(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の不織布からなり、エアレイド法により形成されたエアレイドウェブをサーマルボンド法により結合させた不織布を含む、請求項1に記載のレーザ加工用補助シート。
前記生分解性繊維が非熱融着性生分解性繊維を含有し、該非熱融着性生分解性繊維がセルロース繊維を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のレーザ加工用補助シート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のレーザ加工用補助シートは、基材に該基材の一方の面側からレーザを照射して貫通孔を形成する際に、基材の他方の面側に配置されるものである。
レーザ照射により基材に貫通孔を開ける場合には、たとえば
図1に示すように、孔開け対象の基材10を作業台11上に載置し、基材10の一方の面(上面)側から、集光レンズ12により集光されたレーザLを照射する。レーザ加工用補助シート20は、このようなレーザ照射の間、基材10の他方の面(下面)側に配置される。図示例では、作業台11において基材10が載置される載置面11aと基材10との間に配置される。なお、この例の作業台11の載置面11aは、たとえば銅等の金属からなる保護板13により形成されている。保護板13には、一方の面から他方の面に貫通する図示略の多数の吸引穴が形成され、レーザ照射の間、基材10はこれらの多数の吸引穴を通じて作業台11上に吸引保持される。
レーザLとしては、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ等が挙げられる。基材としてはスルーホール等の貫通孔が形成される基材であれば特に制限はなく、たとえば、エポキシ樹脂層を2枚の銅箔で挟持した構成の銅張積層板等、2層以上の銅箔層と1層以上の樹脂層とを有する銅張積層板等が挙げられる。
【0011】
該レーザ加工用補助シート(以下、「補助シート」ともいう。)20は、このように基材10に対してレーザ照射される側とは反対側に配置され、形成された貫通孔を通り抜けたレーザを吸収する。これにより、形成された貫通孔を通り抜けたレーザが、基材10の他方の面側に位置する物品(この例では、載置面11aを構成する保護板13。)の表面で乱反射されることが抑制される。そのため、乱反射したレーザが基材10の他方の面側に照射され、既に形成された貫通孔の周縁を意図せずに加工することを防止でき、孔径のバラツキのない貫通孔を形成できる。
【0012】
補助シート20は、生分解性繊維を主成分とする原料繊維から形成された織布、不織布、織布と不織布との積層材のうちのいずれかからなる。
不織布は複数層の不織布が積層したものでもよく、織布は複数層の織布が積層したものでもよい。織布と不織布との積層材は、1層以上の織布と1層以上の不織布とで形成される積層材である。積層数は織布と不織布がそれぞれ1層以上であれば特に制限はない。また積層順にも特に制限はない。
織布および不織布は、適度な通気性を備えている。そのため、織布、不織布、織布と不織布との積層材のいずれかからなる補助シート20は、作業台11の載置面11aと基材10との間に配置されても、基材10の吸引保持を妨げることがない。
【0013】
また、補助シート20を形成する原料繊維の主成分が生分解性繊維であると、基材10にレーザを照射して貫通孔を形成した場合に、補助シート20に由来するカスが生成し、形成された貫通孔の内部や周縁に付着したとしても、該カスは強アルカリ性溶液に溶解する。そのため、強アルカリ性溶液を用いた基材洗浄工程で容易に除去できる。
補助シート20に由来するカスは、レーザ照射により基材10に貫通孔を形成した場合に、形成された貫通孔を通り抜けたレーザが補助シート20に到達し、補助シート20の一部を溶融させることにより生成する。このようなカスは、レーザ照射後に行われる強アルカリ性溶液を用いた基材洗浄工程で容易に除去できれば、生成自体は問題ない。強アルカリ性溶液を用いた基材洗浄工程は、元々、基材10に含まれる成分(たとえばエポキシ樹脂等の樹脂。)が溶解するなどして生じた、基材由来のカスを除去するための工程である。補助シート20に由来するカスも、基材由来のカスを除去するための既存の基材洗浄工程で除去できれば、補助シート20に由来するカスを除去するための工程を別途行う必要がなく好ましい。強アルカリ性溶液としては、過マンガン酸ナトリウムと水酸化ナトリウムが溶解した水溶液等が挙げられる。
【0014】
補助シート20を構成する原料繊維は、生分解性繊維を主成分とする。主成分とは、50質量%を超えて含まれる成分であり、この場合、原料繊維中の生分解性繊維の含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。原料繊維中の生分解性繊維の含有量が上記であれば、レーザ照射により補助シート20に由来するカスが生成しても、強アルカリ性溶液を用いた基材洗浄工程で該カスを容易に除去できる。原料繊維が、生分解性繊維以外の他の繊維を含む場合、該繊維としては、レーザ照射により溶融しにくいためにカスを生じにくい、金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等が挙げられる。
【0015】
補助シート20を形成する原料繊維の主成分である生分解性繊維としては、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)、ポリカプロラクトン、ポリ(カプロラクトン/ブチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリグリコール酸、セルロース、酢酸セルロース等の生分解性材料からなる繊維が挙げられる。
生分解性繊維を構成する生分解性材料は、1種以上が使用される。2種以上である場合、生分解性繊維は、異なる生分解性材料からなる2種以上の繊維の混合物であっても、2種以上の生分解性材料を複合化した複合繊維であってもよい。また、種類は同じであっても、分子量等の異なる2種以上の材料の混合物、複合繊維等であってもよい。
複合繊維の繊維形態としては、サイドバイサイド型構造、芯鞘型構造などが挙げられる。芯鞘型構造は、同芯芯鞘型構造でも偏芯芯鞘型構造でもよい。
【0016】
生分解性繊維は、加熱することにより少なくともその一部が溶融し、繊維同士を結合させるバインダー成分として作用する熱融着性生分解性繊維と、該熱融着性生分解性繊維の少なくとも一部が溶融する温度に加熱しても溶融しない、非熱融着性生分解性繊維とに分類できる。
補助シート20を形成する原料繊維の主成分である生分解性繊維は、熱融着性生分解性繊維のみから構成されても、非熱融着性生分解性繊維のみから構成されても、熱融着性生分解性繊維と非熱融着性生分解性繊維とから構成されてもよく、補助シート20の形態に応じて選択できる。
【0017】
補助シート20が不織布からなる場合、不織布としては、どのような製造方法で製造されたものでも使用できる。たとえば、サーマルボンド法により原料繊維同士が結合した不織布を使用でき、その場合には、原料繊維の主成分である生分解性繊維は、バインダー成分として作用する熱融着性生分解性繊維を少なくとも含有する必要がある。また、補助シート20としては、たとえば、水流交絡法(スパンレース法)により原料繊維同士が結合した不織布等、サーマルボンド法以外の方法で原料繊維同士が結合した不織布も使用でき、その場合には、原料繊維の主成分である生分解性繊維は、熱融着性生分解性繊維を含有する必要がなく、非熱融着性生分解性繊維のみから構成されていてよい。具体例としては、生分解性繊維であるレーヨン繊維を主成分とする原料繊維が、水流交絡法(スパンレース法)により結合した不織布、ニードルパンチ法により結合した不織布等が挙げられる。
【0018】
また、たとえば補助シート20が、織布からなる場合にも、原料繊維の主成分である生分解性繊維は、熱融着性生分解性繊維を含有する必要がなく、非熱融着性生分解性繊維のみから構成されていてよい。補助シート20として用いられる織布としては、公知の織機を用いた方法により製造される平織、朱子織、綾織等の織布が挙げられる。
【0019】
熱融着性生分解性繊維を構成する材質としては、先に例示した生分解性材料のうち、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)、ポリカプロラクトン、ポリ(カプロラクトン/ブチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリグリコール酸、酢酸セルロース等の生分解性樹脂が好ましい。
熱融着性生分解性繊維を構成する生分解性樹脂は、1種以上が使用される。2種以上である場合、熱融着性生分解性繊維は、異なる生分解性樹脂からなる2種以上の繊維の混合物であっても、2種以上の生分解性樹脂を複合化した複合繊維であってもよい。また、種類は同じであっても、分子量等の異なる2種以上の樹脂の混合物、複合繊維であってもよい。
複合繊維の繊維形態としては、サイドバイサイド型構造、芯鞘型構造などが挙げられる。芯鞘型構造は、同芯芯鞘型構造でも偏芯芯鞘型構造でもよい。
【0020】
なかでも、熱融着性生分解性繊維としては、不織布の保型性に優れる点等から、複合繊維を用いることが好ましい。複合繊維としては、高融点(たとえば170℃程度。)のポリ乳酸からなる芯の外側に、低融点(たとえば130℃程度。)のポリ乳酸が鞘として配置された芯鞘型構造のポリ乳酸(PLA)複合繊維、ポリ乳酸からなる芯の外側に、ポリ乳酸よりも低融点のポリブチレンサクシネート(PBS)が鞘として配置された芯鞘型構造のPLA/PBS複合繊維等が好ましい。このような芯鞘型構造の複合繊維においては、鞘を構成する樹脂の少なくとも一部が補助シートの製造工程における加熱により溶融することで、バインダー作用を発揮する。
【0021】
非熱融着性生分解性繊維としては、セルロース繊維が挙げられる。
セルロース繊維としては、パルプ繊維、レーヨン繊維、キュプラ繊維、コットン繊維等が挙げられる。なかでもパルプ繊維は、コストの点等からは好ましい。レーヨン繊維は、繊維長が短いパルプ繊維を用いた場合には採用することが困難なスパンレース法等で、不織布を製造できる点で好ましい。
【0022】
パルプ繊維としては、木材パルプ(針葉樹、広葉樹)、ラグパルプ、リンターパルプ、リネンパルプ、楮・三椏・雁皮パルプなどの非木材パルプ、古紙パルプなどの原料パルプから得られたものが例示できる。また、原料パルプとしては、機械パルプ(GP、RGP、TMPなど。)、化学パルプ(亜硫酸パルプ、クラフトパルプなど。)のいずれも使用できる。なかでも、パルプ繊維としては、原料パルプを解砕した低密度のフラッフパルプが好ましい。
【0023】
補助シート20の形態としては、上述のとおり、織布、不織布、織布と不織布との積層材があるが、製造しやすい点、嵩密度、厚さなどを調整しやすく、そのため、適度な通気性を有し、かつ、作業台11の表面でのレーザの乱反射を効果的に防止できる補助シート20が得られやすい点から、不織布が好ましい。また、不織布としては、上述のとおり、どのような製造方法で製造されたものでも使用できるが、熱融着性生分解性繊維を含む生分解性繊維を用いたサーマルボンド法により原料繊維同士が結合した不織布は、製造しやすい点、保型性に優れる点、嵩密度、厚さなどを調整しやすく、そのため、適度な通気性を有し、かつ、作業台11の表面でのレーザの乱反射を効果的に防止できる補助シート20がより得られやすい点から好ましい。また、たとえばレーヨン繊維等の非熱融着性生分解性繊維が水流交絡法により結合した不織布は、製造しやすい点で好ましい。補助シート20は、1層からなるものでも、2層以上からなるものでもよく、不織布からなる補助シート20としては、1層の不織布からなる形態、2層以上の不織布からなる形態が挙げられる。
【0024】
補助シート20は、該補助シート20を作業台11の載置面11aと基材10との間に配置した場合に、基材10を載置面11aに吸引保持できる程度の通気性を有する。補助シートの通気性は、JIS L1096のA法に基づくフラジール通気度Q(cc/cm
2・sec)として、0.5〜30.0(cc/cm
2・sec)が好ましく、1.0〜20.0(cc/cm
2・sec)がより好ましい。フラジール通気度Qが上記範囲の下限値以上であれば、基材10の吸引保持を確実に行える。上記範囲の上限値以下であれば、作業台11の表面(載置面)でのレーザの乱反射を確実に防止して、形成される貫通孔の孔径のバラツキを抑制できる。
【0025】
補助シート20の厚さは、該補助シート20に要求される耐用回数、レーザの照射条件、通気性等に応じて、適宜設定される。たとえば、補助シートが1回の使用ごとに廃棄されるものである場合には、ノギスにより測定される補助シート20の厚さは、0.1mm以上であることが好ましい。一方、補助シート20が複数回使用されてから廃棄されるものである場合には、たとえば1.0mm以上が好ましく、1.2mm以上がより好ましい。厚さが大きくなり過ぎると、補助シート20の通気性が低下し、そのため、補助シート20を作業台11の載置面11aと基材10との間に配置した場合に、基材10の吸引保持を妨げる可能性が生じる。そのため、補助シート20の厚さは、たとえば5.0mm以下が好ましく、3.0mm以下がより好ましい。
補助シート20の坪量は、100〜1000g/m
3が好ましく、300〜800g/m
3がより好ましい。
補助シート20の見かけ密度は、測定された厚さと坪量から計算により求められる。
【0026】
なお、補助シートが1層からなる場合、補助シートの厚さとは該1層の厚さであり、2層以上からなる場合、補助シートの厚さとは全ての層の合計厚さである。また、1層からなる場合、補助シートの坪量とは該1層の坪量であり、2層以上からなる場合、補助シートの坪量とは全ての層の合計坪量である。
【0027】
補助シート20には、難燃剤が含まれることが好ましい。難燃剤の種類としては、有機難燃剤(例えば塩素系、臭素系)、無機系難燃剤等の公知の難燃剤を使用できる。難燃剤の形態としては、粉体状、液状等、いかなる形態のものも使用できる。
具体的な難燃剤としては、リン酸グアニジン系、リン酸カルバメート系、リン酸アンモニウム系、リン酸メラミン系、ホスファゼン系等のリン・窒素系縮合物等が挙げられる。
また、スルファミン酸グアニジン等の、リン酸グアニジン以外のグアニジン系難燃剤も挙げられる。
【0028】
粉体状の難燃剤の添加方法としては、補助シートを形成する原料繊維に予め混在させる方法等が採用できる。たとえば、不織布を製造する際のウェブの形成方法として、繊維を3次元的にランダムに積層させるエアレイド法を採用する場合には、該エアレイド法によりウェブを形成する際に、原料繊維と粉体状の難燃剤とを混合した混合物を積層させる方法が挙げられる。
このような添加法に用いられる粉体状の難燃剤としては、たとえば、リン・窒素系縮合物からなる難燃剤が好ましい。該難燃剤は、炎の温度でリンが溶け始め、繊維表面への被覆作用により、酸素と遮断、さらにチッソガスで酸素の希薄化を促進させる機構により難燃作用を奏する。
【0029】
液状の難燃剤を使用する場合には、原料繊維、不織布または織布に対して噴霧する方法;液状の難燃剤中に不織布、織布を浸漬する方法;等が挙げられる。
このような添加法に用いられる液状の難燃剤としては、たとえば、後述するグアニジン系難燃剤を含む難燃剤溶液等が挙げられる。
また、不織布を構成する繊維に、あらかじめ難燃剤を練り込んでおいてもよい。
【0030】
補助シート20が難燃剤を含有すると、補助シート20を作業台11の載置面11aと基材10との間に配置して、基材10に対してレーザ照射を行った場合に、仮にレーザのエネルギーに起因して出火しても、補助シート20への延焼を抑制できる。補助シート20は、たとえばUL94HBF(難燃性試験)に合格する難燃性を有することが好ましい。
【0031】
補助シート20中の難燃剤の含有量は、難燃剤の種類に応じて適宜設定できるが、補助シート20の質量を100質量%とした場合に、たとえば3〜15質量%程度である。
なお、難燃剤が溶解した溶液を用いる場合には、難燃剤の含有量とは、難燃剤の正味量である。
【0032】
補助シート20は、上述のとおり、1層からなるものでも、2層以上からなるものでもよいが、たとえば補助シート20に難燃剤を含有させる場合には、難燃剤の使用量を低減しつつ、効果的に難燃性を付与できる点等から、補助シートは少なくとも2層からなることが好ましい。複数層の不織布からなる補助シートであれば、最表面に位置する2層のうちの少なくとも1層に難燃剤を含有させ、それ以外の層には難燃剤を含有させない形態を採用できる。難燃剤は、少なくとも表面側に存在していれば、その表面側からの延焼を防止できる。そのため、最表面に位置する2層のうちの少なくとも1層に難燃剤を含有させることで、少ない難燃剤の使用量、たとえば、補助シート中の難燃剤の含有量として3〜6質量%程度で、難燃性を得ることができる。複数の各層は、いずれも、生分解性繊維を主成分とする原料繊維により形成される。
【0033】
補助シート20は、作業台11の載置面11aと基材10との間に配置された場合に、難燃剤を含む層が基材10に接触するように配置される。すなわち、最表面に位置する2層のうち、1層のみに難燃剤を含有させた際には、その層が基材10に接触するように、補助シート20を作業台11上に配置する。最表面に位置する2層に難燃剤を含有させた際には、補助シート20は、どちらの層が基材10に接触するように配置されてもよい。
なお、補助シートが2層以上からなる場合、最表面に位置する層以外の層には、難燃剤を含ませても含ませなくてもよく、要求される難燃性に応じて選択できる。
【0034】
補助シート20が複数層の不織布からなる場合の具体的な形態としては、エアレイド法により形成されたエアレイドウェブをサーマルボンド法により結合させた不織布を中層として有し、該中層の少なくとも一方の面側に、不織布からなる表面層が設けられた、2層構成または3層構成の形態が好ましい。表面層は難燃剤を含むことが好ましい。
エアレイド法は、製造しやすく、製造する不織布の嵩密度、厚さなどを調整しやすく、そのため、適度な通気性を有し、かつ、作業台11の表面でのレーザの乱反射を効果的に防止できる補助シート20をより製造しやすい。中層を構成するエアレイドウェブは、熱融着性生分解性繊維のみから構成されていてもよいが、補助シートとして充分な厚さを有する補助シートが得られやすい点等から、熱融着性生分解性繊維と、非熱融着性生分解性繊維とからなることが好ましい。
【0035】
この例のように、サーマルボンド法により繊維を結合させる場合には、生分解性繊維中の熱融着性生分解性繊維の含有量は、繊維を充分に結合させる点から、5質量%以上であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましい。生分解性繊維中の熱融着性生分解性繊維の含有量は、100質量%であってもよいが、上述のように、生分解性繊維は非熱融着性生分解性繊維を含有することが好ましい。生分解性繊維が、熱融着性生分解性繊維と非熱融着性生分解性繊維とからなる場合、生分解性繊維中の熱融着性生分解性繊維の含有量は、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。
【0036】
すなわち、熱融着性生分解性繊維と非熱融着性生分解性繊維との合計量中、熱融着性生分解性繊維の含有量は、5質量%以上であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましく、非熱融着性生分解性繊維の含有量は、95質量%以下であることが好ましく、92質量%以下であることが好ましい。また、熱融着性生分解性繊維の含有量は、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、非熱融着性生分解性繊維の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。
【0037】
各表面層の厚さは、補助シート20の厚さを100%とした場合に、5〜50%であることが好ましく、10〜40%であることがより好ましい。上記範囲の下限値以上であれば、表面層に難燃剤を添加することにより、充分な難燃性を補助シートに付与しやすい。
上記範囲の上限値以下であれば、過剰な量の難燃剤の添加を抑制できる。
中層には、難燃剤を添加しなくてもよいが、より高い難燃性が求められる場合等には、必要に応じて中層にも難燃剤を添加してよい。
各表面層の坪量は、補助シート20の坪量を100%とした場合に、2〜50%であることが好ましく、5〜40%であることがより好ましい。
【0038】
また、各表面層の厚さが、特に好ましくは補助シート20の厚さの30%以下であれば、表面層を構成する不織布は薄いため、該不織布が生分解性を有しないバインダー樹脂ラテックスを用いたケミカルボンド法により、繊維同士が結合したものであったとしても、補助シート全体に占めるこれらのバインダー樹脂の量は少量となる。具体的には、表面層に含まれる該バインダー樹脂の、補助シート100質量%中に占める割合は、通常、5質量%以下である。そのため、これらのバインダー樹脂が表面層に含まれる補助シートを用いてレーザ照射を行っても、バインダー樹脂のカスが基材の貫通孔の内部や周縁に付着することはほとんどなく、仮に付着したとしても、強アルカリ性溶液による洗浄で容易に除去できる。
生分解性を有しないバインダー樹脂ラテックスとしては、たとえばエチレン・酢酸ビニル共重合体ラテックス、ブタジエン系共重合体ラテックス等が挙げられる。
【0039】
表面層を構成する不織布としては、上述のような、生分解性を有しないバインダー樹脂ラテックスによるケミカルボンド法により繊維同士が結合した不織布の他、スパンレース法により繊維同士が結合したスパンレース不織布、ニードルパンチ法で繊維同士を絡めて結合させる不織布等も使用できる。
【0040】
補助シート20が、中層の少なくとも一方の面側に、難燃剤が添加された不織布からなる表面層が設けられた2層構成または3層構成である場合には、表面層に添加する難燃剤として、先にリン・窒素系縮合物として例示したリン酸グアニジンや、スルファミン酸グアニジン等のグアニジン系難燃剤を少なくとも使用することが好ましい。グアニジン系難燃剤は、熱により粘着性を呈する性質を有する。そのため、表面層にグアニジン系難燃剤を含有させることにより、表面層と中層とを接着させるための接着剤を別途使用しなくても、表面層に含まれるグアニジン系難燃剤が加熱された粘着性を呈することにより、表面層と中層とを接着させることができる。仮に、接着剤として一般的なポリオレフィン粉末、PET粉末等を使用すると、これらは、レーザ照射により、強アルカリ性溶液では除去できないカスを生成してしまう。グアニジン系難燃剤は、たとえば、中層に含まれるバインダー成分(熱融着性生分解性繊維)を加熱する際の加熱により、粘着性を呈する。
【0041】
表面層をなす不織布にグアニジン系難燃剤を付与する方法としては、特に制限はなく、難燃剤の形態(粉体状、液状等。)に応じて、先に例示した方法等を採用できる。たとえば、エアレイド法により得られたエアレイドウェブに対して、バインダー樹脂ラテックスを噴霧する方法で表面層をなす不織布を製造する場合に、バインダー樹脂ラテックス中にグアニジン系難燃剤を添加して、バインダー樹脂とともにグアニジン系難燃剤を付与する方法等が挙げられる。
【0042】
なお、表面層に添加する難燃剤として、グアニジン系難燃剤以外の難燃剤を使用する場合には、中層に含まれる熱融着性生分解性繊維の作用により、表面層を中層に接着させることも可能である。
【0043】
エアレイド法により形成されたエアレイドウェブをサーマルボンド法により結合させた不織布を中層として有し、該中層の両方の面側に、難燃剤が添加された不織布からなる表面層が設けられた3層構成の補助シートは、たとえば以下のように製造できる。
【0044】
まず、表面層をなす不織布を製造する。
該不織布が、エアレイドウェブに対して、ケミカルボンド法により繊維を結合させたものである場合には、まず、エアレイド法のウェブフォーミング機に、生分解性繊維(たとえば、非熱融着性生分解性繊維であるパルプ繊維等のセルロース繊維。)を主成分とする表面層形成用繊維を供給する。ここでの供給量を調整することにより、表面層をなす不織布の坪量等を調整できる。
ついで、該表面層形成用繊維を空気中で均一に混合、解砕しつつ、サクションボックス上を走行するメッシュコンベア上に吸気流とともに下降させて落下堆積させることにより、エアレイドウェブを形成する。ついで、該エアレイドウェブの両面に対して、例えばエチレン・酢酸ビニル共重合体ラテックス、ブタジエン系共重合体ラテックス等の生分解性を有しないバインダー樹脂ラテックスにグアニンジン系難燃剤等の難燃剤を添加した液を噴霧し、バインダー樹脂と難燃剤とを付与し、乾燥する。これにより、表面層をなす難燃剤入りの不織布が得られる。バインダー樹脂ラテックスの種類は、エアレイドウェブの一方の面と他方の面とで、同じであっても異なっていてもよい。
【0045】
表面層をなす不織布が、スパンレース法により繊維を結合させたものである場合には、公知のスパンレース不織布製造装置により、上述の表面層形成用繊維を高圧水により絡みあわせ、不織布を形成する。ついで、形成された不織布に対して難燃剤を含む液を噴霧したり、形成された不織布を難燃剤を含む液に含浸したりすることにより、表面層をなす不織布が得られる。また、あらかじめ難燃剤を練り込んだレーヨン等の繊維を用い、スパンレース法により繊維を結合させてもよい。
【0046】
次いで、サクションボックス上を走行するメッシュコンベア上に、上述のようにして得られた表面層をなす不織布を繰り出す。一方、エアレイド法のウェブフォーミング機に、熱融着性生分解性繊維を少なくとも含み、好ましくは熱融着性生分解性繊維と、非熱融着性繊維とからなる生分解性繊維(たとえば、芯鞘型構造の熱融着性生分解性繊維と、パルプ繊維等のセルロース繊維からなる非熱融着性生分解性繊維との混合物。)を主成分とする中層形成用繊維を供給する。ここでの供給量を調整することにより、中層をなす不織布の坪量等を調整できる。また、中層に難燃剤を添加する場合には、中層形成用繊維中に、粉体状の難燃剤を混合することができる。また、ここで、熱融着性生分解性繊維と非熱融着性生分解性繊維との合計量中における熱融着性生分解性繊維の含有量は、先に説明した範囲が好ましい。
ついで、該中層形成用繊維と必要に応じて添加された難燃剤とを空気中で均一に混合、解砕しつつ、メッシュコンベア上に吸気流とともに下降させて落下堆積させることにより、表面層をなす不織布上にエアレイドウェブを形成する。ついで、該エアレイドウェブの上に、別途、表面層をなす不織布を繰り出して積層する。
【0047】
そして、この3層積層体を熱風乾燥機等の乾燥機に導き、加熱する。これにより、中層形成用繊維に用いた熱融着性生分解性繊維の少なくとも一部が溶解し、中層の繊維同士が結合する。また、表面層をなす不織布に、難燃剤としてグアニンジン系難燃剤を使用した場合には、乾燥機での加熱によりグアニジン系難燃剤が粘着性を呈し、中層と表面層とが該粘着性により接着する。
これにより、中層をなす不織布の両方の面側に、難燃剤が添加された不織布からなる表面層が設けられた3層構成の補助シートが得られる。
なお、乾燥機での加熱後には、補助シートをプレスロールを通過させ、補助シートの厚さ、見かけ密度等を調整することが好ましい。
【0048】
中層と1層の表面層とからなる2層構成の補助シートを製造する場合には、表面層をなす不織布上に形成されたエアレイドウェブ上に、上記方法では表面層をなす不織布を繰り出したが、代わりに、ティッシュペーパー等の透気性キャリアシートを繰り出す。そして、乾燥機、プレスロールに順次導いた後、透気性キャリアシートを剥離すればよい。
【0049】
1層からなる補助シートを製造する場合には、サクションボックス上を走行するメッシュコンベア上に、ティッシュペーパー等の透気性キャリアシートを繰り出す。一方、エアレイド法のウェブフォーミング機に、熱融着性生分解性繊維を少なくとも含み、好ましくは熱融着性生分解性繊維と、非熱融着性繊維とからなる生分解性繊維(たとえば、芯鞘型構造の熱融着性生分解性繊維と、パルプ繊維等のセルロース繊維からなる非熱融着性生分解性繊維との混合物。)を主成分とする原料繊維を供給する。ここでの供給量を調整することにより、補助シートの坪量等を調整できる。また、補助シートに難燃剤を添加する場合には、原料繊維中に、粉体状の難燃剤を混合することができる。また、ここで、熱融着性生分解性繊維と非熱融着性生分解性繊維との合計量中における熱融着性生分解性繊維の含有量は、先に説明した範囲が好ましい。
ついで、該原料繊維と必要に応じて添加された難燃剤とを空気中で均一に混合、解砕しつつ、メッシュコンベア上に吸気流とともに下降させて落下堆積させることにより、透気性キャリアシート上にエアレイドウェブを形成する。ついで、該エアレイドウェブの上にも、別途、透気性キャリアシートを繰り出して積層する。
【0050】
そして、この3層積層体を熱風乾燥機等の乾燥機に導き、加熱する。これにより、原料繊維に用いた熱融着性生分解性繊維の少なくとも一部が溶解し、原料繊維同士が結合する。ついで、これを乾燥機、プレスロールに順次導き、最後に2枚の透気性キャリアシートを剥離する。これにより、1層の不織布からなる補助シートが得られる。
なお、補助シートは、強アルカリ性溶液による洗浄に悪影響を与えない範囲内であれば、たとえば、ティッシュペーパー等からなる層をさらに有していてもよい。
【0051】
本発明において、補助シート20を製造するために使用される各繊維の繊維長は、補助シートの形態、製造方法等に応じて適宜選択できる。たとえば、補助シート20の形態が織布である場合には、連続繊維(長繊維)を用いる。ウェブ形成方法としてエアレイド法を採用する不織布の場合には、繊維長は2〜10mmが好ましい。スパンレース法による不織布の場合には、繊維長は40〜80mmが好ましい。
また、繊維の繊度にも特に制限はなく、1.7〜56dtex程度の繊度であればよいが、熱融着性生分解性繊維の繊度は2.2〜3.3dtexが好ましく、非熱融着性生分解性繊維の繊度は20〜40dtexが好ましい。
なお、本明細書において、繊維長は、任意に選択した50本の繊維をサンプルとし、これらについて電子顕微鏡観察により測定した長さの平均値である。
繊度は、単位「dtex(デシテックス)」で表す。1dtexとは、長さ10000mで1gの重さの糸の太さである。
【0052】
以上説明したように、本発明の補助シートによれば、作業台と基材との間に配置されて、作業台の表面でのレーザの乱反射を防止して孔径のバラツキを抑制できる。また、織布、不織布、織布と不織布との積層材からなるため適度な通気性を有し、基材の作業台上への吸引保持を妨げない。また、生分解性繊維を主成分とする原料繊維により形成されたものであるため、レーザ照射により生じたカスは強アルカリ性溶液に溶解し、既存の基材洗浄工程により容易に除去できる。
【実施例】
【0053】
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。
<実施例1>
(表面層用の不織布の製造)
エアレイド法のウェブフォーミング機に、非熱融着性生分解性繊維であるパルプ繊維を供給し、該パルプ繊維を空気中で均一に混合しつつ解砕し、サクションボックス上を走行するメッシュコンベア上に吸気流とともに下降させて落下堆積させることにより、パルプ繊維からなるエアレイドウェブを形成した。
ついで、該エアレイドウェブの一方の面に、難燃剤であるリン酸グアニジン(三和ケミカル社製「アピノン307(商品名)」)を添加したエチレン・酢酸ビニル共重合体ラテックスを噴霧し、他方の面に上述のリン酸グアニジンを添加したブタジエン系共重合体ラテックスを噴霧した。その後、これを熱風乾燥機で乾燥した。
このようにして、エアレイドウェブの繊維をケミカルボンド法で結合させた、厚さ1.0mm、坪量55g/m
2の難燃性の表面層用の不織布(難燃性パルプ繊維エアレイド不織布)を得た。該不織布中の難燃剤の含有量は18.5質量%、パルプ繊維の含有量は62.3質量%、エチレン・酢酸ビニル共重合体の含有量は10.5質量%、ブタジエン系共重合体の含有量は8.7質量%であった。
【0054】
(補助シートの製造)
上述のようにして得られた表面層用の不織布をサクションボックス上を走行するメッシュコンベア上に繰り出した。一方、エアレイド法のウェブフォーミング機に、非熱融着性生分解性繊維であるパルプ繊維と、熱融着性生分解性繊維である芯鞘構造型のポリ乳酸(PLA)複合繊維(ユニチカ社製「テラマック(商品名)」、繊度2.2dtex、繊維長5mm、芯(ポリ乳酸)の融点170℃、鞘(ポリ乳酸)の融点130℃)とを表1の中層の欄に示す混合比率(質量比)で供給し、空気中で均一に混合、解繊して、メッシュコンベア上に吸気流とともに下降させて落下堆積させた。これにより、表面層用の不織布上にエアレイドウェブ(中層)を形成した。さらに、該エアレイドウェブ上に、表面層用の不織布を繰り出し、3層積層体を得た。
ついで、この3層積層体を熱風乾燥機に導き、130℃以上に加熱した。ついで、これをプレスロールに通し、表1に示す坪量、厚さ、見掛け密度の3層構成の補助シートを製造した。なお、表1に記載の補助シートの厚さ、各層の厚さは、いずれもプレスロール後の数値である。表面層用の不織布は、元々は厚みが1.0mmであるが、プレスロールに通し、補助シートの形態にした後には、0.3mmに圧縮される。
【0055】
得られた補助シートについて、難燃性を評価したところ、UL94HBF(難燃性試験)に合格した。また、補助シートのJIS L1096のA法に基づくフラジール通気度Q(cc/cm
2・sec)を測定した。結果を表1に示す。
【0056】
また、得られた補助シートを
図1のように配置して、基材(厚さ200μmのエポキシ樹脂層を厚さ8μmの2枚の銅箔で挟持した構成の銅張積層板。)に対して炭酸ガスレーザを照射し、貫通孔を形成した。貫通孔は、基材の30mm×30mmのエリアに、ピッチ0.5mmおよびピッチ0.2mmで多数形成した。
ついで、貫通孔が形成された後の基材に対して、強アルカリ性溶液による基材洗浄工程を行った。強アルカリ性溶液としては、過マンガン酸ナトリウム(濃度60g/L)と水酸化ナトリウム(濃度40g/L)が溶解した80℃の溶液を用い、該溶液中において、基材を2m/minの搬送速度で2分間水平搬送することで(条件1)、基材洗浄工程を行った。その結果、すべての貫通孔の内部および周縁において、カスの付着は認められなかった。また、基材の搬送速度を1m/minとし4分間水平搬送した場合(条件2)と、70℃の強アルカリ性溶液に7分間浸漬したバッチ式を採用した場合(条件3)のいずれにおいても、すべての貫通孔の内部および周縁においてカスの付着は認められなかった。
また、基材に形成された貫通孔の孔径を測定したところ、ピッチ0.5mmおよびピッチ0.2mmのいずれにおいても、貫通孔の孔径(補助シートに接触した面側の孔径。)にはバラツキが認められなかった。
【0057】
なお、基材洗浄工程の前には、ブチルカルビトールを含む弱アルカリ性薬品による膨潤処理を行った。また、基材洗浄工程の後には、硫酸ヒドロキシルアミンによる中和処理、過硫酸ナトリウムによる銅箔のエッチング処理を行った。
【0058】
<実施例2>
熱融着性生分解性繊維として、ポリ乳酸複合繊維に代えて、芯がポリ乳酸、鞘がポリブチレンサクシネートからなる芯鞘型構造の複合繊維(ダイワボウポリテック社製、「NBF(KK)−PL(商品名)」、繊度3.3dtex、繊維長5mm、芯の融点170℃、鞘の融点110℃)を使用した以外は、実施例1と同様にして、表1に示す坪量、厚さ、見掛け密度の補助シートを得て、実施例1と同様の測定、評価を行った。
その結果、補助シートは、UL94HBF(難燃性試験)に合格する難燃性を有していた。
補助シートのJIS L1096のA法に基づくフラジール通気度Q(cc/cm
2・sec)については、表1に示す。
また、貫通孔が形成された後の基材に対して、強アルカリ性溶液による基材洗浄工程を行ったところ、条件1、条件2、条件3のいずれの場合にも、実施例1と同様に、すべての貫通孔の内部および周縁において、カスの付着は認められなかった。また、基材に形成された貫通孔の孔径を測定したところ、実施例1と同様に、ピッチ0.5mmおよびピッチ0.2mmのいずれにおいても、各貫通孔の孔径(補助シートに接触した面側の孔径。
)にはバラツキが認められなかった。
【0059】
<実施例3>
表面層用不織布として、レーヨン繊維(ダイワボウレーヨン社製、「DFG(商品名)」、繊度1.7dtex)を用いスパンレース法により製造され、難燃剤が添加された不織布(難燃性レーヨン繊維スパンレース不織布)を使用した以外は、実施例1と同様にして、表1に示す坪量、厚さ、見掛け密度の補助シートを得て、実施例1と同様の測定、評価を行った。なお、表面層用不織布は、厚さ1.0mm、坪量200g/m
2、該不織布中の難燃剤の含有量は25質量%(難燃剤:有機リン化合物)であった。
補助シートは、UL94HBF(難燃性試験)に合格する難燃性を有していた。
補助シートのJIS L1096のA法に基づくフラジール通気度Q(cc/cm
2・sec)については、表1に示す。
また、貫通孔が形成された後の基材に対して、強アルカリ性溶液による基材洗浄工程を行ったところ、条件1、条件2、条件3のいずれの場合にも、実施例1と同様に、すべての貫通孔の内部および周縁において、カスの付着は認められなかった。また、基材に形成された貫通孔の孔径を測定したところ、実施例1と同様に、ピッチ0.5mmおよびピッチ0.2mmのいずれにおいても、各貫通孔の孔径(補助シートに接触した面側の孔径。
)にはバラツキが認められなかった。
【0060】
<実施例4>
中層を形成するための繊維の混合比率を表1の中層の欄に示す質量比に変更した以外は、実施例1と同様にして、表1に示す坪量、厚さ、見掛け密度の補助シートを得て、実施例1と同様の測定、評価を行った。
その結果、補助シートは、UL94HBF(難燃性試験)に合格する難燃性を有していた。
補助シートのJIS L1096のA法に基づくフラジール通気度Q(cc/cm
2・sec)については、表1に示す。
また、貫通孔が形成された後の基材に対して、強アルカリ性溶液による基材洗浄工程を行ったところ、条件1、条件2、条件3のいずれの場合にも、実施例1と同様に、すべての貫通孔の内部および周縁において、カスの付着は認められなかった。また、基材に形成された貫通孔の孔径を測定したところ、実施例1と同様に、ピッチ0.5mmおよびピッチ0.2mmのいずれにおいても、各貫通孔の孔径(補助シートに接触した面側の孔径。
)にはバラツキが認められなかった。
【0061】
<実施例5>
中層を形成するための繊維の混合比率を表1の中層の欄に示す質量比に変更し、また、中層にも難燃剤を添加し、表1に示す坪量、厚さ、見掛け密度に変更した以外は、実施例1と同様にして、補助シートを得て、実施例1と同様の測定、評価を行った。ただし、中層への難燃剤の添加は、中層を形成するための中層形成用繊維に、粉末状の難燃剤を混合し、繊維とともに積層させる方法にて行った。難燃剤としては、リン酸窒素縮合物(ポリリン酸カルバネート)である丸菱油化工業社製、「ノンネンW−3(商品名)」を用いた。
補助シートは、UL94HBF(難燃性試験)に合格する難燃性を有していた。
補助シートのJIS L1096のA法に基づくフラジール通気度Q(cc/cm
2・sec)については、表1に示す。
また、貫通孔が形成された後の基材に対して、強アルカリ性溶液による基材洗浄工程を行ったところ、条件1、条件2、条件3のいずれの場合にも、実施例1と同様に、すべての貫通孔の内部および周縁において、カスの付着は認められなかった。また、基材に形成された貫通孔の孔径を測定したところ、実施例1と同様に、各貫通孔の孔径(補助シートに接触した面側の孔径。)にはバラツキが認められなかった。
【0062】
<比較例1>
ポリ乳酸複合繊維に代えて、ポリエチレンからなる熱融着性繊維(三井化学社製、「SWP(商品名)」、融点130℃)を使用して中層を形成した以外は、実施例1と同様にして、補助シートを得て、実施例1と同様の測定、評価を行った。
その結果、UL94HBF(難燃性試験)に合格する難燃性を有していた。
補助シートのJIS L1096のA法に基づくフラジール通気度Q(cc/cm
2・sec)については、表1に示す。
また、貫通孔が形成された後の基材に対して、強アルカリ性溶液による基材洗浄工程を行ったところ、条件1、条件2、条件3のいずれの場合にも、多くの貫通孔の内部および周縁において、カスの付着が認められた。基材に形成された貫通孔の孔径(補助シートに接触した面側の孔径。)を測定したところ、ピッチ0.5mmおよびピッチ0.2mmのいずれにおいても、各貫通孔の孔径にはバラツキが認められなかった。
【0063】
【表1】
【0064】
各実施例の補助シートは、適度な通気性、優れた難燃性を有していた。また、該補助シートを用いることで、形成される貫通孔の孔径のバラツキを抑制できた。また、強アルカリ性溶液を用いた基材洗浄工程後には、貫通孔の内部および周縁において、カスの付着は認められなかった。
これに対して、比較例の補助シートは、強アルカリ性溶液を用いた基材洗浄工程後にも、貫通孔の内部および周縁において、ポリエチレン繊維に由来するカスの付着が認められた。