(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
身体に纏う形態の情報機器用の表示装置としては、外界も視認できる眼鏡型の形態が主流となりつつある。
図3は、観察者に装着される眼鏡型ディスプレイ(表示装置)を示す外観図であり、
図4は、従来の眼鏡型ディスプレイの概略構成及びXY平面における光路を示す図である。
なお、眼鏡型ディスプレイ101は右眼用であり、遠視状態の右眼Eの中心に原点を有したXYZ座標系を定義する。Y方向は観察者の前方であり、Z方向は観察者の上方であり、X方向(設定方向)は観察者の左方である。
【0003】
眼鏡型ディスプレイ101は、眼鏡と似た外観をしており、画像表示光Lを出射する出射ユニット(出射光学系)40と、出射ユニット40からの画像表示光Lを内部で反射させながら観察者の眼Eに導く基板であるライトガイド(光学素子)10と、出射ユニット40とライトガイド10とが取り付けられるフレーム部Fとを備える(例えば特許文献1参照)。
【0004】
出射ユニット40は、
図3に示すように筐体を有しており、当該筐体の内部には、透過型液晶表示器41と光学系42と光源(図示せず)とを有する出射機構と、出射機構に画像信号を出力する制御部(図示せず)とを備える。
【0005】
透過型液晶表示器41は、制御部からの画像信号に基づいて、出射方向に垂直となる表示領域に画像を形成し、画像表示光Lを出射する。
光学系42は、表示領域の画像表示光Lを透過させるものである。そして、光学系42は、透過型液晶表示器41の前方に距離をあけて配置されている。これにより、光学系42は、表示領域の画像表示光Lを透過させながら、観察対象の虚像を形成する。
【0006】
ライトガイド10は、硝子(BK7等)や、樹脂(ポリカーボネートやポリメタクリル酸(PMMA)やシクロオレフィン等)等の光透過性材料で作製された基板であり、前面10aと、前面10aと−Y方向で対向する後面10bと、右面10cと、右面10cとX方向で対向する左面10dと、上面(図示せず)と、上面とZ方向で対向する下面(図示せず)とを有するとともに、内部にビームスプリッタ面11が形成されている。なお、前面10aと後面10bと上面と下面とはX方向(設定方向)と平行になっており、左面10dはX方向(設定方向)と垂直になっている。
【0007】
また、X方向(設定方向)に対する右面10cの角度は、Z方向から見るとαとなるように配置されている。そして、出射ユニット40は、出射機構からの画像表示光Lをライトガイド10の右面10cからライトガイド10内部に右面10cと垂直方向から入射させるように配置されている。これにより、出射ユニット40からの画像表示光Lが右面10cからライトガイド10内部に右面10cと垂直方向から入射すると、略X方向(設定方向)へ進行するようになっている。
【0008】
ビームスプリッタ面11は、平面状の3枚のビームスプリッタ面からなり、X方向において順番に、第一ビームスプリッタ面11a、第二ビームスプリッタ面11b、第三ビームスプリッタ面11cとなるように配置されている。さらに、X方向に対する各ビームスプリッタ面11a〜11cの角度は、Z方向から見ると同じ角度βとなるように配置されている。
【0009】
そして、第一ビームスプリッタ面11aと第二ビームスプリッタ面11bと第三ビームスプリッタ面11cとは、入射した画像表示光Lの光束の所定割合を反射させるとともに、画像表示光Lの光束の所定割合を透過させることが可能となっている。
【0010】
このような眼鏡型ディスプレイ101においては、まず、出射ユニット40からの表示領域の画像表示光Lをライトガイド10の内部に右面10cから入射させる。このとき、出射ユニット40からの画像表示光Lを右面10cからライトガイド10内部に右面10cと垂直方向から入射させ、かつ、右面10cは、出射ユニット40からの表示領域の画像表示光Lが略X方向(設定方向)へ進行するように入射させる。
【0011】
そして、前面10aと後面10bとは、表示領域の画像表示光Lを交互に複数回反射させながらX方向(設定方向)に進行させて、第一ビームスプリッタ面11aに導く。そこで、第一ビームスプリッタ面11aは、入射した画像表示光Lの光束の所定割合を反射させるとともに、画像表示光Lの光束の所定割合を透過させる。つまり、画像表示光Laの光束を観察者の眼Eに向かって導く。
【0012】
また、第一ビームスプリッタ面11aを透過した画像表示光Lは、第二ビームスプリッタ面11bに到達する。そこで、第二ビームスプリッタ面11bは、入射した画像表示光Lの光束の所定割合を反射させるとともに、画像表示光Lの光束の所定割合を透過させる。つまり、画像表示光Lbの光束を観察者の眼Eに向かって導く。
さらに、第二ビームスプリッタ面11bを透過した画像表示光Lは、第三ビームスプリッタ面11cに到達する。そこで、第三ビームスプリッタ面11cは、入射した画像表示光Lの光束の所定割合を反射させるとともに、画像表示光Lの光束の所定割合を透過させる。つまり、画像表示光Lcの光束を観察者の眼Eに向かって導く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述したような眼鏡型ディスプレイ101では、一部分に影が発生している画像が見えることがあった。
図5は、
図4の眼鏡型ディスプレイ101により観察者が視認する影が発生した画像の一例である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本出願人は、観察者が画像を正常に視認することができる方法について検討した。そして、上述したような眼鏡型ディスプレイ101では、画像表示光Lの光束サイズ(表示領域)は右面10cのサイズにより制限され、
図4に示す右面10cのサイズによって制限された光束サイズでは、ライトガイド10内部を伝搬する画像表示光Lの光束が存在しない領域(抜け)が発生していることがわかった。
ここで、
図6は、
図4の眼鏡型ディスプレイ101のXY平面における光束の伝搬範囲を示す図であって、図中の符号Aは、光束の抜けを示している。
【0016】
このようなライトガイド内部を伝搬する画像表示光の光束が存在しない領域(抜け)の発生を防ぐために、ライトガイド右面のサイズを大きくするとともに入射する光束サイズを大きくすることが考えられる。
図7は、右面のサイズ及び光束サイズを大きくした場合のライトガイドを示す平面図である。しかし、このようなライトガイド300には突出部分ができるため、製造が困難になるだけでなく、出射ユニット340も大型化して重くなる。
また、特開2011−164545号公報には、第一出射ユニットからの画像表示光を導くための第一ライトガイドと、第二出射ユニットからの画像表示光を導くための第二ライトガイドとを備える表示装置が開示されているが、2個の出射ユニットとを備えるので、大型化して重くなるという問題点がある。さらに、国際公開番号WO2011/24291には、前面と後面と上面と下面との4面で画像表示光を反射させて第二ライトガイドに導くための第一ライトガイドと、第一ライトガイドからの画像表示光を導くための第二ライトガイドとを備える表示装置が開示されているが、大型化して重くなるという問題点がある。
【0017】
よって、本出願人は、ライトガイド300のように突出部分を設けず、かつ、出射ユニット340等を大型化することなく、内部を伝搬する画像表示光の光束の抜けを防ぐために、ライトガイド(主基板)の前面にビームスプリッタ面(副ビームスプリッタ)を介して基板(副基板)を配置することを見出した。なお、ここでのビームスプリッタ面とは、一部の光束を反射し、一部の光束を透過する作用を有する面のことをいう。
【0018】
これによれば、ライトガイドの前面と後面とにおいて、表示領域の画像表示光が交互に複数回反射することになるが、ライトガイドの前面(副ビームスプリッタ面)に到達した際には、画像表示光の光束の100%が反射するのではなく、画像表示光の光束の所定割合が反射してライトガイド内部に進行するとともに、画像表示光の光束の所定割合が透過して副基板内部に進行する。すなわち、ライトガイド内部に進行する画像表示光の光路と、副基板内部に進行する画像表示光の光路とに差(ずれ)ができることになり(画像表示光が副ビームスプリッタ面によって分岐され、その結果として拡大されることになり)、この差(ずれ)を利用して、ライトガイド内部を伝搬する画像表示光の光束が存在しない領域(抜け)の発生を防ぐことができた。
【0019】
すなわち、本発明の光学素子は、前面及び後面が設定方向と平行となり、光透過性材料で作製された主基板を備え、前記主基板の内部には、前記設定方向に対して斜めに形成された少なくとも1個の主ビームスプリッタ面を有する光学素子であって、前面及び後面が設定方向と平行となり、光透過性材料で作製された副基板を備え、少なくとも1個の副基板の前面又は後面と、前記主基板の後面又は前面との間に、副ビームスプリッタ面が配置されているようにしている。
【0020】
ここで、「設定方向」とは、設計者等によって予め決められた任意の方向であり、例えば、左方や右方や上方や下方等となる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明の光学素子によれば、光が副ビームスプリッタ面によって分岐・拡大されるため、主基板内部を伝搬する光束が存在しない領域(抜け)の発生を防ぐことができる。
【0022】
(他の課題を解決するための手段及び効果)
また、本発明の光学素子において、光が、前記主基板の前面及び後面並びに前記副基板の前面及び後面以外の面から入射するか、或いは、出射するようにしてもよい。
【0023】
本発明の光学素子によれば、副基板の右面等を斜めに形成するようにした場合には、複雑な加工を1つの基板に集中することを回避できるため、制作性が向上する。また、出射機構の幅を小さくしようとした際に、主基板の右面から画像表示光が入射するようにしたときには、主基板を薄くすると、主ビームスプリッタ面で出射される出射範囲を維持するために、主基板中の主ビームスプリッタ面の数を増やす必要があるが、副基板の右面等から画像表示光が入射するようにすれば、副基板を薄くしても、主基板中の主ビームスプリッタ面の数を増やす必要がなくなり、制作性がよい。
【0024】
また、本発明の光学素子において、前記主基板又は前記副基板の内部には、反射面が形成されており、光が、前記主基板の前面及び後面並びに前記副基板の前面及び後面の内の少なくとも1面から入射して前記反射面に到達するか、或いは、前記反射面に到達した後、前記主基板の前面及び後面並びに前記副基板の前面及び後面の内の少なくとも1面から出射するようにしてもよい。
本発明の光学素子によれば、光が、主基板や副基板の内部に入射する位置や、主基板や副基板の内部から出射する位置の自由度を上げることができる。
【0025】
また、本発明の光学素子において、光が、前記反射面で2回以上反射しないように、前記副ビームスプリッタ面が配置されているようにしてもよい。
本発明の表示装置によれば、反射面の前に一定以上の厚さの基板が配置されているため、反射面で2回以上反射する光束がなくなり、迷光の発生を防ぐことができる。
【0026】
そして、本発明の表示装置において、上述したような光学素子と、光を出射する出射光学系とを備えるようにしてもよい。
本発明の表示装置によれば、光束が存在しない領域(抜け)が発生せず、出射機構を小型化かつ軽量化することができる。
また、光が設定方向へ進行する際に、主ビームスプリッタ面を透過せず副基板内部を通過する光が存在するため、入射位置に近い第一主ビームスプリッタ面から外部に出射される光量と、入射位置から遠い位置の第N主ビームスプリッタ面から外部に出射される光量との差が小さくなり、明るさ(光量)を均一化することができる。
【0027】
さらに、本発明の受光装置において、上述したような光学素子と、光を検出する受光光学系とを備えるようにしてもよい。
本発明の受光装置によれば、
図4に示すような光学部品を受光装置に用いると、光束中に抜ける領域(受光不可となる光束)が発生してしまうが、本発明の受光装置によれば、主ビームスプリッタ面に到達した全光束を受光することができる。よって、本発明の受光装置によれば、センシング対象が光束中のどの領域に存在してもセンシングできる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれることはいうまでもない。
【0030】
<第一実施形態>
図1は本発明の眼鏡型ディスプレイ(表示装置)の概略構成及びXY平面における光路を示す図であり、
図2は
図1における光束の伝搬範囲を示す図である。なお、上述した眼鏡型ディスプレイ101と同様のものについては、同じ符号を付している。
眼鏡型ディスプレイ1は、眼鏡と似た外観をしており、画像表示光Lを出射する出射ユニット40と、出射ユニット40からの画像表示光Lを内部で反射させながら観察者の眼Eに導くライトガイドユニット(光学素子)100と、出射ユニット40とライトガイドユニット100とが取り付けられるフレーム部Fとを備える。
【0031】
ライトガイドユニット100は、内部に主ビームスプリッタ面11が形成された主基板10と、副基板20と、副ビームスプリッタ面30とを備える。
【0032】
副基板20は、前面20aと、前面20aと−Y方向で対向する後面20bと、右面20cと、右面20cとX方向で対向する左面20dと、上面(図示せず)と、上面とZ方向で対向する下面(図示せず)とを有する。
前面20aと後面20bとはX方向(設定方向)と平行になっている。つまり、前面10aと後面10bと前面20aと後面20bとはX方向(設定方向)と平行になっている。
そして、前面20aと後面20bとの間隔は、主基板10内部で伝搬する光束の抜けが発生しないように、設計者が計算式やシミュレーションソフト等を用いて主基板10内部に進行する画像表示光Lの光路と副基板20内部に進行する画像表示光Lの光路との差(ずれ)を考慮して決定した所定距離(厚さ)となっている。
【0033】
上記副基板の材料としては、硝子(BK7)や、樹脂(ポリカーボネートやポリメタクリル酸(PMMA)やシクロオレフィン等)等の光透過性材料が挙げられるが、製造のしやすさや温度に対する変化等の点から硝子が好ましく、使用時に壊れにくさ等の安全性の点からはポリカーボネートが好ましい。なお、上記主基板と上記副基板との材料として、屈折率や機械強度等が異なる硝種を組み合わせてもよいし、また、上記主基板を硝材製とし上記副基板をポリカーボネート製とするように、上記主基板と上記副基板とを異なる材料を組み合わせて形成してもよい。
【0034】
副ビームスプリッタ面30は、入射した画像表示光Lの光束の設定割合が反射するとともに、画像表示光Lの光束の設定割合が透過することが可能となっている。
上記副ビームスプリッタ面において光が反射及び透過する設定割合としては、主基板10内部で伝搬する光束の抜けを解消した範囲の明るさが、他の範囲の明るさとより均一になるように、設計者が計算式やシミュレーションソフト等を用いて設定した割合となっており、20%以上80%以下であることが好ましく、例えば50%等となる。
【0035】
そして、副ビームスプリッタ面30は、例えば、副基板20の後面20b上に光学コートにより形成されており、主基板10の前面10aと副基板20の後面20bとが接合されることが素子の固定が容易になる点で好ましく、更に、直接接合(オプティカルコンタクト、陽極接合、拡散接合、常温接合、熱接合、フッ酸接合等)されることで、主基板10の前面10aと副基板20の後面20bとの間に配置されることが、所定の屈折率の接着剤が不要になる点で好ましい。
なお、副ビームスプリッタ面30は、主基板10と副基板20とを異なる屈折率の材料の組み合わせにより発生する反射を用いて形成してもよいし、主基板10と副基板20との間を接着剤や空気や油等の媒体で充填し、その媒体の屈折率と主基板10、副基板20の屈折率との差により生じる反射を利用して形成してもよい。
【0036】
このような眼鏡型ディスプレイ1においては、まず、出射ユニット40からの表示領域の画像表示光Lを主基板10の内部に右面10cから入射させる。このとき、出射ユニット40からの画像表示光Lを右面10cから内部に右面10cと垂直方向から入射させ、かつ、右面10cは、出射ユニット40からの表示領域の画像表示光Lが略X方向(設定方向)へ進行するように入射させる。
【0037】
そして、前面10aと後面10bとは、表示領域の画像表示光Lを交互に複数回反射させながらX方向(設定方向)に進行させる。この際、進行する画像表示光Lが副ビームスプリッタ面30(前面10a)に到達することになるが、副ビームスプリッタ面30(前面10a)は、入射した画像表示光Lの光束の設定割合を反射させるとともに、画像表示光Lの光束の設定割合を透過させる。つまり、画像表示光Lが副ビームスプリッタ面30(前面10a)に到達した際には、設定割合の画像表示光Lの光束が主基板10の内部を進行するとともに、設定割合の画像表示光Lの光束が副基板20の内部に進行する。
【0038】
また、副基板20の内部に進行した画像表示光Lは、前面20aで反射した後、副ビームスプリッタ面30(前面10a)に到達する。そこで、副ビームスプリッタ面30(前面10a)は、入射した画像表示光Lの光束の設定割合を反射させるとともに、画像表示光Lの光束の設定割合を透過させる。つまり、設定割合の画像表示光Lの光束が、主基板10の内部に進行するとともに、設定割合の画像表示光Lの光束が、副基板20の内部を進行する。
【0039】
その後、主基板10内部を進行したり副基板20内部を進行したりした画像表示光Lが第一主ビームスプリッタ面11aに到達する。そこで、第一主ビームスプリッタ面11aは、入射した画像表示光Lの光束の所定割合を反射させるとともに、画像表示光Lの光束の所定割合を透過させる。つまり、画像表示光Laの光束を観察者に向かって導く。
【0040】
また、第一主ビームスプリッタ面11aを透過したり副基板20内部を進行したりした画像表示光Lは、第二主ビームスプリッタ面11bに到達する。そこで、第二主ビームスプリッタ面11bは、入射した画像表示光Lの光束の所定割合を反射させるとともに、画像表示光Lの光束の所定割合を透過させる。つまり、画像表示光Lbの光束を観察者に向かって導く。
【0041】
さらに、第一主ビームスプリッタ面11aを透過したり第二主ビームスプリッタ面11bを透過したり副基板20内部を進行したりした画像表示光Lは、第三主ビームスプリッタ面11cに到達する。そこで、第三主ビームスプリッタ面11cは、入射した画像表示光Lの光束の所定割合を反射させるとともに、画像表示光Lの光束の所定割合を透過させる。つまり、画像表示光Lcの光束を観察者に向かって導く。
【0042】
以上のように、本発明の眼鏡型ディスプレイ1によれば、画像表示光Lが、副ビームスプリッタ面30によって分岐・拡大されるため、主基板10内部を伝搬する光束が存在しない領域(抜け)の発生を防ぐことができる。また、副基板20が主基板10の前面10aに接合されているため、ライトガイドユニット100全体の強度が向上する。さらに、画像表示光LがX方向(設定方向)に進行する際に、主ビームスプリッタ面11a、11bを透過せず副基板20内部を通過する画像表示光Lが存在するので、第一主ビームスプリッタ面11aから外部に出射される光量と第三主ビームスプリッタ面11cから外部に出射される光量との差が小さくなり、明るさ(光量)を均一化することができる。
【0043】
<第二実施形態>
図8は本発明の眼鏡型ディスプレイ(表示装置)の概略構成及びXY平面における光路を示す図であり、
図9は
図8における光束の伝搬範囲を示す図である。なお、上述した眼鏡型ディスプレイ1と同様のものについては、同じ符号を付している。
眼鏡型ディスプレイ201は、眼鏡と似た外観をしており、画像表示光Lを出射する出射ユニット240と、出射ユニット240からの画像表示光Lを内部で反射させながら観察者の眼Eに導くライトガイドユニット(光学素子)200と、出射ユニット240とライトガイドユニット200とが取り付けられるフレーム部Fとを備える。
【0044】
ライトガイドユニット200は、主基板210と、副基板20と、副ビームスプリッタ面230とを備える。
【0045】
主基板210は、前面210aと、前面210aと−Y方向で対向する後面210bと、右面210cと、右面210cとX方向で対向する左面210dと、上面(図示せず)と、上面とZ方向で対向する下面(図示せず)とを有するとともに、内部に反射面212と
主ビームスプリッタ面11とが形成されている。前面210aと後面210bとはX方向(設定方向)と平行になっている。
【0046】
反射面212は、主基板210内部の右部に配置されており、X方向に対する角度は、Z方向から見ると角度βとなるように配置されている。反射面212は、銀コートが施され、入射した画像表示光Lの全光束をX方向(設定方向)に反射させるようになっている。なお、上記反射面は、銀コートに限らず、他の金属コート(例えばアルミコート)でも良いし、金属コートではなく、誘電体多層コートで形成しても良いし、上記反射面の右側を空気等の別の媒質とし、その屈折率差で生じる反射を利用しても良い。
【0047】
副ビームスプリッタ面230は、入射した画像表示光Lの光束の設定割合が反射するとともに、画像表示光Lの光束の設定割合が透過することが可能となっている。
そして、副ビームスプリッタ面230は、例えば、主基板210の前面210aの所定領域上に光学コートにより形成されており、主基板210の前面210aと副基板20の後面20bとが直接接合されることで、主基板210の前面210aの所定領域と副基板20の後面20bの所定領域との間に配置されている。
【0048】
このとき、副ビームスプリッタ面230が配置されている所定領域は、画像表示光Lが反射面212で反射し前面210aで反射し再び反射面212で反射しない位置となっている。これにより、反射面212で2回以上反射する画像表示光Lがなくなり、迷光の発生を防いでいる。
【0049】
出射ユニット240は、出射機構からの画像表示光Lを副基板20の前面20aから内部に前面20aと垂直方向から入射させるように配置されている。これにより、出射ユニット240からの画像表示光Lが前面20aから内部に前面20aと垂直方向から入射すると、主基板210の反射面212へ向かって進行するようになっている。
【0050】
このような眼鏡型ディスプレイ201においては、まず、出射ユニット240からの表示領域の画像表示光Lを副基板20の内部に前面20aから入射させる。このとき、出射ユニット240からの画像表示光Lを前面20aから内部に前面20aと垂直方向から入射させる。その後、入射した画像表示光Lが反射面212に到達し、反射面212は、表示領域の画像表示光Lを略X方向へと反射させる。
【0051】
そして、前面20aと後面210bとは、表示領域の画像表示光Lを交互に複数回反射させながらX方向(設定方向)に進行させる。この際、進行する画像表示光Lが副ビームスプリッタ面230に到達することになるが、副ビームスプリッタ面230は、入射した画像表示光Lの光束の設定割合を反射させるとともに、画像表示光Lの光束の設定割合を透過させる。つまり、画像表示光Lが副ビームスプリッタ面230に到達した際には、設定割合の画像表示光Lの光束が主基板210の内部を進行するとともに、設定割合の画像表示光Lの光束が副基板20の内部に進行する。
なお、反射面212で1回反射した画像表示光Lは、前面20aまたは副ビームスプリッタ面230で反射した後に、再度、反射面212に入射しないよう、副基板20の厚さや、副ビームスプリッタ面230の領域を設定している。
【0052】
また、副基板20の内部に進行した画像表示光Lは、前面20aで反射した後、副ビームスプリッタ面230に到達する。そこで、副ビームスプリッタ面230は、入射した画像表示光Lの光束の設定割合を反射させるとともに、画像表示光Lの光束の設定割合を透過させる。つまり、設定割合の画像表示光Lの光束が、主基板210の内部に進行するとともに、設定割合の画像表示光Lの光束が、副基板20の内部を進行する。
【0053】
その後、主基板210内部を進行したり副基板20内部を進行したりした画像表示光Lが第一主ビームスプリッタ面11aや第二主ビームスプリッタ面11bや第三主ビームスプリッタ面11cに到達する。そこで、第一主ビームスプリッタ面11aや第二主ビームスプリッタ面11bや第三主ビームスプリッタ面11cは、入射した画像表示光Lの光束の所定割合を反射させるとともに、画像表示光Lの光束の所定割合を透過させる。つまり、画像表示光La、Lb、Lcの光束を観察者に向かって導く。
【0054】
以上のように、本発明の眼鏡型ディスプレイ201によれば、反射面212の前に一定以上の厚さの副基板20が配置されているため、反射面212で2回以上反射する迷光(例えば、反射面212で反射された光束が前面20aで反射され、その光束が後面210bではなく再度反射面212で反射される光束等)をなくした上で、副ビームスプリッタ面230によって分岐・拡大されるため、主基板210内部を伝搬する光束が存在しない領域(抜け)の発生を防ぐことができる。また、副基板20が主基板210の前面210aに接合されているため、ライトガイドユニット200全体の強度が向上する。さらに、観察者がライトガイドユニット200を通して外界を見る領域に副ビームスプリッタ面230が入らないようにしたり、外界を見る領域と副ビームスプリッタ面230配置領域とを離すことで、観察者にとって副ビームスプリッタ面230を目立たなくさせる効果がある。
【0055】
<第三実施形態>
図10は本発明の受光装置の概略構成及びXY平面における光路を示す図である。なお、上述した眼鏡型ディスプレイ101と同様のものについては、同じ符号を付している。
受光装置401は、光を受光する受光ユニット(受光光学系)440と、外部からの光を内部で反射させながら受光ユニット440に導くライトガイドユニット(光学素子)100とを備える。
【0056】
受光ユニット440は、右面10cに対向するように配置されており、受光素子441と光学系42とを有する受光機構と、受光機構から信号が入力される制御部(図示せず)とを備える。
【0057】
このような受光装置401においては、まず、外部からの光を主基板10の内部に後面10bから入射させる。そして、光が第一主ビームスプリッタ面11aや第二主ビームスプリッタ面11bや第三主ビームスプリッタ面11cに到達する。そこで、第一主ビームスプリッタ面11aや第二主ビームスプリッタ面11bや第三主ビームスプリッタ面11cは、入射した光の光束の所定割合を略−X方向(設定方向)へ進行するように反射させるとともに、光の光束の所定割合を透過させる。
【0058】
そして、前面10aと後面10bとは、光を交互に複数回反射させながら−X方向(設定方向)に進行させる。この際、進行する光が副ビームスプリッタ面30(前面10a)に到達することになるが、副ビームスプリッタ面30(前面10a)は、入射した光の光束の設定割合を反射させるとともに、光の光束の設定割合を透過させる。つまり、光が副ビームスプリッタ面30(前面10a)に到達した際には、設定割合の光の光束が主基板10の内部を進行するとともに、設定割合の光の光束が副基板20の内部に進行する。
【0059】
また、副基板20の内部に進行した光は、前面20aで反射した後、副ビームスプリッタ面30(前面10a)に到達する。そこで、副ビームスプリッタ面30(前面10a)は、入射した光の光束の設定割合を反射させるとともに、光の光束の設定割合を透過させる。つまり、設定割合の光の光束が主基板10の内部に進行するとともに、設定割合の光の光束が副基板20の内部を進行する。
その後、主基板10内部を進行したり副基板20内部を進行したりした光が右面10cに到達する。そこで、右面10cから出射された光が受光ユニット440に導かれる。
【0060】
以上のように、本発明の受光装置401によれば、第一主ビームスプリッタ面11aや第二主ビームスプリッタ面11bや第三主ビームスプリッタ面11cに到達した全光束を受光することができる。よって、本発明の受光装置401によれば、センシング対象が光束中のどの領域に存在してもセンシングできる。
【0061】
<他の実施形態>
(1)上述した眼鏡型ディスプレイ1において、副ビームスプリッタ面30は、主基板10の前面10aと副基板20の後面20bとの間に配置される構成としたが、主基板10と副基板20の位置を入れ替えて、主基板10の後面10bと副基板20の前面20aとの間に配置されるような構成としてもよい。
図11は、本発明のライトガイドユニット(光学素子)の概略構成を示す図である。
【0062】
(2)上述した眼鏡型ディスプレイ1において、出射ユニット40からの画像表示光Lが、右面10cから主基板10内部に入射する構成としたが、副基板の右面から副基板内部に入射するような構成としてもよい。この場合、複雑な加工を1つの基板に集中することを回避できるため、制作性が向上する。また、透過型液晶表示器41の幅を小さくした場合、観察者のX方向の動きの範囲に対応するために、主基板内部の主ビームスプリッタ面の数を増やす必要がないので、制作性がよい。
図12は、本発明のライトガイドユニット(光学素子)の概略構成を示す図である。
【0063】
(3)上述した眼鏡型ディスプレイ1において、ライトガイドユニット100は、主基板10と副基板20と副ビームスプリッタ面30とを備える構成としたが、副基板を更に複数重ねて配置してもよい。この場合、光束の抜けを防止するために必要な副ビームスプリッタ面配置領域を更に狭くすることが可能となり、観察者がライトガイドを通して外界を見る領域に副ビームスプリッタ面が入らないようにしたり、外界を見る領域と副ビームスプリッタ面とを離すことで、観察者にとって副ビームスプリッタ面を目立たなくさせたりする効果が強くなる。また、より光量を均一化するという効果がある。さらに、主基板の片側のみでなく、主基板を挟むように基板を配置してもよい。
図13は、本発明のライトガイドユニット(光学素子)の概略構成を示す図である。
【0064】
(4)上述した眼鏡型ディスプレイ1において、ライトガイドユニット100は、主基板10と副基板20と副ビームスプリッタ面30とを備える構成としたが、所定領域のみに、副ビームスプリッタ面を介さずに副基板を更に重ねて配置してもよい。
光が副ビームスプリッタ面によって分岐・拡大されるため、同光路長で光束が合成されて干渉縞が発生する場合があるが、このようなライトガイドユニットによれば、光路ずれや、光束の可干渉距離を超える光路長差を形成することができ、その結果、干渉縞が発生することを防止することができる。
【0065】
(5)上述した眼鏡型ディスプレイ1において、副ビームスプリッタ面30は副基板20の後面20b上に形成して配置したが、主基板10の前面10a上に形成して配置してもよく、副基板20の後面20b上と主基板10の前面10a上との両方に形成して配置してもよい。
【0066】
(6)上述した眼鏡型ディスプレイ201において、主基板210に反射面212が形成されている構成としたが、副基板に反射面が形成されているような構成としてもよい。そして、出射機構からの画像表示光Lを主基板の後面から内部に入射させてもよい。
図14は、本発明のライトガイドユニット(光学素子)の概略構成を示す図である。
【0067】
(7)また、上述した実施形態では、ライトガイドユニット200を観察者に対し水平に配置した構成としたが、これに代えて、出射機構の配置等を考慮して、ライトガイドを観察者に対し斜めに配置し、ライトガイドへの光束の入射または出射を、垂直ではなく、ライトガイドに対して斜めにしてもよい。
図15は、本発明のライトガイドユニット(光学素子)の概略構成を示す図である。
【0068】
(8)また、上述した実施形態では、ライトガイドユニット100、200を眼鏡型ディスプレイに用いた構成としたが、これに代えて、観察者の位置にセンサ(撮像素子)を配置する構成としてもよい。