(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562200
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
H05B 37/02 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
H05B37/02 J
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-111327(P2015-111327)
(22)【出願日】2015年6月1日
(65)【公開番号】特開2016-225169(P2016-225169A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】冨山 和也
(72)【発明者】
【氏名】辻 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】井上 優
【審査官】
田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−119151(JP,A)
【文献】
特開2008−108074(JP,A)
【文献】
特開2013−258024(JP,A)
【文献】
特開2006−236669(JP,A)
【文献】
特開2008−66958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と;
バッテリと;
前記バッテリを充電する充電回路と、
前記光源を点灯させる点灯回路と、
無線信号を定期的に送出する無線信号送出部と
を備え、外部電源の非遮断時には外部電源を前記充電回路および前記無線信号送出部の電源とし、点検時には前記バッテリを前記無線信号送出部の電源とし、かつ、外部電源の停電時には前記バッテリを前記点灯回路の電源とするとともに前記無線信号送出部の動作を停止させる電源装置と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
電源装置は、外部電源の停電時にバッテリから無線信号送出部への給電経路を遮断可能な遮断回路を備えている
ことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、外部電源の遮断時にバッテリを電源として光源を点灯させる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリを内蔵する照明装置として、例えば非常用照明装置、非常灯あるいは誘導灯などが知られている。このような照明装置として、例えばリモコンなどの外部装置からの要求信号の受信をトリガとして、外部装置に対して報知情報を送信する無線信号送出部を備えた構成がある。
【0003】
近年、無線信号であるビーコン(BLE信号)を所定の距離範囲内に所定時間毎に定期的に発信するビーコン発信部を用い、このビーコン発信部から発信されるビーコンに対応するアプリケーション(アプリ)がインストールされたスマートフォンなどの携帯端末がビーコンを受信したときに、アプリケーションによる報知や表示を行うシステムがある。このようなシステムを上記の照明装置の無線信号送出部に適用することで、所定の距離範囲内に接近した携帯端末の所持者がアプリケーションを動作させていれば、要求信号を入力するなどの操作を行うことなく情報を手軽に報知できるようにすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−258024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のビーコン発信部は、ビーコンを短時間毎に定期的に送出しているため、停電時にバッテリに電源が切り換わった際にビーコン発信部が有効であるとバッテリを消費する。そこで、ビーコン発信部での電源消費により非常点灯時の光源の点灯時間が短くならないようにすることが望まれる。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、無線信号を利用した監視や情報の報知が可能であるとともに、外部電源遮断時の光源の点灯時間を確保できる照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の照明装置は、光源と、バッテリと、電源装置とを有する。電源装置は、充電回路と、点灯回路と、無線信号送出部とを備える。充電回路は
、バッテリを充電する。点灯回路は
、光源を点灯させる。無線信号送出部は
、無線信号を定期的に送出する。そして、電源装置は、外部電源の非遮断時には外部電源を
充電回路および無線信号送出部の電源とし、
点検時にはバッテリを無線信号送出部の電源とし、かつ、外部電源の
停電時にはバッテリを
点灯回路の電源とするとともに無線信号送出部の動作を停止させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば
、外部電源の非遮断時には外部電源を電源装置の
充電回路および無線信号送出部の電源とし、
点検時にはバッテリを電源装置の無線信号送出部の電源として、それぞれ無線信号送出部から無線信号を定期的に送出し、無線信号を受信する端末などを用いて、無線信号を利用した照明装置の監視や情報の報知が可能になり、かつ、外部電源の
停電時にはバッテリを電源装置の
点灯回路の電源とするとともに無線信号送出部の動作を停止させるので、外部電源の
停電時の無線信号送出部によるバッテリの消費を防止して、光源の点灯時間を確保することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】同上照明装置の制御手段の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態の構成を、
図1および
図2を参照して説明する。
【0011】
図1において、照明装置11は、例えば停電時などの非常時に点灯する非常灯であり、廊下や通路などの上方に設置される。
【0012】
この照明装置11は、光源16と、バッテリ17と、外部電源18と接続される端子台19と、光源16を点灯させるとともにバッテリ17を充電し、かつ、無線信号を定期的に送出する電源装置20とを備え、図示しない筐体の内部に収容されている。
【0013】
なお、照明装置11は、例えば常用点灯回路を備えた誘導灯などの、バッテリ17を電源とする屋内、あるいは屋外の全ての照明装置に適用できる。また、天井埋込形のものに限らず、直付け形、天吊り形など、他の設置手段で設置するものでもよい。
【0014】
光源16は、例えば発光ダイオード(LED)あるいはレーザダイオードなどの半導体発光素子、または、有機EL素子(OLED)などが用いられ、例えば白色光を出射するように構成されている。
【0015】
バッテリ17は、例えばニカド電池、ニッケル水素電池、あるいはリチウムイオン電池などの充電可能な二次電池である。
【0016】
外部電源18は、例えば商用交流電源、あるいは直流電源など、任意の電源とすることが可能である。本実施形態では、例えば外部電源18を商用交流電源とする。
【0017】
端子台19は、図示しない電線を介して外部電源18と電源装置20とを電気的に接続するものである。
【0018】
電源装置20は、外部電源18に対して整流回路23が接続され、この整流回路23の出力側である後段には、外部電源18の供給を監視する電源監視回路24、電解コンデンサなどの平滑素子25、および、トランスTrの一次側とパワーディバイスとして例えばIPDを用いた電源回路26との直列回路(降圧回路)が順次接続されている。
【0019】
また、トランスTrの二次側には、ダイオードなどの整流素子28および電解コンデンサなどの平滑素子29の整流平滑回路を介して、外部電源18によりバッテリ17を充電する定電流回路などの充電回路31、バッテリ17、外部電源18の遮断時にバッテリ17を電源として光源16を点灯させるための点灯回路としての非常時点灯回路32が順次接続されている。この非常時点灯回路32には、光源16が接続されている。また、整流平滑回路の出力側、および、バッテリ17の出力側には、それぞれダイオードD1,D2を介して制御手段34が接続されているとともに、この制御手段34と並列に無線信号送出部36が遮断回路37を介して接続されている。
【0020】
制御手段34は、例えばマイコンなどであり、この制御手段34には、電源監視回路24、充電回路31、非常時点灯回路32および遮断回路37がそれぞれ接続されている。そして、この制御手段34は、電源監視回路24による監視状況に基づき、外部電源18の供給時には、充電回路31によりバッテリ17を充電させる。また、この制御手段34は、外部電源18の遮断時、例えば点検時、あるいは停電時などの場合には、バッテリ17を電源として非常時点灯回路32により光源16を所定時間(例えば非常灯では30分、誘導灯では20分または60分)以上点灯させるように構成されている。
【0021】
無線信号送出部36は、ビーコンモジュールなどとも呼ばれ、外部電源18の供給時には、この外部電源18からの給電により所定距離範囲の領域に常時、所定時間(例えば100〜数百ミリ秒)毎に定期的に無線信号(ビーコン)を送出し続け、外部電源18の遮断時には、遮断回路37により電源供給が遮断されることで動作を停止して無効となるものである。この無線信号送出部36から出力される無線信号は、例えば識別用のID(UUID)などの識別情報や携帯端末との距離情報を示す情報などを含むBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)信号であり、この無線信号がスマートフォンやタブレットPCなどの携帯端末などに通常備えられる無線信号受信部により受信されることで、この携帯端末などに予めインストールされた、この無線信号に含まれる識別情報に対応するアプリケーション(アプリ)が外部記憶装置であるサーバにこの識別情報を問い合わせ、サーバからの応答により、例えばバッテリ17の充電状態、照明装置11の設置年月日、携帯端末の位置情報、すなわち携帯端末の所持者の位置情報、および、この位置からの非常時の避難経路など、照明装置11の各種情報の所定の表示や報知をアプリケーションが行うように構成されている。なお、この無線信号送出部36としては、各携帯端末の無線信号受信部とともに、例えばBLE通信技術を用いたiBeacon(登録商標)などのシステムが好適に用いられる。なお、例えばこの無線信号送出部36の動作電流の情報が電源回路26の制御にフィードバックされる。
【0022】
遮断回路37は、バッテリ17から無線信号送出部36の給電経路に位置し、この給電経路を開閉するスイッチとして機能するものである。この遮断回路37は、バッテリ17から無線信号送出部36への電源を電気的に遮断してもよいし、機械的に遮断してもよい。
【0023】
そして、電源装置20は、外部電源18の供給時(常時)にはこの外部電源18によりバッテリ17を充電し、かつ、無線信号送出部36から無線信号を定期的に送出するとともに、外部電源18の遮断時、本実施形態では停電時には、バッテリ17を電源とし、無線信号送出部36の動作を停止させた状態で光源16を点灯させる。
【0024】
次に、照明装置11の動作について述べる。
【0025】
外部電源18から電力供給される常用時においては、バッテリ17は充電回路31により充電され、無線信号送出部36から無線信号が所定時間毎に定期的に送出される。したがって、この無線信号送出部36からの無線信号に含まれる識別情報に対応したアプリケーションがインストールされた携帯端末の所持者が照明装置11の近傍に位置すると、この無線信号送出部36からの無線信号に含まれる識別情報により動作したアプリケーションがサーバから提供された情報を表示、あるいは報知する。
【0026】
一方、外部電源18が遮断された非常時(停電時)には、電源監視回路24が外部電源18の電力供給の停止を検出し、制御手段34がバッテリ17による電力供給により光源16を点灯させるように非常時点灯回路32の動作を制御するとともに、遮断回路37により無線信号送出部36への給電経路を開放して無線信号送出部36の動作を停止させ、非常時点灯回路32がバッテリ17による電力供給に基づき、光源16の点灯を開始する。
【0027】
図2のフローチャートに制御手段34の動作をまとめると、この制御手段34は、電源監視回路24により外部電源18からの電力供給があるか否かを判断し(ステップ1)、外部電源18からの電力供給がある(停電していない)と判断すると、外部電源18によってバッテリ17を、充電回路31により充電させる(ステップ2)とともに、外部電源18によって無線信号送出部36を稼動させ(ステップ3)、ステップ1に戻る。また、制御手段34は、ステップ1において外部電源18からの電力供給がない(停電している)と判断すると、バッテリ17による電力供給により光源16を点灯させるように、非常時点灯回路32の動作を制御する(ステップ4)とともに、遮断回路37により無線信号送出部36への給電を遮断させ(ステップ5)、ステップ1に戻る。
【0028】
このように、外部電源18からの給電により無線信号を定期的に送出する無線信号送出部36を備えることで、無線信号を受信する端末などを用いて、無線信号を利用した照明装置11の監視や情報の報知が可能になるとともに、外部電源18の非遮断時には外部電源18を電源装置20の電源とし、外部電源18の遮断時である停電時にはバッテリ17を電源装置20の電源とするとともに無線信号送出部36の動作を停止させるので、外部電源18の遮断時の無線信号送出部36によるバッテリ17の消費を防止して、光源16の点灯時間を確保できる。したがって、バッテリ17としては、光源16を所定時間以上点灯させる最小限の容量を備えていればよく、バッテリ17の小型化なども可能になる。
【0029】
すなわち、無線信号送出部36は、定期的に無線信号を送出するのでバッテリ17の電力の消費が大きい。そのため、非常点灯時には無線信号送出部36を無効とすることで、バッテリ17の不必要な消費を抑制し、バッテリ17の容量を必要以上に大きくすることなく、光源16の点灯時間を確保できる。
【0030】
また、外部電源18の遮断時にバッテリ17から無線信号送出部36への給電経路を遮断可能な遮断回路37を備えることで、例えばバッテリ17の充電状態などを点検する点検時には、遮断回路37を動作させずにバッテリ17から無線信号送出部36への給電を可能とし、無線信号送出部36の動作の点検なども可能になるとともに、停電時にのみ遮断回路37によってバッテリ17から無線信号送出部36への給電を遮断することで、停電時の無線信号送出部36によるバッテリ17の消費を防止できる。
【0031】
なお、上記一実施形態において、例えば点検時にバッテリ17から無線信号送出部36への給電を必要としない場合には、バッテリ17から無線信号送出部36への給電経路を設けず、無線信号送出部36を外部電源18からの電力のみで動作するようにすることもできる。
【0032】
また、遮断回路37は、制御手段34により開閉される構成だけでなく、例えば外部電源18の通電によりオンされ外部電源18の遮断によりオフされるリレーなど、外部電源18の遮断により自動的に開閉される構成とすることもできる。
【0033】
さらに、無線信号送出部36は、例えば無線信号受信部を備え、双方向に無線通信を可能としてもよい。
【0034】
そして、非常時点灯回路32の他に、外部電源18の供給時に光源16を点灯させる常時点灯回路を備えていてもよい。
【0035】
本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
11 照明装置
16 光源
17 バッテリ
18 外部電源
20 電源装置
31 充電回路
32 点灯回路としての非常時点灯回路
36 無線信号送出部
37 遮断回路