇し、ピストン60はストッパ59に接触して上死点で停止する。
【0070】
単発打ちの場合、作業者は、止具S1を打撃した後にトリガ34をオフ状態とし、かつ、プッシュレバー16をオフ状態とする。以後、上記と同様の操作及び動作を繰り返す。
【0071】
単発打ちの場合は、
図18のように蓄圧室19の空気が通路57に流れ込むと、切替バルブ27は第2切替状態になり、通路31通路77とを遮断し、かつ、通路77と大気ポート89とを接続する。つまり、単発打ちでは、蓄圧室19の空気がディレイバルブ26に供給されない。
【0072】
打込機10の実施形態で、「所定時間」を決める条件は、弾性部材81のばね定数、加圧室84の容積、通路80の流通面積を含む。例えば、他の条件が同じであることを前提として、弾性部材81のばね定数が大きいほど所定時間は長くなり、弾性部材81のばね定数が小さいほど所定時間は短くなる。また、他の条件が同じであることを前提として、加圧室84の容積が広いほど所定時間は長くなり、加圧室84の容積が狭いほど所定時間は短くなる。また、他の条件が同じであることを前提として、通路80の流通面積が狭いほど所定時間は長くなり、通路80の流通面積が広いほど所定時間は短くなる。
【0073】
所定時間は、切替バルブ27が第1切替状態になり、通路31と通路77とが接続された時点から、ディレイバルブ26のポート83が開き、制御ポート51の空気圧が第1制御圧から第2制御圧になるまでの時間である。つまり、切替バルブ27が動作して通路31と通路77とが接続された時点と、制御ポート51の空気圧が第1制御圧から第2制御圧になるまでの時点とに時間差があればよい。
【0074】
実施形態で説明した構成において、通路31は、第1通路に相当し、通路43は、第2通路に相当する。また、通路57は、第3通路に相当し、ポート83は、供給ポートに相当し、ディレイバルブ26は、制御バルブに相当し、通路77は、第4通路に相当し、大気ポート89が、大気ポートに相当する。ディレイバルブ26のポート83が閉じられている状態が、第1制御状態であり、ディレイバルブ26のポート83が開かれている状態が、第2制御状態である。
【0075】
また、トリガ34に操作力が加えられている状態が、トリガ34の操作状態であり、トリガ34の操作力が解除されている状態が、トリガ34の非操作状態である。プッシュレバー16が対象物に押し付けられている状態が、プッシュレバー16の操作状態であり、プッシュレバー16が対象物から離れている状態が、プッシュレバー16の非操作状態である。
【0076】
さらに、蓄圧室の圧縮空気をシリンダに供給するとは、シリンダ20がストッパ59から離れて、圧縮空気が打撃室29に供給されて、打撃子68が駆動されることを意味する。
【0077】
打込機は実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、トリガは、作業者の操作力を第1開閉バルブに伝達する要素であり、トリガは、支持軸を中心として回動するレバーと、ガイドレールに沿って動作可能なボタンと、を含む。プシュレバーは、対象物に押し付けられて移動する移動力を第2開閉バルブに伝達する要素であり、プッシュレバーは、筒形状または棒形状の何れでもよい。止具は、棒状の釘またはコ字形のタッカの何れでもよい。